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(1)

岐阜県自然共生工法認定制度レビュー

現地視察事例集

平成 19 年 12 月

岐阜県自然共生工法研究会 研究評価部会

岐阜県県土整備部河川課

(2)

この施工事例集は、平成 18 年度に岐阜県県土整備部河川課と岐阜県自然共生工法研究会研究評価部会が実施した、 「岐阜県自然共生工法認定制度レビュー」のために行なわれた施工事例現地視察の記録です。 認定制度レビュー本編とあわせて活用されることを推奨します。

岐阜・西濃方面(岐阜・大垣・揖斐)

S-1:天王川 岐阜土木 施工箇所:瑞穂市穂積町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:170102) 事業名: 施工年:H17 実施内容:護岸工(1:1.0) L= ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/ 計画高水流量 m3/s(1/ ) S-2:糸貫川 岐阜土木 施工箇所:本巣市糸貫町 ・事業概要 事業名: 施工年:H4 実施内容:詰杭工、練石型置石工、落差工 L=200m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/260 計画高水流量 m3/s(1/ ) S-3:宝江川(H15 災) 大垣・岐阜土木 施工箇所:穂積市、安八町 ・事業概要 事業名:H15 災害関連 施工年:H15~H16 実施内容:護岸工(1:0.5) L= ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/1300 計画高水流量 4m3/s(1/2 未満) S-4:平野井川 大垣土木 施工箇所:安八郡神戸町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:170210) 事業名: 施工年:H17 実施内容:護岸工(1:0.5) L=138m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/300 計画高水流量 m3/s(1/ ) S-5:桂川 揖斐土木 施工箇所:揖斐郡池田町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:150302、160302、160303) 事業名: 施工年:H15~H16 実施内容:護岸工(1:0.5) L= ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/280 計画高水流量 m3/s(1/ ) S-6:管瀬川 揖斐土木 施工箇所:揖斐郡揖斐川町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:160301、170301、170302) 事業名: 施工年:H16~H17 実施内容:護岸工(1:1.0) L=68+48+23=139m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/230 計画高水流量 m3/s(1/ )

中濃方面(美濃・郡上)

C-1:藤谷川 美濃土木 施工箇所:関市稲口 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:160403) 事業名:県単通常砂防事業 施工年:H16 実施内容:護床工 L=312m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/128~140 計画高水流量 69.66m3/s(1/80) C-2:吉田川 美濃土木 施工箇所:関市神明町 ・事業概要 事業名:県単河川局改 施工年:H8,9 実施内容:護岸工(1:0.5) L=220m右岸 ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/360 計画高水流量 85m3/s(1/20) C-3:和田川 郡上土木 施工箇所:郡上市白鳥町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:160502) 事業名:公共火山砂防事業 施工年:H16 実施内容:護岸工(1:0.5) L=165m ・河道特性 セグメント:1 河床勾配:1/90 計画高水流量 81.8m3/s(1/80)

東濃方面(可茂・多治見)

T-1:川浦川 可茂土木 施工箇所:加茂郡富加町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:150602、160602、170601) 事業名: 施工年:H15~17 実施内容:護岸工(1:0.5)L=50+27+13=90m右岸 ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/200 計画高水流量 m3/s(1/ ) T-2:可児川 可茂土木 施工箇所:可児市広見 ・事業概要 事業名:公共広域 施工年:H10~12 実施内容:低水護岸工(1:1.0) L=780m ・河道特性 セグメント:1 河床勾配:1/260 計画高水流量 840m3/s(1/5) T-3:瀬田川 可茂土木 施工箇所:可児市瀬田 ・事業概要 事業名: 施工年:H11 実施内容:護岸工(1:0.5) L=388m ・河道特性 セグメント:1 河床勾配:1/180 計画高水流量 30.0m3/s(1/3) T-4:笠原川 多治見土木 施工箇所:多治見市京町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:150701・02、160702、170712・14) 事業名: 施工年:H15~17 実施内容:護岸工(1:0.5) L= ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/150 計画高水流量 m3/s(1/ ) T-5:土岐川 多治見土木 施工箇所:瑞浪市土岐町 ・事業概要 事業名:広域基幹 施工年:H11 実施内容:護岸工(1:2.0) L=128 左岸 ・河道特性 セグメント:1 河床勾配:1/160 計画高水流量 860m3/s(1/50) T-6:庄ヶ洞川 多治見土木 施工箇所:瑞浪市土岐町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:160703) 事業名: 施工年:H16 実施内容:護岸工(1:0.5) L=17m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/50 計画高水流量 m3/s(1/ )

飛騨方面(高山・古川)

H-1:小木曽谷川 高山土木 施工箇所:高山市丹生川町 ・事業概要 事業名:H11 災害関連 施工年:H11 実施内容:護岸工(1:0.5) L=634m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/30 計画高水流量 m3/s(1/ ) H-2:苔川 高山土木 施工箇所:高山市上岡本町 ・事業概要 事業名:広域基幹河川改修 施工年:H11 実施内容:護岸工(1:0.5) L=93m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/140 計画高水流量 151m3/s(1/30) H-3,4:川上川(H16 災) 高山土木 施工箇所:高山市清美町 ・事業概要 事業名:H16 水系助成 施工年:H16~ 実施内容:護岸工(1:0.5~1.0) L=13435 ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1/82~150 計画高水流量 590~320m3/s(1/20) H-5:大楢谷川(H16 災) 高山土木 施工箇所:高山市清美町 ・事業概要 事業名:H16 水系助成 施工年:H16~ 実施内容:護岸工(1:0.5) L=2440m ・河道特性 セグメント: 河床勾配:1//50~60 計画高水流量 140m3/s(1/20) H-6:牧谷川(H16 災) 高山土木 施工箇所:高山市清美町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:171002) 事業名:H16 水系助成 施工年:H16~ 実施内容:護岸工(1:0.5) L=4817m ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/21~55 計画高水流量 195~145m3/s(1/20) H-7:稲越川(H11 災) 古川土木 施工箇所:飛騨市河合町 ・事業概要 事業名:H11 災害助成 施工年:H11~H14 実施内容:護岸工(1:0.5) L=9340m ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/30~60 計画高水流量 220m3/s(1/20) H-8:宇津江川 古川土木 施工箇所:高山市国府町 ・事業概要 (岐阜県自然共生工法ポータルサイト箇所番号:151103、151102) 事業名:公共広域河川改修 施工年:H15 実施内容:護岸工(1:0.5) L=14、100m ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/50 計画高水流量 170m3/s(1/30) H-9:宮川 古川土木 施工箇所:高山市国府町 ・事業概要 事業名:H16 水系助成 施工年:H17 実施内容:護岸工(1:2.0) L=644、471m ・河道特性 セグメント:1 河床勾配:1/240 計画高水流量 1800m3/s(1/20) H-10:荒城川(H11 災) 古川土木 施工箇所:高山市国府町 ・事業概要 事業名:H11 災害関連 施工年:H12 実施内容:護岸工(1:2.0) L=520m ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/84 計画高水流量 560m3/s(1/30) H-11:瓜巣川(H16 災) 古川土木 施工箇所:高山市国府町 ・事業概要 事業名:H16 水系助成 施工年:H17 実施内容:護岸工(1:0.5) L=4579m ・河道特性 セグメント:M 河床勾配:1/70 計画高水流量 m3/s(1/ )

その他・河川事業以外の事例

N-1:糸貫 3 号排水路 岐阜農林 施工箇所:本巣市糸貫 ・事業概要 事業名:生態系保全型水田整備推進事業 施工年:H13~17 実施内容:生態系配慮型水路 ●視察日程及び視察に同行した岐阜県自然共生工法研究会研究評価部会委員 視察対象 視察日程 視察に同行した研究評価部会委員 美濃・郡上・古川・高山 平成 18 年 11 月 15 日(水) ~16 日(木) 西條好廸(岐阜大学助教授) 大竹良昌((財)リバーフロント整備センター岐阜分室長) 岐阜・大垣・揖斐 平成 18 年 11 月 30 日(木) 藤田裕一郎(岐阜大学教授) 萱場祐一((独)土木研究所自然共生研究センターセンター長) 寺町 茂(どろんこ探検隊隊長) 大竹良昌((財)リバーフロント整備センター岐阜分室長) 可茂・多治見 平成 18 年 12 月 4 日(日) 河村三郎(岐阜大学名誉教授) 藤田裕一郎(岐阜大学教授) 大竹良昌((財)リバーフロント整備センター岐阜分室長) ●本事例集に係る問い合わせは、以下までお願いします。

岐阜県県土整備部河川課 企画環境担当

〒500-8570 岐阜市薮田南 2-1-1 TEL058-271-1111 内線 3728 FAX058-271-7683

岐阜県自然共生工法認定制度レビュー 現地視察事例一覧

(3)

参考データ: 施工事例比較のための河床勾配、河道幅、採用法勾配の一覧表

本視察事例集に収録した施工事例には、山間地の急流河川から平野部の緩流河川まで、さまざまな河道特性を有し た河川における施工事例を見ていただくことができます。 事例集の活用法として、複数の施工事例を比較していただくことを提案します。 下表は、収録した施工事例を河床勾配の順に並べたものです。施工事例を比較する際の視点の一つとして、ご活用く ださい。 採用法勾配 施工事例名 河床勾配 河道幅 高水敷幅 1:0.5 1:1.0 1:1.5 1:2.0 H-6 牧谷川(H16 災) 1/21~1/55 6.5~25.0m - ○ H-1 小木曽谷川 1/30 8.3m - ○ N-1 糸貫 3 号排水路 1/30 5.3m - - - - - H-7 稲越川(H11 災) 1/30~1/60 9.0~17.5m - ○ H-8 宇津江川 1/50 9.9m - ○ T-6 庄ヶ洞川 1/50 6.0m 0m,1.0m ○ H-5 大楢谷川(H16 災) 1/50~1/60 10.5~11.5m - ○ H-11 瓜巣川(H16 災) 1/70 12.8m - ○ H-3 川上川(H16 災) 1/82~1/150 23.9~52.0m - ○ H-4 川上川(H16 災) 1/82~1/150 23.9~52.0m - ○ H-10 荒城川(H11 災) 1/84 28.0m - ○ C-3 和田川 1/90 9.3m - ○ C-1 藤谷川 1/128~1/140 9.5m - ○ H-2 苔川 1/140 12.8m - ○ T-4 笠原川 1/150 24.0m - ○ T-5 土岐川 1/160 90.0m - ○ T-3 瀬田川 1/180 9.3m - ○ T-1 川浦川 1/200 32.0m - ○ S-6 管瀬川 1/230 16.0m - 外岸 内岸 H-9 宮川 1/240 50.0m - ○ T-2 可児川 1/260 59.9m 10m,10m ○ S-2 糸貫川 1/260 13.5m - ○ S-5 桂川 1/280 15.2m 1.5m,1.5m ○ S-4 平野井川 1/300 20.0m - ○ C-2 吉田川 1/360 16.5m 2m,2m ○ S-3 宝江川(H15 災) 1/1300 5.2m - ○ S-1 天王川 - 15.0m - ○ H-1 H-6 T-6 H-8H-5 H-7 H-11 C-3 C-1 H-2 T-3 S-5 C-2 S-4 T-4 T-1 S-2 S-6 T-2 H-4 H-10 H-3 H-9 T-5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1/0 1/100 1/200 1/300 1/400 河床勾配[I] 河道 幅[ B ] 5分勾配 1割勾配 2割勾配 [m] 図 河床勾配I、河道幅Bと法勾配の相関図 注1)河床勾配I及び河道幅Bの値に幅がある施工事例は、最大値・最小値の平均値によりプロットした。 注2)上図には、N-1,S-3,S-1 はプロットしていない。

MEMO

(4)

S-1:天王川

災害復旧(H17)

岐阜土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・周辺景観への配慮から、陸域部における植生復元が川づくりの目標となっている。 設計 【ボックス型コンクリート張りブロックについて】 ・覆土(間詰め)の効果により、植生の回復が見受けられる。 ・土砂を抱え流出しにくいよう工夫された形状の製品であるが、現地の護岸の法勾配が 1:1.5 より急であることから、ボックス内の客土が流出する可能性も考えられる。 ・今後、出水後に土砂の流出が無いか追跡調査をすると良い。 施工 維持管理 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・事務所からは自然共生工法活用事例として報告があったが、本工法は認定された製品と名称が類似の 別製品が用いられており、本事例は認定工法の採用事例とはいえない。工法認定が製品に対する認定 と認識されていることからおこった取り違えと判断される。

●本河川のポイント

視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 ボックス型コンクリート張りブロックの様子。上流 から下流を撮影。 写真―2 ボックス型コンクリート張りブロックの様子。下流 から上流を撮影。 写真―3 陸域部の植生が回復しており、水草が繁茂して いる。 写真―4 ボックス型コンクリート張りブロックの植生の様 子。 写真―5 認定工法で使用されている製品。 (連節型、適用勾配 1:1.5~) 写真―6 実際に現場で施工された製品。 (連結型、適用勾配 1:1.0~) 河床勾配 河道幅 15.0m

S-1

(5)

S-2:糸貫川

県単水辺の散歩道整備(H4)

岐阜土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・歩道の整備、植樹帯、水辺への利用が出来る階段・坂路の設置、川が眺められる休憩場な どの水辺の散歩道整備が実施されている。 設計 糸貫中学校付近 【植石景観ブロックについて】 ・周囲の景観に調和している。護岸天端上部の法面から垂れたつる植物や河床から護岸をは って昇った植物が、護岸法面を覆っている。 【魚巣ブロックについて】 ・カゴマットに覆土された平場から植生が良く生育し、魚類の生息の場を提供している。 福祉施設ぬくもりの里付近 【法枠ブロックについて】 ・植生ポットタイプ、割栗石を詰めたタイプ、魚巣タイプを横断的に設置している。配置が 画一的なので、目的を持って使用工法を選定すると良い。 【詰杭工+カゴマットについて】 ・水際部にも植生が良く生育している。 ・左右岸の水際へ千鳥状に配置することにより低水路を蛇行させているが、設置間隔が短い ことから、人工的で不自然なイメージの流れの区間がある。 【付属工の景観について】 ・付属工(縦排水工、階段工、小口止め等)については、浮き上がって見えないように、周 りの護岸に合わせたり、コンクリート表面をざらつかせたりする表面処理が施されている。 施工 維持管理 その他 ・護岸は修景に主眼がおかれ、水際部に変化をつけた河川である。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例は、認定制度以前の川づくりである。 ・在来工法の認定工法である詰杭工が採用され、水際植生が良く生育している。

●本河川のポイント

・計画段階から川づくりの目標(水辺の散歩道整備)が設定されており、整備後は、周辺環境に馴染ん だ河川景観となっている。 ・平水位で機能しない箇所への魚巣ブロックの一様な配置や、低水路の蛇行間隔の考え方については、 他河川にも見受けられる事例であるので、今後の川づくりにおいて注意していく必要がある。 視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 糸貫中学校付近の糸貫川の様子。魚巣ブロック 設置高さが一様となっている。 写真―2 つる植物が護岸を被覆している。縦排水工が周 りの護岸に合わせて修景されている。 写真―3 ぬくもりの里付近の糸貫川の様子。河岸側に張 り出したテラスが施工されている。 写真―4 河道内に樹木が生育している。 写真―5 植生ポットタイプ、割栗石タイプ、魚巣タイプの法 枠ブロックを横断的に設置している。 写真―6 階段工の小口止めにも景観に配慮した工夫が みられる。表面をざらつかせる処理を施している。 河床勾配 河道幅 1/260 13.5m

S-2

(6)

S-3:宝江川

改良復旧(H17)

大垣土木事務所

●川づくりの工夫

調査 ・施工前に生物調査が行われ、生息生育している生物、貴重な生物の把握を行っている。 計画 【護岸工法の選定にあたって】 ・現地の景観、地盤条件を事前に把握され、木製護岸を選定している。 設計 【木製護岸について】 ・陸域部の植生に関しては、間伐材前面間隙部からの中詰土の吸出しを防ぐ目的で、間隙を 少なくしている。その結果、植生の繁殖は少なくなっているが、河床に盛土部を設ける配 慮により水際植生が繁茂している。 ・背後地が水田の場合、木材に十分な水分が補給されるため対腐朽性が期待できるのでは。 ・両生類、爬虫類への配慮は、登坂路を設けて水域(河道内)と陸域(周辺の水田)への連 続性を確保している。 【河床整備について】 ・捨石工による水際部の空隙の創出を試みたようであるが、シルト、粘土地帯であることか ら、砂礫河川と比較すれば目詰まりしやすく、注意が必要である。 ・水草の役割(水生生物の産卵場、外敵から身を守る隠れ場、稚魚の生息場など)について よく理解し施工時の対応策が検討している。 施工 ・工事実施前に水生生物の引っ越しを、事務所、役場職員、設計施工業者などの関係者によ り実施している。 維持管理 ・事後調査として毎年、生態系に配慮した工法の効果検証を実施している。 ・構造体に、腐朽の可能性がある間伐材を使用していることから、腐朽の程度をモニタリン グしている。今後も継続して調査を実施し、技術資料とするとよい。 その他 ・改修後の区間を、総合学習の場として活用している。 ・事前、事後の生物調査を実施するにあたっては、小中学校に呼びかけて総合学習の場とし て活用してもらい、生息している水生生物の把握をしていくと良い。

●自然共生工法の活用の観点から

・生物の生息場を創出する目的で、在来工法として認定されている捨石工を採用している。河床材料が シルト、粘土では目詰まりしやすいので維持管理が必要である。

●本河川のポイント

・事前事後の生物調査や、構造体として使用された間伐材の腐朽に関する調査を実施している。調査デ ータの蓄積により技術資料とし、他河川の川づくりに活用することが望まれる。 視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 取水樋門下流側の木製ブロック(1:0.5)の様子。 河床に水草が繁茂している。 写真―2 盛土を設けた所に水際植生が繁茂している。 写真―3 土砂の吸出しを防ぐ目的から、隙間無く木製ブロ ックが施工されている。 写真―4 両生・は虫類への配慮として、間伐材を斜めに 取り付けている。 写真―5 農業排水路の流末と河道との間に段差が生じて いる。 写真―6 東安中学校の総合学習の様子 河床勾配 河道幅 1/1300 5.2m

S-3

(7)

S-4:平野井川

災害復旧(H17)

大垣土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【建設廃材の再利用について】 ・改修時に出る建設廃材(コンクリート塊)を、現場内で再利用できる工法を選定している。 【被災原因の除去について】 ・被災原因が出水後の水位の低下に伴う護岸背面の残留水圧が影響していることから、背面 との通水性があり、湧水や残留水圧等への対応が可能な工法を採用している。また、背後 地の条件から、輪荷重の影響範囲でも使用可能な工法を比較検討している。 設計 【かご型空積ブロックについて】 ・スリット幅が 10cm 程度であることから中詰材には、径の大きいコンクリート塊や玉石など が使用されており水生生物が生息可能な空隙がある。 ・水生生物の生息環境目的の観点による中詰材が、上段まで必要であっただろうか。 ・天端に笠コンを施工することにより、上部土砂が沈下しなくなる。 ・計画洪水時の平均流速が 5m/s 未満であることから、景観等を考慮した適用可能な他の工法 についても充分比較検討する余地があったのではと思われる。 施工 ・河川工事実施前に、水生生物保護活動(水生生物の保護、生息種の確認など)が実施されて いる。他の現場においても、工事実施前実施後に、総合学習の一環としても取り組みを実 施されることが望まれる。 ・水草を非施工区間に移植して、保護する取り組みが行われている。 ・最上段のブロック連結部から裏込材が流出するのを防ぐために吸出し防止材が隙間に敷設 されている。 維持管理 その他 ・本河川は、転石が無いため洪水によって、ボックス前面が破壊されることは無い。しかし、 ボックス前面が破壊され中詰材が流出した場合は、ブロックの安定性に問題がある。他の 河川に採用する場合は、十分検討(地盤条件、転石、上載荷重などへの対応)する必要が ある。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例で用いられた認定工法は、陸域部と水際部(空隙)の2つのカテゴリーで認定された製品であ る。本施工箇所は、空隙目的で使われたので使い方としては問題ない。ただし、中詰材が全て径が大 きな材料となっていることから陸域部における植生の繁茂は困難である。陸域部を植生目的とするの であれば、中詰材に土砂を用いる必要があり、吸出防止対策を開口部や底面部に行う必要がある。 ・対岸や周辺地域が緑の多い落ち着いた環境であることから、陸域部は景観に配慮した工法選定(例え ば、明度を抑えた護岸材料の採用、植生を主体とした護岸の採用等)が望まれる。

●本河川のポイント

・周辺環境や周辺景観との調和を川づくりの視点に加え、法長方向に水面からの比高に応じて工法を組 み合わせる、工法の使用方法を使い分けるなどの工夫が望まれる。 視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 設置されたかご型空積ブロック(1:0.5)の様子。 河床に水草が繁茂している。 写真―2 対岸の護岸および大垣輪中の様子。 写真―3 曲線部の目地(隙間)の様子。 写真―4 中詰材にコンクリートガラが利用されている。 写真―5 曲線部の目地(隙間)の対応として吸出し防止材 が施工されている。 写真―6 魚が水草を隠れ場として利用している。 河床勾配 河道幅 1/300 20.0m

S-4

(8)

S-5:桂川

公共広域一般(H15~16)

揖斐土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【護岸工法の採用について】 ・地域住民の要望をふまえ、隣接する公園との調和した景観が得られるようにとの配慮から、 石系護岸を採用している。 設計 【連結自然石工法について】 ・石と石の間に空隙が確保されており、水生生物や小動物の生息場としての機能を有してい ると考えられる。 ・植生の観点では、胴込に割石がいれてあり、植物の早期生育は望めない。ただし、水際部 に土砂が堆積した場所からは、植生が生育している。 ・石材に地元産の揖斐石が使用されており、景観的に違和感が少ない。 施工 【水際の堆積域について】 ・設計時には、低水路についても計画が立案されていたが、改修後の河川は平坦となってお り現場の方で対応がなされていない。 ・水際植生を回復し、魚類の生息環境が改善することを期待する。 維持管理 その他 ・当箇所の下流は、中州が形成され植生が繁茂している。

●自然共生工法の活用の観点から

・使用された工法は、水際部(空隙)のカテゴリーで認定されている。水際部の空隙を認定工法によっ て確保したかもしれないが、河川が本来有している多様性に富んだ自然環境を保全・創出する観点か らすれば、河床形状や水際植生への配慮がもう少し必要ではなかったか。

●本河川のポイント

・一つの部品(護岸景観)だけに配慮するのではなく、河川全体を視野に入れた川づくりが必要である。 ・河床が平坦で水際植生等に変化が少ない。長期的に見れば、下流の河道のような状況(写真-6)に変 化するであろうが、河道を改変する工事では、より早期に自然な河道となるような工夫が求められる。 視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 公園から河川へアプローチするための階段工 (幅 15m、法勾配 2 割)が設置されている。 写真―2 土砂の堆積が無いため、水際部の植生が発達 しにくい。 写真―3 空隙部に土砂が堆積した箇所からは、植生が生 育している。 写真―4 連結自然石工法の空隙の様子。 写真―5 平坦な河床となっていて、水生生物の生息環境 としても、景観的にも単調である。 写真―6 下流の河道の様子。中州が形成され植生が繁 茂している。 河床勾配 河道幅 高水敷幅 1/280 15.2m R1.5m、L1.5m

S-5

(9)

S-6:管瀬川

公共広域一般(H16~17)

揖斐土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【湧き水への対応について】 ・現地は、湧き水が豊富であることから透水性に優れ、湧き水や残留水圧等への対応が出来 る工法を採用している。 設計 【連結自然石張り(左岸護岸)について】 ・親水性のために階段工を設置するのであれば、利用者の動線を配慮すべきである。 ・ワンド下流側の護岸法線が洪水を対岸に跳ね出す線形となっており、下流対岸が水衝部に なると思われる。水衝部の護岸法線、護岸勾配等については、十分検討する必要がある。 ・ワンド部と低水路が平坦につながっているが、導流堤等によってワンド部と低水路に仕切 りを設けた方が、環境にメリハリがついたのではないか。 【大型空積ブロック(右岸護岸)について】 ・ブロック下段の中詰材は、水際部における植生で魚の隠れが等になるように、土砂と砕石 を混ぜた施工が行われている。植生目的であれば、湧水状況に配慮しながら、河床に盛土 部を設け、水辺植生を復元するなどといった工夫を組み合わせると良い。 ・ブロック上段の中詰材は、地元から草が生えないようにして欲しいと言う要望から砕石が 充填されているが、草を生やさないことを方針とするのであれば、5分積み護岸でも良い。 ・ブロック内は、砕石が充填され空隙がほとんど無い状況である。魚のすみかを目的とする ならば、水際部に魚巣ブロックを施工しても良かったのでは。 ・1 割護岸から階段部(2 割)への取り付けは、景観に配慮した護岸法線とすべきである。 ・計画洪水時の平均流速が 5m/s 未満であることから、生物、景観等を考慮した適用可能な他 の工法についても十分比較検討する余地があったのでは。 施工 ・河川工事実施前に、水生生物保護活動(水生生物の保護、生息種の確認など)が実施されて いる。 ・現地の水草を把握し、施工時に移設する取り組みが行われている。 維持管理 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例の右岸側で採用されている自然共生工法は、陸域部のカテゴリーで認定された工法である。水 際の空隙や植生を期待するのであれば他の工法についても検討すべきである。

●本河川のポイント

・湧水が多い河川における川づくりの参考事例。 ・同一工法であっても、上段と下段で中詰材を使い分けることにより、植生をコントロールしようと工 夫している点は、他河川でも参考としたい。 視察日: 平成 18 年 11 月 30 日

●現地河川の状況

写真―1 左岸護岸は、認定工法である連結自然石張り工 法(1:2.0)が施工されている。 写真―2 右岸護岸は、認定工法である大型空積ブロック (1:1.0)が施工されている。 写真―3 中詰材を土砂と砕石を混ぜた位置からは植生が 見られる。 写真―4 中詰材に土砂と砕石を混ぜて投入した位置。 写真―5 上流未改修河道の様子。 写真―6 上流未改修区間の水草の様子。 河床勾配 河道幅 1/230 16.0m

S-6

(10)

C-1:藤谷川

県単通常砂防(H16)

美濃土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【限られた用地での流下能力の確保】 ・計画高水流量を大きくする際に用地の問題から河道を拡げられなかったため、河道を掘り 下げ、護岸に根継ぎしている。 設計 【河床に設置されたブロックマットについて】 ・ブロック間の空間が魚や水生生物の生息場として期待しているが、流出土砂が入り込み効 果は認められない。 ・ブロックの突起によりさざ波が起きているが、自然ではない。 施工 ・全面に施工する必要性は別として、ブロックマットは施工性が高い点で有利と考えられる。 ・布製型枠も施工の目的や設置箇所の安定に問題がなければ施工性が高い工法と考えられる。 維持管理 ・護岸天端から HWL までの覆工に、布製型枠が使用されている。簡易な工法ではあるが、除 草の手間は省けるため、草を生やしたくない箇所には適切な工法といえるのではないか。 その他 ・河床全面にブロックマットを張ったため、河床が平坦になり、平水時の水深が浅くなって いる。魚類の生息はほとんど期待できない。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例は自然共生工法活用事例として報告があったが、本工法(ブロックマット)は陸域部のカテゴ リでの認定工法であり、水域部に使用している本事例は認定工法の採用事例とはいえない。認定工法 は、工法と使い方がセットで認定されているということが現場に十分周知されていないと考えられる。

●本河川のポイント

・とくになし 視察日: 平成 18 年 11 月 15 日

●現地河川の状況

写真―1 断面を大きくするために河床を掘り下げ、根継ぎ している。護岸は一般的な間知ブロックである。 写真―2 河床全面にブロックマットが施工されている。 写真―3 余裕高分は布製型枠により施工。 写真―4 平水時は水深数 cm、土砂もほとんど堆積してい ない状態。 河床勾配 河道幅 1/128~1/140 9.5m

C-1

(11)

C-2:吉田

き っ た

県単河川局改(H8~9)

美濃土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・住宅地を流れる比較的流れの緩い河川であるが、護岸を立てて流下能力を確保すると同時 に、法尻部に人が歩行できるテラスを整備し、低水路の水際に様々な工夫をしている。 設計 【内岸部と外岸部の特性に応じた工法の使い分け】 ・内岸部は、植生ブロックと木工沈床を併用し、土砂の堆積を促している。木工沈床の前面 に、根固めブロックが配置されている箇所もある。木工沈床に土砂が堆積し、ツルヨシ、 オギ、ススキ、アカメガシワ、カナムグラ、アレチハナガサ等が繁茂している。 ・外岸部は、魚巣ブロックが配置されている。 ・一部、内岸と外岸の配置が逆になっている区間があり、魚巣ブロック前面に土砂が堆積し てしまったが、出水時には魚巣ブロックの上部が避難場所として機能する可能性はある。 ・木工沈床の配置や設置幅については、跳ね出しにより深掘れを起こす可能性があることと、 不要なところに堆砂が起きているため、河道形状をよく検討した上 設置する必要がある。 【木工沈床の使い方について】 ・木工沈床と根固めブロックがセットになっているが、狭小断面であり根固めブロックは不 要。また、木工沈床の天端が高いため、洗掘など他に影響がでている。ここを計画河床に 合わせるべき。 ・低水路河床高は、木工沈床天端からあまり大きく下げないこと。低水流量が満杯となる程 度の高低差であれば、階段状に木工沈床を配置しても水流の阻害とならない。 施工 維持管理 ・背後地が住宅地であり、地域住民の目にふれる機会も多いことから、植生の管理について 地域との協力体制を確立していくとさらによい環境が形成されるのではないか。 その他 ・工法選定の根拠に、吉田川・関川の原風景を「玉石護岸と桜堤」と捉えて施工したとある。 結果の良否によらず、景観に配慮する姿勢は今後も重要であると考えられる。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例は、認定制度以前の川づくりである。認定工法は、在来工法として認定されている木工沈床工 が採用されている。

●本河川のポイント

・内岸部、外岸部の特性を良く理解した上で工法の配置がなされており、計画した植生の繁茂、水生生 物の生息場は概ね確保されている。 ・平成 8 年の事例でありながら、場の特性を良く見抜いた設計がなされている。 ・狭い区間の中で細かい配置がなされているが、もう少しゆったりとした配置にした方が水際部の連続 性がより確保されると考えられる。例えば左右岸に州を形成するのであれば、水面幅の数倍~10 倍程 度を目安にして形成するなど。 視察日: 平成 18 年 11 月 15 日

●現地河川の状況

写真―1 住宅地を流れる吉田川。水辺に階段でアクセス できるテラスが整備されている。 写真―2 水際部に植生が繁茂している。両岸で植生ブロ ックと魚巣ブロックを入れ替えながら施工。 写真―3 緩い蛇行の内岸に設置された植生ブロック。前 面に木工沈床、根固めブロック。 写真―4 外岸の魚巣ブロック。施工後 10 年近く経過して も機能が保たれている。 写真―5 蛇行の内岸側に魚巣ブロックが設置された区間 では土砂が堆積し埋没している。 写真―6 外岸の水衝部に張り出した構造物。背後の土砂 が流失している。 河床勾配 河道幅 高水敷幅 1/360 16.5m R2.0m、L2.0m

C-2

(12)

C-3:和田川

公共火山砂防(H16)

郡上土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 設計 【植生を期待して空積構造を採用することについて】 ・本事例だけではないが、植生を期待して空積構造を採用している事例が散見される。空石 積であれば植生が生えるという固定観念に捉われず、どんな植生を生やしたいか、植生が 生えるためには何が必要かといった筋道での検討が必要。 施工 【アンカー式空石積工法について】 ・施工された時期により、使用された玉石の大きさが異なる。下流側の初期の施工は玉石の 径が小さめで、密にかみ合っているが、上流に向うにつれ玉石が大きくなり、石と石の隙 間が大きくなっており、間詰め砕石がこぼれている。 ・工事の仕様には玉石の径までは盛り込めないこと、半工場製品のため石の産地は指定でき ない等の原因があった。 ・基礎コンクリートから何段かは擬石で積んでおり、径が揃っているが、自然石を使用して いる箇所は、基本が石積工法でありながら合端がかみ合っていなく、胴込め材が露出して いる。開発業者に施工マニュアルを作らせるべきではないか。 ・胴込め材が流出すると不安定構造となる(安定計算時には流出を考慮しないため)。類似工 法の安定計算の考え方をチェックする必要がある。 維持管理 その他 ・平成 16 年に下流の長良川本川合流部で被災している。アンカー式空石積工法は間詰めが抜 けると、被災範囲が拡大しやすいことから、背後地保全対象を勘案して選定すべき。

●自然共生工法の活用の観点から

・自然共生工法に認定されているアンカー付き空石積工法を採用した理由が「植生の回復」とされてい るが、植生は土壌がなくては生育できない。水際付近では、土砂が空隙に捕捉され植生基盤となる可 能性があるが、かなり時間がかかる。 ・工法提案時に胴込材が割栗石となっており、土砂の流入がなければ植生の繁茂が期待できない構造と なっていた。水際には植生も見られることから、胴込材に配慮すれば植生を回復できた可能性がある。 ・石を利用した工法は、付近の住居(石積み擁壁等)から妥当ではないか。 ・本工法は水際部(空隙)のカテゴリで認定されており、砕石の間詰めでは、植生の効果は本来あまり 望めない工法である。総じて、目的に応じた工法の選定がなされていないと判断される。

●本河川のポイント

・空積みであれば植生が生えるという単純な図式ではなく、どのようにしたら何が生えるかといった観 点からの検討が必要。 ・区間によって仕上がりが異なる。施工の仕方で仕上がりに差がつきやすい工法を採用した場合、きめ 細かい施工管理が必要とされる。 視察日: 平成 18 年 11 月 15 日

●現地河川の状況

写真―1 両岸をアンカー式空積工にて施工。植生は、法 尻に堆積した土砂に繁茂している。 写真―2 上流側には径の大きい転石が多数みられる。 写真―3 法尻部に堆積した土砂に生えた植生が法面下 部を覆っている。 写真―4 法面上部の土羽から垂れかかった蔓植物 写真―5 石径が小さめでよく噛み合った下流区間。周辺 民家の基礎の石積とよくマッチしている。 写真―6 石径が大きく、間隙から間詰めがこぼれそうな上 流区間。 河床勾配 河道幅 1/90 9.3m

C-3

(13)

T-1:川浦川

県単河川局改(H15~17)

可茂土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【建設廃材の再利用について】 ・改修時に出る建設廃材(練石積み・コンクリート塊など)を、現場内で再利用できる工法 を選定している。 設計 【コンクリート製片法枠工法について】 ・モタレ擁壁の構造体として使用されているが、これだけの規模でないと安定しないの か。また、自重がどのように計算されているのか不明であるが、中詰材のコンクリート塊 が流出した場合は不安定構造物となる場合があるので、注意が必要である。中詰材が流出 しないような工夫(表面に径の大きい玉石もしくは金網等)も検討する必要がある。 ・上下 2 段に同一工法が使用されているが、下段は水際の空隙目的、上段は植生目的とし、 中詰材を使い分けたほうが良かったのではないか。なお、本工法の場合、植生目的に細粒 土を中詰材に用いても、水分飽和時には流れ出す可能性が大きいと思われ、吸出し防止対 策が必要となる。上段は別工法を採用することが適切ではないか。 ・コンクリート枠表面に使用された化粧材(半割丸太)は、礫の衝突によるコンクリート枠 構造の破損の緩和につながると思われる。 【高水護岸工への間伐材の貼り付けについて】 ・カゴマット表面への間伐材の貼り付けは、腐食状況、植生回復の点から見ると不必要であ ると思われる。カゴマットに覆土がされた隣接箇所では、植生の回復が見られる。 ・間伐材の材質がカラマツとすれば腐朽速度の速い材料を使用していることになる。腐朽調 査をして今後の技術資料にすると良い。 施工 維持管理 ・中詰材の流出や、間伐材の腐朽に関する監視と対応が求められる。 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・本工法は水際部カテゴリでの認定工法であり、平水位から比高の高い位置までの護岸工として用いた 本事例は、厳密な意味での認定工法の採用事例とはいえない。 ・径の大きい玉石が使用されており水際の空隙が確保できているが、平水位以上の空隙の目的が明確で ない。 ・水際部では流出土砂が空隙に入り植生が見られる。

●本河川のポイント

・同一の自然共生工法を施工範囲の全区間に採用するのではなく、上下段での別工法の採用や、流況に 応じた部分的な採用を検討していくことが必要となる。 ・また、同一工法であっても、部位に応じた使い方を検討することが望まれる。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 中詰材に、改修時に発生した建設廃材を再利用 している。 写真―2 護岸部の上下 2 段にわたり、同一工法が採用さ れている。 写真―3 水際の堆積域に植生が見られる。 写真―4 詰石により様々な大きさの空隙ができているが、 水面下ではないため、効果は期待できない。 写真―5 カゴマット上面に敷設された間伐材。 写真―6 間伐材の腐朽が進行している。 河床勾配 河道幅 1/200 32.0m

T-1

(14)

T-2:可児川

ふるさとの川整備事業(H10~12)

可茂土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・地元住民との検討会を開催しながら、地域に密着した川づくりが実施された。 ・流量が少ない時期においても、水深の確保と瀬や淵の保全が可能となるように低々水路 を計画するとともに、部分的な水制工の設置により、多様な環境が創出されている。 設計 【カゴマット多段積工+覆土工について】 ・カゴマット多段積工に覆土されているが、覆土の流出は見受けられない(一部であったとの こと)。植生の繁茂によるものか、大きい洪水が発生しなかったか。今後もフォローアップ を継続し、技術資料にすると良い。 【魚巣ブロックについて】 ・魚巣ブロックを利用する魚類が多い。前面の根固ブロックとの間に大きな隙間があるので、 もう少し護岸側に寄せてあれば、魚のすみかとしてより効果があったと思われる。 【寄石工による低々水路整正について】 ・蛍橋上流側の寄石は、玉石が利用されており河床材料とも違和感が無く自然である。一方、 下流部では巨石が用いられており、庭園的で不自然である。 ・寄石により空隙や浅場のある水際が形成されている。 ・寄石の背後が洗掘され、自然なワンドが形成されている箇所がある。 施工 ・河川工事実施前に、水生生物保護活動(水生生物の保護、生息種の確認など)が実施されて いる。 維持管理 ・河川改修により、可児川が市民にとってより身近になったことで、ゴミ拾いなどの維持管 理に市民が参加している。今後も、河川敷周辺をアダプト活動の場として継続していくこ とが望まれる。 ・河川内樹木の伐採要望があり、伐採を実施している。 その他 ・上流の水辺ゾーンでは、総合学習や憩いの場として活用されている。今後も、小中学生の 総合学習の学習の場として活用しながら、事後調査を進めていくことが望まれる。 ・下流の自然再生復元ゾーンでは、狭い区間で中州、寄州、タマリを復元している。もっと 広い範囲で考え、配置検討したほうが良いと思われる。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例は、認定制度以前の川づくりである。認定工法は、在来工法として認定されている木工沈床工、 石出し水制工が採用されている。

●本河川のポイント

・計画にあたり、「自然再生ゾーン」、「自然連携ゾーン」、「水遊びゾーン」のゾーニングが行われ、ゾー ンごとの目標に応じた川づくりが行われている。 ・概ね当初計画どおりの形状が現在も保たれており、現地河川が持つ河道特性・環境特性を活かした川 づくりが行われたと考えられる。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 中流の自然連携ゾーン。 写真―2 寄石の背後が洗掘され、自然なワンドが形成さ れている。 写真―3 魚巣ブロックと根固めブロックとの間に大きな隙 間がある。 写真―4 現地河床と同じ玉石を利用した寄石は、違和感 が無く自然である。 写真―5 下流の自然再生復元ゾーンでの、中州、寄州タ マリの再生。 写真―6 現地に無い角張った石による寄石は、違和感を 感じる。 市道架橋予定 河床勾配 河道幅 高水敷幅 1/260 59.9m R10.0m、L10.0m

T-2

(15)

T-3:瀬田川

公共広域(H11)

可茂土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・認定制度以前の事例で、植生の再生と、魚類の生息環境への配慮が川づくりの目標。 設計 【ポット型ブロックについて】 ・ポット型の植生ブロックが両岸に施工されている。南向き法面(右岸側)は、北向き法面 (左岸側)と比べて少ないものの、植生はみられる。 ・計画洪水時の平均流速が 5m/s 未満であることから、適用可能な他の工法についても充分比 較検討する余地があったのではと思われる。 【魚巣ブロックについて】 ・慣行水利が多く、潅漑期には水枯が発生(写真より)している。このような河川で魚巣ブ ロックによる魚類の生息環境を目的とした整備が必要か疑問である。 ・現地調査時(非潅漑期)では魚類が見られ、一部の魚巣ブロック内で効果を発揮している。 【河床へのフトンカゴについて】 ・土砂の堆積が上流より進み、河道の中央が陸地状態になり河積を阻害していると思われる。 ・河床全面へ敷設されていることから、水量が少ない時には伏流し、生物の移動を阻害して いる。また、魚巣ブロックも機能しなくなっている。 施工 ・寄石を千鳥に配置しているが、河床より高くなっており、流下能力に問題がある。寄石を しない区間の河床にも植生が繁茂していることから不要と思われる。治水上の影響につい て検討が必要。 維持管理 ・木本類の侵入も見受けられるが、河道断面が狭い河川においては、植生の繁茂に対する維 持管理が必要である。 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例に用いられたブロックは、水際部(植生)の自然共生工法に認定されている。護岸、河床にも 植生が繁茂しており効果が発現されている。

●本河川のポイント

・河床に変化をつけようとする場合、河積阻害とならないよう注意が必要である。土砂供給が多い又は 川幅の拡大や勾配の変化により、竣工後に土砂の堆積が想定される河川では、より一層の配慮が必要 とされる。 ・本河川のような小規模な河川では、土砂の堆積や植生の繁茂が及ぼす河積阻害の影響が大きくなるこ とから、注意が必要である。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 フトンカゴを河床全面に敷設した区間は、河道中 央部が土砂堆積により陸地化している。 写真―2 施工時に水際を固めて澪筋を固定した区間。 写真―3 河道中央部の陸地化が進んでいる。 写真―4 フトンカゴへの伏流により魚巣ブロックが水面か ら出ている。 写真―5 北向き護岸のポット内の植生。 写真―6 ポット内に木本類も生育している。 河床勾配 河道幅 1/180 9.3m

T-3

(16)

T-4:笠原川

都市景観(H10)、県単河川局改(15、17) 多治見土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 設計 都市景観整備事業区間 【連接ブロックについて】 ・連接ブロックを用いた植生環境の復元は、陸域、水際共に良好である。 県単河川局改区間 【間伐材を前面に使用したブロックについて】 ・間伐材により間詰め土砂の流出が防止されているため、間伐材の腐朽が安全性の低下につ ながる。従い、間詰め土が流出しても問題のない箇所(小段下)での使用や、間伐材の腐 朽状況により取り替えなどを行う必要がある。なお、施工後 2 年 9 ヶ月経過しているが間 伐材の腐朽は見あたらない。継続的な腐朽調査を行い、技術資料とする必要がある。 ・住宅地内の道路に隣接しており、土圧や上載荷重に対し、安定範囲の確認が必要。 ・間伐材が腐朽し剥がれているブロックが見受けられ、取り付け金具が突出している。階段 脇に採用されていることから、利用者がケガをしないように対策が必要である。 ・同年度に施工された隣接工区の大型練積ブロックよりも、陸域部における植生の被覆状態 が良好である。 【河床整備について】 ・施工直後の写真では平坦な河床であったが、現在の河床の堆積状況を見れば、土砂供給が 非常に多い河川であることがわかる。そのため、中州、寄州が発達し低水路が形成され水 際部には植生が見られた。 施工 維持管理 その他 ・住宅地内の道路に隣接して急勾配(5 分)の護岸が採用されており、転落防止が必要。

●自然共生工法の活用の観点から

・基礎から天端まで同一の工法が採用されている。住宅地内を流れる河川であることから、基礎部には 自然共生工法を採用し、安全性や視認性が求められる天端部には一般工法を採用するといった、部位 による使い分けを行うことがあってもよいと考えられる。

●本河川のポイント

・同一工区内に複数の工法が採用されている。継続的な観察を行い、各工法の長所・短所を比較すること により、技術資料とするとよい。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 都市景観整備事業区間。 写真―2 植生環境の復元は、陸域、水際共に良好であ る。 写真―3 県単河川局改区間(京橋下流側)。土砂が堆積 している様子。 写真―4 間伐材を前面に使用したブロックから植生が繁 茂している様子。 写真―5 県単河川局改区間(京橋上流側)。現地河床に は無い巨石が設置されており違和感がある。 写真―6 大型練積ブロックの空隙から、植生が生育して いる。 施工箇所 河床勾配 河道幅 高水敷幅 都市景観整備事業区間 1/150 40.0m R6.0m、L6.0m 県単河川局改区間 1/150 24.0m

T-4

(17)

T-5:土岐川

公共広域基幹(H11)

多治見土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 ・あらかじめゾーニングを行い、ゾーンごとに植生の復元や多様な水際の創出、親水空間の 創出、護岸の保全等の目標を明確にした川づくりが行われている。 設計 【ポーラスコンクリートを胴込めに使用した練石張護岸について】 ・練石張りの胴込めコンクリートに粒の粗いポーラスコンクリートが使用されている。植物 の生育が見られることから他の現場でも採用できる可能性があると思われる。 【玉石柳枝工について】 ・ヤナギ類が良好に生育しており、植生回復の目標を達成していると考えられる。 【水辺の楽校としての配慮について】 ・親水性も期待した緩勾配護岸では、植生が繁茂し水際へ近寄ることが容易でなくなった。 親水性の確保の点では、階段工の設置も考慮すべきであろう。 ・右岸流入支川を利用した細流では、魚類を多く確認でき、水辺の楽校の観察水路として機 能している。 施工 維持管理 ・右岸側は堆砂が進み、植生も密生化している。水辺の楽校の目的に合わせた維持管理が必 要。河積の確保も行う。 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例は認定制度以前の川づくりであるが、在来工法を積極的に活用し、良好な成果が得られている。 ・在来工法である石出し水制工により土砂が堆積し、自然な水際が形成されている。 ・在来工法である玉石柳枝工により、ヤナギ類が良好に生育している。発達しすぎている箇所も見受け られるので、適切な管理が必要と思われる。

●本河川のポイント

・計画にあたり、水辺の楽校プロジェクトにより、親水性や自然環境等に配慮したゾーニングが行われ、 ゾーンごとの川づくりの目標に応じた整備が行われている。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 石出し水制工群が澪筋に変化とリズムを与えて いる。 写真―2 胴込めに用いられた粒の粗いポーラスコンクリ ートから植生が生育している。 写真―3 玉石柳枝工によるヤナギ類の生育状況。 写真―4 玉石柳枝工によるヤナギ類の生育状況。 写真―5 水制や巨石、州や水際植生により自然度の高い 水際が形成されている。 写真―6 水辺観察や水遊びの場としてのせせらぎがつく られている。 河床勾配 河道幅 1/160 90.0m

T-5

(18)

T-6:庄ヶ洞川

県単通常砂防(H16)

多治見土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【アンカー式空石積工法の採用について】 ・渓流での空積護岸の使用は一般的に不適当であるが、本事例箇所は、湧水が多い環境であ ることから、空石積構造でありながらアンカーの効果で従来の練石積みと同等の強度が得 られるとされているアンカー式空石積工法を採用している。 設計 【切石を用いたアンカー式空石積工法】 ・切石を用いたことは、東濃地方の石積形式として自然な選択であり、違和感が少ない。 ・石の噛み合いが甘く、胴込材が見えており、出水時に胴込材が流出するおそれがある。 【帯工表面の景観処理について】 ・帯工のコンクリート表面に玉石が張られている。前後区間の切石と見た目が明らかに異な るために、帯工が浮き上がって見える結果となっている。 ・本事例は人が近寄らない場所であることから、付属工(横工、縦工、小口止めなどの)への 景観に関する配慮・工夫は、不必要ではないか。 【木柵工による低水路整備について】 ・木柵工により低水路を整備した区間があるが、低水路整備していない区間で自然な水路が できていることから、河幅が狭い河道で無理な低水路整備は不必要であると考えられる。 ・木柵工の杭と杭の間に隙間を設けることで、水際部に空隙を確保できたと考えられる。 【堤外坂路について】 ・川表側に逆坂路が設置されている。工作物設置基準、安全・安心の観点から疑問が残る。 施工 維持管理 ・低水路の両岸は、植生が繁茂し河床を一様に覆っており、植生の密度や高さに注意が必要 である。 その他

●自然共生工法の活用の観点から

・本工法(アンカー式空石積工)が認定されたのは水際部(空隙)のカテゴリである。水際部の空隙の 観点では、木柵により低水路が固定されているため、機能の発揮が難しい。自然共生工法活用事例と して報告されているが、認定カテゴリや工法の使い方として疑問である。 ・また、水際部(空隙)のカテゴリの認定を受けたのは玉石を用いた場合であって、切石をきちんと施 工した場合、空隙はほとんどなくなることから、やはり認定工法の活用事例とはいえない。 ・陸上部における両生類、爬虫類、陸上昆虫類などの生息場としての空隙や、護岸下から登はんする植 物の足掛かりとしては機能している。認定制度では、陸域部の空隙の効果は評価の観点には含まれて いないため、工夫として評価してもよいと考えられる。

●本河川のポイント

・空積みであれば植生が生えるという単純な図式ではなく、どのようにしたら何が生えるかといった観 点からの検討が必要。 視察日: 平成 18 年 12 月 4 日

●現地河川の状況

写真―1 低水路両岸における植生の繁茂状況。 写真―2 川表側に設置された逆坂路と、木柵により固定 された低水路。 写真―3 護岸下からの植物の登はん状況。 写真―4 胴込材が石の隙間から見えてしまっている。 写真―5 帯工表面の玉石による化粧と、両脇の切石。帯 工が浮き立って見える。 写真―6 帯工表面の玉石による化粧と、両脇のコンクリ ートブロック積。 河床勾配 河道幅 高水敷幅 1/50 6.0m R-、L1.0m

T-6

(19)

H-1:小木曽谷

お ぎ そ だ に

H11 災害関連(H11)

高山土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【災害復旧にあたっての河川特性の把握について】 ・急流で転石のある狭小断面の河川での工事で、河床低下と局所洗掘・堆積が発生しており、 適度な帯工を設置し、河床の安定を図る必要がある。現在は根入れにまだ余裕があるので 問題はないと思うが、一洪水で洗掘されるおそれもあり注意する必要がある。とくに、上 流からの土砂供給が砂防等によって減少する場合、今後注意が必要である。 【ホタルブロックの採用について】 ・かつてホタルが生息していたことからポット型ブロック(いわゆるホタルブロック)を採 用し、ホタルの生息環境に配慮したものであるが、現在はどうか、地域の対応はどうか、 将来の見込みや餌環境などをよく検討して計画を策定する必要がある。 設計 【転石の多い河川でのポット型ブロックの採用】 ・転石がみられる河川であり、工法の選定にあたって配慮が必要だったのでは。 【腰掛根継を採用する際に注意すべきこと】 ・本河川のように、河積に余裕のない河川で腰掛根継(ステップ式根継)を採用すると、次 出水時に狭い河床面に大きな掃流力が作用するほか、根継に沿って流速が大きくなるため、 大幅な河床低下を引き起こす。このような河川での根継ぎは形状、大きさなど十分注意が 必要。場合によっては帯工または床張ブロックなど検討すべきである。 【ポーラスに植生を期待することについて】 ・山間地の場合、霧等の発生により湿度が高いと考えられ、植生を最初から考えるのではな く、自然の再生メカニズムを期待してはどうか。ポーラス→苔→土→植物 【河積に余裕のない河川での寄せ石について】 ・寄せ石については、流出するため、帯工、群体化などを検討して使用する。このような断 面の狭小な河川では、設置しても、流出しても阻害となるため十分注意をする必要がある。 施工 維持管理 その他 ・出水時にはかなりの流速が想定される本河川でもツルヨシはよく繁茂している。

●自然共生工法の活用の観点から

・本事例では、練積み構造の前面にポット部を持つ認定工法を採用している。ポット部が破損しても背 面の練り構造部分により安定は保たれているが、やはり転石を考慮した工法選定が必要ではないか。

●本河川のポイント

・河積のない河川で腰掛根継を施工した際の河床低下が顕著にみられる。 ・上流からの土砂供給の少ない河川では、河床低下を念頭においた施工が必要。 視察日: 平成 18 年 11 月 16 日

●現地河川の状況

写真―1 谷間の水田を縫って流れる。復旧時の河床面以 下は間知ブロック、上は練構造ポット型ブロック。 写真―2 腰掛根継ぎにより復旧した区間。狭い河床をさら に狭める結果となり、河床が低下した。 写真―3 転石により破損したポット。練積構造部分で安定 は保たれているものの様々な問題がある。 写真―4 全体的に河床低下が進んでいる。斜路工の護 岸はポーラス間知ブロックが使われている。 写真―5 比較的良好な下流区間。水際にツルヨシが繁茂 したステップ&プールが形成されている。 写真―6 ツルヨシは走出枝の各節から根が出るため、千 切れても生育することが可能であり、水際に沿っ て拡大していく。 平成 13 年の状況 河床勾配 河道幅 1/30 8.3m

H-1

(20)

H-2:苔

す の り

広域基幹河川改修(H11)

高山土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【市街地内の河川であることへの配慮】 ・市街地内を流下する河川であり、植生を期待しすぎると住宅環境としては問題が発生する。 また、中途半端な植生は余計に美観を損ねる。割栗石を使用した落ち着いた意匠の景観ブ ロックの採用は違和感が無い。 設計 【斜路工周辺の処理について】 ・他事例にもいえることだが、斜路工下流端は、洗掘を受けても連続性が確保できるよう、 傾斜面が延長されていることが望ましい。 ・斜路工下流の洗掘は、自然河川でいうところの S 型淵であり、魚の生息場・逃げ場として の機能が期待できる。なお、構造物への影響を考え事前に深みを設置することが望ましい。 施工 【水際部に散策路にもなる州を施工】 ・州の固定を試みたようであるが、残念ながら出水により流失している。上流からの土砂供 給も少ないようで、自然に州がつくにはかなり時間を要するのではないか。 【州の固定方法について】 ・州の固定のため設置した擬木杭は河床から突出しており、断面阻害になっているのでは。 ・寄せ石も同様と考えるが、斜路工に元付け断面(寄せ石)が確保されていることから断面 として阻害になっていないと解釈すると、大きさを考え群体構造とすべき。 ・州が流れにくく、州が流失してもその後州がつきやすい(=回復が早い)という観点が加 味されれば、より長期間良好な状態が保持できると思われる。 維持管理 その他 ・カルガモが多数確認された。

●自然共生工法の活用の観点から

本事例は、認定制度以前の川づくりである。

●本河川のポイント

・市街地内を流れる河川であり、治水を優先しつつ、景観や親水性にも配慮した事例。 ・土砂供給が少ない河川では、一度土砂が流れてしまうと回復に時間がかかる。上流からの土砂供給の 多少によって川づくりの方針を変えていく柔軟性が求められる。 視察日: 平成 18 年 11 月 16 日

●現地河川の状況

写真―1 市街地を流れる苔川。H11 災後の改修で大幅に 流下能力を向上し、十分な効果を発揮している。 写真―2 割栗石が埋め込まれた練積間知ブロックが採用 されている。 写真―3 竣工時には法尻に沿って散策路にもなる州をつ けたが、H16 災害の出水で流失した。 写真―4 現在砂州がついているのは、護床ブロック等が あって土砂がたまりやすい箇所のみ。 写真―5 州の固定のために設置した擬木杭。河床から1 m近く突き出している。 写真―6 凝った斜路工が設置されているが下流が河床低 下してしまった。白線はかつて州があった位置。 平成 13 年の状況 河床勾配 河道幅 1/140 12.8m

H-2

(21)

H-3:川上川

H16 水系助成(H16~)

高山土木事務所

●川づくりの工夫

調査 計画 【河道の拡幅に合わせて護岸を緩勾配に】 ・周辺が田園地帯で北アルプスを遠望するロケーションを意識して、緩勾配護岸を採用して いる。周囲の環境に配慮した計画であり評価できる。 設計 施工 【現地発生土の内容により異なる植生が繁茂】 ・隣接工区でともに現地発生土による客土を行なったが、工区によって使用した現地発生土 の採取位置が異なった。上流側(写真左側)は元々の堤防の土に農地の土が混じったもの、 下流側は背後地の牧草用地の土が混じったものであった。牧草用地の土が混じった側は、 牧草用クローバーが繁茂し、窒素分が多い土壌を好むオオアレチノギクが繁茂している。 ・現地発生土の採取地の選定にも、十分注意する必要がある。 【河床形状の変化を期待した施工】 ・河床を整正しすぎないようにして、出水によって自然な蛇行が生じることを期待している。 また、法尻に寄石を施している。まだ竣工後あまり時間がたっていないこともあり、効果 は明確には把握できないため、今後に期待したい。 維持管理 その他 ・法尻付近には、一部にクサヨシが繁茂していた。クサヨシはツルヨシと比べてやや乾いた 環境でも生育がよく、流れに対してはツルヨシの方が耐性が高い。

●自然共生工法の活用の観点から

・陸域部、水際部(植生)のカテゴリで認定された工法は、現地発生土を客土することを前提とした工 法が多くみられる。現地発生土の使い方は、現場を日頃からよく知り、施工時に適切に使いこなすこ とがポイントとなる。

●本河川のポイント

・客土に使用した現地発生土の質によって、全くことなる様相の植生となった。ひとくちに「現地発生 土」といっても、どこの土をどのように使うかによって、結果が異なることを示す好例。 視察日: 平成 18 年 11 月 16 日

●現地河川の状況

写真―1 大型連結ブロック(2割勾配)に現地発生土を客 土投入。 写真―2 河床を整正しきらないで転石を残し、出水による 自然な澪筋の形成を期待している。 写真―3 点線を境に、植生の種類、生育状況が大きくこと なる。 写真―4 右側と左側で客土した現地発生土が異なる。右 側のオオアレチノギクは大きく生育している。 写真―5 右側はオオアレチノギクに混じって牧草用の改 良型ホワイトクローバーが繁茂している。 河床勾配 河道幅 1/82~1/150 23.9~52.0m

H-3

参照

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