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砂および砕石の熱拡散係数について

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(1)

69

砂および砕石の熱拡散係数について

武 政 剛 弘*, 深 田 三 夫**

On the Thermal Diffusivity of Sand and Crushed Stone by

Takehiro TAKEMASA

(Department of Civil Engineering)

Mitsuo FUKADA

(Department of Civil Engineering)

  The temperature in the soil near the ground surface is determined by the thermal characte・

ristics of soll and thermal flu琴between the soil and adjacent atrnosphere.

  Now, we consider the thermal diffusivityα, beeing one of the thermal characteristics.

  For examp】e, we consider the frost penetration problem in highway soils.

  If it were possible to decrease the thermal diffusivity from, say,α=・10.3×10−3(cm2/sec)to α==7.7×10−3(20%つ,then the frost penetration depth decreases approximately 13.0% as compared withα=:10.3×10−3.

  If diffusivity could be decreased fromα=7.7×1D−3 to 5.2×10−3(33男), the frost penetration depth would be decreased by an l mount of approxirnately 19%.

  Thus, the thermarproperty diffusivityα, seems to be various factors of economic impor−

tance in builting or repairing the road and the frost penetration in road.

  We calculate the thermal diffusivityαfrom the datas obtained by observing the temperatu・

res in sand and crushed stones in the holes beεing made artificially in the field.

1.まえがき

 地表面付近の温度は,地中の土壌の熱的特性および 表面における熱収支によって定まると考えられる.た 乏えば道路においては,路体材料,舗装材料などの熱 的特性が路体中の温度変化に大きく影響し,道路の施 工,および維持の点において路体中の温度を時間的,

場所的に予測することが重要な課題の一つにあげられ ている.特に寒冷地における路面の凍上問題に関して は,現在防止対策としては地下水位を下げるために盛 土を行なったり,また毛細管現象による水分の上昇を 防ぐために砕石を多く投入したりして施工上の技術的 な解決方法にたよっているのが現状のように思われる.

しかし上述のように路体の温度変化は,その物質の熱 的特性たとえば熱拡散係数α=K/cρ(K;熱伝導係数

C;熱容量,ρ;密度)に大きく左右される.今熱拡散 係数αの値をα=・10.3×10−3(cm2/sec)から2596減 じたαの値をもつ物質に置き換えると,凍結深さは13 96減少し,またα=7.7×10−3(cm2/sec)から33%減 じたαの値をもつ物質を考えると凍結深さは1926減少 することが理論的に予測される1).以上の事からもα について考えることは,施工面においても,経済面に おいても非常に有利な事柄のように思われる.そこで 筆者らは地中の温度変化を観測することにより,αの 値について検討を行ない路体中の温度の挙動に対する 基礎的資料を得ようとするものである.

皿.基礎理論

今地中の任意の点P(x,y, z)の所の時刻tにおけ る温度をT。Cとして,その点を中心にdx dy dzの

* 土木工学科

**=ヒ木工学科

(2)

70 長崎大学工学部研究報告第5号 昭和49年12月

長さを持つ微小直方体を考える.そこでその点を含む x軸に垂直な単位面積を単位時間にx方向に流れる熱 量は

   儀一一磁器(cal/・m・・sec) (・)

0

{一…器嘉(一K・・齢穿}融

(琵

κ     d」じ

  1 一ラ Ip●

 ノー一一  ノ /   1

{一眠一命・妾(一鴎齢劇4ゆ     Fig.1

(ここでK(cal/cm・sec・。C)は熱伝導係数を表わす)

で表現される.それゆえにx軸に垂直なdxだけ離れ た面積dy×dzの二面から単位時問に流入する熱量は,

   dい一舞(K・1要d・)d・d・ (2)

で表わされる.同様にして,y軸, z軸方向において

   dQ・一退「(k・寄d・)d・d・ (3)

   d伍「舞(K,∂Tdz   ∂z)d・d・ (4)

となる.結局単位時間内に微小直方体に流入する熱量

は,

   dQ一{姦(   ∂T:Kx   ∂X)+一真(K・署)+

    ÷(   ∂TKz   ∂Z)}d・d・d・ (5)

となる.この熱量は微小直方体の持っている熱量の単 位時間の変化に等しい.すなわち土の熱容量C(ca1/

gr。c),密度をρ(gr/cm3)とすると熱量の変化は次 の様に表わされる野

   ÷(・・ρ・T・dvd・・d・)  (6)

ゆえに

   ÷(・…T)一一舞(賑讐)+一舞     (   aTKy   ∂y)+÷(K・讐) (7)

となり一・般的な熱伝導方程式を得る.

 ここでは土はすべての方向に一様均質で土の有する 熱的特性も一定とする.すなわち。,ρ,Kを一定と

仮定し,半無限固体の領域を考えて熱流は一方向のx 方向に向うものとすると(7)式は次のように簡単に

なる.

   署一α雀      (8)

ここでα臨K/c・ρ(cm2/sec)である.次に(8)式 を解くにあたって,次のように境界条件を考える.ま ず地表面においては,熱源として太陽熱が考えられる けれど,実際はいろいろな熱的要素が加わっているが,

表面の温度をフーリエ級数で与えてみる,そして無限 の深さにおいては温度は表面における平均温度になる

と考えると境界条件などは次のような形で表わされる.

          x=O t>O T=Tm十ΣTk・sin        k=1

       (kωt十εkO)     (9)

   x>O t=・O T=Tm    x→DO    T=Tm

(9)の条件を考慮して十分時間が経過した後の(8)

の定常解は

       ノ     T(。.・)一Tm+翌T、e一・〆妥・si。

         k=1

    (k・・一・標+・)  (・・)

となる.

 今,実際の観測においては主要な熱源は,一日周期 による太陽熱と考えられる.そこで(10)式において,

一・ 鼾?フみに着目してk=1の場合を採用して以下の 理論を進めてゆく.すなわち

   T(。.,)一Tm+T、。一x/吾・si・(・・

    一x房+…)  (・・)

の式を使用する. (11)式を考えると温度は振巾を減 少しながら波動のように伝播していく.そこで伝播速 度v=dx/dtを求めると

   ・一一i搭一価一2〆απ/・(・m/h・)

       (12)

ここでP(hr)は温度変化の周期を表わす.波長は    λ=v・P識2}/α・π・p (cm)      (13)

である.すなわち一周期Pの間に温度変化のおよぶ深 さは,αとPが大きいほどαとPの乗績の平方根 に比例して大きくなっている.

 次に任意の深さxの所の温度の測定値を調和解析に かけ一日項のみを採ると

   T(x.b)=Tm十Rlx・sin(ωt十ε1x)、  (14)

(3)

砂および砕石の熱拡散係数について 71

となる.ここで理論式(11)と(14)式は同一でなく てはならない.ゆえに

   T、。一・/:嘉一Rμ  (・5)

   ・・rx傷一…   α6)

を得る.

(15)式より

   α一畿詳1。轟,),・一}(・7)

(16)式より

   α一((X1−X2)2ε1x1一ε1x2),・÷  (18)

(17)は任意の2点における温度振巾を知る事により αを決定する式であり, (18)は同様な2点間の位相 差を知る事によりαを決定する式である.

皿.測 定

 観測は長崎大学工学部構内北部の一日中陽の当って いる場所を選び,地中の横方向からの熱流の影響がな

いと考えられる広さ, すなわち半径80Cm,・1深さ50bm の穴を2個堀りそれに一方は砂,もう一方には粒径20

〜25mmの砕石を入れた.そして地表下0,「2,4,

6,8,10,12,15,18,20,25,30Cmの所に温度 検出端(サーミスター)を挿入埋設して自記させた。

また定期的に各層(0,5,10,26cm). の含水比も 測定した.なお観測は晴天が2〜3日続いた後の安定

した晴天を選んで行なった.

W.測定結果および解析

 八月と一月の地温の各層における一同変化はFig.

2,3に示されている.これによると 両者とも,日較差 は地表面において最大値を取り地中にいくに従って急 減し深さ20cm付近ではほとんど較差はなくなってい る.なお日較差が微小な深さ20cm付近においては夏 場と冬場では22。C以上の温度差が存在している.こ れは年変化によるものと考えられる.ちなみに(13)

式より一年周期の温度波長は一日周期のそれに比べて 19倍の値を示す事がわかる.   .

60

T(℃ )

 50

40

30

   /○

 /o  ①_①

。 @/てく

一64_。_e一

       deptll below surface       O   Ocm

/だ\ ̲   :昆:1

     ;.一心9        \●\

」=1三§三§三i≡§≡§≡§三§≡§≡1≡;;8zg≦

12      18      24       6

Fig.2 Diurnal Temperature Oscillotions in Sand in Aug.23〜24.1973.

Time

30 T(℃)

 20

10

0

       depth belQw Surface       O   Ocm       

    /○、\   ・…㎝

藁ζ:二=1=辱=:こ:=;=∴こ=:::=:二:こ:二

       \0\○一・一・一。、_。_。_。_。_。一・一

  12      18      24      6 Fig.3 Diurnal TemperattIre Oscillation i夏sand in Jan.25〜26.1974.

Time

(4)

72 長崎大学工学部研究報告第5号,昭和49年12月

 同時に各時刻における地中の温度分布をFig」4,5 に示してある.これを見ると各層における振巾は指数 関数的に減少していく事を読み取ることができる.次

.に測定値より』.(17),、(18)式を使用して熱拡散係i数の 醒の決定を考えてみる.この両式に使用しているRlx,

ε1重 は測定値を調和解析することによρ,それの一日 項の値を取ってあるので筆者らは測定値をすべて調和 解析にかける事により,一日項のみについての値を取 り出し,一月の砂および砕石の各層におけるIog。

Rlx,ε1。の値をTable 1,2に示してある.そして 当初の仮定により各層でαは一定値を取るとして理論 式を導びいたので,ここでも同様に一定値を取ると考

.えてTable 1,2の値をFig.6,7のようにグラフ にプロットして直線近似により,勾配を決定して(17),

(18)式よりαの値を求めた.以上のような方法で決 定した砂および砕石のαの値を.Table 3,4に示す.

V.解析結果および今後の課題 i)αについて

 Table 3,4より砂と砕石の両者の値を比較すると 砂の方が大ぎい値を取っている.この事は砕石におい ては。,ρの値は砂より小さいが,亭亭率が大きいた

)5 §

;10 箋

書15

20

30

。『θ}。一 u一一一一=7 40

\\\.

       

    w

50 T(℃)

      

  ゆ  〃

O e

9 0

Au9.

1011r冒 1411r.

1811r.

2211r.

2hr.

6hr伽

めに空気による影響を受けて熱伝導係数:Kが小さくな り,結果的にα=K/c・ρから砂より砕石の方が小さ くなっているように考えられる.次に.αの決定におい

Fig.4 Temperature profile in sand.

    0        10        20T(℃)

   黒穿繭ビ

      璽/i;il

Table 1

depth 109。R1∫ ε]∫

0.Ocm 2,579 1,239

2.0 2,438 1,050

4.0 2,334 0,953

6.0 2,037 0,657

8.0 1,879 0,449

10.0 1,506 0,170

12.0 1,397 一〇.011

15.0 1,077 一〇.338

18.0 0,840 一〇.587

20.0 0,493 一〇.882

25.0 一〇.062 一1.308

30.0 一〇.758 _1.680

Amplitude alld phase lag of first Ilarmonic for deplh of cruslled stone in Jall. 13. 1974.

Table 2

禽5 門 屋

該10 茎

至 15

20

Fig.5 Temperature profile in sand.

depth 1・9eR1∫ ε1∫

0.Ocm 2,551 0,323

1.8 2,165 0,035

4.0 2,102 一〇.086

5.5 1,757 一〇.261

7.4 1,587 一〇.452

9.6 1,369 一〇.682

12.0 1,198 一〇.823

15.0 0.902 一1.124

18.0 0,645 一1.377

20.0 0,411 一1。595

24.9 一〇.335 一1.816

29.3 一〇,442 一2.436

Arnplitude and pllase lag of first Ilarnlonic for depth

of sand in Jan. 25. 1974.

(5)

砂および砕石の熱拡散係数にづいて 73

て,振巾より求める方法と位相遅れから求める方法を 比較した場合に両者の値が比較的一致している場合は 問題はないが,多少の相違があればどちらが正確な値

一3.  一2   一一1 0 1

20

/ eO

○θ 5

10  9

   プ

1∵

 あ

一25

30

。7

2     3】09eRI∫

  〒

O cruslled stone

●salld

       deptll below surface (cm)

Fig.6 Value of loge Rユx of first harmonic     as a function of depth.

を示しているかは疑問である..しがし筆者らは値の変 動に着目.して同一物質において比較的変動の少ない位 相遅れか・らの決定が良いように思っている.なお東の 論文2)においても位相遅れよ.りの決定方法が良いとい

う結果を得ている.

ii)二層理論への拡張

 Fig.8からもわかるように地中の各層の含水比w を考えてみるに,深くなるに従ってwは.増加し.てい る が,20cmくらいの深さになるとwはほぼ一定値にな る.それゆえ同一物質でありながら含水比という点か

Tab]e 3

t

date amplitude Phase lag

1973.8.23 3.60×10一3 4.64×10『3 9.7 7.75×10−3 6.13×10−3

10.19 5.61×10−3 5.28×10{3 4.75×10−3 5.15×10−3 1974.1.24 3.09×10『3 4.80×10−3 1.25 3.64×10−3 3,79×10−3 mean value 4.75×10『3 4.97×10一3 Thermal diffus{vityα(cm2/sec)of sand, computed from ampuhtude, or phase lag Qf first harmonic.

一2 一1 0

V

   ん   /

/○

 e/

e/

./

/10

 卜  ○   ○

/ /

θ   ○

/ /

/ /   /

 ○

/ Q

/ 5

  1  2ε1,・(・ad}・・)

一一  ∠ u「〇一一一

 /○

/○

15

Table 4

20

25

30

OCrushed stolle

Osand

       deptll below surface (cm)

Fig.7 Phese lag(ε1x)oまfirst harmonic     for depth.

date amp1{tude Pllase lag

1974.1.12 3.12×10−3 3。30・×10−3 1.13 3.21×10}3 3.39×10−3 1.14 3.27×10一3 3.19×10−3 mean value 3.20×10−3 3.19×10一3 Thermal diffusivityα(cm2/sec)of crushed stolle,

computed from amp五tude, or phase lag of first llarπnonic.

10.0

§

; 勇

§

05.0

§

・碁

Σ

1.0

      0 0cm         d・Pd・be1・・W・・[・f・c・謡       9 20

      む      ノ

孝議題二瀬資藁矛

      /\

_喋が。コー9/○

(。,、3。陥1)1418222 61・(Ti・e)

Fig.8 Diurnal Moisture Content Oscil】ati・

    ons of Sand in Oct..30〜31.1973.

(6)

74 長崎大学工学部研究報告第5号 昭和49年12月

らもある一定の深さを境にして熱的には二層の様な状 況を呈しているように思われる.そして実際の道路に おいても材質的に多層の状態である,こういう点から も今後は一層理論を拡張し,多層材質の温度に対する 挙動の測定を行なう事によって,各層のαを決定しそ の状況における熱収支を考えて凍上の問題などの解決 を計らなければならない.

iii)今後の課題

 多層理論の完成には,地表近くの土壌の含水化の日 変化の正確な測定などが必要である.さらに地表面に おける熱収支を正確に把握することが,土壌内の熱的 挙動を明らかにする上に必要であり,それには地表付 近の温度,湿度,風速等の大気の測定も行なわなくて はならない.

男.謝 辞

 数々の有益な助言を戴いた本学の松原茂教授,およ び観測やデータの整理を手伝って戴いた本学の一の瀬 和雄技官,および松園秀雄君(現在道路公団),水田 富久君(現在道路公団)に感謝の意を表する.

顎.引用文献

1)ALFREDS R.JUMIKIS;The Frost Penetro・

 tion Prob五em IN HIGHWAY ENGINEERING 2)東修三;地中温度の観測から土壌の熱拡散率を  算定する方法に対する二,三の注意

3)鎌田新悦;璽地表面温度に関する研究、土木試験

 所報告(北海道開発局土木試験所)S.46.10

4)松園,水田;驚璽土の熱伝導、長崎大学工学部工学

 部土木工学科卒業研究報告論:文集(1974)

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