• 検索結果がありません。

1968蒸気表に対する検討 中

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1968蒸気表に対する検討 中"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1968蒸気表に対する検討

宏*

Investigation for the 1968 Steam Tables by

Hiroshi NAKASHIMA

 (Mechanical Engineering)

  The values of thermodynamic properties in the 1968 JSME Steam Tables were calculated in accordance with the Equations for Industrial Use(1967)adopted by the International Formulation Committee. This formulation was formed with the equations of four subregions in the superheated steam and the compressed water and equation for the saturation line.

  The investigation of the new steam tables was first carried out重。τthe isobaric specific heats of the superheated steam near the boundary between the subregions.\The research was pushed to the heats of vaporization with the relation of Clapeyron equation. It was found consequently that the inclination dp/dT of the saturation line was inconsistent with the value derived by the relati6n of Clapeyron equation, in the near parts of the critical point. Theやroperties of the critical point and its near regions are most uncertain in all properties of water. The studies of the author for the critical states are described in the final parts of the report.

 1.緒   言

 かつて機械学会蒸気表1950年版が発行された直後,

当時の九大山県教授1)がそれに対する注意を発表され た.それが動機となって,1955年の改訂版が作られた ものと思われる.その蒸気表が最近まで日本で使われ てきたのであるが,1968年の秋に新構想のもとに作ら れた  1968日本機械学会蒸気表 が発行された.

この新蒸気表は高温高圧部に大きく拡張され,温度 800℃まで圧力1000atまでの広い領域において,水お よび蒸気の熱的性質を表示している.各国の蒸気研究 の第一人者によって国際フォーミュレーション委員会 が構成されて,その委員会で採択された実用国際状態 式(1967)によって,この全領域の熱力学的性質の値 が求められたものである.すなわち現在国際的に通用 する標準的な蒸気表と言うことがでぎる.

 Fig.1において部分1と2の領域にはドイツで作製 された圧縮水と過熱蒸気の状態式を使い,部分3の臨 界域の状態式および飽和線5と6のp−t関係式は慶 応大学で作製されたものである.部分4の領域には1

と3を滑らかに連続させるため補助的に作られた式が 使われている.以上の事柄はドイツのVDI蒸気表

G968)においてもまったく同様である.このように

*機械工学科

P

aし

250 225 200 175 150 125

    l  l 3/

    i諺!撃/

  試11    2

も評  6

330 350 370 390 t。C

Fig.1 111ustration of su1)regions in the 1968     Steam Tables

して求められた表の値が全部1963年の国際骨組蒸気表 の公差内に納まっている以上,実用蒸気表としては問 題なく使用できるように思われる.しかし蒸気性質研 究者の立場から,新蒸気表の内容を少しく検討してみ た結果を報告することにする.記号などは蒸気表に使 われているものをそのまま使用することにする.

2.定圧比熱

蒸気表には次の注意書きがある.部分領域2と3お よび1と4の間の境界線上においては状態量の数値に

(8)

(2)

不連続があることを注意する必要がある.しかし,比 容積,比エンタルピおよび比自由エソタルピに対する 不連続量は国際フォーミュレーション委員会の第工回 会合で勧告された最大値以内になっている.しかるに 比エントロピの数値を5deg間隔に表示すると,部分 領域2と3の境界線上で不連続量が0.3J/kgKとなる 点が4個と0.4J/kgKとなる点が1個あるが,これ らの点における勧告された許容最大不連続量はQ.2J/

kgKである.比熱に対しては,部分領域1と4の間 の境界での不連続量は勧告された許容最大値1%を越 えていないが,部分領域2と3の間の境界でのそれは

一般に1%を越えており,その最大不連続量は6.5%

である.これらの不連続量の大きさは実用上は重要で はない.

 以上の蒸気表の注意書きは状態式から求めた計算値 についての事柄であって,実際に蒸気表に示された値 では部分領域の境界で適当な修正がなされているため に,不連続の特に目立つところは現われていないので ある.しかし念のため部分2と3の境界附近について,

比エンタルピhと比エントロピsの値から温度範囲

△T=T2−T1=10degにおける平均定圧比熱cpmの 値を求めてみた.この場合の適用式は次式である.

  Cp  1.3

kg deg

1。2

1.1

ユ000a亡

1       鴨・

Cp 1.6

1.4

400 450 500 550 600t℃ 1.2

700at   廻t無

1    +

、 1

400 450 500 550 t℃

Cp

1.4

1.3

1.2

900at

  ノロヘ

  ノ        

!! @       、 ノ       \

≧、

、、

 、

Cp

1.8

1.6

1.4

450 500 550 600t℃ 1.2 600at

遭+

 、\、

Cp 1,5

1.4

1.3

1.2

800at

祠」!

ノ子

十/

!十r   一JSME Tables

  一一一一VDI Tables

ドー一・c・m・t・q・(1)

   十  Sirota et al.

.L

Cp 2.2

2.0

1.8

1,6

1.4

400 450 50Q 550 600 t℃

1・も

400

500at

450 500 550t℃

50 400 450 500 t℃

Fig.2 Comparison of isobaric specific heats in the high temperature and high pressure region

(3)

  cpm=△h/△T=△s/1n T2/T1     (1)

この検討結果,cpmのエンタルピから求めた値とエ ントロピから求めた値とはよく一致しており,矛盾は まったく見当らなかった.しかしその値は高圧部にお いて不連続の影響をいくらか現わしており,その様相 をFig.2に示した.

 蒸気表には定圧比熱の表が別にあって,それについ て次の説明がある.cp値のみは実験値に近くなるよ うに計算値の一部に小さい修正が施してある.Fig.2 の実線はその修正された表の値を示したものであるが,

不連続部附近のほかは計算値を正直に示している.こ の日本の蒸気表に対しVDI蒸気表の値にはそれをさ らに変更している部分がある.蒸気の定圧比熱の値は Sirotaら2)が多年にわたり発表した800atまでの測 定値が現在一般に信頼されているが,Fig.2には比較 のためにその値を示しておいた.VDI蒸気表はその 測定値に準拠したようでもあり,またそうでないとこ ろもあることが図に現わされている.日本の蒸気表の 値には測定値と一致しない部分がいくらかあることが わかる.

3.蒸 発 熱

 蒸気表には次の解説がある.これらの表に示すs 一 s の値とr/Tのそれとの間には実用国際状態式

(1967)の飽和線上における自由エンタルピの不連続 量:(許容限界以内)に相当する微小な差違があるが,

それは実用上はなんらさしつかえない.この解説から 蒸発熱rについて次式による検討を行なってみた.

Table l Heats of vaporization kcallkg at ep.(2)

T(・ 一・・)AT(・〃一・・)盤

  r=・T(s Ls )=AT(v Lvノ)dp/dT    (2)

この第3項はClapepronの式である.蒸気表の値を 使って,300℃以上374℃までにつき(2)式の各項の 値を求めた結果をTable 1に示す.この中のdp/dT の値は飽和蒸気圧曲線のp−t関係式から求めた.

 この表によればrとT(s 一s )の値は非常によく 一致している.しかしClapeyron式から計算した値は 前二者と一致しない部分のあることがわかる.360℃

を境にしてそれ以下での一致性は大体良好であるが,

それ以上の温度では差違が目立つ.この違いで実用的 にさしつかえないであろうか.今後さらに検討を要す る点と思われる.

 以上の結果の原因を考えると,どうもその部分にお けるdp/dTの値が小さ過ぎるためではないかと考え

られる.従来の蒸気表と比較してみると,飽和蒸気圧 曲線の値は臨界点近傍で飽和圧力が下がって,臨界温 度は374.15℃と変っていないのに,臨界圧力が225.65 atから225.56atに下がっていることに気がつく.こ れでは臨界点近傍でdp/dTの値が小さくなるのが当

然である.

4.飽和蒸気圧曲線の傾斜

tOC r

374 26.15 26,151 25,231

373 65.33 65,332 63,577

372 83.93 83,921 82,060

371 97.3G 97,299 95,488

370 108.09 108,081 106,389

365 145.70 145,683 144,786

360 172.27 172,248 171,926

355 194.36 194,337 194,154

350 213.94 213,971 213,323

340 246.18 246,198 245,278

330 273.15 273,167 273,172

320 296.42 296,421 295,901

310 317.10 317,088 316,626

300 335.81 335,797 335,400

 蒸発熱の検討から,飽和蒸気圧曲線のdp/dTの値 が気になり出したので,その検討をしてみた.蒸気表 の飽和圧力の表示式は現在まで数多く発表されている が,そのうちでOsborneら3)の式が従来最も信頼さ れていて,その値が1934年の国際骨組表の標準値とな り,また1963年の国際骨組表でも臨界点の値以外はそ のまま採用されている.すなわちらOsborneは臨界 点としてtc=374.15。C, pc=225.65at・=221.29bar としているのに対して,1963骨組表では374℃までは Osberneらの値をそのまま標準値として採用している が,臨界圧力だけを22L2barに改めている.この臨 界点の値の変更によって1968蒸気表では,新しく作 製された谷下一長島4)の式が採用されたものと思われ る.その両方の式から求めだdp/dTの値を臨界点近 傍においてFig。3に実線で示している.

 飽和蒸気圧曲線の傾斜はまた,水の蒸発による比容 積の増加量と蒸発熱がわかれば,(2)式のCIapeyron 式によっても求められる.1934年と1963年の国際骨組 表および1968蒸気表の値がら(2)式によって求めた dp/dTの値を臨界点近傍についてFig.3の破線で表 わしている.Osborneらの式の優秀な点はこのFig.3 における実線と破線の一致性のよいことである.それ に対し谷下一長島の式と1968蒸気表ではその値が大き く相違している.1968蒸気表の飽和圧力に対しては谷 下一長島式が採用されているので,その両老は当然一

(10)

(4)

dt

2.70

deg

2.65

2.60

2.55◎一

o

一。一

v轟臨ρ

一一一Z一一一   1968Tables   /

      /

      /

一十一

一一一・¥一一一 一一一mコー一一

Osbonle et al.

1934Tables 1962Tables 2.50L____L__一L一一一」一一一一一一一一一

2.66bar/deg程度とされているので,蒸気表では飽和 蒸気側で小に過ぎ,過熱蒸気側で大になり過ぎて,両 者の違いが大きくなったわけである.慶応大学で飽和 線めp−t関係式と臨界領域の状態式を作製するとき に,この点に留意されなかった結果:と思われる.

 370    371    372    373    374 t。C Fig.3 111clination dp/dT of the saturation    line near the critical point

致すべきものであるにかかわらず,図に示されたよう に相違の大きいことは矛盾といえるものである.なお Fig.3において1963骨組表の曲線が平滑になっていな いことは,そこに定められた状態量について整理がよ

く行なわれていない結果と考えられる.

 ここで飽和蒸気と過熱蒸気の臨界点における連続性 を検討してみる.過熱蒸気の臨界点における憎憎線の 傾斜は,飽和蒸気圧曲線の臨界点における傾斜と等し

く,次式の関係があることはよく知られている.

  (dP/dT)c=〔(∂P/∂T)v〕c        (3)

蒸気表ではこの式の左辺の値が2.6340で,右辺の値 が2.6920bar/degとなっていて,(3)式がよく満足 されているとはいえない.水蒸気についてこの値は

5.臨界比容積

 臨界点に対する1968蒸気表の値は,温度も圧力も比 容積も1963国際骨組表の標準値をそのまま採用してい るのである.その両方の表における臨界点近傍の飽和 点の比容積の値がTable 2に示されている.それを p−v線図に表わしたのがFig.4である. Table2に おいて隣り合せの飽和点における比容積の階差△v1と

△v を示しているが,374℃まで同じ温度間において は必ず△v が△v より大きくなっているが,それが 臨界点の両側だけ逆転して,』v の方が△v より大 きくなっている.この点が筆者の納得できないところ である.p−v線図の臨界等温線は臨界点が変曲点に なっているが,その両側における曲線の曲率はFig.4

P at 228

224

220

216

375む

lH

3々

   Steam Tables

:≒=‡  Tolerance・、

3々

3々

 2.0       3.0       4.O    crn3 5.01ノ

       一ぎ Fig.4 p−v diagram near the critical point Table 2 Specific volumes of saturated states near the critical point unit;cm3/g

t。C

374.15 374 373 372 371 370

1963Skeleton Tebles

Vノ ∠V! V 4V

3.17

2.80 2.51 2.38 2.29 2.22

0.37 0.29 0.13 0.09 0.07

3.17 3.47 4.05 4.40 4.68 4.93

0.30 0,58 0.35 0.28 0.25

1968Steam Tables

Vノ ∠v! V ∠v

3.1700 2.8427 2.4963 2.3636 2.2778 2.2136

0,3273 0,3464 0.1327 0,0858 0,0642

3.1700 3.4659 4.0840 4.4389 4.7233 4.9727

0.2959 0.6181 0.3549 0.2844 0.2494

(5)

t℃

375

370

365

360

X

一一ゥ一 P968Tables x  1963Tables

0.32   _旦 0.33     cm 3

ず年捺

3.135cm3/gにすれば無理のない形になるのである.

 筆者が以上のように考えた理由は,蒸気の性質のう ちで臨界状態が最もわかりにくく,そこから少しく離 れた点は比較的に確実な値がえられやすく,その確実 な周囲から臨界点を無理なく決定するのがよいと考え るからである.その意味で臨界圧力や温度も,雑な値 の標準値をそのまま蒸気表に採用しない方がよいと考 えるのである.

6.結

0.31

2

Fig.5 Values of(〆+γ )/2 near the critical point の等温線をみてもわかるように,圧縮水側が過熱蒸気 側より小さくなっていることが明らかである.このこ とから臨界比容積値は374℃における飽和水と飽和蒸 気の比容積の平均値より小さいものと考える.数値と していえば下記のようにとるべきものと考えるのであ

る.

  vc<(2.80十3.47)/2=3.135cm3/g

 次に臨界点近傍において飽和点の比重量の平均値

(γ +γ )/2をとり,温度に対する図を画いてみると Fig.5になる.そこに画かれた線が大体直線状になっ ているというのがCailletet−Mathiasの法則であるが,

その理論的根拠はないように思われる.しかしその線 が臨界点のごく近くで急に折れ曲がることも,臨界比 容積の値がよくない結果であって,その値をv・<

 1968蒸気表は温度においても圧力においても非常に 広い領域で,水および蒸気の性質を示した優秀な蒸気 表ではあるが,以上の検討でもわかったように,いく らかの欠点をも含んでいる.そのうちで最も重要なも のは,臨界点の近くでClapeyron式から求めた蒸発 熱が,表に示されている蒸発熱の値と差違のあること で,その結果として飽和線のdp/dTの値に矛盾を生 じることである.また定圧比熱は蒸気の熱的諸1生質の うちで非常に重要な基本的要素であるため,その値が 正しいことを前提とした蒸気表であることが望まれる.

臨界状態に対しては多くの研究者がいろいろな考えを もっているが,ここでは筆者の考えを示した.この研 究は1969年10月に機械学会九州支部宮崎地方講演会で 発表したもので,終りにこの研究に協力された楠本良 孝君に謝意を表する.

引 用 文献

1)山県;機械学会臨時大会前刷,p.1,(昭25).

2)Sirota,A.M.,and B.K:. Malzev;Teploenergetika.

 Vo1.7 No.10, p.67,(1960).

 Sirota, A.M.,B.K.Malzev, and A.Y, Grishkoff  ;Teploenergetika, Vo1.10, No.9, p。57,(1963).

3)Osborne, N.S..H. F.Stimson, and D.G. Gin皿ings  ;J.Res. NBS, Vo1.23, p.261,(1937).

4)谷下,長島;機械学会論文集,Vo1.34, No.259. p.517,

 (1968).

(12)

参照

関連したドキュメント

★従来は有機溶剤中毒予防規則により作業環 境へ溶剤蒸気を漏らさず、外気への排出を主に

原子炉等の重要機器を 覆っている原子炉格納容 器内に蒸気が漏れ、圧力 が上昇した際に蒸気を 外部に放出し圧力を 下げる設備の設置

地球温暖化とは,人類の活動によってGHGが大気

大気 タービン軸 主蒸気

大気 タービン軸 主蒸気

格納容器圧力は、 RCIC の排気蒸気が S/C に流入するのに伴い上昇するが、仮 定したトーラス室に浸水した海水による除熱の影響で、計測値と同様に地震発

SRM/IRM及びTIPのドライチューブが 破損すると、原子炉内の気相部の蒸気が

大気中の気温の鉛直方向の変化を見ると、通常は地表面から上空に行くに従って気温