「我慢する」及びそのアスペクト形式の意味
The Meaning of. Garnansurut'restrain' and Its Aspectual Form
久 島 茂 Shigeru KusHIMA
(平
成 9年
10月6日 受理
)Abstract
Gし
2zαπ筋% means to restrain one's discomfort or dissatisfaction with the present condition.The problern we are facing is that̀̀the present condition"has two opposite meanings:(1)SOmething like pain or maliciousness the presence of which causes discom…
fort or dissatisfaction。 (2)something like a1lowance the absence of which causes discom‐
fort or dissatisfaction. It is curious that such a meaning as absence" occurs. In my understanding,the meaning̀̀discomfort or dissatisfaction" of gα παπ
sπη have changed
presence"intò̀absence,"because a1lowance is of no relevance to discomfort or dissatis‐
faction. This type of semantic change also occurs in 力θ % % ̀be trOubled' and %月 初ι
%̀complain/appeal.'
Then l analyzed its aspectual form.(物 滋 察協η has a negat市 e mOaning,that is, restraining one's emotion,so gz
%′%sグルグ %̀be restraining'is close to sttα グ グι グ 7.̀be nOt‐
doing=keep from doing。 'On the other hand,多
鶴 鶴 ι滋 総aグ̀be nOt restrainl昭 'iS CloSe nOt
to sグJング
%αグ ̀be not doing'but to sι
%αう αι
(物り ι リグ
%αグ ̀be not nOt‐ doing=take aCtiOn.'
Thus, 0%%協 協 and its aspectual forrn have characteristic features of meaning。
1.初 め に
ガマ ンスルは、く現状 に対す る不快・不満 な気持 ちを抑 え付 ける〉とい う意味 を持 っているが、
この く現状〉の意味 は多様である。先ず、 この点 を検討する。次 に、ガマンスルは 〈気持ちの 抑圧〉 という意味要素 を含み、 これは否定の意味 とつなが る。そこで、ガマンシテイルは一般 の動詞のシナイデイル形式 と、ガマ ンシテイナイは一般の動詞のシナイデ (ハ )イ ナイ形式 と 意味が類似するとい うことが起 こる。 このようなアスペ ク ト形式の意味の問題 も論ずる。
2.ガ マンスルの統合型
ガマ ンスルの統合型 には、次の 2種 類がある。
「〜 をガマンスル」 「 (〜 を )〜 でガマ ンスル」
ただ し、「〜 をガマ ンスル」の意味 は、 目的語 となる語 (節 )の 影響で多様 に変化するので、
目的語 となる語 (節 )の 意味 を abcdに 分 けて取 り上 げる。 (注 1)
2.1。 「[a・ b]を ガマンスル」の意味分析 石山伸朗 [1987]は 、ガマンスルの意味 について、
く 文体 :日 常語〉〈 人間が〉く自己の内部 に発す る力や 自己をとりま く状況か ら来 る不快 さ を〉〈 仕方のない もの として〉〈 外 に表すのを〉〈 抑 える〉
の ように分析 している。例文 を見 よう。
「苦痛 をガマンスル」
「部下の失敗 をガマンスル」
石山によれば、概略、前者 は 〈自己の内部 に発す る力 を抑 える〉、後者 は 〈自己をとりま く状 況か ら来 る不快 さを抑 える〉の意味 となろう。 このように意味が異なっているので、石山は〈自 己の内部 に発する力〉 と く自己をとりまく状況か ら来 る不快 さ〉の 2つ の意味要素 を立てたわ
けである。
この「〜 をガマ ンスル」の統合型 に入 る名詞 (後 述するように、名詞節 もこの位置 に立ち得 る。 )の 意味の種類 として、本稿では、先ず、 a〈 不快・不満〉その もの と b〈 不快・不満 を生 じさせ る刺激〉の 2種 を立てたい。主体 と直接的な関わ りがある「苦痛」や「空腹」 は前者で あ り、直接的な関わ りがない「部下の失敗」や「意地悪」や「注射」は後者である。前者 を く自 己の内部 に発する力〉 とす ると、意味が広が りす ぎるので、本稿では 〈不快 0不 満〉 と限定 し たわけである。 また、後者の意味の語 として、 「 とげ」「瘤」等 は不十分であって、主体 の身 に 及んでいるとい う意味要素が必要である。そこで、「 とげが刺 さっている」「瘤ができている」
等の適切 な文脈があれば、「 とげ (瘤 )を ガマ ンスル」 と言 えるようになる。「部下の失敗」 も く 部下の〉とい う意味が加わっているので、 (上 司である )主 体の身 に及んでいるとい う意味が 生 じているわけである。
「〜 を」の位置 に節が来 る場合 にも、「部下の失敗で腹立た しいのをガマ ンスル」のようにa
〈 不快・不満〉その ものの意味、「部下が失敗 したのをガマンスル」のように b〈 不快・不満 を
生 じさせ る刺激〉の意味の両方がある。
ここで、 a〈 不快・ 不満〉 とい う意味の特徴 を更 に明確 にす るために、石山の意味要素 く自 己の内部 に発する力〉について検討 を加 えたい。石山はこの意味要素 を、次のように、「 こらえ
る」の中にも認 めている。
〈 文体 :や や文章語〉く 人間が〉〈 短い時間〉〈自己の内部 に発す る力 を〉〈強 く〉〈抑 える〉
確かに、「苦痛」については、ガマ ンスル とも「 こらえ る」とも言 うことが出来、従 って、石 山の分析では、 「く自己の内部 に発する力 を〉く 抑 える〉」点が両語 に共通 しているのであろう。
しか し、
「怒 り・ 悲 しみ・ 吐 き気 0衝 動」等
については「 こらえる」 とは言 えて も、ガマンスル とは言 えない ということがある。
これ らも 〈不快・不満〉の意味 に近いので、「苦痛・頭痛・空腹・ 眠気」等 との違いを明確 に してお く必要がある。共 に自己の内部 に生 じるものではあるが、「苦痛」類 は体の外へ出るもの ではない。 ところが、「怒 り」類 は「 こみ上 げる」と言えるので、それ自身の力によって体の内 部か ら外へ出て来 るもの と捉 えられている。 このような くこみ上 げて来 るもの〉 についてはガ マンスル とは言えないのだ と考 えられる。一方、「 こらえる」は「苦痛」類 にも「怒 り」類 にも 言 うことがで きる。
ところで、「苦痛」類 も「怒 り」類 も く実現〉に関 して、 (ガ マ ンスル・「 こらえる」行為の時
点で )体 の内部で く実現 している〉 ものであるが、 これらと別に、体か ら外部へ出ないと く実 現 した〉 とは言えない動作的な「涙・笑い 。鳴咽」等がある。 この「涙」類 も、やはり、「こみ 上げる」と言えるものであるためにガマンスル とは言えない
(「こらえる」とは言 える )わ けで ある。 これに対 して、く 実現〉に関して「涙」類 と同性質の「咳・あくび」は一― ここでは、他 人の「咳・あ くび」でな く主体 自身が出す ものを問題 としている一―ガマンスル と言える
(「こ
らえる」とも言える
)。これはなぜか というと、「咳」類 はそれ自身が体の内部から外へ「出る」
が、「こみ上げる」わけではな く、それ自身の力によって出るものとは (言 語的に )捉 えられて いないためであろう。このように、それ自体が外部に出るかどうかよりも、それ自身の力によっ て出るか どうかの方が重要である。 (注 2)(な お、 この「咳」類は く実現〉に関して「苦痛」
類 と異なっているので、後の「旅行」類 と同じく dの 意味 として扱 う。
)以上のように、ガマンスル と「 こらえる」の (石 山による )意 味要素 く自己の内部に発する 力〉を表 している語 (節 )を 、
И
「怒 り J類
に
)「苦痛」類 (本 稿の aく 不快・不満〉
).171「 涙」類
l■l「
咳」類 (後 述の dく 快感・ 満足を生 じさせる刺激〉
)に分けた時、 0と 171が 〈自己の内部にあって、それ自身の力によって体の外へ出て来るもの〉
であり、
1/f)とlllが く自己の内部にあって、それ自身の力によっては体の外へ出て来ないもの〉
である。ガマンスルは後者のみ対象 とすることが出来、「こらえる」は両者 を対象 と出来るわけ である。
なお、ガマンスル も「こらえる」 も く 抑 える〉 ことによって心理的な負担が生じるが、ガマ ンスルには く 不快・不満な気持ち〉があるのに対 して、 「こらえる」にはこの意味要素が関与 し ない (例 えば、「笑いをこらえる」には 〈 不快・不満な気持ち〉がないであろう。 )点 が異なっ ていると考 えられる。ガマンスノ ンの く 不快・不満な気持ち〉は、具体的には、 「苦痛」の場合は
〈 泣 く、治療を受ける〉等、「部下の失敗」の場合は 〈 叱る、左遷する、首にする〉等の行動に つなが りうるものである。
まとめると、「 [a・ b]を ガマンスル」の意味は、く 現状 に対する不快・不満な気持ちを抑え 付 ける〉 となろうど この く 現状〉は、前述の く 主体の身に及んでいる〉 という意味要素を含ん だものである。「〜を」の位置に入る aは く 不快・不満〉そのもの、 bは く 不快・不満を生 じさ せる刺激〉である。「〜を」の位置に、「苦痛」でな く「泣 きたいの」、 「部下の失敗」でな く「叱 りたいの」のように、く 欲求〉そのものを表す節 (語 )が 来 ることもできるが、 これは次の Cの 意味 と考 える。
2.2.「
EC・ d]を ガマンスル」の意味分析
「〜を」の位置に入る節 (語 )と して、
「小遣いを貰いたいのをガマンスル」
のような、 Cく 欲求〉そのものを表す ものを取 り上げよう。
Cく 欲求〉 と aく 不快・不満〉 とは意味が異なるが、実はかなり類似 した ものと考 えられる。
というのは、く 不快・不満〉が (ガ マンスル行為の時点で )現 実に起 こっている事に対する感覚・
思いであるのに対 して、く 欲求〉は現実 となっていない事に対する実現の思いである。それでは、
く 欲求〉の意味の現実的な側面は何か というと、 まだ手に入れていない、不満な状態にあると
いうことである。 このように、〈欲求〉の意味の中には、〈不満〉の意味が潜在 していると考え られ るわけである。
「 [C]を ガマ ンスル」の意味 は、ガマンスルの く現状 に対する不快・不満な気持ち〉 という 意味要素が く 欲求〉の意味の影響で 〈したい気持ち〉 とな り、全体 としては 〈したい気持ちを 抑 え付 ける〉 となるわけである。
「〜 をガマ ンスル」の統合型 に入 る語 (節 )に は、更 に、
「小遣い 。お年玉・ ボーナス」等
がある。 これ らは「小遣い (お 年玉 0ボ ーナス )を 貰いたいの」 と似ているが、「貰いたい」が 無いので、く 欲求〉の意味 とす ることが出来ない。
(「貰いたい」があるの と無いの とでは、意味 の解釈が非常 に異なって来 ることに注意 されたい。
)これ らは、石山の言 う、「苦痛」等の く自己の内部 に発する力〉で もな く、 また、「部下の失 敗」等の く自己 をとりまく状況か ら来 る不快 さ〉 とも簡単 には言いに くい ものである。 (注 3) 本稿では、 これ らの意味 を、 b〈 不快・ 不満 を生 じさせ る刺激〉 と対立 させて、 d〈 快感・ 満
足 を生 じさせ る刺激〉 と考 えたい。
この「 [d]を ガマンスル」の意味 はどのように考えるべ きだろうか。「 [b]を ガマンスル」
の意味 は 〈現状 に対する不快・ 不満な気持ちを抑 え付 ける〉であったが、 これ と関連 させ るこ とが出来 るだろうか。 b〈 不快・不満 を生 じさせ る刺激〉 と d〈 快感・満足 を生 じさせ る刺激〉
とは反対の関係 にあるので、難 しさがあるわけである。
この、反対関係 にある意味の問題 は、次のように考 えることによって、統一的な理解が可能 となるので はないだろうか。
ガマンスル行為の時点で考 えて、「意地悪」のような 〈不快・不満 を生 じさせる刺激〉 は現実 に存在 してお り、従 って、く現状 に対する不快・不満な気持ち〉となっているわけであるが、く快 感・ 満足 を生 じさせ る刺激〉 も、 まだ存在 していない ということであれば、その時点では不満 な状態 にあることになる。つまり、く快感 。 満足 を生 じさせ る刺激〉である「小遣い」 も、未だ ない (欠 如 )と い う条件が加われば、〈不快・不満 を生 じさせ る刺激〉 と極 めて近い意味 となる わけである。
では、「小遣いをガマンスル」の場合 に く快感・満足 を生 じさせ る刺激の欠如〉 という意味 は どのようにして生 じうるのだろうか。実 は、 この 〈欠如〉の意味が文脈の影響で加わる例 は、
外 にも認 め られ る。
「困 る」は「長雨で困る」 とも「金で困る」 とも言えるが、前者 は 〈長雨 となっていること〉
が「困 る」原因であるのに対 して、後者 は 〈金が無い こと〉が原因である (後 者 は 〈 金銭の ト ラブル〉とも解釈で きるが、く金が無いこと〉の方が よリー般的な解釈であろう
)。「金」につい ては 〈あること〉でな く く無い こと〉と解釈 されるのは、「困る」が持 っている 〈不都合なこと に対 して〉 という意味要素の影響であると考 えられる。「金」を く不都合なこと〉と捉 えるため には、〈存在〉でな く く欠如〉 と解釈する必要がある。
「訴 える」 について も、「苦痛 を訴 える」 と「平和 を訴 える」 を比べると、く苦痛があること を相手 に理解 させ ようとする〉 とい う前者の意味 に対 して、後者 は 〈平和の必要性 を相手 に理 解 させ ようとする〉となる。 ここには、「訴 える」の く不都合なこと、解決すべきこと〉という 意味要素が関わっているであろう。「苦痛」の場合 には現実 に存在することが く不都合〉であ り、
「平和」の場合 には存在 していない ことが く不都合〉ということになる。そこで、「平和」につ
いては く無い〉
(ここか ら更 に く必要性〉 )と い う意味が生 じるのだ と考 えられ る。
このように、〈存在〉と 〈欠如〉とは意味が反対であるが、文脈の影響で変わ りうるものであ る。「小遣 い」 について も、ガマンスルの 〈 不快・ 不満〉 とい う意味要素の影響で、く 快感・ 満 足 を生 じさせ る刺激の欠如〉の意味が生 じる一―「小遣い」を く 不満の対象〉と解釈するために
は、く 存在〉でな く く 欠如〉 とす る必要がある―― と考 えられ るわけである。
「小遣 いをガマンスル」の意味 は、く 小遣いを貰 うことがで きる立場 にあ りなが ら、それが実 現 しない とい う現状 に対す る不満な気持 ちを抑 え付 ける〉となろう。く 実現可能 な立場 にあ りな が ら〉とい う前提的な意味が加わっているのは、く実現 しない現状〉が確かに く現状〉として意 識 されて、く 不満な気持 ち〉が生 じるためには、単 に くまだ実現 しない〉とい うだけでな く、そ の可能性が十分 ある、つ まり主体がその実現 と深 く関わつているという現実感が必要 となるの だ と考 えられ る。なお、「小遣いを貰いたいの (を ガマンスル
)」のように Cく 欲求〉が言語化
されている場合 には、〈 小遣いを貰 うことがで きる立場 にある〉とい う前提 は不要 となるであろ う。 これは、く 欲求〉の意味が強 く現れ ると、〈どのような立場 にあるか〉 とい うことは関与 し な くなるのだ と考 えられ る。
ここで、「〜 をガマンスル」 と言 う時の 〈快感・ 満足 を生 じさせ る刺激〉 (例 えば「小遣い」
)に対す る 〈不満〉の内容 と、「〜が欲 しい」 と言 う時 に見 られる、対象への く 欲求〉の内容が、
意味的につなが ることを指摘 してお きたい。例 えば、
「小遣いをガマ ンスル」
の場合、 その く不満〉は 〈小遣いを貰わない〉 ということであるが、「小遣いが欲 しい」と言 う 時の く 欲求〉の内容 も、く 小遣いを貰いたい〉の意味 に限定 されている。「小遣 い」については、
く 使 いたい〉くためたい〉くや りたい〉等様々の欲求があ り得 る中で、く 貰いたい〉に限定 される のである。
「家 をガマ ンスル」
について も、その く不満〉は く家 を持たない〉ことであるが、「家が欲 しい」と言 う時の く 欲求〉
の内容 も、〈持 ちたい〉〈買いたい〉〈売 りたい〉く借 りたい〉く 建てたい〉〈 直 したい〉等の様々 の欲求があ り得 る中で、〈持 ちたい〉
(く買いたい〉〈 建 てたい〉の意味 も付随的に含 まれ る )に
意味が限定 され る。
「子供 をガマ ンスル」
について も、その く不満〉は 〈子供 を持たない〉ことであるが、「子供が欲 しい」と言 う時の く欲 求〉の内容 も、く 持 ちたい〉〈 生みたい〉く 育てたい〉くほめたい〉等の様々の欲求があ り得 る中 で、く持ちたい〉
(〈生みたい〉の意味 も付随的に含 まれる )の 意味 に限定 され る。
「酒 をガマンスル」
について も、その く不満〉は く酒 を飲 まない〉ことであるが、「酒が欲 しい」と言 う時の く 欲求〉
の内容 も、く 飲 みたい〉く 買いたい〉〈 作 りたい〉くプレゼン トしたい〉く断ちたい〉 等の様々の欲 求があ り得 る申で、く 飲 みたい〉
(く買いたい〉の意味 も付随的に含 まれる )に 意味が限定 されて いる。
このようにガマ ンスルの く不満〉の内容 と「欲 しい」の く欲求〉の内容 は、く貰わない一二貰
いたい〉〈 持たない一一持 ちたい〉〈 飲 まない一一飲 みたい〉 とい う対応関係 にある。 このよう
な ことが起 こるのは、〈 不満〉や く 欲求〉の種類 には典型性があって、く 存在〉 に関係 した内容
が最 も典型的 とい うことであろう。〈存在〉は
(「小遣 い」「家」「子供」の場合の)〈所有〉や
(「酒」
の場合の)〈摂取〉 と密接 につなが るわけである。 (注 4) 更 に、
「旅行 (進 学 )を ガマンスル」
の「旅行・進学」 も、く快感・満足 を生 じさせ る刺激〉 と考 えられる。 この場合の く不満〉の内 容 は、く 〜 しない (旅 行 しない、進学 しない
)〉ことである。「 ゴルフ・パチンコ」や「咳 。あ く び」等 もこれに準ず るであろう。 「 咳 0あ くび」 は く 快感・満足 を生 じさせ る刺激〉 と言いに く い感 じがす るが、それをしないことによって く不快〉が生 じる点で、「旅行」等 と共通 している であろう。ただ、「結婚・就職 Jと いうことになると、必ず しも出来 るとは限 らない
(と考 えら れる )の で、適当な文脈 を与 えない と「〜 をガマ ンスル」 とは言いに くい。
この時の意味 は、く旅行や進学す ることがで きる立場 にある〉 という前提で、くそれが実現 し ない とい う現状 に対する不満 な気持ちを抑 え付 ける〉 となる。
「小遣いを貰 うのをガマンスル」
も同類であって、く 小遣いを貰わない〉 ことが く 不満〉の内容である。
以上か ら、「 [C]を ガマンスル」の意味 は、くしたい気持 ちを抑 え付 ける〉となる。 Cは 〈 欲 求〉その ものである。
「 [d]を ガマ ンスル Jの 意味 は、く 対象が存在 しうる、あるいは、行為 を行い うる立場 にあ りなが ら、それが実現 しない現状 に対する不快・不満な気持ちを抑 え付 ける〉 となろう。 dは 、
く 快感・ 満足 を生 じさせ る刺激〉である。
2.3.「 (〜 を )〜 でガマンスル」の意味分析
次 に、「〜 をガマ ンスル」 とは別 の「 (〜 を )〜 でガマンスル」の統合型 を取 り上 げる。例示 しよう。
「車 を中古でガマ ンスル」「大学 を地元でガマ ンスル」「アパー トを 6畳 1間 でガマンスル」
「大学 を地元でガマ ンスル」の場合、「大学 を〜」 よりも「大学 は〜」の方が自然であるが、
「大学 を地元でガマンスルのは当然だ」のように名詞節 にする と「を」がでるので「 (〜 を )〜 で ガマンスル」の統合型 とする。「 Aを Bで 」の「 A」 と「 B」 の意味関係 は、「中古の車」「地元 の大学」「 6畳 1間 のアパー ト Jの ように「 Bの A」 と置 き換 えられ るものであ り、「 A」 の性 質 を「 B」 が規定するとい う関係である。「〜 を」の位置 に来 る事柄 についての (不 満な )条 件 を「〜で」で示す ものである。 そ こで、第 1例 の意味 は、く車 についての中古 とい う条件 に対 し て、不満な気持 ちを抑 え付 ける〉 となる。
「 Aを Bで 」の「 A」 と「 B」 の意味関係 は、「 Bの AJと なる と述べた ように、「 Bの Aで 」 や「
B(修飾語 )Aで 」 とい う統合型 も可能であ り、 「 B(拘 束形態素 )Aで 」 ともなる。
「中古の車で (古 い車で )ガ マ ンスル」「地元の大学で (地 方大学で )ガ ヤシスル」「 6畳 1
間のアパー トで (狭 いアパ ,卜 で )ガ マンスル」
これ は、「 B」 とい う条件の中に「 A」 を取 り込 んだ ものであって、意味の重点 は「 B」 の方 にある。 この統合型 は、「 (食 べ る物がないので )水 を飲 んでガンマンスル」 と意味的につなが るものである。 │
なお、 )
「10万 円の給料 をガマンスル」
の場合 には、前節の「 [d]を ガマ ンスル」の意味、く10万 円の給料 を貰 える立場 にあ りなが ら、
それが実現 しない現状 に対する不満 な気持 ちを抑 え付 ける〉の外 に、 ここの「10万 円の給料で
ガマ ンスル」 と近い意味がある。 この後者の意味の「10万 円の給料 をガマンスル」は「 [b]を
ガマ ンスル」 に当たると考 えて、く10万 円の給料 という現状 に対する不快・不満 な気持 ちを抑 え 付 ける〉 と解釈する。
「中古車 をガマンスル」
の場合 も、前節の「 [d]を ガマ ンスル」の意味、く中古車 を手 に入れ られ る立場 にあ りなが ら、
それが実現 しない現状 に対す る不満な気持 ちを抑 え付 ける〉の外 に、 ここの「中古車でガマン スル」に近い意味がある。 この後者の「中古車 をガマンスル」の意味 は、「 [b]を ガマ ンスル」
として、く中古車 という現状 に対する不快・ 不満 な気持ちを抑 え付 ける〉 と解釈する。
「 [b]を ガマンスル」 と「 (〜 を )〜 でガマンスル」 との違いは、「10万 円の給料」 を く (薄 給 とい う )不 快・不満 を生 じさせ る刺激〉 と捉 える (前 者 )か 、く (不 満な )条 件〉 と捉 える (後 者 )か とい う点 にある。ただ し、「部下の失敗 をガマンスル」の場合 には「〜でガマンスル」と
は言 えないように、く不快・ 不満 を生 じさせ る刺激〉が常 に 〈 (不 満な )条 件〉 と捉 えられると は限 らない。 (注 5)
2.4。 ま と め
ガマンスルの意味 を統合型 に基づいてまとめてお く。
I「 〜 を。 ・
0」〈 現状 に対す る不快・ 不満な気持 ちを抑 え付 ける〉
「〜 を」の位置 に入 り得 る語 (節 )の 意味 は、次のようになる。
(「