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ポル フ ィ リン類似金属錯体 の合成 Synt he s e so fMe t alPo r phyr i nDe r i va t i ve s

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Academic year: 2021

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ポル フ ィ リン類似金属錯体 の合成 Synt he s e so fMe t alPo r phyr i nDe r i va t i ve s

長南 幸安 * ・ 佐藤 香織 *

YukiyasuCHOUNAN*andKaoriSATO*

論文要 旨

現在 の情報記録方式 は従来 の磁気記録か らCD ・LDをはじめ とす る光 ディスク記録へ と移 行 して きた。 しか し,情報の膨大化 は更 なる大容量の記憶媒体 を必要 とし始 めている。現在, CD等 に用 いれ らている有機光学吸収体分子 としてはポル フィリン, フタロシアニ ンがあ り, これ らの600nm付近 に強い吸収 を持 つ特長 を記憶媒体 として利用 している。我々 は,次世代及 び次次世代 の有機光学吸収体分子 の開発 を目指 し,500‑400nm付近 に吸収 を持 つ種々のポル フィリン類似金属錯体 の合成 を行 った。同時 にそれ ら錯体 の吸収 を測定 し,中心金属 による吸 収波長 の変化 を兄 いだ した。

キー ワー ド :ポル フィリン, ポルフィリン類似金属錯体,光 デ ィスク記録,有機光学吸収体分 子,吸収波長 シフ ト

14)

20世紀 は電子 の時代であったが,21世紀 は光 の時代 になる と言われ るように,近年のオプ ト エ レク トロニ クスの発展 は目覚 ましい。 その中で無機半導体電子 デバ イスは高集積化,大容量 化 の道 を進 んで きて,2000年 までには1ギガ ビッ トのDRAMの登場が予想 されている。しか し それ も限界が見 えはじめ, それ を超越す る新 たな方法論 として分子 デバ イスが提唱 された。残 念 なが ら量子論的揺 らぎや熱の揺 らぎ等の問題 のため,分子 デバイスの構築 は困難であ り,実 用 には時間 を要す るもの と考 えられ る。一方, この十年余 りで電気的或 いは光学的活性 を持 つ 有機材料, いわゆる物資機能材料 に関す る研究が著 し く発展 し, その研究成果 は多方面 に波及 効果 をもた らした。 その流れの中で現在 の情報記録方式 は磁気記録か らCD ・LDをはじめ と す る光 ディスク記録へ と遷移 して きた。 しか し, 目紛 しい情報 の巨大化 は更 なる大容量 の記憶 媒体 を必要 とし始 めている。現在,CD等 に用 いれ らている有機光学吸収体分子 として はポル フィリン,フタロシアニ ンがあ り, これ らの600nm付近 に強 い吸収 を持 つ特長 を記憶媒体 とし て利用 している。我々 は次世代 の有機光学吸収体分子 の創製 を目的 とし,500‑400nm付近 に吸 収 を持つ種 々のポルフィリン類似金属錯体 の合成 を行 い,吸収波長 を測定 したので以下報告す

*弘前大学教育学部 自然科学科教室

DepartmentofNaturalScience,FacultyofEducation,HirosakiUniversity

(2)

50 長南 幸安 ・佐藤 香織

実験方法

ポル フィリン類似体 としてH2TAP (2,7,12,171tetra‑tertbuty15,10,15,201tetraaZal21H, 23 〃‑porphine),H2TPP (5,10,15,20‑tetrapheny121 ,23 〃‑porphine),H20EP

(2,3,7,8,12,13,17,18octaethyト21,23〟‑porphine)3種 を配位子 とした。中心金属 は 塩化物或 いはアセテー ト(OAc)体 を出発原料 とし反応 を行 った。一般的合成法 をCuTAP 例 に とって以下述べ る

10mLの茄子型 フラス コにテ フロ ン製授 拝 子 を入 れ る。 その フラス コにH2TAP 20.9mg (0.039mmol),Cu (OAc)225.8mg (0.14mmol),無水DMF 2mLを順次加 え,還流 した。

反応終了 は吸収 スペ ク トルの原料 のQbandの消失 によ り確認 した。減圧 による溶媒溜去後,シ リカゲ ル を用 いてCHC13を溶 出溶 媒 とLCuTAPを溶 離 した。更 にCuTAPを極 く少量 の CHC13に溶解 させ,結晶が出始 めるまでMeOHを加 え,冷蔵庫 に一 目放置 し再結晶 を行 った。

結晶 は渡過分別 した。嗣以外 の金属塩 に関 して も同様 の操作 で錯体 を合成 した。 なお,反応が なかなか進行 しない ものについては塩基 として尿素 を少量加 え,反応 を完結 させた。

t ‑ B N & H " 管t ‑ B u

・ ‑ B u 息 N H ‑ q

̲Bu

H2TAP

(2.7.12.17‑TetraI‑buty1 5,I0,I5,201tetraaZa‑POrPhine)

H2TPP

(5,10.15,20‑Tetraphen)1 1POrPhine) 図 1

t Et H20EP (23,7,8,12,13,17,18‑

0ctaethylporphine)

結果 と考察

ポル フィ リン類似金属錯体 の合成 に使 用す る溶媒 として はDMFが良 い と思われ る。DMF は窒素 を含むため, その窒素の孤立電子対がルイス塩基 として作用 し, ポル フィリン類縁体 の 水素引 き抜 きを促進す るもの と考 えられ る 反応がなかなか進行 しに くい ものに対 し,尿素 を 加 えるの も同様 の考 えか らである

これ らの錯体 は酸 に弱 い ものが多 く,精製 の際 に用いたシ リカゲル程度 の酸性度で中心金属 が外れて しまう可能性があったが,今 回の錯体 に関 して は比較的安定であった。

合成 した錯体 のCHC13溶媒 中の

U

V吸収 スペ ク トル は無金属体 の吸収 とQbandにおいて大 き く異 なる。その典型的な例 を図2に示 した。無金属体 において はQbandの ピー クが550nm 近 と630nm付近 の2本であるが,金属錯体 となることで ピー クは1本へ と変化 し,600nm付近 に現れた。

(3)

T.ulUT.∑\3'.Ot

250.0 300.0 350.0 400.0 450.0 500.0 550̲0 600.0 650.0 700.0 wavelength/nm

2 H,̲TAP(‑ )とcuTAP(‑‑‑)の吸 収 スペ ク トル (それ ぞれの九max2とす る)

0

1EUl10Lul3OT

0 1

5

450.0 500.0 550.0 600.0

wavelength/nm

650.0 700.0

3 UVIVisibleabsorptionspectraoftheQbandsofItTAP( ,PdTAP (‑‑‑),CuTAP(I),CoTAP(‑I‑・jinCHCJ3

ポル フィリン環 には26個 の 7T電 子が含 まれてい るが,二重結合が共役 した多 くの共鳴構造 の 中で も寄与 の大 きな もの は18員環 の18,T電 子系である57)。ポル フィリンの電子 スペ ク トルの特 徴 は480‑650nmQband400nm付近 のSoretbandか らな り,前者が禁制遷移 に対 し,後 者 は許容遷移 となってい る。無金属体 において はD2hと対称性 が崩 れ てい るためQ bandにお いて2本 の分裂 とな るが,金 属体 はD4h高 い対称 性 を有 して い るた め1本 に重 な る事 に な = )。

同様 にTPPOEPの無金属体 で はQband4本 の ピー クが見 られ るが, これが金属体 と なる ことに よって2本へ収束す るのが観測 され た。

TAP錯体 においてQbandの波長 は中心金属 によ り大 き くシフ トす る。その様子 を図3に示 した。最 も長波長 に位置 す るの はPdTAPであ り,短波長 はCoTAPである。その長 さは50nm に も及ぶ ことがわか った。 これ はSoretbandに も見 られ,その シフ ト幅 は90nmに も及ぶ。同 様 の傾 向 はTPP錯体,OEP錯体 に も観測 され,それぞれQbandSoretbandの シフ ト幅 は 131nm,16.5nm,28nm,17nmとなる。特 にTPPにお けるQbandの シフ トは100nmを越 え てい る。 また傾 向 としてSoretbandの シフ トに比べ,Qbandの シフ ト幅が大 きい こともわか

(4)

52 長南 幸安・佐藤 香織 った。

今回,合成 したポル フィリン類似金属錯体 のQ bandSoretbandにおけるそれぞれの吸収 極大波長 を表1に示 した。

5 1 AmaxinChloroform

Centralmetal Ligand 入max(nm) e(*105) Amax(nm) e(*104)

Cu2 TAP Pd2

Ni2 InC12

VO 2十

Zn2

Sn2十

Fe2十

Mg2+ Pb2十

Co∑+

336.0 0,340 585.0 5.373 336.0 0.226 577.0 4.625 347.0 0.234 584.0 4.648 343.0 0.505 599.0 6.569 343.0 0.383 597.0 3.694 337.0 0.513 593.0 7.971 341.0 0.039 586.0 0.107 426.0 2.074 561.0 0.748 337.0 0.249 596.0 4.165 341.0 0.321 622.0 5.346 339.0 0.108 575.0 1.210 Cu2十 TPP

Pb2十

Ni2十

InC12 VO2 Zn2 Sn2 Fe2十

Mg2+ Pb2+ Co2

415.0 0.383 417.0 1.639 417.0 2.066 425.0 3.229 424.0 0.108 421.0 2.682 426.0 2.185 409.5 0.186 426.0 1,420 419.0 2.823 411.0 1.711

539.0 1.597 524.0 1.422 528.0 1.275 560.0 1.813 548.0 0.523 550.0 1.214 561.0 0.799 571.0 0.131 564.0 0.629 655.0 0.164 528.0 1.025 Cu2 OEP

Pd2 Ni2

InC12 VO2

Zn2 Fe2 Mg2+

Co2

393.0 0.653 394.0 0.936 393.0 1.006 393.0 0.364 398.0 0.496 402.0 1.904 409.0 0.715 393.0 0.320 410.0 0.169

553.0 1.094 547.0 2.351 553.0 1.583 553.0 0.447 562.0 0.386 569.0 1.272 573.0 0.831 561.0 0.382 545.0 0.112

金属体 のQ bandSoretbandの長 ・短波長の シフ トの傾向 と中心金属 の周期性 との間 に相 関関係 は兄 いだせなかった。例 えばFeTAPSoretbandの吸収が426nm と今回用いた金属 中,最 も長波長 のシフ トを示 したが,FeTPPで はSoretband409.5nm とな り今度 は最 も短 波長 に位置す る錯体 となっている。またCoOEPで はQ bandSoretbandの波長がそれぞれ において最短波長545nm,最長波長410nm となっている。 このように元素周期 と波長 シフ トの 関係 は複雑である。

今回,3種 のポル フィリン類縁体 に対 し種々の金属錯体 を合成 し, その吸収極大波長 を測定 した。 これ らの金属錯体 は,溶液中で400nm付近 に非常 に強 い吸収 を持 つため,次世代 の有機 光学吸収体分子 とな りうる可能性 を示せた。特 にTPPOEPQ bandに比べ, より短波長 であるSoretbandに強 い吸収 を持 つので非常 にな有力 な分子であるといえよう。しか し,実用 化 されている分子 は薄膜 で用い られているため1519),今後 はこれ ら合成 した化合物 のフイルム 状態 における吸収波長 の評価が必要であ り,今後の課題 と考 えられ る。

(5)

文献

1) ポル フィ リン研究会編 東京化学同人 出版 ポル フィリン ・ヘムの生令 科学一遺伝子 ・ガ ン ・工業応用 な どへの展開

2)"MolecularElectronicDevices",ed.byF.L Carter,MarcelDekker,New York(1982) 3)"MolecularElectronicDevices",ed.byF.L Carter,R.E.Siatkowski,H.Wohltjen,EIsevier,

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大環状化合物錯体 の電子状態

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19) F.Guyon,A.Pondaven,P.Guenot,M.L'Her,Inorg.Chem.,33,4787(1994)

(1999.7.30受理)

図 3 UV I Vi s i bl ea bs or p t i ons p ec t r aoft h eQb a n dsof I tTAP ( → ,PdTAP ( ‑‑‑) ,Cu TAP ( ‑ ‑ ‑ ‑ I ‑ ) ,Co TAP ( ‑I ‑・ ji nCHC J 3

参照

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