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組換え大腸菌における ヴィオラセイン合成の誘導条件

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Academic year: 2021

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平成 24 年度 修士学位論文

組換え大腸菌における

ヴィオラセイン合成の誘導条件

Conditions for the induction of violacein synthesis in recombinant E.coli

2013 3

高知工科大学 大学院 工学研究科 基盤工学専攻

1155009 藤川竜太

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1. 要約

ヴィオラセインは、Chromobacterium violaceumを含む数種の細菌によって産生 される青紫色素であり、抗腫瘍作用や抗菌作用、抗トリパノソーマ作用等の生 理活性を有することから医薬品や着色料として実用化が期待できる。しかし、

C. violaceum は日和見感染細菌であるため、大量培養によるヴィオラセインの工

業的生産は難しく、結果としてこの色素を十分利用することは行われていない。

一方で、本研究室が室戸海洋深層水より分離したヴィオラセイン産生細菌 Pseudoalteromonas sp. 520P1株は人の体温である37℃では生存できないため、人 体に対して病原性を持つ可能性が少ないと考えられる。そのため、この520P1

株をC. violaceumの代わりにヴィオラセインの大量生産に用いることができる

と考えられる。

520P1株のヴィオラセイン産生は、細胞密度を感知して集団行動を制御するク

オラムセンシング(QS)機構によって制御されており、QS機構におけるシグナル 伝達物質であるオートインデューサーの分泌によって色素産生が起こる。この ため、オートインデューサーの作用によって色素を産生し始めるまで培養日数 がかかること、培養条件が複雑で不安定であることが問題であった。そこで、

本研究室の張らは、520P1株からvioA~vioE5つの酵素の遺伝子を含むヴィオ ラセイン合成酵素遺伝子群をクローニングし、この遺伝子群を持つ組換え大腸 BL21(DE3) (pET28a-VGC)を作製した。本研究では、この組換え大腸菌のヴィ オラセイン合成を誘導する条件を検討する過程で、誘導物質を添加するタイミ ングが色素生産に大きな影響を及ぼすことを見出した。ここでは、誘導物質で あるラクトース及びIPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)の効果を比 較した。

ラクトース添加によるヴィオラセイン生産はラクトースの濃度に依存して増 大したが、1~3%(w/v)でほぼ一定となった。一方、IPTG0.03 mMで最もヴィ オラセイン産生が多くなったが、それ以上及びそれ以下の濃度では色素生産量 は低下した。また、IPTGよりもラクトースを誘導物質として用いた方が約2 の色素量(30~40 mg/L培地)を得られることが明らかになった。ラクトースま たはIPTGを対数増殖期の大腸菌へ添加することにより高い色素生産が得られ たが、それ以降、添加時間が遅れるとともに、色素生産が急激に減少した。ま

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た、ラクトースによる色素生産の継時的変化を調べたところラクトース添加後 24 h後に色素濃度は最大となり、それ以降色素濃度はやや減少した。IPTGでは、

24 h後に色素濃度が最大となり、48 hまで大きく変わらなかった。SDS-PAGE によりタンパク質の発現量を継時的に調べたところ、2%ラクトースでは8 h~16 h後に40 kDa~50 kDa付近にvio遺伝子産物と考えられる強いタンパク質発現が 確認できたが、24 h後ではほとんど見られなかった。0.03 mM1 mM IPTG も同様に8 h~16 h後に40 kDa~50 kDa付近にやや強い発現が確認できたが24 h 後にはほとんど見られなかった。また、タンパク質の発現量はラクトースの場 合がIPTGより多かった。これはヴィオラセインの産生が24 hでほぼ終了する こと、ラクトースによる色素生産量がIPTGに比べて多いという結果と一致する。

以上より、組換え大腸菌によるヴィオラセイン発現では、ラクトースがIPTG より誘導物質として優れていること、誘導物質を添加するタイミングが色素生 産に大きな影響を及ぼすことが確認できた。本研究は、この組換え大腸菌を用 いたヴィオラセインの大量生産が可能であることを示唆している。

参照

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