テ レ ビ 「世 界 の 地 理 」 を 利 用 して
1 . は じめ〝 こ
村 田 波 ' 天
( 野辺地高虎) 近年の 科学技術の急速 な進 展 I も 教授 内容を質的 に高 め ると共に、量的 に も激増 させてい るO 従 って教 育 の近代化 。確率化 とい う観点か ら、教育現場に も新 しい教 育機器 がどん どん導入 さ れて きてい る0‑ 万、情報化社 会が喧伝 され る今 日、映像教育の重要性が指摘 されて きた. こ の よ うな動 きを反映 してか、 ここ二> ・三 年の VTR の普及 にはめ ざましい ものがあ る。例 えば 広 島県 の公立 高校の場合
、昭和 4 1 年当時 VTR は数 える程 しかなかった ものが、 4 4 年は 6
9 校 中 る0校 (80 台)が保有す るまでに 在ってい るO
実は このよ うな動 きは筆者 自身 も定性的 ではあ るがキ ャッチす る ことがで きた。 つ ま り、 たま
・ l , I )
た ま昭和 4 1 年 と 4 4 年 の放送教 育全国大会に出席 す る機会 云待 ったが、 前者 の場合 は VTR が開発 されたはか りの時点 で もあ り、出席 され た先生方 もあま りテ レ ビ利用 の捜 業の夷鼠が な い よ うで、公開 授業 もテー プレコー ダー が主体 であった。 それが昨年 の仙台 大会 にな ると、V TR 普 及 の反映か ら出席者 も格段に 多 く、 又分科 会 の内容 もテ レ ビ番組 の授業へ の効果的導入 をめ ぐって質 の高い議論が活発 になされ以 前 とは隔世の感 を うけ させられたO
このよ うな動向 の甲で本県 の現状 を顧み る と、 あま りに もその遅れが痛感 され るのである。
つ ま り昭 和 43 年 での公私立高校合わ せて の普 及は、瞳か 5 校 (6 台)
(注2)にす ぎず この ことは放 送 教育 の認識欠如 とい うよ りは、 む しろ経済 的側面が影響 してい ると思われ るので
、県教育行政当局の強力な財政面 での てこ入 れ な切にお願 い したい ものである。
この よ うな VTR の急激 な普及に伴 い、 テレ ビ教材 の特性 の分析 や、 テレ ビ利用 の効果的授 業へ の位置づけ等が、盛 んに各現場で研究 されているO ここでは乏 しい実践 を通 して私が感 じ た事, 問題 点等 を若干述べ てみたい。
2 ̲ 視聴 までの経過
本校 ‑V TR が猿 人された のは昭和 42年 3月で、 それ までは TV 台数が一 台しかない為 T V 教材 の授業‑ の導入 な ど思 い もよらなかったQ さて VTR が導入 された ものの機械操作 の煩 しき、視聴覚 教室 の不備、 テーーブ本数 の絶 対量 の不足等相 まって一 部の先生 しか利用 しない状 況 だったo 私 も TV 教材 の効果的利用法 の困難 さや録 画の煩わ しさもあ り二 の足 を踏 んでいた が、既存 の教材 事中 心の平板的羅列的漁 業へ の簾間 もあ り、 4 3 年 4 月よ り授業へ選択視聴 と い う形 で組み入 れてみた。 その後思考錯誤 を くり返 し今 日に到 っているが、漸 くある程度番組 内容 ・生徒 の反応等が把握 できる よ うになって きた。 そ うは言 うもの の授業 への位置づけや生
‑40‑
徒の理 解度 の測定 等全 く研究不十分で、 改め てその利用 の難 しさを痛感 している今 日この藁 で す。
3. 教 科 としての視聴理 由
社会科のね らいは或実社会の基本 的構造 を理解 させ るた めの認識 力を生徒 に育成 してい くこ とにある。 従って政美 では社 会科的見方 ・考 え方 の育成 ( 社会事象 に問題意識 を持たせ
、又 そ れ らを総合 的に理解 させる) に重点がおかれねばな らないO換言す るならば指導過程 にあっ て は思考 を帰納的に展開 させ てい くこ とが大事 である. ところが従来 の教師主 経の教 科書中心 の 授業 ではやや もすれば知識 の注入 に降 りが ちで、 生徒 V Cも社会科は暗記教科である といった誤 っ た親念 を植えつけがちであった。 T V教材 の提供 す る身近を具 体的な事例が浸業( / t効果的
tp‑〜生 か され るならは、社会科教 育のね らいに迫 る何 かが 出て くる よ うな気 がす るの である。 まし て や地理 の場合 は、 その科 目の特性 として世界の諸地域の生活様 相や社会の動向 を、 その地域 地域 の慕境 に即 してダ イナ ミックに把垣 させ る必要 が ある. これ V Cは もはや教 科書 と教師 の理 解 では追い つかず、 ここに追刀あ る画面 で最新 の資料や 劫向を提供 して くれ るテレ ビ教材 恵投 業 に導入 す る意義 があ ると考 えるのであ る.
4 . V TR 利用上 の問題点
まず設備 の不 十 分さから生ず る もの として
イ 視聴覚室が ない ため、 VTR や TV の移動が大変 である。
ロ 密着 。カ‑ テ ン等が なし、 数量 の場合、光線の反射に よ り画面 が よ く見えない.又 白黒の微 妙 な コン トラス トもよ く見え ない。 .
‑ I9 イン チテ レビでは画面 が小 さす ぎる。
‑ 地理 で庚 えるテ‑ ブが現在 7 本 しか か 、 O従って良 い番組で も消 さざる を得 か 、 場合 もあ る し、逆 に全 番組 r k鐘面で きない場合 もあ る。特 に年
1闇計画へ の位置 づけ な考慮 すれば
、ど うして も良い番組 は全部残 したい。
ホ V TR ・TV 共I j づ つしかないので、希望時間に利用 で きる とはか ざらず、又 録画 とも かち合 うこと もある C
臥
上の事 に対 し、一 応 次のよ うk C対処 してい る。
イに対 しては一年 生各 クラス に テ レビ係 を設 け、運般 を尋 問V Cやって貰 うと同時 に、 VTR
再生 の操作部陳 を して お くO
ロと‑ はテ レビを 2 台設置 で きない現状 なので、光線 の比薮 的入 らない位置に テレビを設置 し、
生徒 の座席 もそれに応 じて適宜移動 させ るO 又細 かい数値 ・表 。グ ラフ等は予 め模造紙 で準備 した り、オ⊥バー ‑ ツ ドプ ロジェク ター で写せる よ う準備 す るO
‑ とホは経済 的問題 がか らむので大変 であるが、 テープ の場合は内容的に大 した価 値 がない も
‑41
‑のは どんどん消 して行 くしか手 がないO 又貸 出や録 画時間の調整は視聴覚委員会 が、 時間割 と に らみ合わ せて計画 してい る。
次の問題 点は TV 教材 の位置ずけ と も関連す るのであるが、 TV 内容 を如何 托 して生徒に把壷 させ るかである. 夜托 しろ対象は高校一 年生で あるO 彼 らは中学校時代殆 ん と視聴経験 を持 た ず、 中には勉強に意欲がか 、 者 もた くさんい る。 テ レビと言 えは特別 サー ビス と考 え授業 とは 考 えない者や又テ レビで対談が始 まれば あきて しま うものが大半 である. さらにテ レ ビ内容は 2 0 分 とい う時間の制約 もあ り、 か な り精選痩縮 され ているのでテンポが早いO 従 って兄のが し 。聞 きのが しがでた ' )、又 ノー トもとれ たい とい う問題 があ るO
以上 を解 決す勧故は ん を方法が・ ある と思われ るが、何 といって も教科書の単 元 との関連 教は っ きり押 さえる必要が ある。 同時 に番組 の流れや重点事項 を予め指示 して メモ をとらせる とか、
又予 め テ レ ビ内容に関連 した課霞 を与 えてお くこと も効果的なよ うであるO 又視聴後のテ レ ビ 内容の基本的事項 の確認 と問題 点 盆投げかける番組 の場合 の話 し合い は、特に大事 であろ うo そ して最終的には、視聴蓮験 を通 して生徒 がテ レビ内容の中か ら重点事 項 を自らの手 で選 り分 けがで きるよ うに する必要 がある。 そのためには、 TV 教材の授業へ の導入 にあたっては、 ま だ まだ考慮 しなければならない点 が多 々ある。
5 . TV 番組 「世界の地理」 の性格
番組 の内容、 長閑は教科書に即 してい るわけではない0 番組 はそれ な りのま とま りを持 ち、
そ こには番組製作者のテ‑ マV C対す る地理的視 点 ・意図が窺 われるO 従ってテ レ ビ内容 だけで は完成 した授業 にはならず、事前指導や事 後 指導が是 非必要 であるO そ こで授業 ‑導入 す るに あたつ ては、教科書単元‑の位 置づけが極 め て大事 であるO そのために7 r 羊 番 組内容の分析 が必 要 なのだが、 NHKで発行 してい るテ キス トの内容 は簡単す ぎ、
tAヰ 実際の画面の内容画面 '
とく 臓 場 合 もあ カ. 非常に位置づけな国難にしこレ 屯 ' もっとも vTR 顔 嘩 すれば この点は 問題 な くなるのだが、 前述の如 くテー プの少ない現状 ではテキス ト内容 を見て選択銀画 をせざ るを得 ず、 せめてテキス トに製作者 の意 図 で もぁった ら と痛 感 している。 とは言 うものの 「 世界の地 理」は内容 的に も生徒‑訴えるとい う面で も実に辰れた教材だ と思 う。 各地城の最新 の動向や 生活様相 か フイル ム ドキュ メン タ リー を通 じて追 って くるので、 生徒 は現実感 を持 って受け と め る事 がで き、強い 印象が刻 まれ るよ うである。例 えば カナ丁 卜上か圧延工場の内部 とかは、
教師や教科 書を通 じては決 して具体的な イメー ジは与 えられ ない と思 うが、番組 視聴後は一 年 経過 した今 日で もそれ を ) )7ルに表現 できる位強い 印象 を残 しているO特 に問題 点 を投げ かけ る内容 の番組の場合は、 まさに思考体系 の育成 とい う面から も好 適で、 生徒 も自己の身近 な問 題 と して番組に引 きこまれるよ うで、 まとめでの話 し合 いは平常 の授業 では味わえ ない程活発 化す る。 さらに この番 組k ' Cは、教 師の まだ未知 の内容 や又教師 とは異 なる視 点等 が窺わ れ、 そ
‑4・ 2 ‑
うい う意味 では教師に とって も実に勉強にな り有用であ る と思 う.たた涛 虻 うL を比戟 した場 合、内容的 に も構成的L f Cも優劣差 がかな り見 られ るO 中には資料不足 のせいか、スチール写真 と対 談で時間の大半 が費 され、 TVの特性 であ る迫 力ある画面 が生か され ておらず、内容的把 も貧弱 で全 く授業‑組み入れ る必要 を感 じない ような もの もある。 そ うい うわけで私の場合は 時間数 不足や テー プ不足 と相 まって選択視聴 の立場 を取ってい る。 又対談 形式 の番組の場合 は、
それ な りの意義は認める が 、 やや もすれば結論 的な もの を一方的に生徒に与える懸念がある。
叉前述の TVの特性 とか生徒 の発達観噂等 を考慮 した場合、極刀少 な くした方 がよい と思 うが 如何 が だろ うか。 この事は 4 4 年度に授業 で利用 した番組 に対す る生徒 の反応に も如実に反映 してい る ようで、 アンケー トに よる生徒 の印象v c残 る番組 を順番に あげ ると次 のよ うになる。
l 位鉄 鋼業 (43 年度 の ものJI 2 位 日本 の̀ 林業 (4 3 年度 の もの)、 3 位 ソ連 の農業 (43 年度の もの)、 4 位電力 (43 年度 の もの), 5 位石炭産業の将来 (44 年度 )、 6 位乾繰気 候 。イラy (4 3 年度)、 7 位地 中海式農業 (4 4 年度)o これを見 ると人気の高い ( 印象 K:
残 る) と指蒲 された上位番組 は、 いずれ もフイル ム ドキ‑メ/ ク 1 )一形式 で生 々しい現実社会 の 生査状況 ・動向 。問題点 を提供 している番組 である。 逆に印象度の低い ものはス チール写真 や対談 が主体の番組 で、乾繰気候 も地 中海式農 業 も早い時期に見せた とい う事 もあろ うが、 そ れ以上 に番組 の構成が影響 している もの と考 えられ るっ特l K地 中海式農業 にいた っては、怒 名 を示 しアン ケー トを とった所、私のク ラスでは見せていない と回答 が多数 あったのV Cは全 く驚 か された。 4 5 年度 の番組 は世界地誌 を主体 に編集 される ようであるが,是非 フイル ム ドキ‑
メン トで問題点 を投げかけ るよ うな形に まとめては しい ものであ る。 さらに平凡 ではあるが、
バ ック ミエー ジツクの良否が生徒の画面へ の集 中に関係す るのでこの点 も考慮 してほ しい気 が す る。
6 . おわ りか こ
優れた教材 であ る 「 世界の地理」が効果的に生か され るV Cは、 その位置づけや利用法 の徹底 した研 究 が必要 なのは当然 であるが
、卒直に言って今 日. までは TV教材が VTRを通 じて使 え る よ うになったか ら使 ってみたに過 ぎたい ものであった。 年間計画の どこ‑ どの番組 を組み入 れ るか、単元の どこで使 うか ( 私 の場合は間露 提示 している ものはま とめで使 い、 その他 ま番 組 の性格に よって思考錯誤的に導入 し 菅とめで使っ ている)、 1時間の授業の どの時間で使 う
のが効果的 か、解 説が多す ぎる場合又 その逆 の場合如何 にするか等今後の大 きな課題 である。
又番組 の生徒への効果 の測定 も現実に行われ ているべ
・‑, ' ‑テス ト ( 思考力 の育成 をね ら うと い うよ りは む しろ知識 の集債 をね ら う)では困難 で、 この面 も研究の対象 となる。 この よう
に今 だに暗 中模 索の段階 にあ り、 しか もTV教材 の利用 は必 然的に進度の遅れ を・ 帰しているが、
や は り地理教育 の本質 を考 えた場合、 TV教育で育 った生徒 は きつと何か をつかんでいるはず
‑ 43 ‑ 1
でそれは長い 日で見た時出て来 るよ うな気がす るのである。 そ うい うわけで今後 も大いに授業 で利用 しかつ研究 してい きたいと考えている今 日この頃ですも
次の方 々の ものを参考 にしました。
膚西護 「視聴反応 を通 して得 られるテレ ビ教材の利用法」
青森県教育委員会 「視聴覚機材設備状況調査、 昭和 4 3 年度」
菅野俊蔦 「世界 の地理」 を視略 して
佐藤 有彦 「NH且TV 。世界の地理」 を利用 して
宮城県 高校視聴覚教育研究会 「世界の地理」 ビデオテー プ 自存
‑ 44‑
■f̲