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Academic year: 2021

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広瀬歩美氏「生涯にわたる健康管理の重要性と次世 代への影響」報告 : 2014年度 第1回<児童>におけ る「総合人間学」の試み研究会

著者 田澤 薫

雑誌名 聖学院大学総合研究所Newsletter

巻 Vol.24

号 No.1

ページ 32‑33

URL http://id.nii.ac.jp/1477/00002744/

(2)

Title

広瀬歩美氏「生涯にわたる健康管理の重要性と次世代への影響」報告 : 2014年度 第1回<児童>における「総合人間学」の試み研究会

Author(s)

田澤, 薫

Citation

聖学院大学総合研究所 Newsletter, Vol.24-No.1, 2014.9 : 32-33

URL

http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/detail.php?item_i d=5146

Rights

聖学院学術情報発信システム : SERVE

SEigakuin Repository and academic archiVE

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32

報 告

 年間テーマ「自分を知る、他者を知る」とする 2014年度〈児童〉における「総合人間学」の試み 研究会初回例会が、 4 月 1 日に開催された。児童 学科助教に着任されたばかりの広瀬歩美氏が、「生 涯にわたる健康管理の重要性と次世代への影響」

と題し、管理栄養士として取り組んでこられた疫 学研究の成果を発表された。以下はその概要である。

〈日本人若年女性のやせ〉

 第二次大戦後今日までの日本人の年齢別平均 BMI(体重÷身長÷身長)の推移を見ると、男性 では戦後から現在まで全年齢で増加し、やせから 肥満への移行が顕著である。一方女性は、50代60 代では加齢と共に平均BMIが増加するが、メタボ リックシンドロームの啓発が奏功して上がり止ま り、微減傾向が見られる。20代では敗戦直後の 1947年より現在で平均BMIが低下し、30代でも低 下傾向にある。日本では、男性の肥満と10 ~ 30代 女性のやせが問題である。

 BMIは加齢と共に上昇するのが自然である。日 本人女性平均BMIの不自然な変化の始期に着目す ると、1945年生まれでは加齢に伴い平均BMIが上 昇し身長の伸びがとまる18歳頃から横ばいとなる が、1950年生まれだと年齢とともに上昇した後、

20歳後に急に落ち込む不自然な傾向が見られた。

さらに1955 ~ 59年生まれでは、10代後半時点で平 均BMIの低下が急に見られた。この1970年当時に ミニスカートが流行し、日本女性のやせ傾向が始 まった。そして現在40代30代の人は、平均BMIが 年齢とともに下がっている。

 女性のやせの害はあまり知られていないが、実 は深刻である閉経後の骨密度の低下を招き、骨折 のリスクが上がる。死亡率が高く、挙児が少なく 低出生体重児出生率が上昇する。さらに、やせ願 望は、実際の体型によらず、自己評価の低下やう つ傾向、自信喪失等の精神的問題、摂食障害など

を誘発する。

 女子中学生(平均13歳)とその母を対象とした 調査で、9 割近くが普通体型、やせ 9 %、肥満 2 % にもかかわらず、自分の体型認識に関する質問で は 3 割が「太っている」と回答した。また13歳時 点で半数以上が「減量経験あり」と回答し、平均 BMI低下傾向を裏付けた。理想の体型を選ぶ設問 では、減量行動の有無やBMI値に関係なく、理想 体型はある程度一致することが分かった。減量行 動の経験がある児の方が、実際の自分と理想との ギャップが広かった。さらに減量行動の因子解析 を行うと、本人が受けたマスメディアからの影響 のほか、母がメディアから受けた影響も児の減量 行動に影響していた。母は40代ぐらいで平均BMI が不自然に低下した世代である。加えて、母の理 想体型を調べると、メディアから多く影響を受け ている母の方が、より細い体型を好むことが分かっ た。母と児の理想体型には相関が認められた。本 調査の結果から、若年女性のやせに母の影響が排 除できないことが示された。体型認識ややせが誘 発する健康問題の普及啓発は母子に必要である。

発題者:広瀬歩美氏(右)

 出産年齢にあたる20 ~ 30代女性の 2 ~ 3 割は

2014年度 第1回〈児童〉における「総合人間学」の試み研究会

広瀬歩美氏

「生涯にわたる健康管理の重要性と次世代への影響」報告

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33 BMI 18. 5 以下のやせだが、低出生体重児の出生割

合は増加傾向で総出生数の 1 割程度を占め、やせ の割合と並行する。妊娠時でのやせの影響が大き いことも明らかで、妊娠前から適切な体型になる ことが望ましい。低出生体重児は将来、生活習慣 病に罹患するリスクが高く、次世代への影響とし て懸念される。

〈 2 型糖尿病〉

  2 型糖尿病は、慢性的な高血糖を主な症状とす る代謝異常症候群である。通常では、食事が消化・

吸収され、血液中に血糖として放出されるのを受 けて、膵臓から血糖を有効活用するインスリンと いうホルモンが働く。糖尿病ではインスリンが少 なく血糖が多い状態が継続し、徐々に血管や神経 に障害を起こす。インスリン分泌量自体が少ない 1 型糖尿病と、インスリンが分泌されても体内で うまく働けない 2 型糖尿病がある。後者は肥満事 例が多い。

  2 型糖尿病では脳梗塞、心筋梗塞を起こしやす く、糖尿病特有の合併症として網膜症、腎症、神 経障害も起こしやすく、生活の質(QOL)の低下 は避けられない。

  2 型糖尿病発症要因のうち環境要因に着目する と、食習慣、運動習慣、生活習慣、喫煙習慣を変 えることで発症が抑制される。現時点で糖尿病に 完治はなく、予防が重要であることから、発症す る以前にこれら環境要因への留意が求められる。

 小児肥満も問題となり、小児メタボリックシン ドロームの基準も策定された。小児肥満者は1977 年以降増加したものの、現在は減少に転じ11歳の 男児で 1 割、女児で 8 %(2012年学校保健統計)

である。しかし、学校健診による 2 型糖尿病の発 見率は増加している。食習慣、運動習慣、生活習 慣における課題があるとみられる。

 小児肥満は 7 割位が成人肥満に移行する。肥満 期間が長いため、若年で生活習慣病を発症しやす いが生活習慣コントロールが難しく、罹病期間も 長くなるため合併症を発症しやすい。肥満の母親

からは巨大児のリスクが高まり、巨大児もまた生 活習慣病の発症リスクが高い。親が肥満の場合は その生活習慣を子どもも継承しやすく、小児肥満 リスクも高い。

 健康教育には、年齢を問わず一貫した啓発が求 められる。児童期から望ましい生活習慣を身につ けるのに、専門職の支援が必要である。

研究会風景

(文責:田澤 薫[たざわ・かおる]聖学院大学人 間福祉学部児童学科教授)

参照

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