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て財政政策と貨幣政策の効果を吟味する︒

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Academic year: 2021

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(1)

   財政・貨幣政策の有効性

       吉 岡 守 行

      一  序    論

 実物部門だけを考慮する簡単な投資乗数や政府支出乗数の場合︑︵民間の︶投資や政府支出の発生は単に需要を

剔出する一要素とみなされるだけで例えば政府支出がどのような手段で調達されるかは問題とされることなく分

析は終わる︒これでは不十分で財政政策を論ずる際には︑政府支出が貨幣創造によってすべてまかなわれる場

合︑政府債券発行によってすべてまかなわれる場合︑一部は貨幣創造により他の一部は債券発行によりまかなわ

れる場合等により財政政策の有効性が異なることが分析されねばならない︒このためには実物の他に貨幣︑債券

等をも含むモデルが問題とされる必要がある︒この様な要求にそったモデルとしてはIS‑LMモデルがある︒

次Iト縦モデルによって乗数を分析した初期のものとしてはRitterc‑があげられるが︑最近の研究Benavie

       j     j。︱I、BlinderandSolow悶'Okuguchilo'Possen<^'Silber囲、問、TeigenS0'Vernon

       C     E

`哨−卜縦モデルでの乗数の問題を取り扱ったものである︒

 本論文においては︑われわれは二節ではSilber閤のモデルを一般化したモデルで財政政策の有効性の問題を

   財政・貨幣政策の有効性

(2)

検討する︒£肘曲線の傾斜は常に正であるが︑とれと交わる7S曲線の傾斜は負であるとはかぎらす正である場

合もある︒第三節においてはSilber問のモデルを一般化したモデルで7s曲線の傾斜が正である場合も考慮し

て財政政策と貨幣政策の効果を吟味する︒

      二 富の効果を導入したな4ト尚モデル

 用いられる記号を次の如く定める︒

 y⁚H粗国民生産物

 C=消費

 7⁚H私的投資

 G=政府支出

 刀⁚H可処分所得

 T=⁚租税

 £=⁚利子率

 一X⁚H変数Xの一定値

 肘=貨幣需要量

 mj =貨幣供給量

 W=富

−120一

(3)

K=物的資本

召=政府債券

記号yaは変数亙をKについて微分したものとして用いられる︒故に/・ dl r    f        oC  'X。ある︒

モデルは次の如く示される〇

 Iは財市場の均衡条件を表わす︒消費関数は②であり︑この消費関数は消費に関する富の効果を考慮している

ところに特徴がある︒Silber閤は線型の関数型を仮定しているが︑われわれはそれを止めて消費と可処分所得︑

(4)

富との間にただ一般的な関数関係だけを仮定するただし定数項⁚⁚⁚基礎的消費の部分だけは省略する︒その理由は

こうしても後の分析の結論にはなんらの影響をもおよぼさないからである︒㈲は可処分所得の定義式である︒投

資関数である㈲においては︑投資は単に一般的に利子率の関数であるということだけを仮定する︒Silber興は

ここでも線型の関係を仮定している︒政府支出はパラメーター的にその額は一定として与えられるということを

示したのが㈲である︒㈲は租税に関する式で︑ここでは所得の大きさに関係なく経済全体で一定額の租税を徴収

するという定額税の仮定が採用されている︒貨幣需要関数を表わすのが㈲である︒貨幣に対する需要量は富︑所

得︑利子率の一般的な関数であると仮定する︒Silber oo等はこれらの変数間に線型の関係があることを仮定し

ている︒㈲は貨幣供給量は一定額として与えられることを示す︒貨幣の需給一致の条件を示すのが㈲式である︒

Iは富の定義式である︒短期分析であるので︑ここでは資本は一定であるがG︑それと同じように通常のIS‑LM

分析においては債券の供給量は固定されていると仮定される〇政府の予算制約式がIである︒即ち政府支出は租

税︑貨幣供給量の増加︑政府債券の発行等によってまかなわれるのである︒

 このモデルでは多くの周知の基本的仮定がなされている︒そのうち⑧価格は一定に保たれている︒④銀行組織

は存在しない︒即ち貨幣は政府の債務なのである︒等をここにあげておく︒

 次の叫は田︑②︑㈲︑㈲︑㈲より︑㈲は山一︑㈲︑㈲から得られたものである︒

 ︵m    ‑fcndT十fcwdW十dG= ︵l‑fcD︶dY‑fiRdR

    I 03︶   dM‑fMwdW=fMYdY+fMRdR

 帥・帥を連立させてJについて解くと

−122 −

(5)

が成立する︒

 われわれは次に財政政策の有効性を検討する︒

 ㈲の両辺を妬で除すと

が求められる︒

 旧式をもとにして以下の分析を進めるが︑四つのケースに分けて行うことにする︒

 ケース ー

 われわれは政府支出の変化心が何によってまかなわれるかを問題にしないことにすると︑dW/dGとdMIdG

はゼロとなる︒かくて次式が導かれる︒

(6)

 この式はら恥−hヽ縦モデルにおいて導出される政府支出乗数としては最も簡単な形の乗数の一般型である︒帥

の値は分母が正であるから正である︒

 ケース Ⅱ

 予算は均衡しているとする︵Q⁚Hり︶︒すべての心が貨幣創造によってまかなわれると仮定する︒政府の予算

制約式Iから赤字︵Q十恥Q︶1弓・はJによってまかなわれることになる︒J一は一予算期間例えば一年の後にはぶ

に等しくなるであろう︒μ予算期聞の後にはdM=ndGあるいはdMldG=−nとなる︒さらにIにおいてKと

Bは一定であるから︑dW=dMということが分かる︒故にdW/dG=nである︒dMIdGおよびdWIdGの

値がガに等しいということを叫に考慮するとμ予算期間後のdYldGの式が求められる︒

 o△か河△︷であるから㈲の値は正であり︑それはガの値の変化とともに正の範囲で変化する︒換言すれば︑

赤字が存在するかぎりTは継続的に増大する︒われわれは単純化のために全体を通じて︑㈲・㈲における分母を

−124−

(7)

持つ乗数過程は各予算期間内に算定されるということを仮定していることに注意されたい︒

 ケース 

 もしもすべての心が辿によってまかなわれるならば︑″予算期間の後にはdB=ndGそしてdW/dG=nと

なる︒dM/dG=Oであるから︑叫式は次の形をとる︒

 μ予算期間の後の心のTに及ぼす効果は拡張的な場合もあるし収縮的な場合もある︒もし㈲の分子が正なら

ば︑dYldG >0であり︑もし分子が負であればdYldG < 。0である︒即ち形式的には

を得る︒刄が大きくなると あるいは である︒帥の両辺をμで割ると

(8)

となる︒  μが少さいときには

というふうに表わせるのである︒

 ケース Ⅳ

 貨幣と債券の双方をもって心をまかなう場合を考えてみる︒夕を各算予期間において債券によってまかなわれ

る妬の部分とする︒μ予算期間の後には︑dB=pndG。 dM=︵l‑p︶ndGを得る︒帥式は次のようになる︒

叫から あるいは

−126−

(9)

が求められる︒叫においてp=lとおくと帥が得られ︑叫で?HOとおくと︑㈲が成立するのである︒

 貨幣政策を論ずるには㈲式を四で除した式dYldMの値を基本とすればよい︒

      三 7S曲線が正の傾斜をもつ次Iト≒モデル

 本節のモデルは次の如くである︒

 本節のモデルと前節のモデルとの大きな違いは︑本節のモデルにおいては投資関数に所得が変数として入って

きていることであろう︒しかしその他の点では富の効果および政府の予算制約式が捨象されているので本節のモ

デルは前節のモデルより簡単化されているのである︒

(10)

が導出される︒

 ⑦︑㈲︑㈲から

を求めることができる︒叫︑帥を連立させてJに関して解くと

が得られる︒匈式の両辺を四で除すと次式が成立する︒

−128−

(11)

又Iの両辺を諮で除すと

とだる︒前節ではか・=0と仮定したため︑7S曲線の傾斜は負であったが︑今度は必ずしもそうではない〇

^‑‑fcB︱flY∇0ならば︑7S曲線の傾斜は負となり︑1‑foT>︱flY△0なら︑7S曲線の傾斜は正となるので

ある︒しかし7S曲線と£M曲線の均衡に関する安定条件より︑匈︑叫の分母は正となる︒

(12)

−130−

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