奈良教育大学学術リポジトリNEAR
小学生における教科学習の目的
著者 杉村 健, 山本 敏久
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 29
ページ 159‑166
発行年 1993‑03‑01
その他のタイトル Purposes of Learning Subjects in Elementary School Children
URL http://hdl.handle.net/10105/6817
小学生における教科学習の目的
杉村 健・山本敏久
(心理学教室)
要旨:全教科、全学年に共通する学習目的と各教科に特有な学習目的を調べる 項目を作成して小学生に実施した。教科によって学習の目的がかなり異なり、
殆どの項目で学年とともに承認率が低下した。国語と算数では、将来の生活に 役立てるために学習し、授業内容では特に漢字と計算の学習をすると答えた者 が多かった。社会、理科、音楽、図工、体育では、共通目的よりも授業内容の 学習を重視している者が多かった。成績を良くすると答えた者は比較的少なく、
音楽と家庭では、特に男女差が大きかった。
キーワード:教科共通の目的、教科特有の目的、学年差、男女差
大人でも子どもでも、さまざまな事柄を学習するにつれて、学習とはどんなことかについて何 らかの考えを持つようになる。これを学習観という。杉村(1993)によれば、学習観には①何の ために学習するのかという学習の目的、②何を学習すればよいのかという学習の内容、③どのよ うに学習すればよいのかという学習の方法の3つが含まれている。子どもの学習行動や教師の教 授行動は、このような学習観に左右されると考えられる。
佐伯(1975)は学べる人間と学べない人間の学習観を区別した。学べる子どもは、真理への問 いかけや意味の理解が学習であると考えるのに対して、学べない子どもは、読んだり書いたりす ることや、与えられた問題をうまく解く方法を身につけることが学習であると考える。稲垣・波 多野(1989)によれば、伝統的な学習観では、子どもを受動的で無能な存在であるとみなし、新 しい学習観では、子どもを能動的、意欲的で、有能な存在であるとみなす。伝統的な学習観は学 べない人間の学習観に、新しい学習観は学べる人間の学習観にほぼ対応している。子どもや教師 がどちらの学習観に立つかによって、学習行動や教授行動が異なることは明らかである。しかし 現在まで、子どもの学習観に関する実証的研究は殆ど行なわれていない。
本研究では、小学生の学習観を知る第一歩として教科学習の目的を取り上げ、それぞれの教科、
学年、男女によってどのように異なるかを明らかにしたい。学年の目的を取り上げたのは、すで に予備調査を行なっており、また、学習の目的と関係する学習動機の研究を長年にわたり行なっ てきたからである(例:杉村・清水,1989)。調査項目の作成にあたり、4年生84名(3学級)
Purposes of Learning Subjec七s in E1ementary Schoo1Chi1dren
Takeshi SUGIMURA and Toshihisa YAMAMOTO
jDξραrfητeη亡 o!Psツ。ん。Zo8ツ,Mαrα σηわθrs北ツ o!亙d阯αcαれ。π,ハ αrα630
に7教科について 勉強の目的 を1つずつ自由に書いてもらった。その結果と学習指導要領を 参考にして、全教科、全学年に共通な項目と各教科に特有な項目を作成した。前者は学習全体の
目標に相当し、より間接的、抽象的な内容である。後者は各教科のねらいに相当し、より直接的、
具体的な内容である。
方 法 調査対象
小学校2年生84名(男子43名、女子41名)、4年生95名(男子48名、女子47名)、6年生90名
(男子42名、女子48名)で、各学年3学級ずっであった。
調査項目
以下に示すように、全教科、全学年に共通な4項目と、教科に特有な4項目からなっている。
全教科、全学年共通
①毎日の生活に役立てるために、○○の勉強をす乱 ②成績を良くするために・○○の勉強をす孔 ③大人になって困らないために、○○の勉強をする。
④将来の生活に役立てるために、O○の勉強をす孔 国語 全学年共通
⑤作文が上手になるために・国語の勉強をする。
⑥本読みが上手になるために、国語の勉強をす乱 ⑦漢字を覚えるために、国語の勉強をする。
⑧どんなことが書いてあるか、わかるようになるために、国語の勉強をする。
算数一全学年共通
⑤計算が速く正しくできるようになるために、算数の勉強をする。
⑥文章題ができるようになるために、算数の勉強をする。
2年生用
⑦ものの大きさや形のことを知るために、算数の勉強をする。
⑧ものの長さや時間のことを知るために・軍数の勉強をす孔
4,6年生用
⑦いろいろな図形のことを知るために、算数の勉強をする。
⑧表やグラフのことがわかるようになるために、算数の勉強をす孔 音楽一全学年共通
⑤歌が上手になるために・音楽の勉強をする。
⑥楽器が上手になるために、音楽の勉強をする。
⑦リズムにのって楽しむために、音楽の勉強をする。
⑧いろいろな曲をきくために、音楽の勉強をする。
図工一全学年共通
⑤手先を器用にするために、図工の勉強をする。
⑥絵や工作が上手になるために、図工の勉強をする。
⑦思い通りの作品が作れるようになるために、図工の勉強をする。
⑧いろいろな作品を見るために、図工の勉強をする。
体育一全学年共通
⑤体を強くするために、体育の勉強をする。
⑥運動神経を良くするために、体育の勉強をする。
⑦いろいろな運動ができるようになるために、体育の勉強をする。
⑧みんなで仲良く運動ができるようになるために、体育の勉強をする。
社会一4,6年生共通
⑤人々の暮らしや仕事のことを知るために、社会の勉強をする。
⑥地図を使えるようになるために、社会の勉強をする。
⑦日本や世界のことを知るために、社会の勉強をする。
⑧昔のことを知るために、社会の勉強をする。
理科一4,6年生共通
⑤実験や観察をするために、理科の勉強をする。
⑥生き物や植物のことを知るために、理科の勉強をする。
⑦自然のしくみを知るために、理科の勉強をする。
⑧太陽や星のことを知るために、理科の勉強をする。
生活一2年生
⑤いろいろなことをみんなで楽しむために、生活の勉強をする。
⑥学校や家の近くのことを知るために、生活の勉強をする。
⑦生き物や草花のことを知るために、生活の勉強をする。
⑧何でも自分でできるようになるために・生活の勉強をする。
家庭一6年生
⑤料理や裁縫ができるようになるために、家庭科の勉強をする。
⑥食物や被服の役割を知るために、家庭科の勉強をする。
⑦家庭生活を明るく楽しくするために、家庭科の勉強をする。
⑧お金や物を計画的に使って生活できるようになるために、家庭科の勉強をする。
調査方法
教室で午前中に行なった。各教科を勉強する目的を調べるという教示をしてから、調査項目を 一つずつ読み上げ、 はい のときにはO印を、 いいえ のときには×印を回答用紙の番号に っけてもらった。各教科とも、共通項目と教科特有項目をそれぞれまとめて提示したが、共通項 目を先に提示する教科と、教科特有項目を先に提示する教科をつくった。
結果と考察 共通項目と特有項目の承認率
教科と学年によって、共通項目と特有項目の承認率がどのように異なるかをみるために、男女 を込みにした4項目ずつの平均承認率を算出した。その結果が表1である。
全体でみると、国語と算数では共通項目と特有項目の承認率がほぼ同じであるが、その他の教 科では特有項目の方が著しく高い。このことから、子どもたちの教科学習に対する目的意識が、
国語、算数と他の教科では異なることが示唆される。小学校では、国語と算数が全ての教科の基 礎であるといわれており、教師や親もこの2教科を重視する傾向がある。子ども自身も、とりわ
け漢字や計算の学習が将来の生活に役立つと考えているのかもしれない。
音楽、図工、体育のような技能的教科では、主として技能にかかわる直接目的に偏ることは当 然のことかもしれないが、国語や算数と同等に扱われている社会や理科でも直接目的に偏ってい
豪1 共通項目と特有項目ごとの承認率(%)
教科項目2年4年6年全体 教科項目2年4年6年全体
国語共通63616161 音楽共通58312538
特有78585263 特有 78644462 共通74676970 共通64474050
算 数 図 工
特有88686774 特有82625767 共通 一625258 共通66484754
社 会 体 育
特有 一737775 特有96868589
共通 一524549
理 科
特有 一747374
る点が興味深い。これらの5教科(音、図、体、社、理)では、日常生活や将来の生活に役立て るというよりも、教科特有の直接目的あるいは授業内容そのものが、子ともにとって重要である ことが示唆され孔これに対して国語や算数では・教科特有の漢字や計算の学習そのものが、将 来の生活に役立つと考えられてい乱
学年別にみると、国語と算数の共通項目では学年による変化が少ないが、2年生では特有項目 の承認率が高く、学年とともに減少している。これは学習内容の変化によるのかもしれない。社 会と理科では学年による顕著な変化はないが、これは2年生がないことによるのかもしれない。
音楽と図工では、共通項目も特有項目もともに2年生から6年生にかけて著しく減少し、特に共 通項目の6年生では25%(音楽)と40%(図工)にすぎない。体育でも共通項目は減少するもの の・特有項目では6年生でも85%という高い承認率を示してい孔これらの結果から・同じよう に技能教科といわれていても、体育と図工、音楽では直接目的に対する意識がかなり異なり、体 育では授業内容そのものが子どもの目的になっているといえる。なお、2年生の生活では共通項
目85%、特有項目88%であり、6年生の家庭ではともに68%であった。
妻2 項目ごとの承認率(%)
2年 4年 6年 全体
国 語 男 女 計 男 女 計 男 女 計 男 女 計
学年性交互
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
47 35 100 56
54 41 95 76
50 38 98 65
35 35 88 60
60 38 92 77
47 37 89 68
45 33 83 52
69 21 98 83
58 27 91 69
42 34 90 56
61 33 95 79
52 34 93 67
**
**
⑤作文が上手
⑥本読みが上手
⑦漢字を覚える
⑧内容理解
56 79 88 72
73 85 95 78
64 82 92 75
21 46 69 79
51 51 81 64
36 48 75 72
29 26 74 69
27 27 90 75
28 27 82 72
35 50 77 73
50 54 89 72
43 ** **
52 **
83 ** **
73 算 数
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
51 72 86 72
61 68 98 80
56 70 92 76
50 50 96 79
53 43 92 70
52 46 94 75
69 52 83 81
75 23 88 79
72 37 86 80
57 58 88 77
63 45 93 76
60 * 52 ** * 91 77
⑤討算技能
⑥文章間題
⑦図形の学習
⑧量と測定
98 74 74 93
98 85 83 98
98 80 79 95
98 42 44 65
94 51 64 85
96 46 54 75
81 50 45 71
83 69 58 77
82 60 52 74
92 55 54 76
92 68 68 87
92 62 61 82
** *
** **
*‡ ‡‡
音 楽
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
37 56 67 58
54 59 68 66
45 57 68 62
13 42 35 27
19 34 40 34
16 38 38 31
5 31 31 7
23 21 38 40
14 26 34 24
18 43 44 31
32 38 49 47
25 41 47 39
‡* **
‡*
**
** ** *
⑤歌が上手に
⑥楽器が上手
⑦リズムで楽しく
⑧音楽鑑賞
93 77 70 53
90 90 71 78
92 83 70 65
54 56 52 48
83 75 83 57
68 65 67 53
31 26 17 24
67 60 73 54
50 44 47 40
59 53 46 42
80 75 76 63
70 64 61 53
**
**
*‡
**
‡* **
*‡
** **
**
図 工
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
58 65 60 74
61 66 7I 59
60 65 65 67
50 38 52 56
45 28 55 51
47 33 54 54
50 36 43 45
38 17 38 56
43 26 40 51
53 46 52 58
46 37 55 55
50 42 ‡*
54 ‡*
57
⑤手先を器用
⑥絵や工作
⑦自由な表現
⑧作品鑑賞
84 98 95 42
93 90 95 56
88 94 95 49
60 88 90 38
47 81 75 19
54 脳 82 28
50 69 67 21
58 73 77 42
54 71 72 32
65 85 84 34
66 81 82 39
66 83 83 36
**
**
‡*
** **
体 育
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
65 65 70 63
59 66 76 66
62 65 73 64
65 33 65 63
49 19 55 34
57 26 60 48
57 40 57 52
40 21 48 58
48 30 52 56
62 46 64 59
49 35 60 53
56 41 62 56
** *
⑤体を強くする
⑥連動神経
⑦いろいろな運動
⑧みんなで仲良く
100 100 100 91
95 95 98 85
98 98 99 88
94 85 92 79
94 79 89 72
94 82 91 76
93 79 88 69
94 77 100 77
93 78 94 73
96 88 93 80
94 84 96 78
95 86 **
95 79 *
*P<.05 洲P<.O1
衰3 項目ごとの承認率(%)
教科 4年
社会
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
⑤人々の暮し
⑥地図の活用
⑦地理的知識
⑧歴史的知識
6年 全体
男女計 男女計 男女計
52 62 5738 30 34
85 79 82
67 85 76 88 89 88 81 66 74 75 68 72 58 57 58
33 35 34 55 25 39 55 79 68 67 69 68 71 96 84 52 54 53 81 96 89 86 79 82
学年性交互
43 49 46 * 47 28 38 70 79 75 67 77 72 80 93 87 67 60 64 * 78 82 80 *
72 68 70 **
理 科
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
⑤実験や観察
⑥生物の知識
⑦自然の仕組
⑧天体の知識
教科 生活
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
⑤みんなで楽しむ
⑥社会との関わり
⑦自然との関わり
⑧自立への基礎
42 32 37 46 34 40 65 64 64 65 68 66 75 85 80 81 87 84 69 89 79 60 49 55
45 35 40 48 25 36 48 44 46 60 58 59 67 63 64 74 79 77 79 83 81 64 77 71
44 34 39 47 30 39 57 54 56 63 63 63 71 74 73 78 83 81 74 86 80 62 63 63 2年 教科 6年
性 性
男女計 家庭 男女計
88 98 93 67 61 64 88 98 93 86 90 88 81 85 83 88 90 89 98 98 98 79 83 81
①毎日の生活
②成績をよくする
③大人になって…
④将来の生活
⑤調理や裁縫
⑥食物や被服
⑦家庭生活
⑧消費生活
60 96 79 **
40 19 29 * 71 94 83 * 76 88 82
57 98 79 **
40 79 61 **
45 75 61 **
67 79 73 *pく〔.05 *まp<=.01
項目ごとの承認率
.表2は、3学年とも同じ項目で実施した5教科(算数のみ若干異なる)について、各項目の承 認率(%)と色変換値を用いた分散分析の結果、表3は、2学年同じ項目で実施した社会と理科
の承認率と分散分析の結果・および1学年だけに実施した生活と家庭科の承認率とπ呈検定の結 果を示したものである。以下では、教科ごとに顕著な結果について考察する。
国語:全体では項目③と⑦の承認率が高く、大人になって困らないために国語の勉強、特に漢 字の勉強をしているといった気持ちが強い。これは、授業でも漢字が強調されていることによる のかもしれない。項目⑤と⑥の承認率が学年とともに著しく減少するのは、作文や本読みが授業 であまり扱われなくなるのかもしれないし、子どもの関心が弱くなるのかもしれない。しかし、
特に作文は思考力や表現力を育てるのに大切である。項目①、④、⑤、⑦では女子の方が有意に 高く、目的意識の強さを反映している。項目⑦の内容理解は、国語の授業の主要な目標であるが、
どの学年の承認率も70%以上であり、望ましい状態にあるといえ孔
算数:全体では項目③と⑤の承認率が高く、大人になって困らないために算数の勉強、特に計 算の勉強をしているといった気持ちが強い。また、授業でも計算が強調されているためかもしれ ない。殆どの項目で学年とともに減少するが、項目①では6年生で有意に増加しており、授業内 容と日常生活との結びつきが示唆される。項目②、⑥、⑦、⑧で有意な男女差があったが、成績
に関する項目だけで男子の方が高かった。
音楽=他の教科と比べて共通項目の承認率が低く、音楽の授業が毎日の生活(項目①)や将来 の生活(項目④)にはあまり役立たないと考えられてい孔殆どの項目で女子の承認率が高く・
これは女子の方が音楽への興味・関心や目的意識が強いことを反映している。学年とともに全項 目の承認率が有意に減少しており、有意な交互作用は学年とともに男子の低下が著しくなること を示す。とりわけ、6年生の男子がどの項目でも著しく低くなっており、この原因については今 後検討しなくてはならない。
図工=全体では項目⑥と⑦の承認率が高く、絵や工作など自由に表現できる技能の向上が図工 の主な目的であると考えられている。項目⑧が最も低くなっており、子どもが作品の観賞に興味 を示さないのか、あるいは授業であまり扱っていないのかもしれない。殆どの項目は学年ととも に減少している。
体育:教科に特有な4項目の承認率はどの学年でも男女ともに著しく高く、毎日の生活や将来 の生活に役立てることよりも、体力の増強や運動技能の向上が体育の主要な目的であると考えら れていることがわかる。
社会1全体では項目⑤と⑦の承認率が高く、項目①が比較的低い。これは・人々の暮らしや日 本や世界の様子を知ることを毎日の生活に関連づけて役立てるまでには、子どもの目的意識が成 長していないことを示唆する。6年生では、項目⑦と⑧が増加するのに項目①は減少している。
このことから、地理や歴史の知識だけでなく、それらが自分の日常生活に活用できるような社会 の授業を行なわなくてはならないことが示唆される。
理科:全体では項目⑥と⑦の承認率が高く項目①が低い。社会と同様に、生き物や自然に関す る知識の学習が重視され、日常生活に役立てるという目的意識が弱い。これは、子どもの意識だ けでなく、毎日の授業においても知識が重視されているのかもしれない。
生活:項目②以外は全て80%を越えており、特に項目①、③、⑦が著しく高く、子どもたちが 生活科の趣旨を理解しているようである。
家庭:項目②は男子の方が高いが、その他の項目は全て女子の方が著しく高く、特に、項目①、
③、⑤では100%に近い承認率であった。殆どの女子は晦日の生活に役立てる 大人になっ て困らない 料理や裁縫ができるようになる といった明確な目的意識をもっているが、男子 では高くても76%(項目④)であった。中学・高校における男女共修が推進されている今日、6 年生でも目的意識に著しい男女差があったことを考慮する必要があ孔
最後に、項目②については高い承認率が得られると予想したが、全教科の平均は2年生では若 干高いものの(60%)、4年生(36%)、6年生(32%)と著しく減少した。高学年になると成績 を良くするために勉強するという外的動機が薄れてくるのかもしれないし、あるいは、勉強して
も成績に反映されないと思うようになるのかもしれない。2年生と4年生では顕著な男女差がな かったが、6年生では女子(22%)が男子(42%)よりも著しく低かった。2年生の女子の国語 は僅かに38%にすぎず、女子の算数の70%と比べて著しく低かった。同じように基礎的な教科で あるが、このような違いがあるのは、勉強の結果が成績に反映される程度が異なることによるの かもしれない。
引用文献
稲垣佳世子・波多野誼余夫 1989人はいかに学ぶか 中公新書 佐伯 畔 1975 「学び」の構造 東洋館出版社
杉村伸一郎 1993学習観 宮川充司・坂西友秀・大野木裕明(編) 児童・生徒の発達と学習 ナガニシヤ出版
杉村 健・清水益治 1989小学生における学習動機の分析 奈良教育大学教青研究所紀要,25,
69−77.
<付記>本研究を行なうにあたり、奈良県磯城郡111西町結崎小学校の協力を得ました。資料の統 計的分析にあたり・心理学専攻3回生足立寛之君・内山美香さん・沢村梢さんの協力を得まじれ 記して感謝の意を表します。