山般軋株式配当とほ自社の株式を以てする利益配当で
あると言われる︒ひとしく配当という名を以て呼ぼれる
けれども︑現金配当と株式配当とは著しくその本質を異
にする︒前者にあっては配当額に等しい会社資産の減少
と利益剰余金の減少がみられるのに対し︑後者の場合軋
は︑会社資産には何等の影響もなく︑利益剰余金の減少
と資本金の増加を生ずる︒
右によって明かな通り通常の配当は︑利益剰余金によ
って代表せられる会社の資産を株主に分配することであ
るが︑株式配当は利益剰余金を資本金に据替えて︑それ
によって代表せられる資産を︑解散の場合を除き︑株主
に分配し得ないものとすることである︒いわば利益剰余
株式配当について 株式配当 に つ い て
貸借対照表(配当前)
資産115,000,000r 負 依 50,000,000 資 本 金 50,000,000 利益剰余金 15,000,000 115,000,000 115,000,000
貸借対照表(1割の現金配当後)
木
︵二四三︶一三九
資産110脚00
益余
110,000,0叫 110,000,000 康
貸借対照表(1割の株式配当後)
負 依 50,000,000 柴 本 金 55,000,000 利益剰余金 10,0恥000 115,000,000 資産 115,000,000
115,000,000
第三十巻 第二・三号 ︵二四四︶一四〇
金の資本金化であり︑通常の配当とは寧ろ相反する性質を持つ︒会社の株主に対する義務も︑株主の持分関係も︑
株式配当の前後において何等異るところほない︒株式配当ほその外見が配当に類似するのみであって︑単に名目的
︵1︶
な配当に過ぎない︒敢に会計学的には真実の配当とほ認め難い︒会社ほ利益剰余金の留保軋よって︑運転資金︑設
備拡張資金︑負債返済資金︑等を賄うことができる︒これは所謂自己金融であり︑複雑な手続や︑費用を要しない
金融手段として広く利用せられる︒かくして利益配当の源泉怒る利益剰余金の一部は︑固定資産等に再投資せられ
る︒設備拡張用資金の需要が大である場合には︑当期利益金も発生するに従って︑固定資産に再投資されることが
あるであろう︒或は又近い将来における設備拡張用に充当せられることが予定せられる場合もあるであろう︒かく
して計算上は配当可能な当期純利益戎ほ過去の利益の蓄積が存在するに拘らず︑−資金的理由から現金配当を行い逝
い場合を生ずる︒かかる場合に︑株式配当が行われ︑二鱒軋おいては︑準株主の配当要求を満足せしめ︑他面に
おいては︑この額が以後配当の源泉たり得ないことを明らかにするのである︒モイヤー・モーツによれば︑アメリ
カの多数の会社ほ︑利益の再投資に.よって会社が膨脹したが︑これに投ぜられた利益は︑決して配当に利用し得な
いことを示すために︑利益剰余金を資本金に変えるところの株式配当を紆用し︑これによって利益の恒久的資本金
︵2︶
化の事実を示すという︒
︵1︶ AccOuO什≡tSV H3旨0旨.Eヒ什e−by W.A.P芝00u U乙E致tiOコ︶ p.−○缶
︵2︶ C・A・M︺yり︻冨−R.戸 M︺ヒz︶ F5旨○︺︺−AccOu已in野−省一u p.N警
二
っぎに株式配当の実施に関連して考慮すべき問題を︑我が商法の規定を中心に︑考察することとする︒
配当 の源泉
アメリカでほ十﹂の州を除き︑大体において︑再評価剰余金以外の山切の剰余金が現金配当の源泉として︑又す
亀
∴1︶ ぺての剰余金が株式配当の源泉として認められている︒株式配当の本質ほ剰余金の資本金化であり︑如何なる剰余
金を資本金に振替えても何等差文なき筈である︒然しながら我が商法ほ株式配当を以て現金配当と異質のものとほ
みないⅥで︑その源泉を利益剰余金から利益準傭金を控除したものに限定している︒︵尤も準備金や再評価埜豊
の野本金化ほ別の規定にょって認められている︒︶
㈲ 配当に充てる株式
株式配当に充てる株式は︑新に発行する株式でなければならない︒ア
められ︑これを配当に充てることができるが︑我が国では例外的場合の他︑自己株式の取得を禁止せられており︑
例外的に取得した自己株式も︑これな配当に充てることほ許されない︒従って株式配当は投権資本の枠内でのみ行
い得る︒
㈲ 配当株式の発行価敬
我が商法によれば︑株式配当ほ額面株式︑無額面株式の何れにもよることができる︒而して額面株式はそ揖巻向
額で︑無額面株式ほ株主総会の決議で定めた発行価額で配当したものとする︒叉無額面株式の発行価妬の叫部を資
本金に組入れないで払込剰余金とすることを認めない︒
アメリカの多数の州の州法も略ヒ右と同じ立場をとっでいる虻 これ紅対しAccOuntingResea岩h Bui12tin誉・
はつぎのように相異る見解を述べている︒
株式配当は事実上︑会社資産にも︑会社に対する株主の持分にも何等の変化をも与えない︒然しながら︑多数の
三四五︶ 小四山 株式配当について
亜卦銀河芦帥剖l 覇歯
なる公式によって決定される︒又発行済株式発行の際︑株主から受取った二株平均払込額を分母とする公式を以て
︵3︶
これに代えることもできると述べている︒
その他株式の帳簿価額を以て発行価額とすることも考えられる︒然しながら株式配当を単なる剰余金の資本金化
とみる︑ならば我が商法の規定で十分であると思う︒その他の基準を採用して︑利益剰余金の資本金化と資本剰余金
化を併せ行う必要ありとほ考えられない︒
㈲ 配当株式の端数部分の処理
寵当すべき利益の額に︑券面叡又ほ発行価額に満たない端数があるときほ︑その部分についてほ現金で配当する
と商法は規虚している︒各棟主にとっては些細な金額であるから︑事務処理を簡便ならしめる意味で︑かかる簡単
な処理方法が実用的であるかも知れない︒然tながら︑理論的に言えほ︑現金配当を受ける老と︑株式配当を受け
る者との間にほ︑利害の相連があるから︑これ等の端数株を一指して適当な時期に換価し︑その手取金を端数株に
応じて株主に分配することが︑株主平等の原則に合致する所以であろう︒
少
︵二四六四二 第三十巻 第二・三号
枚式配当受領者ほ︑新に発行せられた株式の公正な価魔に相当する額の分配が行われたものとみている︒従前の株
式数に比し︑新に発行せられる株式数が少いため︑従前の株式の市価に殆んど変動がみられない場合は特に然りで
ある︒かかる場合は新に発行される株式の公正価格紅等しい額を︑利益剰余金から資本金及び資本剰余金に振替え
︵2︶
るべきである︒
ぺートンはこれに反対して︑留保利益資本金化の手段とし′て新株が発行せられる場合︑所要株式数は
将認紗蒜廉かス坤鳩蔀堂飯温
あるから︑㈲の仕訳でよい訳であるが︑㈲の方が.よりよく経過を明かにするとみられるならば︑このように二段の
仕訳を行ってもよい︒
このような処理が行われる前後の貸借対照表を図示するならば左の通りであ︑る︒ ︵1︶ E■2・Si声AccO仁n−ingfO−Di象endsu AccOu註n恥R2く肯き吉yこ澄む ︵2︶ StOCkD首訂ndsa邑Sp宇亡pS⁚きc︒喜き品丁蒜芝mentbySt︒Ck邑de㌫and C︒︻p︒邑山芦J︒喜巴︒fA︒︒︒u︒・
tancy−Jaヨua︻y︸−¢ひ∽︐
︵3︶ PatOコ呂dPatOn︶C︒rpO邑i昌AccOuntS aコdS︷心訂ments︶−¢∽∽p・−NP
三
前掲の貸借対照考の例に従って︑発行会社の立場から︑株式配当の会計処理︑並にその本質について考察を試み
ることにする︒甲祉は山株五十円の額面株式百万株を発行済であるが︑山割の株式配当を行うこととなつた︒︵会
計期問山ケ年︶既に述べたように︑株式配当ほ利益剰余金を減少し︑資本金を増加するものであるから︑株式配当
を決議した総会終了後
●
の仕訳を行う︒株式配当を受ける株主は︑株式配当を決議した株主総会終結の暗から︑ 又は
株式配当について 一︺ ∵∵∴■ご∵‖∴ ∵ ご≡妄三
ひー000︸000
昇 班 河 此 ハl ∵︑∴.・∴=∵h・ J﹂童−﹂一==
ニ ∴ ∴ ニ い﹂︶t芦二こ
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︵二四七︶ 山四三 新株につき株主となるので
この図の示す通り︑︑株式配当が行われることによって︑資産︑負債の総額も︑その構成も︑株主持分の合計額 ︵資
本︶・も全く影響されない︒変化した唯一の点は︑隆本金と利益剰余金な区分する点線が下ったことである︒即ち株
主持分の脚部が山つの区分から他の区分に移されたのみである︒・尚総額六千五有万円の株主持分が十万単位匿分割
せられていたものが︑十山万単位に細分せられる結果山株当りの帳鰭価格ほ六十五円かあ五十九円九銭に減少す
る︒ 利益剰余金を留保し︑これによって拡張登金を賄うには必ずしも株式配当を必要とせず︑単に配当を制限するこ
とによって自由に行うことができる︒ただ︑二匿株式配当に
画をくつがえし︑をの資金を株主紅分配するが如きことは︑解散の場合以外は行われない︒
●
貸借対照表
里 _一_
株式配当後 株式配当前
︵二四八︶一四四
株式市価は他の条件に変動なき限り︑株式数増加に反比例して︑下落するものと一応考えられる︒本例の場合︑
株式配当直前の株価が六十五円であるとすれば︑株式配当後は約五十九円に下落する筈である︒然るにアメリカの
実例によれほ︑株式配当の風評は︑株価勝島の要素とみられ︑市価が若干騰貴することが屡々あるという︒株式配
をもつところの︑再評価積立金の資本金繰入に伴う︑所謂株式の無償交付に際し︑屡々同様の現象がみられる︒右 当実施後ほ勿論下落するが︑本例の計算のように五十九円の線までは必ずしも下潜しないことが多い︒我が国でほ 株式配当の行われる例ほ少いが︑株主持分の総額をより多数の単位に細分するという点で︑全く株式配当と同性質
の会計学的分析の鶴点からすれば︑この現象偲些か不可解である︒思うに︑この原因の一つほ株式配当乃至株式分
割の本質に関する世人の誤解である︒即ち株式配当を現金配当と殆んど同様に考える老が少くないことである︒今
一つの原因は︑爾後総額においてより多額の現金配当が行われることになるであろうとの掛待である︒
∴健常者が高率配当に対する︑労働組合その他の批判を緩和するために株式数を増加し︑一株当りの配当額を増加
することなくして︑配当総額を増加せしめようと考えることはあり得るであろう︒公衆も亦会社の経理内容を把握
し得ないから︑その真実の収益力︑従って配当能力を知り得ない︒これ等の事情が結合し七︑右のような期待が生
れることは想像に難くない︒
四
株主の立場から株式配当をみるとき︑最も重要な問題は︑株式配当ほこれを受ける株主にとって所得なりや否や
という点である︒この問題に入るに先だち︑先ず株式会社の基本的性格を明かにする必要がある?これについては
代理人説︑AgencyCOnCept︑企業実体説EntityCOnCeptの二つの説が対立する︒前者ほ︑会社な単に一群の人
三四九︶ 小四五 株式配当
● 、
や︑彼等・の個人的資産とは別個の独立した実体とみるのである︒ ︵
l︶ ハズバンドほ代理人説を主張してつぎのように述べる︒
会討的及び経済的目的からするとき︑会社ほその出資者たる株主に対し︑代理人関係をもつものとみるのが妥当
である︒法律が会社なる組織体に対して付与した種々の特性にも拘らず︑倫個人の集団たる性格が残っている︒会
社の場合︑元来企業を組織し︑それを営利目的のために運用するのは〟般株主である︒株主達は最後の決定権をも
ち︑窮極の危険を負担する︒
右のハズバンドの所説はつぎのように適用困難な場面に遭遇する︒元ず会社を多数の一般株主にょって構成せら
れる公募会社と︑少数の同族等によって構成せられる個人的会社とに区別して考えなければならない︒後者の場合
は少数の株主が︑租税の軽減︑その他の目的を以て︑彼等の資産を会社という組織の中に置き︑彼等自ら会社を完
全に掌握する︒このような場合︑代理人説が妥当することは疑う余地がない︒然しながら︑この種の会社は︑形式
的にのみ会社であって︑その実質は個人企業乃至組合企業に近く︑規模も概して小さく︑仙般会社に比較すれば︑
その比重は概して軽い︒
我々がより多くの関心を持たねほなむないのは・寧ろ広範囲に亘って多数の株主を擁する公募会社である︒ハズ
バンドは公募会社の性格について誤った見解をもっているように思われる︒株主は経営者を選挙する権限を与えら
れているけれども︑経営政策の樹立その他の委務に対する株主の統制力ほ極めて微力である︒彼等の大部分ほ︑こ
のような問題に対する関心が少い一時的な株主である︒経営に直接参加するのほ比較的少数の株式を所有する二部
の株主達であることが多い︒ 第三十巻 第一て三号
々によって醸出せられた資金の管理を引受ける代理人に過ぎない︑ ︵二五〇︶一四六
とみるものであり︑後者は︑会社を個々の株主
このような劇団の人達が︑︑利害や希望を異にする多数の公募株主のために代理人として行動しているとみること
は困難であ嵐︒
公募会社の場合︑大部分の個人株主と会社との関係は︑単に間接的なものであり︑而も極めて微々たるものであ
る︒少数の集中株主は取締役会の一員として経営に直接の影響力を与える︒然しながら大部分の人々にとってほ株
︵2︶