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連結財務諸表監査について

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(1)

連結財務諸表監査について  

森   賓  

Ⅰ ほじめに 

企業会計審議会ほ,昭和50年6月に.,「連結財務諸表の制度化に関する意見   書」(以下「意見書」と略す)およぴ「連結財務諸表原則」(以下「原則」と略   す)を発表した。「意見昏」ほ,昭和52年4月1日以後に.開始される事業年度か   ら連結財務諸表を提出させるものとしている。ここに,わが国の連結財務諸表   制度の発一歩が踏みだされたということができる。   

わが国に.おいて連結財務諸表の必要性が強調されはじめるように.なった契機   ほ,企業集団化現象に対応して,投資家に.その実態を反映する会計情報を提供   するという外部会計情報の発展ではなくて,むしろ,山陽特殊製鋼事件を代表  

として昭和30年代の末ごろに頻発した粉飾決算事件の防止対策にあった。すな   わち,こ.れらの粉飾決算事件の多くの場合に.,親子会社相互間の売買および債   権債務の会計処理が,粉飾の手段として利用されていたので,このような粉飾   決算二に対する監査の強化充実の方法の−・環として−,連結財務諸表の制度化の問  

(1) 題がとりあげられたのである。  

そこで,昭和40年3月の大蔵大臣.の諮問に対して,企業会計審議会は,昭和   42年5月に,「連結財務諸表に.関する意見書」を発表した。しかし,わが国に  おいて−ほ,連結財務諸表制度は,このような外部会計情報の拡張の磯が熟して  

(1)「連結財務諸表に関する意見書」は,連結財務諸表の目的は,まず,欝ユに,「企業   集団を構成する会社の財務諸表を結合して,個々の会社の財務諸表だけでは表わし得   

ない企業集団として鱒経営成績及び財政状態を適正に表示」することにあるとし,第   2紅,「①支配従属関係にある会社の監査の充実,⑧企業課税の実質的合理化,⑧経営  

管理上必要な情報の提供」の機能をあげている。しかし,企菓会計審議会紅対する大    蔵大臣の答申の背景から,粉飾決算の防止が,当時は主要な意図であったことほ朋ら   かである◇   

(2)

第48巻 算5・6号   514  

−・4 −  

いなかったので,むしろ,公認会計士監査制度および監査役制度の強化改善の   ほうが急がれた。そして,とりあえず,監査実施準則に‥おいて,支配従属会社   との取引の監査が,通常の監査手続濫盛りこ.まれることに.なった。   

そして,ついに.,昭和49年3月に,約10年間の年月を経て,商法の監査役制   度が改正され,監査特例法に.よって,職業的専門家である公認会計士の監査が   導入されることになった。このような商法の監査役制度の改正の後にあらわれ   た連結財務諸表の制度化は,昭和30年代末の粉飾決算事件を契機としてはじめ   られた企業監査制度の強化改善のいわば総仕上げともいうペきものであろう。   

しかし,他方に飼いて,わが国の企業の集団化現象の進展は,株主および投   資家にとって,投資判断の資料としては,個別財務諸表だサでは不十分であり,  

連結財務諸表が必要であることが認識されるようになってきた○そして,また,  

経済の国際化は,このような認識をより現実化させた。   

そこで,証券取引審議会は,昭和45年12月に,「企業内容開示制度の整備改   善に.ついて」と適する大蔵大臣の要望書に・おいて,わが国においても,企業集   団化現象が既着に.なりつつあるので,欧米詩囲の例に・ならって,連結財務諸表   制度を早期に.採用することを勧告している。また,昭和46年2月の証券取引法   の改正法案に.対する衆院大蔵委員会の付帯決静では,最近の資本取引の自由化  

および証券市場の国際化の動きに応じて,投資家を保護するために連結財務諸  

表制度の採用の検討が含まれていた。そして,これを受けて,昭和46年6月に・,  

大蔵大臣から,企業会計審議会に・,連結財務諸表の制度化につき諮問がなされ   た。「意見署.」および「原則」は,このような経過紅よって産みだされたもので  

ある。   

こ.のような経過によつて明らかなように,連結財務諸表は,一・つに・は,昭和   30年代末の粉飾決算事件を契機としていたことが示すように・,企業ゐ粉飾決算   の防止を指向するものである。しかし,これに・とどまらないで,投資家に対し   て,企業集団紅関する適正な会計情報を提供することを指向するものでもあ   る。そして,「意見書」が明らかに・しているよう把・,連結財務諸表ほ,公認会計   士またほ監査法人による監査が要求されている。したがって,とのような監査   

(3)

連結財務諸表監査について   − ∂ −  

515  

に.おいても,連結財務諸表制度における二つの意図を理解しでおくことが必要   であろう。  

ⅠⅠ連結財務諸表の目的  

連結財務諸表の監査の基本的理念として,連結財務諸表が,どのような利害   関係者を想定しているかを明らかにしておくことが必要であろう。・−・般に・,連   結財務諸表作成の見地として,親会社の見地と実体の見地とがあげられる。親   会社の見地に立てば,子会社の少数株主持分ほ,企業外部者の持分と考えられ  

るが,実体の見地に.立てば,少数株主持分をも含む実体全体の立場から,連結  

(2) 財務諸表が作成されることに.なる。ところで,わが国の「 原則」は,親会社の  

見地に.立つものであり,つぎのようにのぺている。   

「連結財務諸表は,支配従属関係に.あるこ以上の会社からなる企業集団を単   一・の組織体とみなして,親会社が当該企業集団の財政状態及び経営成績を総合  

(3)  

的に報告するために作成するものとしている。」   

このような連結財務諸表ほ,親会社の株主および投資家に.とって有用なもの   と考えられる。たとえば,企業集団において,親会社が,子会社に・不当に高い   価格で商品を販売することに.よって,個別財務諸表の段階でほ,親会社の経営   成績が良好紅示されるが,連結財務諸表を作成することによって,実はこのよ  

うな商品が,実際に.は市場牡蛎売されておらず,未実現利益として消去される   ので,親会社の実態が明らか紅される。これを,「意見書」は,つぎのよう紅の   べている。  

「髄券取引法に基づく企業内容開示制度ほ,投資象のための投資情報を開示   させるこ.と紅より,投資家保護に資することを目的とするものであるが,企業   集団の場合紅は当該■企業集団を構成する個々の会社の財務諸表だけでは,投資   情報としで十分ではない。従って,開示会社が企業集団の親会社である場合に  

(2)実体説紅立つものとしては,ムーニッツが有名である。N.Moonitz,丁ゐβ助坤γ    rカβOrγげC仰皿沼♂〃f♂d∫fα才β∽β花ヂ.s,1944.白鳥庄之助訳,『連結財務諸表論』昭   和39年。  

(3)企業会計審議会「連結財務諸表原則」の第1.   

(4)

算48巻 第5・6号  

− 6 −  

516  

は,当該企業集団に属する会社の財務諸表を結合した連結財務諸表を提出する  

(4) 制度が確立される必要があると考える。」   

しかしながら,連結財務諸表は,法律的にほ別個の会社を,経済的に単一・の   組織体とみなして,会社間の投資関係,会社間の取引および未実現損益および   債権債務関係を相殺消去するものであるから,個別会社紅対する債権債務関係   および配当に・関する法的規制は,個別財務諸表に基づかなければならない。し   たがって,連結財務諸表に.は,このような限界があるので,企業集団に関する   利害関係者砿対して等しい役割を果たすとは考えられない。 また,同一・の利害   関係者に.対しても,目的が異なれば,連結財務諸表は,個別財務諸表よりも有   用であるとはいえない。  

そこで,わが国では.,連結財務諸表ほ,投資家保護の目的から,親会社の投   資家に,個別財務諸表を補足する会計情報を提供するものとしている。これに  ついて,「意見書」は,つぎのようにのぺている。   

「■企業内容開示制度における連絡財務諸表としては,わが国に.おける会計慣   行の現状からみて,当面,個別財務諸表を補足して企業集団紅関する財務情報   を纏供する観点から,有価証券報告書及び有価証券届出書の添付書類として−嬉  

し5)  

出する方法に.よることが適当であると考える。」   

米国でも,従来から,連結財務諸表は,親会社の株主のために作成されるも   ゐであるという考え方がとられてきた。しかし,最近の,国際会計基準草案発   3号に.もあらわれてきているように,連結財務諸表は,親会社の株主ばかりで   なく,親会社をめぐる利害関係者としての債権者,従業員および顧客に対して   も必要な情報を提供するものであるという考え方が,世界的な方向としてあら  

(6)  

われてきている。しかしながら,企業集団における各個別会社の法的な利害開  

(4)企業会計審議会,「連結財務諸表の制度化に・関する意見書」の一・の1.  

(5)企業会計審議会前掲意見書の−・の2.  

(6)国際会計基準委員会の国際会計基準(公開葦案第5号)「連結財務諸表および持分    法」の算16項は,「現在ないし将来の株主,従業員,顧客ならびに,ある状況紅おける    戯磯者は.,その集団全体の将来の成績に関心をもつ」として,これらを連結財務諸表  

に対する利害関係者としている。   

(5)

連結財務諸表監査紅ついて  

− 7・−  

517  

係は,個別財務諸表に基づいて確定される。このような現状に・おいては,連結   財務諸表は,企業集団の財政状態および経営成績に関する情報を提供するもの  

であるが,企業集団紅おける利害関係者の利害を確定するものではない。   

そして,企業集団払おける利害関係者ほ,連結財務諸表紅よってえられる情   報によって,個別会社に対して直接に意思決定を行なうのではなく,このよう   な情報を背後紅おいて,個別財務諸表紅よってえられる情報に.よつて,より直   接的紅意思決定が行なわれると考えられる。このように.,連結財務諸表の利用   に.は,このような連結財務諸表の性質および限界を理解しておかなければなら   ない。   

したがって,米国のように.,連結財務諸表制度が,長い歴史をもっている国   に.おV、ては,連結財務諸表を主とすることは適当である紅しても,わが国のよ 

うに.,連結の実務が,まだ一・般化していない場合に.は,「窓鬼畜」のよう紅,連   結財務諸表を,個別財務諸表を補足するものとして位置づけることが翼当であ   ろう。  

ⅠⅠⅠ連結財務諸表監査の目的  

連結財務諸表は,証券取引法に基づき,投資家保護のために,個別財務諸表   を補足して,投資家紅企業集団紅関する会計情報を提供することを目的として   いるので,個別財務諸表の場合と同じように.,その信旗性が,監査人に.よって   賦与されなければならない。そこで,「意見書」は,「提出される連結財務諸表   は,その重要性紅かんがみ,公認会計士又は監査法人の監査証明を受けたもの  

(7) でなければならない」としている。   

「原則」は,連結財務諸表の目的時,「支配従属関係にある・ニ以上の会社から   なる企業集団を単一・の組織体とみなして,親会社が当該企業集団の財政状態及  

(8)  

び経営成績を総合的に報告する」こととしている。したがって,連結財務諸表   監査の目的は,連結財務諸表が,このような目的を合理的に.達成するように・作  

(7)企業会計審議会,前掲意見書の−・の2。  

(8)企業会計審議会,前掲原則の弟⊥・.   

(6)

第48巻∴欝5・6号   518  

− β −・  

成されているかどうかを監査し,報告するものである。すなわち,「原則」は,  

「連結財務諸表ほ,企業集団の財政状態及び経営成績に・関して真実な報告を捷  

(9) 供するものでなければならない」としているが,監査は,これを確かめること  

を目的とするもので奉る。  

そこで,連結財務諸表が,企業集団の財政状態および経営成績に関して真実   な報告を行なっているかどうかを監査するために,つぎの三つのことを確かめ   るこ.とが必要である。   

まず,舞−・に.,連結財務諸表が,「企業集団に属する親会社及び子会社がナ般   に.公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成した個別財務諸表を基  

(10) 礎として作成され」ているかどうかを確かめなければならない。   

づぎに,連結財務諸表が,「企業集団の状況祇関する判断を誤らせないよう,  

(11)  

利害関係者紅対し必要な財準情報を明瞭た表示するもので」あるかどうかを確   かめなければならない。   

さら紅,第三に,「連結財務諸表作成のために採用した基準及び手続ほ,毎期  

(12) 継続して適用し,みだりに.これを変更して」いないかどうかを確かめなければ  

ならない。   

そ・こで,連結財務諸表監査に.おいては,まず連結財務諸表の基礎に・なる個別   財務諸表が,−・般に公.正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成され   ているかどうかという個別財務諸表の信頼性を確かめなければならない。つい   で,連結財務革表作成紅必要な諸資料の信漑性を確かめ,さらに,これら藷資   料および個別財務諸表に.基づいて行なわれた連結業務および作成された連結財   務諸表を監査しなければならなV、。   

このような連結財務諸表監査において,「原則」は監査のための重要な基準   になる。すなわち,「意見書」は,「連結財務諸表原則は,わが国の会社が,証   券取引法紅基づいて提出する連結財務諸表の作成基準を示したものである。会  

(9)前掲原則の第二の一・.  

(10)前掲原則申第二のニ.  

(11)前掲原則の第二の三.  

(12)前掲原則の第二の四.   

(7)

ー 9 −  

連結財務諸表監査紅ついて  

519  

社は,連結財務諸表原則に.従って連結財務諸表原則を作成しなければならない   が,同時に,この原則は,公認会計士又は監査法人が連結財務諸表につい七監  

(13〉 査を行う場合に.おいて従わなければならない基準となる」として:いるところで  

ある。   

ところで,連結財務諸表監査も,基本的には,個別財務諸表の監査の場合と   何ら異なるところはない。しかしながら,具体的には,連結財務諸表の監査の   場合に.は,親会社の他に多くの子会社および関連会社を含む企業集団の会計を   監査対象としなければならないところから,多くの問題が生じる。たとえば,  

監査計画においても,企業集団全体の立場から,総合的な計画を立て,監査が,  

効果的,能率的かつ適時に.実施されるように.しなければならない。また,連結   財務諸表監査では.,どうしても,他の監査人の監査業務を利用する場合が多く   生じる。さらに,連結財務諸表の適正性に対する意見表明においても,他の監   査人の利用の問題を含めて,多数の企業の個別財務諸表の適正性を総合的紅判   断しなければならないという問題もある。   

そ・して−,これらの問題に加えて,連結業務の監査という連結財務諸表特有の   監査問題をとりあげなければならない。これらの問題としては,「原則」に示さ   れているように・,連結範囲の決窄,連絡決静日が統一・されてこいない場合の処理,  

在外子会社等の財務諸表項目の換乳 連結貸借対照表に‥おける投資勘定と資本   勘定の相殺消去および非連結子会社および関連会社に射する投資勘定の貸借対   照表価額,連結損益計辞書における連結会社相互間の取引高の相殺消去,未実   現損益の消去,表示方法,連結剰余金計算書の作成および表示および連結財務   諸表の注記事項などがあげられるであろう。  

ⅠⅤ 連結範囲の監査  

まず,被監査会社の連結財務諸表の作成に.おいて,一・定の連結方針が,継続   的に.適用されて,連結すべき会社の範囲が,適正紅決定されているかどうかを   確かめなければならない。そして,連結から除外されている会社については,  

(13)前掲意見審のこの2.   

(8)

第48巻 第5・6号  

−ヱクー・  

520  

それが正当な理由に.基づくものであるかどうかを検討しなければならない。   

「原則」瀬,「 親会社は,原則としですべての子会社を連結の範囲に.含めなけ  

(14)  

れはならない」としている。そして,.この場合において−,「親会社とは,他の会   社における議決権の過半数を実質的に.所有している会社をいい,子会社とは,  

当該他の会社をいう。親会社及び子会社又は子会社が他の会社に.おける議決権   の過単数を実質的紅所有している場合における当該他の会社もまた子会社とみ  

く15) なすものとする.」としている。   

そこで,監査人ほ・,親会鱒より,子会社および関連会社の社名,所在地,持   株関係,役員関係およ一び取引関係を記載した−・盟表を提出させて,これを検討  することが必要である。また,監査人は,親会社の子会社株式の実質的所有を   確かめるために,有価証券,投資有価証券,関係会社株式等の勘定における取   引および内容を検討し,さらに,他御定のなか紅皐含まれていないかどうかを   確かめなければならない。   

つぎに.,連結から除外されている子会社がある場合には,その除外が妥当で   あるかどうかを検討しなければならない。「原則」は,連結からの除外会社とし  

て  

(1)更生会社,整理会社等有効な支配従属関係が存在しないため組織の一・体    性を欠くと認められる会社  

(2)破産会社,宿弊会社,特別清算二会社等継続企業と認められない会社  

(3)親会社がその議決権の過半数を単に一博的に・所有していると認められや    会社  

(4)前記以外の会社であって,連結することに.より利害関係者の判断を誤ら    せるおそれのある会社  

(16)  

をあげている。   

こ.のなかで問題に.なるのほ(4)であり,.その判断ほ.非常紅困難な場合が考え   られる。たとえば,(4)の事例としては,在外子会社の場合に,その所在国の  

(14)前掲原則の費三の一・の1.  

(15)前掲原則の第三の−・の2.  

(16)前掲原則の第三の一・の3.   

(9)

連結財務諸表監査紅ついて   ーヱ∫− 

521   

政情不安のために.,.正常に.機能していないとか,あるいは,為替相場が異常で   あって,その財務諸表項目を換算して連結財務諸表に含めると反って誤解を招  

くことがあげられている。また,在外子・会社への送金が制限されている場合も,  

連結に.適しないとされている。さらに.,営業種類の異なる子会社を除外すべき  

(17)  

かどうか問題である。旧意見書の場合にほ→ これを除外のケースとしていたの   であるが,「原則」ほ,これを認めていない。   

このような子会社の連結範囲からの除外ほ,粉飾決算紅利用されるおそれが  

(18) ある。すなわち,連結財務諸表を,よりよくみせるために,経営成績のよくな  

い子会社を連結から除外することも行なわれるであろう。このように.,連絡範   囲からの子会社の除外が粉緬決算のためであるかどうかの判断ほ,困難な問題   を含んでいる場合もあるので,連結範囲の決定方針の継続性が重視されなけれ   ほならないであろう0   

なお,小規模会社に.は,重要性の原則が適用される。すなわち,「原則.」の注   解4ほ,「子会社でiその資産,売上高等を考慮して−,連結の範囲から除外して   も企業集団の財政状態及び経営成績に関する合理的な判断を妨げない程度に.重  

(19)  

要性の乏しいものほ,連結の範囲紅含めることができる,」としている。ただし,  

個別的には小規模であっても,これらを総合すれば重要に.なる場合にほ,除外   が適当とは考えられないことはいうまでもないことである。   

さらにり「原則」ほ,非連結子会社および関連会社紅対する投資勘定匹.は, 

(20)  

則として,持分法を適用しなければなら率いとしている。そこで,持分法が適   用される関連会社の範囲が適正に.決定されているかどうかを,子会社の場合と   同じような方法で監査しなければならない。この場合に・,関連会社とは,「連結   会社(親会社及び連結された子会社をいう。)が,子会社以外の他の会社の議決  

(17)国際会計基準委員会の前掲草案でも,異業種会社の除外紅は,十分な理由がないと   している。  

(18)そこで「意見苔」は,「重要な子会社であって,連結ゐ範囲から除かれるものカミ葬   るときほ,当該子会社の個別財務諸表を同時に.提出させる等の措置を講ずるものとす   る」としている。企業会計審議会,前掲意見書の三の3.  

(19)企業会計審議会,連結財務諸表原則注解4.  

(20)企業会計審議会,前掲原則第四の五の1巾   

(10)

第48巻 第5・6号  

−ヱ2−  522  

権の百分の二十以上を実質的に.所有し,かつ,人事,資金,技術;取引等の関   係を通じて当該会社の財務および営業の方針に対して重要な影響を与えるこ.と  

(21) ができる場合に.おける当該他の会社をいう」のである。ただし,「被投資会社が  

更生会社,整理会社等である場合は,関連会社軋該当しない。」   

そ・して,非連結子会社および関連会社であって,もしも,持分法の適用から   除外されているものがあれば,それが正当な理由に.基づくものであるかどうか   を確かめなければならない。   

「原則」は,持分法の適用除外会社として  

(1)非連結会社のうら,つぎのいずれかに・該賞する会社   

① 更生会社,整理会社等有効な支配従属関係が存在しないため組織の一体  

性を欠くと認められる会社   −   

⑧ 破産会社,清算会社,特別清算会社等継続企業と認められない会社  

(2)関連会社のうち,つぎのいずれかに・該督する会社   

① 破産会社,清算金社,特別清算会社等継続企業と認められない会社   

⑧ 投資会社が,その議決権の百分の二十以上を単に.−・時的に.所有している   と認められる会社  

く22)  

をあげている。なお,この持分法の適用除外の場合に.も重要性の原則が適用さ  

(e3)  

れる。  

Ⅴ 連結財務諸表監査の準備および計画  

連結財務諸表の監査のために.は,連結範囲匹含まれる子会社および持分法が   適用される非連結子会社および関連会社の個別財務諸表の信頼性を確かめるこ  

とが必要である。そこで,これらの子会社および関連会社の監査が行なわれな   ければならないが,これらの会社の多くほ監査の経験をもたないものである。  

したがって,連結財務諸表作成の準備体制の整備ばかりでなく,監査の受人体  

(21)前掲原則第四の五の2.  

(22)前掲原則算四の五の3.  

(公)企業会計審議会,前掲注解12.   

(11)

連結財務儲表監査について 

ーヱβ−  

523  

制の整備も必要である。   

まず,連結財務諸表作成の準備体制と、して,子会社の決算日は親会社の決算   日把統一されることが必要である。′「原則」は,「連結財務諸表の作成に関する   期間は一年とし,親会社の会計期閤に.基づき,年一回一・定の日をもって連結決  

tごj) 算日とするものとする,」としている。つぎに,親会社および子会社の会計処理  

の原則および手続の緻一も必要である。「原則」は√,「子会社が採用する会計処   理の原則及び手続は,できるだけ親会社に.統一しなければならない」としてい  ¢の  

る。   

これらの準備体制が整備されて小串い場合に軌 これ軋関確して準備作業が   必要になる。たとえば,決静日が統一・されていない場合に・は,倣決算またほ整   理が必要に.なる。そして,このような作業が正しく行なわれているかどうか   も,監査しなければならないであろう。   

さらに.,本格的な準備作業鞋対して監査しなければならない。たとえば,在   外子会社等の財務諸表項目が正しく換算されているかどうか確かめなければな   らない。「鳳財」は,「在外子会社等の外貨で表示された財務諸表項目の換算に  

(26)  

当ってほ,・一・般把公正妥当と認められる換算の基準に従わなければならない.」  

としている。また,連結業務のために多くの資料,たとえば,親会社および子   会社相互間の債権債務および取引の明細および取得した資産の明細把関する資   料を準備しなければならない。そこで,これらの資料も正しく作成されている  

ことを確かめなければならない。   

近代監査ほ,試査を建前にして,合理的な監査を行なう構造になっている。  

そこで,子会社および関連会社の内部統制を整備充実させるように・指導するこ   とが必要である。とく1に.,連結業務に.不可欠の連結会社間の差額の調整作業が   円滑に.行なえるように,残高照合を定期的紀行なって,差額の原因の追及が容   易であるようにしておかなけれほならない。   

つぎに,連結財務諸表監査は,非常に.多数の子会社および関連会社の監査を  

(24)企業会計審議会,前掲原則第三のこの1  

(25)前掲原則第三の三,  

(26)前掲原則第三の四,   

(12)

第48巻 第5・6号   524   

・−・ヱ4−  

含み,しかも,できるだけ早期に監査を終了サることが必要であるので,監査    人は,合理的な監査計画を設定し,こ.れにしたがっで能率的に監査を実施しな    ければならない。また,子会社および関連会社の監査は,親会社の監査人が行    なう場合もあり,また,他の監査人の行なった監査を利用する場合もある。さ    らに.,監査計画に.おいては,連結財務諸表に対する子会社および関連会社の重    要性を判断して,通常の監査手続をそのまま適用するか,より制限された監査    手続を適用するか,あるいほ,ローデージョン計画匿・基づいて一会社を選択して   監査手続を適用するか,さらに.は書面による監査だけに・とどめるかを決定しな    けれぼならない。  

また,多数の子会社および関連会社の個別財務諸表に対する監査計画と連時    財務諸表の監査とは,相互に.円滑な関係に保たれるように・,合理的に調整され,   

また,多人数の監査スタッフの業務が,組織的かつ能率的に行なわれるように  計画されなければならない。とくに.,これほ在外子会社の場合には,非常紅重    要な問題であろう。  

ⅤⅠ個別財務諸表の監査  

連結財務諸表監査ほ,個別財務諸表を基礎にして作成されるものである。し    たがって,連結財務諸表の監査のために.,連絡会社および持分法が適用される    非連結子会社および関連会社の個別財務諸表の監査が必要である。この場合    に,親会社の監査人が,これらの会社を監査する場合と,他の監査人を利用す  

(27)   

る場合とがある。  

1 親会社と同一・の監査人が監査する場合  

親会社の監査人が,自分で,子会社あるいは関連会社を監査する場合に・は,  

(27)この間題K,ついては,拙著『現代監査の構造と発展』昭和50年でとりあげ,AICPA    のSAP(監査手続書)算45号の「他の監査人の業務および報告書の利用」と国際会計    スタディ−・グル−プの「他の監査人の業務および報告書の利用」を検討したところ   

である。AICPA、,Stat川LCNt Ol,A〝diting ProccdtLTC^b,45:Usj g thcIVoTk   

andRnborisqrOther Audiiors,1971.AccountantsInteruationalStudyGroup,   

ぴsよ〟gfゐβl勒′烏α机上風頭明f q/■Aクれ舶β′・A加配〝・,1961.日下部与市訳『海外の    会計と監査実務』昭和47年.   

(13)

連結財務諸表監査についてニ   −ヱ5−  

525  

当該子会社あるいは関連会社の連結財務諸表に対する重要性を判断して−,監査   計画を設定しなければならない。そして,重要性の大きい会社紅対してほ,通   常の監査手続を適用するこ.とが必要である。しかし,重要性の小さい会社に対  

しては,通常の監査手続よりも制限された監査手続を適用したり,一億のロL− 

デーション計画に基づいて,選択された会社を監査する方法をとるかを決めな   ければならない。さら紅,重要性の程度によってほ,書面による監査だけにと  

どめる場合もあるであろう。   

また,ここのような子会社および関連会社の個別財務諸表の監査に.対して,試   査の考え方を適用し,これらの会社の内部統制が十分に整備され,かつ有効酷   遇用され,さらに.,これらの会社が,親会社の利益操作に利用されているとい  

う疑いがない場合に.は,こ.れらのうちから−・部の会社のみを選んで監査するこ   とも合理的であろう。しかし,この場合にも,重要性の原則を併用することが   必要なこ.とはいうまでもないこ.とである。   

2 親会社とは別の監査人が監査している場合   

米国では,連結財務諸表監査の場合に.,重要な問題として,他の監査人の業   務および報告書の問題がとりあげられることが多い。連結財務諸表を監査する   主たる監査人が,連結会社および関連会社を監査する他の監査人の業務および   報告書の利用に対する態度としては,これを利用する場合と利用しない場合と   がある。さら把.,利用する場合でも,主たる監査人が,他の監査人の業務払つ   いて責任を負う場合と,主たる監査人が,他の監査人と費任を分担する場合と   に分かれる。  

(1)主たる監査人が,すべての責任を負う場合   

主たる監査人が,連結財務諸表の大部分を監査した場合,適に.いえば,他の   監査人が監査した部分を,連結財務諸表全体から判断すれげ,比較的に重要な   部分を占めていない場合紅ほ,他の監査人が監査した部分を含めて−,連結財務   諸表の全体に対して,主たる監査人が,すべての責任を負うことができる。   

つぎ紅,他の監査人が監査した部分が,連結財務諸表全体から判断して重要   な部分を占めている場合でも,主たる監査人が,他の監査人が行なった業務に   

(14)

第48巻 欝5・6号  

ーヱ6−   526  

ついて責任を負うことができる場合がある。   

その算1は,主たる監査人が,他の監査人の監査業務の質的水準が信親でき   るものであると確信する場合である。もし,他の監査人が,主たる監査人の提   携事務所であり,その監査人の専門的水準および能力をよく知つている場合に   ほ,他の監査人の監査が信親できるものとして受け入れることができるので,  

(28)  

これに.対して主たる監査人は責任を負うこ.とができる。   

第2に.,主たる監査人が,他の監査人を雇傭し,他の監査人の業務を指導・  

監督する場合には,主たる監査人が,他の監査人の業務に貴任を負うことがで   きるというよりも,むしろ負わなければならないであろう。   

算3に,主たる監査人が,他の監査人が実施した監査が満足できるものであ   ることを確かめることができれば,連結財務諸表に.含められる会計数値が信頼   できることが確かめられるので,主たる監査人は,他の監査人の業務について   責任を負うことができる。   

このように.,主たる監査人が,他の監査人の業務および報告書を利用して,  

これ把ついて責任を負うためには,その利用が妥当であるかどうかを正当な職   業的注意凌払って判断しなけれはならない。   

このための手続として,まず,第1に,主たる監査人は,他の監査人の独立   性および能力を確かめなければならない。このために必要な手続として−,たと  

(29) えば,つぎのようなものがあげられる。  

1)他の監査人の職業的評判紅ついて,会計士協会,同業者,銀行などに.質問    して確かめる。  

2)他の監査人から,独立性についての文書を入手する。  

3)他の監査人に,監査報告書が主たる監査人に.よって利用されることを承知  

(28)これは,SAP弟45号に.よるものであるが,スタ−ディ−・グループは,主たる監査    人が,他の監査人と契約するか,あるいは他の監査人が提携事務所である場合紅は,   

茸任を負い,依頼人が,主たる監査人と関係のない監査人を選んだ場合紅は,責任が    ないとしている。AICPA,0♪..cii。,para.10.AccountautsIntemationalStudy   Group,OP。Ci iu,para.11.para.12 

(29)AICPA,OP.cit.,para。10.   

(15)

連結財務諸表監査に.ついて  

ーJ7・−   

527  

しているかどうか,会計諸規則に.通じているかどうか,会社相互間の会計実    務の統一・性を検討したかどうかなど紅ついて質問して確かめる。   

算2に.,さらに,他の監査人が実施した監査が満足できるものであるかどう   かを確かめなければならない。たとえば,つぎのような手続をとるこ.とが必要  

(80)  

である。  

1)主たる監査人ほ,他の監査人を訪問して,実施した監査手続とその結果に  ついて聞く。  

2)他の監査人の監査計画を検討し,必要な場合にほ.,他の監査人に対して,   

監査紅関する指示を与える。  

3)他の監査人の作成した監査訝書を検討し,内部統制の評定および監査業務    の重要な事項に.ついての結論が記載されているかどうかを確かめる。  

4)必要がある場合には,他の藍査人の被監査会社の経営者に.会計処理の問題    について質問したり,あるいほ追加的試査を行なう。  

(2)他の監査人と責任を分担する場合   

主たる監査人が,他の監査人の監査業務に二ついて資任を負うことのできる条   件がととのっていない場合には,主たる監査人は,他の監査人と責任を分担し   なければならない。たとえば,他の監査人の行なった監査業務の部分が,連結   財務諸全体から判断して,重要な部分を占めている場合とか,主たる監査人が,  

他の監査人の監査業務が満足できるものであることを確かめることができなか   った場合である。   

このような場合には,主たる監査人は,他の監査人の業務につい七責任を負   うことができないので,他の監査人と責任を分担する。しかし,責任の分担で   はあるが,これも他の監査人の業務の利用の場合紅含まれるので,利用のため   の責任を果たすために・,茸任を分担するこ・とが妥当であるかどうかどうかを判   断するために,他の監査人の職業的評判および独立性を確かめておかなければ   ならない。  

30 ∫ろ紙,pa柑.12.   

(16)

第48巻 夢5・6号  

rヱβ−・   528  

(3)他の監査人の業務を利用しない場合   

主たる監査人が,他の監査人の利用が適当でほないと判断する場合がある。  

たとえば,主たる監査人が,他の監査人の職業的評判および能力を調査した結   果,他の監査人の監査が利用できないと判断した場合,また,王たる監査人が,  

他の監査人の監査業務の結果が満足的であるかどうかを確かめることができな   かった場合,さらに.,他の監査人に.依存する部分が非常に大きい場合などで奉   る。  

ⅤⅠⅠ連結資料の監査  

連結資料とは,連結会社(親会社および連結子会社)および持分法を適用す   る非連結子会社および関連会社が,連結財務諸表作成の準備のため紅作成する   資料である。このような連結資料は,合算財務諸表,修正仕訳,消去仕訳お量   び連絡橋算表の作成のために必要なその他の基礎資料である。こ.れらの連結資   料に.基づいて−,投資勘定の相殺消去,少数株主持分の計算,債権と債務の相殺   消去,持分法紅よる非連結子会社および関連会社に.対する投資勘定の貸借対照   表価額の計静,連結会社相互間の取引高の相殺消去,未実現損益の消去,貸借   対照表および損益計算書の表示などが行なわれる。   

連結会社が作成する連結資料に・は,投資勘定の相橡消去のための連結子会社   株式の取得・増減の明細表,連結会社間の債権・債務の明細表および差額調整   表,連絡会社間の取引の明細表および売上利益率,連結会社から購入した期末   の棚卸資産,固定資産およぴそ・の他の資産の明細表,連結会社からの受取配当   金の明細表などがある。また,親会社が子会社の株式を取得した日前後にもっ  

とも近い決算日の連結子会社の財務諸表を準備しなければならない。   

なお,連結会社が,親会社と異なる会計処理の原則を採用している場合にほ,  

これに伴って生じる影響紅ついての明細表が必要である。また,連結子会社   が,不適正な会計処理を行なっている場合に.は,これを修正するために必要な   資料を用意しなければならない。つぎに,親会社と連結子会社の決算日が同じ   でない場合には,仮決算を行なうことが必要であり,また,決算日の差異が3   

(17)

連結財務諸表監査咤ついて   −J9−  

529   

ケ月を越えない場合粧私版決算を行なラ代わりに,会計記録の畢撃な不「琴   を峯琴す尋ことが必要で串卑申で,・をれら紅関する琴料が準備されなければな  

らない。なお,在外子会社の場合に・は,外貨を換算す挙ための資料を用卑しな   ければならない。   

つぎに・,持分曙適用甲非連結子会社および関連会社の投翠勘定の計算を行な   うために,親会社が株式を取得し晦日前後にもっとも近い決算日の財務諸表,  

連結会社および持分法適用会社との取引粧よる資産の明細表,連結会社および   他の持分法通用会社への販売紅・おける売上利益率,連結会社お皐び持分法適用   会社把.対する配当金の明細表が用意され額ければならない。   

したがって監査人は,個別財務革表の監査につづいて,これらの連結資料カラ   正しく作成され,信額できるものであるら・とを確かめなければなら額い◇もら   ろん,その大部分は,個別財務諸表の監査のさいに,大部分が実施され挙もの   である。また,親会社の経理部門および内部監査部門も,連結財務諸表の作成   のために.,これらの連結資料の正確性を検討し,あるい特監査している笹ずで   ある。したがって,監査人は,こ中らの連結資料の作成把・関する内部統御が,  

十分に整備され,有効に.運用されているかどうかを評定し,さらに,試査紅よ   って,嘩結資料の信頼性を確かめるこ・とが必要である0  

VIII連結業務の監査  

監査人ほ,個別財務諸表の監査および連結資料の監査匿つづいて,個別財務   諸表および連結資料に.基づいて,連結財務諸表が,・一・般に公正妥当と認められ   る連結会計の基準および手続に継続的に.準拠して作成されているかどうかを確   かめなければならない。これを連結業務の監査というごとカ芦できる。   

まず,連結貸借対照表に.ついては,親会社の投資勘定とこれ紅対する子会社   甲資本勘定の相殺消去,少数株主持分中計上,連結会社相互間の債権・債務の   消去,非連結子会社および関連会社に対する投資勘定の持分法匿.よる計上など   が,一一・般把公正妥当と認められる連結会計の基準および手続紅,継続的に準拠   して行なわれ,かつその表示方法が,・一・般紅公正妥当と認められる連結会計の   

(18)

第48巻 第5・6号  

−・2〃一・  

530  

基準に.,継続的に準拠していることを監査しなければならない。   

つぎ紅,連結損益計算書に.ついては,連結会社相互間の取引の消去,未実現   損益の消去などが,一般に公正妥当と認められる連結会計の基準および手続に   継続的に準拠して行なわれ,かつその表示方法が,・一・般に.公正妥当と認められ   る連結会計の基準に継続的に準拠していることを確かめなければならない。   

さら軋,連結剰余金計算書に/ついて,貸借対照表の「■その他の剰余金」の増   減を,・−・般に.公正妥当と認められる連絡会計の基準および手続に継凝的に準拠  

して,作成されかつ表示されていることを監査しなければならない。   

そこで,まず,個別財務諸表から合算財務諸豪を作成するさいに・,会計処理   の基準が統一されていない場合に,表示の組み替えが正しく行なわれているか   どうか,また,不適正な会計処理が個別財務諸表でとられている場合には,そ   の修正が正しく行なわれているかどうか,さらに.,親会社と連結子会社ゐ決算  

日に.差異がある場合には,仮決算または連結会社間の取引に係る会計記録の重   要な不一・致が正しく整理されているかどうかを確かめなければならない。   

っぎに,合算財務諸表が,正確に作成されているこ.とを,突合せおよび検算   によって確かめなければならない。   

そして,各種の消去仕訳が,正確に行なわれていることを,個別財務諸表,  

連結資料および連結精算書に・よって確かめなければならない。なお,一腰に,  

各消去仕訳の計算表が作成され,さらに消去仕訳の層類毎に・仕訳の一度表が作   成され,この結果が精算表の消去仕訳欄に転記されることが多いので,こ・れら   の計算表および一覧表に・よって,記入滴れ,計算間違がないかどうかを検討し,  

さらに転記が正確に行なわれているかどうかを確かめなければならない。   

連結業務の監査手続の主要なものをとりあげてみることにする。まず,算1   に,親会社の投資勘定と子会社の資本勘定の相殺消去および少数株主持分の計   上が,正しく行なわれているかどうか紅ついて,連結子会社の株式の取得・増   減の明細表,連結子会社の各期末の発行済株式数,資本勘定,これらに基づい   て作成された各連結子会社毎の投資勘定の消去および少数株主持分の計算表,  

その消去仕訳の一覧表および連結精算表などを乗合および換算んて,計算間違   

(19)

連結財務諸表監査紅ついて   −2ヱー・  

531  

および計算漏れがないかどうか,転記が正しく行なわれているかどうかを検討   しなければならない。   

つぎに,連結会社間の取引および債権・債務の消去が,正しく行なわれてい   るかどうか把・ついて,連結会社間の取引の明細表および差額調整表,およぴこ   れらに・基づいて作成された連結会社間の取引および債権・債務の消去計算表,  

消去仕訳−・畳表,連結精算表などを,突合および検算紅よって,計算間違およ   び計算漏れがないかどうか,転記が正しく行なわれているかどうかを検討しな   ければならない。_   

また,未実現損益の消去について,連結会社間の棚卸資産,固定資産およぴ   その他の資産の期末残高の明細表,連結会社間の売上利益率表,未実現損益消   去計算表,消去仕訳一層表,連結精算表などを突合および検算紅よって,計算   間違および計算漏れがないかどうか,転記が.正しく行なわれているかどうかを   検討しなければならない。   

さらに.,連結財務諸表の表示に.ついてほ,個別財務諸表,連結資料,連結業   務において作成された各種計算表,消去仕訳の一覧表などに基づいて,正しく   表示されており,かつ必要な注記事項が正しく記載されているかどうかを検討  

しなければならない。   

「原則」紅よれば,こ.のような注記事項として,連結の方針,決算日の差異,  

会計処理の原則および手続およびこれらの変更,未実現損益消去の方法,会計   処理の原則および手続の相違,利益処分の取扱方法,在外子会社の財務諸表項   目¢換算方法および企業集団の財政状態および経営成績を判断するの紅重要な  

(81) その他の事項があげられるJ  

IX 監査報告書  

連結財務諸表に対する監査報告書の構造は,基本的には,個別財務諸表に対   する監査報告書の場合と変わらない。ただ,監査の対象が,個別財務諸表から   連結財務諸表に.なるにすぎない。  

(31)企業会計審議会,前掲原則第七.   

(20)

欝48巻 第5・6号   532   

−22・−  

監査意見の目的は,連結財務諸表が,企業集団の財政状態および経営成績を   適正に表示しているかどうかを表明するこ.とである。「原則」は,「層鹿財務諸   表は,企業集団の財政疾態及び経営成績に.関して真実な報告を提供するもので  

(32)  

なければならない」としでいるが,ここに.おける裏実性は適正性と同じであ志   と考えられる。したがって,連結財務諸表の適正性紅対する総合的意見の構成   要素も,これまでの個別財務諸表の場合と同じように.考えられる。   

ま・ず,算1に,連結財務諸表が,・一般に.公正妥当と認められる連結会計の基   準に.準拠して作成されているかどうかを確かめなければならない。もちろん,  

−・般に公正妥当と認められる企業会計の基準に.は,一・般に公正妥当と認められ   る連絡会計の基準が含まれていることはいうまでもない。そして−,「原則」は.,  

一腰に・公正妥当と認められる連結会計の畢準を代表するものである。このよう   な関係は「原則」に.,「連結財藤諸表は,企業集団に・属する親会社及び子会社  

が一・般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成された個別財務  

(3こl) 諸表を基礎として作成さればならない」としているところから明らかで参る。   

算2に.,連結財務諸表の作成に.おいて採用され■た基準および手続が継続的に   適用されているかどうかを確かめなければならない。継続性の原則は,連結財   務諸表の期間比較可能性を保証し,利益操作を排除するために・必要なこ・とは,  

個別財務諸表の場合と同じである。すなわち,「原則」は,「連結財務諸表作成   のために採用した基準及び手続は,毎期継続して適用し,みだりに・これを変更  

(34) してほならない」としている。   

算3に.,連結財務諸表の表示方法が,一・般に・公正妥当と認められた基準に・準   拠したものであるかどうや、を確かめなければならない0これほ・「原則」が,  

「連結財務諸表は,企業集団の状況紅関する判断を誤らせないよう,利害関係  

者紅対し必要な財務情報を明断表示するもムゝなければならな帯)としてい  

(32)前掲原則第二の一・  

(33)前掲原則第二のニ  

(34)前掲原則夢二の四  

(35)前掲原則第二の三   

(21)

連結財務諸表監査紅ついて  

−2β−  

533  

るところから要求されるものである。   

これらの三つの構成要素を総合的紅判断して,連結財務諸表が,企業集団の   財政状態および経営成績を適正に・表示するように作成しているかどうかに・つい   ての総合的意見を表明しなければならない。   

以上は,意見区分の問題であるが,意見表明の前提として,連結財務諸表の   適正性に対して総合的意見を表明するための基礎を形成する合理的証拠を収集   することができたかどうかを記載する範囲区分が必要であることはいうまでも   ない。この範囲区分に.ほ,監査が一・般に公正妥当と認められ監査基準紅従つて   行なわれ,連結財務諸表の監査に.おいて通常行なわれる監査手続が実施された   かどうかが記載される。   

こ.のように.,連結財務諸表の監査報告書も,個別財務諸表の監査報告書も,  

その基承構造に.ほ差異ほない。しかし,連結財務諸表の監査の場合には,企業   集団に属する連結会社および持分法が適用される非連結子会社および関連会社   の個別財務諸表の適正性紅基づいて行なわれるので,個別財務諸表の適正性   が,連結財務諸表の適正性に・どのような影響をおよぼすか紅ついての監査人の   判断が重要な問題紅なるであろう。   

たとえば,ある個別財務諸表の適正性に.ついて,監査人が,これを確かめる   こ.とができなかった場合紅は,監査報告書の範囲区分および意見区分に,これ   を除外事項としてとりあり\限定付適正意見を表明すべきか,意見差控を表明   すべきかを判断しなければならない。また,個別財務諸表の適正性に・問題があ  

る場合紅は,監査報告書の意見区分で,これを除外事項としてとりあげ,限定   付適正意見を表明すべきか,不適正意見を表明すべきかを判断しなければなら   ない。   

このように.連結財溺諸表の監査の場合紅は,連結固有の監査問題ばかりでは   なく,むしろ,それ以上に,各個別財務諸表の監査から生じる多くの問題を処   理しなければならない。  

Ⅹ 他の監査人の業務および報告書の利用に.関する監査報告書の問題   

(22)

−−24−  

算48巻 第5・6号  

534   

連結財務諸表監査の場合は,企業集団に属する非常に多数の会社の個別財務   諸表の監査を含むので,他の監査人の業務および報告書を利用しなければなら   ないことが,個別財務諸表の場合に比較して多いと考えられる。このような他   の監査人の業務および報告書の利用の基本的問題については,さき把.とりあげ   たので,ここではこれを監査報告に.おいて,どのように.とりあつかうかをとり   あげること軋する。監査報告書において,重要な問題に.なるのは,このような   他の監査人の業務および報告書の利用紅づいて,監査人の貴任をどのように.明   示するかというこ.とである。   

まず,舞1は,主たる監査人が,他の監査人が行なった監査に.ついて貴任を   負うこ.とができる場合である。この場合に.は,監査報告書に.は,他の監査人の   業務および報告書の利用に?いては,何ら記載の必要はない。そ・れは,連結財   務諸表の適正性に対する監査意見に関するすべての責任ほ,主たる監査人に.あ  

るからである。   

つぎに.,主たる監査人が,連結財務諸表紅関して他の監査人と責任を分担す   ることが妥当であると判断する場合がある。この場合に.は,監査報告書紅,′監   査の一・部分が,他の監査人に.よって行なわれたことを,明確に記載しなければ   ならない。このような記載事項は,除外事項ではなぐて,監査実施に.対する貴   任区分の表示であるとされる。この貴任分担の割合の記載の仕方としてほ,た  

とえば,全体の監査業務紅対する他の監査人の担当した業務のパーセンチー・汐  

(56)  

で示すことが考えられる。   

また,他の監査人が監査した個別財務諸表が,限定付適正意見,不適正意見   または意見差挫である場合が考えられる。そ・の場合に.,その原因が監査の実施   に.あり,意見形成のための合理的基礎を形成する証拠が収集されて−いなけれ   ば,主たる監査人が,さらに補足的監査手続を適用し,満足することができれ   ば,無限定意見を表明する。しかし,なお,満足することができなければ,そ   の重要性の程度に応じて−,限定付適正意見または意見差控を表明しなければな   らない。  

(36)AICPA,0♪.cit.,para.9.   

(23)

連結財務諸表監査について  

−・2∂・・−   

535  

こ.れに.対して,除外事項の原因が,意見区分にあり,個別財務諸表の適正性   紅問題がある場合には,連結財務諸葬の作成に・さいして,これが修正されてお  

り,主たる監査人が,この修正が満足すべきものであると認めた場合に・は,無   限定意見を表明することができる。しかし,この修正が満足できないとき,あ   るいは行なわれなかった場合に.は,その患要性に応じて,限定付適正意見また   は不適正意見が表明されなければならない。   

また,主たる監査人が,他の監査人の業務および報告書を利用することが適   当ではないと判断した場合,主たる監査人が,自分で監査すれば問題はないが  

,自分で監査することができなかった場合に.は,監査報告書に.,その旨を記載   し,その重要性紅応じて,とれを除外事項として限定付適正意見または意見差   控を表明しなければならない。これは,主たる監査人が,他の監査人の実施し   た監査が満足できるものであることを確かめることができなかった場合も,同  

じである。   

さらに,他の監査人が監査した部分が,全体に対して非常紅大きい部分を占   めており,主たる監査人が,これを利用して意見を表明す−ることが疑問と考え  

られる場合に.は,意見差控を表明することが適当であろう。  

ⅩⅠむすび  

連結財務諸表監査は,わが国では,−・部の会社を除いては,まったく新しい   制度である。したがって,連発財務諸表監査が,円滑に行なわれるために.は,  

監査に.先立って,企業側に.おいて−、連結財藤諸表の作成のため紅,会計処理お   よ鱒決算日の統一・および連結資料の整備などの準備体制を確立するとともに・,  

監査の受入体制も整備しなければならない。とくに.,今まで,監査をうけたこ   とのない子会社および関連会社は,内部統制を充実させる必要がある。内部統   制紅.おいても,これまでのよう紅個々の会社内部のものばかりではなく,企業   集団における親会社の子会社に対する統制が重要に.なる。   

連結財務諸表紅対する監査手続として,どのようなものが通常必要である   か,今後明らかに・されなければならないであろう。一・般に.;個別財務諸表の監   

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