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論文の内容の要旨 氏名:正

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:正

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:Hypoxia-Inducible Factor Inhibitors Derived from Marine Products Suppress a Murine Model of Neovascular Retinopathy

(魚類抽出物はマウス網膜病的血管新生モデルにおいて低酸素誘導因子(HIF)を介した抑制効果

を示す)

網膜病的血管新生は糖尿病網膜症や未熟児網膜症等の眼疾患における主要病態であり、失明の主な要因 である。網膜病的血管新生は正常血管の脱落による網膜虚血によって血管内皮増殖因子(VEGF)が産出され ることで生じる。現在、抗VEGF薬硝子体内注射が血管新生性網膜疾患の治療法として確立されているが、

近年VEGFの長期抑制が網膜・脈絡膜萎縮を引き起こすことや、網脈絡膜血管の恒常性維持に生理的VEGF が必要であることが報告され、病的増加した血管新生因子のみを抑制する新規治療法が求められている。

低酸素誘導因子(HIF)は生体の低酸素応答を担う転写因子でVEGFの上流に位置する。HIFは通常酸素下 では直ちに分解されるが、低酸素または擬似低酸素条件下では安定化し標的因子を誘導する。これまでに 網膜病的血管新生を模したマウス酸素誘導性網膜症(OIR)モデルや滲出型加齢黄斑変性を模したレーザー 誘発性脈絡膜血管新生モデルにおいて、病的増加したHIFの薬理学的阻害が網脈絡膜病的血管新生を抑制 することが報告されている。一方、既存のHIF阻害剤の多くは抗がん剤であり全身的な副作用を伴う可能 性があることから、より安全で侵襲性の低いHIF阻害剤の開発が必要である。先行研究では238種の天然 物スクリーニングにより新規の HIF阻害作用を持つ物質を探索し、キビナゴ由来成分にHIF抑制効果を 認めることを示した。また、魚の摂取回数や血漿魚油由来オメガ 3多価不飽和脂肪酸濃度と糖尿病網膜症 や加齢黄斑変性の進行リスクが逆相関することが報告されているが、魚の水溶性成分が眼疾患に及ぼす影 響については報告がない。そこで本研究では、キビナゴを含む魚類70種の水溶性成分を抽出し、ルシフェ ラーゼアッセイによるHIF活性スクリーニングを行った。その結果、アジ、キビナゴ、カンパチ、クサヤ モロ、ムロアジ、オアカムロの6種の魚類から得られた水溶性抽出物がHIF阻害作用を有することがわか った。これらの魚類抽出物はヒト網膜色素上皮細胞やマウス網膜錐体細胞において、低酸素または擬似低 酸素状態におけるHIF-1αおよびHIF-2αタンパクの増加を抑制し、ヒト網膜色素上皮細胞において HIF 標的遺伝子であるVEGFAEPOPDK1の発現を低下させた。また、オアカムロ抽出物は、マウスOIR モデルへの経口投与により網膜病的血管新生を有意に抑制した。これらの結果から、6 種の魚類に含まれ る特定成分の投与により、網膜におけるHIF上昇を抑制し網膜病的血管新生疾患を治療できる可能性が示 唆された。

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