ポリ塩化ビニールの熱劣化(第二報)
原 泰 毅 福 田 晃 一 長 田 英 世
Thermal Degradation of Polyvinyl Chloride. II.Yasutake Hara, Koichi Fukuda&Hideyo Osada
In the previous report, the mechanism of the thermal degradation of polyvinyl chloride(PVC)
at higher temperature(above 200°C)was investigated, and it was found that the main reaction of degradation of PVC is dehydrochlorination. In molding powdered PVC into resin,
powdered PVC is blended with various ingredients at 150°−200°C in air. So in this report,
the mechanism of dehydr㏄hlorination of PVC at these temperature was investigated by the methods of thermal analysis, UV, IR and ESR spectrometry.
The dehydrochlorination of PVC is occured at 150°C, and is accelerated with oxygen molecules. Oxygen molecules react to PVC, and peroxy radicals of PVC are produced. These radicals accelerate the dehydrochlorination of PVC, and after a while, the polyenyl radicals are formed but on the contrary the peroxy radicals are disappeared. This formation of polyenyl radicals is the cause of yellowing of PVC.
1緒 言 を検討する意味で次の二つをえらんだ。
前報1)にポリ塩化ビニル(以下PVC)の熱劣 一
試料 平均重合度 塩素含量(%)
化について,示差熱分析,熱天秤,脱塩化水素速
度の測定等の方法を用いて検討し,特に耐熱性を B 860 56.7 改良したといわれる後塩素化ポリ塩化ビニルと比 F 840 65・9 較考察して報告した。
PVCはほとんど100°C以下で使用されている 2. ミクロ示差熱分析 ため,その熱劣化が問題となるのは成形加工時で
アルメル・クロメル熱電対が図1−(a)のように ある。硬質PVCの加工温度は150°〜200°C程度
である。前報には主に200°C以上の脱塩化水素機 構について検討したので,今回は特に200°C以下 の熱劣化について,熱解析法に加えて,赤外及び 紫外吸収スペクトル,電子スピン共鳴,分子量測 定等の方法を用いて検討した。
皿 実 験 1.試料
試料PVC及び後塩素化PVCはT社製のも
ので,可塑剤や安定剤を含んでいない粉末を用い
た。前報で検討した試料のうち,後塩素化の効果 図1DTAの熱電対
皿型になっており,この上に皿型の試料容器をの 〔B〕についてk−0.383,試料〔F〕について せるため,従来のもの(b}にくらべて感度が良く, k−0.408の値を得,Hugginsの式〔η〕一(−1 気体一固体反応を検討するには特に有効である。 +M1+4kη・p)/2kCより一点測定法により 〔η〕を求め,前記の桜田らの式を用いて平均分子 3 熱重量分析 量を計算した。
島津製熱天秤TB−10型及びタングステンバラ
ンスを利用した手製の熱天秤を使用した。また低 a 紫外及び可視吸収スペクトル
温での一定温度変化は長時間を要するので,内径 試料6⑭9を20励のTHFに溶解し,光路長1㎝
約10㎜のガラス管中に500沈9の試料を入れ,これ の石英セルを用い,島津製光電分光々度計QV一 を鉄製ブロック中で所定時間加熱したのちデシケ 50型で測定した。市販のTHFは安定剤を含んで 一ター中で冷却して秤量する方法を取った。 いるので,苛性ソーダを加えて数日間放置後,ウ イッドマー氏の精留塔を用いて精留したものを使 4 脱塩化水素量の測定 用した。
前報1)に記した方法と同じ方法を用いた。
7,赤外吸収スペクトル
5・ 分子量測定 PVC 1.59を10mLのTHFに溶解させ,岩塩板 テトラヒドロフラン (以下THF)を溶媒とす 上に塗布して減圧乾燥したのち,そのまま加熱後
る粘度法を用いた。オストワルドの粘度計を用い 冷却して測定した。
て20°Cで測定し,桜田2)らによる平均分子量
M=313×102{log−1〔η〕/1.85−1}によって分 & 電子スピン共鳴スペクトル
子量を算出した。まず図2に示したように極限粘 試料管にPVCを入れたのち, a法:簡単に窒 度〔η〕を求め・この極限粘度とHugginsの式 素置換したもの, b法:高純度窒素ガスで4回置 η・p/C−〔η〕+k〔η〕2Cよりkを求めると試料 換したのち,ロ_タリ_ポンプで10−3mmHg程 度の減圧下で試料管を溶封したものの二通りで,
aはシリコンバス中で,bはサルトバス(NaNO2/
KNO2−1/1) を用いて加熱後,液体チッソで冷 1.2
却して測定した。9値の標準物質としてはマンガ ンを用いた。
\
o
告 や
1.0 / 皿 結果及び考察1. ミクロ示差熱分析
前報1)に従来のDTA測定法による測定結果を 報告したが,今回は前記のミクロDTA装置を入 手したので,これによる測定結果を図3に示し た。試料〔B〕,〔F〕ともに空気中では200°C前後 0.8 から発熱側にずれ,280°C附近で一度吸熱反応が 0 0.4 0.8 現れたのち,大きく発熱が見られた。減圧下で は250°〜260°Cより吸熱反応が始まるが,これは い 濃度(含/100mしT肝) ・ 前報にも述べたように脱塩化水素反応によるもの
図2極限粘度 である。従って空気中では200°C附近よりPVCと
酸素の酸化反応が徐々に始まり,更に前報に示し
たように200°C附近より脱塩化水素反応も同時に 60 始まるが,二つの反応の熱収支から後の反応が急
激になる280°C附近に吸熱が現れ,さらに脱塩化 水素残渣が300°C以上で,空気中の酸素によって (
鷲㌻大きな発熱となつて現れるものと考えミ4°
…
禦 申 20 細 試料〔B〕
1?oo @ ,! 了800
200 300℃ 〆 O
l ‖ / , {
」 一一一…、\/ ・° 2°、\4°1・∵
、、 / \ 時向(hr)
▽ 轍泡気中、囎・麺下(1・〈)
1 2P・ 、/ 図4 pvc噸変化(1)
一一一一一一、\ /300°C
n及 言式米斗[F〕 \ ノ
遷 、,
昇i温:10℃/mln.
実線:空気中 (
曾
図3PVCのミク゜DTA ≧
三
2 熱重量分析 解
前報には高温部(200°C以上)の熱重量分析に 倒 よるPVCの分解速度及び分解の活性化エネルギ ー等を報告したが,先にも述べたようにPVCの繍・城圧下 (1㎜H) δミ 40
刷 20
熱劣化で問題になる温度はPVCの加工時の温 0
(1)180℃ ω170℃
(3)160°C (4)ユ50°C
ミ ミ
度・即ち150°〜200°Cの範囲にあると思われる。 0 20 40 従ってこの温度範囲の測定結果を図4,図5に示
した。150。Cに於てもすでに分解は始まっている 時向(hr)
㌶之量嘉㍑撒鷲竃竺驚 実線・籔屯燃・卿・⇒)
の酸素が分解,特に初期の分解を促進するもの 図5 PVCの重量変化(2)
で,この酸素の挙動については後述する。試料
〔B〕と〔F〕とを比較すると,高温部でもそう 反応速度式を求めると試料〔B〕に関しては であったように〔F〕の方が大分安定で,後塩素 dx/dt−kx(1−x)の自触式で示され,試料 化して塩素含量を増加させることによって,熱的 〔F〕については高温部では同じ自触式に従う に安定なPVCを得ることが出来る。 が,低温部ではdx/dt−k(1−x)2/3の2/3次 式で示されることがわかった。そこで分解率xと
a脱塩化水素量の測定 時間tとの関係の一般式dx/dt−kxα(1−x)・を
PVCを加熱して行くと22・°C附近で塩化繰 積分して∫dx/xα(1−x)・一∫kdtよりf(x)を発生することは前報にも示したが・境繊}こ一∫dx/x・(1−x)・とおけばf(x)−kt+Cとな おけるこの脱塩化隷速度を19°°〜28°°Cの範囲 る.f(x)はx錠めると定数であるから,この で測定して図6・図7に不した。この曲線より 式とArrheniusの式k−Ae−E・RTよりC /t_
Ae−E/RTとなり,さらにlnC +1/t=lnA−E/RTとなる。こ toO こで一定の反応量xについてこ の測定温度領域で分解機構に変
み 80 化がなければln1/tと1/Tと
塁 の関係を求めると醜となり,
掌6・ その勾配より雛化エネルギー
§ E鯨められる.この関係を図
震 40 試料〔B〕 8,図9に示した。試料〔B〕
塑気中 については220°〜230°C間,
20 〔F〕については230・〜240・C
間で不連続点が見られ,いずれ 0 0 40 80 120 160 も高温部と低温部では分解機構 が異なっていることを示してい 時向(己n・) る。活性化エネルギ_も図中に 図6 PVCの脱塩化水素速度(1) 示したが低温部の方がいく分大 きい。
次に一定温度における分解率 100 と時間の関係から脱塩化水素の 反応速度式を求め,その速度定
⌒ 80 数の温度変化によって,
§ Arrheniusの関係式から活性化
・1締
緩 60 エネルギーを求あ表1にまとめ
竺 た.試料〔B〕では活性化エネ 塁4・ 試料〔臼 ルギーは低温部と高温部で異な
空気中 っているが,速度式は全温度範 20 囲で自触式で示され,試料〔F 〕では活性化エネルギーととも 0 に速度式も高温部で自触式,低
0 40 80 120 160
温部で2/3次式で示されるよ 碕向 (mしn.) うに異っており,特に低温部に 図7 PVCの脱塩化水素速度(2)
、0.6
^ 1.4
ミ
漆
2.2
、 . 0.6
( 1.4 ぺ
〉
) ぺ 2.2
、・260℃
● 昌α6 9、
0 治O.8
1,90・ 2.oo 2.10
1/丁鷺1〔P
図81脱塩化水素の活性化エネルギー(1)
280℃
iミ・\E=21・1Kc⌒
試料〔F〕☆§iミ欝ござ__
L80 「1.90 2.00 2.10
1/Tパ103
図9 脱塩化水素の活性化エネルギー、(2)
表−P 脱塩化水素の速度定数及び活性化エネルギー (空気中)「
温 度
(°C)
280 270 260 250 240 230 220 210 200 190
試 料 〔B〕
k(min−)灌葦る磐
α8・6一、一k・(1−・)
0.448 E−20.6
0.328 (21・3)
0.233
・124一̲一k・(1−・)
0.075
E=25.9
0・050 (24.5)
o.024
試 料 〔F〕
k{miガ1)襟騨雪性
・645薯一kX(・一・)
0.431 ,. E=23.6
・・281 !21・、1)、
0.194 0.0402
・・176一妤黷求i1−・)皇 0・0104 E=31.・2 _.
0.00556 (27.8)
0.00393
()は10g(1/t)〜1/Tより求めた値。
●
56
おける〔B〕と〔F〕の分解は,かなり異った機 解量を示した。各温度でいずれの場合も分子量変 構で進行するものと考えられる。 化はほとんどなく,ただ試料〔F〕が空気中にお 従来PVCの分解機構に関しては, PVCより脱 いて2006 C附近で減少する傾向を見せているのみ 離した塩化水素がさらに分解を促進するか否か で,200°cまではpvcの鎖の切断及び架橋等の は・PVCの安定化をはかる上でも重要であり・ 反応はほとんど起っていないものと考えられる。
これまで多数の報告がなされている。空気中でも しかし温度が200°Cを越えるとTHFに対する溶 窒素中でも塩化水素が自触作用を持つとした井本 解量が急激に減少レ,分子量の測定が不能となっ 3),Scarbrough4),Rieche5),分解促進作用を持 た。・
たないとしたArlman6),空気中でのみ促進する 次に一定温度における分子量の経時変化を図11 としたDruesdow, Gibbs7)長富,佐伯8),など 図12に示した。試料〔B〕,〔F)両者とも大体 があり,未だ一致した見解は得られていない。然 同様な傾向を示した。即ち空気中においては,最
るに本実験では試料〔B〕と〔F〕の高温部にお 初分子量が減少し,後急激に増加してTHFに対 いて反応が自触式に適合し,分解生成物が主とし する不溶化が起り,一方窒素中においては一定時 て塩化水素であることから,試料〔F〕の低温部 間内では分子量の変化はほとんど認められず,後 の分解を除いて,塩化水素が分解を促進するので 急激に増加した。
はないかと考えられる。 分子量増加は架橋による三次元構造の増加にと もなう現象と考えられ,これは(1)分子間の脱塩化 4 重合度変化 水素によるもの,②脱塩化水素により生成した二 図10に分子量の温度変化とTHFに対する不溶 重結合の附加反応が考えられるが,
8.O
c 三別
一 申 略 6.0
5.0
100 8.0
/80§ξ別
ば
::Σi二iこだi.・鷲蓑uo
5.0 20
こミε…ミー→/・
120 160 200 2旬 0 2 斗 6 8 温度(℃)
時向 (hr)
き式斜 空気中 窒素中
〔B〕 O ● 言式来斗 室1隻L中 窒素中 〔F〕 ロ ■ 〔B〕 o ●
〔F〕 ロ ■ 図10PVC分子量の温度変化及び不溶解量 図11 PVCの分子量変化(1)
奉
12.0
寸 10.0
⊆ こ 8.0
ポ6蒔ミ;≡三i>:二三ふ。
4,0
えられる。また空気における分子量の減少は,生 成した二重結合が酸素によって酸化切断を受ける ためではないかと考えられる。なお180°Cにおい ては2時間でいずれも不溶化を生じた。
5.紫外及び可視吸収スペクトル
THF溶液の紫外及び可視吸収スペクトルを図 13〜図16に示した。図13,図14において,180°C
o.6
0.5
0 1 2 3 4 5 二
\ 0.4
時向(hr) 営 ぺ くン 0,3 言式氷斗 室気中 窒素中 蝿
〔B〕 O ● 宅昏 0・2
〔F〕 ロ ■
0,1 図12PVCの分子量変化(2)
試料〔F〕 U》 1606C 《2) 1δ0・C (3) 200°C
0
ω1:1::1:1::ド ㌧幽∴:
−CH2−CH−CH2−
1 試斜〔B〕 m 160°ひ
_CH,−CH−C且,一 《2)18°℃
1 0ぷ (3)200℃
C1
扉湿2°C/凧trし.
−CH,−CH−CH,一一巴1 §α4
(2) ξ1 ぎぽ・ ・3 ㌔
†CH・†誓1 §α・
CI Cl
−CH=CH−CH2− −CH2−CH−CH2一 卯
脱塩化水素と分子量の関係,更に不溶解量との 喫線:空気中, 破線:セ熱 関係から(2)の反応が起りやすいのではないかと考 図14PVCのUVスペクトル(2)
58
1.2
( 0.8 ご
ぷ
亘 ボ 0.4
1.2
0
試料〔B〕については,空気中で加熱した場合 より窒素中で加熱した場合の吸収が大きく,特に 近紫外から可視部へと波長が長くなるほどその差 も大きくなっている。着色した試料の色は橦色系 で肉眼でも窒素中で加熱したものの方が濃い。ま た多くの小吸収ピークも窒素中の場合が現れやす い。試料〔F〕の場合は〔B〕と異なり,空気中 の場合の方が吸収が大きく,また小ピークも認め
らない。
これらの小ピークはPVCの脱塩化水素により 生成するジエン,トリエンを含む長共役ポリエン 構造によるものであることはすでに多数の報告に 300 400 500 見られる9)。さらに共役二重結合の数と吸収波長 との関係についても,平山10),Sadron11)・12),
三 (綱 森川・3…4・,S。ndhi,mer・5・など多くの報告が
更線:鮪屯 破線・蜜紳 見られる。本実験において,森川らの分類によれ 図15PVCのUVスペクトル(3) ば270〜290〃2μのピークは共役トリエンによるも のであり,300〜450〃2μは長共役ポリエンの吸収 であるが,その共役数はSondheimerらによるとロき ご
舛〜 OA
0
試料〔F〕 ㈹ 2輪 ・ 160 C (2ハ 4 (3) 6 (4) 8
\弍1) 』一
・300 400 500
5〜8程度までで10以上のものは少ないとしてい
る。
空気中の場合にこれらの小ピークがほとんど見 られないのは,酸素によって生成した二重結合が 酸化され,ポリエン構造が破壊されることによる ものだと考えられる。また試料〔F〕の場合は空 気中,窒素中いずれの場合にも,これらの小ピー クはほとんど見られないが,脱塩化水素反応の機 構が〔B〕の場合とは異なっていたことからも推 測される通り,〔F〕の場合は〔B〕の場合にく らべて長共役ポリエンの生成し難いような分解機 構で劣化が進行するものだと考えられる。したが
って着色しやすいのは〔B〕の方であった。
改長(r騨,
6. 赤外吸収スペクトル
喫線: 穆亀中、 β直線:望系中
PVCを加熱して行くと水酸基, カルボニル基
図16PVCのUVスペクトル(4) 二重結合の吸収が現れることは前報にも述べた
一 が,図17,図18にC−Clの減少及びカルボニル基,までは空気中と窒素中のスペクトルに大差なく大 二重結合の増加の傾向を示した。C−C1の吸収は 部分を省略した・吸光度増加の傾向は空気中・窒 加熱前の吸収強度との相対比で,またカルボニル 素中いずれの場合も180°Cと200°Cの間で急激に 基,二重結合の吸収は加熱前には見られないので 大きくなる。この点は重量減少及び脱塩化水素反 加熱前の1426cm一き(CH2のはさみ振動)の吸収を 応が著じるしくなり始める点と一致している。 基準に取った。 \
59
1.0
0,8
吉 ・o.8
窮〜、
禦 朗
0.2
o
21}0 220 240 260 280 300
識庚( c)
減圧下に於ては空気中の場合にくらべてカルボ ニル基,二重結合の吸収の増加が少ない。カルボ ニル基の場合当然な事と云えるが,二重結合の増 加が少ないのは紫外・可視スペクトルの所で述べ た着色性と矛盾する。しかしごれは赤外分光と紫 外分光との分析精度による定量性の差が現れたも ので,この時点では分解初期の着色性とは異なっ た状態にあるものと考えられる。
7.電子スピン共鳴スペクトル 、
図19に生成するラジカルの種類によって異なる ESRシグナルの主な例を示す。
650ぴt1 (Cr(氾) −o_ 一●一一 1600 C=C) −4− 一「忙r て?20 CC=0〕 一ロー 一■一一
図17PVCのIRスペクトルの変化(1)
1.0
0.8
山」 o.6
ぷ
ロ← 0.4言欄〔F〕 錨・2・c/mtn
8 \ ロ \
ロ ム 、 △
0.2
。 ㌔
200 220 240 260 280 300 、,、
・,@ たa法でも長時間加熱すると(4)のような対象シグ 温度(°C) ナルが現れた。 b法で加熱すると㈲,(6)に見られ
図19PVCのESR測定例 \、
常温ではラジカルの発生は見ちれず(1レ、a法に より加熱昇温すると試料〔B)OCF〕いずれも
②に見られるような非対称シグナルが現机これ を室温にもどすと対象的なシグナル(3)となる。ま
680㎡ (c.ω _〇一 一一●一 図20・図21にa法によるラジカル発生量を・
− 1600 ((=c)1「△_ 一一▲一 ESRマーカー(M・++・9−20337)の微分型シグ ]720、 (C.0ド _口_ 、.廿. ナルとピークの高さで比較して,シグナル相対値 図18pvCの1Rスペクトルの変化(2)・ として示した。X∴
一 るように小さなシグナルしか得られなかった・
60
1.0
0.8
㌍ 誤 o・6 瑠 ミ
・ 0,4
c
0.2
α三ま, o t式)監…}〔B〕
● 言式蓋斗LF〕
(疋!良線は」]巨膓畠L1二もピしち後(1写〜25分俊)}
乏
8−8≦后!°
!/
4=二二8ニニニち9
0
・120 160 200 うに完全に酸素を除いた状態においてはラジカル の発生が抑制されるように,酸素が重要な役割を :逼度(℃) はたしているものと考えられる。
図20PVC中のラジカル濃度の温度変化 ご
カルの発生は見られなかったが,〔T〕 では170°
C附近より対象シグナルが現れ,室温放置50分後 でも認めることが出来た。 1
ア ド 図21について,ここで見られるシグナルは対象 シグナルで,ポリエニル型(−CH=CH−CH−)
ラジカルを生成しているものと考えられる17)。
即ち,加熱初期に現れるのはパーオキすイドラジ カルが主であるのに対して,時間の経過とともに ポリエニルラジカルが生成することを示してい る。PVCの劣化機構についてはイオシ機構とも ラジカ・磯構とも云わ棚確ではないが7、:おそら く両者ともに関与しているものと考えられるが,
ラジカル機構で劣化が進行する場合には酸素によ るパ_オキサイドラジカルの発生およびb法のよ
・禦8
理6
ミ
、4
、、
2
0
0」三圭〜 1809C O 言式制〔B〕 r
● 試斜〔Fハ
《碩線1‡密識はもピした佼(20〜10分劒
/…一/
Z乙_8−…−8∠一・
IV 結 論
以上の結果からPVCの劣化機構は大体次のよ うに考えられる。
(1ポ試料〔B〕及び・(F)とも,脱塩化水素に よる吸熱反応が主反応であるが,空気中では酸素 との反応と思われるわずかな発熱反応が見られ る。 ./
エ シ (2川脱塩化丞素反応は〔B〕・ 〔F〕ともに 230°C以上で自触式で示されるように,:脱離レた 塩化水素たよって反応が促進される。一方低温部 では〔B〕は自触的に分解されるが,。〔.F〕は自 触作用を示さない。また低温でも高温でも〔B〕
の方が分解が早く,エネルギー的にも〔F〕の方
0 1 2 3 が安定である。
(3〕空気中では最初PVCの鎖の切断を生じ分 時向(hr)
子量がわずかに低下するが,後架橋によって急激 図21PVCのラジカル濃度の時間変化
に分子量が増大し不溶化を生pる。窒素中では初 図20について,ここに現れるシグナルは図19−一 期の分子量低下は認められない。ζれは鎖の切断
②に示したような非対象シグナルで,パーオキサ が酸素により促進されることを示すものである。
イドラジカル(−COO・)によるものと考えられ .(4)試料〔B)は脱塩化水素により分子中にジ る16)。 その発生量は試料〔F〕の方が大きい。 エン,トリエンなどのポリエン構造を作り着色す またb法による測定では〔B〕は210°Cまでラジ る。しかし空気中では酸素が二重結合に附加して
ポリエン構造を破壊するためか,窒素中にくらべ Modern Plastics,29, No・5,111(1952)
て着色は抑制される。〔F〕については,紫外・ (5)A・Rieche・A・G「imm・H・Hucke・Kunstoffe・
可視吸収スペクトルに小吸収ピークが認められ 52,265・398(1962)
ず,長共役ポリエンの生成が考えられない。従っ (6)E・J・A「1man・J・Polyme「Sci・・12・543(1954)
て〔B〕よりも着色されにくい。 (7}DD「uesd°w・C・F Gibbs・m°de「n plastics・
(5)ESRからPVCの加熱によりラジカルを生 3 6・123(1953)
じるが,空気中ではまずパーオキサイドラジカル lll巖鷲イ麟L塩6:。碧。11㍑)R
を生じ・時間とともにポリエニルラジカルを生成 Roy, J. Am. chem. Soc.,61,3241(1939)
する。これは空気中ではパーオキサイドラジカル 00平山健三,日化,75,27667(1954)
の発生から脱塩化水素反応が開始され,ラジカル (11)Lewis G. M., Calvin M, Chem. Rev.,
的に反応が進行することを示している。また脱塩 25,273(193g)
化水素残渣には共役二重結合を含むカルボニル (12)C.Sadron, J. Parrω, J. Pierre Roth, Compt.
基,ヒドロキシル基などが多くなる。 rend 250,2206(1960)
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文 献 (14 森川 洗,科学と工業,41,379(1967)
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化,47,133 (1944) Phys・・ 32・371 (1960)
(3)井本稔,工化,54,410(1951) ⑰E・J・Lawton・J・S・Balwit・J・Phys・Chem・・
(4)A.L. Scarbrough, W. L. Kellner, P. W. Pizzc 65・815(1961)