ゼオライト鉱物による海水中の重金属の吸着除去
(昭和52年10月21日 原稿受付)
河 野 啓 介 野 口 文 男 植 田 安 昭 大 田 弘 毅
On the Removal of Heavy Metal Ions in Sea−water by Zeolite Tuffs by Keisuke KAWANO Fumio NOGUCHI
Yasuaki UEDA Koki OTASea water has been widely used for the cooling−water in many metallurgical factories. The
contamination of sea−water by heavy metal ions occurs frequently under such circumstance.Therefore, experimental studies have been conducted on the removal of heavy metal ions in sea−
water by using natural zeolite which have large adsorptivity and ion exchange capacity. The
ら influence on adsorption of Zn2+ion in presence of Ca2+, Mg2+and Na2+ion was investigated,
besides, the adsorption of Zn2+ion in sea−water was discussed. The results obtained are summerized as follows.
(1)The adsorption capacity of Zn2+ion decreased with increasing Ca2+and Mg2+ion contents
in spite of the kinds of zeolite tuffs such as mordenite and clinoptilolite.(2) The adsorptivity of Zn2+ion is strongly inhibited by the presence of Na2+ion in the solution,
and Zn2+ion was found to be not adsorbed in the sea−water.
_ りやアルカリ土類金属を含んでいるため,一般廃水とは
1・緒言 異なった重金属イオンの吸着礫を示すものと予想され
ゼオライト鉱物が陽イオン交換反応を示すことから, る。そこで重金属イオンとしてZnをとりあげ, Na, Ca,
筆者らはこれまで廃水中の有害金属イオンの吸着と分離 Mgイオンと共存した場合,吸着にどのような影響を受 除去に関する研究を行なってきた。その結果,Cdなど重 けるかを検討すると共に実際に海水を用いて吸着除去を 金属イオンは,pHなど吸着処理条件を適当に選んで行 行なったので,これらの結果について報告する。なお得 なえば容易に除去できること,さらに吸着ゼオライトよ られた結果は,養鰻の際発生するアンモニアの吸着除去
り金属の回収と再生を行なえば繰り返し利用できるなど にも役立つものと推察される。
種噺らしい知見を発表し訟害処理噸{ことってきわ 2.水溶液中における金属イオンの形態
めて有効な処理剤の一つであることを見いだしたD。最近,金属製錬所をはじめ各種工場で工業用水の不足 廃水処理では,金属イオンが大部分低濃度領域にある から冷却水に海水がよく利用されるようになってきた。 ことから,極めて効果的な除去法が要求される。したがっ したがって,冷却水に利用された海水に対し,重金属 て,金属がどのようなイオン形態で水溶液中に溶存して による汚染を考慮する必要がしばしば見られることから いるかなど,あらかじめ知っておく必要がある。このこ ゼオライト鉱物による重金属の吸着分離の可能性を検討 とからLatimerら2}の熱力学データを用いイオン平衡の してみた。この場合,海水中にはNaなど種々のアルカ 立場から,水溶液中における金属イオンの存在割合と
pHとの関係を求めてみた。 Zn−H,0系では, pH8.0前後までZn2+の形で存在し,
水溶液中に溶存している金属イオンは,一般に電荷を これよりpH値が高くなるにしたがって, Zn(OH)+,
おび単純な水和イオンや種々の縮合錯体を形成する。Zn ZnOl一など,錯イォンを形成し溶解してくることがわか イオンのような2価の金属イオンを例にとれば,M2+, る。また,これからpH 8以上のアルカリ側でもZnは,
M(OH)+, M(OH)2(。q), HMO;一, MOI一などが考えられる。 沈殿による分離除去は不可能なことがわかる。
これらのイオンはNHまやCN などが存在するとさらに Ca−H20, Mg−H20系の場合は,図からもわかるよう 異なった複雑な錯体を生成するので,共存イオンによっ に,CaはpH 11, MgではpH 8.5まで金属イオンの形態 てもその形態は著しく異なる。ここでは単純な系を考え でそれぞれ存在することがわかる。これら金属イオンの 水溶液中におけるZn, Ca,及びMgの各金属イオンの 存在領域は,活量の低下とともに若干酸性側に移行する 存在確率とpHとの関係を求めてみた。これを示すと第 が,8以下のpH領域ではすべて陽イオンの形態で溶存
1図のようになる。 しているものと推定される。したがって,ゼオライトの ような陽イオン交換吸着による分離除去では,pH 8以下 1.0
で行なう必要のあることがわかる。
3.試料及び実験方法 σ5 Zn2+ Zn(OH)+ Zn(吉
日本各地にゼオライト鉱物は数多く産出するが,ここ ご では,島根県石見馬路産のモルデンフッ石と島根県石見
≡1. 産の列ノプチ。ルフ。石の2麟を使用した.この化
i 学分析1鹸1に,イオン交換体として物理的離を表
庄 (}5 C♂ Ca(OH) −2に示した。
吉 含水量は口紙法で,比重はベックマン製空気比重計を 巴 用いて測定した。このほか空隙率や水に対する耐水性に
に
嵩 1. ついても調べ,これらの結果もあわせ示した。これらの
ま 化学分析値から,モルデンフ。石1ま9・%程度の品位であ α5 M♂ M9(・H)、 ることが綻でき・不純物としてモンモリ゜ナイト・プ
ラヂオクラスなどがX線回折分析結果より確認された。
クリノプチロルフッ石は92〜93%程度の純度で,共存
2 4 6 8 10 12 14 鉱物としてモンモリロナイト,モルデンフッ石,プラヂ
pH オクラス,石英などの混在が確認された3)。これらのゼオライト鉱物は,従来イオン交換の立場か
第1図纏㌫鞭における 臓KC・型などの種々の形態に分類されているカ㍉
いずれの試料もNa、0含有量が高いことから,ここでは
表一1 試料の化学分析値
鉱 物 Sio2 Tio2 Al203
Fe203 CaO MgO Na K H20
モルデンフッ石 73.21 1.59 9.65 1.44 1.57 0.29 1.85 0.04 12.29クリノプチロルフッ石 64.34 1.00 14.81 2.51 2.44 0.57 1.96 1.30 12.26
表一2 ゼオライトの物理的特性(28〜60mesh)
鉱 物 比 重
空隙率 % 含水量 %
耐水試験 %モルデンフッ石 3.16
36
20.1 0.1クリノプチロルフッ石 3.09
26
33.3 0.3Na型のゼオライト鉱物として取扱った。 この溶液のPHを2.5〜5.0まで種々調整したのち(この 標準試料としてZn2+は,高純度金属亜鉛1.009を秤 時のpHを初期pHとした。)その200〃2/にゼオライト 量し,特級塩酸を用いて溶解後正確にlZに希釈した。 19を添加し一定時間室温でかくはんを行なった。かく Ca2+, Mg2+, Na+はそれぞれCaCl2, MgCl2・6H20, はん後の溶液pHを平衡pHとし,吸着率との関係を考 NaClの各特級試薬より一定量を分取し,1mg/cc濃度に 察してみた。金属イオン濃度は, Znを1PPm, Ca及び
なるよう希釈し,標準試料とした。 Naを20 PPm, Mgを5PPmと一定にし,かくはん時間
実験方法は塩酸々性溶液で,各種濃度の金属イオン溶 は,Zn, Caを1時間, Na, Mgを30分と一定にして行 液になるよう標準溶液より分取し4iz−NaOHを用いて なった。個々の金属イオンの吸着実験から得られた結果 種々のpHに調整した。この溶液200 mZをビーカーに をあわせ示すと第2図のようになる。取り,−100meshの粒度に調製したゼオライトの一定量 これから, Zn l PPm,1時間のかくはんでは,クリノ を室温で加えた。これを所定時間ガラス棒でかくはんし, プチロルフッ石,モルデンフッ石ともに平衡pHが高く その一定量を遠心分離器(5000/min)に入れゼオライト なるにしたがって,吸着率.も高くなり,平衡pH 5前後で を分離後,溶液のpHと残存金属イオン量を原子吸光分 吸着率は平衡状態に達することがわかる。また, Ca, Mg 析装置を用いて分析した。得られた残存金属イオン量か についても同様な傾向と吸着率を示すことがわかる。こ ら吸着率と吸着量を算出した。Znを分析する際少量の こで低pH側で低い吸着率を示すのは,次のような理由 Mgイオンが共存すると干渉効果を示すので4),ここでは によるものと考察される。筆者らはさきにHイオンの吸 APDC一クロロホルムによる有機溶媒相にいったん抽出 着速度の測定を行なった。これから溶液中の金属イオン 分離し分析を行なった。 はLangmuir型の吸着機構で吸着され,ゼオライトをNa 型とした場合次のような反応式で示されるイオン交換反
4.実験結果及び考察
応が起こるなどその吸着機構を明らかにした5)。
4.1.各種金属イオンが単独に溶存している場合 (1)M2++2NaR口MR+2Na+
海水中には3%前後のNaClを始め種々のアルカリ, (2)H++NaR#HR+Na+
アルカリ土類金属が溶存している。したがって,これに (3)Na++OH ごNaOH
重金属イオンが混在すると,ゼオライトがアルカリ陽イ (4)2NaOH+MCI2ごM(OH),+2NaCl
オンに対しても種々異なった吸着交換平衡を示すことか (NaR;ナトリウム交換体, M;2価金属イオン)
ら,重金属イオンに対し廃水の場合と異なった複雑な吸 (1)式は金属イオンとゼオライト交換体中のNaイオン 着結果を示すものと予想される。そこでZnのほか海水 とのイオン交換反応を,(2)式は溶液中のHイオンとも同 中に溶存しているアルカリイオンとしてCa, Mg, Naの 様な反応を起こすことを示している。この交換反応のほ
3つを取りあげこれが個々に溶存している場合,ゼオラ か(3),(4)式に示すようなNaOHの生成,ついで中和によ イトとどのような吸着関係を示すかをあらかじめ検討し る金属イオン水和物の生成が同時に起こるなど見掛上複 てみた。 雑な交換除去機構を示すものと考えられる。しかしなが 4.1.1.平衡pHと吸着率の関係 ら,前述の測定条件下では,平衡pH値からもわかるように ZnのほかMg, Caなどの陽イオンは,溶液のpHを (1),(2)の吸着交換反応が支配しているものと推察される。
8以下の酸性側に保持してやれば2価の形で溶存し,ゼ したがって,pH値の低い酸性側溶液ほど(1)式にくらベ オライトによる陽イオン交換反応にあずかることをさき て(2)式が優先しておこるようになり,初期pHの低いも に示した。しかし,酸性溶液ではこれら金属イオンのほ のほど金属イオンの吸着率が低い値を示すようになった かHイオンも同時に共存し,pHによってHイオン濃度 ものと予想される。またこのことは,1時間かくはん後
も種々変化することから金属イオンの吸着率に影響を及 の平衡pHが初期pHよりも若干高pH側にずれると
ぼすことが予想される。そこで金属イオン濃度を一定と いった測定結果からも容易に予想された。これらの考察 し,溶液pHを種々変化して金属イオン吸着率に及ぼす 結果から金属イオンを吸着除去するためには,なるべく 影響を検討してみた。 pHの高い溶液で行なうことが望ましいといえる。クリ ー定濃度の金属イオンを含む塩酸々性溶液を準備し, ノプチロルフッ石とモルデンフッ石の吸着率を比較して≡… 100
ξ
三80 5
<
▽ 60ち
Φ 40
㌃
ねε 20ヒ ゆ
(L O
Clinoptilolite・ Mordenite・
zτ z㎡+
C + Cど+
1
Mg2+
. 鳥9・+ .
Nゴ Nゴ
ゾノ ψ)
3D 40 50 60 70 30 40 5D 60 70
FinalpH.
第2図 平衡pHと吸着率との関係
子 100
ξ
三80 5
<
▽ 6ち
Φ 40
㌃ ヴ仁 20
3
;
ユ
Z∩2+ Zr〜+
M6+ ゴ+ c +
ス 亀
晶・
Clinopti【olite. Mordenite.
Nsゴ Na+
∋ 〆
0 0.5 1」0 1.5 2」0 05 1.0 1.5 20
AdditiOn AmOunt.{9}
第3図 ゼオライト添加量と吸着率の関係
みるとpHによってその値が若干異なり,一般にクリノ これを図示すると第3図のようになる。これから, Znは プチロルフッ石の方が低いpH領域で高い吸着率を示し いずれのゼオライトも0.59の添加量で、約90%の吸着
早く吸着平衡に達することがわかる。 率を示し,それ以上はほぼ吸着平衡に達することがわか
Caイオンの吸着では,硫酸々性溶液についても同様な る。Znに比較して5〜20倍濃度の高いMg, Ca溶液では 実験を行なった。その結果,第2図に示した値よりも若 ゼオライト添加の増加とともに吸着率は上昇し,2.Og 干低い吸着率を示し,Caイオンの吸着に陰イオンSO葦一 の添加でほぼ吸着平衡に達することがわかる。同一添加 が若干影響を及ぼすことを見いだした。また,Naイオン 量でクリノプチロルフッ石とモルデンフッ石の吸着率をは平衡pHに関係なくまったく吸着されないことがわ 比較してみると,いずれの金属イオンもクリノプチロル
かった。このことは,吸着反応機構でも述べたように, フッ石のほうが高い値を示すことから,モルデンフッ石 使用したクリノプチロルフッ石,モルデンフッ石がとも に比べ大きいイオン交換能を持っているものと考察され に被交換吸着イオンと同種のNa型のゼオライト鉱物で る。あったことによるためと推察される。 含Na溶液では・平衡pHの関係でも述べたような理
4.1.2.ゼオライト添加量と吸着率の関係 由からここでもまったく吸着されなかった。金属イオンのゼオライトに対する吸着は,溶液のpH 4・1・3・かくはん時間と吸着率の関係
によって著しく影響を受けることがさきの実験結果より Ca, Mgは,ほぼ同様な吸着傾向を示したことから,
わかった。そこで比較的水素イオン濃度の影響をうけに ここではZnとCa溶液を選びかくはん時間と吸着率と くいpH領域を選んで,ゼオライト添加量と吸着率との の関係を調べてみた。吸着は室温で行ない, Zn溶液は初 関係を求めてみた。 期pH 3.5,濃度1PPm,ゼオライト添加量0・19, Ca溶 さきの実験結果から初期pHを4.0(Zn溶液では3.5) 液は初期pH 4.0,濃度20 PPmでゼオライト添加量LO
とし,Zn l PPm, Ca 20PPm, Mg 5 PPm, Na 20 PPmの 9で前述の場合と同一条件で行ない,その結果を第4図
各塩酸々性溶液200m/に,ゼオライトを0.2〜2.09ま に示した。図からいずれの金属イオンも,かくはん開始 で種々添加した。他の吸着条件は,4.1.1と同様にして行 後吸着率は短時間で急激に上昇するが,30〜60分以上に なった。各金属イオン溶液から得られた結果を一・括し, 達するとゆるやかな増加傾向を示すようになることがわき100 +Clin°p川゜lite・→−M°「denite
ξ 三
← 80
合
む
; 60
< …4。/一→一→
晋
さ20 Zイ+ C〆+
:
よ
0 30 60 90 30 60 90
Agけati。n Time. 剛
第4図 撹絆時間と吸着率の関係
かる。その傾向は,クリノプチロルフッ石とモルデンフツ 9を,モルデンフッ石は,Zn 2.Omg/9, Ca 2.4mg/9,
石では若干異なるが,吸着平衡に要する時間は比較的短 Mg O.7mg/9の飽和吸着量を示すようになる。また,こ 時間でよいものと推察される。またこのかくはん時間は れらの値からもクリノプチロルフッ石のほうがモルデン ゼオライト添加量と金属イオン濃度などによっても異な フッ石に比べ金属イオンの吸着量の大きいことがわか
り,この程度の吸着実験条件では,ほぼ60分前後のかく る。
はんで十分吸着平衡に達するものと考察される。 4.2.各種金属イオンが溶存した場合
4.1.4.飽和吸着量の測定 海水中に含まれるNaなどアルカリ陽イオンが単独に 以上のような実験結果から,各金属イオンに対する吸着 溶存している場合,ゼオライトにどのような吸着挙動を 最適条件が明らかになったので,ゼオライト添加量を一 示すかがこれまでの実験結果から明らかにされた・そこ 定にし,溶液中の各金属イオン濃度を20ppm,または50 で,これら各イオンが重金属イオンと共に溶存している ppmまで種々変化させ,飽和吸着量を求めてみた。実験 場合,吸着にどのような影響を及ぼすかを検討してみた・
は室温で200m/の溶液を用い, Zn溶液は初期pH 3.5, 4.2.1. Znイオンの吸着に及ぼすNaイオンの影響 ゼオライト添加量0,59,かくはん1時間,Ca, Mgの各 海水中で最も濃度の高いNaClが, Znイオンの吸着に 溶液は初期pH4.0ゼオライト添加量1.09,かくはん30 どのような影響を及ぼすかをまず検討してみた。 Zn 20 分で行なった。得られた結果を第5図に示した。 ppmを含む溶液200 m1を用意し,これに0〜3%になる
これから金属イオン濃度が5ppm前後まで各金属イ ようNaCl添加量を種々変化した。吸着実験は,初期pH
オンとも,クリノプチロルフッ石,モルデンフッ石によ 4.0,ゼオライト添加量1.09,室温で30分間かくはんを る吸着量の差異はあまり見いだされないが,10ppm以 行なった。得られた結果を示すと第6図のようになる。上の濃度になるとゼオライトの種類による吸着量の差異 これからZnイオンの交換吸着量は,いずれのゼオラ が顕著になってくることがわかる。20ppm以上の濃度 イトもNaCl濃度の増大に伴って急激に減少してくるこ に達すると飽和吸着量を示すようになり,クリノプチロ とがわかる。そしてモルデンフッ石はNaCl 1%前後の添
ルフッ石では,Zn 4.Omg/9, Ca 3.3mg/9, Mg 1.6mg/ 加で, Znイオンはまったく吸着されなくなり,クリノブ
『50
ε 40
三
; 3.0
3
< 20
ち
や5 1.O
o E
<
Z6+
2十 Mg
占+
Z㎡+
〜 〜ぎ+
Mg2+
0 10 20 30 40 50 10 20 30 40 50
COncentration.{ppm)
第5図 金属イオン濃度と吸着量の関係
チロルフッ石はNaCl 3%添加で0.17 mg/9程度のわず NaCl濃度の増加とともにZnイオンの吸着よりもNa
かな吸着量を示した。これはイオン交換吸着に使用した イオンの吸着のほうが一層促進されるようになったため ゼオライトがNa型であったため,さきの吸着機構でも と考察される。このことは,重金属吸着ゼオライトを酸述べたように吸着交換反応式(1),(2)の逆反応が起こり・ 性処理後,NaCl溶液で処理すれば再び吸着能を回復し原
一 鉱石以上の吸着能を示すことともよく一致している6)。
s
ε
2ピ 30
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碗 2.0
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占
0 10
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8
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<
0 10 20 30 オンが混在して:z。吸着量に著しい影響を及ぼし,c、/
Concentration ofNaCL{・ノ.} zn濃度比が1以上になるとzn吸着量の低下とは逆に
Ca吸着量が高い値を示すようになる。しかしながら,第6図 Znイオン吸着量に及ぼすNaCl濃度の影響 Ca+Znイオンの吸着量の和から吸着量をみてみると,
4.2.2.Znイオンの吸着に及ぼすCa, Mgイオンの
影響
NaCl濃度の影響についでZn−Ca, Zn−Mgの二成分系
一Clin・pti一 @三㌶:三in㌘i巖中㌶;1驚↑
+M。,denite 2・PPmと一定にし・Ca/Z刷g/Znの離比を2/18カ
ら18/2まで種々変化して行なった。吸着実験は塩酸々性
溶液200mZに,1.09のゼオライトを添加し,初期pH
4.0室温で30分間行なった。これから得られた結果を 示すと第7図のようになる。これらの図からいずれのゼオライトもZn溶液中に CaやMgイオンが共存すると,Zn吸着量に影響を受け
ることがわかる Zn−Ca系溶液では,ごく少量のCaイ_ 3.0 蕊
ε ピ
二 20
合
o o
▽
< 苫
三
3
ε 1.O
Clinoptilolit●,一一一一・Mordonit●
/〜ζま;一一゜
, Ca−Zn.Sol
Zイ+
、(L−、_________
Mg−Zn・Sol
M♂ψ
Cタ乏, Mg/2.
Concentration Ratio.
第7図 Znイオン吸着量に及ぼすCa, Mg共存イオンの影響
クリノプチロルフッ石では3.3mg/g前後のほぼ一定の
値を示すのに対し,モルデンフッ石はCaイオン濃度の増 _ 02 加とともに吸着量は増加し,C・/Z・−18/2で2.4mg/9の § 値を示し,ZnよりもCaのほうが吸着されやすいことが 己 わかる。Zn−Mg系溶液における各金属イオンの吸着量は 三 やZn−Ca系溶液の場合とほぼ同様な傾向がみとめられ, △ ふ
Mg+Z・イオンの囎量はクリノプチ゜ルフ嘱モル 901 デンフ・石いずれ暢合もMgイオン濃度の増加とと 二
OCIinoptilolit●.z♂φ20回pm.
もに低下してくることがわかる。これらの結果はさきに s
Φ θ … 50 示した飽和吸着量がZn, Caがほぼ同じ値を示したのに ←
に
対しMgが非常に低い値を示したことともよく一致し コ
ており,Ca, Zn, Mgの吸着量の差がこのような結果を ε 示したものと考察される。 <0 5 10 15 4.3.海水中におけるZnイオンの吸着
以上のような実験結果から・海水中の重金属イオンを Addition Amoun4.19)
吸着除去するさいの基礎的諸結果がわかったので,ここ
では実際に海水を用い吸着実験を行なってみた。 第8図 海水中におけるZnイオンの影響 実験は海水中のZn濃度が20,50,100 PPmになるよ フッ石の2種類を用い,これから得られた結果を要約す
う調整した溶液200mlに,初期pH 4.αゼオライト添 ると次のようになる。
加量を1〜159まで種々変化し,室温で30分かくはんを 1)Z恥Ca, Mgなどの陽イオン交換吸着除去は,溶 行なった。得られた結果をZn吸着量から考察してみる 液のpHが著しく影響し,pH 3.0以下の酸性側領域では と第8図のようになる。 ほとんど吸着除去できないが,pH 4.0以上では,少量の これからモルデンフッ石は,ゼオライト添加量を15 ゼオライト添加でほぼ完全に吸着除去できることを示し 9まで多くしてもZn濃度に関係なく吸着除去されない た。
ことがわかる。このことは,NaCl濃度が1.0%以上に達 2)各金属イオンの飽和吸着量に達する時間は,モル
するとZnがまったく吸着されなくなることを示した第 デンフッ石,クリノプチロルフッ石ともに30〜60分程
6図の結果ともよく一致している。一方Znの吸着除去 度で十分であり,クリノプチロルフッ石が一般に吸着量 が若干できたクリノプチロルフッ石は,ゼオライト添加 が高く,飽和吸着量はZn, Ca, Mgの順番に小さくなる 量の増加と,Znイオン濃度の増大に伴って幾分吸着量が ことがわかった。
増加する傾向がみられる。しかしながら,ゼオライト添 3)ZnイオンにCaやMgイオンが共存した二成分系 加量15gZn濃度100 PPmで0.2mg/9程度の吸着量と 混合溶液では・Znイオンが高い濃度範囲で交換吸着にあ
きわめて少なくほとんど吸着除去されないものと考察さ まり影響ないが,CaやMgイオン濃度の増加に伴って れる。また,このような傾向は,他の国内産のゼオライ 急激にZnイオンの吸着率の低下することがわかった。
トにも見られることから,ゼオライトによる海水中の重 また・Naイオンの共存は, Ca, Mgイオンの場合よりも 金属イオンの吸着除去はあまり期待できないことがわ さらに著しい影響を受け・クリノプチロルフッ石はNaCl かった。 3%で0・17mg/9の吸着,モルデンフッ石は1%濃度以 上になるとまったく吸着されなくなることがわかった。
5.結 論
4)実際に海水を用い重金属イオンの吸着除去を行 ゼオライト鉱物がイオン交換能のほか,強力な吸着能 なったが,Naイオンが重金属イオンよりも優先交換吸
を示すことから,海水中の有害微量重金属イオンの吸着 着するため,海水中の重金属イオンの吸着除去にゼオラ 除去に利用できるかどうかを検討してみた。ゼオライト イトは有効でないことを明らかにした。
は代表試料としてクリノプチロルフッ石と,モルデン 終りに,本研究遂行に際し,試料提供など終始御高配
と御協力を賜った石見鉱山株式会社の関係各位に深く謝 意を表する。
文 献
1)植田安昭,野ロ文男,河野啓介,大田弘毅;日本鉱業会論
文投稿中(1977.6).2)Wendell, M, Latimer;Oxidation Potentials(1952)・
3)植田安昭,河野啓介,野口文男,大田弘毅;昭和47年度日 本鉱業会合同秋季大会研究試料,H−11.
4)大楠弘,河野啓介,植田安昭、大田弘毅;分析化学,22,
88, (1973).
5)植田安昭;日本水質汚濁研究会シンポジウム講演集
(1973.11).