(25)
原著 :秋田大学医短紀要
9(2):138‑144,2001小児看護学演習 における 「 乳児のおむつ交換」の指導方法の検討
‑便モデルの使用 を試みて‑
工 藤 由紀子
要 約
小児看護学の技術教育 において,便モデルを 用いた 「 乳児のおむつ交換」の演習の効果 を検 討 した。「 乳児のおむつ交換」 の演習 において, 便 モ デルを使用 しなか った
1999年度入学生
81名,お よび便モデルを使用 した
2000年度入学生
77名 を対象 とした。方法 は,演習終了後の感想 文の中か ら自由記述の内容 を分析 した。
その結果,学生 は便モデルを使用 したことで, その拭 き方の困難 さを身をもって体験 していた ことが明 らか となった。 また,後始末や感染予 防の点 に関 しては,便モデルを用いた効果がな かったのではないか と考 えられたことか ら,今 後 は 「 乳児のおむつ交換」の技術 に関する具体 的なチェックリス トを作成 し,おむつ交換時の 留意点 について,意図的に意識づ けを行 ってい
く必要性が示唆 された。
は じめに
看護基礎教育 における技術演習は,講義内容 の理解 を深める とともに臨地実習 に向けての準 備 を目的 として行 われ,知識 ・技術 を看護実践 に活用する意味での教育的価値が大 きい と言わ れている1 、 。 しか し小児看護学 における乳幼児 への看護技術 にあたっては,学生同士で実習 し
平 元 泉
合 うような演習の仕方では限界があ り,モデル の使用 などの様 々な手段が とられているのが現 状である。小児看護学 における教室内実習 に関 して行 われた全国調査 によるとl ノ , 「 着衣 ・おむ
つの用 い方」の項 目は
,86校 中
56校 で実施 さ れてお り,他の実施項 目より高い割合 であった。
本学 において も,乳児モデルを使用 したおむつ 交換 の技術演習 を実施 している。 しか し,乳児 モデルを使用 した場合,排植物 をイメージで き ないため,臨地実習で戸惑 う学生が多かった。
そこで今 回,我 々は小児看護学演習 における
「 乳児のおむつ交換」 の技術 を取 り上 げ,便モ デルの使用 を試みた。その結果 , 「 乳児 のおむ つ交換」の指導方法 に関する新 たな示唆が得 ら れたので ここに報告する
。方 法 1.対象
A
大学医療技術短期大学部看護学科
2年次の小 児保健演習 において , 「 乳児 のおむつ交換」 を 実施 した
1999年度入学生
81名 ( 女子
77名,男 子
4名),お よび便モデルを使用 して 「 乳児のお むつ交換」 を実 施 した
2000年 度入 学 生
77名 ( 女子
74名,男子
3名) を対象 とした。以下, 便モデルを使用 していない前者 を未使用群 とし,
秋 田大学医療技術短期大学部 看護学科
秋 田大学医短紀要 第9巻 第2号
KeyWords:
小児看護学演習 乳児のおむつ交換 便モデル
学生
138
便モデルを使用 した後者 を使用群 とする
。2.
小児保健の技術演習の概要
小児保健 1単位
(30時間)の うち,単元 「 小児 の栄養
」6時間 , 「 小児の養護
」6時間の講義終 了後 に , 「 調乳」 と 「 乳幼児 の養護」 の技術演 習 を
2時間設定 した。「 乳幼児の養護」の演習項 目は,おんぶ ・だっこ,乳児のおむつ交換,小 児用ベ ッ ドの取 り扱い,幼児の着衣 とした
。「 乳児 のおむつ交換」 に関 しては以下の手順で 実施 した。教員 1名が担当 し,学生の実施場面 を観察 し適宜指導 を行 った。
1)「 乳児のおむつ交換」の手順
(1)必要物品 として市販の紙おむつ とお尻 拭 きを準備 してお く。
(2
)教員 がお むつ交換 のデモ ンス トレー シ ョンを行 う。おむつ交換時の注意点 と して,あ らか じめ物品を準備 してお くこ と,排湛物 を観察する必要があること, 使用済みおむつの後始末の仕方,優 しく 清拭すること,ギャザーは外側 に出す こ と,おむつは指
2本分のゆ とりを残 して 勝の下 にあてること,足 を持 ち上げす ぎ ない こと,などを説明 している。
(3
)学生 は,必要物品を準備 し,おむつ交 換 を実施する。乳児モデルを使用 し,学 生 は順番で実施す る。 ここでは,未使用 群 は便モデルな しでおむつ交換 を実施 し, 使用群 は便モデルを使用 しておむつ交換 を実施す る。便モデル として,小麦粉 を 水で溶解 し,泥状便様 に した ものを教材
として使用 した。
(4)交換後のおむつは,専用の袋 に廃棄す る。
2)デー タの収集方法
「 乳幼児の養護」演習終了後 に感想 を自由記 述 させ,その中か ら 「 乳児のおむつ交換」 に 関する記述 を抽出 した。‑学生の 「 乳児のお むつ交換」 に関す る感想文全体の うち,記述 内容が単一要素であるようにセ ンテ ンスを区 切 り,それを 1件 とした。
3
)分析方法
分析方法 は,記述内容の類似性 に基づいて 分類 し,カテゴリ化 した。分析 については研 究者間で検討 し,信頼性 の確保 に努めた。 ま た,未使用群 と使用群の各項 目における記述 件数 を,shd
ent‑sttestを用いて比較 した。
結 果
「 乳幼児の養護」演習の実施者の うち , 「 乳児
のおむつ交換」 について感想 を記述 していたの は, 未使用群
62名
(76.5%), 使用群
74名
(96.1%)であった。
未使用群お よび使用群の「 乳児のおむつ交換
」を実施 した感想の内容 を分析 した結果,未使用 群は
164件,使用群は
246件が抽 出された ( 慕 1)。一人当た りの平均記述件数 は,未使用群 は
2.6件,使用群は
3.3件であ り,最多は未使用 群で
5件,使用群で
7件であった。最小 は,未 使用群 ・使用群 ともに
1件であった。
抽 出された記述 をさらにカテゴリ化すること によ り
,4つの カテ ゴリが得 られた。それ らの 内容 は,【 1.実施で きた こ と】
,【2.困 った こ と】
,【3.学 ん だ こ と】
,【4.感 じた こ と】で あ った ( 表 1)。その頃度 は,【 1.実施 で きた こと】では未使用群が
13件
(7.9%),使用群 は
18件
(7.3%)であった
。【2.困ったこと】では, 未 使 用 群 が
32件
(19.5%),使 用 群 が
52件
(21
.
2%)であった。【
3.学 んだ こと】では, 未使 用 群 が
101件
(61.6%),使 用 群 が
155件 (
63.0%)であった
。【4.感 じた こと】では, 未使用群が
18件
(ll.0%), 使用群が
21件
(8.5%)であった。各 々のカテゴリ間では,記述数 に明
らかな差 は認め られなかった。
項 目 未使用群 使 用群 差
1 . 実施できたこと 1 3( 7. 9) 18( 7. 3)
N.S2 . 困ったこと 32( 1 9. 5) 52( 21. 2) 3 . 学んだこと 1 01( 61 . 6) 1 55( 63. 0) 4 , 感じたこと 18(
ll , 0) 21( 8. 5)
表 1 「 乳児のおむつ交換」 を実施 した感想の内容
工藤由紀子/小児看護学演習における 「 乳児のおむつ交換」の指導方法の検討
(27)各 カテゴリの記述内容 は,以下の通 りであっ
た。
【 1.実施で きたこと】は,おむつ交換 を実施 した際 に,上手 にで きた ことやスムーズにで き た こ とを肯定 的 に表現 してい る記述 であ った ( 表
2‑a)。このカテゴリはさらに2 つの内容 に分類 で きた。分類 した各 々の内容 は ,【1) 容易 さ
】【2)おむつのあて方】であ った。未使用群 と使用群の各項 目における記述数には差 がなかった。
【2.
困ったこと】は,おむつ交換 を実施する 際 に,困難であったことに関す る記述であった ( 表
2‑ b)。このカテゴリはさらに6 つの内容 に分類 で きた。分類 した各 々の内容 は,【1) 難 しさ
】【2)おむつのあて方
】【3)片手での 操作 】であ り,使用群ではさらに 【
5)拭 き方】
の カテ ゴ リが加 わった。一方,【4)時間】の カテ ゴ リに関す る記述 は,未使用群 で は
2件
(6.30/.)の記述があったが,使用群では見 られ なか った。
【2)おむつのあて方】に関 しては, 未使 用群
(22件 :
68.7%)と比較 し使用群
(7件 :1 3. 4%)の記述数が少 なかった
(p<0.001 )。
他の項 目における記述数 には差がなかった。
【3.
学んだこと】は,未使用群
101件
(61.6%), 使用群
155件 (
63.0%)で記述数が もっ とも多 かった ( 表
2‑C
)。 これは,おむつ交換 を実施 する際 に学 んだことに関する記述であった。 こ のカテゴリはさらに
13の内容 に分類で きた。 分 類 した各々の内容 は,【1)紙 おむつの特徴 の 理解】【2)児 の反応】【3)拭 き方】【4)
安全】【5)保温】【6) 迅速 さ】 【7)観 察 の必 要性
】【8)感染予防
】【9)児への声かけ ・配 慮】であ り,使用群ではさらに
【10)おむつの あて方
】【11)事前準備 の必要性】
【12)今後の 課題】の カテ ゴリが加 わった。一方,【
13)徳始末】のカテゴリに関す る記述 は,未使用群で は
2件
(2.00/.)の記述があったが,使用群では 見 られなかった。 【1)紙おむつの特徴 の理解】
に関 しては,未使用群
(17件 :
16.8%)と比較 し使用群
(lo件
:6.5%)の記述数が少 なかった
(p<0.05)。【2)児 の反応】に関 しては,未使 用群
(27件 :
26.8%)と比較 し使用群
(17件 :
秋 田大学医短紀要 第9巻 第2号
ll.0%)
の記述数が少 なかった
(p<0.01)。 また,
【3
)拭 き方】 に関 しては,未使用群
(13件 :
12.9%)と比較 し使用群
(56件 :
36.1%)の記 述数が多かった
(p<0.001 )。他の項 目における 記述数 には差がなかった。
【4.
感 じたこと】は, さらに
2つの内容 に分 類で きた ( 表
2‑ d)。分類 した各々の内容 は,
【1
)育児 に関す る感想】【
2)その他】であっ た。【1 )育児 に関す る感想】 に関す る具体 的 内容 は,「 いかにも母親 とい う感 じが して感動 し た」 などであった。未使用群 と使用群の各項 目 における記述数 には差がなかった。
考 察
布おむつ を用いたおむつ交換 については,母 性看護学演習で実施 している。/ 吊巳看護学では, 一般家庭 で普及率の高い紙おむつ と市販のお尻 拭 きを使用する場面 を設定 し,演習 を実施 して いる。 これまでの乳児モデルのみ を使用する方 法 に加 えて,新たに便 モデルを教材 として使用 することによってより学習効果が増すのではな いか と考 えた。便モデルを使用する前の学生 と 比較 し,以下の
2点か ら指導方法 について考察 する。なお,分析 の対象 とした 「 感想」 に対 し ては,学生の受け とめ方や集団差が影響 を与 え ていることも考 えられる。 したが って,今 回得
られた結果の解釈 には限界があると思 われるが, 以下それ を踏 まえて述べ る
。1 . 「 乳児 のおむつ交換」の実施 にお ける学生 の感想
今 回 , 「 乳児 のおむつ交換」の技術演習 にお ける感想 を分析 した結果
,4つのカテ ゴリが得 られた。その中で は
,【2.困 った こ と】
,【3.学んだこと】 に関する記述が多かった。分類 し たカテゴリに含 まれる件数の差 は,厳密 には実 習内容 による差 だけ とは断定で きず , 「 感想」
とい う言葉 に対する学生の受け止め方,集団差 が影響 を与 えてい る こ とも考 え られ る。 した がって,今 回得 られた結果の解釈 には限界があ ると思われるが,以降それを踏 まえて述べ る。
【2.
困 った こ と】 において,【
2)お むつの
140表
2‑a学生の感想 :【
1.実施 できたこと】 単位 :記述数 ( %)
項 目 主な記述 内容
未使 用群 使用群 差1) 容 易さ ・ ・ わリとスムーズにできた 想像より簡単だった
ll(84.6) 12(66, 7)
N.S 2)おむつのあて方 ・ ・ おむつを巻く方 向 おしりを拭く時の方 向
2(15,4) 6(33.3)表
2‑b学生の感想 :【
2.困 ったこと】 単位 :記述数 ( %)
項 目 主な記述 内容
未 使 用 群 使 用 群 差1)難 しさ ・ ・ 結 構 難 しかつた 初 めてでスムーズにいかなか った
3(9̲4) 4( 7. 7)
2)
おむ つの あて方 ・ ・ おむつのきつさをどの位 にしたらいいの か おむつをあてる位 置 が難 しい
22(68̲
7)
7(13.4) ***3)
片手 での操作 ・ ・ 片手で交換 するの が慣れ ない 片手で拭 くのが難 しい
5(ー5.6) 12(23.1)
4)
時間 ・ 時間 がか かった
2(6̲3) 0(0)5)
拭 き方 ・ ・ 陰部 を拭 くの が意 外 に難 しい 実際 やつてみ ると綿鴛 に拭 き取れ ない
0(0) 29(55̲8)*** pく0.001
表
2‑C学生の感想 :
【3.学んだこと】 単位 :記述数 ( %)
項 目 主な記 述 内容
未 使 用 群 使 用 群差
1)紙 おむ つの特 徴 の理 解 ・ ・ 布 おむつの 利 点 と比 べ ても便 利 紙 おむつの種 類 の 多 さ
17(16,8) ー0(6̲5) *2)
児 の 反 応 ・ ・ 実 際 には暴 れ た リ泣 いたリする子 もいる 実 際 はとてもたくさん動 く
27(26.8) 17(ll.0) **3)
拭 き方
・・ 前 か ら後 に 向 けて拭 く や さしく丁寧 に
13(12.9) 56(36.1)
***4)安 全
・ ・ 危 険 の予 防を考 える 児 は大 人 の 思 いもしない行 動をとる
10(9,9) 18(ll,6) 5)保温 ・ ・ 保 温 しなが ら行う 寒 くならないため す ば やくや る必 要 が ある
7(6.9) 14(9.0) 6)迅 速 さ ・ ・ す ばや く取 りかえられ るように 手 早 く終 わ らせないと
9(8.9) 5(3.2)7)観察 の必 要 性 ・
・か ぶれ ていないかチェックする
排池 物 の確 認 を行 う必要 が ある
2(2.0) 6(3.9) 8)感 染 予 防 ・ ‑ 手 洗 いは実 際 の 場 面でも忘れ がち 清 潔 に交 換す ることが 大 切
6(5.9) 8(5.1)9)
児 ‑ の 声 か け . 配 慮 ・ ・ 衣 服 の しわ がないかも確 認 する あや しなが ら機 嫌 をとって行 う
8(7.9) 10(6̲5) 10)おむ つの あて方 ・ おむつ は余裕 を持 たせ てつ ける
0(0) 5(3,2)ll)事 前 準 備 の必要 性 ・ 事 前 の準 備 をしっか り行 わ なけれ ば
0(0) 2(1.3) 12)今 後 の課 題 ・ 児 の発 達 につ いて理 解 しておく必 要 が ある
0(0) 4(2.6) 13)後 始末 ・ 交換 したおむつ はベッドの 下 に置 く
2(2̲0) 0(0)*** pく0.001 ** pく001 * p〈005
表
2‑d学生の感想 :
【4.感 じたこと】 単位 :記述数 ( %)
項 目 主な記述内容
未使用群 使用群 差1 )育児に関する感想 ‑ ‑ いかにも母親という感じがして感動した おむつ交換は一番実感がわいた瞬間だった
7(38̲9) 4(ー9,0) N,S 2)その他 ・ ・ 体等 おむつを見たのも初めてだった 黄できて良かつた
ll(61.
1) ー7(8ー̲0)工藤由紀子/小児看護学演習における 「 乳児のおむつ交換」の指導方法の検討
(29)あて方
】【3)片手 での操作】が各項 目ともに
多 く記述 されてお り,おむつのあて方や片手で 操作す る事 に関 して困難 さを感 じている学生が 多い とい うことが分かった。一般的に,乳児 は 腹式呼吸 をしてお り、腹部が膨満 している。 ま た,足 の動 きを妨 げ られることは股関節脱臼の 原因にもなる。それゆえ,乳児のおむつのあて 方 に関 しては, 学生が使用す る参考図書では「 お むつは上のほうは勝 の下 まで とし,大腿 はで き るだけ広 く出す ようにあてる
」 2と記載 されて いる。 しか し,紙おむつ に関する具体的な記述 はない。一方, 育児指導書では「 左右対称 にテー プを止める,おなか周 りに指が
2本入 る くらい ることが多い。 したが って,学生 には 「 腹式呼 吸 を妨 げない」などの理由 とともに
,「 指
2本が 入 るような きつ さで,腰の下 に左右対象 となる ようにテープを止める」 などと,紙おむつのあ て方 については具体的な表現の仕方で指導 して い く必要がある と考 えられた。
【3.
学 んだ こ と】 に関 しては,【1)紙 お む つの特徴 の理解
】【2)児の反応
】【3)拭 き方
】【4
)安全】の記述数が多かった。特 に最近は, 少子化の影響で同胞が少な く,学生が子 どもと 接する機会が少 な くなって きていると言 われて いる
5ため,小児用の紙おむつ を実際 に広げて 見 る機会 も少 ない と思われる。 また,乳児モデ ル とは異 な り,乳幼児は泣いた り動 くことが多 いため安全 にも配慮 していかなければならない。
また,乳児 は皮膚が弱 く傷つ きやすいため,便 を拭 く時には優 しく清拭 を しなければならない。
また,笑顔や 目と目を見合す,語 りかけること など介 してアタッチメン トが成立す ると言われ てお り, これはその後のあ らゆる人間関係の基 本であ り,健康 ・人格形成の基礎 である
6。 こ れ らの項 目に関 しての記述が多かったことか ら, 学生 は 「 乳児のおむつ交換」 の技術演習 を通 し て,おむつその ものに関す る知識,乳児の安全 管理,おむつ交換時の手技,乳児の世話 をする 時の具体的な関わ りかた,養育者 としての態度
を学 んでいることが明 らか となった。
以上 の ことか ら , 「 乳児 のおむつ交換」の技 秋田大学医短紀要 第
9巻 第
2号術演習は,学生 にとって乳児の養護 をする上で 必要 となる態度 を養い,技術 を実施す る上での 留意すべ きことを学ぶ機会 となっていると考 え
られた。
2.
「 乳児 のおむつ交換」 にお ける便 モデル使 用の効果
看護基礎教育 において,教材 ・教具 は多種多 様 な ものが開発 されてお り,使い方 によって教 育効果が大い に期待 で きると言 われている
7。 今回,便モデルを使用 したことで
,【2.困った こと】の カテ ゴ リにおいて
,【5)拭 き方】 に 関す る記述が使用群で多か った。 また
【3.学 んだ こと】のカテ ゴリにおいて も
,【3)拭 き 方】 に関す る記述が使用群で多かった。 この こ とか ら,便モデルを使用 したことで,その拭 き 方や便が実際 に手 につ くことでの困難 さを身 を
もって体験 していたことが明 らか となった。
また
,【2.困ったこと】 における
【3)片手 で操作すること】 において も,記述数が使用群 で多かった。おむつ交換 は,片手で乳児 を支 え なが ら, もう一方の手で便 を拭 いた り古いおむ つ をまとめた りしなければならない。 このため, 事前準備 をきちん としておかなければ,おむつ 交換の途中で物品 を取 りに行 くことになった り, 慌てて便 を自分の手や乳児の足 などにつけて し
まう可能性がある。以上の ことか ら,便モデル を使用 したことで,学生 は片手で操作すること に対 して困難 さを感 じてお り, またそれゆえに, 事前準備の必要性 を学ぶ ことがで きたのであろ
うと考えられた。 また,皮膚のかぶれな どがな い ように観察すること, きちん と拭 くこと等 の, 児への配慮 に対す る記述が多 く見 られた。以上 の点か ら考 えると,便モデルの使用 は効果的で あった と考 えられた。
しか し,便モデルの使用 において,必ず しも 効果的ではない面 もみ られた。
【3.
学 んだ こ と】 において,【
13)後始 末】に関す る記述 は使用群 で は まった く見 られ な かったこと
,【8)感染予防】に関する記述数が, 未使用群 と使用群では差がなかったことか ら,
この項 目に関 しては学生 に意識づけ られていな
142かったことが明 らか となった。これは
,【2.困っ たこと】 における 【2)おむつのあて方】 に関 す る記述数が使用群で少 な くなったこと,お よ
び 【3.学 んだ こ と】にお ける
【1)紙 おむつ の特徴 の理解
】【2)児 の反応】 に関す る記述 数が使用群で少な くなった ことも考 え合わせ る と,便 モデルの使用 に よって,学生 の意識が
「 便 をきちん と拭 く」 ことだけに向いて しまっ たことも原因であろうと思われた。 また,便モ デルの外観が白色で,実際の汚物 とは異 なるた め,感染予防 と関連づけることがで きなかった とも解釈で きる。
したがって今後 は,感染予防 を意識 した行動 がで きるように してい く必要があると思われる。
さらに,おむつ交換の留意点 について理解 を深 め るため には , 「 乳児 のおむつ交換」 に関す る 具体的なチェックリス トを作成 し,演習時にそ れを用いて,意図的に学生 に意識付 けを行 って い く必要があると考 えられた。
結 論
小児看護学演習 における「 乳児のおむつ交換」
の技術 を取 り上げ,その実施状況 を分析 し, さ らに演習 を実施する上で便モデルの使用 を試み た結果,その感想の自由記述内容の分析か ら以 下のことが明 らか となった。
1 . 「 乳児 のおむつ交換」で は,【 1.実施 で き たこと】
,【2.困ったこと】
,【3.学 んだこと
】,【4.
感 じたこと】の
4つのカテゴリ得 られ
,【3.学んだこと】が もっとも記述数が多かった。
2. 【2.
困 った こと】で は
, 【2)お むつのあて 方】で未使用群 と比較 し使用群の記述数が少 な かっ
た 。3.【3.
学 んだ こ と】で は, 【1)紙 お むつの
特徴 の理解
】【2)児 の反応】で未使用群 と比 較 し使用群の記述数が少 なかった。【3 ) 拭 き方】
では未使用群 と比較 し使用群の記述数が多かっ た。
【8)感染予防】では,両群間に差 はなかっ た。
4.
便モデルを使用 した ことで,拭 き方 に対す る学習効果が認 め られた。 さらに
,「 乳児 のお むつ交換」の技術 に関す る具体的なチェックリ ス トを作成 し,おむつの後始末や感染予防につ いての意識付 けを意図的に行 ってい く必要性が 示唆 された。
引用文献
1)中村 由美子,駒松仁子,吉武香代子
(1996)小児看護学 における教室内実習 の実態.辛 成
5,6,7年度文部省科学研究費補助金 ( 一般 研究
C)成果報告書 :
24‑ 292
)馬場一雄,吉武香代子,編
(1998)系統看 護学講座小児看護学
1( 小児看護学概論, 小児臨床看護総論).医学書院 :
111 3)阿部知子監修
(2001 )見てわかる
0‑ 12ケ月赤 ちゃん育児 ブ ック.成美堂出版
:8 4)坂井一之編集
(2001 )たまごクラブ特別編
集 出産 &新生児大百科.株式会社ベ ネッ
セ コーポ レー シ ョン :146‑ 1475
)山村美枝,飯村直子,佐藤奈々子,他
(1998)看護系大学 における小児看護学の技術演習 の実 態 と今 後 の展 望.
QualityNursing 4(7):595‑ 598
6
)岡田洋子,茎津智子,佐藤雅子,他
(1999)小児看護学.医歯薬 出版株式会社 :
157)佐藤みつ子,宇佐美千恵子,青木康子,他
(1995)
看護教育 における授業設計.医学
書院 :
53工藤由紀子/小児看護学演習 における 「乳児のおむつ交換」の指導方法の検討 (31)
An Examination ofa lnstmction ofPractice ofDiaperExchange ofa Baby in Child Nursing I A trialuse ofmodelstool‑
Yukiko KUDOH IzumiHIRAMOTO
ABSTRACT:
Thepurposeofthisinvestlgationistoanalysetheimplementationofinfantdiaperexchangeteclmiquein childnurslngPractice,highlightinglnParticul
a r
theeffectofthetrialuseofamodelstool.Weintendedfor 1999entrancetoschoolstraight81thatdidnotusemodelofstooland2000entrancetoschoolstraigllt77that usedmodelofstoolinpracticeofdiaperexchangeofababy.Weanalyzedcontentsofafreedescriptionfrom theinsideofanimpressionisticessayafterthepracticeend・A
s aresult,itbecameclearthatthroughtheuseofamodelstool,studentsexperiencedthedifficultyof thewIPlngmethod.Inaddition,itbecameclearthatthereisnoeffectregardingpreventionofinfectionor remedialmeasuresthroughtheuseofamodelstool.Theimportanceofmakingaconcretechecklistinrelation totheinfantdiaperexchangeteclmique,andcontinuousawarenessofpointstobearinmindduringthe exchangewereindicated.
秋田大学医短紀要 第9巻 第2号 144