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プリント中の
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佐本 ¢はテキスト,“佐川,本間,「力学」(丸善)”を示します。
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高木I ¢は参考文献,“高木隆司,「力学(I)」(裳華房)”を示します。
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高木II ¢は参考文献,“高木隆司,「力学(II)」(裳華房)”を示します。
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戸田 ¢は参考文献,“戸田盛和,「力学」(岩波)”を示します。
オフィスアワー: 水曜3講時(1-513),金曜3講時(2-120) url: http://www.math.ryukoku.ac.jp/ iida/lecture/lecture.html
1 1 次元の運動とエネルギー
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佐本Lec. 5¢ ¤
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戸田3-4¢¨
§
¥
高木I p.92¦
ここではx軸上を動く質点の運動を考える。質点の質量をm,時刻tでの質点の位置をx(t),時刻tで質点に 働く力(のx成分)をFx(t)とする。運動方程式(の x成分)は
md2x(t)
dt2 =Fx(t) (1.1)
となる。
【注】物体の運動を記述するとき,その大きさが無視できる場合,その物体を 質点¤ (質量を持った点)と呼ぶ。
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佐本3.1.1
¨
§
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戸田p.25¦
¨
§
¥
高木I p.2¦
【注】運動方程式
md2 dt2
x(t) y(t) z(t)
=
Fx(t) Fy(t) Fz(t)
(1.2)
で,y(t) = 0, z(t) = 0,Fy(t) = 0, Fz(t) = 0の場合を考えている。
簡単な力に対しては,運動方程式の解を式で表すことができる。
1.1 調和振動におけるエネルギー
・ 調和振動(単振動) :フックの法則に従う復元力がはたらく質点の運動
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佐本 図4.5¢¤
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戸田 図3.4¢
xは,ばねの自然長からの伸び(x >0の場合),
または縮み(x <0の場合)を表す。
ばねの一端を固定し,他端に質量mの物体をつないで摩擦のない水 平な面上に置く。ばねの伸び(縮み)が小さい時は,ばねによる力の 大きさはばねの伸び(縮み)に比例する(フック(Hooke)の法則)。
ばねの力がちょうど0になるときの物体の位置(つりあいの位置)を 原点とし,ばねの伸びる向きをx軸の正の向きにとる。ばねの力F~ はx軸に平行であり(F~ = (Fx, 0,0))
Fx(t) =−kx(t) ¨
§
¥
佐本(4.33)¦
¨
§
¥
戸田(3.25)¦
¨
§
¥
高木I (4.1)¦ (1.3) となる。kは ばね定数 と呼ばれるばねに固有の正の定数である。
ばねの力のように,物体をつりあいの位置(x= 0)に引き戻そうと する力を 復元力 と呼ぶ。運動方程式(1.1)は
d2x(t)
dt2 =−ω2x(t), ω=
√k m
¨
§
¥
佐本(4.35)¦¨
§
¥
戸田(3.26)¦(1.4) となる。ωを 角振動数 と呼ぶ。
.
【問】t= 0での初期条件
x(0) =x0, dx(t) dt
¯¯¯¯
t=0
=v0 (1.5)
を満たす運動方程式(1.4)の解を求めなさい。(dx(t) dt
¯¯¯¯
t=0
は dx(t)
dt にt= 0を代入するという意味。)
【答】
x(t) =x0cos(ωt) +v0
ω sin(ωt). ¨
§
¥
佐本(4.39)¦¨
§
¥
戸田(3.39)¦¨
§
¥
高木I (4.7)¦ (1.6)
【問】調和振動で次の量
E= m 2
(dx(t) dt
)2
+k
2x(t)2 ¨
§
¥
戸田(3.73)¦ (1.7)
が 保存する (時間によらず一定になる)ことを示しなさい。ここで,
K(t) =m
2vx(t)2, vx(t) =dx(t) dt
¨
§
¥
佐本p.77¦
¨
§
¥
戸田(3.62)¦
¨
§
¥
高木I (5.24)¦ (1.8)
は時刻t の, 運動エネルギー , U(t) =k
2x(t)2 ¨
§
¥
佐本(5.17)¦
¨
§
¥
戸田(3.71)¦
¨
§
¥
高木I (5.15)¦ (1.9)
は,時刻tの,ばねの力による 位置エネルギー または ポテンシャルエネルギー と呼ばれる。
また,,E=K+Uは 力学的エネルギー と呼ばれる。力学的エネルギーが運動の過程で一定になることを,
力学的エネルギーが保存する という。
【答】
(1.7)に(1.6)を代入すると E= m
2
(−x0ωsin(ωt) +v0cos(ωt) )2
+k 2
(
x0cos(ωt) +v0 ω sin(ωt)
)2
= m 2 v20+k
2x20 (1.10) となり,E=一定 であることがわかる。
実は,力学的エネルギーが保存することは,運動方程式の解(1.6)を使わなくても,運動方程式(1.4)だけから 示すことができる:運動エネルギーの時間変化は
dK(t) dt = m
2 d
dtvx(t)2=mvx(t)dvx(t)
dt =−kvx(t)x(t) (1.11)
となる。最後の等式で運動方程式(1.4)を用いた。一方,位置エネルギーの時間変化は dU(t)
dt = k 2
d
dtx(t)2=kx(t)dx(t)
dt =kx(t)vx(t) (1.12)
なので,dK(t)
dt =−dU(t) dt より
d dt
(
K(t) +U(t) )
= 0 (1.13)
が得られる。この式はK(t) +U(t)のt に対する変化率が常に0,つまりK(t) +U(t)が一定であることを意味 する。
力学.3
.
【問】
初期条件(1.5)を満たす物体がx軸上のどの範囲を運動するかを求めなさい。
【答】力学的エネルギー保存則を書き換えると E−k
2x(t)2= m
2vx(t)2 (1.14)
となるが,この式の右辺は負にならないので,
E−k
2x(t)2≥0 (1.15)
より
−
√2E
k ≤x(t)≤
√2E
k (1.16)
という不等式が運動の過程で常に成り立っている。初期条件よりE= m 2v02+k
2x20なので,この物体は−
√
x20+ v02 ω2 から
√ x20+ v02
ω2 の範囲を運動することがわかる。
x 0 v =
x 0 v =
vx =ᦨᄢ
a=
√ x20+ v20
ω2
¤
£
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佐本 図5.2¢
¤
£
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戸田 図3.9¢
解(1.6)をは次の形,
x(t) = x0cos(ωt) +v0
ω sin(ωt) =asin(ωt+δ) (1.17)
a =
√
x20+v02/ω2, sin(δ) =x0
a , cos(δ) = v0
aω, (1.18)
に書き換えることができるので,確かに物体が(1.16)の領域を全て運動することがわかる。
【注】一般には,力学的エネルギー保存則から得られる不等式(1.16)を満たす領域の全てを物体が運動するとは限 らない:
(物体が運動する領域)⊂(力学的エネルギー保存則から得られる領域). (1.19)
しかし,この場合は(1.17)からわかるように物体は領域(1.16)を全て運動する。
1.2 自由落下におけるエネルギー
力学的エネルギーは他の運動でも保存する。
・ 自由落下 ¨
§
¥
佐本2,2¦
¨
§
¥
高木I§2.3¦
重力のみが働く落下運動を考える。x軸を鉛直上向きにとると,運動方程式は md2x(t)
dt2 =−mg (1.20)
となる。gは重力加速度の大きさを表す。重力による位置エネルギーを
U =mgx ¨
§
¥
高木I (5.13)¦
¨
§
¥
戸田(3.64)¦ (1.21)
とすると,力学的エネルギー
E=K+U =m
2vx(t)2+mgx(t) (1.22)
が保存する。
【問】力学的エネルギー(1.22)が保存することを,運動方程式(1.20)から示しなさい。
【答】運動エネルギーの時間変化は dK(t)
dt =m 2
d
dtvx(t)2=mvx(t)dvx(t)
dt =−mgvx(t) (1.23)
となる。最後の等式で運動方程式(1.20)を用いた。一方,位置エネルギーの時間変化は dU(t)
dt =mgd
dtx(t) =mgvx(t) (1.24)
なので,dK(t)
dt =−dU(t) dt より
d dt
(
K(t) +U(t) )
= 0 (1.25)
が得られる。この式はK(t) +U(t)が一定であることを意味する。
【問】位置x= 0 から,初速度の大きさv0で質量mの物体を鉛直上向きに投げ上げた。物体の到達する最大 の高さを求めなさい。
【答】物体は
m
2 vx(t)2=E−mgx(t) (1.26)
が非負の範囲を運動する。初期条件より力学的エネルギーは E= m
2v20 (1.27)
なので,物体の運動する範囲は
m
2v02−mgx(t)≥0 (1.28)
となる。従って,物体の到達する最高点xmは
xm= v20
2g (1.29)
となる。
1.3 1次元の運動における位置エネルギー
運動エネルギーの形は常にm
2v2xだが,位置エネルギーの形は働く力によって異なる。
物体に働く力(のx成分)が,物体の位置(x)の関数である場合,つまり
Fx(t) =Fx(x(t)) (1.30)
である場合,位置エネルギーU(x)を,等式
−dU(x)
dx =Fx(x) ¨
§
¥
佐本(5.12)¦¨
§
¥
高木I (5.35)¦¨
§
¥
戸田(3.60)¦ (1.31)
を満たす関数とする。このとき,力学的エネルギーE=K+U は保存する:
m
2vx(t)2+U(x(t)) =時間に依らず一定. ¨
§
¥
佐本(5.14)¦¨
§
¥
戸田(3.64)¦ (1.32)
U(x)は 力のポテンシャル とも呼ばれる。
【問】1次元の運動の力学的エネルギー保存則(1.32)を,位置エネルギーの定義(1.31)と運動方程式(1.1)から示 しなさい。
【答】運動エネルギーの時間変化は dK(t)
dt = m 2
d
dtvx(t)2=mvx(t)dvx(t)
dt =vx(t)Fx(x(t)) (1.33)
となる。最後の等式では,運動方程式(1.1)と,力がxを通して時刻tに依存すること(1.30),を用いた。一方,
位置エネルギーの時間変化は
dU(x(t))
dt = dU(x) dx
¯¯¯¯
x=x(t)
dx(t)
dt =−Fx(x(t))vx(t) (1.34)
となる。最後の等式で,(1.31) を用いた。dK(t)
dt =−dU(t) dt より d
dt (
K(t) +U(t) )
= 0 (1.35)
が得られる。この式はK(t) +U(t)が一定であることを意味する。
U(x)は(1.31)の積分
U(x) =−
∫ x x0
Fx(x0)dx0 ¨
§
¥
佐本(5.14)¦
¨
§
¥
戸田(3.64)¦ (1.36)
によって得られる。ただし,(1.36)ではU(x0) = 0となるように位置エネルギーの基準点を選んだ。
【注】U(x)に定数を加えても(1.31)を満たすので,位置エネルギーには定数だけの不定性がある。
【問】位置xの物体に働く力(のx成分)が
Fx(x) =−4x3+ 4x (1.37)
となる場合の,力のポテンシャルU(x)を求めなさい。ただし,x= 1を位置エネルギーの基準点U(1) = 0 とする。
【答】(1.36)より
U(x) =
∫ x 1
(
4(x0)3−4x0 )
dx0 =[
(x0)4−2(x0)2]x0=x
x0=1 =x4−2x2+ 1. (1.38)
【問】
x軸上を力(1.37)を受けて運動する質量mの物体 を考える。時刻t= 0での初期条件が
x(0) = 1, vx(0) =v0 (1.39) である場合,物体はx軸上のどの範囲を運動する かを答えなさい。
-2 -1 1 2
1 2
1 E>
1 E<
x ( )
U x
A B
C D E F
【答】
力学的エネルギーE
E= m
2 v20+U(1) = m
2v02 (1.40)
が保存するので,任意の時刻t で
m
2vx(t)2+U(x(t)) =E (1.41)
が成り立つ。
運動エネルギーは負にならないので,物体が運動できるのは,不等式
U(x)≤E (1.42)
を満たす領域となる。
(1.42)で決まる領域の端点では運動エネルギーが0,すなわち,物体の速度が0となり,物体は折り返す。この
位置は
U(x) =E (1.43)
より求めることができる;
x4−2x2+ 1 = (x2−1)2=E (1.44)
より,E >1の場合は
x=±
√ 1 +√
E (1.45)
となる(図の点A,B)。また,0≤E <1の場合は x=±
√ 1 +√
E , ±
√ 1−√
E (1.46)
となる(図の点C,D,E,F)。従って,物体の運動する範囲は
E= m
2v20>1の場合, −
√ 1 +√
E≤x≤
√ 1 +√
E (1.47)
E= m
2v20<1の場合,
√ 1−√
E≤x≤
√ 1 +√
E (1.48)
となる。
【注】E= m
2v20 <1 の場合に,点Cと点Dの間の領域は,不等式(1.42)を満たし,エネルギー的には運動が 可能。しかし,出発点x= 1からCDの領域に到達するには点Dと点Eの間の領域を通らなければなら ないので,実際にはこの領域には物体は到達できない。
【注】力はU(x)が減少する向きにはたらく。
1.4 力学的エネルギーが保存しない場合の例
【問】力のポテンシャルU(x)から導かれる力Fx(x) = −dU(x)/dxに加えて,速度の大きさに比例する空気 抵抗
Fx0 =−bvx ¨
§
¥
佐本(8.1))¦¨
§
¥
高木I (3.12)¦¨
§
¥
戸田p.55¦ (1.49)
が働く場合に,力学的エネルギーE= m
2vx(t)2+U(x(t))が減少することを示しなさい。bは物体の形によって 決まる正の定数である。
【答】運動方程式は
mdvx(t)
dt =Fx(x(t))−bvx(t) (1.50)
となる。力学的エネルギーの時間変化を計算する:
dE
dt = m
2 d
dtvx(t)2+dU(x(t))
dt =mvx(t)dvx(t)
dt + dU(x) dx
¯¯¯¯
x=x(t)
dx(t) dt
= vx(t) (
Fx(x(t))−bvx(t)
)−Fx(x(t))vx(t) =−bvx(t)2. (1.51)
従って,物体が運動している限り(vx6= 0),力学的エネルギーは減少する。
【問】x軸上の位置xを速度(のx成分)vxで運動している物体にはたらく力(のx成分)が
Fx=−4x3+ 4x−bvx (1.52)
であるとする。時刻 t= 0での初期条件が
x(0) = 1, vx(0) =v0 ただし,m
2v02<1 (1.53)
である場合,時間か十分経過した後の物体の位置xe= lim
t→∞x(t)を求めなさい。
【答】時刻t の力学的エネルギーをE(t)とする。
E(t)−U(x(t)) = m
2vx(t)2≥0 (1.54)
より,時刻t で物体は領域
U(x(t))≤E(t) (1.55) の中に存在することがわかる。tとともに E(t)は減少するので,物体の存在できる領域の範囲は狭まり,物体は 位置エネルギーU(x)が極小となる位置に近づいていく。E(0)<1より,時刻t= 0で物体の運動できる領域内 にU(x)の極小は1つしかないので,xe= 1であることがわかる。尚,E(0)>1の場合は,時刻t= 0 で物体の 運動できる領域内にU(x)の極小が2つ(x=±1)あるので,時間の経過とともに物体がどちらの極小に近づくか はエネルギーの考察だけからはわからない。
(参考)空気抵抗や摩擦力が働く場合には,力学的エネルギーは保存しないが,熱エネルギーまで含めて考えると エネルギー保存則が成り立っている。¨
§
¥
佐本p.96¦
¨
§
¥
高木I (5.33)¦
1.5 1次元の運動における仕事
質量mの質点が力Fx(t)を受けてx軸上を運動しているとする。運動エネルギーK= m
2vx(t)2の時間変化は dK
dt =mvx(t)dvx(t)
dt =Fx(t)vx(t) (1.56)
なので,時刻t=t1 からt=t2 までの運動エネルギーの変化は K(t2)−K(t1) =
∫ t2 t1
Fx(t)vx(t)dt (1.57)
となる。(1.57)の右辺
W =
∫ t2 t1
Fx(t)vx(t)dt ¨
§
¥
佐本(5.26)’¦ (1.58)
を時刻t=t1からt=t2 までの間に 質点に力Fxがした 仕事 という。つまり,
K(t2)−K(t1) = W
(質点の運動エネルギーの変化) = (質点になされた仕事) ¨
§
¥
佐本(5.31)¦ (1.59)
が成り立つ。後に,(2.39)で説明するように,この関係式は3次元の運動においても成り立つ。
力学.9
.
@ Ay
Az
A×@ By
Bz
A=@ Az Bx−AxBz
AxBy−AyBx
A
2 3 次元の運動とエネルギー
¨
§
¥
佐本Lec. 6,7¦
¤
£
¡
戸田3-5¢
¨
§
¥
高木I p.92¦
質量mの質点の運動方程式は
md2 dt2
x(t) y(t) z(t)
=
Fx(t) Fy(t) Fz(t)
(2.1)
となる。F(t) =~ (
Fx(t), Fy(t), Fz(t) )
は時刻tに物体にはたらく力を表す。
2.1 3次元の運動における位置エネルギー
位置~r= (x, y, z)にある物体にはたらく力が物体の位置の関数である場合,つまり
F(t) =~ F~(~r(t)) (2.2)
である場合を考える。3つの関数Fx(~r),Fy(~r),Fz(~r)が1つの関数U(~r)から次式
Fx(~r) =−∂U(~r)
∂x , Fy(~r) =−∂U(~r)
∂y , Fz(~r) =−∂U(~r)
∂z
¨
§
¥
佐本(7.1)¦
¨
§
¥
高木I (5.38)¦
¨
§
¥
戸田(3.153)¦(2.3) によって導かれるとき,U(~r)を位置エネルギーあるいは力のポテンシャルと呼び,力学的エネルギー
E=m
2|~v(t)|2+U(~r(t)) (2.4)
は保存する。(運動の過程で一定の値をとる。)関係式(2.3)を満たすUが存在するような力を 保存力 と呼ぶ。
【注】ベクトルの形をした微分演算子(ナブラ演算子)∇~ = ( ∂
∂x, ∂
∂y, ∂
∂z )
を用いると,(2.3)は次のように書ける:
F~(~r) =−∇~U(~r). (2.5)
∇~U(~r)はU(~r)の勾配(gradient)と呼ばれ,gradU(~r)とも書かれる。
【注】力F~ が位置~rの関数であっても,いつでも保存力になるわけではない。
位置~rの関数である力F~(~r)が保存力である(力のポテンシャルを持つ)ための必要十分条件は
∂Fx(~r)
∂y = ∂Fy(~r)
∂x , ∂Fy(~r)
∂z = ∂Fz(~r)
∂y , ∂Fz(~r)
∂x = ∂Fx(~r)
∂z
¨
§
¥
佐本(7.25)¦ (2.6)
である。
【注】∇~ を用いると,条件(2.6)は
∇ ×~ F~(~r) =~0 (2.7)
と書ける。∇ ×~ F~(~r)はF~(~r)の回転(rotation)と呼ばれ,rotF~(~r)とも書かれる。
【問】位置の関数である力が
F(~~ r) = α
r3 ~r (2.8)
であるとき,力のポテンシャルを求めなさい。ただし,αは定数,r=|~r|である。
【答】(2.3)を積分する。まず,∂U
∂x =−αx
r3 をxについて積分する:
U =−α
∫ x
r3dx . (2.9)
積分変数をxからr=(
x2+y2+z2)1/2
に変換しよう。
∂r
∂x = ∂
∂x
(x2+y2+z2)1/2
= ds1/2 ds
¯¯¯¯
s=x2+y2+z2
∂(x2+y2+z2)
∂x =
(1 2
) s−1/2¯¯
¯¯s=x2+y2+z2
2x= x
r (2.10) より,
U =−α
∫ x r3
1
∂r
∂x
dr=−α
∫
r−2dr=αr−1+C1(y, z) (2.11) が得られる。ここで,C1(y, z)はxの積分に対する積分定数なので,yやzの関数である可能性がある。次に,上 式を∂U
∂y =−αy
r3 の左辺に代入する:
∂U
∂y =α∂r−1
∂y +∂C1(y, z)
∂y =−αr−2∂r
∂y+∂C1(y, z)
∂y =−αy
r3 +∂C1(y, z)
∂y . (2.12)
ここで,∂r
∂y = y
r を用いた。これより,C1(y, z)が満たすべき条件
∂C1(y, z)
∂y = 0 (2.13)
が得られる。この式をyについて積分して
C1(y, z) =
∫
0dy=C2(z) (2.14)
が得られる。C2(z)はyの積分に対する積分定数なので,zの関数である可能性がある。さらに,得られた結果 U =αr−1+C2(z)を∂U
∂z =−αz
r3 の左辺に代入すると
∂U
∂z =α∂r−1
∂z +∂C2(z)
∂z =−αr−2∂r
∂z +∂C2(z)
∂z =−αz
r3 +∂C2(z)
∂z (2.15)
となる。ここで,∂r
∂z = z
r を用いた。従って ∂C2(z)
∂z = 0,つまりC2は定数になることがわかる。以上より,力
のポテンシャルは
U(~r) =α
r +C (2.16)
となる.(Cは定数。)
(参考) α=−Gm1m2 の場合,(2.8)は,原点に固定された質量m2[kg]の物体が,位置~rにある質量m1[kg]の物体に及ぼす 重力 ( 万有引力 )を表す。Gは 万有引力定数 で以下の値を持つ:
G= 6.67· · · ×10−11m3/(s2kg).
¨
§
¥
佐本(10.2)¦
¨
§
¥
高木I (5.7)¦,
¨
§
¥
戸田(4.50)¦ (2.17)
また,α = q1q2
4πε0
の場合,(2.8)は,原点に固定された電荷q2[C]を持つ物体が,位置~rにある電荷q1[C]を持つ物体に及ぼ す クーロン力 を表す。ε0は 真空の誘電率 で以下の値を持つ:
ε0= 8.85· · · ×10−12C2kg−1m−3s2, (2.18)
C (クーロン)は電荷の単位。
【注】中心力 ¨
§
¥
佐本p.136¦
¨
§
¥
高木I (6.1)¦
¨
§
¥
戸田(3.144)¦ 位置の関数である力が
F~(~r) =f(r) ~r
r, r=(
x2+y2+z2)1/2
(2.19) で与えられるとき,力は常に原点(中心)の方向を向いている。このような力を 中心力 と呼ぶ。力のポテ ンシャルは
U(r) =−g(r), ただしg(r)は dg(r)
dr =f(r)を満たす関数, (2.20) となる。
【問】¨
§
¥
佐本p.103¦
以下に与えられる力が保存力かどうかを判定しなさい。また,保存力の場合は力のポテンシャルを求めなさい。
(1) F~(~r) = (
ayz , azx , axy )
, aは定数 (2.21)
(2) F~(~r) = (
ky ,−kx ,0 )
, kは定数 (2.22)
【答】
(1)
∇ ×~ F(~~ r) =
(∂(axy)
∂y −∂(azx)
∂z , ∂(ayz)
∂z −∂(axy)
∂x , ∂(azx)
∂x −∂(ayz)
∂y )
= (ax−ax , ay−ay , az−az) =~0 (2.23)
となるので,この力は保存力である。
次に,力のポテンシャルを求める。まず,∂U
∂x =−ayzをxについて積分する:
U =−a
∫
yzdx=−axyz+C1(y, z) (2.24)
が得られる。ここで,C1(y, z)はxの積分に対する積分定数なので,yやzの関数である可能性がある。次 に,上式を∂U
∂y =−azxの左辺に代入する:
∂U
∂y =−axz+∂C1(y, z)
∂y . (2.25)
これより,C1(y, z)が満たすべき条件
∂C1(y, z)
∂y = 0 (2.26)
が得られる。この式をyについて積分して C1(y, z) =
∫
0 dy=C2(z) (2.27)
が得られる。C2(z)はyの積分に対する積分定数なので,zの関数である可能性がある。さらに,得られた 結果U =axyz+C2(z)を ∂U
∂z =−axyの左辺に代入すると
∂U
∂z =−axy+∂C2(z)
∂z (2.28)
より,∂C2(z)
∂z = 0,つまりC2は定数になることがわかる。以上より,力のポテンシャルは
U(~r) =−axyz+C (2.29)
となる.(C は定数。) (2)
∇ ×~ F~(~r) = (∂0
∂y −∂(−kx)
∂z , ∂(ky)
∂z −∂0
∂x, ∂(−kx)
∂x −∂(ky)
∂y )
= (0, 0, −2k)6=~0 (2.30) となるので,この力は保存力ではない。
保存力ではないので,力のポテンシャルは存在しないが,無理に(1)と同じように積分してみる。まず,
∂U
∂x =−kyをxについて積分する:
U =−k
∫
ydx=−kxy+C1(y, z) (2.31)
が得られる。次に,上式を∂U
∂y =kxの左辺に代入する:
∂U
∂y =−kx+∂C1(y, z)
∂y . (2.32)
これより,C1(y, z)が満たすべき条件は
∂C1(y, z)
∂y = 2kx (2.33)
となるが,C1(y, z)はyとzの関数なので,この等式を満たすことはできない。従って,F~(~r) =−∇~U(~r) となるU は確かに存在しない。
保存力のはたらく物体の力学的エネルギーが一定になることは1次元の運動と同様に示すことができる:
dK(t)
dt = d
dt m
2|~v(t)|2=m~v(t)·d~v(t)
dt =~v(t)·F~(~r(t)) =−~v(t)·∇~U(~r)|~r=~r(t) (2.34) dU(~r(t))
dt = ∇~U(~r)|~r=~r(t)· d~r(t)
dt (2.35)
より,d dtE= d
dt (
K(t) +U(t) )
= 0となることがわかる。
質点が保存力を受けて運動する場合,力学的エネルギー E=m
2|~v(t)|2+U(~r(t)) (2.36) は保存する。(運動の過程で値が一定となる。)