非線形炉波器の実験的検討
佐 藤 武 治
E'n、1+j"CR2)to+R,i,+n¥
i,n=(jのC−の2C2)E2+ @(1+jq)CR2)I2 ②
+,"cn¥
なお上式においてR2=0とおき。n窯をj乢(12+
jのCE2)とおけば(1)と等しくなる。次に(1)および(2)式を もととして各パラメータの解析による比較を試ゑる。
2. 1影像インピーダンスの特性比較について 影像インピーダンスは一般に炉波器の短絡および開放 インピーダンスの幾何平均で与えられる。したがって損 失のない炉波器では1−1'なる入力端子からみた影像 インピーダンスは(')式により次式で与えられる。
"=ゾ亮ゾ,毒[Q] (3)
ここでQ=‑=の
のC
ただしのcはしゃ断角周波数である。
しかるに非線形炉波器においては, 仮りに直流抵抗 R2を無視出来たとしても, コアを含んだインダクタン スによって,電流が正弦波の変化をした場合,そこに発
生する逆起電加e'=n器によ・て与えられ,基本波
に対して第3高調波を多量に含んだものとなり, もはや 定常状態における線形炉波回路の如く,そのインピーダ ンスを単に①Lとのみおくことは不可能となる。更に解 析をむずかしくするのは発生する逆起電力は周波数の函 数であり, したがって第3高調波の大きさそれ自体も現 在の場合周波数の函数となることである。一般的に,非 線形素子を線形素子または他の非線形素子と結合して回 路構成をする場合,その重ね合わせで回路特性を求める ことが困難なことも解析をむずかしくする原因である。
これは各素子の特性は定常状態において入力と出力との 関係で表わされるが,入力が時間的に変化するような場 合,重ねの理で得た特性は,実際の回路特性とは異なる 場合が多いという理由によるものである。それ故解析を 容易にするため, 巻数nのコイルの磁束。が電流に対
し,
n.=Li‑Lfi3(0<6<1) (4) を満たすとし,定常状態において線形のインダクタンス
と同様の取扱いをするため,実効インダクタンスを導入
1 まえがき
伝送回路の解析においては影像パラメータが通常使用 されるが, この理論は線形領域に限られる。したがって 非線形素子を含んだ受動回路に影像パラメータ理論をそ のまま適用することについては,多くの問題を含んでい ると考えねばならない。そこでまず一つの手掛りとして 線形回路における影像パラメータ理論による定K形低域 浜波器を基本とし,直列素子には,非線形素子としてコ ア入りインダクタンスを使用し,微少電流におけるその 実効インダクタンスが線形のそれと等しい炉波器(以後 非線形炉波器と称する)を構成し,線形と非線形炉波器 双方の簡単な回路解析を行なった。次には,実験によっ て影像インピーダンス,減衰定数,および位相定数を求
、め,その結果を比較検討した。結論として2, 3の定性 的に興味ある結果が得られたのでここに発表し,ご批評 をこう次第である。
2回路方程式および解析
図1は定K形低域炉波器の等価回路を示したものであ る。ただし非線形炉波器は対称炉波器と考え,非線形イ ンダクタンスの磁束を●,巻数を、とL,第二次近似ま でをとる。図1から線形および非線形炉波器の四端子定 数は今の場合それぞれ次式で与えられる。
九中
一 一
R2
!&
I
7−
..−9
l′ 2′
図1 使用した炉波器D等価回路
{龍}=[搬呈'LC, if呈乢cl (''
上式は線形の場合であって,R1を無視する。 これに 対して非線形炉波器の場合の式は次式で与えられ,対称 炉波器の特殊の場合のように考えられる。即ち
する。しかがって流れる電流を正弦波とし,一周期間に 貯えられるエネルギーより実効インダクダンスを決定す る。
十L置六鱗 三去鱗)id("t
(5)
i=ImSint"t=,/ rlSinのt (6) (4), (6)式を(5)式に代入して整理すると実効インダクタン スLeは,
Le==(嘉一蓋βI:)
=L(1‑;一β'。) (7)
即ち実効値Iの電流が流れている時, コア入りインダク タンスの実効インダクタンスLeは(7)式で与えられるか ら,線形炉波器にならってその影像インピーダンスを次 式によって与えられるとした。
・ n=ゾ嘉斥全正 (8)
ただしQ:‑"壱旦垈である。
したがってZo,nは一つの変数となる。なお影像インピ ーダンスは,その伝送帯域においては実数であり,減衰 域においては虚数となる。次に動作インピーダンスにつ いて述べる。影像インピーダンスはあくまでも設計理論 上のものであるから,実際測定においては終端インピー ダンスを抵抗Rで固定する。この方式を動作インピーダ ンスといい, この方法では同じi戸波器の入力インピーダ ンスでも多少は異なった測定値が得られる。なお動作イ ンピーダンスは次式で与えられる。
Za=R7壺呉。 (9)
非線形の場合についてはQeを使用し, (9)式にならっ て現在の場合,次のように与えた。
"‑Ⅱ71弓蕪ォ ⑩
2.2減衰定数および位相定数の比較について 例えば損失のない線形炉波器の場合の伝達定数を〃と し,損失のある場合のそれをβdとすれば, この場合の 伝達定数は次式で与えられる。
='十号系" ⑩
ここで6=ー&
のL
それ故通過域においてはβ=jβであるから 6 6β
0ap=j6+の.−.− 画
2 6の
となり,位相量そのものは変化しないが,減衰ひずゑ
を生ずることがわかる。ここで鶚は群遅延時間であ
る。一方,減衰域においては, 8=cr+jn÷である
から⑪式は,
"da= cY‑伽÷器 ⑬
となり,位相ひずぶを生ずるUこれらはいづれもMayer の式として知られているものであって,素子の損失によ る影響を求めることが出来る。線形炉波器における6な る損失係数について論じたが,非線形のそれではしたが
・て6を6n=糸とおくことにより,それぞれの値
を求めることが出来ると考えられるので式は省略する。
次に動作減衰量についてふれる。これは電源,炉波器 および負荷の三つの影響をすべて含んでおり,実際の伝 送系の特性を総合的に表わすことから広く一般に使用さ れている。現在の場合の炉波器についてこれを求めると αuを伝送減衰量とし,Rs,Rをこれぞれ電源の内部抵 抗,出力側の終端抵抗とした場合,次式で求められる。
。=20岫,│雲器│+c"] ('
しかし乍ら計算上は,設計上の抵抗値で出入力端子を結 んだものとして,次式が便利である。
α・=ゾ!+÷磯) ⑮
したがって非線形の場合の動作減衰量については, のc
の代りにゾfでを代入すればよい。
最後に,動作位相量は電源E1の位相に対する炉波器 の出力電圧E2の位相推移量で定義される。 このことか ら影像インピーダンスをZo,,Zo2としRs,Rを動作減 衰量の場合と同様に定めること, 動作位相量βaは次式 で与えられる。
S
|
| 伽
R
+
10Z2/ 柵一・峨恥〃ノノ一
十一"a= +β
半/ ‑器三:篭三二一〃e
+2n7r ⑯
現在の炉波器については対称炉波器であるから,Zo1=
z"‑/妄が成立し,非線形炉波器については,L
の代りにLeを代入して検討するo
3実談結果の検討
線形および非線形炉波器の公称インピータゞンスを600
の抵抗値はどの程度かという事も当然検討を加えるべき であったと考える。この点については,損失を含む影像 インピーダンスが次式で与えられることが,示される。
[Q]にとり, コア入りインダクタンスには山水のアウ プットトランスST‑303を使用した。 1 [KHZ/S]に おける微少電流によるLeの実測値は355 [mH]であ り,その直流抵抗R2=34.69[Q,]である。 これに対 応する線形のLの直流抵抗R,=20.20 [Q.]である。
上記の定数をもとにして, Cを0.492["F]にとってそ れぞれの定K形低域炉波器を構成し, しゃ断周波数をこ れら定数からほぼ540[HZ/S]になるように決定した。
上記定数をもとにして炉波器を組立てて影像インピーダ ンスの比較をした結果を図2に示す。
図からわかる如く,線形炉波器についてはほとんど(3) 式による引算値と実測値は一致する。勿論リアクタンス 四端子網として, R,で示した直流抵抗約20[Q]は無 視して差支えない。これに対し非線形の場合しゃ断周波 数は恰かも存在しないかのように観測され,周波数が増 加するにつれて,その影像インピーダンスは減少する。
勿論(8)式には必らずしも合致しなかった。一般の素子は 純リアクタンスではなく抵抗を伴うから, この抵抗が炉 波器の性質に如何に作用するか, また現在の場合炉波器 の素子を純リアクタンスとして考慮する場合,許容範囲
凪 ノ5卸
'@剣
Z
I 空三三三=g=牽旦二昏竺
。媒
〃︒〃●一浬〃〃が︾寺川J9P−T艮卿
惑非源
0
÷
−−−5↑
1
50 ′・・ 一ナ, 50・ ノ000 H%
ゾ
『0
図2 インピーダンス特性の比較
30HZ/S 入力5V/cm 出力0.1V/cm 20HZ/S
入力5V/cm 洲力0.2V/cm 図3
’
q
I
50HZ/S 入力5V/cm 出力0.2V/cm
70HZ/S 入力5V/cm lll力0.05V/cm
ロ
80HZ/S 入力5V/cm 出力0.1V/cm
90HZ/S 入力5V/cm l l{力0.1V/cm
三一
150HZ/S 入力5V/cm ll '!力01V/cm 100HZ/S
入力5V/cm l lbIJ0」V/cm
zd=z"‑'4‑]讐鞠 獅
今│可の場合,非線形哩素の取扱いにのみ検,洲を加えてい るのでこの点1こついて十分な解析を加えなかったが,今 後検討すべき事項であると考えている。なおこの場合の 非線形コイルの終端に発生する電圧および炉波器の出力 端2−2'間に現われる両圧を図3の写1'〔で示す。 いづ れも入力波形とコア入りインダクタンスの│1fj端の波形お よび入力と川力波形の比較を試ゑたものである。写真か らわかみ、る如く奇数尚凋波を含み,解析においては第3 尚調波を多量に含むものとして,第3il'li凋波のみを特に 検討した。解析を離れて実測値からのみ考庖すれば, こ の高調波は約200[HZ/S]附近で消滅し, それ以降の 発生する電圧は韮本波のみとなる。
動作インピーダンスについて測定した糸,'i果を図4, 5 および6に示す。各│Xiは, 2 2ノ端子│川に接続した抵抗 Rがそれぞれ1,000[Q.], 600[Q],および300[Q]で ある場合の動作インピーダンスの特│JI§を示す。これらは いずれも(9),および⑩式で解析した結果と比較検討して みると線形については定量的に,非線形については定性 的に合致していることがわかる。実測イ│血では線形におい ては, R=1,000[Q]の場合, 300 [HZ/S]附近に一 つの底部が翠られ, また非線形については100〜200
もし0尹jO45
︑ 1
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一オ
図4 インピーダンス特'1毛の比il"(R=1000Q)
[HZ/S]の間iこ−つのピークがあり, そのピークは Rが低くなるにつれて多少周波数の高い方l!│]ち200 [HZ/S]の方への移動が翠られる。なお,非線形にお いてピーク値の現われない限界の終端抵抗Rの値は,
2‑2'端子間にほぼ2,000[Q]を接続した場合であ り線形において底部の生じない限界は, Rがほぼ630
Z
’ 。、8
眼形○
非#職ウ
影岬柵
I
曙
皿 〃UDm
‑‑‑→ナ
図8動作減衰量の比較(R=1000Q) 図5 インピーダンス特性の比較(R=600Q)
JB ノ
Z
那影 螺影 非腺溺
非螺影
鷺
−→f
図9動作減衰量の比較(R=600Q)
図6 インピーダンス特性の比較(R=300Q)
20
d、6 。、8
I
ノ0
汀シ 彫 鼠影
図7減衰定数の比較 図10動作減衰量の比較(R=300Q)
I
ノ
P P
I
I
や
一
一一ナ 図14動作位相量の比較(R=300Q)
一ナ
図11 位相定数の計算値と実測値の比較
[Q]の場合であって, これより小なる抵抗では底部は 生じない。
次に減衰定数および位相定数の実測結果について図7
〜図14に示す。 まず減衰定数および動作減衰量につい て述べると,線形は大体解析した結果にしたがった変化 を示しており,非線形は余り尖鋭な減衰特性を示さず,
通過帯域の全域において線形の特性が周波数の低い方即 ち左へ移動したかの如き変化を示しており,ここでは実 測値は解析した結果と多少定性的に異なった結果を示し ている。しかるに位相定数および動作位相量について実 測した図11〜図14は,解析結果とほぼ一致し,高調波 および損失の影響はほとんどないことを示している。
β
1
−−−→ナ
図12動作位相量の比較(R=1000Q) 4ま と め
非線形炉波器を主として実験結果をもとにして,線形 に対応して影像パラメータの比較検討を行なった。今回 はあくまでも線形系に関する影像パラメータ理論が非線 形系に拡張し得るかどうか,拡張し得るとして,考慮し なければならない条件は何であるか, またそのために は,何を導入すべきであるかということについて一つの 手掛りを得ようとした。その中で影像インピーダンスお よび減衰定数に関しては或特異性が承られた。ただ,非 線形素子を含む回路において解析的に解を得ることは必 ずしも容易ではないことと,測定器の都合もあって十分 な解析は出来なかった。また解析の方法にも多少問題が あったと思うし,今回は主として定性的な傾向を検討し たにとどまる。なおこれは非線形回路の基礎的な一例に ついての比較検討であるので,その全体的な取扱いにつ いては今後改めて検討したい。
β
I
一→チ
図13動作位相量の比較(R=600Q)
象〃電学誌82, 833,P.524(昭和37−4) (3) C.A.DESOERANDK.K.WONG: 、、Small
‑SignalBehaviorofNonlinearLumPed Networks"proc・ oFI.E、E、E・voL.56
文 献
(1)たとえば,渡部和:伝送回路網の理論と設計,
オーム社(昭和43年)
(2)池野: $'非線形パラメータ励振の振巾確立過渡現