曼
茶
羅
緋
線
法
と
布
字
観
に
つ
い
て
-太
陽
中
心
の
世
界
観
の
流
現
-大
野
俊
覧
内 容 目 次 一、 両 部 曼 茶 羅 の 成 立 に 関 す る 地 理 的 一 考 察⋮⋮三 八 二、 曼 茶 羅 壇 作 成 時 の 緋 線 法 と、 そ の 順 逆 二 転 法 井 設 の 意 味 に つ い て⋮⋮四 三 三、 心 外 か ら 心 内 へ の 推 移⋮⋮五 一 -曼 茶 羅 観 行 上 の 転 換-四、 五 色 阿 字⋮⋮五 八 五、 阿 字 黒 箱 ﹁ 極 秘 不 見 ﹂ の 図 に つ い て⋮⋮六 〇 六、 結 び⋮⋮六 三 序 文 曼 茶 羅 に か ぎ ら ず、 密 教 の 事 相 一 般 の 上 に お い て も、 太 陽 中 心 の 行 動 様 式 が そ れ ら に 底 在 し、 一 貫 し て る る こ と に 気 が つ く。 太 陽 は 人 間 を は ぐ く み、 そ の 住 居 の 地 域 性 の 相 違 に 応 じ た 風 土 性 を、 人 間 に 与 え て 来 た。 太 陽 の 影 響 力 の 地 域 的 変 化 に も と ず く 曼 茶 羅 の 地 理 的 研 究 も、 私 は 与 え ら れ た 課 題 の 一 つ の 受 取 り 方 と し て 遂 行 し た い と 思 つ た が、 何 分 短 時 日 を も つ て し て は 及 ぶ べ く も な い の で、 両 部 曼 茶 羅 緋 線 法 や 布 字 観 に つ い て 述 べ、 そ れ に よ つ て 一 応 の 責 を 果 た し た い と 思 う。 曼 茶 羅 緋 線 法 と 布 字 観 に つ い て密 教 文 化 一、 両 部 曼 茶 羅 の 成 立 に 関 す る 地 理 的 一 考 察 栂 尾 祥 雲 博 士 の ﹁ 秘 密 仏 教 史 ﹂ に よ る と、 大 日 経 は 七 世 紀 の 中 葉 頃、 印 度 伐 猟 毘 国 ( v a la n h i) に 住 せ る あ る 大 徳 が 羅 茶 国 ( L a ta ) に 醍 醸 せ ら れ た る 情 勢 に 応 ず る た め に 編 成 し た も の で は な い か と 想 像 し 得 る、 と い う こ と で あ る。 ( 同 書 三 一 頁 )。 こ の 地 は 西 印 度 の 中 央 部、 緯 度 で い え ば 北 緯 二 十 度 乃 至 二 十 三 ・ 四 度 の 地 域 で あ る。 更 に 金 剛 頂 経 は、 西 紀 六 百 入 ・ 九 十 年 頃、 南 天 竺 に 於 て 成 立 し た こ と は 明 ら か で あ る、 と 同 書 は い う ( 四 一 ・ 二 頁 )。 南 天 竺 の 南 端 は、 セ イ ロ ン を 含 め て 約 五 度 で あ る。 大 体 こ の 両 部 曼 茶 羅 が 成 立 し た 印 度 と い う 大 国 は そ の 中 央 部 を 北 回 帰 線 (二 士 二 度 二 十 七 分 ) が 横 断 し、 太 陽 は 四 季 を 通 じ て、 東 か ら 上 り、 南 に 廻 つ て 西 に 入 る。 朝、 昼、 夕、 そ し て 夜 と い う 時 間 の 推 移 が 順 調 で あ り、 春、 夏、 秋、 冬 と い う 季 節 の 変 化 も 明 瞭 で あ る。 そ こ に は 六 月 一 杯 日 照 時 間 ゼ ロ と い う 南 極 地 方 の 暗 黒 時 期 も な く、 又、 北 半 球 高 緯 度 地 域 に お け る が 如 き、 日 出 日 没 の 際 に 太 陽 が 地 平 線 と ほ ぼ 平 行 に 動 く た め に、 日 出 前 お よ び 日 没 後 の か な り 長 い 時 間 に そ の 傭 角 が 小 さ く、 い わ ゆ る 薄 明 の 状 態 が 長 く つ づ く と い う ﹁ 白 夜 ﹂ の 現 象 も な い。 ( 北 緯 四 十 四 度 の 北 海 道 知 床 半 島 で さ え、 夕 刻 は 十 時 頃 迄 明 る く、 夜 の 明 け る の は 午 前 二 時 頃 で あ る と い う )。 北 緯 二 十 六 ・ 七 度 に 位 置 す る 沖 縄 諸 島 で は、 太 陽 の 光 線 は 既 に 亜 熱 帯 の も の と し て 強 烈 で あ り、 そ こ の 住 民 た ち の 衣 服 は 青、 黄、 赤 の 原 色 の 色 彩 を 用 い る。 原 色 で な い と、 太 陽 の 光 線 が 強 過 ぎ る た め、 す ぐ 衣 服 の 色 が は げ る か ら で あ る。 (那 覇 市 な と で は、 年 間 で 一 番 寒 い 時 で も 摂 氏 十 六 度 も あ る、 と い ビ ン ガ タ う )。 そ う し た 原 因 か ら こ の 地 域 で は 紅 型 染 め が 考 案 さ れ、 そ し て そ こ で の 名 産 と な つ た。 太 陽 の 光 線 は 地 球 上 の 動 植 物 一 切 を 支 配 し、 人 間 の 文 化 生 活 に 種 々 の 影 響 と、 地 域 的 変 化 性 と を 与 え る。 た か だ か 北 緯 三 十 度 か ら 四 十 度 迄 の 間 に 介 在 す る 日 本 の 民 族 に と つ て は、 想 像 も し 難 (い 程 の 太 陽 と 動 植 物 問 の 密 接 な 関 連 性 を、 低 緯 度 地 域 又 は 高 緯 度 地 方 で は 持 つ の で あ る。 鴬 を 飼 育 し て、 三 月 の 日 照 時 間 に 合 せ て、 夜 も 灯 光 を 与 え る と、 十 一 月 十 二 月 の 冬 季 で も 鳴 く、 と い わ れ る。 又、 菊 を 栽 培 す る と き、 九 月 の 目 照 時 間 と 温 度 と を 与 え れ ば、 そ れ は 年 中 咲 く、 と い う。 地 球 上 の 動 植 物 一 切 の 生 命 現 象 が、 如 何
に 太 陽 と 密 接 な 関 係 を も つ て 営 ま れ て い る か と い う こ と が、 こ れ ら の 少 例 を も つ て し て も 理 解 で き る で あ ろ う。 太 陽 の 出 入 が 順 調 な 地 域 に 於 て は、 朝、 東 方 に 日 の 出 を 見、 夕 刻、 西 方 に 日 の 入 り を 見 る。 正 南 方、 午 の 方 向 に 太 陽 の 光 線 が 働 く 時、 そ れ は 正 午 の 十 二 時 で あ り、 そ の 逆 に 正 北 方 子 の 方 向 に 太 陽 が 廻 つ て い る 時 刻 が、 夜 半 の 十 二 時 で あ る。 そ し て 真 東 を 卯 の 方 向 と し、 真 西 を 酉 の 方 向 と す る と き、 東 北 隅 丑 寅 ( 艮 ) の 方 向 は、 ま さ に 太 陽 が 夜 の 世 界 か ら 昼 の 世 界 へ と 転 換 せ ん が た め に、 そ の 活 動 を 開 始 す る 昼 夜 の 分 岐 点 と な り、 こ の 方 向 が す な わ ち 菩 提 華 祥 蘂 の い う ﹁ 理 智 不 二 ﹂ の 方 向 と な る の で あ る。 (沖 縄 に お い て は、 東 を 上 り と 云 い、 西 を 入 り と 云 つ て、 太 陽 の 動 き が 東 西 の 方 向 を 示 す 言 葉 と も な つ て い る。 ) 菩 提 華 日、 東 北 隅 以 為 二 不 二 方 一者 何ソ。 謂ク 丑 寅ノ 際ヲ 而 為 二 昼 夜 ノ 際 一、 此 陰 陽ノ 際 以 喩 二フ 理 智 不 二 一ニ。 故 二 此ノ 金 剛 線 始 ルニ於 此 隅一ヨリ、以為二深秘一。(慈 雲 尊 者 講 伝、 祥 蘂 筆 録 及 註 釈 両 部 曼 奈 羅 随 聞 記 ﹂ 巻 五 ) 祥 蘂 が 右 に い う よ う に、 艮 の 方 向 は 理 智 不 二 の 方 向 で あ り、 密 教 の 事 相 面 に 於 て は こ れ を 吉 祥 の 方 向 と す る。 従 つ て 壇 線 は こ の 角 よ り 結 び 始 め る。 ﹁ 壇 の 四 隅 に 立 て る 柱 様 の も の を 概 と い う。 四 隅 に 各 一 本 ク イ あ る 故 四 概 と 称 す。 代 の 意 味 に て 浄 菩 提 心 の 大 地 を 堅 固 に す る 為 め 立 て る。 概 は 紫 檀 木 で 作 る を 本 義 と し、 或 は 余 木 若 し く は 銅 鉄 等 で 作 る。 長 さ 一 尺 或 は 一 尺 二 寸 に な す。 此 の 概 と 概 と を 連 絡 す る 線 を 壇 線 と い う。 連 持 の 義 で あ つ て 浄 菩 提 心 の 徳 相 を 相 続 し て 断 絶 せ し め ず、 又、 浄 菩 提 心 の 大 地 を 結 界 す る 意 を 表 わ す。 故 に 此 の 線 を 越 え て 中 に 入 つ て は な ら ぬ。 線 は 東 北 角 即 艮 隅 よ り 始 め て 順 に 廻 り 艮 隅 に 納 め る。 艮 は 東 と 北 と の 中 間 に あ り、 発 心 の 初 位 万 物 発 動 の 本 源 に て、 復 万 物 窮 ま る の 方 位 と 考 え ら れ る。 依 つ て 艮 を ワ ガ 起 点 と し 艮 に 納 め る。 若 し 余 り あ れ ば 縮 ね て 白 紙 に 包 み 水 引 を も つ て 結 び 置 く。 ﹂ ( 大 山 公 淳 教 授 著 真 言 宗 法 儀 解 説 ﹂ 一 二 頁 ) こ こ で い う ﹁ 順 に 廻 り ﹂ と は、 時 計 の 針 の 方 向 に 廻 る 方 法、 す な わ ち 右 廻 り を 指 す。 そ れ は 太 陽 が 東 か ら 出 て 南 に 廻 り、 南 か ら 西 に 廻 つ て 没 す る 廻 転 方 向 で あ る。 曼 茶 羅 や 密 教 の 事 相 一 般 に お い て 順 廻 り と は、 す べ て こ の 太 陽 の 運 行 方 向 を 規 準 に し た も の と 考 え ら れ る。 古 代 印 度 に お い て は 太 陽 と 月 と は 須 弥 山 の 周 囲 を 毎 日 一 回 転 つ つ 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 す る も の と 考 え ら れ て 来 た。 両 部 曼 茶 羅 成 立 当 時 の 密 教 に お い て も、 こ の 天 動 説 を 出 で る も の で は な か つ た。 コ ペ ル ニ ク ス が 地 動 説 を 唱 え た 十 六 世 紀 と は、 は る か に 隔 た る こ の 七 ・ 八 世 紀 の 時 代 に お い て も、 古 代 ギ リ シ ア の 天 文 学 者 ア リ ス タ ル コ ス (3 1 0-2 3 0 B. O ) の 地 動 説 の 影 響 が 考 え ら れ る が、 そ の 影 響 も 大 し て 受 け て い な か つ た も の と 思 え る。 (前 掲 ﹁ 秘 密 仏 教 史 ﹂ 三 〇 頁 に、 西 印 度 の 羅 茶 国 の 首 都 B h a m k a cc h a は 古 来 外 国 貿 易 の 要 港 と し て 名 高 く、 ギ リ シ ア、 エ ジ プ ト、 ペ ル シ ア 等 よ り 外 国 品 が 活 濃 に 輸 入 さ れ て い た こ と を 指 摘 し て い る。 し た が つ て、 古 代 ギ リ シ ア の 思 想 の 何 等 か の 働 き か け も あ つ た と 思 わ れ る が、 両 部 曼 茶 羅 の 思 想 の 上 に は こ の 地 動 説 の 影 響 は う か が わ れ ぬ。 ) ﹁ 無 畏 三 蔵 禅 要 ﹂ ( 大 正 十 八 ・ 九 四 六 頁 上 ) に 経 行 の 作 法 を 示 し て い る 部 分 に 汝 等 習 定 之 人。 復 須 知 経 行 法 則。 於 一 静 処 平 治 浄 地。 面 長 二 十 五 肘。 両 頭 竪 標。 通 頭 繋 索。 綾 与 胸 斉。 以 竹 筒 盛 索、 長 可 手 執。 其 筒 随 日 右 転。 平 直 来 往。 融 心 普 周 視 前 六 尺。 乗 三 昧 覚 任 持 本 心。 諦 了 分 明 無 令 忘 失。 但 下 一 足 便 諦 一 真 言。 如 是 四 真 言 ( こ の 文 の 少 し 前 に 示 さ れ て あ る ) 従 初 至 後。 終 而 復 始。 諦 念 勿 住。 稽 覚 疲 解。 即 随 所 安 坐 と い う 一 文 が あ る が、 こ の 中 の ﹁ 日 に 随 つ て 右 に 転 ず ﹂ と は、 密 教 の 事 相 の 伝 に 随 え ば 順 廻 り で あ り、 そ れ は 前 述 の 如 く 時 計 の 針 の 廻 る 方 向 を 指 す の で あ る。 こ の よ う に ﹁ 日 に 随 う ﹂ と い う こ と が、 行 動 の 方 向 の 一 規 準 に な つ て い た こ と は 明 ら か で あ る。 そ れ は、 如 何 に 太 陽 の 地 上 生 活 へ の 影 響 が 大 き い 地 域 で あ つ た か を 物 語 る 一 証 左 で あ る と 見 て、 差 支 え な い と 思 う の で あ る。 こ の ﹁ 日 に 随 つ て 右 に 転 ず る ﹂ と い う 表 現 は、 こ れ 以 外 に も 随 所 に 使 わ れ て い る。 そ の 具 体 例 は、 次 節 の 曼 茶 羅 壇 の 緋 線 法 や、 百 光 遍 照 王 の 布 字 観 等 に お い て も 見 受 け ら れ る の で あ る。 さ き に 沖 縄 の 気 候 に つ い て 少 し ふ れ た。 然 ら ば 両 部 曼 茶 羅 の 成 立 地 で あ る 印 度 は ど う で あ ろ う か。 そ の こ と に つ い て も 概 略 的 に ふ れ て お ご う。 前 述 の ご と く、 印 度 は 北 回 帰 線 が そ の 中 央 部 を 横 切 る の で、 そ の 約 半 分 は 熱 帯 で あ る。 然 し そ の 気 候 は 大 体 北 部 迄 熱 帯 的 と い え よ う。 年 平 均 気 温 は 大 部 分 が 224-28の う ち に あ る。 た だ し、 北 西 部 の 大 陸 内 部 は 大 陸 性 が 最 も 強 く、 ペ シ ヤ ワ ル で は 六 月 に は 平 均32.8に も 達 す る 代 り に、 一 月 に は 1 0に す ぎ ず、 し ば し ば 氷 点 下 に 達 す る こ と も あ る。 そ れ 故 北 西 部 を は じ め、 北 部 イ ン ド は 概 し て 季 節 性 が は つ き り し て い る。 こ の 逆 に 半 島 南 端 部 や セ イ ロ ン 島 な ど は、 年 中 暑 く て、 コ ロ ン ボ で は 最 高 月 が28.1 C、 最 低 月 で も26.2Cと い う あ り さ ま で あ る。 イ ン ド の よ う な 熱 帯 性 の 土 地 で 季 節 を む し ろ は つ き り あ ら わ す の は、 乾 季 と 雨 季 の 別 で あ る。 即 ち 北 半 球 の 夏 に は 北 西 イ ン ド か ら ア フ ガ ニ ス タ ン あ
第 一 図(上)、 百 光遍 照 王 図 第 二 図 ・ア ン 字 法 師 第 三 図 ・十二 字 真 言 王 布字 図 第 四 図 ・五 色 阿 字 第 五 図(中)、 阿 字 黒籟 ・極 秘 不 見 図 曼 茶 羅 緋 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 た り に 低 気 圧 の 中 心 が で き、 逆 に イ ン ド 洋 上 に は 高 気 圧 が 発 達 す る。 そ こ で 風 は 南 西 か ら 北 東 へ と 吹 き、 半 島 の 西 岸 即 ち 西 ガ ー ツ 山 脈 の 西 斜 面 に 多 量 の 雨 を 降 ら す。 さ ら に い ち じ る し い の は ベ ン ガ ル 湾 を 北 東 に 進 ん だ 風 で、 ア ラ カ ン ・ ヨ ー マ や、 ア ッ サ ム の 諸 丘 陵 に は 世 界 一 と い わ れ る 多 量 の 降 雨 を も た ら し、 チ エ ラ プ ン ジ の ご と き は、 年 平 均 1 1,153mm余 に 達 す る。 つ い で 風 は ヒ マ ラ ヤ に ぶ つ か り、 東 ヒ マ ラ ヤ に は 多 量 の 降 雨 量 を も た ら す が、 山 脈 に 沿 つ て 西 北 西 に 進 む う ち に し だ い に 水 分 を 失 い、 カ シ ミ ー ル 北 方 に な る と、 ほ と ん ど 季 節 風 の 影 響 が な く な る。 と も か く、 イ ン ド の 大 部 分 で は 降 水 量 に 多 少 の 差 は あ つ て も、 こ う い つ た 夏 の 季 節 風 の 影 響 で、 六 月 か ら 十 月 く ら い の 夏 半 年 は 雨 季 に な る。 逆 に 冬 半 年 は お お む ね 北 東 か ら 南 西 へ 風 が 吹 き、 水 分 の 欠 乏 し た 大 陸 の 空 気 で あ る た め、 大 部 分 の 土 地 が 乾 季 に な る。 こ れ を 冬 の 季 節 風 と い う が、 時 に は 雨 を も た ら す 夏 半 年 の も の の み を 季 節 風 と い う ご と も あ る。 -以 上 は 平 凡 社 の 世 界 大 百 科 事 典 に よ つ た の で あ る が、 更 に 同 事 典 に 記 載 さ れ て い る 数 地 点 の 気 温 と 降 雨 量 を 拾 つ て み よ う。 次 の 数 字 の 右 の N は 北 緯、 E は 東 経 を あ ら わ す。 以 上 は 一 九 六 四 年 の デ ー タ ー で あ る。 以 上 に よ つ て 考 え ら れ る ご と は、 沖 縄 と 同 じ く、 或 は そ れ 以 上 に、 太 陽 の 影 響 が 強 く、 人 間 の 生 活 は 太 陽 を 中 心 に 営 ま れ、 例 え ば 人 間 の 運 動 の 回 転 方 向 も、 太 陽 の 廻 り 方 が 基 準 に な つ て い た と 考 え ら れ る よ う な 状 況 を 呈 し た、 と い う ご と で あ る。 従 つ て、 太 陽 の 昇 天 前 の 昼 夜 二 分 の 際 の 方 向 と 時 間 と が、 一 日 中 の 一 番 大 事 な 方 向 と 時 間 で も あ つ た、 と 考 え ら れ る。 ﹁、 理 智 不 二 の 方 向 ﹂ が、 ﹁瑞 方 ﹂ に ま で な つ て 来 た の で あ る。 気 温 的 に は 四 季 の 明 瞭 な 区 別 が な い こ の 印 度 の 大 半 の 地 域 に お い て も 黒 夜 殊 y a ju r に 属 す る マ イ ト ラ ー ヤ ナ ・ ウ パ ニ シ ヤ ツ ト 第 七 章 ( 世 界 文 庫 刊 行 会 ﹁ ウ パ ニ シ ヤ ツ ト 全 集 ﹂ 第 七 巻 ) に お い て も、 既 に 太 陽 の 徳 を 四 季 に 分 か つ て 分 類 し、 称 讃 し て い る の で あ る。 こ の 地 域 で は、 南 北 両 極 に お け る が 如 き 日 照 時 間 ゼ ロ と い う 期 間 も な く、 又、 白 夜 と い う 薄 明 の 現 象 も な い。 従 つ て、 艮 の 方 向 が 四 季 に わ た つ て い つ で も ﹁ 昼 夜 二 分 の 際 ﹂ で あ り、 次 節 の 造 壇 緋 線 法 に お け る 起 点 の 方 向 と な る の で あ る。 艮 の 方 向 の
重 要 性 は、 こ う し た 地 域 に お い て 初 め て 確 立 す る。 午 前 二 時 に す で に 薄 明 の 状 態 と な る 高 緯 度 地 域 に お い て は、 そ の 時 期 の ﹁ 昼 夜 ね 二 分 の 際 ﹂ は 丑 寅 の 方 向 に で は な く 子 の 方 向 に 片 寄 つ た も の と な る と い わ ね ば な ら ぬ。 二、 曼 茶 羅 壇 作 成 時 の 耕 線 法 と、 そ の 順 逆 二 転 法 井 説 の 意 味 に つ い て 大 日 経 巻 第 一、 入 曼 茶 羅 具 縁 真 言 品 第 二 之 一 (大 正 十 八、 六 頁 中 ) に 爾 時 薄 伽 梵 告 持 金 剛 慧 常 当 於 此 夜 而 作 曼 茶 羅 伝 法 阿 闊 梨 如 是 応 次 取 五 色 修 多 羅 稽 首 一 切 仏 大 毘 盧 遮 那 親 自 作 加 持 東 方 以 為 首 対 持 修 多 羅 至 斉 而 在 空 漸 次 右 旋 転 如 是 南 及 西 終 菟 於 北 方 第 二 安 立 界 亦 従 初 方 起 憶 念 諸 如 来 所 行 如 上 説 右 方 及 後 方 復 周 於 勝 方 阿 閣 梨 次 廻 依 於 浬 哩 底 受 学 対 持 者 漸 次 以 南 行 従 此 右 旋 逸 転 依 於 風 方 師 位 移 本 処 而 修 如 是 法 弟 子 在 西 南 師 居 伊 舎 尼 学 者 復 旋 邊 転 依 於 火 方 師 位 移 本 処 而 住 於 風 方 如 是 真 言 者 普 作 四 方 相 と あ る が、 こ れ は 順 廻 り、 す な わ ち 右 旋 の 造 壇 緋 線 法 を 示 す も の で あ る。 右 旋 と は、 右 に い う う よ に、 東、 南、 西、 北 の 順 に 廻 る こ と で あ る。 す な わ ち 太 陽 の 運 行 方 向 に 動 く こ と で あ る。 呆 宝 師 は 演 奥 砂 巻 第 十 二 (大 正 五 九、 一 三 三 頁 上 ) に、 右 経 の 語 を 解 釈 し て 右 方 及 後 方 等 者。 密 砂 五 云。 経 中 右 後 二 字。 準 二 西 方 俗 法 一。 面 レ 東 而 治。 東 為 二 初 法一。 南 為 二 右 方一。 西 為 二 後 方一。 北 為 二 勝 方 一 也。 此 釈 意。 俗 法 以 レ 左 為 レ 勝 故。 従 レ 彼 北 云 二 勝 方一。 是 約 二 行 者 左 右 一也。 或 又 仏 家 以 レ 右 為 レ 勝 方一。 北 者 当 二 大 日 右 方 一 故 云 二 勝 方 一戴。 或 亦 四 種 五 種 法 中。 以 二 息 災 一 為 二 上 法 一。 北 主 二 息 災 一故 云 二 勝 方 一 歎。 最 勝 王 経 開 題 云。 勝 者 掲 磨 部。 北 名 二 勝 方 一。 於 二 諸 処 一殊 妙 第 一 故。 如 来 事 業 智。 具 二 十 種 勝 方 一。 成 二 就 衆 生 一。 無 比 無 等 故 と 説 く。 こ の 所 を 疏 ( 大 日 経 疏 の 略、 以 下 同 ) の 巻 第 五 は 解 説 (大 正 三 九、 六 三 〇 頁 下 ) し て 次 当 如 法 護 持 自 身。 呼 所 度 弟 子。 為 彼 作 護 漉 以 香 水。 皆 令 一 処 次 第 而 坐(一)。 ( 三 刀 ) 然 後 阿 闊 梨 至 道 場 門 前。 普 遍 運 心。 稽 首 頂 礼 十 方 一 切 諸 仏 亦 如 上 説。 然 後 持 五 色 線。 向 曼 茶 羅 位 立 而 頂 戴 之。 ( 三 了 ) ( 二 刀 ) 次 観 自 身 作 毘 盧 遮 那 経 所 謂 大 毘 盧 遮 那 而 自 作 加 持 也。 所 以 然 者。 以 大 日 如 来 是 此 大 悲 胎 蔵 阿 闊 梨。 是 故 行 者。 若 行 阿 闊 梨 事 時。 即 応 以 自 身 作 毘 曼 茶 羅 緋 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 盧 遮 那。 若 作 縁 曼 茶 羅 諸 作 務 時。 即 以 自 身 作 金 剛 薩 垣。 其 加 持 方 便。 如 下 文 及 供 養 法 中 説 也。 (四 刀 山 ) 復 次 行 者 応 知 護 方 八 位。 凡 所 造 作 曼 茶 羅 随 此 而 転。 東 方 因 陀 羅 次 第 随 転 至。 南 方 焔 摩 羅。 西 方 騨 噌 肇 北 方 毘 沙 門。 東 北 伊 舎 尼 東 南 為 護 摩。 西 南 浬 哩 底。 西 北 為 嬉 度。 其 上 方 諸 尊。 多 依 帝 釈 之 右。 下 方 諸 尊 多 依 竜 尊 之 右。 上 謂 空 居。 下 謂 地 居 也。 又 環 中 胎 蔵 三 重 界 城。 皆 已 預 為 標 誌。 使 方 隅 均 等 図 位 素 定。 要 令 大 日 之 位。 当 五 種 宝 聚 之 心。 至 此 図 衆 相 時。 阿 闊 梨 先 至 因 陀 羅 方 如 法 作 礼。 次 住 火 方 北 向 而 立。 助 伴 弟 子 在 伊 舎 尼。 対 持 修 多 羅 准 定 於 外 界。 弟 子 次 当 右 邊 至 浬 哩 底。 師 亦 右 廻 西 向 而 対 持 之。 阿 闊 梨 次 復 右 逃 至 縛 度 方。 弟 子 亦 右 廻 北 向 而 対 持 之。 弟 子 復 右 遠 至 伊 舎 尼。 師 亦 右 廻 東 向 而 対 持 之。 凡 一 周 寛。 皆 令 当 斉 在 虚 空 中 均 等 平 正 己。 至 第 二 周 亦 如 前 右 転。 次 第 緋 之 以 為 界 道。 次 復 准 定 四 維。 阿 閣 梨 復 当 右 遠 至 浬 哩 底。 弟 子 先 在 伊 舎 尼。 右 廻 相 向 持 之。 弟 子 次 復 右 続 至 縛 度 方。 師 即 右 転 至 護 摩 方。 弟 子 亦 右 廻 相 向 持 之。 皆 令 当 膀 而 在 空 中 准 定 其 位。 弟 子 次 復 右 逸 至 捏 哩 底。 師 即 右 転 至 伊 舎 尼 相 対 緋 之。 弟 子 次 復 右 逸 至 護 摩 方。 師 即 右 転 至 囎 度 方 亦 相 対 緋 之。 阿 闊 梨 言。 其 正 四 方 十 字 界 道。 経 錐 不 言 理 必 有 之。 亦 須 右 旋 相 対 緋 定 也。 如 是 巳 定 外 界 及 入 方 相 黄。 次 当 入 中 先 定 中 胎 外 界。 亦 如 前 旋 転 緋 作 四 方 相。 其 入 方 相 已 定。 更 不 作 也。 次 定 第 一 重 外 界。 次 定 第 二 重 外 界。 亦 同 中 胎 法 則。 其 広 狭 之 量。 皆 当 展 転 相 半。 仮 令 中 胎 蔵 縦 広 八 尺。 第 一 重 当 広 四 尺。 第 二 重 当 広 二 尺。 第 三 重 当 広 一 尺。 阿 闊 梨 言 本 法 如 山。 若 恐 大 少 相 懸 者。 精 以 意 調 之。 於 理 無 失 也。 と い う。 大 日 経 巻 第 一 に い う 斉 と、 こ の 疏 の 巻 五 に い う 斉 と、 そ し て 同 じ く 疏 の 第 五 に い う 膀 と は、 皆 同 一 で あ る。 五 色 線 を も つ て 緋 線 す る と き、 阿 閣 梨 と そ の 弟 子 と が 五 色 線 を 持 つ そ の 手 の 位 置 を 示 し た も の で あ る。 な お、 右 の 疏 の 引 文 に 乱 脱 が あ る の で、 伝 授 通 り の 読 み 方 を 傍 記 し た、 二 刀、 三 刀 と い う の は 二 の 初 め、 三 の 初 め、 の 意 味 で あ り、 二 了、 三 了 と い う の は 二 の 終 り、 三 の 終 り、 の こ と で あ る。 四 刀 山 は、 四 の 初 で、 こ れ か ら 乱 脱 の な い 文 章 に 戻 る、 と い う 意 味 で あ る。 こ の 所 に お い て も、 如 何 に 右 旋、 す な わ ち 太 陽 の 運 行 方 向 に 転 廻 す る こ と が 必 須 条 件 と さ れ た か が、 そ の つ ど 右 転、 右 廻、 右 旋 等 の 文 字 で 示 さ れ て い る こ と に よ つ て も わ か り、 又、 阿 闊 梨 が 東 北 伊 舎 尼 の 隅 か ら 西 北 騨 度 の 隅 へ 移 る と き で
も、 そ の 北 よ り 西 北 へ の 最 短 距 離 を 直 行 せ ず に、 東 北 -東 南-西 南 -西 北 へ と 順 廻 り、 す な わ ち 右 逸 の 迂 回 コ ー ス を と る べ き こ と を 示 し て い る こ と に よ つ て も わ か る の で あ る。 右 の 大 日 経 巻 第 一 の 引 文 に 対 す る 疏 の 巻 第 五 の 解 釈 の 順 当 さ に 比 し、 大 日 教 巻 第 三 の、 次 に か か げ る 引 文 に 対 す る 疏 の 巻 第 十 二 の 解 説 は 不 順 当 で あ る。 そ れ は、 経 の 緋 線 法 が 右 旋 を 示 す の に、 疏 の そ れ は 左 旋、 す な わ ち 逆 打 ち を 説 く か ら で あ る。 ま ず 経 の そ の 部 分、 す な わ ち 転 字 輪 漫 茶 羅 行 品 第 入 (大 正 一 八、 二 二 頁 下 ) を あ げ て み る と、 爾 時 毘 盧 遮 那 世 尊。 復 決 定 説 大 悲 蔵 生 漫 茶 羅 王。 敷 置 聖 天 之 位。 三 昧 神 通 真 言 行。 不 思 議 法。 彼 阿 闊 梨。 先 住 阿 字 一 切 智 門。 持 修 多 羅。 稽 首 一 切 諸 仏。 東 方 申 之 旋 転 而 南。 以 及 西 方。 周 北 方。 次 作 金 剛 薩 埋。 以 執 金 剛 加 持 自 身。 或 以 彼 印 或 以 嬉 字。 入 於 内 心。 置 漫 茶 羅。 如 是 第 二 漫 茶 羅。 亦 本 寂 加 持 自 身 故。 無 二 玲 伽 形。 如 来 形 空 性 形。 次 捨 所 行 道。 二 分 聖 天 処。 遠 離 三 分 住 如 来 位。 東 方 申 修 多 羅。 周 匝 旋 転 所 余 二 漫 茶 羅。 亦 当 以 是 方 便 作 諸 事 業。 復 次 大 日 加 持 自 身。 念 広 法 界 而 布 衆 色 と あ る。 こ れ に 対 す る 疏 の 巻 第 十 二 (大 正 三 九、 七 一。 頁 上 ) の 解 説 は 次 の 通 り で あ る。 爾 時 毘 盧 遮 那 仏。 此 大 悲 胎 蔵 生 漫 茶 羅 王。 敷 置 諸 本 尊 位。 定 三 昧 神 通 真 言 行 不 思 議 法 説 者。 如 前 以 広 説 敷 置 漫 茶 羅 位。 今 何 以 更 説。 此 有 多 義。 欲 更 開 発 一 類 衆 生 故。 令 前 已 聴 聞 者 倍 得 明 了 故。 前 錐 説 諸 住 地。 然 尚 未 普 周 遍。 今 更 説 令 無 所 闘 乏 故。 又 前 但 説 其 名。 由 多 未 説 形 状。 今 更 説 令 具 足 故。 何 故 不 併 説 之。 而 更 分 折 於 此 処 説 耶。 於 此 亦 有 意。 乃 至 深 楽 法 者。 猶 不 頓 為 説 之 欲 令 発 起 珍 重 之 心。 漸 漸 開 道 也。 復 次 若 但 以 図 画 尊 容。 用 為 真 実 者。 如 彼 画 師 等。 亦 可 成 就 阿 閣 梨 功 徳。 然 不 但 以 図 画 故。 而 得 成 彼 真 言 之 行。 当 須 一 一 与 三 昧 神 通 相 応。 方 名 不 思 議 行。 今 仏 欲 開 示 彼 之 故。 云 三 昧 等 法 説 也。 謂 与 三 昧 神 通 相 応 而 説 之 也。 彼 阿 闊 梨 一 切 智 門 阿 字 住。 取 線 礼 一 切 仏 者。 如 上 已 説。 中 心 作 阿 字 及 眼 作 曜 字 等。 前 品 已 具 説。 今 欲 作 壇。 先 須 住 此 三 昧 令 与 理 相 応。 以 相 応 之 智 而 運 布 規 量 也。 凡 合 縄 当 令 得 所 不 得 大 緩。 若 不 調 者。 令 師 及 弟 子 多 病 為 障 所 嶢。 若 用 時 断 絶。 亦 令 致 損 耗 也。 次 当 知 方 所 者。 所 以 先 謂 審 定 方 面 者。 若 弟 子 臨 修 時 錯 誤。 或 謂 東 為 西 等。 即 為 障 者 之 所 得 便 也。 次 礼 一 切 仏 曼 茶 羅 緋 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 者。 即 是 礼 於 阿 字 真 言 之 体 也。 師 礼 巳 在 壇 巽 地 北 向。 弟 子 艮 方 南 向。 引 縄 相 対。 次 師 引 縄 転 向 乾 維 東 向。 弟 子 廻 身 西 向。 次 弟 子 右 廻 至 坤 維 北 向。 師 廻 身 南 向。 次 師 右 廻 還 至 巽 地 西 向。 弟 子 廻 身 東 向。 即 四 方 位 寛 也 云 云 更 問 也 凡 定 四 方。 必 須 如 前 審 諦 不 得 移 易。 若 定 四 隅 及 中 心 十 字 界 者。 但 令 逐 便 右 転。 不 令 妨 擬 即 得 也。 如 是 作 已 阿 閣 梨 復 於 玲 伽 中。 転 於 心 中 阿 字 而 作 嬉 字。 如 前 布 置。 羅 字 等 方 便 不 異 於 前。 但 改 心 中 阿 字。 即 成 金 剛 薩 垣 身 也。 亦 復 観 想 己 身 即 同 彼 身。 執 持 如 来 智 印 也。 錐 改 阿 字 為 囎。 然 亦 不 相 離。 以 何 故。 由 不 生 故。 即 是 本 来 無 有 繋 縛。 体 一 門 異 也。 如 上 引 縄。 猶 未 至 地 併 之。 既 作 此 観。 即 与 弟 子。 更 入 中 台 之 中。 還 如 上 引 縄 准 前 次 第。 於 中 台 定 方 所 也。 如 上。 無 二 相 応 形 如 来 形 空 性 形 者。 転 相 釈 也。 歎 此 無 二 形 即 是 如 来 形。 如 来 形 者 即 是 性 空 形 也。 所 説。 前 引 線 当 心。 師 及 弟 子 相 対。 引 受 四 方 及 四 角 十 字 道。 但 以 縄 印 持 而 未 下 也 先 以 作 標 相 在 四 角 置 了 方 作 也 当 知 如 此 定 時。 頂 上 想 於 阿 字 遍 其 身 皆 如 上 説 也 然 大 目 如 来。 入 大 悲 胎 蔵 生 三 昧。 此 大 悲 胎 蔵 三 昧。 量 与 前 品 大 悲 胎 蔵 漫 茶 羅 有 異 耶。 正 謂 前 壇 訪 方 未 満。 色 像 亦 復 未 具。 故 更 説 也。 次 定 方 覧。 師 想 囎 字 如 上 説。 於 遍 身 分。 想 自 身 同 執 金 剛 之 形。 入 於 中 胎 如 前 引。 線 定 方 所 遍 即 下 之 併 也 ( 以 下 略 ) こ れ は あ き ら か に 善 無 異 三 蔵 の 作 為 に よ つ て、 経 の 緋 線 法 の 順 廻 り ( 東-南 西-北 の 右 旋 方 ) を 逆 廻 り (東-北-西-南 の 左 旋 法 ) に 変 更 し た も の と 思 え る。 な お、 こ の 逆 廻 り の 緋 線 法 に お い て も、 す み う ち の 順 序 は 逆 で も そ の 併 人 た る 阿 閣 梨 と 弟 子 と は 順 廻 り を す る よ う に、 く ど い 迄 に 指 摘 し て い る。 ﹁ 弟 子 右 廻 至 坤 ﹂、 ﹁ 次 師 右 廻 還 至 巽 地 ﹂、 ﹁ 但 令 逐 便 右 転 ﹂ 等 が そ れ で あ る。 さ て、 こ の 疏 の 第 十 二 に お け る, 緋 線 法 (諸 橋 轍 次 博 士 著 ﹁ 漢 和 大 辞 典 ﹂ に よ る と、 ﹁併 ﹂ は は じ く、 ﹁ 緋 ﹂ は す み う つ、 と な つ て い る。 疏 に は こ の 二 つ の 文 字 が 用 い ら れ て い る が 同 じ く す み う つ の 意 味 に と つ て も よ い と 思 う ) の 経 の そ れ と の 相 違 に つ い て、 呆 宝 師 は 演 奥 砂 巻 第 四 十 二 (大 正 五 九、 四 三 八 頁 下 ) に い う 師 礼 巳 在 壇 等 者。 釈 二 東 方 申 之〇 周 於 北 方 一 也。 私 云。 定 二 併 四 方 四 隅 及 十 字 界 道 幻 如 二 第 五 巻 一 具 縁 品 也。 但 上 先 併 二 東 方 鱒 次 南 方。 次 西 方。 次 北 方 也。 今 東 ・北 ・ 西 ・ 南 次 第 併 レ 之 也。 問。 上 具 縁 品 経 文 云。 東 方 以 為 レ 首 〇 如 レ 是 南 及 西 終 寛 二 於 北 方 一 已 上 又 今 品 経 文 云。 東 方 申 レ 之。 旋 転 而 南。 以 及 二 西 方 一。 周 二 於 北 方 一 已 上。 両 品 同 是 東 ・ 南 ・ 西 ・ 北 次 第。 而 今 疏 何
違 レ 之。 答。 十 四 巻 義 釈。 阿 字 真 言 之 体 也。 次 下 云。 此 処 併 壇 準 レ 経 疑。 疏 説 レ 左 宜 二 審 問 一 十 之 二 右 今 疏 無 二 此 十 三 字 一。 此 後 人 加 二 此 疑 一乎。 今 謂、 是 順 転 ・逆 転 両 義 也。 右 転 者。 中 台 之 尊 右 方 転 故 云 二 右 転 一也。 即 是 順 転 非 二 逆 転 一也 已 上 光 云。 今 案 三 次 下 釈 文 云 二 凡 定 四 方 等 一。 則 経 ・ 疏 意 是 同 但 具 縁 品 経 疏 与 今 各 別 更 問 凡 作 二 曼 茶 羅 一 法。 先 定 二 方 隅 一。 此 時 引 レ 縄 準 二 定 空 位 一。 所 謂 先 緋 二 虚 空 中 曼 茶 羅 一 是 也。 次 安 二 立 界 一。 此 時 下 レ 縄 併 二 地 界 一也。 然 其 併 人 則 是 順 転。 又 其 併 界 是 乃 逆 成。 是 知 経 文 只 説 二 併 人 旋 転 次 第 一。 而 示 二 併 界 東 方 一 辺 一。 疏 文 具 説 二 旋 転 次 第 四 方 界 位 一。 但 至 レ 定 二 排 四 隅 一。 経 ・ 疏 倶 是 太 略。 況 復 此 有 二 本 地 自 証 加 持 随 他 等 義 一。 誠 不 レ 得 二 口 授 一。 何 其 通 二 暁 之 一。 故 注 二 云 云 更 問 一。 而 令 レ 求 二 其 面 伝 一 也。 余 錐 二 不 肖 一。 辱 得 二 嫡 承 ↓ 凡 百 君 子 要 レ 決 来 問。 こ こ で は、 緋 線 法 が 右 転 で あ る わ け は、 中 台 の 尊 が 右 転 で あ る か ら だ、 と い う。 東 ・ 南 ・ 西 ・北 と 次 第 し て 転 ず る 宝 瞳 ・ 開 敷 華 ・ 弥 陀 ・ 天 鼓 雷 音 の 四 仏 と、 そ の 各 仏 の 因 位 た る 普 賢 ・ 文 珠 ・ 観 音 ・ 弥 勒 (四 菩 薩 の 名 称 と 位 置 に つ い て は 種 々 の 説 が あ る が、 今 ﹁ は 現 図 曼 奈 羅 の そ れ に 従 う ) の 四 菩 薩 は 右 転 す る。 そ し て こ の ﹁ 右 転 ﹂ が、 す な わ ち ﹁ 順 転 ﹂ で あ り、 逆 転 で は な い と い う。 順 逆 の 二 方 向 を、 こ こ で 明 示 し て い る の で あ る。 そ し て な お、 た と い す み の つ く 順 序 が 逆 廻 り の 場 合 で も、 そ の 併 人 そ の も の は、 阿 閣 梨 と そ の 弟 子 の 二 人 と も 順 廻 り に 動 く の で あ る、 と い う。 こ の 太 陽 の 運 行 方 向 に 随 う 順 廻 り と い う こ と が、 両 部 曼 茶 羅、 百 光 遍 照 王 図、 ラ ン ・ バ ン 加 持、 結 界 作 法 等 等、 そ の 他 あ ら ゆ る 事 作 法 の 中 に お い て、 一 貫 し て 考 え ら れ て い る の で あ る。 そ の こ と は 次 下 に も ふ れ る。 私 は こ の 呆 宝 師 の い う ﹁ 嫡 承 ﹂ の 内 容 は、 右 に い う ﹁ 本 地 自 証、 加 持 随 他 ﹂ の 義 に つ き る の で は な い か と 思 う。 東 因 発 心 の 始 覚 上 転 の 立 場 は、 本 地 身 自 証 の 転 向 次 第 を あ ら わ す。 中 因 発 心 の 本 覚 下 転 の 立 場 は、 加 持 身 随 他 の 転 回 順 序 を 示 す。 前 者 は 東 ・ 南 ・ 西 ・ 北 中 央 の 次 第 で あ り、 後 者 は 中 央 ・ 東 ・ 南 ・ 西 ・ 北 の 順 序 で あ る。 前 者 に お い て は 中 央 が 終 局 点 に な り、 後 者 に お い て は 前 者 の 終 局 点 た る 中 央 が 始 点 に な る。 右 の 緋 線 法 の 場 今 口 に つ い て い う な ら、 東 北 艮 の 方 向 が、 大 山 教 授 の ﹁ 真 言 宗 法 儀 解 説 ﹂ に い う よ う に、 ﹁ 発 心 の 初 位 万 物 発 動 の 本 源 ﹂ で あ り、 ﹁復 万 物 窮 ま る の 方 位 ﹂ で あ る か ら、 順、 逆 両 転 の い ず れ の 場 合 も こ の 艮 の 一 点 が 始 点 と な り、 終 点 と な る の で あ る が、 四 囲 の 界 線 に つ い て は 東 線 が そ の 艮 点 の 役 割 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 を 果 た し、 順、 逆 い ず れ の 場 合 も 東 線 よ り 出 で て 東 線 に 帰 着 す る。 そ の 意 味 で 順 転 の 場 合 の 第 四 線 た る 北 線 が、 逆 転 の 場 合 に は 始 線 に つ ぐ 第 二 線 と な る。 こ の こ と は 東 因 発 心 の 場 合 に 対 す る 中 因 発 心 の 変 化 性 と 軌 を 一 に す る。 東 ・ 南 ・ 西 ・ 北 と 次 第 す る 順 転 の 方 法 は、 人 間 の 一 日 の 活 動 に お け る が 如 き、 朝 目 覚 め (発 心 の 位 )、 昼 間 は 働 き (修 行 の 位 )、 夕 刻 は そ の 日 の 収 穫 を 味 わ い (菩 提 の 位 )、 夜 半 は 休 息 す る (浬 葉 の 位 ) そ の 生 活 形 成 の 次 第 に 応 じ た も の で あ り、 そ れ は 自 証 上 転 の 理 に か な う も の で あ り、 そ の 逆 た る 東 ・ 北 ・ 西 ・ 南 と 次 第 す る 逆 転 の 方 法 は、 本 覚 下 転 の 立 場 に 相 応 し て、 果 位 の 世 界 か ら 順 次 に 因 位 の 世 界 へ の 降 下 を 意 味 す る。 小 乗 た る 二 乗 の 浬 藥 は 灰 身 滅 智 の 世 界、 人 間 の 一 目 の 生 活 中 に お い て は 夜 半 の 休 息 の 段 階 に あ た る も の で あ る が、 大 乗 菩 薩 の 浬 葉 は 不 空 成 就 仏 や 天 鼓 雷 音 仏 の 名 の 示 す ご と く、 掲 磨 大 作 業 の 段 階 に あ た る 世 界 で あ る。 自 証 の 極 地 は 渥 葉 の 安 楽 に お い て 究 極 す る が、 化 他 の 場 合 は そ の 極 地 か ら 始 動 す る。 そ の 意 味 で、 こ の 緋 線 法 に お い て 五 転 を 考 え る 時、 東 線 は 発 心 と 方 便 空 覧 の 二 位 を 兼 ね 持 つ、 と 考 え ら れ る。 そ れ を 図 示 す れ ば 左 の 如 く で あ る。 界 線 順 転 の 五 転 逆 転 の 五 転 東 1 発 心 (5) 方 便 究 寛 南 2 修 行 4 浬 築 西 3 菩 提 3 菩 提 北 4 浬 禦 2 修 行 東 (5) 方 便 究 寛 1 発 心 = = 本 地 自 証 ( 自 利 ) 加 持 随 他 ( 利 他 ) = = 始 覚 上 転 本 覚 下 転 な お、 緋 線 法 に 関 す る 経 ・ 疏 上 の 方 位 名 を、 参 考 ま で に か か げ て お く。 ( 経 疏 上 の 名 ) ( 四 隅 ) ( 十 二 支 ) 東 因 陀 羅 ( 帝 釈 天 ) 卯 東 南 護 摩 ( 火 天 ) 巽 辰 ・ 巳 南 焔 摩 羅 午 ネ リ チ 南 西 浬 哩 底 坤 未 ・ 申 パ ロ ダ 西 縛 噌 學 ( 水 天 ・ 竜 尊 ) 酉 パ ユ 西 北 嬉 度 ( 風 天 ) 乾 戊 ・ 亥
北 毘 沙 門 子 東 北 伊 舎 尼 艮 丑 ・ 寅 以 上 で こ の 緋 線 法 に 関 す る 小 論 を 終 つ た の で あ る が、 右 の 中 に お け る 上 転 ・ 下 転、 中 因 ・ 東 因 等 の 語 の 一 つ の 典 拠 を、 前 掲 の ﹁ 両 部 曼 茶 羅 随 聞 記 ﹂ に 求 め て み て お く。 上 転 下 転 第 一 之 廿 五 右 注 華 日 何ヲ 力 謂 二 上 転 一 ト、 秘 蔵 記 二 云、 又 自 リ ニ 初 発 菩 提 心 一修 行 ソ 至 二 於 仏 果 ニ 一、 以 ス 二 三 密 所 作ノ 事 業 一ヲ、 是 則 因 之 方 便 ナ リ 也。 文 即 是 上 転 門 也。 此ヲ 謂 二 進 修 フ 方 便 一ト 也。 又 云、 已 ニ 成 仏 シ テ 後、 在 テ ニ 自 受 用 土 ニ 一 与 二 自 巻 属 一自 受 法 楽 ノ 故 ニ説 法 シ、 又 作 二 シ テ 後 得ノ用ヲ一為レ ニ 他ノ 説 法 ス、 並 ニ 極 果 ノ 之 方 便 皆 用 ナ リ ト 也。 文 即 是 下 転 門 也、 此 ヲ 謂 フ 二 利 物 ノ 方 便 ト 一也、 (﹁ 両 部 曼 祭 羅 随 聞 記 追 記 ﹂ 高 野 山 八 葉 学 会 蔵 版 本 一 〇 頁 ) 中 因 ・ 東 因 和 上 日、 両 部 ヲ 分 ツ ニ、 因 曼 茶 羅、 果 曼 茶 羅 ア リ。 謂 ク 胎 ヲ 因 曼 茶 羅 ト ナ シ、 金 ヲ 果 曼 茶 羅 ト ス。 其 因 二 就 キ、 秘 蔵 記 二、 中 因 東 因 ア リ。 中 因 ノ 時 ハ 大 日 因 ニ シ テ、 北 方 ヲ 方 便 為 究 覧 ノ 句 ト シ、 東 因 ノ 時 ハ 宝 瞳 因 ノ 句 ニ シ テ、 大 日 究 覧 ノ 句 タ リ。 独 リ 胎 ノ ミ ナ ラ ズ、 金 モ 亦 爾 ナ リ。 故 二 中 因 ハ、 則 今 ノ 薄 伽 梵 釈 迦 牟 尼 如 来 是 ナ リ。 東 因 ハ、 則 阿 閾 如 来 是 ナ リ。 斯 ク 両 部 中 因 東 因 ヲ 習 フ、 此 レ 相 承 ノ ロ 伝 ナ リ。 菩 提 華 日、 東 因 中 因 者、 秘 蔵 記 云、 中 ア (梵 字 ) 因 本 有 菩 提 心 ノ 義。 是 心 発 二 菩 提 心 一、 故 云 レ 因、 東 ア-(梵 字 ) 行 依 二 本 有 之 心 一修 行 ス故 日 レ 行 亦 因 ト。 文 是 也、 又 云、 三 句 義 者、 表 二 菩 提 心 一ヲ 為 レ 因。 大 悲ヲ 為 レ 根。 方 便 ヲ 為 二 究 寛 ト 一。 是 即 真 言 行 者 用 心 也。 従 二 凡 位 一修 行 シ テ 六 度 円 満 シ テ 成 仏。 故 ニ 日 方 便 為 二 究 寛 一。 成 仏 シ テ 以 後、 以 二 大 悲 一、 済 二 度 衆 生 一。 故 日 三 方 便 為 二 究 黄 三。 向 上 向 下 読 レ 文 有 レ 異。 文 今 謂ク 向 上 門ノ 時 ハ 進 修ノ 方 便 ナ リ。 大 疏 ニ 云、 若 不 下 以 二 一二 種 秘 密、 方 便 ノ 供 養 行 門 一ヲ 消 中 融セ 百 六 十 心 鉱 石 之 垢 ヲ 上 何 以 得 二 此 浄 菩 提 心 ヲ 一。 文 是 也。 向 下 門 ノ 時 ハ 利 物 方 便 ナ リ。 又 云、 然 二 仏ノ 大 方 便 力、 以 二 無 相 法 身ヲ 一作ソ 二 種 種ノ 名 相ヲ 一令 下 諸 衆 生 ヲ シ テ 以 二 因 果 ノ 法 一、 証 宙 得 非 因 非 果 法 上。 文 是 也。 果 宝 云。 問 フ 中 因 東 因 建 立 如 何。 答 フ 随 二 機 ノ 頓 漸 ニ 一 発 心 ニ 有 ル 二 深 浅 一故 也タ。 謂 中 因 発 心 者、 一 切 衆 生 従 レ本 以 来、 安 二 住 法 爾 ノ 菩 提 ニ 一、 未 三タ 曽 ア 輪 二 廻セ 生 死 ニ 一、 乃 聞 二 此 説 ヲ 一 不 レ 動 二 一 歩 ヲ 一直 達 シ 二 本 地 ノ 体 性 二 一。 四 転 ノ 功 徳、 一 時 二 具 足ス、此レヲ謂二中因一也。東因発心者、一切 衆 生 錐 レ 安 二 住 法 爾 仏 位 二 一無 明 煩 悩 ニ 所 二 覆 弊 セ 一 故、 久 成 二 生 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 死 流 転 ノ 凡 夫 一ト。 而 遇 二 聖 教 ノ 妙 説 知 識 善 縁 一、 発 二 帰 本 ノ 心 ヲ 一 昇 進 修 行 ス、 此 ヲ 謂 二 東 因 一 也。 又 云、 無 畏 之 空 輪 ヲ 為 レ 中 者、 果 徳 ヲ 為 レ 本 義、 即 修 生 顕 得 ノ 意 也。 不 空 之 地 大 ヲ 為 レ ル ハ 中 者 因 位 為 レ ル 本 義、 即 本 覚 法 身 ノ 意 也。 二 伝 共 ハ ニ 甚 深 也。 即 是 大 日 薩 垣 互 二 為 二 主 伴 一義 也。 文 無 畏 依 二 破 地 獄 軌 一、 不 空 依 二 宿 曜 経 軌 一 也。 (﹁ 随 聞 記 ﹂ 巻 二 ・ 高 野 山 八 葉 学 会 蔵 版 本 上 巻 四 〇 丁 裏 ) 密 蔵 体 性 ( の 一 部 分 ) 大 日 経 疏 ハ多 ク 明 シ ニ 東 因 ノ 義 ヲ 一、 三 密 観 図 ハ 正 ク 示 ス 二 中 因 ノ 義 ヲ 一。 其 為 二 中 因 ト 一、 以 二 本 有 本 覚 ヲ 一 為 レ 本。 其 為 ル ニ 東 因 ト 一以 二 修 生 顕 得 ヲ 一為 レ 旨。 以 二 本 有 一 為 レ 本 故 為 レ 深。 以 二 修 生 一 為 レ 旨 故 二 為 レ 浅。 ( 同 右 巻 一、 同 右 蔵 版 本 ・ 上 巻 三 丁 表 ) こ の ﹁ 発 心 ﹂ の 位 か ら、 ﹁ 不 便 究 寛 ﹂ に 至 る 迄 に 五 段 階 が あ る。 こ れ を 五 転 と い う。 こ れ を 阿 字 に つ い て い う 場 今 口、 阿 ・ 阿 引 声、 暗 短 声、 悪 短 声、 悪 引 声 の、 い わ ゆ る ﹁ 阿 字 の 五 転 ﹂ と な る。 ア 字 ( 梵 字 ) に 修 行 点、 菩 提 点、 浬 契 点 等 を つ け、 a. a. am ah. ah (又は amh)と し て、 そ れ を 順 次 に 発 心、 修 行、 菩 提、 浬 葉、 方 便 究 寛 と す る の で あ る が、 竜 猛 の ﹁ 菩 提 心 論 ﹂ で は そ れ を 菩 提 心、 菩 提 行、 証 善 提、 般 浬 桀、 具 足 方 便 智 と 呼 ぶ。 東 因 発 心 の 場 今 口 に は、 東 が 阿 の 位 に な り、 中 央 が 悪 引 声 の 位 と な る。 中 因 発 心 の 場 合 に は そ の 逆 に な る。 阿 字 の 五 転 に も 順 逆 の 両 転 が あ る の で あ る。 そ し て そ の 最 後 の 悪 引 声 字 に は、 高 野 山 一 乗 院 蔵 の 胎 蔵 種 子 曼 茶 羅 の 中 台 大 日 の ご と く、 菩 提 点、 荘 厳 点 の な い ah字 と、 十 七 廻 忌 大 日 の 種 子、 三 十 秘 仏 (番 神 ) 光 一 目 の 大 日、 天 照 皇 大 神 の 種 子 a m h字 (高 野 山 高 等 学 校 発 行、 堀 田 真 快 師 著 ﹁ 梵 習 字 蓼 ﹂ 参 照 ) と の 両 字 が あ る。 阿 字 の 本 体 に、 修 行 点、 菩 提 点、 浬 葉 点、 そ れ に 荘 厳 点 (或 は 仰 月 点 と も い う ) の 四 つ 全 部 を 加 え る の は、 究 寛 徹 底 の 意 味 で あ ろ う か。 と す る と、 菩 提 点、 仰 月 点 の な い ah字 は、 菩 提 心 の 当 体 が 修 行 し、 浬 藥 を 証 し た こ と を 示 す 修 行 点 と 浬 藥 点 が あ れ ば、 途 中 の 段 階 た る 菩 提 ( 証 菩 提 ) の 点 は 略 し て も 差 支 え な い こ と に な る、 と 考 え ら れ る。 荘 厳 点 は 単 に か ざ り の 意 味 で あ り、 そ の 有 無 い ず れ に よ つ て も 意 味 内 容 に は 変 り が な い と い わ れ る。 そ こ で a hも、 amhも、 同 一 の も の と い う こ と に な る。 そ れ が 証 拠 に、 天 蓋 九 尊 図 の 中 台 大 日 の 種 子 に は、 こ の 両 方 の 字 が 混 用 さ れ て い る の で あ る。 菩 提 華 祥 蘂 は ﹁ 両 部 曼 茶 羅 便 覧 ﹂ 巻 下 の ﹁ 中 台 院 一 九 尊 五 仏 四 菩 薩 ﹂ の 項 に お い て、 こ れ に つ い て 現 図 の も の、 七 集 の も の、
梵 名 の も の の 三 つ を あ げ て い る。 右 肩 に 修 行 点 な く、 下 部 に 長 母 音 符 号 が あ る も の、 右 肩 に 修 行 点 が あ り、 下 部 に は 同 符 号 な き も の、 右 肩 の 修 行 点 と 下 部 の 長 母 音 符 号 の 併 用 の も の 三 つ の a h 字 で あ る。 い ず れ も 上 部 の 空 点 ( 菩 提 点 ) や 荘 厳 点 を 持 た ぬ。 印 融 は ﹁ 両 部 曼 茶 羅 私 抄 ﹂ に お い て 中 台 八 葉 院 の 九 尊 名 を 梵 字 で 示 す 中 に、 こ の 大 日 の 種 子 を 現 図 の そ れ に 随 つ て 書 い て い る (印 融 の こ の 書 に つ い て は、 高 野 山 釈 迦 文 院 所 蔵 の 天 文 廿 二 年 1553順 良 房 筆 写 本 を 参 照 し た。 こ の 筆 写 本 は、 印 融 が 五 十 七 才 の 時 に ご の 書 を 書 い た 延 徳 三 年 と い う 年 か ら 六 十 二 年 目 に あ た る 労 作 で あ る )。 三、 心 外 か ら 心 内 へ の 推 移 -曼 茶 羅 観 行 上 の 転 換 -曼 茶 羅 観 行 又 日、 問 就 テ ニ 行 者 心 中 ノ 観 行 二 一、 作 ハ ニ 曼 茶 羅 ノ 大 悲 蔵 ノ 義 ヲ 一、 即 以 二 中 台 一為 二 菩 提 心 ト 一、 漸 次 ニ 向 レ 外、 乃 至 世 間 天 ノ 位 ヲ 為 二 方 便 一 耶。 答 凡 ソ 進 行 ス ル 者 有 二 次 第 一也。 先 依 レ 法 持 諦 ス ル ト キ 作 シテニ真 言 手 印等ヲ一観シニ於 円明一、或 ハ 但 観シレ字、 或 但 観シレ印、 随 ア レ 作 二 一 事 ヲ 一 成 ス ル 時 三 事 成 ス ル 也。 初 ニ 観 二 円 明 一、 亦 不 レ ト モ レ 能 二 即 見 一 由 テ 三 手 印 真 言 及 念 ス ル ニニ 本 尊 一故 二、 三 業 漸 ク 浄 心 障 浄 ス ル カ 故 二、 即 漸 ク 見 ル ニ 円 明 ヲ 一。 若 見 ル ニ 円 明 一時、 或 ハ 於 テ ニ 其 中 二 一 有 三 本 種 子 字、 宛 然 ト シ テ 明 著 ナ ル コ ト 如 二 其 形 色 一 也。 若 得 ル ニ 如 レ 是 見 一 時、 自 心 ノ 乱 想 息 除 シ テ 湛 寂 ノ 心 常 一 ナ レ。 不 下 為 二 二 外 縁 一 所 上 レ 動 也。 既 二如 レ 是 見 ル ハ 猶 是 外 縁 ナ リ。 次 当 二引 レ 外 向 レ 内 作 ス ニ 如 レ 是 観 察 ヲ 一。 此 円 明 ハ 者 即 従 シ テ ニ 我 心 一 而 出 ツ ト。 当 レ 知、 内 モ 亦 如 レ 是 夫 円 明 清 浄 ハ 即 心 之 体 性 ナ リ、 無 二 別 法 一 也。 猶 下 勤 テ ニ 方 便 三 観 申 察 ス ル カ 内 心 ヲ 上 故 二、 即 見 ル ニニ 此 円 明 字 ヲ 一、 唯 是 自 心 ナリ、不二復 外 縁一也。 乃 至 若 外 円 ノ 中二明二見ルコトニ本 尊 等ヲ一如シニ 上ノ 方 便 一。今 内 観 ノ 時 ハ即 是 自 心 作 ル ニ 砒 盧 遮 那 等 本 尊 ヲ 三也。 既 ニ如クレ是 与二玲伽ノ理ト一相 応スルハ即 是 随 分 成 就 也。以二諭 伽 ト 相 応 ス ル ヲ 一 所 観 随 レ 意 ニ 即 成 ス 即 観 二 此 心 ノ 入 葉 一、 如 二 上 ノ 方 便 ノ 一、 即 於 二 此 心 ノ華 台 ノ 上 ニ 一為 二 漫 茶 羅 ノ 中 胎 ト 一、 其 外 ノ 入 葉 亦 随 テ ニ 仏 ノ 位 次 二 一列 布 ス 也。 又 云、 此 入 葉 ハ 即 是 大 悲 蔵 ノ 第 一 重 也。 爾 時 二行 者 観 シ テ ニ 心 ノ 入 葉 ヲ 一作 シ ニ 中 胎 一、 観 ス ニ 其 身 即 是 漫 茶 羅 ト一。従レ心 以 上 ヲ為二第一院一、従レ心 以 下 至テハレ膀 第 二院ナリ。 従 レ 膀 以 下 ヲ 為 二 第 三 ト 一、 世 間 天 ノ 院 ナ リ。 諸 尊 ノ 形 色 相 好 各 々 差 別 ニ シ テ 宛 然 タ リ。 其 自 身 ノ 中 ニ シ テ 而 現 二 対 ス ル コ ト レ 之 ニ、 猶 如 三 親 ク 入 ル カ ニ 仏 会 ニ 一也。 然 ル ニ未 見 諦 ノ 人、 猶 未 レ 能 下 如 二 既 盧 遮 那 一 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 作 中 種 々 神 変 等 上。 但 是 観 心 成 就 耳。 然 有 二 一 事 一。 真 実 ニ シ テ 不 レ 虚、 所 謂 我 即 是 也。 我 即 是 者、 決 定シ プ 諦 下 信 ス ル ナ リ 我 即 法 界、 我 即 晩 盧 遮 那、 我 即 普 門 諸 身 ヲ 上。 此 事 不 レ 謬、 如 二 上ノ 真 言 加 持ノ 中ノ 我 即 法 界 一是 也。 文 こ れ は ﹁ 両 部 曼 茶 羅 随 聞 記 ﹂ の 附 録 中 の 一 節 で あ る。 こ の よ う に、 曼 茶 羅 観 行 は ﹁ 引 外 向 内 ﹂ の 推 移 を た ど る。 心 外 の 曼 茶 羅 は、 心 内 の 曼 茶 羅 へ と 転 換 さ れ、 自 心 の 八 葉 の 蓮 台 に 列 布 す る、 そ れ ら の 仏 菩 薩 は、 や が て 行 者 を し て 我 即 法 界、 我 即 眺 盧 遮 那、 我 即 普 門 諸 身 の 事 理 を 諦 観 せ し め る の で あ る。 ﹁ 即 身 義 ﹂ に い う と こ ろ の 色 即 心、 心 即 色、 無 障 無 碍、 智 即 境、 境 即 智、 智 即 理、 理 即 智、 無 碍 自 在 の 内 外 相 即 の 理 は、 右 の 推 移 転 換 を し て 必 然 の も の た ら し め る。 こ う し た 曼 茶 羅 観 行 上 の 推 移 転 換 は、 具 体 的 に は 次 に あ げ る ﹁ 曼 茶 羅 布 字 ﹂ に な つ て 現 れ、 百 光 遍 照 王 図 ( 写 真 第 一 図 ) の 観 法 と な つ て 示 さ れ、 入 我 々 入 観 や 四 支 念 諦 と な つ て 事 作 法 上 に 活 き、 ﹁ ア ン 字 法 師 ﹂ や ﹁ ア ン 字 房 様 ﹂ と な つ て 口 伝 の 秘 法 の 中 に 脈 打 つ て 来 た。 写 真 第 二 図 の ﹁ ア ン 字 法 師 ﹂ は、 ﹁ 密 教 文 化 ﹂ ( 第 八 〇 号 三 一 貢 ) に も 一 度 御 照 介 し た が、 そ の 時 の 写 真 説 明 は ﹁ 阿 字 黒 箱 ・ 四 通 外 切 紙 ﹂ と し た。 こ の 折 紙 に は そ の 通 り の 文 字 が 書 い て あ る わ け で あ る が、 こ の 図 が 一 体 何 で あ る か に つ い て は 一 切 書 い て な い の で あ る。 そ し て こ の 図 に 書 き 込 ま れ て い る 文 字 が、 一 体 何 な の か に つ い て も 説 明 が な い。 私 は 右 ﹁ 密 教 文 化 ﹂ (第 八 〇 号 ) に お い て、 こ の 文 字 が 十 二 字 真 言 王 の 文 字 で あ る こ と を 指 摘 し た が、 そ の 際 の 写 真 の 具 合 が 悪 く て、 そ の 十 二 字 真 言 王 の 文 字 が 全 然 う つ つ て い な か つ た。 そ れ で 今 回 工 夫 し て そ の 文 字 を う つ し、 再 録 し た。 こ の 図 が ア ン 字 法 師 で あ る こ と は、 右 ﹁ 密 教 文 化 ﹂ ( 第 八 〇 第 三 三 頁 ) の ﹁ 御 筆 之 ア ン 字 房 様 ﹂ 図 を 参 照 し て 見 れ ば す ぐ わ か る と 思 う。 ﹁ ア ン 字 法 師 ﹂ と い う 言 葉 は、 我 宝 (-一 三 一 七 年 ) が 既 に 用 い て い る の で あ る ( ﹁ 真 言 宗 全 書 ﹂ 第 二 二 巻 二 〇 九 頁 上 参 照 )。 こ れ を ﹁ ア ン 字 房 様 ﹂ と 称 し て も か ま わ ぬ と 思 う が、 要 は こ の 図 は 人 体 を 表 し て い る の で あ る。 第 三 図 の ﹁ 十 二 字 真 言 王 布 字 図 ﹂ は、 第 二 図 の 人 体 を か た ど つ て、 そ の 中 に 布 字 し て み た 私 の 試 作 で あ る。 十 二 字 真 言 王 に つ い て は、 栂 尾 祥 雲 博 士 の ﹁ 秘 密 事 相 の 研 究 ﹂ 四 二 一 頁 を 参 考 と し た。 頂、 耳、 額、 肩、 心、 背、 膀、 腰、 股、 足 等 々 の そ れ ぞ れ に、 十 二 の 梵 字 を 配 当 し た こ の 十 二 字 真 言 王 の 布 字 は、
そ の 布 字 の な さ れ て い る 当 体 が 人 体 な る こ と を 示 し て 余 り が あ る の で あ る。 従 つ て、 こ の ﹁ 阿 字 黒 箱 ・ 四 通 外 切 紙 ﹂ は 人 体 の 図 で、 そ の 図 が ア ン 字 を 人 の 形 に し て 示 し た も の に 相 違 な い こ と は、 右 の ﹁ 御 筆 之 ア ン 字 房 様 ﹂ や、 同 じ ﹁ 密 教 文 化 ﹂ ( 第 八 〇 号 三 一 頁 ) の ﹁ 暗 字 観 図 ﹂ 等 と 比 べ て 見 れ ば 首 肯 で き る の で あ る。 そ の よ う な わ け で、 こ の 第 二 図 を ﹁ ア ン 字 法 師 ﹂ と 称 し て お い て も、 大 過 は な い も の と 考 え る。 な お、 こ の 十 二 字 真 言 王 布 字 に 類 す る も の に、 十 九 布 字 の 法 ( ﹁ 弘 法 大 師 全 集 ﹂ 第 二 輯 六 六 九 頁、 ﹁ 不 動 明 王 念 講 次 第 ﹂ 中 の 所 説 ) が あ る が、 こ れ も 行 者 の 体 内 に 梵 字 を 布 置 す る 観 法 で あ ケ ン キ ョ ウ キ る。 す な わ ち そ れ は、 帰 命 k h a m 頭 髪 k h im 垂 髪 k i 毫 相 カ ン キ タ ラ タ ウ ン コ カ ン h a m 耳 h i ( 右 左 ) 眼 t r a t ( 左 右 ) 鼻 h q m 口 h o 舌 h a m 肩 マ マ ン タ ン マ ン タ ム タ ム タ m a 喉 m a m 乳 t a m ( 両 ) 心 m a m 膀 ta m 脇 t h o m 腰 ta 陛 カ ク カ ン カ ン h a h ( 右 左 ) 膝 h a m ( 右 左 ) 足 h a m ( 右 左 ) の 十 九 の (梵 字 を そ れ ぞ れ の 位 置 に 観 ず る 方 法 で あ る。 活 字 の 都 合 で 梵 字 の 記 載 は 割 愛 す る。 ロ ー マ ナ イ ズ し た 梵 字 の 右 側 の 片 仮 名 は、 日 本 密 教 に お け る 古 来 か ら の 読 み 方 を 示 す。 な お ﹁ 心 ﹂ は 心 臓 の あ る 部 分、 す な わ ち 胸 と 解 読 す べ き で あ ろ う と 思 う。 次 に、 百 光 遍 照 王 図 の 観 法 に 言 及 し よ う と 思 う。 曼 茶 羅 布 字 又 日、 若 行 人 為 ニ レ 人 作 二 阿 閣 梨 ト 一、 欲ス レ 造 二 立セ。 ト 漫 茶 羅 ヲ 一 者、 先 須。 レ 住ス 二 於 世 尊 之 位 二 一。 謂 以 二 此 諸 字 門 一、 而モ 合 集 成スレ ハ レ 身ヲ 即 是 身 同 二 於 仏 一 也。 謂 ク 玲 伽ノ 阿 閣 梨、 観 行 成 就スレ ハ 随 テ ニ 心 所 作 一任 運 一皆 成ス。 観 シ テ ニ 此 字 輪 一 遍 ク 布 ク ニニ 身 分 二 一 猶 二 明 見 ル カ 一。 故 二 同 ク ニ 於 仏 一一 輔 与 レ 仏 同 位 也。 然 布 字 之 時 ハ当 二分 テ 為 二 四 分 ト 一。 即 是 四 重 漫 茶 羅 也。 頭ヲ 為 二 初 分 一、 是 阿 字 菩 提 心ノ 位 ナ リ。 従 二 迦 怯 俄 伽 等 一、 乃 至 二 奢 沙 娑 詞 一、 凡 是 第 一ノ 声 ハ者 皆 属ス 二 菩 提 之 心 一也。 当 レ 従 二 行 者 眉 間 白 毫 処 二 一 而 観 二 迦 字 一。 従 レ 怯 以 下、 当 二 右 二 旋 テ 遂 〆 日 而 転ス 一、 以 レ 次 一 匝 二布 シ テ レ 之ヲ 令ヨ 二 環 転 相 接セ 輔。 次 従 レ 咽 以 下、 為 二 第 二 分 一、 属ス 二 長ノ 阿 字 門 二 一亦 当シ 下 中 与 二 白 毫 一上 下 相 連シ テ 右 二行 テ 布 レ 之 一 匝 二相 接ス 上 此 是 菩 提 之 行ナ リ。 次 従 レ 心 以 下、 為 二 第 三 分 一、 属ス 二 暗 字 門 一。 従 二 心 上 一布 二 於 欠 字 一、 以 レ 次 布 キ 旋シ テ 一 匝 二相 接スヨ。 次 従 レ 膀 以 下、 属ス 二 聴 字 門 一。 是 大 浬 禦 ナ リ。 亦 従 レ 中 而 置 二 迦 入 字 一以 レ 次 右 二 旋シ 一ア 一 匝 也。 頭ヲ 為 二 上 分 一、 咽 心ヲ 為 二 中 分 一、 膀ヲ 為 二 後 分 一。 私 謂、 発 菩 提 心 為 レ 面、 行 果 為 レ 中、 大 寂 為 レ 後 也。 其 第 五 聴 字 ハ遍 セ リ ニ 一 切 処 ニ 一 随 テ ニ 意 ノ 所 作 二 一皆 得 也。 此 ハ 在 二 身 外 二 一如 ク ニ 仏 ノ 身 光 一随 ア レ 意 二 而 モ 用 ヨ。 不 レ 在 二 身 内 布 字 之 位 一 也。 闇 字 モ 亦 爾 リ。 与 レ 聴 同 也。 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 師 既 二如 レ 是 成 レ 身 已 テ、 其 曼 茶 羅モ 亦 如 レ 是 布 レ 之。 亦 当 下 想 二 弟 子 一令 中 如 レ 是 作 上 レ 之。 三 事 皆 成スレ ハ 是 秘 密 曼 茶 羅 也。 若 不 レ 了 二 達 此 中ノ 意 趣 一錐 下 依 二 前. 事 法 而 作 上 不 レ 名 二 善 作 ﹂。 虐 ク 費シ テ ニ 功 夫 一亦 無 レ 所 レ 成 一 也。 又 此 布 字 之 法 ハ 是 秘 密 曼 茶 羅 也。 自 非 下 久ク 習 テ ニ 真 明 之 行ヲ 一堪タ ル ニ 伝 授 一者、 方 二 以 レ 意 相 伝 上 不 レ 可 二 以 レ 文 載ス 一。 故 師 以 レ ロ 相 授 ケ テ 経 所 レ 不 レ 説、 但 云 レ 如 二 既 盧 遮 那 輪 転 一也。 文 こ れ も ﹁ 両 部 曼 茶 羅 随 聞 記 ﹂ 附 録 中 の 一 節 で あ る が、 こ れ は 明 ら か に 百 光 遍 照 王 布 字 観 で あ り、 こ の よ う に し て ﹁ 以 口 相 授 ﹂ の 形 で 百 光 遍 照 王 の 字 曼 茶 羅 観 が 具 体 的 に 相 伝 さ れ て 来 た の で あ る。 こ の こ と は、 右 の よ う な 曼 茶 羅 布 字 の 事 作 法 と し て 引 き 継 が れ て 来 た 外 に、 厨 子 の 内 部 に 造 形 さ れ た 百 光 遍 照 王 図 も あ つ た ら し く、 そ の 作 例 は 最 近 真 鍋 俊 照 師 が 発 見 さ れ て お り、 そ の 制 作 年 代 は 貞 応 三 年 十 月 十 八 目、 用 途 は 高 山 寺 明 恵 上 人 の 念 持 仏 と い う こ と ら し い。 詳 し く は 真 鍋 師 の 御 発 表 を ま た ね ば な ら ぬ が、 こ う し た も の が 念 観 の 対 象 仏 と し て 制 作 し、 所 持 さ れ て 来 た と い う こ と は、 刮 目 に 価 す る。 阿 字 観 や 月 輪 観 に つ い て の 筆 写 本 や 木 版 刷 り の 書 は、 古 来 多 数 に あ り ( 高 野 山 大 学 図 書 館 の 蔵 書 中 の 阿 字 観 に 関 す る 印 刷 書 や 筆 写 本 だ け で も、 今 私 が カ ー ド を と つ て い る も の だ け で も 二 百 近 く の 種 類 が あ る。 月 輪 観 や 五 相 成 身 観 等 の も の を 加 え る と 彪 大 な 内 容 と な る ) 枚 挙 に い と ま が な い 程 で あ る が、 こ の 百 光 遍 照 王 図 の 作 例 や 筆 写 本 に は、 私 は 出 逢 つ た こ と が な か つ た。 然 し、 慈 雲 尊 者 の 右 の 講 伝 や、 明 恵 上 人 の 念 持 仏 に お い て こ の 百 光 遍 照 王 布 字 観 の 伝 持 の 実 相 が 証 明 さ れ た の で あ る。 こ の こ と は 重 要 な 意 味 を も つ。 何 故 な ら ば、 百 光 遍 照 王 の 布 字 観 と は、 結 局 ア ン 字 観 だ か ら で あ る。 第 一 図 で 見 ら れ る よ う に、 中 央 の ア ン 字 を 観 じ、 そ の ア ン 字 か ら 周 辺 の 母 音 や 父 音 の 一 切 の 文 字 が 流 出 す る と 観 想 す る の で、 こ れ は 要 す る に ア ン 字 観 に 外 な ら ぬ の で あ る。 次 に 百 光 遍 照 王 図 の 説 明 (栂 尾 祥 雲 博 士. 秘 密 事 相 の 研 究 ﹂ 四 二 六 頁 参 照 ) を、 か か げ て お く ﹂ こ れ を 百 門 王、 百 門 主、 ま た は 百 光 王、 百 光 遍 照 王 と 云 い、 大 目 如 来 の こ と で あ る。 そ の 印 相 は 金 剛 合 掌 に し て 行 者 の 頂 上 に、 ア ン 字 を 観 置 し、 そ の 周 囲 に i. i. u. u.等の 十 二 母 音、 並 に K a, K h a等 の 二 十 五 字、 更 に 二 十 五 字 に 行 点 と 空 点 と 浬 葉 点 と を 加 え た る も の を 布 列 し、 合 計 百 十 二 字 を 観 ず る と 共 に、 こ れ が 変 じ て 百 光 遍 照 王、 即 ち 大 日 如 来 と な る と 観 ず る の で あ る。 ﹂
こ の 百 字 能 生 の 字 が 百 光 遍 照 王 の ア ン 字 で あ り、 そ れ よ り 流 出 せ る 百 字 も 亦、 一 々 に お い て 光 明 を 発 し つ つ、 ア ン 字 の 内 容 と な つ て 住 す る。 ア ン 一 字 が 百 光 遍 照 王 で あ る と 共 に、 そ の 所 生 た る 百 字 自 体 も 亦 百 光 遍 照 王 ( の 中 味 ) と な る の で あ る。 そ の こ と は、 ブ ッ ダ グ フ ヤ ( 覚 密 ) ( Buddhaguhya) の 蔵 文 広 釈 に 詳 し い ( 酒 井 真 典 教 授 の ﹁ 百 光 遍 照 王 の 解 明 ﹂ 参 照 の ご と )。 た だ し、 第 一 図 の 百 光 遍 照 王 図 に、 こ の 広 釈 に 説 か れ て い る 百 字 の 構 成 の 具 合 が 少 し 異 な つ て い る の で、 広 釈 の 説 く 内 容 を 次 に あ げ る (同 書 五 頁 ) ﹁ 百 字 の 構 成 と は 次 の 如 く で あ る。 先 ず ブ ッ ダ グ フ ヤ に よ れ ば 梵 語 の 母 音 十 六 字 中 i よ り auに 至 る 十 四 字 を 除 き a a am ahの 四 字 即 ち 発 心、 修 行、 菩 提、 浬 葉 の 四 点 を 残 す。 次 に 父 音 三 十 四 文 字 中、 鼻 音 の 五 字 と 硬 軟 の 鋼 気 音 の 四 字 を 除 け ば 二 十 五 と な り、 そ れ に 先 の 四 点 を 掛 け れ ば 百 字 と な る と い う。 尚 除 い た 字 は 一 切 三 摩 地 の 主 な る が 故 に 除 く と 云 う。 ﹂ こ れ は 酒 井 教 授 が ブ ッ ダ ク フ ヤ の 広 釈 を 要 約 し て 述 べ ら れ た 文 で あ る が、 ブ ッ ダ グ フ ヤ 自 身 の 解 説 は 同 書 の 二 〇-二 三 頁、 九 七 -一 〇 三 頁 等 に 記 載 さ れ て い る。 な お、 こ の 鼻 音 の 五 字 (na na na na ma)を 除 く 理 由 は、 こ の 五 字 が そ れ ぞ れ の 部 (ka ca ta ta paの 五 部 ) の 父 音 の 能 生 の 自 性 を 有 し て い る か ら で あ る と い う。 そ れ を k a 部 はnaの 自 性 に 集 ま る な り。 ca部 はnaの 内 に 集 ま る な り。 ta 部 は n a の 内 に 集 ま る な り。 t a 部 は n a の 内 に 集 ま る な り。 p a 部 は m a の 内 に 集 ま る な り。 と い う 形 で 表 現 す る。 そ の 鼻 音 の 五 字 が、 そ の 属 す る そ れ ぞ れ の 部 の 能 生 の 自 性 を 有 す る 理 由 は、 こ れ ら の 五 字 が 空 点 の 自 性 を 有 す る か ら で あ る と い う ( 二 二 頁 )。sa sa等 の 留 気 音 の 字 は、 堀 田 師 の ﹁梵 習 字 竪 ﹂ に お い て も、 ﹁ 半 母 音 そ の 他 ﹂ の 部 に 入 れ ら れ て お り、 ﹁ 父 音 ﹂ の 部 に は な い の で あ る。 ( 三 頁 ) い ず れ に し て も、 百 は 満 数 を 表 わ し、 満 数 は 無 限 を 意 味 す る。 ア ンam字 は 一 切 の 能 生 で あ り、 一 切 は ア ン 字 の 内 容 で あ る。 鼻 音 字 や r a la 等 の 文 字 の 有 無 に 拘 泥 せ ず、 ﹁ 百 光 ﹂ を 一 切 光 の 意 味 に 解 し、 母 音、 別 母 音(ri ri li li)、半 母 音、 父 音 等 の 一 切 の 文 字 を 百 光 遍 照 王 の 内 容 と 見 る べ き で あ ろ う 曼 茶 羅 耕 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 と 思 う。 右 の ﹁ 曼 茶 羅 (布 字 ﹂ の ﹁ 第 五 聴 字 ﹂ と は ah字 で あ る。 そ の 前 の 第 四 転 の 聴 字 門 と は 魯 字 を 表 わ す。 第 四 は 浬 藥 を 意 味 し、 第 五 は 方 便 究 覧 を 示 す。 こ の ﹁ 曼 茶 羅 布 字 ﹂ の 説 く 所 で は、 第 五 転 の 警 字 の 場 合 は ﹁ 不 在 身 内 布 字 之 位 也 ﹂ と い う。 私 が 図 示 し た 第 一 図 の 布 字 法 と 同 一 で あ る。 た だ し、 ﹁ 闇 字 モ 亦 爾 リ、 与 レ 隠 同 也 ﹂ と い う 一 項 は、 ど う 解 す べ き か。 第 三 転 の 菩 提 点 の 暗 字 の 重 は、 第 三 重 と し て 当 然 布 字 せ ね ば な ら ぬ の で、 こ の ﹁ 暗 字 門 ﹂ の 暗 と、 こ こ に い ﹁ 闇 ﹂ 字 と 同 一 と 見 る べ き で は な い と 思 う。 と す る と こ の ﹁ 闇 ﹂ 字 は、 amh (方 便 究 寛 の 種 子 ) と 考 え る べ き か。 そ れ な ら ば ﹁ 与 レ 礪 同 也 ﹂ と い う 意 味 が 通 ず る の で あ る。 そ の わ け は 前 述 の 如 く、 阿 字 の 第 五 転 は、ah とamhの 両 字 が 混 用 さ れ て い る か ら で あ る。 な お、 こ の ﹁ 曼 茶 羅 布 字 ﹂ の 中 に 当 二 右 二 旋 テ 遂 テ レ 日 而 転 ス 一、 以 レ 次 一 匝 二布シ テ レ 之ヲ 令ヨ 二 環 転 相 接 セ 一。 と い う く だ り は、 私 が 前 述 し た 太 陽 中 心 の 行 動 の 仕 方 を、 そ の ま ま に 引 承 す る 表 現 と し て 興 味 が あ る と 思 う。 ア ン 字 観 は 一 面 に お い て は こ の よ う な 百 光 遍 照 王 の 布 字 観 で 伝 承 さ れ て 来 た。 然 し、 も つ と 端 的 に ﹁ 暗 字 観 ﹂ と し て 修 習 さ れ た こ と を 示 す 作 例 が あ る。 そ れ は 私 が 密 教 文 化 第 八 〇 号 に お い て 発 表 し た 義 雄 ( 明 和 九 年 写 )、 禅 雄 ( 亨 和 元 年 写 ) の ﹁ 暗 字 観 図 ﹂ で あ る。 そ の こ と に つ い て の 内 容 は、 右 密 教 文 化 二 九 -三 三 頁 を 御 披 見 い た だ き た い。 要 は、 東 密 に お い て は 阿 字 観 ば か り が 伝 承 さ れ、 今 も 盛 ん に そ れ が 修 習 さ れ て い て、 ア ン 字 観 の 方 は 無 縁 で あ つ た か に 思 わ れ や す い が、 実 際 に は 秘 奥 の 観 法 と し て、 ひ そ か に 相 伝 さ れ て 来 た も の と 云 え る。 密 教 文 化 第 八 〇 号 に あ げ た ﹁ 阿 字 黒 箱 ﹂ の 第 四 重 図 も、 修 生 阿 字 す な わ ち ﹁ 暗 ﹂ 字 を 示 す も の と し て、 重 要 な 意 味 を も つ。 ﹁ 阿 字 黒 箱 ﹂ と 云 い、 義 雄 等 の ﹁ 暗 字 観 図 ﹂ の 折 紙 と 云 い、 共 に 阿 字 観 の 奥 な る も の と し て の ア ン 字 観 を 説 く の で あ る。 今 そ の 両 字 観 の 関 係 を 一 言 で い う な ら、 阿 字 観 は 本 有 の 立 場 に た ち、 ア ン 字 観 は 修 正 の 立 場 を と る、 と い う こ と が で き よ う。 そ の こ と も そ の 際 に 言 及 し て お い た。 ﹁ 真 言 宗 全 書 ﹂ 第 二 五 巻 (胎 蔵 次 第 要 集 記 ) 一 五 二 -一 五 入 頁 に は、 十 種 の 百 光 遍 照 王 布 字 図 を 出 だ す。 特 に そ の 中 で 面 白 い の は 一 六 四 頁 上 段 の 図 で あ る。 こ れ は 演 密 砂 の 図 法 で 又 ハ解スラク 若 依 三 疏 ニ指 二 別 時ノ 所 釈 一取 テ ニ 四 輪ノ 中ノ 俄 若 學 那
麿 等ノ 五 字 ヲ 一在 テ レ 外 二、 伊 等ノ 十 二 字 ト 同シク 円 ニ 布セ ヨ レ 之 文 と あ り、 鼻 音 の 父 音 字 五 つ を 別 格 に 扱 う 点 が、 ブ ッ ダ グ フ ヤ の 所 説 と 共 ハ通 し て 面 白 い の で あ る。 別 格 に 扱 つ て 如 何 に す る か と い え ば、 最 外 の 円 輪 内 に、 i i 等 の 十 二 母 音 字 を 配 布 し、 そ れ に つ づ い て こ の 五 字 を 書 く。 そ し て 更 に こ の 五 字 を 同 一 重 内 に 発 心、 修 行、 菩 提、 浬 禦 の 四 転 の 順 序 で 相 接 続 せ し め る の で あ る。 従 つ て こ の 場 合 の 最 外 の 重 は、 三 十 二 文 字 と な る。 勿 論 そ の 布 字 の 方 向 は 右 転、 即 ち 太 陽 を 逐 う 方 向 で あ る。 な お、 多 少 の 相 違 は あ つ て も、 右 の 演 密 砂 の 如 く、 鼻 音 の 五 字 を 父 音 の 二 十 五 字 か ら 独 立 せ し め て 扱 つ て い る 百 光 遍 照 王 の 布 字 図 が、 右 の 図 の 外 に 二 つ あ る。 そ れ は 右 書 の 一 六 六 頁 上 段 の も の と、 一 六 七 頁 下 段 の も の と で あ る。 今 は 煩 を さ け て、 こ れ 以 上 の 追 求 は 避 け る。。 こ の 節 の 最 後 に あ た つ て 強 調 し て お き た い こ と は、 次 の 一 点 で あ る。 す な わ ち、 ブ ッ ダ グ フ ヤ が そ の 広 釈 に ﹁ こ の 故 に、 此 等 の 念 諦 は ま た、 粗 と 細 の 次 第 を 以 て 釈 さ れ た り と 知 る べ し。 (1) 最 初 に 於 て は、 外 と 内 の 四 支 念 諦 に し て ( 根 基 ) に 外 と 内 の 二 つ を 観 ず る が 故 に 粗 な り。 (2) そ の 後 に 於 て は、 内 の 四 支 念 諦 に し て、 外 に 仏 身 を 観 ぜ ず、 内 に 於 け る 胸 に 如 来 の 身 を 思 惟 し て 念 諦 す る が 故 に そ れ ( 前 ) よ り 細 な り。 (3) そ の 後 に 於 け る 大 勇 者 ( 勤 勇 ) の 場 合 に 於 て は、 胸 に 如 来 の 身 を 思 惟 す る こ と を ま た 明 に な し て 大 自 在 ( 地 輪 ) 等 の 輪 の 何 れ か 適 わ し き も の を 思 惟 し て 三 支 と な し て、 念 諦 す る な り。 さ れ ば、 そ れ ( 前 ) よ り 更 に 細 な り。 (4) こ の 百 字 の 場 合 に 於 て は、 自 身 空 性 の 三 摩 地 に 住 し て、 心 究 (a m ) の 声 ( 意 義 ) の み を 観 じ て、 唯 一 支 と な し て、 念 諦 す る が 故 に、 全 て の 前 よ り 細 な り と 知 る べ し。 ﹂ ( 酒 井 教 授 の 同 書 二 一 頁 ) と 出 だ す 一 点 で あ る。 ﹁ 引 外 向 内 ﹂ の 念 諦 の 過 程 は、 内 の 唯 一 支 の 観 に 住 す る 段 階 に 至 つ て 最 極 と な る。 ﹁ 我 即 法 身 ﹂ の 実 際 は、 こ の 時 に 現 証 さ れ る の で あ る。 大 師 は ﹁秘 蔵 宝 鎗 ﹂ 巻 下 に お い て 又 有 リ 下 百 字 輪 十 二 字 等ノ 真 言 観 法 三 摩 地 門、 及ヒ 金 剛 界 三 十 七 尊 四 智 印ノ 三 摩 地 上 即 チ 是レ 大 日 如 来ノ 極 秘 三 昧 ナ リ、 文 広 フ シ テ 曼 茶 羅 緋 線 法 と 布 字 観 に つ い て
密 教 文 化 不 レ 能 ハニ 具 二述 フ ル コ ト 一 と い わ れ て い る。 百 字 輪 す な わ ち 百 光 遍 照 王 の 布 字 観 や 前 述 の 十 二 字 真 言 王 の 布 字 観 に 至 る ま で、 大 師 は 種 々 克 明 に 修 習 観 想 さ れ た こ と で あ ろ う。 四、 五 色 阿 字 私 は 性 善 ( 一 六 七 六-一 七 六 三 ) 撰 の ﹁ 五 色 阿 字 ﹂ に つ い て 密 教 文 化 第 入 五 号 に 小 論 を 発 表 し た。 そ の 際、 不 勉 強 に も そ の 五 色 の 配 当 の 出 所 が、 ﹁ 不 空、 善 無 畏 そ の 他 い ず れ の 配 当 方 法 に よ つ た か、 不 明 で あ る ﹂ と 述 べ た。 こ の 五 色 阿 字 の 配 色 ( 写 真 第 四 図 ) の 次 第 青-東-発心-地-木 黄-南-修行-火 赤 -西