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指導要領における外国語科の目標の中に 聞くこと 話すこと 読むこと 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う がある Canale(1983) はコミュニケーション能力を 4 つの構成要素で示し 4 つを総称してコミュニケーション能力としている ( 表 1) 文法能力 談話能力

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- 1 - -沖縄県立総合教育センター 前期長期研修員 第 54 集 研究集録 2013 年9月

〈英語〉

基礎的・基本的な知識・技能の習得を図る学習指導の工夫

-基本的な語彙や文構造活用のためのインプット=インターアクションモデルを

通して(第3学年)-

北谷町立北谷中学校教諭 安谷屋 夏 子

Ⅰ テーマ設定の理由

現代社会においては、情報網や交通手段の普及により国際化が進み、外国との関わりが多くなる中、コ ミュニケーション手段として英語が重要な役割を担っている。OECD(経済協力開発機構)のPISA 調査における我が国の児童生徒に関する課題として、平成20年中央教育審議会(以下中教審)では、「基 礎的・基本的な知識・技能の習得」、「学習意欲の向上や学習習慣の確立」などを改善の答申としている。 県の到達度調査における本校の結果を考察すると、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」の4領域 の問題中、「読む」、「書く」の領域に課題が見られ、特に「書く」領域で平均正答率が低下した。学習 指導要領の言語活動に示されている指導事項、(イ)語と語のつながりなどに注意して正しく文章を書く こと、(ウ)身近な場面における出来事や体験したことなどについて、自分の考えや気持ちなどを書くこ と、等が定着していない結果となった。「聞く」、「話す」の領域は、音声面を中心とした小学校外国語 活動で、早い時期からコミュニケーション能力の素地が養われてきた成果だと考える。しかし中学校では 文字を通して「読む」「書く」の領域が加わる学習が展開していくことから、中学校英語とのギャップが あるものと考える。平成20年中学校学習指導要領(以下指導要領)における外国語科の目標は、「聞くこ と、話すこと、読むこと、書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う」であり、指導要領改訂 に至った基本方針の一つとして、「コミュニケーションの中で基本的な語彙や文構造を活用する力」とあ る。実際に外国語を運用する能力の基礎を養うのに、基本的な語彙や文構造などについての知識を身につ け活用させることは根底をなす必須のものである。 これまでの授業実践を振り返ってみると、「聞く・読む・話す・書く」の4技能を統合した言語活動や 学び合いを意識したペア活動、グループ活動等に取り組んできた。しかしながら英語を得意とする生徒は 意欲的に学習できた反面、意欲的に学習できなかった生徒のつまずき部分を知り、どれくらい定着したの かを確認したり、効果的にフィードバックしたりすることがあまりなされずに授業を進めてしまった。そ のため文字を通して学ぶ英語に対して慣れないままで学年が進み、それとともに教科書の文法事項が複雑 になったり、読む内容が増えたりしてくることから、わからないことが蓄積され、英語に対する苦手意識 を持つ生徒もいた。生徒の基礎的・基本的な知識・技能の習得を図ると同時に学習習慣を確立させる必要 がある。 本研究では基本的な語彙や文構造活用の方法として、インプット=インターアクションモデルを取り上 げる。聞くこと、読むことのインプット(入力)を多くし、さらに生徒同士がインターアクションする( 対話する)場を設定することにより、コミュニケーション能力を高めていこうとする試みである。本校生 徒の「書く」領域の落ち込みが、中学校英語へ移行する際のつまずきに起因しているとの考察から、「書く」 領域を取り扱う前段階として、生徒に基本的な語彙や文構造を活用させるために、インプット=インター アクションモデルを通して、コミュニケーション能力の基礎を養うこととなる、基礎的・基本的な知識・ 技能の習得を図るべく、本テーマを設定した。 〈研究仮説〉

New Crown3 Lesson3の授業において、インプット=インターアクションモデルを用いることにより、 基本的な語彙や文構造が活用されることとなり、基礎的・基本的な知識・技能の習得が図られるであろう。

Ⅱ 研究内容

1 基礎的・基本的な知識・技能の習得とは (1) コミュニケーション能力とは

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- 2 - 指導要領における外国語科の目標の中に、「聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなどのコ ミュニケーション能力の基礎を養う」がある。Canale(1983)はコミュニケーション能力を4つの 構成要素で示し、4つを総称してコミュニケーション能力としている(表1)。 ① 文法能力 語彙、形態、統語、意味、音韻面にわたり、文法的に正しく言語を操ることができる能力 ② 談話能力 意味のつながりや理論の一貫性を考慮しながら、まとまりのある発話や文章を構成したり、理解したりできる能力 ③ 方略的能力 コミュニケーションの過程で起こるさまざまな障害に対処し、コミュニケーションをうまく進めていくことのできる能力 ④ 社会言語学的能力 社会文化的な状況に配慮して、適切に言語が使用できる能力 従来、単語と文法さえあれば言語はできると思われてきたが、実際には表1②の談話能力から④ の社会言語的能力もそろって初めて言語を使うことができるとされている。指導要領でも上記の① から④に関する指導内容事項が、領域別に中学生段階レベルで網羅されているものと考える。この コミュニケーション能力の構成要素は、学習段階が進むにつれその割合は変化するものだと考えら れている。大城賢(2008)は、Savignon(1983) が示したコミュニケーション能力の発達モ デルを日本の外国語教育に当てはめて図式 化している(図1)。大城のモデルでは、中 学校の段階では方略的能力を始め、文法能力 と談話能力の割合が大きいことがわかる。本 校の生徒たちが「書く」領域の「語と語のつ ながりなどに注意して正しく文章を書くこ と」、「身近な場面における出来事や体験し たことなどについて、自分の考えや気持ちな どを書くこと」の事項が定着していないこと から、図中の文法能力と談話能力が必要であ ると考える。本研究ではインプット=インタ ーアクションモデルを用いることで、文法能 力と同時に、談話能力と方略的能力も徐々に身につくであろうと考える。 (2) コミュニケーション能力を養うための基礎的・基本的な知識・技能の習得 中教審における「基礎的・基本的な知識・技能の習得」の改善の答申と、それを踏まえた指導要 領の基本方針では、「聞くこと」、「話すこと」、「読むこと」、「書くこと」の 4 技能の総合的 な指導を通して、これら 4 技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力を育成するとともに、 その基礎となる文法をコミュニケーションを支えるものとしてとらえるとある。コミュニケーショ ン能力を養うためには、文法は基礎になるものとしている。また表1の文法能力では、語彙、形態、 統語、意味、音韻面にわたり、文法的に正しく言語を操ることができる能力とされ、基礎的・基本的 な知識・技能の習得とは、基本的な語彙や文構造などを活用させ定着させることだととらえる。 2 インプット=インターアクションモデルとは (1) 言語習得の本質に合った学習法について 第二言語習得論によると、効果的な言語習得学習法とは、言語の本質、言語習得の本質、また個 々の学習者の特性に合った学習法であるとしている(白井2012)。第二言語習得論により、日本人な ら母語である日本語以外の言語、すなわち第二言語がどのようなメカニズムで習得されるのか、科 学的に明らかにしていく研究が進められている。日本人の第二言語を仮に英語とするならば、なぜ 日本人は英語が苦手なのかに対する疑問から英語指導法など、第二言語習得に関するあらゆる要因 因子に科学的データを基に解明されている。その理論によると、言語習得には外国語のメッセージ を理解するインプットが必要条件であるとし、それにより第二言語の音声、語彙、文法の自然な習 得が進むとしている。形式的な正しさよりも、メッセージの意味を理解することを重視した学習法 表1 コミュニケーション能力の構成要素 図1 大城(2008)日本の英語教育における コミュニケーション能力の発達モデル 高等学校段 階 中 学 校 段 階 小 学 校 段 階 文法能力 談話能力 方略的能力 社会言語学的能 力 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 発 達 段 階

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表2 Hatch and Brown (1995)の語彙学習プロセス

が重要であるとしている。 (2) 形式的な正しさ重視と意味理解の重視 Krashen(1982)は言語習得には、「聞くこと、読むこと」のインプットが必要で、さらにその インプットの内容が学習者にとって理解可能なものであることが条件であるとするインプット理論 を提唱した。また言語習得の別の流れとして、これまで日本の伝統的な英語指導法の基となった自 動化理論がある。最初に明示的知識を身に付け、それを意識的に練習することにより徐々に言語が 使えるようになるとした考え方である。白井は「この学習方法では、発話の正しさをチェックした り、聞いているだけでは気づかないことを気づかせインプットにつなげたりするのに有効であるが、 複雑な言語ルールを全て明示的知識として習得するのは不可能である。またルールとしては簡単に 頭で理解できても、そのルールを必ずしも使えるようにはならないという問題がある。」とし、こ の理論にも限界があることを押さえつつ指導にあたるべきだとしている。さらに「外国語学習では、 両者を最大限に利用することがよいとしているが、日本の英語教育ではインプットが圧倒的に不足 している」(白井)と指摘している。 (3) インプット=インターアクションモデル

Long and Porter(1985)はインプット=インターアクションモデルを提案している。これはイン プット理論を踏襲しつつも、それにインターアクション(相互交渉)、すなわち対話を加えること により、互いの発話を理解しようとして、聞き返したり、確認したり、言い換えたりする。その過 程で意味のやりとりが行われ、相手から修正されたインプットが与えられる。結果的にインプット が理解可能になるので、言語習得に有効だと考えられている。教師は生徒同士のコミュニケーショ ンが成功するように、言語交渉の手だてを指導することにより、生徒が積極的に授業に参加しよう とする動機づけをすることができる。またインターアクションの中で、生徒は教師や生徒からの補 助を受けることができるので、実際の発達レベルから到達できていない一つ上の発達レベルへも、 到達できるとされている。以上のことから日本で行う英語指導法として、実情に合ったモデルである と考える。本校では小学校外国語活動と中学校英語のギャップ、「書く」領域に落ち込み部分があると の考察から、英語をインプットする作業、明示的知識の指導、さらにインターアクションする過程 が必要であると考える。本研究ではインプットとして生徒が理解できる内容で聞いたり読んだりす る作業、文法事項の明示的な説明を比較的簡単に行い、インタビュー活動などで構成するインプッ ト=インターアクションモデルを用いた取り組みを試みる。 3 基本的な語彙と文構造について (1) 基本的な語彙と文構造について 指導要領解説外国語編では、コミュニケーション能力を養う言語活動を行うために、言語材料を 適切に使うように示している。中でも「語、連語及び慣用表現」の取り扱いでは、改訂前の「900 語程度までの語」から「1200語程度の語」へ増加され、幅広いコミュニケーションが図られるよう に指導することとしている。また「文法事項」取り扱いの中に文構造が示され、「語と語のつなが り」を指導する上で大切な内容である。けれどもこれら文法事項は用語や用法の区別などの指導が 中心とならないよう配慮し、コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、言語活動と効 果的に関連づけて指導することとしている。 (2) 語彙指導について

Hatch and Brown(1995)は語彙学習プロセス、すなわち単語に出会ってから、単語を習得して 再生するまでに5段階あるとしている(表2)。 段階 出会いの度合い 解説と指導の手だて 第1 新しい単語に出会う 本、新聞、雑誌などを読んだりテレビやラジオで聞いたりしながら 新しい単語に出会う。学習者の興味、動機、必然性などがこの段階 に影響を与える。ここで学習者が注意をはらわなかった単語は第2 段階に進むことがない。 第2 語形を理解する 単語を視覚的または聴覚的に、または両方の感覚で明確な単語のイ メージを理解する段階。すでに知っている発音や語形が似ている他 の単語を連想したりする方法を使用する。

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- 4 - 主語+have/has +動詞の過去分詞形 ~ ト 第3 語の意味を理解する 単語を習得できるかどうかに影響する最も重要な段階で、単語の意 味を正しく理解する。その単語の意味を尋ねたり、心の中で単語の 意味のイメージを作ってみたり、自分が言いたいことをだれかに説 明して該当する単語を言ってもらったりする方法を使用する。 第4 記憶に残っている語 形と意味を統合する フラッシュカード、組み合わせの問題、クロスワードパズルなどを使っ て、語形と意味の結びつきを強化する段階で、頭の中で語形と意味 のつながりを作り出してみたり、イメージと音をあてはめてみた り、よく復習したり、体を動かしたりするなどの4つの方法を使用 する。 第5 単語を使ってみる 覚えた単語の語形と意味を記憶から消さないために、単語を使う活 動が効果的である。その単語を部分的に知っている場合でも、その 単語を使用する経験によってより定着が期待できる。 これまでの授業では、通常第3段階までは意識して実践してきたが、第4、5段階の語彙を定着 させ、実際に使用させる段階の指導が十分ではなく、また第5段階までの学習過程を意識した指導 につなげる必要があると考える。本研究で扱うインプットの部分で第4段階までの語彙指導、イン ターアクションの部分で第5段階を意識した語彙指導を組み入れようと試みる。 (3) 検証授業で用いるインプット=インターアクションモデルの内容と授業での工夫 第二言語習得論が提唱する言語習得に必要なこととして、「聞くこと、読むこと」のインプット が最低限必要であり、さらにそのインプットの内容が学習者にとって理解可能なものであることが 条件とされていることから、今回の検証授業では、生徒ができるだけ英語が多聴多読できる状況に することを念頭に置いた内容を盛り込んで授業を進める。(表3) 活動内容 主な指導内容 授業全般 □クラスルーム イングリッシュ 英語による指示、簡単な内容の説明など インプット □Quick Fire ・Lesson3で学ぶ大切な表現・基本文を抽出し、それに対応する日本 語文を付記した一覧表を用意し、制限時間内にペアで交代して言い 合う。 □Teacher’s Talk ・英語で話される身近な話題を聴き、聞き取れた単語を記入し、その後 英語・日本語の内容を確認する。 □新出単語 ・指導順序として、①語の発音の仕方を聞く ②聞いたとおりに発音、 ③音声と文字の対応としてスペルを見せる。 ④単語の意味の確認、 ⑤日本語の意味を見て、英単語を発音する。 □リスニング ・基本文を含む内容を聴き取る。 □音読 ・①教科書のリスニング、②本文内容の確認、③音読の順序の指導法 をとる。音読も多様な読み方を試みる。 インター アクション □挨拶等 ・曜日、日付、天候、朝食の話題など、一問一答でやりとりする。内容のやりとりを、①教師⇔生徒、②生徒⇔生徒で行う。 □基本文を用いて英文 を作って言い合う ・グループ内で、ワークシートの図表に示されている語彙を使って、基 本文を言い換えて言う。 □インタビュー活動 ・インタビューの英文を考えて作る。 ・英語でインタビューし、インタビューの答えを聞き取る。 アウトプット □基本文を用いて、他 の語で置換した英文 を作って言う ・グループ内で、ワークシートの図表に示されている語彙を使って、基本 文を言い換えて言う。 □基本文を用いて、他 の語で置換した英文 を作って書く □プロフィールの作成 ・グループ内で、ワークシートの図表に示されている語彙を使って、基本 文を言い換えて言う。 ・インタビューして得た情報をもとに、プロフィールを作成する。 Lesson3の単元の主な文法事項は、現在完了形の経験用法(~したことがあります)・完了用法( ちょうど、すでに~したところです)であるが、文構造では、 表3 検証授業で用いるインプット=インターアクションモデルの内容

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- 5 - となり、生徒にとっては、まず主語に続くhave、hasの使い分け、次に動詞、特に不規則動詞の過去 分詞形の理解等、つまずきやすい部分が多くなる。基本文を用いて他の語で置換した英文を言った り書いたりするインターアクションやアウトプットの活動が滞らないようにするため、ヒントとな るイラスト、動詞の変化形表示、多様な語彙を載せた図表入りワークシートの工夫を図りたい。

Ⅲ 指導の実際

1 単元名 Lesson3「Rakugo Goes Overseas 世界に羽ばたく伝統文化」 2 単元目標 (1)日本の伝統文化を世界に発信する (2)現在完了形の文を理解し、使う(経験・完了用法) 3 単元の評価規準 領 域 コミュニケーションへ の関心・意欲・態度 外国語表現の能力 外国語理解の能力 言語や文化についての 知識・理解 聞 く こ と ・「聞くこと」の言語活動に 積極的に取り組んでい る。 ・様々な工夫をして、聞き 続けようとしている。 ・外国語で話されたり読ま れたりする内容を正しく 聞き取ることができる。 ・場面や状況に応じて英 語を適切に聞いて理解 することができる。 ・英語やその運用につい ての知識を身につけて いる。 ・言語の背景にある文化 について理解している。 話 す こ と ・「話すこと」の言語活動 に積極的に取り組んで いる。 ・様々な工夫をして、話し続 けようとしている。 ・自分の考えや気持ち、 事実などの英語で正しく 話すことができる。 ・場面や状況に応じて英 語 で 適 切 に 話 す こ と が できる。 ・英語やその運用につい ての知識を身につけて いる。 ・言語の背景にある文化に ついて理解している。 読 む こ と ・「読むこと」の言語活動 に積極的に取り組んで いる。 ・様々な工夫をして、読み続 けようとしている。 ・英語を正しく音読するこ とができる。 ・英語で書かれた内容が表 現されるように適切に音読 することができる。 ・英語で書かれた内容を 正しく読み取ることがで きる。 ・目的に応じて英語を適 切に読んで理解すること ができる。 ・英語やその運用につい ての知識を身につけて いる。 ・言語の背景にある文化に ついて理解している。 書 く こ と ・「書くこと」の言語活動に 積極的に取り組んでい る。 ・様々な工夫をして、書き続 けようとしている。 ・自分の考えや気持ち、 事実などを英語で正しく 書くことができる。 ・場面や状況に応じて英 語で適切に書くことがで きる。 ・英語やその運用につい ての知識を身につけて いる。 ・言語の背景にある文化に ついて理解している。 4 指導計画と評価方法(全 11 時間) 時間 学習目標 学習内容 指導の手だて 指導の留意点 ○評価の観点 □評価方法 1 2 ・現在完了形(経験用法)の肯 定文や疑問文とその答え、否 定文を含む会話を聞いて、ス ミス先生が行ったことのある 場所を正確に聞き取る。 ・現在完了形(経験用法)の疑 問文を使って相手が行ったこ とのある場所と回数を正しく たずねたり、相手の質問に正 しく答えたりする。 ・語と語のつながりや形に注意 して、現在完了(経験用法) の肯定文を正しく書く。 Get Part1 現在完了形(経験用法) 肯 定 文 ・ 疑 問 文 / 応 答 文・否定文

・I have visited・・・. ・Have you ever

visited・・・ ? ・I have never

visited・・・. ・Greeting ・Teacher’s Talk ・Check Understanding □Input ・Quick Fire ・Using pictures to introduce the textbook ・文法説明 □Interaction ・ペアによるインタビュー ・別ペアによるインタビュー ・インタビュー結果をまと める ○理解の能力 ○言語や文化 についての 知識・理解 □ワークシート □インタビュー のまとめ 3 ・現在完了形(完了用法)の肯定 文や疑問文とその答え、否定文 を含む会話を聞いて、裕太とリ

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- 6 - 4 サがちょうど終えたことや、ま だしていないことを正確に聞 き取る。 ・現在完了(完了用法)の肯定 文を使って、自分がちょうど 終えたことを聞き手に正しく 伝える。 ・語と語のつながりやかたちに 注意して、現在完了(完了用 法)の肯定文を正しく書く。 現在完了形(完了用法) 肯 定 文 ・ 疑 問 文 / 応 答 文・否定文

・Tom has just finished lunch.

・ Has Tom finished lunch?

・Tom has not finished lunch yet. □Input ・Teacher’s Talk ・Check Understanding ・Quick Fire ・Using pictures to introduce the textbook □Interaction ・ペアによるインタビュー ・別ペアによるインタビュー ・インタビュー結果をまと める ○言語や文化 についての 知識・理解 □ワークシート □インタビュー のまとめ 5 6 ・落語について生徒がすでに持っ ている知識を活性化する。英語 落語に関わる語句を中心に新出 語句を導入する。 ・英語落語に関するきみ江さんへ のインタビューを掲載した新聞 記事について、概要や大切な部分 を正確に読み取る。 ・英語落語に関するきみ江さん へのインタビューを掲載した 新聞記事を読んで、きみ江さ んの考える「世界」について 意見を述べ合う。 ・英語落語に関するきみ江さん へのインタビューを掲載した 新聞記事を読んで、海外に紹 介したい日本文化について自 分なりの理由を付け加えて述 べる。 USE Read ・英語落語に関するき み 江 さ ん へ の イン タ ビ ューを掲 載した新 聞 記事につ いて イン タ ビュー の 展開順に 番号を書く。 ・インタビューに関す る質問に答える。 ・インタビュー記事に 適 切な語を 入れてま とめる。 ・Greeting ・Teacher’s Talk ・Check Understanding □Input ・Quick Fire ・Using pictures to introduce the textbook ○表現の能力 ○理解の能力 □ワークシート 7 8 9 (本時) ・新しく来た英語の先生へのイン タビューを聞いて、先生につい ての情報を正確に聞き取る。 ・インタビューを聞いて、先生の プロフィールを正しく書く。 ・自分たちの学校の先生に正し くインタビューする。

USE Mini Project ・インタビューをして、 その内容をメモする。 ・インタビューのメモ をもとに、先生のプロ フィールを作る。 ・Greeting ・Teacher’s Talk ・Check Understanding □Input ・Quick Fire □Interaction ・ALT にインタビュー ・プロフィールを作る ○コミュニケーシ ョンへの 関 心意欲態度 ○表現の能力 ○理解の能力 □ワークシート □プロフィール のまとめ 10 11 文法要点のまとめ ・Call/make +A+B ・It~(for A)to・・・ ・動詞の形・過去分詞を 使った修飾 ○表現の能力 ○言語や文化 についての 知識・理解 5 本時の指導 (9/11 時間) (1) 本時9の目標 ① ALTの先生にインタビューする内容を考え、英文にする。 ② ALTの先生に正しくインタビューする。 ③ ALTの先生へのインタビューで、先生についての情報を正確に聞き取る。 ④ インタビューの結果得た情報をもとに、先生のプロフィールを正しく書く。 (2) 授業仮説

New Crown3 Lesson3 Mini Project の授業において、インプット=インターアクションモデルを 用いることにより、基本的な語彙や文構造が活用されることとなり、基礎的・基本的な知識・技能 の習得が図られるであろう。

(3) 本時の展開

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1 Greeting

① How are you ~? ② What did you eat for

breakfast?

③ Day/ Date/ Weather

2 Quick Fire (Read)

1 ① 挨拶や身近な話題をクラスメイトと交わすこ とで授業のアイスブレイクを図る。状況に応 じて、挨拶する相手を指定する。( T→Ss / S→S ) ② ワークシートに日付他を記入させる。 ③ 本日の日付の確認 2 ① 全体で読み方の確認をする。 ② パートナーで役割分担して英文を言い合 う。(1分間の2セット) 1・クラスメイトと挨拶、簡単 な会話ができる。 ・本日の日付がかける。 2・ペアで協力して活動に取り 組むことができる。 ・制限時間内に指定された数 の英文を言うことができ る。 展 開 1 プロフィールを作る Project につ いての説明

2 Idea Box の表現(review)

3 グループになり、 先生にインタビューする内容を 考える。 4 先生にインタビュー ALT の先生が各グループを回り、 インタビューを受ける 5 インタビューの結果をプロフィール にまとめる。 1 これから取り組む Project について説明を 聞く。 2 ① Idea Box の読み方の練習をする。 ② Idea Box を用いた様々な表現の仕方 を学ぶ 3 グループになり(6 人)、 ① 先生に質問したい内容を考える ② 質問する内容を英文にする。 ③ インタビューする人を決める。 4 ALT の先生が回ってきたとき、 ① グループのインタビューアーが質問す る。 ② メンバーはメモをとりながら聞く。 5 インタビューして得た情報をもとに、 ① プロフィールの英文を作る。 ② プロフィールを作成する。 1 プロフィールを作る ・Project の内容がわか る。 ・見本の提示 2 Idea Box の表現 ・Idea Box の表現の読み 方がわかる。 ・様々な表現の仕方がわ かる。 3 メンバーで協力しあって インタビューの 内 容 を 考 え、英文を作っているか。 4 自分たちで考えた質問内容 でインタビューしているか。 質問者は役割分担以外の 人でも良しとする。 5 グループで協力して、 質問した答えをまとめるこ とができる。 ま と め 自己評価表の記入 ・本時の取り組みについて自己評価する。 ・プロフィールを完成させる。 ・宿題の提示(語彙練習シート) (4) 評価 ① グループで質問したい内容考え、英文にすることができたか。 ② グループで考えた質問をし、質問した答えを聞き取ることができたか。 ③ インタビューして得た情報をもとにプロフィールを作ることができたか。 ④ 学習の規律を守り、ペアやグループで積極的に学習に取り組むことができたか。 6 仮説の検証

研究仮説に基づき、New Crown3 Lesson3の授業において、インプット=インターアクションモデル を用いることにより、基本的な語彙や文構造が活用され、基礎的・基本的な知識・技能の習得が図ら れたかを授業の様子、ワークシート、単元テストの結果、アンケートの結果から考察する。

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図2 ワークシートの工夫①

2 次の絵と語句が表すことを経験したことがあったら、番号に赤○をつけよう。

語句を使って「~したことがある(ない)」という文を言ってみよう。 例〉I have visited Nara three times. / I have never visited Nara. I have been to Kyoto three times. / I have never been to Nara. ① ワークシートの工夫 文法事項の簡単な説明の 後、生徒には図表入りワー クシート(図2、図3)を 用いてペアやグループで活 動させた。その活動のワー クシートでは、動詞の活用 形、興味をそそる内容の語 句、その内容が理解しやす いようなイラストなどを載 せ、活動が滞らないように 工夫した。実際の活動では、 現在完了という文構造が複 雑な内容ではあっても、そ の構造のパターンを掴めば どんどん英文を作っていく 様子が見られた(図4)。 また一人の生徒が理解する と、それをグループ内でお 互いに教え合う様子もみら れた。この活動は、教師の インプットやインターアク ションが多く必要ではない かとの縛りから、英文作り を多く要求することになり、 理解や作業などが少し遅い 生徒も含めて、全体的に十分な活動時間を確保することができなかった。そのためやり残した分 を家庭学習として促し、提出させた。生徒の実態からも少しレベルの高い内容になってしまって いた。 ② インタビュー活動 同単元のMini Projectでは、ALTの先生に英語でインタ ビューする活動がある。その活動では、まず見本となるプ ロフィール、インタビューで使えそうな表現を提示し(写 真1)、その後グループでインタビューする内容を考えさ せ、英文を作らせた。基本的な質問は押さえつつも、それ 以外にも自分たちが尋ねてみたいことを英文にしてイン タビューしてもよいとした(写真2)。作った英文でALT の先生にインタビューし、ALTの先生からの答えをメモす る(写真3)。インタビューの結果をもとに、プロフィー ルを作るアウトプットを取り入れた(写真4)。英語の聞 く、読む、話す、書く、の4技能が統合される活動となる。 ここでの生徒の活動は、4技能が要求される活動ではあっ ても、グループで話し合い、相談し合いながら質問を考え たり、ALTの先生に直接生徒達が尋ねたいことが聞けたり する等、題材の面白さやプロフィール作りの楽しさなども あり、協力しながら楽しそうに活動していたことが印象的 であった。そのような活動の場では、少々レベルの高い授 業内容ではあっても、生徒は目標達成していけるのだとう かがえた。また授業後の自己評価表やアンケートからも、インタビュー活動が楽しかったと感想 (1) visit Nara visit-visited - visited (2) see an OKB48 election see-saw-seen (3) read “Two piece” read-read -read (4) climb Iejima Tacchu climb-climbed -climbed (5)eat Korean food eat-ate -eaten 図4 生徒のワークシート 図3 ワークシートの工夫② 写真1 見本の提示 –インタビュー活動- 写真2 質問を考える –インタビュー活動-

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- 9 - を述べている生徒が多かった。プロフィール作りでは、 特に女子生徒がイラスト描きや文字書きに興味を示し、 熱心に取り組んでいた。英文の間違いも見受けられたが、 発信したいことを十分伝えることができた。プロフィー ルは添削し、生徒に正しい英文の書き方の指導につなげ た(図5)。 ③ その他のインプット内容の検証 毎回の授業における、その他のインプットの材料とし て、Quick FireやTeacher’s Talkを取り入れた。Quick Fireとは、単元で学ぶ基本文や大切な表現などを抽出し、 それに対応する日本語文を付記した一覧表を用意し、制 限時間内にペアで交代して言い合う活動である。Quick Fireはペア学習で取り組むが、活動そのものに対して意 欲的に取り組む生徒とそうでない生徒がいたり、ペア同 士間の人間関係があったり等で、余り効果が見られなか った。今後の改善につなげたい。 Teacher’s Talkは、生徒は教師が英語で 話す身近な話題を聴き、聞き取れた単語を記 入する活動である。身近な話題は生徒達が 理解しやすい平易な単語を使い、単元の 文法事項に沿う内容にする等、工夫を試 みた。トークの後は必ず英語と日本語に よる内容確認をし、英語の音声と意味内 容が結びつけられるようにした。この取 り組みはインプットの一つの手法として 試みたが、活動そのものの検証はできな かった。 (2) 授業後の単元テストの結果から 今回の検証授業後、単元テストを実施す る。出題内容は授業で扱ったものにし、今 回は基本的な文構造や語彙の定着を検証す るため、現在完了形の文構造に関する問題、 Lesson3で新しく学んだ語彙に関する問題、 インタビュー時に使った英文とその答えに 関する問題、落語に関する知識や理解に関す る問題の4つの設問から出題した。 単元テストの結果(図6)において、問題 1「文構造に関する問題」では全体69.1%の 正答率で、昨年到達度テスト達成率の低かっ た「書く」領域の「語と語のつながりなどに注意して正しく文章を書くこと」、すなわち文構造に 関する問題の全体平均正答率48.9%に比較すると上昇した。問題2「語彙に関する問題」では、単 語とそれに対応する日本語の意味を問う形で出題し、正答率は概ね良好であった。語彙学習プロセ スの第4段階「記憶に残っている語形と意味を統合する」レベルの定着が検証された。 問題3は必要に応じた内容を尋ねる英作文とし、「インタビュー時に使った英文とその答えに関 する問題」とした。正答率58%で他の設問より低い結果であった。インタビュー活動では、必ずし も現在学んでいる基本文に限定されずに、尋ねたいことを既習の学習事項を引き出して英文を作る ことになった。英語を使用せざるを得ない場面を設定することで、総合的な英語力が問われること となった。そのような状況下では、必要とされる基礎力の不足がうかがえた。基礎的・基本的な知 識・技能の習得を図るための指導が引き続き必要である。 図6 単元テストの結果 図5 生徒のプロフィール作品 写真3 インタビュー・インタビュー活動 写真4 プロフィール作り・インタビュー活動

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- 10 - アンケート凡例 当てはまる どちらかといえば当 てはまる どちらかといえば 当てはまらない 当てはまらない 図8 質問4 アンケート結果 8.8 20.6 50 26.5 35.3 38.2 5.9 14.7 0 20 40 60 80 100 検証後 検証前 % 質問4 学んでいる単元の文法を用いて、英文を 作って言うことができますか。 47.1% 58.8% 図9 質問5 アンケート結果 14.7 8.8 44.1 47.1 35.3 23.5 5.9 20.6 0 20 40 60 80 100 検証後 検証前 % 質問5 学んでいる単元の文法を用いて、英文を 作って書くことができますか。 55.9% 58.8% 図7 質問3 アンケート結果 20.6 20.6 47.1 41.2 26.5 23.5 5.9 14.7 0 20 40 60 80 100 検証後 検証前 % 質問3 教科書の本文を読むことができま すか。 61.8% 67.7% 7% (3) アンケートの結果から 生徒のアンケートから、質問3の「教科書の 本文を読むことができますか」(図7)では、 検証前と検証後で「どちらかといえば当てはま る」が 41.2%から 47.1%に増え、「当てはま らない」が 14.7%から 5.9%へ減少したことに より、「当てはまる」、「どちらかといえば当 てはまる」の合計が 61.8%から 67.7%へと 5.9 ポイント増加、教科書の本文を読める生徒が増 えた。「できるだけ多く英文を読む」インプッ トを意識した授業作りと、電子黒板を使って教 科書本文を拡大提示し、文字を目で追わせなが ら音読したことが功奏したと考察する。 質問4「学んでいる単元の文法を用いて、英 文を作って言うことができますか」(図8)で は「どちらかといえば当てはまる」が 26.5%か ら 50%へと増加。「当てはまる」「どちらかと いえば当てはまる」の合計が、47.1%から 58.8 %へと 11.7 ポイント増加した。クラスの5割 強の生徒が英文を言えたことになる。これはワ ークシートを工夫したことにより、文構造のパ ターンに沿って別の語句に入れ替えて言い合 うインターアクションの活動スムーズになさ れた効果だと考察する。 質問5「学んでいる単元の文法を用いて、英 文を作って書くことができますか」(図9)で は、「当てはまる」が 8.8%から 14.7%へと増 えたが、逆に「どちらかといえば当てはまる」 が 3 ポイント減り、「どちらかといえば当ては まらない」が 11.8 ポイント増えた。結果的に 「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」 の合計では、55.9%から 58.8%へと若干増えた。 インプット=インターアクションモデルを 取り入れた授業展開を通して、「教科書の本文 が読める」、「英文を作って言える」、「英文を作って書ける」の割合が、全体としてやや増加し、 このモデルの効果が検証された。

Ⅳ 成果と課題

1 成果 (1) 本研究のインプット=インターアクションモデルを通して、生徒に英語を使って関わりを持たせる 中、自分の英語が相手に通じたときの楽しさを多くの生徒が体験できた。 (2) インプット=インターアクションモデルを通して、英語に多く触れさせ、生徒同士で関わりを持 たせることにより、基礎的・基本的な知識・技能の習得が図られた。 2 課題 (1) 本研究のモデルを用いた授業が短期間であったこと、授業の流れや活動内容に関して周知が不十 分で、生徒の中には戸惑いが見られたことから、授業の流れを定着させ長期的に検証していく必要 がある。 (2) 生徒の反応を待ったり、つぶやきを聞いたりするゆとりと生徒の実態に応じた活動量を見極める 必要がある。

(11)

- 11 - 〈主な参考文献〉 『中学校学習指導要領解説 外国編』文部科学省 『新学習指導要領にもとづく英語科教育法』望月昭彦(2010) 編著 大修館書店 『英語教師のための第二言語習得論入門』白井恭弘(2012) 大修館書店 『外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か』白井恭弘(2008) 岩波書店 『英語語彙の指導マニュアル』望月正道、相澤一美、塔野由紀夫(2003) 大修館書店 『現代英語教授法総覧』田崎清忠 責任編集者 『動機づけを高める英語指導ストラテジー35』ゾルダン・ドルニェイ著 米山朝二、関昭典訳 『新しい英文法指導アイデアワーク』佐藤一嘉 編著

参照

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