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「スマートインターチェンジの整備が周辺地価に与える影響について -距離・土地の用途地域・供用後経過年数から見た考察-」

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スマートインターチェンジ

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周辺地価

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供用後経過年数

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< < < <要旨要旨要旨要旨>>> > 既存の高速道路ネットワークの有効活用による高速道路の利便性向上や地域の活性化、 物流の効率化を図るため、全国でスマートインターチェンジ(SIC)が整備されている。SIC はETC専用のインターチェンジであり、平成18年度より本格導入されている。SICの整備 により、一般道の渋滞が解消したことによる移動時間の短縮効果、観光地への来訪客の増 加や企業・商業施設が集積したことによる地域の活性化という効果が現れている自治体も 存在する。 本研究では、SIC の整備がSIC周辺の地価にどのような影響を及ぼしているかについて、 距離・土地の用途規制・供用後の経過年数に着目し実証分析を行った。その結果、SIC の整 備は地価を押し上げる効果があることが明らかになった。また、工業系用途地域であれば、 住居系用途地域と比較すると SIC に近付くほど地価が上昇する傾向があるが、商業系用途 地域では遠ざかるほど地価が上がる傾向があること、供用後の経過年数に応じて SIC の整 備効果も大きくなることも明らかになった。

2013 年(平成 25 年)2 月

政策研究大学院大学

まちづくりプログラム

MJU12623

山本

(2)

2

目次

目次

目次

目次

1. 1. 1. 1. はじめにはじめにはじめにはじめに ... 3 2. 2. 2.

2. SICSICSICSIC制度導入制度導入制度導入制度導入のの背景及のの背景及背景及び背景及びびび概要概要概要概要 ... 5 2.1

2.12.1

2.1 SICSICSICSIC制度制度制度制度ののの概要の概要概要概要 ... 5 2.2

2.22.2

2.2 SICSICSICSIC整備整備整備整備によりにより生によりにより生生生じるじるじるじる事象事象事象事象 ... 7 3.

3. 3.

3. SICSICSICSICのののの整備整備整備整備にに関にに関関する関するする問題意識する問題意識問題意識問題意識 ... 9 3.1 3.13.1 3.1 問題意識問題意識問題意識問題意識 ... 9 3.2 3.23.2 3.2 仮説仮説仮説仮説 ... 10 4. 4. 4.

4. SICSICSICSICのののの整備整備整備整備ががががSICSICSICSIC周辺周辺周辺周辺のの地価のの地価地価地価ににに与に与与与えるえる影響えるえる影響影響影響についてのについてのについてのについての実証分析実証分析実証分析実証分析 ... 11 4.1 4.14.1 4.1 実証分析実証分析実証分析実証分析ののの対象の対象対象対象... 11 4.2 4.24.2 4.2 推計推計推計推計モデルモデルモデルモデル ... 13 4.3 4.34.3 4.3 使用使用使用する使用するするするデータデータについてのデータデータについてのについてのについての説明説明説明説明 ... 13 5. 5. 5. 5. 推計結果及推計結果及び推計結果及推計結果及びび考察び考察考察考察 ... 16 5.1 5.15.1 5.1 推計結果推計結果推計結果推計結果 ... 16 5.2 5.25.2 5.2 考察考察考察考察 ... 17 6. 6. 6. 6. 政策提言政策提言政策提言政策提言 ... 19 7. 7. 7. 7. おわりにおわりにおわりにおわりに ... 20

(3)

3 1. 1. 1. 1. はじめにはじめに はじめにはじめに ETC 専用のインターチェンジ(以下、IC とする)であるスマートインターチェンジ(以下、 SIC とする)は、高速道路の利用を通じて「高速道路通行者及び利用者の利便性の向上」「地 域の活性化」「物流の効率化」等に寄与することを目的として整備されている。高速自動車 国道法にもあるように、高速道路は「全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、 政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するもの 1 」であり、地域の発展等、社会・経済 活動に与える影響が大きい。高速道路の更なる有効活用と利便性の向上、地域活性化に寄 与するものとして、先述したSICが平成18年より全国で本格導入されている。平成23年 度末時点では 57 箇所の SIC が供用されている。 このように SIC の整備は全国的に進められつつある。SIC の整備によって、隣接する IC 周辺の渋滞が解消した、観光地へのアクセス性が向上し地域の魅力が上昇した、商業施設 が開業し地域経済のポテンシャルが上昇した等、自治体によっては制度要綱の掲げる目的 を達成した箇所 2 もあると思われる。そこで、SIC 制度趣旨の達成を測る指標とするべく、 SIC の整備が地域に与える効果は地価に帰着すると考えたうえ 3 で、SIC 周辺 4 の地価を分析 対象とすることにした。この分析により、現時点における SIC 整備に関する課題を抽出し た上で、その解決策を探ることができる点に本稿においての研究意義があると考えた。 実証分析を進める上で、SIC の整備によって高速道路への距離が短縮しアクセスが容易と なる点を踏まえ、この影響は地価に及ぶが土地の用途地域によってその程度が異なるとい った仮説を立てた。理由として、SIC 整備により生じる便益と混雑や大気汚染に代表される 外部不経済による受け取り方の差異が土地の用途規制によっても異なり、このことが地価 にも反映されると想定した。また、SIC の整備後に近隣の自治体において商業地や工業地が 集積した事例 5 を踏まえ、整備効果は年々大きくなりこのことも地価に反映されているので はないかとの仮説も立てた。

以上の仮説に基づき、SIC の整備が SIC の周囲に与えた影響を検証するべく、SIC の周囲 3km 圏内の都道府県地価調査価格を被説明変数として、SIC からの距離、土地の用途規制、 供用後の経過年数を始めとした説明変数を用いてSIC の整備が SIC周辺の地価に及ぼす影 響についての実証分析を行った。SIC の整備に関する政策の複数年にわたる評価を行う関係 上、1999 年から 2012 年までの期間について各年度に対応した変数を用いた上でパネルデー タを構築した。分析結果より、SIC の整備は SIC 周辺の地価を上昇させる傾向があり、それ は供用後の経過年数に応じて大きくなることが明らかとなった。また、土地の用途地域別 1 高速自動車国道法第4条から一部抜粋 2 関東地方整備局のHPでは関東地方のSICを紹介している 3 資本化仮説に基づく見解であるが詳細については第3章に譲る 4 後述する実証分析の通り、本稿では「SICから3km圏内」を「SIC周辺」と定義する IC間の距離が平均して10kmであることを前提に入れ、SICがその中間地点に整備されたと仮定した場合、SICの 整備効果を測る際に、SICを中心として3kmまでの距離にある地価調査地点は供用後に高速道路までのアクセスが 概ね変化する。このことから3kmまでをSICの効果が及ぶ範囲と仮定し、それに基づきデータを収集した。 5 東名高速 遠州豊田 SIC(供用開始時期:平成 19 年 4 月)については、SIC の整備とともに周辺の土地区画整理が進め られ、企業の集積が進むとともに、平成 21 年 6 月に大型商業施設が開業し、結果として計画交通量を上回る SIC の利 用が確認された。(国土交通省道路局 HP 道路施策概要)

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4 の分析によっても、工業系用途地域については住宅系用途地域と比べると、SIC に近付くほ ど地価の上昇傾向が見られるが、商業系用途地域については SIC から離れるほど地価が上 昇する傾向があるといった現象が起きていることが明らかになった。 以上の分析結果より、SIC の整備によって SIC 周辺の地価が上昇する傾向が示されたこと から、SIC 整備には地域における純便益を高める効果があることが明らかになった。換言す れば、SIC の制度趣旨が達成されていると説明することも可能であると考える。土地の用途 規制によって地価の上昇傾向が異なる点については、外部不経済対策の重要性及び SIC の 整備には周辺の用途にも十分配慮すべきであるという点を示唆する結果だと考えられるた め、今後の SIC 整備方針を検討する上で注目すべき分析結果であると理解した。供用後の 経過年数に応じて地価が上昇する効果が大きくなるという分析結果については、施設の建 設及び集積が SIC 整備後に進んでいく実態と親和性を持つと理解した。 以上の結果を踏まえ、次の 2 点についての政策提言を示した。1 点目は、秩序ある開発を 促し、SIC の整備が周辺地域にもたらす効果をより大きなものとするために、都市計画決定 の見直しといった SIC 整備に併せた土地の利用規制に関する提言である。2 点目は、SIC 制 度実施要綱の改正に関する提言である。分析結果より、SIC の整備効果をより大きくするに は渋滞や大気汚染に代表される外部不経済対策が重要な要素であることが示唆されたが、 これに対処すべく、SIC 制度実施要綱で規定される検討・調整課題として、SIC 整備に伴う 流入交通量を勘案した交通対策といった項目を新たに追加し、外部不経済対策を SIC の整備検 討段階から行う必要があると考えた。 なお、先行研究についてだが、SIC 導入に先駆けた社会実験に関する考察が多くを占める。 SIC の整備効果について SIC 周辺の地価を用いて分析を行った先行研究については、社会実 験時・本格導入後ともに見受けられなかった。 廣瀬(2008)、齋藤(2008)では、社会実験により確認された整備効果を具体的な事例を交 えた上で紹介し、SIC が整備される以前は、高速道路における IC 付近の慢性的な渋滞や IC に接続する道路でも渋滞が発生し、住民の社会生活にもそれらが影響を及ぼしていたが、 SIC の社会実験により確認された整備効果を具体的な事例を交えた上で紹介 6 し、SIC の整備 によって上記の問題が解消されたことを例に挙げ、高速道路までのアクセス性向上・物流 の効率化・地域活性化という制度目標が達成されているとしている。一方、今後の課題と して、SIC 周辺の道路については市町村道の改良計画等との調整を図るといった改善の必要 性があると指摘している。濱谷他(2005)では、SIC の利用形態には誘発利用型と転換利用型 がある 7 としてそれはSICの立地にも関連すること、特に都市近隣にSICが整備された場合 は、IC及びそのアクセス道路の回避目的としてSICが利用される場合が多い点を社会実験 の結果を踏まえ分析を行っている。松川他(2010)は平成 21 年時点で供用中及び事業中の SIC 6 齋藤(2008)では、那須高原地域に向かう観光客が那須ICに集中していた点が渋滞の主要な要因であるとし、那須高 原SICの整備後は利用ICの分散が図られ、本文中の問題は概ね解消したとする。 7 「誘発利用型」は従前に高速道路を利用していなかった交通が新たに高速道路を利用する形態、「転換利用型」は従 前から高速道路を利用していた交通が利用するICを変更する形態を意味する 濱谷他(2005)

(5)

5 を対象とし、現行の SIC 周辺の土地利用規制の特性や規制誘導方策には不透明な部分が多 いとして、それらの課題に対しての規制誘導方策を考察するとともに、各自治体における 実際の取り組みを紹介している。その上で、自治体においては SIC 開設時の規制誘導方策 の必要性に関する問題意識が低い点を指摘 8 している。 本稿の構成については以下の通りである。 第 2章ではSIC導入の背景、制度概要及びSIC整備によるメリット・デメリットについ て整理する。第3章では SICの整備がSIC周辺の地価に与える影響についての問題意識及 び仮説を提起し、第 4 章で仮説検証のための実証分析を行う。実証分析の結果及びそれに 基づいた考察を第5章で行った後、それを踏まえた政策提言を第 6章で行う。第7章では 今後の課題について整理し、稿を閉じる。

2.

2.

2.

2.

SIC

SIC

SIC

SIC

制度

制度

制度

制度 導入

導入

導入

導入の

の 背景及

背景及

背景及

背景及び

び 概要

概要

概要

概要

日本の高速道路 9 の実延長は現在7922.9kmに及ぶ 10 が、平均IC 間隔が約 10km と欧米諸国 と比べ約 2 倍長く 11 、また高速道路が域内を通過していても、IC が設置されていないことを 理由に、通過されるのみになっている市町村が存在する。これは高速道路本線及び IC 付近 での慢性的な渋滞、IC を降りてから一般道に合流してからの渋滞といった様々な問題を引 き起こす要因となっている。また、地方圏では、災害時に高速道路を緊急輸送道路として 利用しようとしても、近くに IC が存在しないことを理由として、被災地域にきめ細かくア クセスするまでには時間がかかること、救急搬送を行う場合でも既存の IC 経由では搬送に かかる時間が長くなってしまうという問題があることがかねてより指摘 12 されていた。 このような問題を長らく指摘されながらも、なぜ IC の追加整備といった対策が講じられ なかった地域があるのか。その理由については以下の通りである。 高速道路へのアクセス性を高め利便性を向上させるための追加 IC 整備に関しては、コス ト面を十分考慮する必要があるが、整備に必要なコストこそ、対策が講じてこられなかっ た大きな理由である。すなわち、追加 IC整備には新たな用地取得コストや IC の建設コス ト、料金徴収を実施するための人件費といった管理コストが必須となり、これが追加 IC と いう手法を選択し得ない地域が存在する理由となっていた。 ここで、1 つの対策手法として注目されたのが本稿で取り上げる SIC である。 2.1 2.1 2.1

2.1 SICSICSICSIC制度制度制度制度のののの概要概要概要 概要

ここでは、稿を進めるにあたり、SIC とはどのようなものかについて詳述する。制度の概 要及び整備による効果について整理することで、次章で述べる SIC 整備にかかる問題意識 8 インフラ整備は土地利用と一体的に検討されるべきであり、SICの場合も例外ではないとする 松川他(2010)60頁 9 高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)第2条第2項に規定する高速道路 10 国土交通省道路局「道路統計年報2012」より 11 ただし、日本と欧米諸国では高速道路の料金水準が異なる点を考慮する必要がある 12 廣瀬(2008)

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6 についての理解の助けとなると考える。

2.12.12.12.1.1.1.1 .1 SICSICSICSICについてについてについてについて

SIC とは ETC 専用の高速道路出入り口である 13 。ETC 専用であ ることから料金収受員の常駐が不要となり管理コストの大幅 な低減が可能になることや、施設そのものがコンパクト化して いるので用地取得・建設コストについても低減できるといった、 IC と比べて低コストで導入可能といった特徴を有する。 上記の特徴及びETC普及率及び利用率 14 の高まりを受け、平 成16年度より本格導入に向けた社会実験が実施され、その実 績を踏まえ制度実施要綱を策定するとともに SIC が本格導入 されることになった。高速道路の利用による利便性の向上・地 域の活性化・物流の効率化等に寄与することを目的として SIC が整備されていることが当該要綱で謳われていることは冒頭 で紹介した通りである。なお、現時点で供用済みの SIC は 63 箇所 15 となっている。 図2:SIC 供用中箇所一覧 (国土交通省道路局HP より) 13 スマートインターチェンジ制度実施要綱 第2 定義(1)より 14 利用率については、平成24年12月時点の速報値で87.9% 社会実験開始時の平成16年10月時点での同値は21.7% 15 国土交通省道路局HPより 最新の供用箇所は栄SIC(平成24年7月14日供用開始) 図1:SIC 供用箇所数

(7)

7 2.1

2.1 2.1

2.1.2.2.2 .2 SICSICSICSICの形式及ののの形式及形式及形式及びびび特徴び特徴特徴特徴

現在導入されている SIC には 2 つの型式 16

がある。

図3:SIC の型式について (国土交通省道路局HP を基に筆者作成)

SA・PA 型については、文字通り既存の SA・PA を介して一般道路と接続する形式の SIC で ある。既存の一般道路を活用することが可能なこと、SA・PA から高速道路本線に至るまで に既に加減速車線が設けられているため SIC 整備にかかるコストが IC 整備と比べると大き く削減できる点が特徴である。ただし、SA・PA が無ければこの型式を選択することができ ない。また、SA・PA の立地個所に大きく依存する関係上、市街地へ至る主要な国道・県道 までのアクセス距離が長くなってしまうという傾向を有する。 本線直結型については、高速道路本線の加減速車線を設ける必要がある点や一般道路か ら高速道路までのアクセスするための用地が追加的に必要になる可能性がある等、SA・PA 型と比較して整備に必要なコストは大きくなる。ただし、IC 整備と比べると、建設コスト・ 管理コストの両面で低減化が図れる。また、SA・PA 型と異なり整備地を選択する際の制約 がないため、主要な国道・県道までのアクセス距離が短くなる傾向がある。 現時点におけるSICの多くは SA・PA 型である 17 が、本線直結型についても今後供用数が 増えていくことが予想される。 2 2 2

2....2222 SICSICSICSIC整備により整備整備整備によりによりにより生生生じる生じるじる事象じる事象事象事象

本稿において、SIC の整備が地価に与える影響を実証分析するにあたって、SIC 整備が SIC 周辺の地域に及ぼす具体的な影響について理解しておく必要がある。SIC 整備によってメリ ットばかり生じるというわけでは無い。したがって、本章では、SIC 整備から生じる事象を メリットとデメリットに分類する必要があり、以下それらについて述べる。 16 制度導入当初はSA・PA型のみであったが、平成21年度より本線直結型も供用されている 17 平成23年度末時点では、SA・PA型が54箇所、本線直結型は3箇所

(8)

8 2.2.22.2.22.1 SIC2.1 SIC.1 SIC.1 SIC整備による整備整備整備によるによるメリットによるメリットメリットメリット

SIC 制度実施要綱に掲げられている制度趣旨については当然ながらこちらに分類される。 「高速道路の通行者及び利用者の利便性向上」という項目からは、走行時間の減少・燃料 費の減少・交通事故の減少という便益を引き出すことが可能である。これは国土交通省の 道路プロジェクトに関する費用便益分析における費用の評価項目そのものであり、SIC 整備 により発生する直接効果 18 であるといえる。 「地域の活性化」という項目から、産業の振興・雇用の創出・人口の増加といった便益 を引き出すことが可能である。これらは SIC 整備によって生じる間接効果 19 といえる。その 他にも、高速道路本線及び IC 周辺の渋滞緩和に寄与するという効果も期待できる。高速道 路へのアクセス地点が多くなれば利用者にとっても選択肢が増えるため、利用 IC の分散も 期待できる。前章で述べた、今までは高速道路に素通りされてきた市町村にも SIC が整備 されることで高速道路へのアクセス性が向上し、災害時・緊急搬送時においても高速道路 利用が選択肢の一つとして提供されたことで、SIC 整備が地域のポテンシャル向上に貢献す る効果もあると評価できると考えられる。

2.2.2.2.222.22.2.2 .2 SICSICSICSIC整備整備整備整備によるによるによるデメリットによるデメリットデメリットデメリット

整備によるメリットだけではなくデメリットも考慮すべきということは前に述べた。こ こで最も忘れてはならないことは、SIC 整備には当然コストがかかるということである。SIC 整備により生じると想定される便益が高くともそれを超える費用が発生するのであれば、 SIC 整備という選択肢は選びえない。SA・PA 型と本線直結型で整備コストが異なるという 点も前述の通りである。 また、SIC 整備により、SIC 周辺において新たな問題が発生する可能性もある。交通量の 増加に起因する問題、すなわち大気汚染や振動・騒音、渋滞・混雑といった問題である。 これらは経済学の定義に依ると負の外部性 20 、外部不経済であると説明できるであろう。直 接の取引関係にない道路利用者と SIC 周辺の住民について、道路利用者がこれらの住民に 与えるこれらの問題は外部不経済が顕在化したものに他ならない。IC 建設に反対する住民 らが主張する反対理由もこの外部不経済に起因するものであるといえる。 これらの外部不経済による損失については、SIC からの距離によっても程度が異なると考 えられる。すなわち、SIC の間近であれば、渋滞や混雑、大量の車両から発せられる騒音や 排気ガスによる影響が大きいと考えられるが、SIC からの距離が離れれば、高速道路を降り た車も分散して各自の目的地へ向かうため、その影響が減ぜられると想定されるからであ る。また、SIC 周辺の土地に関する用途地域の種類によってもその程度が異なる可能性があ る。この点については先述した距離の問題と同じく次章で詳述するため、ここでは紹介程 度に留める。 18 道路の利用者に直接発生する効果のこと 竹内(2008)185頁参照 19 道路利用者に発生した効果から二次的に波及する効果のこと 同上 20 市場取引を通じないで他者にもたらす不利益のこと 福井(2007)7頁参照

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9 SIC については、それが高速道路本線の整備当初に想定していない場所における交通結節 点であることに加え、SIC の整備により期待する効果についても自治体毎の違いが想定され る等、土地利用規制の方策に問題を残しているという指摘 21 も検討するべき課題である。 3 3 3

3.... SICSICSICSICのののの整備整備に整備整備ににに関関関する関するする問題意識する問題意識問題意識問題意識

本章では、実証分析に入る前段階として、SIC 整備に関連する問題意識及び分析で明らか にしたい仮説について説明を加える。 3333.1.1.1 .1 問題意識問題意識 問題意識問題意識 SIC が本格導入されたのは平成 18 年度からであり、本稿執筆時点(平成 24 年度)で供用済 み箇所数は 63 に達する。供用後経過年数の内訳は様々ではあるが、最も長いもので本格導 入後 6 年(社会実験から換算すれば 8 年)が経過した SIC もあり、SIC 周辺を取り巻く環境も 変化してきているものと考えられる。 ここで考えられるのが、SIC 実施要綱の掲げる SIC 整備にかかる趣旨は達成できているの か、SIC を整備した地域にどのような変化が生じているかという点である。 地方政府の活動がもたらす、全てのメリット・デメリットは地代・地価に反映され、土 地所有者に帰着されるという資本化仮説 22 に立脚するのであれば、SIC の整備によるメリッ ト・デメリットも地価に反映されるものと理解される。そうであるならば、本研究で SIC 周辺の地価を分析することで、SIC 整備に関する現時点での問題点を顕在化することもでき ると考えられる。本稿における問題意識及び本研究の主眼もここにある。 さらに、対象となる土地の用途地域によってもその影響は異なってくるのではないか。 前章でも述べたように、SIC 整備にはメリットとデメリットの両方の効果がある。SIC 整備 後の距離変化のみに注目するだけで良いのか、というのがここでの着想の原点である。 すなわち、用途地域を便宜上 3 種に分類した場合、住居系用途地域 23 ・工業系用途地域 24 ・ 商業系用途地域 25 のそれぞれで土地の用途や利用現況も異なること、さらに高速道路を利用 する頻度についても差異があると想定されるため、SIC 整備により生じる影響についても自 ずと異なってくるのではないだろうか。 例えば、工業系用途地域に立地する工場については、高速道路は職務遂行上、毎日利用 21 松川他(2010)57頁 なお、この点については第6章 政策提言の項でも扱う 22 金本(1997)では、地方公共財の限界便益が全て地価に帰着するための主要な仮定として、(1)開放地域(2)小地域(3) 同質性(4)自由参入(5)歪みのない価格体系の 5 つを充足する必要があるとする。 上記の仮定を充足しない場合、金本(1992)では、ヘドニック推定値は便益を過大もしくは過少評価する傾向があり、 その正確性は一般に保証されないとする。しかし、ヘドニック・アプローチは通常の便益推定法が適用されない非市 場財の便益を推定しようとするものであるから、ごく大雑把な推定ができるだけでも非常に有益であり、問題点を理 解した上で適切に利用することがプロジェクト評価の大きな助けになるとする。 23 第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域 24 準工業地域・工業地域・工業専用地域 25 近隣商業地域・商業地域

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10 することが想定されるため、物流の関係上 SIC に近い方がメリットを得ると考えられる。 経済産業省の「工業立地動向調査 立地地点選定理由」に関する調査 26 によれば、事業者が 企業の立地地点を選定する理由の上位 3 つは、用地面積が確保されること、高速道路を利 用できること、工業団地であるという順番となっている。SIC が近くにあるということは、 そのうち、高速道路が利用できることと工業団地が形成できるといった 2 点と強い親和性 を持ち、この調査結果からも、工業系用途地域であれば SIC に近いということは立地選択 の上での強いインセンティブとなることが示されている。 一方、住居系用途地域については、高速道路の利用頻度も工業系用途地域とは異なると 想定されるため、SIC が近いという事について工業系用途地域ほどは便益を受けない一方、 住居が日常生活の場である関係上、混雑や騒音といった外部不経済についてはその影響を 大きく受けると想定し得ないだろうか。このことについても以下の通り仮説を組み立てる。 3333.2.2.2 .2 仮説仮説 仮説仮説 上記の問題意識に基づき本研究に関する仮説を以下の通り導いた。仮説の構成について は便宜上、以下の 3 段階に分けて説明した上で、最終的な仮説を定立する。 仮説 仮説仮説

仮説1111 SICSICSICSICの整備ののの整備整備により整備によりによりにより交通交通交通の交通の利便性のの利便性利便性利便性ががが向上が向上向上した向上した点したした点点に点にに着目に着目着目着目したものしたものしたものしたもの

SIC の整備により、高速道路を利用した交通の利便性が向上し、地域のポテンシャルの底 上げが実現できるなどの当該地域における経済的な便益が高まる可能性がある。 しかし、SIC の整備に伴い、当該地域に大気汚染や渋滞・混雑といった外部不経済が発生 する可能性もある。その程度は SIC に近付くほど大きくなると考えられる。 以上より、SIC の整備が地価に与える影響については、上記の便益と外部不経済の程度を 総合衡量することで決せられると考えられる。

仮説仮説仮説仮説2222 SICSICSICSICのの整備のの整備が整備整備ががが地価地価地価地価ににに与に与与える与える影響えるえる影響影響影響ははは用途地域は用途地域用途地域・用途地域・・土地・土地の土地土地ののの利用現況利用現況利用現況利用現況でで異でで異異異なるかなるかなるか なるか

SIC 整備により生じる便益及び外部不経済の程度については、対象となる土地の用途地域 の種類によっても異なるのではないか。 例えば、用途地域を前述の 3 種に分類した場合、工業系用途地域であれば、外部不経済 の程度が大きくとも、SIC に近い方が立地面等で得る便益が高いため SIC に近付くほど地価 は上がる傾向にあるのではないか。 一方、住居系用途地域については SIC に近ければ外部不経済の程度が大きくなり、しか も SIC の近くで得る便益は工業系用途地域ほど高くないと想定されるため、両者を総合衡 量した結果、一定程度まで SIC から離れた方が衡量後の便益が高くなるのではないか。住 居地と商業地とは相互に密接な関係であることが想定されるため、商業系用途地域につい ても住居系用途地域と同じような傾向を示すのではないか。 26 経済産業省「工場立地動向調査 立地地点選定理由(都道府県別)」H9~H19

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11 仮説仮説仮説仮説3333 SICSICSICSICの供用後経過年数ののの供用後経過年数供用後経過年数に供用後経過年数ににに着目着目着目着目したものしたものしたものしたもの

企業・商業施設の誘致は SIC が供用された段階で必ずしも実現されているとは言い難い こともあり、またそれらは長期的なスパンで行われる可能性もある。さらに施設の集積や 建設にも一定程度時間を要することから、SIC 供用後の経過年数も地価に対して影響を及ぼ すものであると想定される。 最終的 最終的最終的 最終的なななな仮説設定仮説設定仮説設定仮説設定 以上3つの仮説をまとめると次の通りとなる。次章以降ではこの仮説に対する実証分析 を中心として稿を進める。 (1)SIC の整備により、高速道路までのアクセス性が向上するといった距離の面での交通 利便性が向上する。それが地価に与える影響については便益と外部不経済の程度の総合衡 量で決せられる。 (2)SICの整備による影響を土地の用途地域別で見た場合、工業系用途地域では SICの近 くを、住居系・商業系用途地域では SIC から離れた地域をそれぞれ選択し、それが地価に 反映されているのではないか。 (3)SIC の整備による地価への影響については、供用後の経過年数に応じて大きくなるの ではないか。 4 4 4

4.. .. SICSICSICSICのの整備のの整備整備が整備がががSICSICSICSIC周辺周辺の周辺周辺ののの地価地価地価地価ににに与に与える与与えるえるえる影響影響影響影響についてのについてのについてのについての実証分析実証分析実証分析実証分析

本章においては前章で提起した問題意識・仮説に基づき実証分析を行う。すなわち、資 本化仮説に基づいたうえで、ヘドニック・アプローチを用いて地価関数を推定することに より SIC の整備が SIC 周辺の地価に及ぼす影響について分析する。 4444.1.1.1 .1 実証分析の実証分析実証分析実証分析のの対象の対象対象 対象 本稿では、平成 23 年度末時点で供用済みである 57 箇所の SIC から、各 SIC より 3km 圏 内までの都道府県地価調査地点における価格を分析対象とした。地価調査価格をはじめと する土地に関する情報の収集については、国土交通省土地総合情報システムを利用した。 距離については、地価調査地点と SIC 設置箇所の座標情報を国土交通省国土政策局国土情 報課 国土数値情報ダウンロードサービスから取得し ArcGIS 27 を用いて計測した。 なお、SIC の供用時期に差異があること、SIC の整備と供用後の経過年数との関係も分析対 象としている関係上、パネルデータを用いた分析を行うため、対象期間については 1999 年 から 2012 年までと設定した。 本分析において、対象とする地価として都道府県地価調査価格を用いた理由は、SIC 周囲

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12 3km 圏内の対象地点が公示地価と比して多かったことを理由とする。ただし、都道府県地価 調査の対象地点が周囲3km 圏内に無かった SICも存在したため、最終的に分析対象となっ た SIC は 54 箇所、調査地点総数 227 であり、観測数は 2961 となった。 図4で分析対象のイメージを示す。■は SIC、●は IC、▲は都道府県地価調査地点を表 す。SICを中心として、1km刻みで円を描いている。SICを中心とした半径3km圏内に都道 府県地価調査地点が 9 箇所存在する。複数の地点については、SIC 供用後は高速道路にアク セスするまでの距離に短縮が見られる。 図4で例としてあげた双葉SIC(平成18年に本格導入)は山梨県甲斐市の中央自動車道に あるSA・PA型のSICである。SICの供用以前は、高速道路に並行する国道が渋滞していた が、SIC を利用することで付近の大型住宅団地から市街地への通勤の移動時間が短縮・安定 したとの効果が出ている 28 。また、SIC 周辺では商業施設・工業施設の集積が見られ、SIC 整備による開発支援への期待が高められている。 図4:分析対象イメージ図(ArcGIS を用いて筆者作成) 双葉 SIC(山梨県甲斐市) 28 関東地方整備局HP 甲斐市HP

(13)

13 4444.2.2.2 .2 推計推計モデル推計推計モデルモデルモデル 1999 年から 2012 年までの各年度におけるデータで構成されたパネルデータを用いて、固 定効果モデルによる回帰分析を行う。固定効果モデルを用いることで、対象地点毎に特有 であり、時間を通じて変化しない一定の効果(本分析では SIC の立地条件等)の影響を除去 した上で、SIC 整備の効果を抽出することが可能となる。 推計モデルは以下の通りである。 lnP lnP lnP lnPrtrtrtrt=β=β=β=β0000+β+β+β+β1111DiDiDiDirtrtrtrt+β+β+β+β2222DiDiDiDirtrtrtrt²²+β²²+β+β+β3333XXXXrtrtrtrt+β+β+β+β4444YDYDYDYDrtrtrtrt+β+β+β+β5555PDPDPDPDrtrtrtrt+β+β+β+β6666 SDSDSDSDrt _rt _rt _rt _DiDiDiDirtrtrtrt +β+β+β+β7 777SDSDSDSDrtrtrtrt ____DiDiDiDirtrtrtrt²+β²²²+β+β+β8888 DiDiDiDi____CCCC____SDSDSDSDrtrtrtrt +β +β +β

+β9999 DiDiDiDi____CCCC____SDSDSDSDrtrtrtrt²+β²²²+β+β+β10101010 DiDiDiDi____FFFF____SDSDSDSDrtrtrtrt +β+β+β+β11111111 Di_Di_ FDi_Di_FF_SDF_SD_SD_SDrtrtrtrt²+β²²²+β+β+β12121212 SDSDSDSD____PDPDPDPDrtrtrtrt ++δ++δδδrtrtrtrt +ε+++εεεrtrtrtrt

444.4..3.33 3 使用使用する使用使用するデータするするデータデータについてデータについてについてについてののの説明の説明説明説明 推計モデルで用いた各変数についての説明及び基本統計量は以下の通りである。なお、 各変数ともに r と t から成る添え字が付くが、r は都道府県地価調査地点、t は年度を意味 する。 4 44 4.3.1.3.1.3.1 .3.1 被説明変数被説明変数被説明変数被説明変数 推計モデルにおける被説明変数である lnP は、都道府県地価調査価格(円/㎡)の対数値 である。各調査地点毎に 1999 年から 2012 年までのデータを抽出した。 4 44 4.3.2.3.2.3.2 .3.2 説明変数説明変数説明変数説明変数 推計モデルにおける説明変数に関する説明は以下のとおりである。なお、各調査地点毎 に 1999 年から 2012 年までのデータを抽出している点は被説明変数と共通する。 SD は SIC 供用ダミーであり、SIC が供用された以降は 1、以前は 0 をとるダミー変数であ る。SIC が供用されたことが地価に与える影響を示す変数である。 Di は最寄 IC(SIC)までの距離を示す変数である。高速道路にアクセスするまでの距離が 地価に与える影響を示すものであるが、概ね SIC 供用後に値が変化する 29 。この値を 2 乗し たものが Di²である。

SD _Di は、SIC 供用ダミーと最寄 IC(SIC)までの距離の交差項であり、この変数は SIC 供 用によって距離が変化したことによる地価への影響を観察するための変数である。この値 を 2 乗したものが SD _Di²である。2 乗項を使用した理由については、二次関数を導出する ことで、SIC の整備効果が及ぶ範囲を測定するためである。1 乗項と 2 乗項の解を求めるこ とで距離に対して SIC の整備効果の及ぶ範囲及び地価への影響度合を測定可能となる。

Di_C_SDは、SIC供用ダミーと商業系用途地域ダミー及び最寄 IC(SIC)までの距離から成 る交差項である。供用ダミーと用途地域ダミー及び距離の交差項を用いることで、SIC 供用

(14)

14 後、高速道路にアクセスするまでの距離が変化したことが地価に与える影響が用途地域に よっても異なるかということを観察可能となる。ここでは、住居系用途地域と比べた場合 の商業系用途地域に及ぶ影響を示している。この値を2乗したものがDi_C_SD²である。同 様に、Di_F_SD は工業系用途地域を住居系用途地域と比較した場合に、SIC 供用後の距離の 変化が地価に与える影響を観察するための変数である。この値を2乗したものがDi_F_SD² である。 PD は、SIC 供用後経過年数ダミーである。SIC の供用後の経過年数と合致する場合のみ 1 を、それ以外では 0 をとる。経過年数については 1 年から 5 年までである。この変数と SIC 供用ダミーとの交差項である SD_PD により、SIC 供用後の経過年数が SIC 周辺地域に与える 影響を説明することが可能になると考える。 本稿における分析はヘドニック・アプローチによるものであるが、固定効果モデルを用 い る 場 合 、 時 間 を 通 じ て変 化 し な い 要 因 に つ い ては 変 数 に い れ る こ と が でき な い た め 地 積・容積率・建ぺい率・役場までの距離等を用いることは出来なかった。地価調査地点に よっては変化が見られた最寄駅までの距離、都市計画決定の有無を土地の属性に関する変 数 X として用いた。また、年度によるトレンドを除去するためのコントロール変数として 年度ダミーであるYDを用いた。δについては固定効果を、εは誤差項を示す変数である。 なお、各変数についての説明、予想される符号、出典については次に示す表の通りであ る。

(15)

15 表1:変数の説明 30 4 44 4.3.3.3.3.3.3 .3.3 基本統計量基本統計量基本統計量基本統計量 被説明変数、説明変数についての基本統計量は以下の表の通りである。 表2:基本統計量 ※年度ダミー、供用後経過年数ダミーについては省略 30 交差項については、ここでの説明は省略する   変  数 説明 予想される 符号 出典・ 作成方法 l n(都道府県地価調査価格) 都道府県地価調査の対数を用いた - A SIC供用ダミー SICが供用された以降は1 、以前は0 をとるダミー変数 正 C 最寄IC(SIC)までの距離(km) 地価調査地点から最寄IC(SIC)までの距離を示す変数 負 B 最寄駅までの距離(km) 地価調査地点から最寄駅までの距離を表す変数 負 A 都市計画決定ダミー 地価調査地点について、都市計画が決定されている 場合に1 、されていない場合に1 をとるダミー変数 正 A 工業系用途地域ダミー 地価調査地点が準工業地域・ 工業地域・ 工業専用地域のい ずれかである場合に1 、それ以外の場合は0 をとるダミー変数 - A 商業系用途地域ダミー 地価調査地点が近隣商業地域・ 商業地域のいずれかである 場合に1 、それ以外の場合は1 をとるダミー変数 - A 年度ダミー 1 9 9 9 年を基準とし、該当する年度の場合は1 、 それ以外の場合は0 をとるダミー変数 負 A 供用後経過年数ダミー SICが供用された年を基準とし、該当する経過年数の場合は 1 を、それ以外の場合は0 をとるダミー変数 正 C A:1999年~2012年  都道府県地価調査 B: 国土数値情報ダウンロードサービスから得たデータを基に ArcGISにより作成 C:国土交通省道路局HPより作成 変   数 観測数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 lnP(都道府県地価調査価格) 2 9 6 1 1 0 .7 1 4 7 0 .7 4 9 8 8 .5 5 6 4 1 2 .7 9 6 6 SIC供用ダミ ー 2 9 6 1 0 .3 7 2 8 0 .4 8 3 6 0 1 最寄IC (SIC)までの距離(km) 2 9 6 1 3 .3 9 8 4 1 .9 0 8 1 0 .3 6 1 1 .5 0 最寄IC (SIC)までの距離(km)の2乗項 2 9 6 1 1 5 .1 8 8 8 1 7 .1 2 4 9 0 .1 2 9 6 1 3 2 .2 5 SIC供用ダミ ー×最寄IC(SIC)までの距離 2 9 6 1 0 .7 1 2 3 1 .0 1 1 4 0 3 SIC供用ダミ ー×最寄IC(SIC)までの距離の2乗項 2 9 6 1 1 .5 2 9 9 2 .5 0 9 1 0 9 都市計画決定ダミー 2 9 6 1 0 .8 9 7 0 .3 0 4 0 1 最寄駅までの距離(km) 2 9 6 1 2 .3 6 5 5 2 .4 0 9 1 0 .0 0 1 1 1 .9 SIC供用ダミ ー×工業系用途地域ダミー ×最寄IC(SIC )までの距離 2 9 6 1 0 .0 3 8 6 0 .2 7 9 9 0 2 .9 9 0 SIC供用ダミ ー×商業系用途地域ダミー ×最寄IC(SIC )までの距離 2 9 6 1 0 .1 4 0 3 0 .5 3 5 8 0 3 SIC供用ダミ ー×工業系用途地域ダミー ×最寄IC(SIC )までの距離の2乗項 2 9 6 1 0 .0 7 9 8 0 .6 5 6 5 0 8 .9 0 4 1 SIC供用ダミ ー×商業系用途地域ダミー ×最寄IC(SIC )までの距離の2乗項 2 9 6 1 0 .3 0 6 7 0 .9 2 6 9 0 9

(16)

16 5 5 5 5... . 推計結果推計結果及推計結果推計結果及び及及びびび考察考察考察 考察 5 5 5 5.1.1.1 .1 推計結果推計結果 推計結果推計結果 推計結果については表3に示す通りである。 表3:推計結果 ***、**、* ***、**、****、**、* ***、**、* はそれぞれはそれぞれはそれぞれ 1はそれぞれ111 %、%、%、 5%、5 %、55%、%、%、 10101010 %%% の%の 水準のの水準水準 で水準でで 統計的で統計的統計的統計的 にに 有意にに有意有意有意 であることをであることをであることを 示であることを示示示 すすすす 5 55

5.1.1.1.1 .1.1.1.1 SICSICSICSICのの供用及のの供用及供用及びそ供用及びそびそびそのことのことのことのことにに伴にに伴伴伴うううう距離距離の距離距離のの変化の変化変化変化についてについてについて について

表 3 の推計結果のうち、SIC 供用ダミーを見ると、統計学上有意に正の係数が表れている。 ここから SIC の供用は地価を上昇させる傾向があることが実証分析上明らかとなった。

SIC供用後の距離の変化については、SIC 供用ダミーと最寄IC(SIC)までの距離の交差項 に着目する。ここでは負の係数が有意に表れていることから、SIC の供用後は SIC からの距 離が大きくなると地価が下がる傾向を示している。換言すれば、SIC に近付けば地価が上昇 する傾向にあるということであり、これは SIC に近いほど便益が高まっているということ を示しているといえる。 交差項ではない距離の係数については有意に正の係数が出ているがこの解釈については 考察の欄で詳しく述べる。距離に関連する変数について 2 乗項を用いたのは、SIC 供用後の

説明変数

係数

標準誤差

有意水準

SIC 供用ダミー

0 .1 2 4 0 0 .0 3 2 3 ***

最寄IC (SIC )までの距離

0 .0 2 9 8 0 .0 0 7 9 ***

最寄IC (SIC )までの距離の2乗

- 0 .0 0 3 2 0 .0 0 0 8 ***

SIC 供用ダミー×最寄IC (S IC )までの距離

- 0 .0 9 0 2 0 .0 3 2 3 ***

SIC 供用ダミー×最寄IC (S IC )までの距離の2乗

0 .0 2 0 3 0 .0 0 8 7 ***

都市計画ダミー

0 .0 4 0 9 0 .0 3 2 2

最寄駅までの距離

- 0 .0 5 5 4 0 .0 5 1 8

SIC 供用ダミー×商業系地域ダミー×距離

0 .0 3 9 4 0 .0 2 3 5 *

SIC 供用ダミー×工業系地域ダミー×距離

- 0 .1 0 8 6 0 .0 3 6 3 ***

SIC 供用ダミー×商業系地域ダミー×距離の2乗

- 0 .0 3 1 9 0 .0 0 9 7 ***

SIC 供用ダミー×工業系地域ダミー×距離の2乗

0 .0 3 7 3 0 .0 1 5 5 ***

SIC 供用ダミー×供用後1年経過ダミー

0 .0 0 1 4 0 .0 1 3 5

SIC 供用ダミー×供用後2年経過ダミー

0 .0 1 9 2 0 .0 1 1 9 *

SIC 供用ダミー×供用後3年経過ダミー

0 .0 1 5 4 0 .0 1 5 9

SIC 供用ダミー×供用後4年経過ダミー

0 .0 7 1 3 0 .0 1 7 0 ***

SIC 供用ダミー×供用後5年経過ダミー

0 .0 8 4 4 0 .0 1 9 9 ***

定数項

1 0 .9 1 0 6 0 .1 9 4 2 ***

被説明変数:都道府県地価調査価格(対数値)

年度ダミー                                                   (省略)

観測数                       2961

自由度調整済み決定係数  0.7341

(17)

17 距離の変化がどの範囲まで及ぶかを考察するものであり、この点についても説明は後に譲 る。 5 55 5.1.2.1.2 .1.2.1.2 用途地域別用途地域別用途地域別用途地域別でででで見見た見見たたたSSICSSICICIC供用後供用後供用後供用後のののの距離距離の距離距離ののの変化変化変化変化についてについてについて について 表 3 の推計結果のうち、SIC ダミー×用途地域ダミー×IC(SIC)までの距離の変数(1 乗 項・2 乗項)に着目する。住居系用途地域を基準として、商業系・工業系における係数の差 異を観察するが、結果として統計学上有意に、商業系については正、工業系については負 の係数が表れた。つまり、商業系用途地域においては符号が正であることから、SIC から 1km 離れるほど住居系用途地域と比較すると地価が上昇する傾向を、工業系用途地域におい ては符号が負であることから、SIC に 1km 近づくほど住居系用途地域と比較すると地価が上 昇する傾向が分析結果によって示されている。両者の符号の異なる理由については後ほど 考察の項目で詳述する。

55.1.355.1.3.1.3.1.3 SICSICSICSIC供用後供用後供用後供用後のの経過年数のの経過年数経過年数経過年数のののの変化変化変化変化についてについてについてについて

表 3 の推計結果のうち、SIC 供用ダミーと SIC 供用後経過年数の係数に着目する。ここか ら、供用後 2 年、4 年、5 年については統計学上有意に正の値が観察され、年数が経過する ほどその値は頑健になっていることが読み取れる。SIC の供用前と比べて、供用後の経過が 大きくなることにつれて周辺地価が上昇する傾向があるという分析結果が示された。一方、 供用後 1 年目、3 年目については有意な結果が出ていないため、当該年度における係数はあ くまでも参考程度に留めるべきだと理解している。 しかし、全体を通じてみると供用後経過年数が大きくなるにつれて係数も大きくなって いる点を推計結果が示している。したがって仮説と整合する。 5 5 5 5.2.2.2 .2 考察考察 考察考察 推計結果を踏まえて導かれる考察は以下の通りである。 5 55

5.2.1.2.1.2.1 .2.1 SICSICSICSICの供用及ののの供用及供用及びそのこと供用及びそのことびそのことびそのことにに伴にに伴伴伴うううう距離距離の距離距離ののの変化変化変化変化についてについてについて について

実証分析によって、SIC の供用が地価を上昇させる傾向があることが明らかとなった。こ のことは、SIC の制度趣旨で掲げられている、地域の活性化・高速道路の利用における利便 性向上・物流の効率化が実現されたためその効果が地方公共財の便益となり、最終的に地 価に帰着したと換言することが可能である。上記のどの要素が最も便益を高めたかという 点については、各自に対応する説明変数を用いておらず、かつ SIC 毎に差異があるため一 概に言い切ることは困難である。ただし、平成 23年度末時点で供用済みの SIC を俯瞰し、 SIC の整備効果があったかとの問いに対しては、分析結果を踏まえた上で首肯することに何 ら問題はないと考えている。 次に距離の変化についてだが、交差項でない距離の係数は有意に正となっていることは

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18 SICの整備前ではICまでの距離が近接することについては地価を上昇させる効果がなかっ たということを意味する。つまり、SIC 供用前については、高速道路にアクセスするには既 存のICを使うしかなく、その距離も平均で4.28km 31 であったが、ここからは高速道路に近 いという便益が生じていなかったためこのような推計結果が示されたと考えられる。 一方、SIC 供用後に距離との交差項の係数については有意に負となっていることからは、 高速道路へのアクセスの容易さ(SIC への近接)が地価を上昇させるという効果があること を如実に示していると理解した。SIC に近接すれば混雑・大気汚染等に代表される外部不経 済の程度も大きくなることが推察されるが、そうであっても SIC 供用により生じる純便益 が高いことが結果として示された。 なお、2 乗項を用いたのは、SIC の整備効果が距離としてどこまで及ぶかについて二次関 数を用いて明らかにしようとしたためである。

55.2.255.2.2.2.2.2.2 用途地域別用途地域別で用途地域別用途地域別ででで見見見見たたたたSICSICSICSIC供用後供用後供用後供用後のののの距離距離の距離距離ののの変化変化変化変化についてについてについて について

推計結果より、土地の用途地域別で SIC の整備が地価に与える影響の程度に違いがある 点が示された。住居系用途地域を基準とした場合、商業系用途地域は SIC から離れた方が、 工業系用途地域については近付く方が地価を上昇させる傾向がある結果が統計学上有意に 示された。これは何を意味するか。これこそ、仮説として提起した SIC の整備によって得 られる経済学上の便益と外部不経済の程度についての捉え方の差ではないだろうか。 つまり、高速道路を利用する頻度とアクセスの容易さ(近接)は密接に関連しており、頻 度が高ければ、アクセスの容易さから得る便益が高くなる傾向があり、結果として外部不 経済の程度が一定量存在したとしても純便益は高くなるといえる。これが工業系用途地域 における SIC の整備が地価に及ぼす影響を示すもの考えられる。 一方、商業系用途地域を始め、この中には住居系用途地域も入ると考えられるが、高速 道路の利用頻度が工業系と比して高くないと推察されるものについては、SIC への近接は工 業系用途地域ほど便益が増加しないのではないか。その反面、外部不経済の程度が同一で あれば、純便益は工業系用途地域と比べると少ないものになるだろう。これが SIC の近接 は商業系用途地域では地価の上昇を示さないという結果に対する理論根拠になるのではな いか。 以上より、SIC を整備する際には、周囲の土地の利用状況に配慮する必要性があるという ことについても推計結果から導くことができたと考えられる。前述の通り、SIC の整備によ り生じる純便益を高めるには外部不経済対策を適切に行う必要がある点は指摘したが、そ の外部不経済についても土地の用途地域によって受ける程度が異なる点も SIC 整備におけ る判断材料の一つとして検討する必要がある。推計結果によると、工業系用途地域につい ては、SIC に近い方が純便益が高くなる傾向を示すことから、もし外部不経済対策を現状以 上に行えないのであるならば、商業系用途地域の近くよりも工業系用途地域の近くに整備 31 推計モデルで用いたデータから抽出した (総合計距離 7953.2km サンプル総数 1857)

(19)

19 した方が整備効果は大きくなるという理解である。勿論、外部不経済対策をしなくとも良 いと言っているわけではない。あくまで SIC 整備による純便益を現状の下で最大化するの であればという想定に対しての一つの解であることは念頭に入れる必要がある。整備予定 地域の周辺の土地の利用状況はどのようなものか、この点についても十分配慮すべき必要 があることが推計結果から示唆された。

55.2.355.2.3.2.3.2.3 SICSICSICSIC供用後供用後供用後供用後のの経過年数のの経過年数経過年数経過年数のののの変化変化変化変化についてについてについてについて

推計結果より、SIC 供用後の経過年数に応じて地価が上昇する傾向 32 が示された。このこ とは、企業・商業施設等の誘致は長期的なスパンで行われる傾向があり、施設の建設や集 積にも一定程度の期間を要するため、供用後の経過年数に応じて地価が上昇するのではな いかという仮説が支持されたものと理解できる。 6 6 6 6.... 政策提言政策提言 政策提言政策提言 SIC の整備により SIC 周辺の地価を上昇させる効果が実証分析で明らかになったことから、 広域的な地域ポテンシャルの向上が SIC の整備により実現されたということができる。現 時点における分析では年々その効果は上昇していると出ているが、今後どのような推移を 見せるかは現段階ではわからない。ここから言えることは何か。 ここまで何度も指摘した通り、SIC 整備によるデメリットである大気汚染・騒音・混雑と いった外部不経済も地域の発展に伴い増加する恐れがある。SIC の整備にあたっては、整備 によるデメリットも生じるといった極当たり前の前提を再認識する必要がある。これらの 問題を低減させるための方策として、以下の提言を行う。 ( ( ( (111)1)) ) 土地土地土地の土地ののの利用規制利用規制に利用規制利用規制ににに関関関関するするするする提言提言提言 提言 分析結果から、都市計画区域内における用途地域によっても地価の上昇程度が異なるこ とが明らかになった。SIC を整備するにあたり、工業系用途地域と商業系用途地域のどちら に近付けた方がいいのか、という問いに対する答えは最早自明のものである。現在の実施 要綱の下では、地価の上昇度合を勘案すれば工業系用途地域となる。 用途地域が定められている(定められる)区域ではこの理論が当てはまるが、定められて いない区域ではこれは該当しない。SIC の整備効果が及ぶ範囲内では、市町村合併がなされ たが都市計画区域が旧態依然のままで開発に関しての制限が統一されていない地域もある 33 。このような場所では、SIC 整備後にどのような開発が行われるか想定し辛く、結果とし て SIC の整備効果が現れにくくなる可能性もある。 32 1 年目・3 年目については統計学上有意な数値でないことは前項で指摘済みである 33 市町村合併の例ではないが、線引きの都市計画区域と非線引きの都市計画の境界に位置する SIC 周辺では、都市計画 法上の規制格差にさらされた緩規制地域が存在し、SIC 開設により規制格差の問題が発生してしまうと懸念されてい る。 松川他(2010)60 頁参照

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20 したがって、SIC の整備に際しては、都市計画の見直しを図る等の土地の利用規制につい ても併せて検討すべきであるといえる。分析結果からは統計学上有意とはなっていないも のの、都市計画の有無・線引きの有無については制度の趣旨上、秩序ある開発を促す効果 があることから、SIC 周辺の地価を上昇させる傾向があると考えられる。松川他(2010)では、 SIC が線引き都市計画区域の教会領域に近いところに開設された場合、土地利用格差と SIC 開設によるポテンシャル格差が相俟って無秩序な市街化が促進される恐れがあるため、規 制格差を是正するための土地利用制度の再編が必要であると指摘されている。 ( ( (

(2222)))) SICSICSICSIC制度実施要綱の制度実施要綱制度実施要綱制度実施要綱ののの一部改正一部改正一部改正一部改正についてのについてのについてのについての提言提言提言提言 SIC の整備により生じる外部不経済の程度を減ら すことができれば、整備による純便益の増加につな がるため、結果として SIC 整備効果は大きくなる。 道路整備にかかる予算については、年々減少傾向 にあるため、SIC 整備後に一般道で発生してしまっ た渋滞・混雑に対し、速やかに抜本的な対応をする ということは困難である。したがって、SIC 整備に 伴い発生が見込まれる外部不経済の程度を想定した 上で、整備段階で対策を講じる必要性は高い。 SIC 制度実施要綱では、設置検討段階で、関係す る地方公共団体、会社、地方整備局等から構成され る地区協議会が設置され、そこでSICについての採 算性や社会的便益、管理方法等を検討・調整する必要がある。ここでは既存の IC 周辺の交 通事情や安全性が主な議論対象となっているが、「SIC 整備に伴う流入交通量を勘案した交 通対策」といった項目を新たに設けることを提案する。現状では、周辺道路の安全性につ いては検討事項となっているが、渋滞・混雑対策は検討・調整事由として列挙されていな い。この項目を新たに設けることで、SIC 設置の検討段階で外部不経済を考慮した場所選定 も行えるものと考える。ここでの議論を踏まえ、実施計画書が策定されるため、検討・調 整の対象とする意義は確実にあると考えられる。 7. 7. 7. 7. おわりにおわりにおわりにおわりに 今回の研究では、全国で整備が進められている SIC の整備効果はどのようなものであろ うかという素朴な疑問に対し、SIC 周辺の地価を用いて評価するという観点から分析を試み たものである。ヘドニック・アプローチに関しては先にも述べたが、環境価値の計測が地 価に正確に反映されるためには厳密な要件を必要とするため、実際のプロジェクト評価に 図 5:IC(SIC)の設置手続について (高速自動車国道法第 11 条の 2 より)

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21 適用した場合の正確性は一般には保障されないという指摘 34 もある。しかし、本稿における 実証分析によって、SIC の整備による商業・工業施設の集積や観光客の増加といった可視的 な効果が地価の上昇という形で反映されており、経済学的な視座からも地域の活性化の実 現を説明できたという点で本研究の意義も見いだせると考えている。 引き続き、今後の課題について述べる。本稿は、冒頭でも記したように、平成 23 年度末 時点で供用済みの SICを対象として SICの整備効果を地価という観点から分析したもので ある。実際に分析対象とできた SIC はデータの制約上 54 箇所であり、この結果を SIC の整 備に関する普遍的な指針として用いようとは考えていない。あくまで、現段階で成し得る 方法で可能な範囲の分析に留まった部分もある。その点については先に述べておく。 今後も SIC は日本各地で供用される予定である。本線直結型については、供用されてか ら未だ日が浅い SIC が多かったため、本稿においては型式で分けた分析を成し得なかった。 相当数の SIC が整備され、型式についても分類した分析が可能となれば、更に綿密な分析 結果が導かれるとともに新たな知見も生まれ、それによって本稿以上に踏み込んだ政策提 言も成し得ると考える。 考察・政策提言において、SIC の整備効果を更に引き出すには外部不経済対策が重要であ るとしたが、混雑・大気汚染・騒音といった外部不経済について数値化したデータを地価 調査地点とリンクさせた形では採ることができず 35 、結果として本稿ではそれらを説明変数 として用いることが出来なかった。これらを用いることが出来ていれば、SIC の整備に伴う デメリットとして何に注意を払うべきであるかについても分析結果から明らかになったも のであると考えている。本稿における実証結果の至らぬ点については、このようなデータ による制約に依るものが多いことを付言する。 謝辞 謝辞 謝辞 謝辞 本稿の執筆にあたり、西脇雅人助教授(主査)、吉田恭教授(副査)、中川雅之客員教授(副 査)からは懇切丁寧なご指導を頂きました。また、福井秀夫教授(まちづくりプログラムデ ィレクター)、加藤一誠客員教授、安藤至大客員准教授をはじめ、諸先生方からも貴重なご 意見を頂くことができました。この場を借りて深く御礼申し上げます。 また、この1年間を共に過ごしたまちづくりプログラム・知財プログラムを始めとする 同期の方々、及び研究の機会を与えて頂いた派遣元に対しても心より感謝致します。 なお、本稿は個人的な見解を示すものであり、筆者の所属機関としての見解を示すもの ではありません。また、本稿における見解及び内容に関する誤りについては、全て筆者の 責に帰すものであることを申し添えます。 34 中川(2008)217頁 35 混雑については、国土交通省道路局発表の道路交通センサスで「混雑度」という指標があるものの、5 年に 1 度の調 査(平成 22 年・17 年)であること、地価調査地点と接道する道路の数値が必ずしも見当たらないという点があり、本 稿では用いなかった。

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22 【 【 【 【参考文献参考文献参考文献】参考文献】】】 ・金本良嗣(1992)「ヘドニック・アプローチによる便益評価の理論的基礎」土木学会編『土 木学会論文集』第 449 号 47~56 頁 ・齋藤辰哉(2008)「高速道路のスマート IC 整備促進に向けた調査研究」財団法人国土技術 研究センター編『JICE REPORT』第 12 号 ・濱谷健太、塚田幸広、酒井秀和(2005)「スマート IC 社会実験の利用実態とその要因に関 する分析」『土木計画学研究・講演集』第 34 巻 ・廣瀬輝(2008)「スマートインターチェンジ」建設工業調査会編『ベース設計資料』第 136 号土木編 ・松川寿也、中出文平、樋口秀(2010)「スマートインターチェンジ周辺の土地利用規制誘 導方策」日本建築学会編『学術講演梗概集、F-1、都市計画・建築経済・住宅問題』57~ 60 頁 ・金本良嗣(1997)『都市経済学』東洋経済新報社 ・竹内健蔵(2008)『交通経済学入門』有斐閣 ・中川雅之(2008)『交通経済学と都市政策』日本評論社 ・福井秀夫(2007)『ケースからはじめよう 法と経済学』日本評論社 【 【 【 【参考資料参考資料参考資料】参考資料】】】 ・国土交通省道路局 http://www.mlit.go.jp/road/index.html ・国土交通省・土地総合情報システム http://www.land.mlit.go.jp/webland/ ・国土交通省国土政策局国土情報課 国土数値情報ダウンロードサービス http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/index.html ・国土交通省道路局「道路統計年報 2012」 ・国土交通省道路局「平成 22 年度道路交通センサス」「平成 17 年度道路交通センサス」 ・財団法人資産評価システム研究センター 全国地価マップ http://www.chikamap.jp/ ・各自治体ホームページ

表 3 の推計結果のうち、 SIC 供用ダミーを見ると、 統計学上有意に正の係数が表れている。 ここから SIC の供用は地価を上昇させる傾向があることが実証分析上明らかとなった。

参照

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