痛みを和らげるために
~慢性の痛みは、どうすれば和らげられる?~
痛み治療の専門医の選び方
痛みを和らげるために
~慢性の痛みは、どうすれば和らげられる?~
痛み治療の専門医の選び方
CONTENTS
発刊によせて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
ペイン情報センター®について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2-3
「慢性の痛みはなぜ起こる?」・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4-6
痛みの定義、種類、発症、調節と病的な痛み 「どうやって見つける?自分に合った痛みの専門医」・ ・・・・・・7-9
痛みの専門医とは? ペインクリニックの紹介と治療事例・・・・・・・・・・・・・・・10-13
「痛みを和らげるために」の発刊に寄せて
ペイン情報センター®代表世話人 花岡一雄(JR 東京総合病院 名誉院長)ペイン情報センター
®とは(略称 PIC)
日本の慢性疼痛治療における主要な医療従事者数名が、適切な治療を受けていらっ しゃらない慢性疼痛患者さんや、そのご家族に向けて、積極的に慢性疼痛治療に関 する情報を発信する機関として、2010 年 12 月に設立しました。構成メンバーである 専門医・医療従事者が客観的な立場から、正しい情報発信ができる体制を確立し、 その情報に接した慢性疼痛患者さんが「痛み」を抑制 ・ 軽減することができ、その結果、 現状より少しでも快適な日常生活を送ることができる社会の実現を目指します。 高齢化社会を反映し、慢性疼痛に悩む患者さんが急増しています。 痛みの性質や程度は患者さんにより様々で、ご本人しかわからないために精神 的にも苦しまれます。 神経ブロック、薬物療法、理学療法、レーザー治療等の疼痛緩和療法で、 まず痛みを感じないようにすることが大切です。 当冊子が患者さんを「痛みから解放」する一助になれば幸いです。PIC 主要メンバー
代表世話人 :花岡一雄/JR 東京総合病院 名誉院長 副代表世話人:小川節郎/日本大学医学部 麻酔科学系 主任教授 世話人 :増田豊/東京クリニック ペインクリニック部長 昭和大学薬学部客員教授 :有田英子/日本大学医学部 麻酔科臨床教授 JR 東京総合病院 麻酔科 ・ 痛みセンター :佐伯茂/日本大学医学部 麻酔科学系麻酔科学分野診療教授 :関山裕詩/東京大学医学部附属病院 麻酔科 ・ 痛みセンター 副科長 ・ 外来医長活動概要
1)Website 運営 2)患者 ・ 家族向け機関誌発行 3)講演会 ・ セミナー 4)調査 5)その他の広報活動http://www.picnet.jp/
■ 慢性の痛みはなぜ起こる?
ペイン情報センターⓇ副代表世話人 小川節郎 慢性的な痛みに悩んでいらっしゃる方々が、少しでも早く、そして少しでも、その痛み を軽減するためには、まず「痛みがなぜ起こるのか?」というメカニズムを理解するこ とが大切です。当センター副代表世話人である小川節郎先生(日本大学医学部 麻酔 科学系 主任教授)より、“ 他の痛みとの違い ”“ 痛みの種類 ” などを含めて、わかり やすく解説していただきました。 ※ 2012 年 2 月 19 日に当センターが東京で開催致しました市民公開講座『慢性の痛みは、どうすれば和らげられる?』で の講演内容を引用しています▲痛みの定義:
痛みには、明らかに外傷や病気があって痛む場合と、外傷が無くて も痛みを感じる場合があります。→国際疼痛学会では『組織の「実質的」あるいは「潜 在的」な傷害に結びつくか、そのような傷害を表す言葉を使って表現される不快な感 覚、情動体験である』と定義しています。▲痛みの種類:
①ケガによる痛み、②炎症による痛み、③神経が障害されて起こる 痛み、④精神的な心の痛み →ケガや骨折、火傷や手術などに伴う普通の痛みのことを “ 侵害受容性疼痛 ”と言い ます。これは組織が壊れた瞬間に発生する痛みです。例えば、指先を切ってしまった 場合、そこに痛みが発生しますが、その「痛み」は電線の役割をする神経を通り、脊 髄に伝わります。脊髄は中継点であり、痛みの信号は神経を伝わり、脳へ電気信号的 に送られます。そこで初めて「痛い」と認識されます。痛みを感じるまでの行程として、 「発生」→「伝達」→ 「認知」の 3 つと、更に人間の体内には痛みを「調節」する機 能があるので、これを「痛みの 4 要素」としています。▲痛みの発症:
皮膚は、発電機の役割をします。この発電機の電気の正体はイオン (ナトリウム:塩の成分)で、体内にはこれを通す穴があり、それが発電機と同じよう に働きます。例えば、痛みの機序として、皮膚を先の鋭い物で押すと、皮膚下の神経の外側にあるナトリウムの電子が反応し、神経の中に入り込みます。ナトリウム自体に 電気があり、神経に電気が発生し、電気信号により脳に伝達され「痛い」と感じるわ けです。また、皮膚を刃物で切った場合、細胞が壊れますが、壊れた細胞の中から 痛みを発生する物質が出てきます。これらもナトリウムが入り込むスペースを開く働き をします。更に細胞が壊れると、痛みの物質を作り出す酵素が暴れ始め、「ブラジキ ニン」という物質が出てしまい、ナトリウムの入り込む門に付着し、その部分を広げま す。そうなるとナトリウムが勢いよく入り、更に痛みが増してきます。この時の刺激は、 切り傷だけでなく、火傷や化学物質でも刺激になります。次に組織が壊れ、後からズ キズキと炎症が起きて腫れてきます。それは痛みを発症する「ブラジキニン」が出るこ とにより、腫れたり、熱が出たり、痛みが出たりします。また、この酵素は細胞を分 解して、バラバラにしてしまうため、更に酵素が働いて「プロスタグランディン」という 物質ができます。これが「ブラジキニン」の作用を 2 倍にも 3 倍にも増大させる作用 があるため、痛みがますます強くなります。痛み止め薬のセデスやロキソニン、ブルフェ ンなどの薬剤は、この酵素の働きを止める作用があり、プロスタグランディンができる のを防ぐことから、痛みの増強を抑制するということになります。
▲痛みの調節:
痛みは体の中で調節されており、10 の痛みがあった場合でも、全 ての痛みが脳に届かないよう、脳の入口には「門番」がいて、調整します。例えば肩 に痛みがあり、その時に痛みの部分を手で摩ったりします。そうすると「摩る」という 手当をすることにより、痛みの信号が少し止まります。細い神経が痛みを伝えた時に、 太い神経が摩られるなどの刺激を受けると、体内にあるモルヒネのような物質が出て、 痛みが少し弱くなります。これを「痛みの門調節機構」と言います。 慢性期の帯状疱疹後神経痛の患者さんの神経断面図を正常のものと比較してみます と、通常時に比べ、太い神経が多少はあるもののかなり多くが抜けてしまっているのが 分かります。触って摩ってあげると痛みが軽減できる神経が減ってしまっているため、帯 状疱疹後神経痛の患者さんは治った後でも痛みが出てしまうことがあります。脊髄には 痛みの門番がいますが、さらに痛みの信号が脳に行くと「痛みが来た!」と、今度は最 も上にある脳から、下に向かって「痛みよ、来るな―!」というように神経が指令を出 します。この上から下に降りてくる伝達を下行性疼痛抑制神経系と言います。この神経 を強くする様々な手段が、痛みの軽減につながるわけで、日々臨床でも使われています。▲病的な痛み:
ケガが治った後 も長時間続く痛みや、神経が傷つ いた後の痛みや、精神的、心の痛 みのことです。例えば帯状疱疹後 神経痛の患者さんでは、この下行 性疼痛抑制神経系を強くする作用 がある抗うつ薬や医療用麻薬を用 いて治療します。更にもっと直接的 に神経を強くするには、ペースメー カーのような電極を脊髄の近くに入 れ込み、神経を直接刺激するという方法もあります。その他、気持ちの良い音楽や優 しい言葉、自分の好きな香り・音楽・リズム、それら全てがこの神経を強くしますの で、痛い時にはそういった要素も重要になります。慢性の痛みを発生する原因には「痛 みの悪循環」というメカニズムもあります。例えば歯が痛い時、その痛みは、神経を 通じて電気信号で脳や脊髄に伝わります。しかしその際に、余計な神経をも刺激して しまいます。痛みの信号が、例えば血管を伸縮する神経 = 自律神経を興奮させてしま うと、血管がギューッと閉まってしまいます。もう一つ、手が痛んだりすると筋肉がグッ と縮み込むと思いますが、痛みの信号は筋肉も収縮させてしまうのです。筋肉を収縮 させるということは、収縮するにはエネルギーや酸素が必要になりますが、血管が縮 まっているので、この部分は酸素不足、栄養不足になります。そうすると、怪我がなく ても細胞の中から色々な痛みを発生する物質が出てきて、これがまた新たな痛みを生 み出すのです。このことを「痛みの悪循環」と言います。▲まとめ
「痛み」と一言で言ってもその発生のメカニズムは多岐にわたります。従って痛みの治 療には「どうして痛むのか」を判断して治療薬(法)を選ぶ必要があります。一般的 な鎮痛薬が効かない時や、なかなか治らない痛みを抱えていらっしゃる場合には、ど うぞ私たちの情報センターにお声掛けください。■どうやって見つける?
自分に合った痛みの専門医
ペイン情報センターⓇ世話人 増田 豊 ご自分の慢性的な痛みの程度や状況を他の誰か、とくに医療従事者に正確に伝えるの は実に難しいという患者さんの声をよく耳にします。そんな伝える難しさも一因となって、 「様々な施設を訪れても、なかなか痛みが軽減しない」という方が多くいらっしゃるよ うです。当センター世話人である増田豊先生(東京クリニック ペインクリニック部長・ 昭和大学薬学部客員教授)より、“ 自分に合う、痛みの専門医の見つけ方 ” について解 説していただきました。 ※ 2012 年 2 月 19 日に当センターが東京で開催致しました市民公開講座『慢性の痛みは、どうすれば和らげられる?』での 講演内容を引用しています▲痛みの専門医とは:
医師であれば、どの診療科目であっても、痛みの治療に関わって います。多くの患者さんは、体のどこかが痛むから病院へ行き、診察し、診断がつき、 その診断に基づいた治療を行い、痛みや病気が治っていきます。また、多くの痛みは、 ケガや病気が治れば痛みも止まりますが、中にはケガや病気が治っても、痛みだけが残っ て治らない場合があります。内科でも外科でも、医師は常に痛みを訴えてくる患者さんに 対応し、痛みの治療を行っており、医師もまた経験を積み重ね、徐々に合理的な治療が できるようになります。ある意味ではほとんどの医師が、「痛みの専門家」でもあると思 いますが、更にそうした医師の中でも、特に痛みの治療を専門とする医師がいます。そ れが、「痛み外来」や「疼痛外来」「ペインクリニック」と呼ばれる施設で診療している 医師達で、ペインクリニシャンと呼ばれています。現在、日本ペインクリニック学会が認 定したペインクリニック専門医は 1,447 名(2012 年 8 月 1 日現在)います。▲どのように見つけるか:
テレビ、新聞、雑誌などのマスメディアからも痛みの専門医 の情報は得られます。また病院に行けば、同じ痛みを抱える患者さんからの情報も役立 ちます。また、かかりつけの主治医がいる場合には、主治医からも情報を得られるかも しれません。更に主治医から紹介状を書いてもらうのも良いと思います。最近はインター ネットを利用して検索する人も多いと思います。Yahoo や Google といった検索サイトで 「日本ペインクリニック学会」と入力します。日本ペインクリニック学会認定の専門医は、学会のホームページで公表されています。ホームページには学会の認定施設も公表さ れています。http://www.jspc.gr.jp/
▲自分に合った医師とは:
患者さんが当然願うことですが「良い先生に診ても らいたい」。では良い先生(良医)とはどのような先生なのか。コミュニケーショ ン能力があり、診断能力があり、手技 ・ 技術能力も高く、患者本位である医師が 良医と考えられます。では、その良医が全て自分に合うのでしょうか。良い先生 であっても、「怖い」、「よく叱る」、「相性が合わない」、「歯車が嚙み合わないと 態度が変わる」など、なかなか自分に合った先生を探すのは大変です。しかしも う一方で、「少し怖い先生だが、色々教えてくれて、とても頼りになる」という 先生もいます。すなわち、“ 自分に合った医師 ” とは、“ 自分が頼りにできる医師 ” と定義するのが適当だと思います。大事なことは、患者さんと医師の「信頼関係」 です。合う、合わないではなく、信頼しているかどうかということ。互いに信頼 し、同じ土俵で向き合って治療あたるということが、より良い医療だと考えます。 患者さんと医師が良い関係を築くのに、1 回限りの診療では明らかに無理があり ます。何回も顔を合わせながら、医師は良医を目指し、常に向上心を持って診療 すべきであり、より良い治療効果を上げるためには患者さんと医師の協力が不可 欠であることを認識すべきです。もし不明な事柄があったら患者さんは遠慮せず、 率直に医師へ話すべきです。その際に注意すべき点は、決して自分勝手にはなら ないことです。また医師を独り占めにしない(診察室の外には他の患者さんも多 く待っていたりします)など、それぞれのルールを尊重する事も重要です。時に は自分を担当している医師が専門医であっても、治療内容に不安や不満を感ずる ことがあるかもしれません。そんな時こそ患者さんの気持ちを率直に述べるべき です。患者さんのことを思っている医師であれば、必ずきちんと対応してくれる はずです。▲まとめ
多くの疾患の診断・治療に関しては最近「ガイドライン」が作成されており重要視されて います。専門医も、このガイドラインに沿った治療を原則にしています。特にガイドライ ンで推奨された治療法が明確になっている場合はその治療法が優先されます。日本中のどこに居ても適切な治療が受けられるようにと配慮されているものです。確かに同じ 領域の専門医であったとしても、疾患によっては得意・不得意があります。しかし、ガイ ドラインに沿った治療を実施すれば確実に適切な標準以上の治療を受けられますので、 患者さんにとっては安心です。それでもわからない事があったら、遠慮なく質問して下さ い。いずれにしても担当の医師とよく話し合う事が重要です。ただし、外来での診療時 間は限られた時間ですので、要領よく話すことも大切です。つまり患者さんにも、診療 状況に応じたご協力をお願いすることがあります。診察に時間を要する場合は数回の診 療に分けて、経過や診断、治療方針を相談する場合もあります。是非ご理解を頂きた いと思います。特に慢性痛では、それぞれの痛みも背景も複雑ですし、経過も長いで すから、十分な時間をかけて診察する必要があります。また専門医でも、自分がその 疾患の治療が得意ではないと自覚している場合には、他の専門医へ紹介できることも 良医の条件だと思います。
■ペインクリニックの紹介と治療事例
長い間、慢性の痛みに悩んでいらっしゃる方々の中には、「痛み治療のスペシャリスト」 である、“ ペインクリニック ” の専門医に相談したり、受診したご経験のない方が数多 くいらっしゃるかと思います。 そこで、東京都内で、こうした慢性の痛みを持つ患者さんたちと日々向き合いながら、 診療を行っている二つの施設を訪問し、実際に “ ペインクリニック ” では、どのような 痛みに対して、どのような治療が行われているのかを伺ってきました。 ◎ まず、はじめに世田谷区の「桜新町ペインクリニック」 院長の長谷川 純先生にお話を伺いました。 『桜新町クリニック』は、東急田園都市線・桜新町駅西口から徒歩わずか 1 分という 便利な場所に立地していながら、交通量の多い幹線道路の近くとはとても思えないく らい、閑静な住宅街のビルの一角で開業されています。 所在地 ・・〒 154-0015・東京都世田谷区桜新町 2-9-6・BLOSSOM 桜新町 B1F TEL ・・03-5799-6566 診療時間 ・・・9:00 〜 13:00 / 15:00 〜 19:00・( 土曜日は 9:00 〜 13:00 のみ、木曜日、 日曜日、祝日は休診 ) ※予約不要 「数年間、悩まされ続けていた五十肩の痛みが “ 消えた!”という患者さんも…」 首や肩、腰などに慢性的な痛みを抱えていらっしゃる患者さんの中には、なかなか痛 みが軽減されないことから、結果として、整形外科や整骨院などいくつかの施設を堂々巡りされている方が少なくないように思います。こうした施設の多くは、「痛みを取り除 く」という点では、残念ながら、必ずしも専門的な知識や技術に優れているわけでは ありません。当院の患者さんたちに、お話を伺ってみると「いろいろ試したけど、やっ ぱり痛みが取れない」という方が実に多い。臓器のどこに異常があるか、という診断 以前に、まず、痛みがどれくらい患者さんの生活に、どのような影響を及ぼしているの かを身近に捉えることが大事なんですね。数年間にわたって五十肩の痛みが取れない と、様々な施設を巡っておられた患者さんが、当院に来られて、神経ブロック注射を行っ た途端に、「痛みが消えた」と驚かれた例もあります。 「“ がまんできなくなったら…” ではなく、まずペインクリニックに相談を」 当院では、神経ブロック療法の他に、痛みの症状に合わせて、様々な鎮痛薬を使用 する薬物療法も行っています。鎮痛薬で効果が表われにくい場合は、医療用麻薬であ る強オピオイド、もしくは麻薬規制のない弱オピオイドを使用します。 “ 麻薬 ”と言う と、やはり患者さんには抵抗があるのですが、“ 医療用の麻薬 ” であること、また “ 痛 みがある状態で用いた場合は中毒にならない ” 等の事実をきちんと説明してあげれば、 抵抗は和らぎます。弱オピオイドであれば “ 麻薬 ” ではないので、それをきちんと説明 すればさらに抵抗は少なくなります。 コミュニケーションは大切ですね。これ以外に、腰痛、坐骨神経痛、肩こりから、帯 状疱疹後神経痛などまで、幅広い疾患に適応があるレーザー照射も行っています。患 者さんのあらゆる痛みと向き合っていく専門家として、最新技術を駆使した治療法を 積極的に取り入れることも重要だと考えています。数値化しにくい患者さんの痛みの程 度を客観的に測定できる機器も使用していますよ。 ペインクリニックをご存知の方でも、「耐えられないくらい、痛みがひどくならない限り 行くところではない」という思い込みや、「すぐに注射されそうで、怖い」という誤解が あるように感じています。決してそのようなことはありませんので、むしろ痛みが取れ ないと感じていらっしゃるのなら、なるべく早期にお近くのペインクリニックに、まずは 相談されることをお勧めします。
◎ 次に、JR目黒駅近くの「塩谷ペインクリニック」 院長の塩谷 正弘先生にお話を伺いました。 塩谷先生は、疼痛治療に重点を置く、代表的な施設の一つであるNTT東日本関東 病院(旧・関東逓信病院)で、長年にわたり、神経ブロック療法の様々な手技の開発 に携わって来られました。開業されてからも、経験と専門性を活かした様々な治療法で、 改善が困難な痛みを持つ患者さんに対しても、痛みからの解放や大幅な痛みの軽減を 実現されています。 所在地 ・・〒 141-0021・東京都品川区上大崎 2-16-3・クリスタル羽山ビル 5F TEL ・・03-5793-8188 診療時間 ・・・8:30 〜11:30 /13:30 〜16:30・( 土曜日、日曜日、祝日は休診 ) ※予約制 「腰痛への対処法ひとつで、 その後の痛みの経過の明暗が極端に分かれることも…」 慢性痛の改善には、気の長い治療が必要になる場合が多いのは確かですが、初期の 対処で、その後の状態の明暗が分かれることがあります。例えば、神経圧迫による腰 痛に悩むお二人の患者さんがいらっしゃるとします。お一人は、鎮痛薬を服用する以 外は、腰に負担をかけず、痛みを軽くするために、多くの時間を横になって休むように していました。しかし、徐々に腰を支える筋肉が委縮し、それが原因で神経がさらに 圧迫され、新たな痛みに悩まされることになってしまいました。もう一人の方は、早い 段階に神経ブロックを受けて、痛み神経を遮断しました。痛みを全く感じないため、 普通に歩き回ることが可能で、腰回りを支える筋肉が鍛えられ、神経圧迫の状態も改 善しました。「痛いから動かない→動かないから筋肉が委縮する→委縮によって痛み が出る」という、痛みの悪循環を神経ブロックで断ち切ることで、萎縮を防ぐリハビリ
も可能になります。慢性の痛みには、患者さんの状態に合わせて、薬物療法、神経ブ ロック、リハビリ、精神的なアプローチなど、多軸的な診断と多面的な治療が必要です。 「様々な患者さんの痛みと向き合うためには、 クリッ二ックであっても高度な痛み治療技術が必要」 三叉神経痛という患者数が少ない疾病があります。高齢者、とくに女性に多く、顔の 片側に電気が走るような痛みがあり、顔を洗うことすら辛く、ひどくなると食事もでき なくなります。治療法の一つに、神経を圧迫している血管を減圧する手術があり、直 後には痛みが 90% 以上取れると言われています。しかし、一定期間が経過すると痛み が再発する患者さんも少なくありません。その場合、神経ブロックが安全かつ有効な 手段となります。当院でも術後 1 年で三叉神経痛を再発された患者さんに、神経ブロッ クを施し、短時間で痛みを軽減した例があります。また三叉神経痛と症状が似ている、 群発頭痛という稀少な痛みもあります。じっとしていられない程の激痛が起きますが、 投薬や神経ブロックで発作時の痛み軽減や予防が可能です。このように慢性痛の中に は、患者数が極めて少ない痛みもありますが、患者さん当人にしてみれば、生活を脅 かす切実な問題です。その問題解決のためには、ペインクリニック専門医の、痛みに 関する幅広い知識や経験の豊富さ、そして高度な治療技術が重要だと思います。
この冊子に関するお問合わせ先 ペイン情報センター®事務局/株式会社ジャパン ・カウンセラーズ 〒 101-0065 東京都千代田区西神田1丁目3番6号 ウエタケビル4F E-Mail:[email protected] ペイン情報センター® 監修:ペイン情報センター® 代表世話人 花岡一雄 副代表世話人 小川節郎 世話人 増田豊 協力:桜新町ペインクリニック、塩谷ペインクリニック 協賛:ニプロ株式会社、ヤンセンファーマ株式会社