The C‑reactive protein to prealbumin ratio on admission and its relationship with outcome in patients hospitalized for acute heart failure
著者名 山田 隆弘
発行年 2021‑11‑19
URL http://hdl.handle.net/10470/00033252
主 論 文 の 要 約
The C-reactive protein to prealbumin ratio on admission and its relationship with outcome
in patients hospitalized for acute heart failure
(急性心不全で入院となった患者における入院時CRP/プレアルブミン比と予後との関連)
東京女子医科大学循環器内科学教室
(指導:萩原 誠久教授)㊞
山田 隆弘 Journal of Cardiology 78 (2021) 308-313に掲載
【目 的】
炎症と栄養障害は急性心不全で入院となった患者においてしばしば問題となり、有害事象と関係す ることが示されている。C 反応性蛋白(CRP)は全身性炎症の指標として一般的であり、またプレア
ルブミンは栄養障害の指標として近年注目されている。炎症性サイトカインが肝臓でのCRP合成を
賦活することにより、同じく肝臓で合成されるプレアルブミンの合成は競合的に低下するため、プ
レアルブミンは負の急性期蛋白とも呼ばれている。よってCRPとプレアルブミンの比であるCP比
は、炎症のみならず栄養状態をも含めた包括的マーカーとなりうる可能性がある。しかし、CP比と
急性心不全患者の予後との関係は、未だに明らかになっていない。今回の研究の目的は、急性心不
全患者のCP比と生命予後との関係を検討することである。
【対象および方法】
2014年から2018年に当院CCUへ入院となった急性心不全患者のうち、CRPとプレアルブミンが入
院後24時間以内に測定された257人を対象とした。1次エンドポイントは全死亡とし、2次エンド
ポイントは心臓死および非心臓死とした。
【結 果】
入院時CRPとプレアルブミンとの間に有意な負の相関関係を認めた(r = -0.469)。入院時のCP比
の中央値(95%信頼区間)は 0.57(0.11-1.94)であり、経過中の総死亡に対する ROC 曲線から算出し
たCP比のカットオフ値は1.60であった。CP比>1.60の群をCP比高値群(75人)として、CP比低
値群(182人)との2群に分けた。両群間で入院後の全死亡を比較すると、CP比高値群は入院後の
生命予後が不良であった(全死亡率 36.0%対 7.1%;観察期間中央値 228 日対 276 日;log-rank
P<0.001)。また心臓死、非心臓死についても同様の結果であった。年齢・性別に加えて、ベースラ
インで有意差を認めたアルブミンおよび BUN で補正した多変量解析の結果、CP 比高値は入院後の
全死亡の独立した規定因子であり(調整ハザード比3.88;95%信頼区間 1.91-7.86;P<0.001)CRP
およびプレアルブミン単独よりも良好な予後予測能であった。
【考 察】
これまで、CP 比が集中治療室において多臓器不全の重症度と相関するとの報告や、急性冠症候群
における入院中の不良な転機と関連していたとする報告などがあるが、急性心不全における CP比
と生命予後については検討されていなかった。急性心不全において RAS系や交感神経系の活性化、
小腸からのバクテリアルトランスロケーションなどを介して炎症反応が賦活化され、不良な転機に 繋がることが以前より示されている。CRPは炎症反応の指標として最も一般的であり、またプレア ルブミンはその半減期の短さから、急性期の炎症反応および栄養状態の鋭敏な指標として確立され
つつある。よってこの2つの肝臓産生蛋白の比は、炎症及び栄養の包括的なマーカーとして、急性
心不全を含む急性疾患の重症度判定および予後予測に有用である可能性があると考える。
【結 論】
急性心不全患者のリスク層別化において、CRPとプレアルブミンの2つの肝臓産生蛋白質の比が有
用である可能性が示唆された。