河川水理構造物の耐摩耗工法の試験施工とモニタリング中間報告
徳倉建設(株) 正会員 ○和泉 彰彦 正会員 三ツ井 達也 名城大学理工学部 正会員 新井 宗之
1.はじめに
河川構造物などの摩耗を少なくする耐摩耗 材料とその施工方法を開発している.
これまでの室内実験により弾性係数と摩耗 深さには相関関係があり,同一強度でも弾性ひ ずみ量が大きい材料は摩耗に対する抵抗力が 高いことが分かっている1).そこで平成21年2 月,埋戻す予定の水叩工表面部に耐摩耗材料を 設置し経過観察を行った.この結果より,その 有効性が確認出来たので,今回永久構造物である床 固め工の魚道部にこの材料を施工した.本報告はそ の中間報告である.
2.天竜川水系与田切川と試験施工箇所の概要 試験施工は,長野県上伊那郡飯島町の天竜川水系 与田切川の第 6 床固工で実施した.図-1に与田切川 流域と施工箇所位置図を示す.与田切川は流域面積 42.7m2, 流 路 延 長 15.9km で あ る.ま た 標 高 約 1,800m から標高約 550m の天竜川流域まで流下す る急流河川であり,水路構造物の摩耗による損傷が しばし問題となっていた.図-2に魚道部の水路縦断 図を示す.
<使用材料>
図-3に使用材料の応力-ひずみ曲線を示す.使用 材料は樹脂モルタルA,樹脂Bを使用した.また比 較材料として,早強モルタルを施工した.図-4に材 料配置平面図を示す.
<施工方法>
図-5に施工フローを示す.表面処理工は,ディス クサンダー,ワイヤーブラシで行い,①②③⑥は増 厚を行う前にアクリル系の接着剤を塗布した後,各 施工箇所の下流側にモルタルで土手を作った.増厚 の仕上げは金ゴテを使用し平滑に仕上げた.また④
⑤は流動性が高いので流し込みで施工した.打設後 はビニールハウス材料を使用し,2週間養生を行った.
キーワード 耐摩耗材料,樹脂,試験施工,モニタリング,河川構造物,常水路,魚道部
連絡先 〒460-8615 愛知県名古屋市中区錦 3-13-5 徳倉建設(株)土木事業本部技術環境部 TEL052-961-3276 図-3 使用材料の応力-ひずみ曲線
施工箇所 3.0m*0.5m 程度 6箇所
図-1 与田切川流域と施工箇所位置図
施工箇所
天 竜 川 中
央 道 至東京
至名古屋
図-2 魚道部の水路縦断図
図-4 材料配置平面図 図-5 施工フロー
①準 備 工 資機材準備他
② 表 面 処 理 工 ケレン工
③ 型 枠 工 型枠の組立
④ 保 護 工 各種保護工施工
⑤養 生 工 養生2週間
⑥片 付 清掃、片付け
① 早強モルタルt=60mm
② 樹脂モルタルA t=60mm
③ 樹脂モルタルA t=20mm
④ 樹脂B t=20mm
⑤ 樹脂B t=20mm
⑥ 早強モルタル t=60mm
上流
下流
①
②
③
④
⑤
⑥
①
②
③
④
⑤
⑥ 0 5 10 15 20 25 30 35
0 5 10 15 20 25
ひずみ(%)
圧縮応力(N/mm2)
早強モルタル 樹脂モルタルA 樹脂B
土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)
‑719‑
Ⅵ‑360
作製した材料は品質管理試験用モールド(φ50mm×100mm)に採取して養生した.
3.経過観察
摩耗量は図-6 に示す方法で実施している.摩耗量の測定試験箇所 左右の岩にボルトを設置し天端を水糸で結びこれを基準線とした.
高さの測定は,先端を細くした専用の定規を作成し使用した.摩耗 量の測定の他,目視と触診を行った.計測は初期計測と186日・357 日の3回実施している.357日経過時の測定は水深最大200mm程度 の水中で計測を行った.
4.結果
図-7に摩耗深さを経過日数別に示す.さらに目視,触 診を含めた結果及び考察を述べる.
<②樹脂モルタルA t=60mm>
357日後の測定で,1mmの摩耗が計測されたが,全体 的には変化が見られず良好な状態を保っている.写真-2 に186日経過後の状況を掲載する.
<③樹脂モルタルA t=20mm>
平均約4mmの摩耗が確認された.右岸側に剥がれて いる箇所(写真-3)があった.
<④⑤樹脂B t=20mm>
初期計測からの摩耗はなく,良好な状態を保っていた.
<①⑥早強モルタル>
初期計測から平均約10mmの摩耗が確認された。細骨 材が表面に見えてざらついており,上流部①は,中央部 が最も摩耗が大きく13mmの摩耗が確認された.
5.まとめ
施工後,12ヶ月間のモニタリングで分かったことを以下に 示す.
1) 耐摩耗材料(樹脂モルタルA,樹脂B)は,摩耗量が早強モルタルの半分以下であった.
2) 樹脂モルタルAは厚さt=20mmよりt=60mmが若干耐摩耗性に優れていた.
3) 樹脂Bは薄層(t=20mm)ではあるが,摩耗がなく,耐摩耗の効果は高いと考えられる.
本試験施工は,室内実験の再現がおおむね出来たと考えており,この材料の実用化が可能と考えている.
今後は新たな用途開発と最適な施工方法の確立のため研究を続けていく.最後に試験施工箇所を快く提供し て頂いた天竜川上流河川工事事務所飯島砂防出張所の加藤所長にはここに記して感謝の意を表す.
参考文献
1)新井宗之,山田奈美,三ツ井達也,和泉彰彦:耐摩耗性補修材の摩耗特性(第65回年次学術講演会) 平
成22年9月
2)新井宗之,三ツ井達也,和泉彰彦:耐摩耗性補修材の試験施工実施とモニタリング結果報告(第65回年
次学術講演会) 平成22年9月
図-6 測定箇所
3 0 0 0 1 5 0 0
7 5 0
3 0 0 0 h
測定箇所
基準高
写真-1 186日後 写真-2 欠損箇所 図-7 摩耗深さと経過日数
摩耗深さと経過日数の関係
6.7
0.0
2.7
0.0 0.0
5.3 10.3
1.0
4.3
0.0 0.0
9.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
①早強モルタル(上流) ②樹脂モルタルA (t=60mm) ③樹脂モルタルA (t=20mm) ④樹脂B ⑤樹脂B ⑥早強モルタル(下流)
試験体名称
摩耗深さ(mm)
186日後 357日後
土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)
‑720‑
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