地方行政官僚制における組織変革の社会学的研究
著者 田中 豊治
学位授与大学 東洋大学
取得学位 博士
学位の分野 社会学
報告番号 乙第72号
学位授与年月日 1993‑10‑18
URL http://id.nii.ac.jp/1060/00004035/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
第6 章 地域 社 会 の 活 性化
第1 節 行 政施 策 の 動向
全 国 各 地 に おい て 活力 と潤 い のあ る地 域づ くり を 目指 し 開 発事 業 に 取 組 んで き た自 治 体 で はヽ 円 高不 況 に より地 域 の産 業 構造 の 変化 が 深 刻 に 進行 し つ つ ある 。 企 業 城下 町 、 地 場 産 業 の 町 、 剱出 工 場 を 誘致 し た 町、 さ ら に はテ ク ノポリ ス構 想 をも 含 め て 、 厳し い 再 検 討 を 強 い ら れて い る。 第一 次産 業 就 業 人口 の 激 減 、人 口 構 成 に おけ ろ 高 齢 化層 の急 増、 大 企 業 ( 地 方工 場) の操 業 短 縮・ 規 模 縮小 ・│散収な どに よ る 雇 用 機会 の喪 失 や 失業 、 市町 村 の 危 機 感な ど 、 人口 と所 得( 財政 )の 状況 は極 めて 悪 化 し て い る。 加 えて 、 生 産 基 盤 の 弱 体 化 は地 元 中 小 企業 の斜 陽 化 や 倒 産を 引 き 起こし 、 時 代 の担 い手 で あ る若 年 層 の 土 地 離 れ 、 あ る い は、 自 然 ・ 環 境・ 文 化 ・生 活 な ど の全 面 的 破 壊を 必 然 化し て い る 。も はや 大 企 業 の 巨 大 開発 や 国 の 公共 投 資 を 当て に す る時 代 は終 わ っ た 。さ ら に 、 第四 次 全国 総 合 開 発 計 画 に よ れば 、 分 権 か ら集 権 へ、 東 京 優先 が一 層強 く 打 ち出 さ れ、 金 融・ 情報 ・人 口 ・ 産 業 の 世 界 都市 東 京 へ の 集中 化 は 避 け ら れそ う にな い 。 大 阪 、名 古 屋 で さ え地 方 の一 中 枢 中 核 都 市 に 位置づ け ら れる よう に な っ た。1975年 代 の「 地方 の 時 代 」か ら 再び 「 都 市 の 時 代 」 が 指 向 さ れつつ あ る。 い わば 日 本 列 島全 体の 都市 化 現 象 が 進 みつ つ あ る と い え るかも し れ な い 。
自 治 体は 、 かつ て 地方 が 東 京 並 み や 東 京中 心 の 価値 観 を 追求 し て き たエ ネ ル ギ ー の むな し さ と 限 界と に 直面 せざ るを え ない 。 中 央 省庁 の 補助 金や 外 部 ・ 大資 本 の 財 政 力 に の み期 待 し、 た だ与 え ら れ るも の を 待 つ だけ の 基 本 姿勢 や思 考 様式 、 あ るい はそ の ミ ニ チ ュ ア やコ ピ ー に 自足 し て き たこ とを 深 く 自省 せざ るを えな く な って い る 。 確 かに 都市 は 地 域 社 会を 破 壊し て き たが 、 決し て 新 し い 地 域社 会 を つ く り出 し はし な か っ た 。 住民 は地 元 の自 主 的 振 興の 担 い手 とは な り え ず、 地 域 づ く り の主 体的活 動 も 乏し かっ た。
こ う し た 危 機意 識 が、 自ら 「 依存型 か ら 内 発型 へ 」 の発 想 の転 換 を迫 り、 と に か く 地 域 内 の潜 在力 を見 直 し 、 そ の事 業 化 を図 っ て い こう と いう 機 運を 生 み出し てい る。 「 ど こ ま でも 地 方 に と ど ま る」こ とか ら 発 想し 、 自 ら土 着 の文 脈( 地下 水 ) を 掘 り 起こ すこ と に よ っ てロ ーカ ル ・ ア イデ ン テ ィテ ィを 確立 し て い かざ るを え な い とい う 状況 にな っ て き た 。 そ れは やが て 地 域 の独 自 性や 自 主 財 源 の確 保 を主 張 す るよ う にな り、 地 域内 か ら新し い 価 値 を 創 り 出そ う と す る運 動 へ と 結び つ いて き た。 そ れが「 自 主 ・ 自 助・ 互 助 の 原 則」 や 「
心よい
事 前 主義J を 前 提 とし た「 まち づ く り 」 や 「む ら お こし 」運 動( 大 分 県 の一 村一 品 ・− 集 落 一 品 運動 と い う 地域 経 営 論、 熊 本 県 の日 本 一 づ くり 運 動 と い う 株式 会 社 論 な ど) で あっ た。
こ れら の提 唱 や運 動 は 、単 に 地 域 経 済 の活 性 化 の み な ら ず 、 地 域社 会 全 体 の あら ゆ る資 源( 自 然・ 文 化 ・生 活 ・ 歴史 ・ 人 口 ・ 産業 ・ 環 境 な ど ) の 有 効 活 用を 図 り 、 そ れを 挺 子と し て さ まざ ま な新 し い需 要を 喚 起 、 創 造し て い こ う と い う 目 的 を も って い る 。 先 の日 本 都 市セ ン タ ーの 調 査で も、 「現 在、 地 域 経 済を 活 性化 す る ため に 、 ど の よう な 地 域 産業( 地 場 産 業を 含 む ) の育 成 に 取 組ん で い ま す か 」 とい う 問 い に対 し 、 第一 に 多 い の は テ ク ノポ リ ス構想 の 具 体化 で あ っ た。 こ の事 業 の 魅力 は、 産 業 ( 工 場 ) と 学 術( 研 究 開 発 ) と 住宅
( 居 住環 境 ) と の三 身一 体に よ る高 度技 術 工 業 の 集 積 都 市 を 目 指し た 「 複合 的 な 都市 づ く り 」( 産 官 学 の ネッ ト ワ ー ク化 ) に あ っ た 。( 中 小 )企 業 と 地 場 産業 と 地域 住民 と のー 体 的 発展 に よ る 自生 的 地 域 づ く りを 重 視 し て き たの で あ る。 事 業 と し て は、 例え ば 、 ニa,ー セ ラ ミッ ク ス技 術 の 促進 事業 、 ニ ュ ー メデ ィ ア ・ コ ミ ュ ニテ ィ 構想 の モデ ル 地 域事 業 、テ レ ト ピ ア ・テ ク ノポ リ ス計 画 の推 進 な ど が 行 わ れ た 。 そ の 具 体的 施 策 とし て 、 バ イ オ農林 水 産 開 発、 テ ク ノ セン ター の設 立 、 工 業 団 地 の 造 成 ・ 分 譲、 中 小 企業 の 工 場 集 団化 ・ 共同 化 ・ 協業 化 の 促 進 など が 実 施さ れて い る。 か くし て 、さ まざ まな 地 場 産 業 の 特 産品 づ くり や 個 性 あ る観 光 開 発( 広 域 観光 セン タ ー建 設 、 大 型 レジ ャ ー施 設 ) など が 推 進 さ れ てき た
( ち な みに 自 治 省 は、lり6 年 度 より 、 地 域 活 性 化 構 想 に取 組 ん でい る自 治 体 の中 か ら9 地 域を 選び 、リ ーデ ィン グ ・プ ロ ジ ェ クト と し て 「 長 寿 社 会対 策 」 「国 際 都 市 整 備」 「地 域 間交 流」 の3 分 野 につ い て 、 地 方 債 の 優先 充 当 、 特 別交 付 税 算定 の 配慮 な どに よ り、積
極的 に 支 援し てい く方 針 で あ る とい わ れ る ) 。
第2 節 将 来 の 組 織的 対応
自治 体が 地域 活 性化 の ため に 援 助し て い る 方 法 とし て は、 日 本 都市 セン タ ー の調 査によ れば 、 ①補 助金(78.9 % )、② 後 継者 の 育 成(26.2 % )、 ③技 術 ( ノウ ハウ ) の 援 助(19.1
% ) の 順で あ っ た。 ①補 助金 と は、 商 業 組 合 等 に よ る 共同 施 設 の 設 置整 備 へ の 補 助と利 子 補 給 、 新製 品問 発へ の 補助 、 近 代化 資 金 の利 子 補 給 等 の 資 金 貸 付、資 金( 低 利 ) 融資 など で あ る 。 ②後 継 者づ く り とは 、 人 材育 成 の た めの 講演 会 、 優良 従 業 員 の 表彰 事 業 、中 小企 業 大学 校 の誘 致な どで あ る。 さ ら に ③ 技術 援 助 と は、 技 術 交 流 セ ン ター建 設 、 技 術 情報交
心Mか
換プ ラ ザヽ 異業 種 交 流推 進 事業 、 産 業 振 興懇 話 会 な ど の 相 談所 や 講 座 の提 供 で あ る。
そ の 他に 実施 し て い るも の は、 ④ 先 進 地 視察 や 調 査 に も とづ く組 織づ くり の 助言 ( 対 策 やビ ジ ョ ン の策 定 な ど )、 ⑤ 立法 措 置 とし て の企 業 誘 致 条 例 の制 定( 新 企 業 城下 町 条 例 に よ る新 分 野 開拓 事 業 、工 業 振 興 助成 条 例 な ど )、 ⑥振 興 行事 の主 ・ 共 催( 地 場 産業 まつ り 、 産 業 祭 、 商工 祭、 ハ ワ イ物 産展 、 全 国 織 物競 技 大 会 、 見 本 市 など )、 ⑦PR ( 特 産 品 の 常 設 展 示 場 、展 示 即売 会 、生 産者 ・ 消 費 者 ・流 通 業 者 に よ る懇 談 会 の 開 催、東 京 の ふ るさ と 情報 セ ン ター への 周知 な ど )、 ⑧ イメ ージ づ く り( キ ャッ チフ レ ーズ、 ネー ミン グ 、ブ ラ ンド 化 な ど )、 ⑨ビ デ オ政 策(CATV に よ る普 及 、 啓 蒙運 動 な ど )、 あ るい は⑩ 地 域 間 競 争 の 奨 励 、な ど が あ る。
こ の よ う に地 域 活 性化 の 手 法は 、 単 に 補 助金 だけ で な く、 人 づ くり( 人 材 ) 、 情報 づ く り( ノウ ハウ )、 組 織 づ くり( 懇 話 会 ) 、 政 策 づ く り、 イベ ン トづ く り 、 イメ ージ づ く り、
あ るい はPR な ど 、 極 めて多 岐 に わ たっ て い る。
事 業 の 成否 は、 こ れ らの 複 数 の要 因 や 条 件 を う ま く 組 み合 わ せ 、そ の 複合的 な力 の相 乗 作用 に よっ て ど れ だけ の イ メージ アッ プ が 図 れ る か に ㈲ 処し て い ると い え るで あろ う 。 こ こ で 共 通 の 要因 を 抽 出し て みる と、 ① 明 確な ポ リ シ ーを も っ て 地 域資 源 を活 用 す るこ と 、
②小 さ な 地場 特 性 間 の ネッ トワ ーク 化 を 図 るこ と 、 ③外 部 の ノウ ハウ や情 報 を 積 極的 に 求 め 利 用 するこ と 、 ④ イメ ージ づ く り とマ スコ ミ の 活 用( コ ー ポ レ ート ・コ ミ ュ ニ テ ィ、
シテ ィ・ ア イデ ン テ ィテ ィ とい っ たC I 戦略 ) 、さ ら に ⑤後 継 者 の人 づ くり な どが 挙げ ら れ よ う 。
庁内 組織 で は 、次 の よう な新し い担 当 部門 が 誕 生 し て い る。 例 えば 、 企画 調 整 部 テ ク ノ ポ リ ス対 策 室 、 生活 文化 部 産業 課 、 環 境 経 済 部商 工 課 、 商工 貿 易 課・ 中 小企 業 指 導 所 、工 芸デ ザ イン 指 導所 、 秘 書 課国 際 係 、工 業立 地 対 策 室 、 経 済 部商 工 課繊 維 振興 室 な ど に 、職 員 が そ れぞ れ∠1〜10人 位 配属 さ れ て い る 。さ ら に 職 員 が まち に 出 て 住民 の意 見 を 聞 く「 身 近 な まち づ くり 支援 制 度 」を 編 成し て い ると こ ろ も あ る( 世 田 谷 区) 。
既 成 の 担 当課 で処 理 し に くい 行 政 課 題に 対 し て は 、随 時庁 内 グ ル ープ の 編成 に よ り対 処 し て い る。 関 係部 局 から な るワ ー キン グ ・ グル ープ や応 援 体制 を 組 み対 応 す る( 横 浜 市 の まち づ くり は、 ア ーバ ン ・デ ザ イン 課 と 企 画 調整 課 と の連 携プ レ ーで あっ た) 。例 え ば 、 地区 基 本 計 画 策定 委員 会 、 産業 振 興 策定 委員 会 、 地 球岬 展望 台 の 設 計プ ロジ ェ クト 、 経 済 活 性化 推 進協 議会 、 グリ ーンテ ク ノピ ア ・プ ロ ジ ェ クト 推 進本 部、プ ロ ムナ ード デ ザ イン 検討 会 、商 店街 コ ミ ュニ テ ィ 会議 な ど が 各 市 で実 施 さ れて い る。
一必シ
さ ら にこ れら の 庁内 グ ル ープ に 住 民 代 表 も 直接 参 加 す る よ う にな っ てい る。 各 種 関 係団 体 の 役員 や 利 益 代 表( 商 店 、工 業 、 商工 会 議所 、 金 融 機関 な ど ) の みな ら ず、 一 般 市 民も 正 式 メン バ ーとし て参 加 す る よう に な っ た。こ れは 市 民 のも つ 時 代感 覚 、 ノウ ハウ 、 実行 力 、 ア イデ ィ ア な どを 積 極的 に 情 報 交 換し 、 反 映 さ せ て いこ う と い う仕 組 みづ く り で あ る。
さ ら に は市 町 村 レベ ル を 超 えて 、 各 自 治 体 が、 自 主 的 か つ 対 等 な 立 場 で 横断 的 ・ 協 働 的な 関 係 を結び 、 対処 し てい こ う とい う 方 法も 見 ら れ る( 広 域 市 町 村 圏な ど の 広 域行 政 、 あ る い は 自 治 体 サミ ット ( 連 合 ) な ど) 。
総じ て、 「 む ら おこ し の ル ネッ サン ス」 と い わ れ る現 在 、 地 域 活 性 化 に と っ て重 要 な こ と は 、 自治 体 の 立 地 条件 、 人口 ・財 政 規 模 、 産業 構造 な ど の特 性 に あ わせ て 、 独 自 のポ イ ン ト を 見直 し 、 付加 価値 を ど れだけ 高 め て い く か と いう こ と で あ ろ う 。 そ し て 、 地方 だか ら こ そで き る も の( モ ノづ く り )、 あ る い は こ の地 域に し かで きな い こ と ( 行 事 、交 流)
を 発 見し 、 付 加 価 値を 創出 し てい くの は 、 担 い手 とな る地 域 住民 で あ る 。 す べ て は担 い 手 とな る新 し い 人 材 の 存 在に か か って い る。 自 ら の 地 域 は 自 らの 知 恵 と行 動 で 創 っ て い くと い う 主 体者 の 行 動力 で あ る 。 こ のこ と は、 こ れま で の よう に国 や企 業 な ど の 外 の 力 は利 用 し ても 依存 は し な い、 自 分 たち の地 域を 自 ら守 り 再 生さ せ て い く の だ と いう 人 々を より多 く 育 成 す るこ と で あ る。 そ の た め の自 治 体施 策 は 、 工 場 誘致 よ りも 人 材誘 致 や人 材 導 入 を 何 よ りも 先 決 し な け れば な ら な い 。 そ の 新し い 主 体こ そ 、 地 域 住 民 と 自治 体 と 職員 と の 三 者 一 体で あ ろ う 。 つ ま り、 自 治 体 の長 期 的 総 合 的 な 方 針 と 計 画 、 そ の 執行 にあ た り、土 地の 買 収 か ら 造成 、 企 業 の 誘致 か ら 配 置 と こ なし て い け る すぐ れ た行 政 能力 をも つ 職員、
お よび 強 い 意思 力 を も っ た 住民 との 総 合 的な 力 の結 集 で あ る。 さ ら に い えば そ れは 、自 治 体 自 ら がた だち に「 開 か れ た行 政知 織 へ」 と 変 革 に 着手 す るか 否 か に 依存し て い る ともい え る で あろ う 。
第3 節 まち づ く りシ ステ ム のC I 戦略
あ る 個性 的な 地 域 社会 を こ れか ら どう し て い く か に つ い て キテ ン と 考 え る者 は、 そ の土 地に 住む 住民 と 自 治 体 職員 以 外 に は あり え な い 。 国家 政策 か ら の 画一 的 関 与 も あ る鶴 基 本的 に は「 誰 が本 当 に 真 剣 にな っ て く れ る か」 と い え ば 、 や は り そ の 地 域 の人 間 し かい な いし で きな い。 彼 ら が や るし か な い の だ(1 ) 。 な ぜ まち づ く り を 他者 に一 任す る の か と い う批 判 の 声は ます ま す 高 まる ば か りで あ る。 従 って 、 そ こ の 住民 と 行 政( 自治
べ46‑
体) と が ど の よ うに つ なが っ てい くか 、新 し いシ ステ ム( 仕 掛 け や 仕組 み ) を どの よ う に つ く るか と いう こ とが 極め て重 要 な 課 題 にな ヽつて い る。 つ ま りそこ に生 き る人 び と が 協 働 し てヽ い ま 、 何 かで き る かを 考 え、 そし て行 動 する 、そ う し たシ ステ ムづ く りが 切実 に問 わ れて い る の で あ る。
そ のよ う な 新し い 仕 組 みを 、こ こ で は 「 まち づ くりシ ス テ ム」 と いう コ ン セプ ト で 総称 し て おこ う 。 こ のコ ン セプ ト は 、 「 どん な まち に し たい か 」「 こ ん な まち が ほし い 」 と い う まち の イメ ージ づ く り =C I 戦 略( コ ミ ュ ニテ ィ・ ア イデ ン テ ィテ ィ、 シ テ ィ ・ ア イデ ン テ ィテ ィ) に あ わせ て 、 まち づ く り政 策 事 業を 推 進 し て い く組 織 集団 の こ と であ る。 そ れ は「 住民 参 加型 のま ちづ く り 住民 会 議 」 の こ と であ る 。 例え ば 、「文 化 の 世 田 谷 」 とか 、
「 緑 の板 橋」 と か、 「 住 環 境の 杉 並 」「 冬 を 楽し む北 海 道 」 とか い っ たC I 戦 略( まち の イメ ージ ・ チ ェン ジ 、 新し い シ ン ボル マ ー ク や スn ーガ ン づ く り、 地 域ビ ジ ョン の形 成 、 ア ー バン デ ザ イン 、 まち づ く りル ネッ サン スな ど )を 実 現 するプ ロデ ュ ー ス機 構 とい う 装 置 で あ る。 そ れは ま た、 「民 間 活力 」を 導 入 す る と同 時 に 「 行政 活力 」を も 大 い に活 用 す る シ ステ ム のこ と を想 定 し てい る。
まち づ くり や 地 域づ く り の 個性 ・ 魅力 ・ 風 格 と いっ たCI 戦 略の 発 想 に は、 「 コ ミ ュ ニ テ ィ活 動か ら 地 域 経営 ・ 自 治 体経 営 の時 代 へ」 と いう 時 代的 変 化 の状 況 認識 が あ る。 例え ば 、 高 齢 化・ 国 際化 ・ 情 報化 ・ ソ フト 化 ・ ハ イテ ク化 とい っ た風潮 に 対し て 、 住民 も行 政 も う ま く対 応 でき ない で い ると い う 現実 に 直 面 し て い る。 国 の 補 助金 も 職員 数 も 予 算 も 徐 々に削 減さ れて い る。 だ れも そ こ ま で面 倒 みて くな い とい う危 機感 を 察知 し た。 そ こ で 、 チ ャレ ンジ ャ ー( ベン チ ャ ー ) 精神 を 発 揮し て 、 「 住 む た めの まち 」 「 働 く ため の まち 」 を 自 ら 摸 索し 始 め た ので あ る。
こ の よ うなC I 戦略 の 推 進 に とっ て 必 要 な課 題 が2 つ あ る。 ひと つ は 、 「( 行 政 ) 理念 に まで 遡 っ て( 自 治 体) の 性 格を は っ き りさ せ、 今 後 に向 け て のビ ジ ョ ン と活 動 を 明 確に さ せ ると いう 自 己 確認 」 と、 も う ひ と つ は、 「 確 認さ れ た自己 を 社 会 、市 場 、 顧客 、
( 住民 )に む け て積 極的 にPR し 、 わ れこ こ にあ り と いう こ とを 強 く 印 象づ け る 自 己 表現 」(2 )と いう こ と で あ る。
先 端 的 事 例とし て 、「 ヒュ ー マン 都 市 世 田 谷 」 のモデ ル を提 示し よう 。 「1.安 心 し て く らせ る世 田 谷の まち( お 祭 り、 懇 談会 、 ふ れあ い の場 、 町 並 みづ く り ) 」「2. み んな で つ くる 世 田 谷 の まち( まち づ く りセン タ ーに 集 ま る 人び とを 中 心 とし て ) 」「s. と もに 学 ぶ 世田 谷 の まち ( 地 域の 生 き た学 校、 コ ミ ュニ テ ィ ・ ス ク ール ) 」さ ら に 、 世田 谷 らし い町
一必7‑
並 みづ く りの まち づ くり 基本 計 画 と し て 、 ① 居 住 環境 の 整 備 、 ②自 然 環 境 の 保全 、 ③土 地 利 用 と 都 市基 盤 の 整 備、 ④ 産業 振 興( 区 民 生 活 と 結び つ い た商 業 、 買 物 環 境 ) 、 ⑤ 教 育文 化 の向上 、⑥ 福 祉・ 保健 の充 実 、 ⑦消 費生 活 の 防衛 、 ⑧区 民 交 流 の 促 進 、 と い う8 つ の体 系 が確 立さ れて い る。 こ れらの 政 策に 共 通 し て い るも の は 、 都 市 生 活 の中 で人 間 らし く 生 き て い くと は どう いうこ とが とい う 行 政 課題 で はな か ろ う か 。
どんな 魅力 あ る まち にし たい のか とい う 理 想 像 は、 逆 に い え ば 、 そ れが現 実 に欠 如 、 喪 失 し 、 あ るい は 未成 熟 で あ るこ と の証 左 でも あ る。「 まち に 個 性 を 」 「 す て きな 出会 い の場 を 」 「 緑 と水 のル ート づ く り 」 「人 の ネッ ト ワ ー クづ く り 」な ど 、 高 級 感 覚 あ ふ れ るコ ピ ーば か りで あ る。 と り わけ 、憩 い と安 ら ぎ と く つ ろぎ の場 とい っ た オ ーブ ン スペ ー ス( 空 間、 前 庭 、空 地 、 広 場な ど ) へ の 要望 は高 い 。 あ るい は 、 遊び 、 学ぶ 、 見 る、 と い っ た ア メニ テ ィ感 覚( 快適 、 個性 、余 裕 、質 、 心 の 豊 かさ )な ども 際 立 って い る。 「 個性 と 潤い と活力 のあ る まち づ く り」「 美 ・ 観 ・遊 ・ 創 の 都 市 空間 づ く り 」 、あ るい は 「 住民 自 身を 主 人 公 とし たシ ナリ オと スト ーリ ーを 演 出 す る 舞 台装 置 」 等 々、 い わば 「 商 品 価値 」 とし て のC I を 創 り 出し てい こう と し てい る よ う に 巴わ れ る。 こ れ ら は現 代 都市 に お け る まち づ く りの 基本 的 特 徴 で あろ う 。
かつ て コ ミ ュニ テ ィ・ シン ボ ル とい え ば 、 定 住 性 、参 加 性、 コ ン セン サ ス性 、 空 間 性 、 時 間 性( 歴 史性 )、 象 徴 性( 公 益 性 、共 通 性 )、 平 等性 、 非 権力 性な ど とい っ た論 争 が メ イン であ っ た。 あ る い は 、 ハ ード な 施 設 づ く り や ソフ ト なコ ミ ュ ニテ ィ 活動 、 交 流 の 機会 づ くり、 人 間 性回 復 の場 づ く りな ど 、い わゆ る 歌 っ て 踊 っ で の スポ ーツ 、 レ ジ ャ ー、
レ クリ エ ーショ ン な ど が中 心で あ っ た よう に 思 わ れる 。 そし て 「交 流ブ ラ ザ 」 や「 市 民 サ ロ ン 」 な どの 環 境整 備 や 施設 づ く り が 優先 的 に 設 立 、 展 開 さ れて き た 。
し かし 最近 で は、 単に 人 と人 、 心 と 心の 結 び つ きや まち を 守 り ・ 住 み や す くし てい こ う と いう こ とか ら、 さ らに 一 歩 進 ん で 、 まち づ く り から 地 域 振 興 に 絡 め て 結び つけ ら れ るか どう かに 力点 が 移行 し つ つ あ る 。 さ まざ まな 交 流 の中 か ら 何 か 新 し い 商 品 や イベン トを 見 出し たり、 社会 的 資 源 の活 用 を 図 っ て 新 製品 を 開 発し た り す る よう に な っ て き た。 「コ ミ ュ ニ テ ィ ビジ ネ ス」 とし て の マ ネジ メン ト 的 発 想 へ の転 換 で あ る。
例 えば 、生 活者 の 視点 から の 国 際交 流 を 図 ろ う と いう 異文 化 体 験 のチ ャン スで も 、そ れ は 単に 一 緒に 食事 を し な がら お 話 を す る と い う 場 づ く りで はな く 、チ ャリ テ ィシ ョ ー やシ ン ポ ヅ ユー ムや バザ ーや 祭 りの 中 で 、ビ ジ ネス と し ても 企 画さ れ る よう に た っ た。 つ まり イベン ト を 開 催し て注 目 を集 め 、 参加 す る こ と に 意義 か お る ので は な く、 そ の イベン
−448‑
ト を 通し て地 域 全 体 の活 性 化や 経 済 的 波 及 効果( 地 域 経営 ) につ な が っ てい く こ と が 大 切 な の で あ る。 そ し て そ の利 益を 育 英 奨 学 金 や留 学 生 会 館設 立 のカ ン パ や セン タ ーの 運営 資 金 に 供 し たり す る 。 い わば 、 経済 性 、 効 率性 、 機 能 性と い っ た視 点も 導 入さ れる よ う にな っ た 。 こ れ はヽ 国 家的 行 財政 改 革 の 中 で 、緊 縮財 政 、自 主 財 源確 保、受 益 者負 担 、 独 立採 算 性 な ど と いっ た財 政事 情も 考 慮せざ る を えな く な っ たた め であ ろ う 。
こ うし てヽ 各 自 治 体 はさ まざ まな ま ち づ くり 政 策 事業 を 推 進し て い る。 ①中 野 区老 人 ア パ ー トプ ロジ ェ クト 、 ②財 団 法人 こ う べ市 民 福 祉振 興協会 、 ③武 蔵 野 市 福 祉公 社、 ④ サン シ テ ィ・リ タ イ アメン ト コ ミ ュ ニ テ ィ、 ⑤プ ラ イ ムコ ミ ュニ テ ィ伊 東 、 ⑥足 立 区 の まち づ くり 公 社( 財団 法 人 ) 、 ⑦奈 良 まち づ くり セン タ ー( 社団 法 人 ) 、⑧ 墨 田区 の まち づ くり 公 社 、 ⑨ シ テ ィ ーパ ー ク せん だ が や、 ⑩ち よ だパ ー ク サイドブ ラザ( 千 代田 区 ) 、 ⑩ 遠 野 ふ る さ と 公 社い
町土 地 開 発 公社 、 ⑩早 川町 の 南 アル プ スふ るさ と 活 性 化財 団 、 な ど(3) 。
で は、 こ の よう な 新し い まち づ く り シ ステ ム は、 一 体誰 に よっ て、 ど う いう ふ う に 組織 さ れ、 ど のよ う に利 用 、管 理 運 営 さ れ て い るの で あ ろう か 。
住民 と 行 政 と の関 係は 、こ れ まで の 歴史 上 ・ 立 場上 、 相互 的 不 信 感が まだ 根強 く 残 っ て いる 。 し か し、 住民 参 加と 行 政 の 役 割 ぱ 車 の両 輪 の如 ぐ で あ り、 両 者 の 連 携プ レ ーと 相互 協力 が 時 代的 に も 要 請さ れて い る 。 行政 の 理 解 と協力 は どう し ても 不 可欠 で あ る。 た だし 、 行 政 側 は 、こ れまで あ まり にも 住民 不 信と 行 政主 導型 のウェ イト が 高 か っ たこ と を 反 省し ( ∠I)、 か つ 住民 側も お 上 志向 ・中 央 志向 や 町内 会 ・ 自治 会 への 依存 度 が 高 か っ た こ と な どを 反 省 す る必 要 か お る。 そ の 相 互 確認 の 上 で改 め て 、両 者 の協 力 関 係 のあ り か た や チ ェ ッ ク& バ ラ ン スを 図 って い か ねば な らな い 。
まち づ く りシ ス テ ムは 、 行政 主 導 型 か 住民 主 導型 か 、そ れとも 両 者 の ハ イブ リ ッド 化 に よる 第 三 セ ク ター 型( 民 間 の採 算 性 、 競 争 原 理 の導 入 )か 。 あ るい は消 費 生 協 な ど 、 共に 出 資し て つ く る共同 経 営 体で あ る「 ワ ー カ ー ズ・ コ レ クテ ィブ 」の よう な 新し い 型(5 ) か。 内 実 的に は 、 政府 ・ 財 界志 向 の 住 民 遊離 ど 住民 優先 と いう 二 つ の 相矛 盾し た 方向 性 を は らん で 進め ら れて い ろ と い え る かも し れ な い(6 )。 し かし な が ら 、 従来 の反 省 に 立 て ば 、行 政 か ら 住民 へと ウェ イト が 転 位し つ つ あ るこ と が判 る 。 確 かに 、 都 市 づ く り計 画 や 事業 の運 営 や意 巴 の決 定 過程 に 、 行 政や 民 間 企業 の ほ かに 、 各 種 住民 団 体 や 個人 ボラ ン テ ィ アなど が多 数 参 加 す る よう に な っ た 。自 主的 に行 動 す 引 主民 を 前 提 に、 行 政 当 局 と対 等 の立 場に 立 ち、 発 言 す る よ うに な っ て き た 。盛岡 市 の 住民 の代 表 機関 と も い え る
づ49 一
環 境デ ザ イン 委員 会、 相 模原 市 の 計 画 策定 手 法、 あ るい は武 蔵 野 市 の 在宅 老人 の 世 話 を す るボ ラン テ ィ アなど 、 「 住民 の 自 由 な 意思 に よ る契 約 関 係 」 が 強 く な っ てい ろ 。 行 政 はも はや 共 催 、後 援 、 参加 と い っ た「 支 援方 式 」 へ と、 少 し ずつ で は あ る が変 わり つ つ あ る。
こ のよ う な行 政 支援 の内 容と は、 例 示 す れ ば 、
①法 制 度的 保 障( 環 境 、 建物 な ど の 協定 、 憲 章、 条 例づ くり な ど )
②情 報提 供( 世 界的 、 全国 的 、 先 進的 な 知 識な ど )
③資 金援 助( 補助 金 的 発想 で はな く 、 まち づ く り資 金 、 公 益受 託 、 先 行投 資 、 優先 順 位 の 決定 な ど )
④技術 的 援 助
⑤ リ ーダ ーの 養成
な ど が あ る。 そ し て 、 住民 ・ 行 政・ 企業 な ど の共同 投 資 、 共同 経営 と いう スタ イル にな り つ つ あ る 。 行政 も ま た自 治 体( = 公共 企 業 ) 経営 、 あ る い は 地 域( = 都市 ) 経 営 と い っ た 観点 か ら 地 域発 展 の 戦略 を 考 え て いか ねば な らな い と い う こ と で あ る 。 その た め に は 、「
企業 活力 」 や「 市民 活力 」 だ け でな くむ し ろ 「 行 政 活 力 」 の推 進 に よ っ て、 自 治 体 も また あ た かも 株式 会 社 的 ス タン ス で、 事 業 主 体と し て の 根 本 的 組 織変 革 が求 め ら れて い る
ので あ る 。
第 ∠1節 まち づ く り セン タ ーの 構想
まち づ く りセ ン タ ー は、 い わば マ ト リ ッ ク ス型 組 織 と ネッ トワ ー ク型 組織 と の ミ ッ ク ス に よっ て 編成 さ れる オ ープ ン シ ス テ ム とし て 捉 え ら れる 。 そ れは、 従来 の よう な官 僚 機構、
中 央集 権的 支 配、 階層 構造 、 ト ップ ダ ウ ン な ど で はな く 、 ① 細 分化 ( 組 織的 に は自 己 完結 型 の 自律 的 な 部分 から 構成 さ れて い る ) 、 ②分 散化 ( メ ン バ ーの 重 複 、 リ ーダ ーの 交 替と い っ た水 平 的 なつ な が り )、 ③価 値 観 の共 有化 ( 住民 志 向 と い う 思 想 的 な 結び つ き) とい
っ た3 つの 基 本 的原 則 が 織<oな す組 織 体で あ る(7) 。
こ のよう な シ ステ ムは 、 換 言 す ると 、 「 平 等 で 独 立 的 自 律 的な メン バ ー から な る非 階層 的 シ ステ ム 」で あ り、 「多 頭型 リ ーダ ーシ ップ 」 、 ま た Γ同 じ 世 界 観 と 価 値観 を も っ た、
自 律的 で 自 己 の実 現を 目 指 す多 数 の 個人 か ら な る自 由 な 形 態 の 自 主 的 組 織 」で あ る。さ ら に い えば 、 「 異質 の イン テ リジ ェン ス の新 し い 組 み合 わ せに よ る複 合 体 づ く り 」(8 )で あ る とも い え よ う。 まち づ くり セン タ ー は多 様な 人 び とが 参加 し 、 異 質な 専門 家 たち が広
一妬O‑
く深 く交 流し あい 、「 新し い 共生 の地 域 づ く り 」を 考 案し 実 践 す る 場な の で あ る。 い つ で も 住民 に 開 か れて お り、 メン バ ー は自 由 参 加 型で ゆ るや か に リン クさ れ、 メン バ ーの 一 人 ひ と りが ネッ ト ワ ー クの中 心 で あ り、 そし て 協 働的 で あ る。 自 律 し つつ 相 互 依存 し あ う 関
係で あ る。 入び と はお 互 い がお 互 いを 必 要 と して い るので あ る。
「 まち づく りセン ター 」あ る い は「 まち づ く りハ ウ ス」 は、 あ く まで も施 設 づく り で は な く、 新し い まち づ くり 運動 の 形 態を と っ て い る。 例 え ば 、 公共 企業 体( 株式 会 社設 立 )、
社団 法 人 、 公 益法 人 、公 社 ・公 団 、地 域 経 営 研 究所 、 協同 組 合な ど 。 セン ター の 法人 化 ( 財団 化) を めぐ って は過 渡 期で も あ り 極め て 曖 昧で あ る。 し かし い ず れ は、ブ ロ の 専門 家 集 団 とし て 採 算ベ ー スに の せ た ネッ トワ ー ク ビ ジ ネ ス主 体 と な って い くて あ ろ う(9) 。 そ し て、 人 、 機関 、 施設 、 情報 、 資 金な ど を 組 み 合 わ た ハ イブ リ ッ ドビ ジ ネ スの ネ ッ ト ワ ー ク セン ター とし て の機 能 を発 揮 す る よう に な るで あろ う 。
行 政 は、 そ の セン ターの 活動 を積 極的 ・全 面 的 に バッ ク アップ す る。 「募 金 一買 取 り ー 保 存 」 から さ らに 、 まち の活 性化 を サポ ート す るこ と が行 政 の 最大 目 的で あ る 。 セン タ ー の 役 割 はい ろ い ろ あ るが、 例 え ば、 ①コ ーデ ィ ネ ータ ー( 調整 的 機能 ) 、 ②情 報 提 供 、 ③ イベ ン ト業 務 、 ④ リ ーダ ー 養成 、 ⑤援 助( 相 談、 資 金 融資 ) 、⑧ 啓発 活 動 な どで あ る 。 こ う し て 、 まち づ く りセン タ ーは 、 人 の集 ま る所 、 情報 の 交 流 す る所 、 サ ービ スを提 供す る 所 だけ で な く、 ひ ととも の をつ くり 生 み出 す 場で も あ る ので あ る。
従来 の コ ミ ュニ テ ィ・ セン タ ーが、 「 イベ ン ト ホ ール 」 や 「 コミ ュ ニテ ィ・ サロ ン 」 と し て の 住民 の交 流 と活 動 の場 づ く り( 施 設 づ く り 、 組 織づ く り、 ひ とづ くり ) を中 心 とし て い るの に 対し 、 まち づ く り セン タ ー は、 まち づ く り、 も の づ く り、 資 金づ くり、 店 づ く り 、 製品 づ く りな ど を通 し て、 「 まち 全 体 の地 域 振 興 」(「 生 活 おこ し 」「 仕事 お こ し 」)を 目 指 し て い る。 地 域生 活全 体 を 活 性化 す るた め に 、資 源と し て の地 域の 「 コ ミ ュニ テ ィ・ビ ジ ネ ス」 を 起こ し ていこ う と いう 基 本 戦 略 で あ る。 その た めに 行 政と 住民 と が提 携 し 、 コ ミ ュニ テ ィ ・フ ァ クト リ ー、 コ ミ ュニ テ‑Y ・ ク ラフ ト( 工 房 )、 コ ミ ュニ テ ィ ・シ ョ ップ な ど、 所 有 ・管 理 ・運 営を 共同 事業 経 営 化 す る 。 公共 施 設 と民 間 施設 と の同 時 複合 化 に よ る相乗 効 果 を ねら っ た連 合方 式 な ので あ る。
こ の よう に、 まち づく り セン ター は地 元 製 品 づ く りに力 を 入 れ、 ユ 二− クなブ ラン ド 製 品 を 開 発す る。 スロ ーガ ン は一 村 一品 、 一 集 落 一 品 、一 店 一 品 運動 で あ り 、「 一 地区 一 プ ラ イド 事業 」(10 )で あ る。そ し て 地元 物 産 展 を 全 国 各地 で 開 催 す る。 有 名デ パ ー ト 、 イ ベ ン ト 会 場、 県人 会 あ るい はダ イレ ク ト メ ー ルな ど を 通し て 、 販 売、p 削 こ努 め る 。 まち
べ5ト
づ く り 運動 は 単 に 生活 の 場 だけ でな く 、 地 域 経営 的 発 想 を 取 り 入 れ た「 生 活 十生 産 の場 」 と し て 機 能 する 。 そ れは次 の 高齢化 社 会 を も 射 程 に 入 れ た雇 用 対 策 の一 環 と し て も 位 置づ け ら れる。 も ち ろ ん こ の よう な 考 え方 は 、 地 域 間 、 自治 体問 に よ って 大 き な 格 差 が あ る。
と く に労 働・ 消 費 に余 裕 のあ る都 市型 と 職場 ・ 生 産 ・人 口 に 危 機 感 をも つ 農 村 型 ( 過 疎 地)
と で は大 き く違 う 。 し かし マ クロ な 視点 で 、 全 体 とし てひ とつ の まち を つ く っ て い く こ と が 個 別商 店 や 住 民 の発 展 につ な が る 、 とい う 戦 略 に お いて は変 わ り ない 。つ ま り ハード お よび ソ フ ト両 面 の 事業 主 体 とし て 、CI 革 新 の 大 き な 役割 を まち づ く り セン タ ーが 担 っ て い る ので あ る。
まち づ く り セン タ ーの 施 設 は、 そ の ネッ ト ワ ー ク 的 性 格上 、 総 合 的 複合 施 設 の中 に 入 る 場 合 が多 い 。そ う す れば 当 然、 施設 管 理も 多 角 的 複 数 主 体 に よ っ て 事業 経営 さ れ るこ と に な る 。 セン ター の 構 成メ ン バ ー は同 時 に リ ーダ ーで も あ る が 、 特 に 質 の 問題 が 問 わ れて い る 。 ハ イクォ リ テ ィ時 代を 反映 して 、 良 質 か つ 優秀 な 人 材 を 輩 出 す るか ど う か で あ る 。「 こ の まち で 生 き て 、 まち づく り が好 き だ」 と 、夢 とロ マ ン に 燃 え る人 を も つ こ と が で き る か どう かで あ る 。 従 っ て 、 メン バ ー は自 ず か ら 地 域 社会 のあ ら ゆ る 職 種か ら 選 出 さ れる 。 階 層や 肩 書 は一 切 関 係ない 。 大 前 提 は、 ま っ たく の 自 発的 、 自主 的 、 自由 ・ 平 等 な 個人 主義 原 理に 基 づ い て 、 本 人 の関 心 と 熱 意 とに よっ て の み 参 加 が 認 め ら れ る。 例え ば 、 個人 参 加
( サラ リ ーマ ン 、 学生 、ボ ラ ンテ ィ ア、 主 婦 な ど ) 、 専門 家( 都 市プ ラン ナ ー 、ジ ャ ーナ リ スト、 税 理 士 、 教 員 、デ ザ イナ ーな ど )、 利 益 団 体 代 表( 商 工 会 、 経 済団 体 、労 働団 体、
婦 人 団 体な ど ) 、 住民 団 体代表 ( 町 内 会 ・ 自治 会 、 サ ーク ル 、 スポ ー ツ 、PTA な ど )、
指名 代 表( 民 生 委員 、 体育 指 導員 、 まち づ く り 推 進員 な ど ) な ど の人 び と に よ っ て 構 成さ れ る。
こ う し た多 種 多 様な メン バ ー に よ って 、 「 まち づ く り推 進 連 絡 会 議 」 や 「 合 同 市 民 委員 会j が 開 催さ れ 、 自主 運 営さ れる 。こ こ で は、 職 員、 住民 、 専門 家 、企 業 代 表 な ど の 人び と が、 サロ ン的 雰 囲気 の 中 で 気 軽 に 意 欲的 に 討 議し あ う 。 つ ま り 誰 でも が 自 由 に 集 い 、語 り 、 飲 む、 食 ぺ る と いう オ ーブ ン スペ ー スで あ る。 た だし 烏 合 の 衆 と な らな い た めに は、
本 当に パ ワ ーを も っ たり ーダ ー や キ ー・パ ーソ ン( 「 ま ち づ く り の 仕 掛人 」 (11 ) )が 傑 出 し な け れば な らな い こ と は い う まで もな いこ とで あ ろ う 。
さ て 、 以 上 に 見 て き た通 り 、 地 域社 会 に 開 か れ た地 方 自 治 体 、 すな わ ち 開 放 型 行政 組織 へ と変 革し てい くた めに は、 行 政 が 住民 に 対し て た え ず オ ーブ ン で あ るこ と 、 と 同 時に 住‑452‑
民自 身 の行 政 へ の 参加 要 求が つ ねに 積極 果 敢で あ る こ とが 必 要 不 可欠 で あ っ た 。さ ら に 行 政 の 門戸 開放 をさ せ てい く ため に は 、職 員 と 住民 と の 両者 の 多 大 な尽 力 が 必 要 で あ り、 と り わけ 変 革志向 型 の人 材育 成 の 大 切さ を 痛 感し た。
か つ て むら おこ し とし てワ イン づく り に 成 功し た岩手 県 大 迫 町 町長 は 、 次 の よう に 語 っ て く れ た。 「 よい ワ イン は よい 原料 づ く り から 生 ま れ、 よい 原 料 は よい 土 づ く り から 生 ま れ、 さ らに よ い土 づ くり はよ い 人 材( 農 民 や技 術 者 たち )か ら 生 ま れる も の だ 」 と。 まさ に「 ひ とづ く り 」こ そ が、 今 後 の 自治 体 の タ ーニ ン グポ イン ト を 担う で あ ろ う 。 自治 体内 外 の人 び との 参 加 と知 恵 と行 動 を い か に変 化 、 成 長 、向 上 さ せ てい くこ と が で き る か、
ま ず 何 よ りも ひ と づ くり に 成功 し てこ そ 、 まち づ く りや 政策 づ くり や 組織 づ く り な ど にも う ま く 連 結、 展 開 さ れて い く ので は なか ろう か 。
注
(1) こ の よう な 「地 域 の自 立 と は 何か 」 と い えば 、 ま ず 「地 域 の 自我 の 確立 」 であ り、
「 自治 責 任 の 確立 」 であ る。 そし て 「 地 域に 適 合 し た生 活 ス タ イル 」で あ り 、こ れら を 通 し て 「 ナシ ョ ナ リ ズ ムを 超克 し て い くこ と 、 い い かえ れば 、ロ ーカ リ ズムを 基盤 にし てコ スモポ リ タニ ズ ムを 確 立 」 す るこ とで はな か ろ う か( 西 尾勝 「 地 域 の 自 立 と は 何 かJ ffl村明 ・ 三 木 俊治 編 著 『 地 域の 自 立を めざ し て 』 公人 社 、1988、p.42 )。
(2 ) 梅 渾正 「 自 治 体C I は本 当 に 必要 か」 『 晨 』ぎ ょ う せ い 、1988.10、p.20o
(3 ) まち づ く り ・ むら おこ し の 事 例に つ い て は、 川 俣芳 郎 『変 革時 代の まち づ く り ・ む ら おこ し 』 ぎ ょう せ い、1985 、 あ るい は 磯 村英 一 監修 ・ 坂 田期 雄 編著 『 新 し い 地 域 社 会 づ く り 一雇用 の 場 ・ まち の 活力 − 』地 方 の 時 代/ 実 践シ リ ーズ5、ぎ ょ う せい、1982、
な ど に詳し い 。
( ∠1) 「生 活 産業 融合 都 市」 を めざ す板 橋区 は 、区 の役 割 につ いて 次 の よう に 位置 づけ て い る 。「 担 い 手( 主 役) は区 民 と 企業 者 自 身 で す 。生 活産 業融 合 化 の実 現 も 、 区民 の 自 主 的、 自 立 的な 知恵 と努 力 、 そし て企 業 家 精 神 の発 揮に 負 う とこ ろ が大 きい の で す。
で は 、生 活 産 業 融 合化 に、 区 の 果 た す ぺ き役 割 と は 何でし ょう か 。 簡 単に い え ば 、望 まし い方 向 を 提示 する と とも に 、 そ れに 向 け て の有 効 な協 力 の 仕 組 みを 創 るこ と で す。」
本 区 の 新し い 視点 と は、 柔 ら か く 関 わり 、 内 側の 融 合化 を 進 め 、 新 たな 縁 を結 び 合 う こ ど な ど の重要 性を 認 識し てい ると い うこ とで あ ろ う。( 『 板 橋区 産業 振 興 ビ ジ ョ ン ー21世 紀 の生 活 産業 融 合 都 市 を めざ し て ー』板 橋 区 、1988、p.21 )。
べ53‑
(5 )塩 原 勉 「現 代 日本 に お け る 組織 化 の 諸形 態 」 組織 科 学2 ト4 、1988、p.28 .
(6 )矢 沢 澄子 「 大 都 市に おけ る都 市 政 策 形 成 の行 政 ・ 住民 関 係 一横 浜 市と 川 崎 市 を 事 例 とし て ー」地 域 社会 学 会 編 『行 政 と地 域 社会 』 時 潮 社 、1985、p. 100、103.
(7 )j. リッブ ナッ ク・J. ス タンプ ス、 前掲 書 、p.272 .
(8 ) 熊 田 禎宣 「21世 紀 の 都市 づ く り の戦 略 と イメ ージ 」 都市 問 題 研 究40‑7 、1988、p. 160(9
) 「 地 域産 業 おこ し 」 の事 業 主 体、 事業 内 容 、 活 用 地 元資 源、 販 路、 流 通 経 路 な ど に つ い て は、 沖 野文 太 『 町村 は生 き 残 れ る か 』( 全 国 加 除法 令 出 版 刊 、1986、pp.177‑81) に 詳し い 。 ま た と くに 過疎 地域 市 町村 の実 施 状 況 に つ い て は、 「 過疎 対 策 の 現 況 一後 期五 箇年 計画 の ス タート にあ たっ て ー」(1985 年 度 過 疎 白書 ) な どを 参 照 さ れ たい 。(10
)森 田 三 郎 「 まち づ く り と文 化 一地 域 に生 き るプ ラ イド の再 生 −」 都市 問 題 研 究40‑1
、1988、p.49.
(11 )大 森 佃 「 自治 体行 政を め ぐ る変 化と 対 応 」 佐 藤 竺 編 著 『地 方 自 治 の 変 動 と対 応 』 学 陽書 房 、1980、p.119 .
454
第7 章 行 政 のブ ロ フ ェ ツシ ョ ン と し て の専 門 職制 度 の 導 入
は じ め に
現 代自 治 体 は 、 新し い環 境 状況 に 適 応 で き る新 し い 職員 像 を 摸索 し て い る。 こ の よう な 新し い行 政 組 織 に おけ る 職員 像とし て 、 行 政ブ ロ フ ェ ツシ ョ ン と いう 地 位・ 役 割 関 係 が 期 待さ れつ つ あ る。 行 政プ ロ フ ェ ツシ ョ ン と は 、各 部 門 で の専 門 的 職務 遂 行 能力 を も つ スペ シ ャ リ スト で あ ると 同時 に 、 全 庁的 ・ 地 域 的 立場 から 言動 で き る 組織 的 管理 能 力 を も つ ゼ ネラ リ スト と い う 、両面 性を 兼 備し た有 能 な 人 材 のこ と であ る。 彼ら は 学 歴 より 資 格 、 資 格 より 実力 と 実 績 、さ ら に は 職業 倫 理 や 価値 志向 と いっ た新 し い 資質 や 能力 の獲 得 が 求 め ら れて い る。 そ こ で 、さ まざ まな 資 格 を 取 得し て 、日 常 的 職務 活 動 に生 かし てい るブ ロ フ ェ ツシ ョン をめ ぐ る 専門 職 制 度 導 入の 現 状 と 課題 に つい て 、 実 践的 ・ 実 証的 視点 か ら 考 察 し てい く。
第1 節 新し い 職員 像 の探 求
あ る 特定 の 地 域 社会 に おい て 、 そこ に 住む さ まざ まな 人 間 の スト ッ クを新 し く 組 み立 て 、 より 豊 かな 住 み や すい 、 魅力 と 活力 に満 ち た まち づ くりシ ステ ム へと 連 結し て い く た めに は 、 どの よう な 施 設や 組 織 が 必要 で あ ろ う か 。こ の 新し い 仕 組 みづ く りを 集約 し て い え ば 、 い わゆ る 「 住民 」 と「 行 政 」 と「 企業 」( 専門 家 ) とを 結 ぶ三 者 間 のト ラ イアン グ ル の中 で 、多 様 に かつ 具 体的 に 検討 、 試行 さ れ つ つ あ ると い え よう 。こ れら三 者 間 の 関係 構 図 の あ り か たを 提示 す る と、[ 図3 −1 1 ] 「 まち づ く りシ ステ ム の構図 」の よ うな モ デ ル が 描 か れる 。
( 図3‑11]ま ちづ く り シ ステ ム の 構図
べyj‑J
企 業 にお い て は従 来 よ り 、ヒ ト ・カ ネ ・ モ ノ' 技 術 ・ 情 報 ・ 時 間 な ど のあ ら ゆ る組 織 資 源を 有効 活 用 す る ため に 、 最 高最 大 の 努力 を 傾 注し て き た。 行 政 にお い て も や は り、 そ の 本 来 の目 的 よ りし て 地 域資 源 の有 効 活 用 の た めの 「 まち づ く り型 自 治 体 」を 志 向 し て い た こ と は 確か で あ ろ う。 そし て「 オ ーブ ンシ ステ ム とし て 地 域社 会 に開 か れた 行 政 組織 」 と い う 今日 的 課題 は 、一 般 住民 の 中 か ら 有 能 な人 材活 用 を い か に 図 っ て い く べ き かと い う 時 代 的 要 請で も あ っ た。 「 民 間( 人 ) 活力 の 導 入 」 と いう スロ ーガ ン は、 単 に 大 手 民間 企 業 ば か り に目 が向 け ら れて い る の では な く 、 住民 も ま たそ の 範暗 に 含 ま れ、 い わ ゆ る外 部 か
らの 人 材 登用 を 徐 々に 可 能 に す るこ と で あ る 。 住 民 参 加 論 が ま す ま す活 発 化 す るに つ れて、
次に 行 政自 身 の 自 己( 内 部 ) 変 革を 否 応 な く問 わ れ 、 民 活 ( 企 業 活力 と 市 民 活力 )に 対 応 し だ 官活 の必 要 性 が 切実 に な ヽつて き たの で あ る 。
こ うし た三 者 間 の相 互 連 環 的 作用 に よ り 、 よ り 綿 密 な ネッ ト ワ ー ク型 組織 化 の必 然 性が 出 て き た。 そ れぞ れの 代表 的 団 体 や 職務 の 専 門 家 たち が 参 集 し て 、 まち づ く り の新 し いシ ステ ム づ くり を 探 求 す るよ う にな って き たの で あ る 。 施 設 的 に い え ば 、 例え ば 、 まち づ く りセ ン タ ー( 奈 良 市 ) 、 まち づ く り ハウ ス( 世 田 谷 区 ) 、コ ミ ュニ テ ィ・デ ザ イン ・ セン タ ーな ど で あり 、 組織的 に い え ば 、 まち づ く り 委員 会 ( 足 立区 ) 、 まち づ くり 専 門 員( 中 野区 ) 、 まち の相 談員( 神戸 市 )、 まち づ くり 会 議 、 ま ち づ く り 交 流会 議、 あ るい は まち づ くり 懇 談会 な ど で あ る。
こ の よう な新 し い まち づ く り運 動 の 担 い 手 と し て 注 目 す ぺ き は 、 何 よ りも 地 元 住民 の積 極 的関 与 と いう 視点 で あ ろう 。 まち づ く り を 考 え る人 と は、 い わゆ る 他 者 とし て の企 業家 やコ ン サル タン ト な ど に 全 面 委任 し て つ くっ て も ら う も の で は な く 、 そこ に 住 みかつ 利 用 す る人 々こ そ主 体者 と し て 発 言 す べ き だ とい う こ と に気 付い た人 ( の 増 大 ) とい うこ とで あ る。 「 自分 たち の まち は 自 分 たちで つ く る 」 と い う基 本 原 則 に こ だわ り始 め た人 々 の出 現 で あ る。 彼 ら こそ 実 はシ ロ ウ ト と し て の 生 活 者 た ち で あ っ た 。そ の アマ チ ュ ア 住民 が みん な の手 づ く り で 町 を 創造 し て い く こ と の 楽し み や面 白さ を知 り始 め たの で ある。
こ うし て 、 住民 総 参加 や 地 元 主 導 型 と い う 趨 勢 の 中 か ら 、さ ら に 有 能な 人 材 ( キー パー ソ ンヽ リ ーダ ー、 仕 掛け 人 たち ) が輩 出 さ れ る こ と にな っ た。 と り わけ 住民 個 々のプ ロフ ェッ ショ ン たち ( 弁 護 士 、 税理 士 、宗 教 家 、 教 師 、 建 築 家 、 科 学 者 な ど ) が、 既存 の 町内 会・ 自 治会 や利 益 団 体 の 枠 組を 超 えて 横 断 的 に 参 加 し始 め た。 従 来 の 団 体 代表 のル ート を 媒 介せ ず 、ひ と り の 住民 とし てプ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル な 知 識 や技 能や 体 験 や 価 値志 向 を もっ てヽ スト レ ート に行 政 の 意 思 決定 過 程に 参 画 し 始 め たの で あ る。 遠 野 市 で は 、 地 域 住宅 計
て56‑
画 策 定 にあ たっ て 、 ホ ープ 計画 協 会と いう 建 築士 会 、 町 の左 官 、 大 工 、 商店 街 など で 組 織 す る民 間 団 体に 委 託し て 、非 常 に 個性 的 な まち づ くり に 成功 し たと い う 事 例が あ る。 こ れ はつ ま り、 地元 住民 のブロ 有志 に よ る有 効 な 人 材 活用 の 成果 と いう こ と であ っ た 。
こ うし た住民 の中 のブ ロ 参加 に対 し て 、行 政 側 でも 自 ず か らブ ロ と し て の対 応 を せざ る を え な い 。つ ま り 職員レ ベ ル の ハ イク ォ リテ ィ化 か 問 わ れる 。 まさ に 行 政主 体 と し て 職員 自身 の 、 こう し た新 し い変 化 へ の対 応力 が問 わ れて き た。 交 渉 能力 、 企 画能 力 、 問 題 解決 能力 な ど の 職務 の 実質 性を め ぐ って 、 現 実的 適 応 能力 が求 め ら れて き た。 換 言 す ると 、 ま ち づ く り のプ ロ 、 あ るい は行 政 のプ ロ とし て の 新 し い 職員 像 が 希求 さ れて き た とい う こ と で あ る 。
こ こ で 大 きく 発 想転 換 すべ き は、 折 衝 相手 はシ ロ ウ ト の住 民 ば かり で な く、 職員 以 上 に より 高度 な英 知 や 才 能を もっ た強力 なプ ロ が含 ま れて い る とい う こ とで あ る 。 行政 職 員 は こ う し た 人 間の 環 境変 化 に対 し て 、 ま ず 何よ りも 自 己 自身 の 組 織開 発 や能力 開 発 が切 実 に 求 め ら れて いる と いう こ と に気 づ か ねば な ら な い 。
第2 節 資 格 取得 の 時 代
1985年 の 行政 改 革 以来 、定 員 管 理 政策 は減 量 経営 主 義 と し て 職員 数 の抑 制や 削 減を 各 自 治 体 に強 要し て きた 。こ れが上 級 官 庁 か らの 至上 命令 で あ れ、 あ るい は 時 代的 要 請で あ れ、
自 治 体 に とっ て は 避け えな い 自 己改 革 の 契 機 とな っ た 。こ の職 員 減 に対 応 す る施 策 とし て は、 次 の2 つ の方 法 が 考 えら れ た。(1 ) 機 械化 導 入 に よ る省力 化 、(2 )職員 の能力 開 発 、 とい っ た 選 択肢で あ る 。(1) は 科学 技 術 の 発達 やME 革 命 とい っ たコ ンピ ュ ー タ時 代 の波 に 乗 り 、OA 化 を 次 々に 促進 し て い くこ と であ る。 こ の 結果 、 当 然 のこ と なが ら 職員 の職 務内 容 は 大 きく 再 編成 さ れ、 ま す ます 専 門 分化 の傾 向 が 強 くな っ て き た。さ らに(2 )は残 さ れ た職員 の少 数精 鋭化 とい う美 名 の 下 に 、多 能 化 、 スタッフ 化 とい う 意 識啓 発 や育 成 訓 練 を 積 極 的 に推 進し て い くこ と で あ る。 ここ で は と くに 後者 の ヒ ド の 問 題に 限定 し て
考 察を 進 め る。
職員 個 々の能 力 開 発の 必要 性 は 、 直接 的 に は中 央 政府 か ら の指 示 通 達で あ っ たが、 間 接 的 に は 自治 体自身 の 内 在的問 題 で も あ っ た。 そ れは と りわ け 職員 構成 の 人事 管 理上 、 団 塊 世 代 の 処 遇を どう する か とい う 課題 に直 面 し て い たか らで あ る。 一 例 とし て 、横 浜市 に お け る職員 年 齢構 成(1987 年 ) を みる と 、[ 図3 −12 ]の よう に 釣 鐘型 にな っ て い る。 一‑457‑
般 行 政 職は35 〜40歳 まで が 全 体の26.6 % を占 め 、 平 均 年 齢 は31.1歳 と 上 昇 し 、 逆 に 管 理職 比率 は22.5% と 低下 し 、 管 理 職員 の 在 級 平 均年 数も5.8 年 と 長 期 在級 化 の 傾向 が 表 わ れて い る 。
7 1 M U S 2 4 1 W 3 g M S 7 M 3 3 詞 口 S 2 j i " 4 9 t a 4 7 4 4 4 S
・ 4 4 j 4 2 4 1 4 Q 3 9 3
3 7 W M Mg 3 2 3 1
"
四 2あ 2 7 2
● 2 j 2 4 2 3 1 2 Z I Z O 1 9 1 1
900 800 1700 600 500 too 300 200 100 0 0 100 200 300
人 数 人 数
( 図2‑ エ 年 鵬 梁 員 構成 (水 道 局 ・交 通 局 を 除 く )
こ の よ う な 中 高 年 齢 化 問 題 と ポ ス ト の 相 対 的 不 足 と い う 現 象 は 、 お そ ら く ど こ の 自 治 体 に お い て も 緊 迫 し た 重 要 課 題 と な っ て い る で あ ろ う 。 管 理 職 数 の 限'it‑ ( ポ ス ト レ ス )、人 件 費 の 抑 制 ( ラ ス パ イレ ス 指 数 に よ る 勧 告 ) 、 退 職 金 の 削 減 と い っ た 公 務 員 受 難 の 時 代 に あ っ て 、 な お モ ラ ー ル ( 士 気 、 気 概 、 勤 労 意 欲 ) の 向 上 を ど う 図 っ て い く の か と い う 課 題 に 対 応 し な け れ ば な ら な い 。 新 規 採 用 職 員 な し で あ っ て も 住 民 ニ ー ズ は 急 増 の 一 途 で あ り 、 そ の 分 労 働 過 重 は 避 け ら れ そ う に な い 。 わ た り 制 度 に よ っ て 、 ポ ス ト は そ の ま ま で 給 与 面 だ け が 引 き 上 げ ら れ た が 、 そ れ に も 限 界 が あ る 。 超 過 勤 務 手 当 ・ 特 別 勤 務 手 当 に も 制 約 が あ る。 ま た 給 料 の 上 昇 と 能 力 の 向 上 と は 必 ず し も 結 び つ か な い 。 し か も 職 員 の 高 学 歴 化 ・ 高 年 齢 化 ・ 高 質 化 の 進 行 、 あ る い は ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 な ど に つ れ て 、 労 働 の 意 味 も ま た 変 容 し て き た 。 自 分 の 人 生 の 中 で 仕 事 の 意 味 を 問 い 、 か つ 自 分 の し た い こ と を 思 い の ま ま に や れ る よ う な 職 業 や 自 己 実 現 の 職 場 社 会 を 希 求 す る よ う に な っ た 。 自 分 な り の 学 歴 と 能 力 を 適 性 と に 見 合 っ た 職 業 環 境 づ く り を 目 指 す よ う に な っ て き た の で あ る 。 そ れ は 高 度 経 済 成 長 期 に 青 春 時 代 を 過 ご し た 団 塊 世 代 の 職業 観 の 申 し 子 で あ っ た と も い え よ う 。 つ ま り そ れ は 、 豊 か な 恵 ま れ た 世 代 の 精 神 的 余 裕 と し て の 「 誰 の た め のヽ 何 の た め の 人 生 で あ る か 」 と い う 問 い 掛 け と 、 仕 事 と の 関 わ り に つ い て 厳 し く詰 郎 す る と い う 姿 勢 を 体 験 し か 世 代 の 宿 命 で も あ っ た 。
も ち ろ ん 、 現 実 に は 団 塊 世 代 の サ バ イ バ ル 戦 争 と い う 厳 然 た る 事 実 も あ っ た 。 昇 進 昇格 べ58‑
の ため に は ラ イバ ル よりも よ り 優れ た キ ャリ ア を 常 に 実 証し て い か ねば な ら な い 。 自 分 が ど ん な 得意 分 野で ど れ だけ い い仕 事 を し て き たの か 、 絶 え ずアピ ール し 続 け ね ば な ら な い 。 良 か れ悪 し か れ、 そ れが 彼 ら の 保身 術 とし て の宿 命 だ っ たの だ。 そ の切 実な 二− ズ
に キ ャリ ア 証明 と し て の資 格ブ ーム が マッ チ し てい た。 資 格 取得 に よ っ てm 織内( 企業 内 ) 昇 進ば か り で な く 、転 職し 開 業 ・独 立 し て い く方 途も 切 り開 か れ る。 い わ ば資 格取 得 は 彼 ら に とっ て 生 き残 りと いう 目 標 達成 の 手 段 でも あ っ たので あ る 。
資 格 取得 の 動 機 につ い て まと め て み よう 。
①個 人的 二− ズ か らー こ れ は、 あ く まで も 個人 的 動 機 や 意 欲や 関 心 から 、 自 己 自身 の潜 在的 能力 開発 に 積 極的 に 取 り 組 み、 獲得 し た才 能発 揮 の 産 物で あ る 。 例 えば 、 英 語 検定 、 商 業 検定 、 行 政書 士 、 漢字 能 力 検定 な ど 。
②組 織 的 二− ズ か らー こ れ は、 職 務遂 行 上 あ るい は上司 の指 示 命 令 に よ り、多 能 化 の一 環と し て資 格取 得 に取 組 ん だ 結果 で あ る。 例え ば、 建築 士 、 測 量士 補、中 小企 業 診断 士 、 電 気 工 事 士 、公 害 防 止管 理 者 、 情報 処理 技 術者 な ど 。
③地 域社 会 の 二− ズ から ー こ れは、 組 織 や 職場 を 越 え 、 住民 の 立 場か ら の 必要 性 に 迫 ら れ て一 念 奮 起し 、 資 格 取得 し た結果 で あ る 。 例え ば 、土 地 高騰 か ら 不 動産 鑑定 士 や 宅 地 建 物 取引 主 任 者 、土 地家 屋調 査 士 な ど。
こ う し た動 機の 分 類化 が 、 現 実 に は極 め て 複雑な 意 味合 いや 錯 綜し た背 景 が あっ て 、 一 概 に はい え な いこ と も ま た事 実 で あ る。 と も あ れ、 こ う し て少 し ず つ で はあ る が、 さ まざ まな資 格を 取 得 す る職 員 が増 え 始 め た。 か つ てゼ ネラ リ スト型 の 公 務 員像 が一 般 モデ ル で あ っ たが 、 最近 で は スペ シ ャリ スト型 が一 段と 目立 っ て き たので あ る 。
大 阪府 に おい て は、 資 格 取得 者 を 語 学、 手 話 、点 字 の3 点 に限 定 し て実 態 調 査し た と こ ろ(1988 年 ) 、有 能な 人 材 が か なり 存 在 す るこ と が 分 か っ たと いう 。 語 学 のう ち 、 普 段 の 日常 会 話 に 支 障 のな い上 級 者 と 只今 勉強中 と いう 初級 者の 人 数を 調 べる と 、英 語 か79 名中19
名、 中 国 語 は12名 中3 名 、 仏 語 は ∠1名 中2 名、ド イツ 語 は1 名 が上 級 者 で あ り、 そ の 他 、 イン ド ネシ ア 語(5 名 ) 、 イタリ ア語 (1 名 )、ロ シ ア 語(1 名 ) 、な ども 勉強 中 の 者 が い た。さ ら に 手 話 は5 名 中2 名 、 点 字 は6 名 中1 名 が 上 級 者で あ っ た。こ う し た人 材は い わば 独力 で 人 知 れず自 己 の 能力 を 開 発 、訓 練 し て き た人び とで あ っ た 。 府庁 で は よう やく 知事 提 言 に よ り、 こ れ ら の能 力 者 を生 か す べ く、 人 材活 性化 政 策と し て 資 格取 得 者 の「 登 録 制度 」 を 発 足、 確 立し た。
多 くの 自 治 体 にお い て 、手 話通 訳 の専 任 非 常勤 職 員を 設 置し てい る とこ ろも あ る( 吹 田 一蝋卜
市な ど )が 、 こ の よう な人 材活 用 は ま だ ま だ 不充 分 、 不 活 発で あ る。 むし ろ、 あ ま り積 極 的 に は奨 励 し て いな い 自治 体が多 い 。し かし 時 代的 趨 勢 とし て み れば 、 行政 職に 新 し い 職 種 が次 々に 創設 さ れて お り 、資 格 取 得 時 代 の 新し い専 門 職 制度 が 否 応 な く 導入 さ れ つつ あ る。
第3 節 行 政 職 に お け る新 し い 職 種
国 家資 格 試 験 の取 得 者 あ るい は こ れに 準 ず る 能力 の 保 有 者 が、 い わ ゆる スペ シ ャ リ スト
( 専 門 職) の 資 格要 件 の 一 つで あ ると 概 念 規定 で き る。
東 京 都 の専 門 職 制度 を みる と、 専門 職 と は 大 き く 、 ①医 療 専 門 職と ②研 究 専 門 職 と に分 け ら れてい る。 医 療 専門 職 と は医 療 制 度 に お け る医 師、 看 護 婦 、X 線 技 師 、 栄 養 士 、 マッ サ ージ 師 、OT ( 作業 療法 士 ) 、PT ( 理 学 療 法 士 )な ど であ り 、 研 究 専門 職と は大 学 や 研 究 所 な ど の ハ イレベ ルの 研 究者 を 意 味 し て い る 。し かし な が ら、 同 じ 国 家 試 験 に 合 格し た弁 護士 の場 合 に は 、特 別 選考 職 とし て 管 理 職扱 い にな り 、管 理 職手 当て が支 払 わ れて い る。こ こ で ひ と つ の不 公 平 、不 合 理 性 が 生 じ て い る 。つ ま り、 同じ 専 門 職で あ れば 弁 護士 だけ に手 当 てが 支 給さ れ るの は アン フ ェ アで あ り、 他 の 税 理士 や 公 認 会 計士 な ど国 家 資 格 試験 合 格 者 との 間 に う ま く整 合的 説 明 がつ か な い 。 処遇 と し て手 当 て を 支 給 す る の であ れ ば、 他の資 格取 得 者 にも 同 様 に 支 払 わ ら ねば な らな い で あ ろ う。司 法 試 験 だ け が 特 別 に困 難 であ ると いう 理 由 づ け に は無 理 が あ る 。 こう し た問 題 点 が 指摘 さ れる よう に な り 、 有資
格者 を きち ん と 処遇 す る 制 度を 早 急 に 確 立 す べ きで あ ると い う 声 が高 まっ て き た。
また 税務 能力 の 高い 主 税局 職 員 約6,000 名 ) の中 か ら 、 次 々に税 理 士 や 公 認 会 計士 な どが 誕生 し て い る。 さ ら に は不 動産 鑑 定 士 や 一 級 建 築士 な ど も多 数存 在 す る。 し か し なが ら、 こ れら の 有資 格者 に は 何 らの 手 当 て も 一 切 支払 わ れて い な い のが 現 状 で あ る 。
さ らに 、新 し い 職 種と し て 、 情報 処 理 関 係の 部 門 に 新し い スペ シ ャ リ スト が採 用 さ れつ つ あ る。 OA 化 や コン ピ ュ ー タの導 入 に 伴う エ ン ジ ニ ア 、プ ロ グ ラ マ ー 、 シ ステ ム・ エン ジ ニ ア(SE ) 、 オペレ ーシ ョ ン ズ ・ リ サ ー チ ャ ー(OR) 、 イン スト ラ ク ター 、 キ ーパ ンチ ャー な ど、 まさ に 情 報化 時 代 に お け る 花形 職 種 の登 場 で あ る。 こ れか ら の 仕 事内 容 は、
問 題 の選 択・ 決 定 、計 画 ・ 設 計 、予 測 ・ 評 価 な ど 計 数的 作業 が多 くな り、 コ ン ピ ュー タや パソ コ ン を充 分 に 駆 使で き る 能力 が 求 め ら れる 。 し かも シ ステ ム開 発、 プ ロ グ ラ ム 開 発な ど は 最も 柔 軟な 思 考力 や 創 造力 を必 要 と し 、 若 い 頭 脳 や 世 代で な け れ ばな らな い(35 歳位‑460"
で 寿 命 と も い わ れて い る)。 そ の た めの 高度 な 教 育 訓 練 も受 け さ せなけ れば な らな い 。 給 与 も 高 く 、 だい た い80〜100 万 円 とも い わ れ て い る。
当 然 の こと な が らヽ 電算 課 職員 の 能力 アップ を 図 っ て いか ねば 、外 注 や 委託 だけ で は 合 理的 ・科 学 的 ・ 客観 的 判断 が で き ず、 会 社 側の 言 い な りな らざ る をえ な い場 面 も 生 ず るで あ ろ う。 あ る 自治 体 で は、予 算 の 収 支 決算 の 権 限 を 掌握 し たSE が助役 ク ラ スの 影響 力 を 行 使し て い たとも い わ れて い る。 従 っ て、 ます ま す 熟練 し たコン ピ ュ ―タ・ スペ シ ャ リ ス ト 職員 の 育 成 が急 務 にな って き た。
電 算 課 と の 関連 で 、 統計処 理 部 門 も同 様で あ る 。 こ れ は統計 数理 研 究所 な ど へ の 派 遣 に よ り、 職員 研 修 の充 実 が図 ら れて い る。 こ の対 象 に はも ち ろん 技 術員 も入 って い る 。
ま た年 金 制度 関 係も 高度 の知 識 や 体 験を 必 要 と し て い る。 こ れ は制 度そ の も の が 極 め て 複 雑な 上 に 、 障害 者 の等 級 認定 な ど 非 常 に難 し い 。さ らに は 年 金 額の 算定 も 極 め て難 題 で あ る。
建 設 部 門 にお い て も、 院 卒 を採 用 し た り、 卒 後 研 修 とし て 全 国建 設 セン ター や建 築 科 の 大 学 や専 門 学 校な ど へ 派rn.し て い る。 住宅 整 備 公 団 へ 派遣 す るこ とも あ る と いう(1年 間 )。 建 築 士 の資 格試 験 に 合 格 する 者も かな り 続出 し て い る。
さ らに は地 場産 業 な どの 地 域特 性 に 合 わ せて 、 中 小 企業 診 断 士 の 資格 取 得を 行 政 側 か 推 奨 す ると こ ろも あ る( 墨 田区 )。 中 小 企業 大 学 校 へ の 派遣 も 急 増 し てい る(多 摩 市、 金 沢 市、 盛岡 市 な ど) 。
都市 計 画 部門 で は、 アー バン デ ザ イン 室 を も つ 横 浜 市 など が 代 表例 で あ ろう 。 ア ー バン デ ザ イナ ーと いう 職 種 が十 分 に 通用 し て い る。 彼 ら は まち づ くり のプ ロで あ ると いう 自 負 心 に 満ち て 仕事 に 従事 し て い る。
こ の よう に 、 税務 、 法務 、 惰 報処 理 ( 電 算 課 ) 、統 計 処理 、 年 金制 度 、 建設 、 都市 計画 な ど の 部 門に お いて と り わけ 、 新し い スペ シ ャリ スト を必 要 とし 採 用し つ つ あ る。さ ら に 配 属 さ れた 職員 が 職務 遂行 上 の 二− ズ から 、 自 発 的、 意 欲的 に 資 格 取得 に 取 り 組む ケ ー ス も あ る。 中に は 、 社会 保 険労 務 士 、 行政 書 士 、 宅 建主 任な ど3 つ の 資 格を 取 得し たモ ー レ ツ 職員 も い る(中 野 区 )。 そ の 他 にも 自 助 努力 に よ るさ まざ まな 資 格取 得 者 が急 増 し て い
るの で ある。
動 機に お いて は 確 かに 個人 レベ ル か らで あ れ、 徐 々に 一 般 化・ 制 度 化・ 公 式 化さ れつ つ あ り 、 費用 も 公費 負 担化 しつ つ あ る。 通信 教育 の 場 合 でも 、 当 局 が 授業料 を 全 額負 担 し た り 、 終了 と同 時に 半 額負 担 す る とこ ろ もあ る。 か くし て自 治 体 職員 の中 に、 税 理 士、 公 認
ぺ6レ
会 計 士 、 英 検一 級 、一 級 建 築士 、 行 政 書 士 、プ ロ グ ラマ ーな ど と いヽつた スペ シ ャ リ スト か 誕生 し つつ あ る 。し か し 、こ う し た資 格 取 得 者に 対 し 、 現 段 階 で は管 理 職 に 対 応 す る よう な専 門 職 制度 は 確 立さ れて いな い 、 処 遇 も 一 切行 わ れて い な い 。 努力 に対 す る 報酬 も 何も ない の が現 状 で あ る。
こ う し た新 し い 動向 を 踏 ま えて 、 国 レ ベ ル で も東 京 都で も 、 あ る い は 他 の先 進 自 治 体に おい て も 、1988年 度ぐ ら い か ら専 門 職 制 度 の検 討 と 見 直し に 入 り始 め た。
第4 節 行政 のブ ロ フ ェ ツショ ン を めぐ る問 題点
主 要 な問 題 点 とし て は 、(1 ) スペ シ ャリ スト の 存 在 と 役 割の 必 要 性 、(2 ) そ の 位 置 づけ
( 地 位 関 係) の 明 確化 、 あ るい は(3 ) そ の 処 遇 、 な ど を めぐ る議 論 が 生 じ て い る。 こ の3 点 に 限 定し て 論 考 し てい こ う 。
まず 、(1 ) 自治 体 に おい て スペ シ ャ リ スト は果 たし て 必 要 で あ る か ど う か と いう 存 在と 役割 を めぐ る問 題で あ る 。
東 京 都 の 場合 、 従来 、人 事 異 動 は生 涯 局 内 移 動 だけ であ っ た 。 そ れゆ え 、 ベ テ ラ ン やエ キス パ ート の 域を 越 え て 専門 的 技 能 が 向 上 し 、 勉強 す れば 税 理 士 な ど の 資 格 も 比 較 的 簡単 に と り や すか っ た。 も とも と スペ シ ャ リ スト が生 ま れ や すい 職 場 環 境 に あ っ た 。 都 府県 は 下 位 の 市町 村 を 指導 す べき 立 場に あ り、 専門 知 識 を 要 請さ れ る 側に あ っ たこ と が 資 格 取得 と結 び つ きや すい 原因 で あ っ たろう 。し かし 都 で は1985年 に人 事 制度 を 改正 し 、 で き るだ だけ 局 間(30 局) 異動 をし 広い 視 野 を 体 験さ せ る よう に し た。 大 卒 採 用 後5 年 間で 主 任職 に な れ るが 、こ の 主 任 級 から どん ど ん 他 局 に ま わし 、6 年 に1 回 の 異 動 であ ち こ ち を まわ り、 ゼ ネラ リ スト と し て育 成 す る。 そ し て 係 長 クラ スか らは スペ シ ャ リ スト と し て 専門的 能力 を 要 請し てい く方 針で あ る とい う 。 こ こ で は明 ら かに ①「 ゼ ネラ リ スト か ら スペシ ャ リ スト へ 」 のコ ー スが 想 定さ れて い る 。
こ れに対 し 、区 や自 治 体で はも と も と スペ シ ャ リ スト を要 請 す る 体制 に は な っ て い ない と 、一 様に 指摘 す る。3 〜5 年 で人 事 異動 す るの で 、 専 門 職 は定 着 し に くい 。 通 常 は3 年 間 で 異動 し 、10年 だ つ と強 制 異 動 の対 象 に な ると い う ( 横 浜 市 な ど ) 。 従 って 、 特 殊 才能 は 要 ら ず 、 何で も 屋 の事 務 屋 さ ん ( ゼ ネラ リ スト 、 オ ール ラ ウ ン ドブ レ イ ヤ ー )であ れば よ い と い う考 え 方 が一 般 的 で あ っ た。 「 自治 体 職員 は ゼ ネラ リ ス ト を めざ す べ き だ」
と公 言 す る職 員 もい る。 極度 に 専 門 的な 仕 事 は民 間 委 託 す れば よ い と 答 え る 。 こ れ はまさ‑462‑