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日本の住民投票と民主制

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Academic year: 2021

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日本の住民投票と民主制

一間接民主制を補完する住民投票の位相と展望一

樹ヰ・領域教育専攻 社会系コース 吉本昇三

序 章

科高の最大の目的は「日本の住民投票は憲法 下においてどのような位置づけがなされている のか、そして望ましい住民参加のために住民投 票はどのような意義をもつのかJ という点の解 明である。なお、材高が主に研究の対象とする のは、個別具体的な政策課題について地域住民 の民意を問う政策型住民投票である。

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章直接民主制と間接民主制

憲法は直接民主制と間接民主制の関係、をどの ように位置づけているヵ、地方自治においては、

国政レベルの場合と比べ、「直接民主制j的な諸 制度による補完をひろく認めている。

国政レベルにおいては、憲法は間接民主制を 原則とするが、直接民主制的制度によってそれ

を補充・補完するとしづ構造をもっている。

一方、地方自治においては、地方公共団体の 組織及び運営について、憲法

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条に「地方自 治の本旨にもとづいて法律で、これを定める」と 明文規定を置いていることなどから、憲法が国 政ほど間接民主制にこだ、わっているとは考えら れなし、。そもそも「地方自治の本旨」のうち、

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主民自治jは、地方自治における「人民主権J つまり「住民主権jを意味するものであり、こ こで直樹句な主

1

智子使が原理的に肯定されてし、

る。自治体の粘識は国政とは構造が大きく異な り、町村総会としづ直接民主制の機関を置くこ とに対しても違憲論が前生しない。

指導教員麻生多聞

2

章 f住民投票j

住民投票は憲法の理念上、どのように位置づ けられるれ憲法学説の代表的立場として辻村 みよ子説は、[人民主権」を基底におきつつ地方 自治の本旨としての住民自治原則を直接民主制 の契機として重視し、法律や条例による住民投 票を原理的に認めていくことが望ましいとする。

次に住民投票の具体的な事例を石信忍する。

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年の新潟県巻町での原発をめぐる住民投 票。全国初の住民投票条例に基づく実施例であ る。町長は町有地を原発反対派の住民に売却す ることによって事実上原発建設を不可能にした。

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串果の県民投票。投票の

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害JIは米軍基地の 整理縮小と日米地位協定見直しに賛成で、あった ものの、投票の翌々日に知事は首相と会談し、

「土浩・縦覧のイ切

T J

に応じた。

沖;串県名護市の住民投票。投票の半数以上が 受け入れに反対で、あったが、投票の

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日後には 首相と会談した市長が辞表を提出した。

徳島県徳島市の吉野川第十堰建設に関する住 民投票。いわゆる迷惑施設ではなく、一般的な 公共事業がテーマとなったO 条例案はし、ったん 否決されたものの、住民ク守ルーフ。が議会の構成 を逆転させ、投票を実施した貴重な例である。

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章 住 民 投 票 の 意 義

住民投票を求める声があげられ、制度化され ていなし、住民投票に訴える運動がなされること は、首長や議会の応答性の低さ、現行制度では

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つ 山

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民意表出の手段が乏しいことを示している。

しかし、国の電力政策や安全保障攻策の問題 はより大きなスケールでの判断が必要である。

何とか妥協点を見いだして解決を図ることは、

議会によってしかかなわない、との指摘がある。

沖縄県の事例のように、議会や首長との対立 のない「争点なき投票j と評されるような場合 は、住民の議論は活性化されにくく、投票の結 果についても、住民投票の直接の効果よりもむ しろ国への意思表示としての意義が注目される。

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章 争 点 の 検 討

デモクラシーをめぐっては、これを二回路の ものとして位置づける考え方がある。一つの回 路は法治国家によって制定された制度的プロセ スであり、第二の回路は市民社会の中での非制 度的、非形成的な意見形成のプロセスであり、

両者は相互に依存し、また規制しあっている。

さらに、第二の回路と第一の回路、つまり市民 社会と政治システムにも、直接的なものと間接 的なものがあり、直接的なものが住民投票など の直接民主制であるとすれば、間崩句なものが 書蟻デモクラシーとされる。これを支える原理 として、討議を効果的に行うためには小規模で 流動的なグル一フ

巻町併恵島市でで、は、政治活動経験をもたず地 域で、何かの問題があっても自ら行動をおこさな かった人々が住民投票を契機として立ち上がり、

大きな運動に発展した。言~議デモクラシーが機 能してこそ可能で、あったといえよう。

また住民投票は、一地域にのみに限定されず に社会全体が向き合うべき課題であることを知 らしめた点で、「対抗的公共圏jの創出運動だっ たと評価できる。しかしながらこの意義は、住 民投票の対象となる事柄の性質や成功する見込 みによって大きく影響されるもので、あってはな

らなし、。したがって、住民投票以外の他のプロ セスによる公共圏の創出の道を確たるものにし ていく視点を失つてはならない。本当に望まれ ているのは、住民投票以上に住民参加である。

住民投票は多元的に用意されるべき住民参加制 度のーっとして考えることが相当である。

また、住民投票の多用は現実的でない。住民 投票は議会をバイパスする手段で、はなく、むし ろ議会を改革する手段として使うべきである。

議会と住民投票は矛盾するものではなく、住民 自治の二つのチャンネノレとしての相互補完によ る自治が望まれる。

第5章高校公民科教育における意義

高校を卒業する生徒は、新自由主義的な有り 様が色濃く残る社会の波の中におかれる。雇用 というルートを奪われるだけでなく、主権者と してこの

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百幾へ対処してして政治を作りだすこ とにも困難が生じている。このような現状の下、

高校公開教育に要請されることは何か。

まず、法教育の判交教育における憲法教育に 対する憲法学の立場からの要請として、道徳規 室田句教育にとどまらない、「主権者j意識のj函養 としての法教育の観点がある。自ら法の運用を 点検し、適正な法をつくる必要を感じ、実現の ために努力することが求められる。このことは、

そもそも憲法としづ法規範が前提としているこ とである。「住民投票」の位相は、この憲法とし、

う法規範の成長過程を示すものでもある。

材高の研究は、代議制には限界点があること をふまえ、代議制民主主義への参加のみならず、

むしろそれを補完する直接民主制や、既存の組 織や団体の枠にとどまらない市民の自由なコミ

ュニケーションのあり様こそが、適正な法の実 現のための鍵を握ることを明らかとした。公共 的な主体としての公民に必要な認識であろう。

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