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全文

(1)

『人口と食糧』(第2回)

農業・資源経済学専攻

齋藤勝宏

食糧生産と研究開発

(緑の革命とその評価)

『講義内容』

• 穀物の貿易パターン

• フードセキュリティー(Food Security)

• 科学的農業と緑の革命

• 緑の革命の評価(技術的・社会経済的)

• 緑の革命の将来展望と課題

• アフリカにおける「緑の革命」の普及戦略

(2)

穀物の貿易パターン

• 世界の穀物需給バランス

• 穀物貿易パターンの決定

• 穀物貿易の回帰分析

• 日本の穀物輸入は過大か?

世界の穀物需給バランス

生産

消費

純輸出

生産

消費

純輸出

生産

消費

純輸出

世界

855

855

0

1511

1511

0

1972

1972

0

 先進国

283

287

-4

516

476

40

593

547

46

 途上国

572

569

3

996

1035

-39

1379

1425

-46

中所得国

263

258

5

418

449

-31

468

504

-36

低所得国

309

310

-1

577

585

-8

911

921

-10

出所)速水・神門『農業経済論』

注 )データベースは、FAO STAT、国の分類は世界銀行WDIによる。

1961-63年平均

1979-81年平均

1995-97年平均

単位:百万トン

(3)

貿易パターンの決定

ひとりあたり生産量

反収 ひとりあたり作付面積

ひとりあたり消費量

ひとりあたり資源

(土地)賦存量

ひとりあたりの生産・消費・貿易

輸出

輸入

貿易パターンの決定

1人あたり生産量

1人あたり消費量

1人あたり耕地面積

(資源賦存量)

生産・消費・貿易

輸出

輸入

技術進歩

貿易パターンは資源賦存量に依存するが、技術進歩(単収増加)の効果も重要

(4)

農業と製造業の生産性比較(1965-95)

単位:年率%

比較生産性

農業(1)

製造業(2)

(1)-(2)

先進国

アメリカ

2.7

3.4

-0.7

 イギリス

2.7

3.2

-0.5

 フランス

5.2

3.6

1.6

 ドイツ

5.1

4.0

1.1

 日本

5.1

5.5

-0.4

 平均

4.2

3.9

0.3

途上国

 韓国

5.3

11.0

-5.7

 フィリピン

1.4

10.2

-8.8

 インド

1.7

2.3

-0.6

 平均

2.8

7.8

-5.0

出所)速水・神門『農業経済論』

労働生産性

貿易パターンの決定

部分均衡アプローチ

高コスト国

国際市場

低コスト国

輸入需要曲線 輸出供給曲線

(5)

貿易パターンの決定

• 生産コスト(比較生産費)の低い国が輸出

• 相対的に土地の豊富な国は土地集約的な財の

生産に比較優位を持つ

• 生産要素として資本と労働を考え、前提とする需

要や生産技術に関する条件が満たされるなら

ば、資本(労働)が相対的に豊富な国は資本(労

働)を集約的に投入して生産される財に比較優

位を持つ。「ヘクシャー・オリーンの定理」

分析モデル

(6)

計測結果

(7)

フードセキュリティー

Food Security

フードセキュリティー

Food Security

• 栄養不足人口

健康と体重を維持し、軽度の活動を行うために必

要な栄養を十分に摂取できない人々の数

• 飢餓人口

食糧の不足によって栄養失調が続き、体調の維

持が困難になっている人々の数

(8)

フードセキュリティーの概念

• FAOの定義(1996年世界食料サミット)

食料安全保障は、すべての人が、いかなる時にも、彼らの活

動的で健康的な生活のために必要な食生活上のニーズと嗜

好に合致した、十分で、安全で、栄養のある食料を物理的にも

経済的にも入手可能であるときに達成される。

• フードセキュリティーとは、

どんな状況でも人々が生きてゆく上

で必要な食料が確保されている状態

• 食料の確保には、「

」と「

」の側面がある。

• 「質」は、衛生条件が確保されていて栄養価の高いもの

(utilization)であること(安全性)。

• 「量」は、十分な量が物理的に供給可能(availability)でかつ必

要な量をいつでも安定的(stability)に入手可能(access)である

こと。

フードセキュリティーの概念

• 「食料安全保障」は大規模災害や国際紛争な

ど不測の事態に食料を確保されている状態

であり、やや狭義。平時には十分な食料が確

保されていることが前提であり、不測の事態

に焦点を当てている。

• 平時に十分な食料が確保されていない場合

には、

毎日必要とする食料が確保される状態

こそが重要

。途上国の貧困層にとっての「フ

ードセキュリティー」。

(9)

フードセキュリティーの基本方程式

家計で不足する食料への支出

<=所得+食料購入に利用可能な流動資産

(購買力)

家計で不足する食料への支出

= 食料の購入必要量*食料品価格

= (家計の食料必要量-家計の食料生産量)*食料価格

家計の食料必要量=1人あたり必要量*家計世帯員数

家計の食料生産量=所有耕地面積*利用率*単位あたりの収量

食料価格上昇の

(短期的)インパクト

「食料必要量

>食料生産量」の家計と 「食料必要量<食料生産量」で異な

エンゲル係数(所得に占める食料支出割合)の大きさで異なる

国別エンゲル係数

(10)

世界の栄養不足人口(1967~2010年)

出所:

FAO世界食糧農業白書2010-2011年

地域別栄養不足人口の推移

(11)

フードセキュリティーの確保に向けて

• 世界の食料生産の促進

農業生産・生産性の向上(研究開発・品種改良・技術普及の推進)

農業・農村開発

(灌漑施設の整備・改修、農産物の市場アクセスの改善)

投資の促進

(責任ある農業投資)

• 安定的な農産物市場・貿易システムの構築

輸出規制

の自粛

(

自由貿易体制

の維持

)

輸出国と輸入国の立場の違いに注意

• 食料不安を抱える途上国の貧困層への支援

食料援助

(WFP、二国間援助)など

• 国際備蓄構想・・・食料価格の安定化(短期的)

フードセキュリティーの確保に向けて

国際機関(FAO)による情報収集・提供(農業生産統計、農産物生産状況など)

政策提言、開発援助

国際機関(FAO,OECD)、研究機関(IFPRI)、大学など(FAPRI)による中・長期的な食料需給

予測

国際農業開発基金(IFAD)・・・資金提供

途上国の農業・農村開発が目的。農村貧困層の90%を占める小規模農家への貸付・無償

資金供与を通じて、自助努力による貧困克服を支援。

国連世界食糧計画(WFP)・・・食料支援・生産基盤の強化

1961年設立。国連唯一の食糧支援機関。活動資金は各国政府からの任意拠出金と民間企業や

団体、個人からの募金。2010 年には75 カ国に460万トンの食糧支援(1 億 920 万人対象)。総支出

の9 割は食糧購入・輸送などの直接経費。

国際農業研究協議グループ(

Consultative Group on International Agricultural Research)

開発途上国の農林水産業の生産性向上、技術発展を目的に1971年設立。目的は、農林水産業

およびそれに関連する政策・環境分野での学術研究・関連活動を通して、開発途上国の持続可能

な食料安全保障を達成すること(持続可能な生産、途上国の農業研究体系の強化、品種改良、遺

伝資源の保全収集、技術の普及、各国の農業政策改善への働きかけ)

(12)

国際農業研究協議グループ(CGIAR)

• 国際食料政策研究所

• 国際稲研究所

• 国際水管理研究所

• 国際トウモロコシ・小麦改

良センター

• 国際イモ類研究センター

• 西アフリカ稲開発センタ

• 国際畜産研究所

• 世界アグロフォレストリー

研究センター

• 国際熱帯農業センター

• 国際熱帯農業研究所

• 国際森林・林業開発セン

ター

• 国際乾燥地農業研究セ

ンター

• 国際半乾燥地帯作物研

究所

• 国際海洋資源管理センタ

• 国際生物多様性センター

国際食料備蓄構想

• 国際穀物備蓄構想

1972年の世界食料危機を契機にアメリカが提案。小麦対象に3千万トンが目標。

備蓄在庫を国際的に管理(積増・放出)。備蓄規模や積増・放出価格水準で交際

合意が得られなかった。レーガン政権下で事実上廃案。

• ASEAN緊急米備蓄

1979年設立。 参加国10ヶ国の米在庫量の一部を累積。備蓄量は合計8.7万 トン(

小規模) 緊急時に各国の備蓄を取り崩して支援(貸付方式)。参加国の財政負

担が大きいが、備蓄規模は小さい。貿易と援助の仕分けが困難(輸出国=援助国

、輸入国=被援助国) 。援助実績無し。

• 南アジア地域協力機構食料安全保障備蓄

米麦の備蓄を各国が実施。参加国はバングラデシュ、インド、ネパール、ブータン、

モルジブ、パキスタン、スリランカの7ヵ国。緊急時の食料支援が目的。支援の仕

組みは貸付方式。規模は24.2万トン。インドとパキスタンの対立により、制度として

は存在しているようだが休眠状態。食料安全保障備蓄の発動された実績はない。

(13)

ASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)

目的

アセアン+3域内における食料安全保障の強化及び貧困緩和を目的とした米備蓄システムの形成に向け

て、その運営方法等について様々なオプションのメリット・デメリットの評価を行うために実施。

プロジェクトの概要

- 各国の自主的な取組の下、次の内容の米備蓄システムを検証。

- イヤマーク備蓄を使用した災害等の緊急事態への対応

- 緊急時に円滑な発動が可能となるよう既存アセアン米備蓄の仕組みを改善

- 緊急的かつ大規模な食料不足に対応するため、新たに備蓄を造成

※ イヤマーク:実際の在庫の有無を問わず、各国が現物又は資金での拠出を約束

- 実際に造成した備蓄による対応

- 緊急時の被災者への初期対応

- 実備蓄の在庫回転対策としての貧困緩和事業の実施など

パイロット事業の開始時期

2004年から3カ年計画で実施。1年間ずつ3回延長し、2007年に終了。

アセアン+3緊急米備蓄(APTERR)について

2011年 APTERR協定採択・署名

実績

タイ及びカンボジアの集中豪雨による洪水被害を受けた被災者に対して、APTERRから5万米ドルを支出(

日本)し、米穀等の現地調達による緊急支援を実施

ASEAN+3緊急米備蓄による支援

出所:農水省資料

(14)

科学的農業と緑の革命

科学的農業と緑の革命

• 科学的農業と緑の革命の概要

• 緑の革命の技術的評価

• 緑の革命の社会経済的評価

• 緑の革命の将来展望と課題

• アフリカにおける「緑の革命」の普及戦略

(15)

穀物生産量の要因分解

出所:

FAOSTATより作成

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 19 61 19 64 19 67 19 70 19 73 19 76 19 79 19 82 19 85 19 88 19 91 19 94 19 97 20 00 20 03 20 06 20 09 20 12 20 15 20 18 20 21 20 24 20 27 20 30 20 33 20 36 20 39 20 42 20 45 20 48 1961= 1.00

人口・穀物生産量等の推移

(世界)

収穫面積 単収 生産量 人口

熱量でみた食料生産の推移

1500 2000 2500 3000 3500 19 61 19 67 19 73 19 79 19 85 19 91 19 97 20 03 北米 南米 世界 オセアニア ヨーロッパ 1500 2000 2500 3000 3500 19 61 19 67 19 73 19 79 19 85 19 91 19 97 20 03 東アジア 南アジア 東南アジア 西アジア 世界 1500 2000 2500 3000 3500 19 61 19 67 19 73 19 79 19 85 19 91 19 97 20 03 世界 東アフリカ 中央アフリカ 北アフリカ 南アフリカ 西アフリカ

出所:

FAOSTATより作成

(16)

穀物生産量の要因分解

0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 19 61 19 66 19 71 19 76 19 81 19 86 19 91 19 96 20 01 20 06 20 11 20 16 20 21 20 26 20 31 20 36 20 41 20 46 1961= 1.00

人口・穀物生産の推移

(東南アジア)

収穫面積 単収 生産量 人口 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 19 61 19 66 19 71 19 76 19 81 19 86 19 91 19 96 20 01 20 06 20 11 20 16 20 21 20 26 20 31 20 36 20 41 20 46 1961= 1.00

人口・穀物生産の推移

(南アジア)

収穫面積 単収 生産量 人口

穀物生産量の要因分解

2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 1961= 1.00

人口・穀物生産の推移

(アフリカ)

収穫面積 単収 生産量 人口 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 1961= 1.00

人口・穀物生産量の推移

(西アフリカ)

収穫面積 単収 生産量 人口

(17)

穀物生産量の要因分解

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 19 61 19 66 19 71 19 76 19 81 19 86 19 91 19 96 20 01 20 06 20 11 20 16 20 21 20 26 20 31 20 36 20 41 20 46 1961= 1.00

人口・穀物生産の推移

(東アフリカ)

収穫面積 単収 生産量 人口 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 19 61 19 66 19 71 19 76 19 81 19 86 19 91 19 96 20 01 20 06 20 11 20 16 20 21 20 26 20 31 20 36 20 41 20 46 1961= 1.00

人口・穀物生産の推移

(中央アフリカ)

収穫面積 単収 生産量 人口

穀物生産量の推移

• 世界全体

• 作付面積はほぼ一定

• 単収増加>人口増加

• サブサハラ地域

• 作付面積は増加傾向

• 人口増加>単収増加

技術進歩が人口増加に追いつかない!

(18)

P

Q

S

0

D

0

D

1

S

1

P

Q

P

1

Q

1

Schultzによる食糧問題と農業(調整)問題

人口増加

P

0

Q

0

穀物貿易の推移

世界の穀物需給バランス

生産

消費

純輸出

生産

消費

純輸出

生産

消費

純輸出

世界

855

855

0

1511

1511

0

1972

1972

0

 先進国

283

287

-4

516

476

40

593

547

46

 途上国

572

569

3

996

1035

-39

1379

1425

-46

中所得国

263

258

5

418

449

-31

468

504

-36

低所得国

309

310

-1

577

585

-8

911

921

-10

出所)速水・神門『農業経済論』

注 )データベースは、FAO STAT、国の分類は世界銀行WDIによる。

1961-63年平均

1979-81年平均

1995-97年平均

単位:百万トン

穀物貿易の流れ:先進国から途上国へ

(19)

農業・製造業の労働生産性の推移

農業と製造業の生産性比較(1965-95)

単位:年率%

比較生産性

農業(1)

製造業(2)

(1)-(2)

先進国

アメリカ

2.7

3.4

-0.7

 イギリス

2.7

3.2

-0.5

 フランス

5.2

3.6

1.6

 ドイツ

5.1

4.0

1.1

 日本

5.1

5.5

-0.4

 平均

4.2

3.9

0.3

途上国

 韓国

5.3

11.0

-5.7

 フィリピン

1.4

10.2

-8.8

 インド

1.7

2.3

-0.6

 平均

2.8

7.8

-5.0

出所)速水・神門『農業経済論』

労働生産性

先進国:農業生産性

>製造業: 途上国:製造業>農業

製造業の技術移転は比較的容易だが、農業技術は難しい!

小麦・トウモロコシの価格・単収の推移

出所)速水佑次郎『開発経済学』創文社

・空中窒素固定法による窒素肥料の安価な供給

ハーバー・ボッシュ法 非農業部門との連関

・農地の外延的拡大、機械化

・耕地拡大の減速

・品種改良による土地生産性の向上

科学的農業

・農法の発展(二圃制・三圃制から輪栽型へ)

資源依存型農業

(20)

1800年以降のトレンド

1. 食糧需要量の増加

– 人口成長

– 経済成長による所得の増加 (経済構造変化)

2. 食料供給の増加

– 資源利用の増加 (農地)

– 栽培方式の工夫(農法)

– インフラに対する投資 (灌漑設備)

– 新技術(機械化、科学的農業)

農法と窒素投入量

• 開放耕地制

圃場を

2~6に分割し、毎年ひとつを休耕(地力回復)

作物の散播 作物の収量が低い

窒素循環が低水準:休耕中の降雨、土壌中のバクテリア活動

マメ科作物の栽培、少ない厩肥

• 混合農業

休耕地で飼料作物

(根菜類:カブ、ジャガイモ、甜菜)を栽培

休耕地の一部にはクローバーなどの牧草も栽培

根菜類・牧草と穀物の輪作

<輪作:病害虫制御に効果的>

列状に播種 栽培期間中に馬・手で除草が可能

飼養家畜数が増えるので厩肥も増加

• 科学的農業

工業的に生産

(最大の窒素固定源)された窒素肥料を投入

(21)

伝統農業と近代農業

(科学的農業)の比較

伝統農業

近代農業

農産物商品化率

50%以下

50%以上

投入物の購入率

10%以下

30%以上

農業労働の比率

70%以上

10%以下

作物収量

1~2トン/ha

4トン/ha以上

肥料源

厩肥、塵芥、野草、骨等 化学肥料

除草と病害虫防除

輪作、間作、休耕

除草剤、殺虫剤

生物的防除

IPM(総合的病害虫管理)

労働投入/ha

高い

低い

土地/労働

狭い

広い

動力源

人力・畜力

トラクター・石油・電力

専門化の程度

低い

高い

主要投入物

土地・労働

資本

出所:グリック「西洋農業の変貌」p.6より引用

誘発的技術進歩

(

Induced Innovation

)

• J.R.Hicks (「賃金の理論」)

ひとつの生産要素の賦存量が他の要素に比べて豊富

になれば、より豊富になった要素をより多く使い、相対的

に稀少化した要素を節約する偏向的な技術進歩が生ず

• 賃金上昇→労働と資本の代替→労働節約的技術進歩

• 人口増加→農地の相対的希少化

→土地節約的技術進歩(土地生産性の向上)

(22)

人口増加の影響:農地の希少性

• 人口増加の影響

人口増加

→賃金低下(地代が相対的に割高)

→労働投入量↑

→土地節約的技術進歩

ア ジ ア 地 域 の 1 人 当 た り 可 耕 地 面 積

(ha)

1970年

1980年

1990年

1998年

ベ ト ナ ム

0.12

0.10

0.09

イ ン ド

0.30

0.24

0.20

0.17

バ ン グ ラ デ シ ュ

0.14

0.10

0.09

0.07

パ キ ス タ ン

0.29

0.24

0.19

0.15

ス リ ラ ン カ

0.16

0.13

0.11

0.10

中 国

0.10

0.11

0.11

ミ ヤ ン マ ー

0.38

0.30

0.25

0.23

イ ン ド ネ シ ア

0.15

0.17

0.17

0.15

フ ィ リ ピ ン

0.19

0.12

0.16

0.14

タ イ

0.38

0.39

0.37

0.34

マ レ ー シ ア

0.36

0.35

0.39

0.36

韓 国

0.07

0.06

0.05

0.04

台 湾

0.06

0.05

0.04

0.04

出 所 ) ADB, Key Indicators.

絶対的貧困人口の割合

• カロリー摂取量が1800kcal以下の絶対

的貧困層が存在することも事実

絶 対 的 貧 困 人 口 の 割 合

( % )

調 査 年 次 農 村 部 都 市 部 全 国 調 査 年 次 農 村 部 都 市 部 全 国 調 査 年 次 1 ド ル 2 ド ル イ ン ド 1992 43.5 33.7 40.9 1994 36.7 30.5 35.0 1997 44.2 86.2 バ ン グ ラ デ シ ュ 1991/92 46.0 23.3 42.7 1995/96 39.8 14.3 35.6 1996 29.1 77.8 パ キ ス タ ン 1991 36.9 28.0 34.0 1996 31.0 84.7 ス リ ラ ン カ 1990/91 22.0 15.0 20.0 1995/96 27.0 15.0 25.0 1995 6.6 45.4 中 国 1996 7.9 6.0 1998 4.6 4.6 1998 18.5 53.7 イ ン ド ネ シ ア 1995 15.7 1999 27.1 1999 7.7 55.3 フ ィ リ ピ ン 1994 53.1 23.0 40.6 1997 50.7 21.5 36.8 タ イ 1990 18.0 1992 15.5 10.2 13.1 1998 28.2 マ レ ー シ ア 1989 15.5 ネ パ ー ル 1995/96 44.0 23.0 42.0 1995 37.7 82.5 絶 対 的 貧 困 人 口 割 合 絶 対 的 貧 困 人 口 割 合 1 日 Xド ル 以 下 の 生 活 し か でき な い 人 口 の 割 合 国 名

(23)

土地節約的な技術進歩の必要性

• 人口爆発による農地の希少化(人口圧力)

人口爆発は人口圧力を高めるため、生産要素の生産性を高める

ような生産方法(農法)を発見

• 先進国で開発された技術の借用

適切な適応研究による風土条件の克服

農業技術の国際間移転が可能になる

• 「緑の革命」

-土地生産性の向上(増産効果)

-1950年以降 1人あたりの耕地面積が減少しているにも関わらず穀

物生産は増加。しかし、採用されているのは南アジア、東南アジア、

中国とラテンアメリカの一部に限定されてきた。

-コメに関しては、サブサハラ・アフリカでの可能性が高いことが分

かってきている

(大塚らの研究)。

在来品種と近代品種の比較

(コメ)

(24)

在来品種と近代品種の比較

• 在来品種

• 単収:1~1.5ton/ha

• 背丈が長い

• 籾/藁比率が低い

• 倒伏しやすい

• 窒素反応性が低い

• 感光性が強い

• 天水田

• 近代品種

• 単収:6(雨期)~9(乾期)ton/ha

• 背丈が短く・太い(短稈、強稈)

• 籾/藁比率が高い

• 倒伏しにくい

• 窒素反応性が高い

• 感光性が弱い

• 灌漑田

(kg/ha)

伝統品種

近代品種

単収

(kg/ha)

肥料投入量と単収の関係

農業に対するR&D

(25)

在来品種の特徴

• 感光性が強い

乾期の1~2月に植えても、日照時間が短く

なる9~10月になるまで開花せず。雨季に比

べて乾期には太陽エネルギーが十分にあるの

で高い収量が期待できるが、余りにも日数が

かかるので、雨期に作付けされてきた。在来

品種は日照時間の少ない雨期に作られること

もあり、収穫まで5~6ヶ月必要で、一年一作

が一般的であった。

在来品種の特徴

• 人口増加により耕地が稀少化する段階

では在来インディカ種では土地生産性

が低く、単収を増大させるために在来

種に肥料の増投を行うと葉が茂りすぎ

て倒伏(過繁茂)。

(26)

在来品種の合理性

• 灌漑設備の貧弱な地域で、乾期の水不

足を回避しながら稲作を行うために

は、深水圃場での栽培が不可欠。雑草

との競合回避するため、草丈の高い水

稲種が必要だった。つまり、インディ

カ種はアジアの伝統的稲作に適合する

合理性を持っていた。

高収量品種の開発

• ハイブリット・コーンの開発と普及(1923~)

1931年:24bu/acre→1941年:31bu/acre→1981年:110bu/acre

• ロックフェラー財団によるメキシコにおける栄養改

善プログラム(メキシコの小麦革命)

- 大量交配によるさび病耐性品種の育種

- シャトル育種によるさび病に強く世界各地で栽培

できる品種の開発

• メキシコで開発された高収量小麦の普及(パキスタン

、インドなど)

(27)

Norin Ten 農の神と呼ばれた男 稲塚権次郎物語』

レオン・ヘッサー『緑の革命を起こした不屈の農学者 ノーマン・ボローグ』 より引用

(28)

高収量品種の開発

• ロックフェラー財団の基金

• 国際稲研究所(IRRI)による高収量品種の開発

先進国で改良された品種の移転(技術移転)

• 短稈、強稈・・・倒伏しにくい

• 窒素投入量と倒伏の関係

• 葉が直立して効率的な光合成を可能とする

• 非感光性

生育期間の短縮→乾期でも栽培可能となり二期作、地域に

よっては三期作が可能(耕地利用率の上昇)

高収量品種の導入と普及

• 1980年代初頭には、途上国のコメ作付

面積の

60%を占めるに至った

• 化学肥料や農薬投入の飛躍的増加

(環境負荷

の増大

)

• インドネシア、インド、フィリピンな

どの穀物輸入大国は人口爆発による需

要の増加にも関わらず、次々と自給を

達成。病害虫耐性も徐々に改良。

(29)

高収量品種の導入と普及

高 収 量 品 種 の 普 及 率 ( コ メ )

国 名

イ ン ド

2 (1966)

75 (1993)

中 国

6 (1975)

54 (1993)

イ ン ド ネ シ ア

6 (1968)

77 (1992)

バ ン グ ラ デ シ ュ

3 (1968)

46 (1993)

フ ィ リ ピ ン

3 (1968)

94 (1993)

パ キ ス タ ン

20 (1967)

41 (1993)

出 所 ) IRRI, World Rice Statistics 1993-1995

作 付 面 積 に 占 め る HYV作 付 割 合 (%)

コメの土地生産性の推移

ア ジ ア 地 域 の コ メ 生 産 性

(kg/ha)

1975年

1985年

1995年

1999年

ベ ト ナ ム

2,514

3,263

3,690

4,105

イ ン ド

1,858

2,329

2,697

2,966

バ ン グ ラ デ シ ュ

1,853

2,169

2,653

2,852

パ キ ス タ ン

2,296

2,350

2,752

3,154

ス リ ラ ン カ

1,933

3,078

3,159

3,280

中 国

3,527

5,249

6,021

6,332

ミ ヤ ン マ ー

1,831

3,072

2,977

3,128

イ ン ド ネ シ ア

2,630

3,942

4,349

4,252

フ ィ リ ピ ン

1,664

2,588

2,804

2,889

タ イ

1,831

2,061

2,416

2,332

マ レ ー シ ア

2,662

2,781

3,162

2,869

韓 国

5,324

6,351

6,052

6,868

台 湾

4,135

4,820

(30)

化学肥料投入量の推移

ア ジ ア 地 域 の 化 学 肥 料 投 入 量

(kg/ha)

1975年

1985年

1997年

ベ ト ナ ム

2,154

3,263

3,825

イ ン ド

1,858

2,329

2,897

バ ン グ ラ デ シ ュ

1,853

2,169

2,832

パ キ ス タ ン

2,296

2,350

2,793

ス リ ラ ン カ

1,933

3,078

3,954

中 国

3,527

5,249

6,331

ミ ヤ ン マ ー

1,831

3,072

2,768

イ ン ド ネ シ ア

2,630

3,942

4,561

フ ィ リ ピ ン

1,664

2,588

2,828

タ イ

1,831

2,061

2,256

マ レ ー シ ア

2,662

2,781

3,129

韓 国

5,324

6,351

6,794

台 湾

4,135

4,820

出 所 ) ADB, Key Indicators.

インドネシアにおける米の近代品種の普及と単収の変化

非耐虫=トビイロウンカへの耐虫性を持たない品種

I型耐虫=I型トビイロウンカへの耐虫性を持つ品種

II型耐虫=II型トビイロウンカへの耐虫性を持つ品種

耐虫性・耐病性を持つ品種の育成

収量の増加・収量の安定化

(31)

ア ジ ア 稲 作 に お け る 「 緑 の 革 命 」 関 連 デ ー タ : 1 9 8 7 - 1 9 9 0 年

品 水 国 名 中 国 イ ン ド ネ シ ア ヴ ェ ト ナ ム ネ パ ー ル 国 別 平 均 収 量 ( t/ha) 2.7 2.4 2.7 1.2 5.4 4 2.9 2.1 種 利 時 期 雨 期 乾 期 雨 期 乾 期 雨 期 乾 期 雨 期 乾 期 改 良 品 種 率     (%) 100 100 100 100 61 86 100 96 100 100 100 高 灌 収 量         (t/ha) 4.1 6.1 3.5 5.1 4.2 3.8 2.7 6.3 5.5 4.6 2.9 肥 料 ( kg/ha) 109 149 126 150 77 121 46 63 197 173 42 収 肥 料 米 価 比 率 ( %) 188 217 184 194 320 273 200 122 150 300 293 漑 労 働 投 入 ( H/ha) 70 74 159 203 58 42 123 334 126 89 128 量 ト ラ ク タ ー 率 ( %) 97 97 100 100 43 68 69     直 播 率 (%) 53 57 89 87 100 改 田 多 期 作 率 (%) 200 200 181 74 253 200 100 耕 地 規 模 (ha) 2.14 2.01 2.81 3.23 0.58 0.22 0.57 1.3 2.03 良 改 良 品 種 率     (%) 100 100 80 天 収 量         (t/ha) 3.5 3.8 2.2 品 肥 料 ( kg/ha) 86 217 13 肥 料 米 価 比 率 ( %) 267 155 314 種 水 労 働 投 入 ( H/ha) 69 135 114 ト ラ ク タ ー 率 ( %) 77 7 13 直 播 率 (%) 田 多 期 作 率 (%) 100 141 97 耕 地 規 模 (ha) 0.76 0.37 2.07 改 良 品 種 率     (%) 23 39 灌 収 量         (t/ha) 1.9 5.1 肥 料 ( kg/ha) 53 93 肥 料 米 価 比 率 ( %) 200 122 漑 労 働 投 入 ( H/ha) 94 268 ト ラ ク タ ー 率 ( %) 25 6 在     直 播 率 (%) 5 田 多 期 作 率 (%) 139 耕 地 規 模 (ha) 0.6 0.21 来 陸 田 深 水 陸 田 深 水 天 改 良 品 種 率     (%) 5 収 量         (t/ha) 0.9 2.6 1.7 1.3 2.3 2.1 1.8 2.6 1.9 品 肥 料 ( kg/ha) 16 45 27 4 30 54 15 16 水 肥 料 米 価 比 率 ( %) 314 184 206 407 0 200 138 154 244 労 働 投 入 ( H/ha) 73 132 152 40 37 175 70 39 149 種 ト ラ ク タ ー 率 ( %) 98 100 64 田 直 播 率 (%) 100 100 80 100 100 多 期 作 率 (%) 100 100 100 100 100 68 耕 地 規 模 (ha) 1.1 6.5 8.4 0.23 1.51 2.1 1.3

資 料 : IRRI, World Rice Statistics 1990に よ る 。

「 2 1 世 紀 の 人 口 ・ 食 糧 戦 略   - ア ジ ア と 世 界 - 」 、 ア ジ ア 人 口 ・ 開 発 協 会 、 1996年 よ り 引 用 。 フ ィ リ ピ ン バ ン グ ラ デ シ ュ タ イ カ ン ボ ジ ア

高収量品種の特徴

• 改良品種の多肥多収性

• 改良品種・肥料増投・灌漑の3条件の

うちどのひとつを欠いても高収量は期

待できない。

• 短稈ゆえ、河川の下流域、デルタ地域

での栽培が困難

(32)

高収量品種の特徴

• 灌漑効果

• 改良品種の灌漑田での収量は天水田よ

り高い

• 在来品種の収量の差は明確ではない

• 灌漑率の高い地域ほど、高収量品種の

普及率が高くなると言う正の相関関係

が観察される。

(33)

在来品種の特徴

• 低収量・低耐肥料性

• 在来品種に対する肥料投入水準は極め

て低く、天水田での在来品種の収量は

国際間ではあまり変わらず低い。

緑の革命の技術的評価

• 近代品種の革新性:高収量・耐病害虫性

• 当初、新品種は在来品種に比べて飛躍的

に高い単収であったことから

高収量品種

(

HYV

:High Yield Variety)

と呼ばれていたが、品

種開発が収量増大だけではなく耐病虫害

性や食味の改善を含めて行われており、

近代品種

(

MV

: Modern Variety)

と呼ばれるよう

になった。

(34)

「緑の革命」のインパクト

P

S

0

D

0

D

1

S

1

P

0

P

1

穀物市場へのインパクト

人口増加

(35)

先発採択農家へのインパクト

• 新規の技術を採択することにより生産

コストが削減できるので高水準の利潤

を獲得することができる。

• 技術革新が機能しないかもしれないと

いう高いリスクを負担する。

S

Original

S

New

P

生産量

価格

限界費用

限界収入・限界費用

新技術の開発

(36)

P

Q

D

S

0

S

1

P

0

Q

0

P

1

Q

1

新技術の採用と供給曲線のシフト

新技術を採択する農家数が増加すると、

市場の供給曲線は右方へシフトする。

後発採択農家へのインパクト

• 市場均衡価格は下落し、生産費用の削

減効果を相殺する。

• 後発の農家は先発農家が稼得できたほ

ど多くの利潤は得られない。

• 後発の農家は先発農家ほどの高いリス

クは負担する必要がない。

(37)

採択しない

(

できない

)農家へのインパクト

• 生産物価格が下落するので、革新技術

を採択しない農家の生産額は減少する

が、生産費用は逓減しないため、利潤

は減少する。

技術のトレッドミル

• 新しい技術が開発されると、農家はそ

の技術を採用せざるを得ない。もし採

用しないと、他の農家との競争を続け

ることができなくなる。

伝統的な品種と役畜を使って商業的な

農業経営を営むことは難しい。

(38)

新技術を導入しない農家が存在するのは何故か?

• 新しい技術に関する情報の欠如

• 新しい投入財を購入する資金や信用の欠如

• 新しい投入財へのアクセスの欠如

• 新しい投入財のコスト高

• 新技術の導入に付随するリスク負担が不可能

消費者に対するインパクト

• もし、生産者間での競争があれば、新技術は

生産量を増加させ生産物価格を下落させるの

で、技術進歩により消費者は便益を享受す

る。

• もし競争がなければ、生産者が新技術を導入

することによって生産費用は削減されるが、

技術導入以前の生産物価格を維持することが

可能となるので、消費者は技術進歩の便益を

享受することができない。

(39)

「緑の革命」の地域別インパクト

• アフリカ諸国へのインパクトが少ない

• 主な「緑の革命」作物(小麦、コメ)はサハラ砂漠以

南のアフリカ諸国ではそれほど重要ではなかった。

しかし、・・・

• ネリカ米(

Ne

w

Ri

ce for Afri

ca

)

アフリカにおける米の重要性:陸稲

アジアイネの高収量+アフリカイネの耐乾性・耐病害虫性

肥料を与えなくとも収量アップ/生育期間の短縮

乾燥・病害虫に対する耐性/蛋白質が若干多い

収益性の問題

ウガンダでは2002年に導入、2004年には50%がNERIKAを採択、しかし他の作物の方が収益性が高かったため、 2006年には栽培中止。 Kijima et al. “An Inquiry into Constraints on a Green Revolution in Sub‐Saharan Africa: The Case of NERICA Rice in  Uganda.”  World Development 39(1), 2011, pp.77‐86.

「緑の革命」の地域別インパクト

• 特定の国の中でも、高収量品種を採択

できるのは特定の地域に集中してい

る。

• 灌漑施設が利用可能な地域(天水豊富)

• 肥沃な土地

(40)

「緑の革命」の要約

• 高収量品種の開発・導入・普及による

土地生産性の向上

(単収増大)

• 緑の革命は、増加する人口と稀少化す

る農地が誘発した農業技術進歩

• 「緑の革命」を成功させるためには化

学肥料の増投と灌漑面積の拡大が必要

緑の革命の社会経済的評価

• 緑の革命のもたらした米の大増産は、かつて

輸入食料に大きく依存してきたインドやイン

ドネシアなどアジアの人口大国での食糧自給

率を高め、

世界における食糧自給バランスの

改善に大きく貢献し、グローバルな食糧問題

の解決に対して重要な役割を果たした

(41)

緑の革命の社会経済的評価

• 安価な食糧の提供

• 都市インフォーマル・セクターで働く最貧層の

食糧アクセスを容易化(社会的緊張の緩和)

• 肥料・農薬産業の拡大、流通産業の増大による

農業関連産業の活性化

雇用機会の創造

• 二期作化、三期作化による雇用吸収力の増大と

関連産業での雇用機会創出

緑の革命の社会経済的評価

• 地域農村社会への影響

• 緑の革命が農村社会にもたらした影響

は、農村の地域的自然条件や農民の経

営規模の違いによって一様ではなかっ

たため、所得形成や

所得分配

に与えた

効果はプラスであったのかあるいはマ

イナスであったのか評価が分かれてき

た。

(42)

緑の革命の社会経済的評価

• 大規模農家は「緑の革命」の恩恵にあず

がってきたが、小規模農家や土地なし農

民の経済状況は改善しなかったし、場合

によっては経済状況は悪化する場合も

あったという報告がなされてきた。

• 所得分配は不平等化したか?

不平等化の要因

• 良好な灌漑条件、雨季にある程度の雨

量が期待できるか否か

• 乾燥・半乾燥地帯では緑の革命を導入

すべもない

• 地域的自然条件の差異

• 同じ国内でも地域によっては緑の革命

の恩恵にあずかれない地域がある

(43)

不平等化の要因

• 緑の革命初期には、貧困な零細農家などは経

済的理由と技術的無知から、肥料や近代品種

の種子を入手し難かったケースがあったとい

われている。一方、経済力と技術的知識のあ

る大規模農家は積極的に緑の革命を受け入れ

たことにより、同じ農村内でも、緑の革命に

より農民間の所得格差が拡大し、社会的不公

正をもたらしたという指摘もなされた。

• リスクに対する態度の違い

貧しい農家はリスクに対して脆弱

緑の革命の社会経済的評価

• 実際は、高収量品種は広く小規模農家にも

普及していたようである。

• 種子、肥料、農薬は分割可能な投入であ

り、小規模農家であっても購入は難しくは

ない。

(44)

緑の革命の社会経済的評価

• パキスタンにおけるメキシコ矮性小麦

の経営耕地規模別の普及率をみると、

自作農、小作農での差異が認められな

い。規模別にも、認められない。

緑の革命の社会経済的評価

パ キ ス タ ン に お け る メ キ シ コ 矮 性 小 麦 の 普 及 割 合

自作

自小作

小作

平均

-12.5

71

80

67

73

12.5-25.0

63

72

69

68

25.0-50.0

72

93

82

82

50.0-  

73

87

57

79

平均

69

81

70

73

出所)Azam(1973)

自・小作別

経営耕地規模

別(エーカー)

(45)

規模別の米の近代品種・トラクターの普及過程

出所)速水佑次郎『開発経済学』創文社

大農よりもむしろ小規模農家で普及

大農が先導しているが、HYVの普

及に先立っている

アジア各地30カ村での調査平均値、IRRI

近代品種の普及した村と普及しなかった村の比較

(インドネシア)

米の近代品種が普及しなかった村 米の近代品種が普及した村 1968-71 1978 変化率(%) 1968-71 1978 変化率(%) 近代品種普及率a) (%) 11 14 27 7 100 1,329 乾期作付面積比率 (%) 90 90 0 50 100 100 籾収量 (ton/ha) 2.6 2.9 12 2.4 3.4 42 要素投入 化学肥料 (kg/ha) 191 229 20 75 209 179 労働 (時間/ha) 736 928 26 638 701 10 役畜 (時間/ha) 16 9 -44 10 13 30 実質要素価格 籾換算 化学肥料 (kg/kg) 1.5 1.1 -27 1.5 1 -33 労働b) (kg/時間) 9.5 8.5 -11 7.9 11.5 46 役畜 (kg/時間) 6.2 9.5 53 8.8 14.1 60 要素分配率c) 労働 (%) 55.8 49.1 -12 43.2 45.6 6 資本 (%) 6 4.7 -22 2.2 5.2 136 土地 (%) 38.2 46.2 21 54.6 49.2 -10 a) 近代品種採用農家数の総農家に対する比率 b) 家族労働と雇用労働の合計 c) 自作農平均の産出から肥料費を控除した付加価値の分配率。土地への分配は余剰として計算。

出所) 速水佑次郎『開発経済学』創文社より引用。元資料はHayami & Kikuchi, Asian Villeage Economy at the Crossroads, 1981。

近代品種が普及した村では、就業機会(労働需要)が増え賃金が上昇し、地代が下落した。一方、近代品種の普及しなかった村では相対的に労働が過剰となり賃金が下落し、 役畜と労働の代替がおこったため、雇用は増えたが労働者の取り分が減少し、地主の取り分が増加した。

(46)

近代品種の普及した村と普及しなかった村の比較(インドネシア)

普及せず(山間盆地)

人口密度17人/ha

人口成長率3%→1%

村営灌漑設備により整備済み

乾期作付率100%

普及時にトビイロウンカの発生

肥料補助金あり→肥料投入の増加

MV普及率11%→14%

人口圧力→賃金下落→役畜投入減少→

資本分配・労働分配率下落、土地分配

率上昇

所得分配の不平等化

土地なし層の貧困化

普及(北海岸平野部)

人口密度12人/ha

人口成長率4%(移住を含む)

村営灌漑整備は約50%のみ

国営灌漑施設の整備

乾期作付率100%

MV普及率7%→100%

単収は40%増加、生産量は85%増加

肥料投入量の増加

賃金上昇・労働投入増加

役畜使用料金の上昇

労働・資本分配率の上昇

土地分配率の下落

所得の平等化

• 近代品種が普及した村

就業機会の増加

→賃金上昇→地代下落

労働分配率の上昇

所得分配の平等化

• 近代品種が普及しなかった村

労働が相対的過剰

→賃金下落(役畜と労働の代替)

賃金下落・雇用増加→労働分配率の低下・土地分配率の上昇

所得分配の不平等化

近代品種の普及した村と普及しなかった村の比較

(インドネシア)

(47)

緑の革命の将来展望と課題

• 食糧危機(マルサス的危機)の回避

• 国際協力の成果(先進国からの国際的技術移転と途上国の積極的対

応)

• 慣習的農村社会の秩序を崩壊

• 環境保全(持続的農業)上の問題

• 化学肥料・農薬の多投などにより生態系の循環を狂わせる要因

• 限られた特定品種のみが広範囲に作付(生物多様性)

• 各地域固有の自然環境の中で維持されてきた在来品種が絶滅する危

険性

• 病害虫や冷害の発生

• 特定品種のみ被害を受けることになると大凶作の危険性

各国の単収の推移

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 バングラデシュ カンボジア 中国 インドネシア 日本 マレーシア フィリピン 韓国 タイ ベトナム

まだまだ単収増加の可能性のある国が多い

(48)

アジアとアフリカの単収の推移

(コメ)

出所:Donald Larson et al. Can Africa Replicate Asia’s Green Revolution in Rice?

Worldbank Policy Research Working paper 5478, 2010.

技術移転とコメの単収

ウガンダにおける水稲の収量と生産技術の採択状況

単位

平均

ブギリ

マユゲ

ブケディケ

バリッサ

全技術採用者

(ton/ha)

4.13

4.47

2.89

1.22

0.37

3つの技術採用者

(ton/ha)

3.20

4.15

1.89

n.a.

1.54

2つの技術採用者

(ton/ha)

2.25

3.07

2.00

1.95

2.26

1つの技術採用者

(ton/ha)

1.81

2.30

1.91

1.89

1.38

不採用者

(ton/ha)

1.33

n.a.

0.79

1.42

0.66

化学肥料採用率

(%)

7.6

7.6

n.a.

n.a.

n.a.

近代品種採用率

(%)

19.6

43.8

40.0

5.0

1.6

サンプル農家数

(戸)

300

75

75

75

75

JICAによる支援

灌漑設備技術指導 技術指導 なし なし

(49)

「緑の革命」の普及戦略

• 農家のインセンティヴを重視

• 技術移転・技術開発

知的資本の蓄積

• 栽培技術の普及

人的資本の蓄積

• 灌漑・輸送・通信インフラの整備

社会的共通資本の蓄積

• 信用供与と支援

物的資本の蓄積と充実

参考文献

• 生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる』家の光協会

• 荏開津典生『農業経済学』岩波書店

• 速水佑次郎『新版・開発経済学』創文社

• 速水佑次郎・神門善久『農業経済論』岩波書店

• グリック『西洋農業の変貌』農林統計協会

• エスワラン・コトワール『なぜ貧困はなくならないか』日本評論社

• 増田萬考『国際農業開発論』農林統計協会

• 大竹久夫編著『リン資源枯渇危機とはなにか』大阪大学出版会

• 『地球白書2011-12』ワールドウオッチ研究所

特集:アフリカ大飢饉を回避する農業改革

• デイビット・ワイル『経済成長』第2版 ピアソン

• 大塚啓二郎『なぜ貧しい国はなくならないのか』日経

• グリッグ『農業地理学』農林統計協会

• レオン・ヘッサー『ノーマン・ボーローグ』悠書館

(50)

レポート課題

(候補)

• 『緑の革命』の果たした役割と問題点につ

いて述べ、アフリカにおける『緑の革命』の

可能性について検討しなさい。

• レポート課題は、11名の担当教員がそれ

ぞれ1題ずつ出題します。その中から2題

選んで

2000字以内でレポートを作成し、提

出していただきます。レポート課題は最終

回に配布します。

参照

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島根県農業技術センター 技術普及部 農産技術普及グループ 島根県農業技術センター 技術普及部 野菜技術普及グループ 島根県農業技術センター 技術普及部

商業地域 高さ 30m以上又は延べ面積が 1,200 ㎡以上 近隣商業地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 1,000 ㎡以上 その他の地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 800 ㎡以上

1000 ㎥/日以上の事業者 213.5 73.2 140.3 65.7 500 ㎥/日以上の事業者 39.3 18.6 20.8 52.9 200 ㎥/日以上の事業者 20.4 19.1 1.3 6.3. 計 273.3 110.9 162.4

さらに、93 部門産業連関表を使って、財ごとに、①県際流通財(移出率 50%以上、移 入率 50%以上) 、②高度移出財(移出率 50%以上、移入率

商業地域 高さ 30m以上又は延べ面積が 1,200 ㎡以上 近隣商業地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 1,000 ㎡以上 その他の地域 高さ 20m以上又は延べ面積が 800 ㎡以上

C 近隣商業地域、商業地域、準⼯業地域、⼯業地域、これらに接する地先、水面 一般地域 60以下 50以下.