浦安市新型インフルエンザ等対策行動計画(案)の概要
1 策定の背景
病原性が高い新型インフルエンザや同様に危険性のある新感染症が発生し た場合に、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び経済に及ぼす影響が 最小となるようにすることを目的に、新型インフルエンザ等対策特別措置法 (平成 24 年法律第 31 号。以下「特措法」という。)が制定されたことに伴い、 政府行動計画及び県行動計画に基づき市行動計画を策定するものです。
2 計画の目的
新型インフルエンザ等の感染拡大を可能な限り抑制し、市民の生命及び健 康を保護するとともに、市民生活及び市民経済に及ぼす影響が最小となるよ うにすることを目的としています。
3 定めるべき事項
特措法第8条第2項の規定により、おおむね次の事項について定めること とされています。
(1) 当 該 市 町 村 の区 域 に 係 る 新 型 イ ンフ ル エ ン ザ 等 対 策 の総 合 的 な 推 進に 関する事項
(2) 市町村が実施する次に掲げる措置に関する事項
ア 新型インフルエンザ等に関する情報の事業者及び住民への適切な方法 による提供
イ 住民に対する予防接種の実施その他の新型インフルエンザ等のまん延 の防止に関する措置
ウ 生活環境の保全その他の住民の生活及び地域経済の安定に関する措置 (3) 新型インフルエンザ等対策を実施するための体制に関する事項
(4) 新 型 イ ン フ ルエ ン ザ 等 対 策 の 実 施に 関 す る 他 の 地 方 公共 団 体 そ の 他の 関係機関との連携に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、当該市町村の区域に係る新型インフルエン ザ等対策に関し市町村長が必要と認める事項
4 流行規模の想定等
新型インフルエンザの流行規模は、その発生の時期も含め、事前にこれら を正確に予測することは不可能であるといわれています。
政府行動計画においては、国民の25%が、流行時期(約8週間)にピーク を作りながら順次罹患し、医療機関を受診する患者数は約1,300万人〜2,500
万人と推計しています。
市の行動計画の策定に当たっては、国が示した過去に世界で大流行したイ ンフルエンザのデーターから一つの例として想定した推計結果を本市(平成 22 年 度 国 勢 調 査 で は 、 浦 安 市 の 人 口 164,877 人 で 全 国 人 口 128,057,352 人 の 0.12%)に当てはめることで、流行予測を行っています。
浦安市 千葉県 全国
医療機関受診者数
約16,000人 〜30,000人
約63万人 ~121万人
約 1,300 万 人 〜
2,500万人※1
中等度
入院患者数 (1日最大入院患者数)
約600人 (約120人)
約26,000人 (約4,900人)
約53万人 (約10.1万人) 死亡者数 約200人 約8,000人 約17万人
重度
入院患者数 (1日最大入院患者数)
約2,400人 (約480人)
約97,000人 (約19,400人)
5 発生段階の考え方
新型インフルエンザ等の対策は、患者発生の状況に応じて講ずるべき対応 が異なることから、事前の準備を進め、状況の変化に即した意志決定を迅速 に行うことができるよう、あらかじめ発生の段階を設け、各段階において想 定される状況に応じた対応方針を定めておく必要があります。
この行動計画では、国及び県の行動計画に準じた5つの発生段階に分類し、 各段階に対応した行動計画を定めています。
<新型インフルエンザ等の発生段階の状態>
発生段階 状 態
未発生期 新型インフルエンザ等が発生していない状態 海外発生期 海外で新型インフルエンザ等が発生した状態
国内発生早期
国内で新型インフルエンザ等が発生しているが、全ての患者の接 触歴を疫学調査で追える状態
《県内の発生段階》
・ 県内未発生期:県外で新型インフルエンザ等患者が発生 しているが、県内では発生していない状態
・ 県内発生早期:県内で新型インフルエンザ等患者が発生 しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追える状態
国内感染期
国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等患者の接触歴 が疫学調査で追えなくなった状態
《県内の発生段階》
(県内未発生期・県内発生早期の場合もあり得る。)
・ 県内感染期:県内で新型インフルエンザ等患者の接触歴 が疫学調査で追えなくなった状態
小康期
6 対策の基本項目
この行動計画は、新型インフルエンザ対策の2つの目的である「感染拡大 を可能な限り抑制し、市民の生命及び健康を保護する」及び「市民生活及び 社会経済に及ぼす影響が最小となるようにする」を達成するため次の七つの 基本項目に分けて対策を策定します。
(1)実施体制
(2)サーベイランス・情報収集 (3)情報提供・共有
(4)予防・まん延防止 (5)予防接種
(6)医療
(7)市民生活及び市民経済の安定の確保
※ サーベイランス
見張り、監視制度という意味。
疾患に関して様々な情報を収集して、状況を監視することを意味する。 特に、感染症法に基づいて行われる感染症の発生状況(患者及び病原体) の把握及び分析のことを示すこともある。
浦安市新型インフルエンザ等危機管理体制
浦安市新型インフエンザ等対策本部
本部長:市長 副本部長:副市長
本部会議 [本部員] 危機管理監・教育長
消防長・各部長
[事務局] 健康福祉部
市長公室 総務部 財務部 市民経済部 健康福祉部 こども部 都市環境部 都市整備部 消防本部 教育総務部 生涯学習部
市民
医療機関
事業者
7 各段階における対策の考え方 (1) 未発生期
ア 新型インフルエンザ等は、いつ発生するか分からないことから、平時 から警戒を怠らず、本行動計画等を踏まえ、国、県等との連携を図り、 対応体制の構築や訓練の実施、人材の育成等、事前の準備を推進します。 イ 新型インフルエンザ等が発生した場合の対策等に関し、市民全体での
共通認識を図るため、継続的な情報提供を行います。
(2) 海外発生期
ア 新 た に 発 生 し た 新 型 イ ン フ ル エ ン ザ 等 の 病 原 性 や 感 染 力 等 に つ い て 十分な情報がない可能性が高いので、病原性・感染力等が高い場合にも 対応できるような対策をとります。
イ 対策の判断に役立てるため、海外での発生状況、新型インフルエンザ 等の特徴等に関する積極的な情報収集を行います。
ウ 市内で発生した場合に備え、サーベイランス・情報収集体制を強化し ます。
エ 海外の発生状況について注意喚起するとともに、市内発生に備え、市 内発生した場合の対策について的確な情報提供を行い、医療機関、事業 者、市民に準備を促します。
オ 国が検疫等により、国内発生をできるだけ遅らせるよう努めている間 に、市民生活及び市民経済の安定のための準備、ワクチンの接種体制の 構築等市内発生に備えた体制整備を急ぎます。
(3) 国内発生早期
ア 感染拡大を止めることは困難ですが、流行のピークを遅延させるため、 引き続き感染対策等を行います。緊急事態区域に指定された場合は、県 内発生の状況を踏まえ、緊急事態措置により、積極的な感染症対策等を とります。
イ 医療体制や感染症対策について周知するとともに、一人ひとりが取る べき行動について十分な理解を得るため、市民への積極的な情報提供を 行います。
ウ 国内や県内の患者が少なく、症状や治療に関する臨床情報が限られて いる可能性が高いため、海外での情報収集に加えて、国内や県内の情報 をできるだけ集約し、医療機関等に提供します。
内感染対策を実施するよう要請します。
オ 県内感染期への移行に備えて、医療提供体制の確保、市民生活及び市 民経済の安定に備えた体制を整備します。
カ 住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は速 やかに接種を実施します。
(4) 国内感染期(県内感染早期〜県内感染期)
ア 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な 感染防止策から被害軽減に切り替えます。ただし、状況に応じた一部の 感染対策を継続し、感染拡大をなるべく抑えるように努めます。
イ 状況に応じた医療体制や感染拡大防止策、ワクチン接種、社会・経済 活動の状況等について周知するとともに、市民一人ひとりがとるべき行 動について、分かりやすく情報提供を行います。
ウ 流行のピーク時の入院患者や重症患者数をなるべく少なくして、医療 体制への負荷を軽減します。
エ 医療提供体制の情報提供を行い、必要な患者が適切な医療を受けられ るようにすることで健康被害を最小限にとどめます。
オ 職員の健康管理の強化を図り、新型インフルエンザ等に係る対策を推 進するとともに、市民生活を維持するために必要な業務の継続に努めま す。
カ 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症患者数を抑え、医療体制へ の負荷を軽減するため住民接種を実施します。
キ 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策を縮小し、又は中止しま す。
(5) 小康期
ア 第二波の流行に備えるため、流行の第一波に関する対策の評価を行う とともに、資器材等の調達等をし、第一波による医療体制及び社会・経 済活動への影響から早急に回復を図ります。
イ 第一波の終息について市民に知らせるとともに、第二波の発生の可能 性やそれに備える必要性について市民に情報提供します。