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不等価交換のarticulaもion構造について
一方法論的試論一
中
太
工 問題の設定
資本主義世界市場における不等価交換の方法論的枠組は,旧来静学的な意味 における国際価値論の裡で擬制的複雑労働規定を媒介とする価値量の転形メカ ニズム分析も,又世界労働=世界貨幣を媒介として比較生産費の論理を内在化 しつつ一応体系化された競争論的メカニズム分析も,死労働と活労働の統合値 たる価値量の変化自体をその理論的出発点にしているが,この方法論的限定が 国民的労働の不等労働量=不等価値量交換という抽象的には正しい規定に到達 しながら,その具体的展開を妨げている。ここで具体化という意味は実証的範 疇への上記規定の翻訳を指すものではなく現段階の資本主義的世界経済の不等 価交換を媒介とする理論的総括にほかならない。 即ち,世界市場における価値法則のモディフィケーションを規定しようとす る場合,その形態規定はその実現条件としての社会的条件に直接拘ってくる。 この場合,経済的範疇は社会的範疇より小さい概念であることは明らかであ る。我々はかかる社会的範躊を社会構成体という理論的重層構造に代表せしめ ることができる。ここで「構造」とは共時的・通時的諸契機が基本的には(!)諸 観念形態,(2)強力としての政治,(3朕定としての経済,それぞれの領域の諸構 造・次元・審級として弁証法的に相互に拘り合い主要矛盾を決定する重層的構 ユラ 造という意味での認識である。従って以下では演繹的に言えば,現代世界資本 主義の主要矛盾として可能的・蓋然的に仮定せる不等価交換の抽象性を「構 !)構造の方法論的概念の原型についてはルイ・アルチュセール,「矛盾と重層的決定」 河野・田村訳『甦るマルクス!』1968年参照。造」化する理論的労働によってはじめてその具体的・必然的規定性を獲得する ことができる。 以下の編別構成としては,不等価交換の実現条件として社会構成体を「種差 わ 化」するものとして,生産様式の連節化(articulation)及び国家=政治構造と の連節化=社会的関係の連節化を分析することを通じてそれと不等価交換との 関係を規定し,次に現代後進国=非西欧的社会構成体において不等価交換の負 の担い手としての積極的な意味をその生産様式の重層構造分析を通じて明らか にしたい。 五 生産様式の連節化と不等価交換 不等価交換の旧来の国際価値次元での把握は生産様式の連節化された歴史的 過程とその結果としての「構造」を極めて限定された経済的審級の内部しかも の 経済学批判前半体系の抽象的審級のモデルに抽象化したために,マルクスの所 謂外国貿易の資本主義的世界市場に対する構造の二面性Zwieschlachtigkeitを 単なる商品交換の等価性と不等価性の歴史的規定性の問題に解消してしまった と言える。しかし,世界市場における不等価交換は経済的構造を主要な次元と トタリテ して有機的に内包せる何よりも社会的関係である。この「構造」の全体性を表 徴する具体的範疇として社会構成体を規定するとすれば,経済的構造と他の審 級,主として諸イデオロギー構造と政治的構造は,従来の本質一現象,土台一 上層建築といった単線的経済決定の全過程としてではなく,経済自体は社会構 成体の多様な構造的規定性・形態に対してそれらを最深部で保証している審級 にすぎないという意味において正しく重層壁構造の同等の共時的・通時的要素 なのである。 このような社会構成体は,上記の意味でのイデオロギー,政治=国家,経済 2) ニコス・プーラソツアス,田口・山岸訳『資本主義国家の構造1』1978年,序論と くに57−58頁,79頁参照。 3) 国際価値論モデルとしての不等価交換規定の概要については拙稿,「国際価値論に 於ける後進国の理論的性格」〈彦根論叢第203号〉参照。
不等価交換のarticulation構造について 27 という諸構造=審級の連環節化によって,第二には経済=最終決定機能を有す る審級内部の連節化,すなわち諸生産様式の連節化によって構造として組立て られている概念範躊である。このように規定すれば社会構成体は共時的要素と 通時的要素を同時に内包し,具体的構造としての社会構成体を規定する諸矛盾 の形態規定が可能となる。 第一の連節化構造は,弁証法的唯物論(社会的存在による諸イデオロギー形 態措定)を基底として商品生産の最高発展形態である資本主義社会構i成体の構 造規定を可能とする。 マルクスの貿易におけるZwieschltichtigkeitの中で世界市場形成の前提とし ての貿易を考えれば,それは資本主義基軸国の商品生産としての構成が本源的 蓄積を通じて,植民地的周辺(社会構成体)を有機的構成の拡大と労働力商品 化の進行に反映される内部的蓄積構造に内面化していく通時的不等価交換の構 造であった。このような資本主義社会構成体の成立契機に拘る連節化構造は, 前述の第一の連節化として2つの意味を持つQ即ち,一はこのような連節化は 厳密な意味での,つまり資本主義的社会構成体相互の不等価交換ではありえな いが,資本主義社会構成体相互の不等価交換の通時的契機,すなわち後半体系 の諸国家=国民経済の国民的生産力水準の不均等的卓越一具体的にはバリバー ルのように夫々の国民的(特化部門)な有機的構成の格差に反映するような一
〇 e 4)
の内在的論拠を示唆する。次に資本の一一一s国における自立的内面化の連節化と考 4)バリバール「史的唯物論の基本概念について」アルチュセール/バリバール,権・ 神戸訳『資本論を読む』1974,4!4−415頁参照。彼によれば動態の時間とは資本の有 機的構成において測定される資本主義生産の年齢であり,資本主義発展の歴史的不均 等が考察されるのは方向のあるこの内在的時間においてのみである。この年齢は資 本主義的生産様式に従属したいくつかの経済圏間で比較された年齢でありその重要性 は,一つの地域から他の地域へ資本の有機的構成の不均等が引おこす諸結果=支配と 不均等な発展の諸結果に帰因する。また,この内在的時問の必然的方向とは資本の有 機的構成の増大に含まれる,構造の諸特性の保存のための市場拡張であり,それはと くに外国貿易によって利潤率の低下を抑制するための資本家総体によって援用された 一つの手段であると彼は述べている。この視点は極めて重要な「経済構造」としての 生産様式の連節化構造を間接的に示唆した質的規定性をもつ。これは換言すれば生産えれば,それは正にマルクスの「一国において継起する,相異なる発展段階に ついて言えることは,相異る諸国に同時にならび存する,相異なる発展段階に ついて言える」というテーゼの起点である。 このような連節化は,重商主義的政策を資本の本源的蓄積の基本形態として 規定するが,この場合この過程を強力を媒介とする独自の条件として「構造」 の自律性の外におくことは出来ない。国家濡政治の経済に対する連節化が第二 の連節化の国際的形態を規定する。この通時的不等価交換が共時的不等価交換 構造をその主体(中心)と客体(周辺)という資本主義的社会構成体形成を通 じて可能とならしめるが,客体的形成は後述するとしてその主体の形成は何故 客体と質的な種差性として分化しえたのであろうか。そこで前述の第一の連節 化と第二の連節化の相互規定に資本主義構成体の主体化の論拠を求めることが できる。根本的には私的土地所有を媒介とする絶対地代・差額地代の資本への 転形条件が様々な代替の型に代表される経済構造の相対的種差性一それはブル ジョア国家=政治の前者からの一定の相対的自律構造(つれ)との連節化の 結果である一として一定の限定された共時的構造をこの段階の形で共有しえた ことから説明できよう。この場合,西欧的raumという構造は当然第二の連 節化構造として全体としては把握できるが,その第二の連節化一第一の連節化 を媒介とする一こそ経済的構造としては,ブルジョア国家=政治による不等価 交換の強制的等価交換化過程であり,外国貿易の使用価値配分機能の審級では 比較生産費の国内体系による相互輸出bias的構造→不均等発展による輸入代 替構造→新たな比較生産費体系の成立という一連の要素変換過程である。この 場合,資本主義的社会構成体の経済構造の抽象的自律性は完全競争の構造とし て表徴されるが一例えぽ政治=国家の審級の経済への無介入によって表される の 種差画一それはこの自由競争段階において本来,国家=政治構造によって保証 される交換関係の等価性が最も高度の経済的物神として正にブルジョア国家= 手段(労働手段)と労働力の結合における連節化構造であるが,問題点は,この連節 化が社会的同質性(政治によって媒介された)の内部でのみ保証されることである。 5) プーランツアス前掲書,59−6Q頁参照。
不等価交換のarticulation構造について 29 政治の種差性(ブルジョア的平等)と連節化されているからにほかならない。 この場合,ブルジョア国家が国民的労働の質的stufenlbiterを決定する機能と 構造は国家の外部的(夜警)機能として商品交換の国内的・国際的(関税)等 価性=等価交換の構造に擬制化される。 この場合の限定された共時的構造としての中心=世界資本主義社会構成体 は,土台として資本主i義生産様式を第一の連節化を媒介として共有するに至る から社会構成体としては同質性をもつが,このことは経済構造の種差性の中で 保証される各国家の国民的労働の同質性=その要素としての相互変換の可能性 を示唆するから,かかる労働の質的規定性は資本としての対象化された労働蓄 積=資本による労働(死労働+活労働)支配の比率の同質化,及び活労働=抽 象的・一般的人間労働の資本主義国家による質的限定,即ち簡単な平均労働 (一定の熟練度と強度)としての同質性を意味する。各ブルジョア国家に媒介 された国民的労働は従ってこのような中心の構造内部では同質的な資本の有機 的構成と結合した簡単・平均労働として時々同質的な価値増殖性能をもち且つ 世界市場(相互の交換,)においても箇々同等な労働生産性水準(使用価値生産 量)をもつ範躊として等価値量篇等労働量が交換されるであろう。ここでは国 民的労働(勿論限定された中心=資:本主義社会構成体内部)が国内個劉労働か ら二形・導出される機構就中世界労働の範疇規定(植民地労働を分母として含 むか否か)は直接の問題ではない。何故なら我々の問題が正に労働比較の方法 的問題,即ち不等価交換,従って等価性の実現条件としての社会構成体の同質 化==連節化構造の論証であるからである。即ち,資本主義社会構成体の同質性 が先の連節化を媒体として国内・国際(共時)的に且つ不均等発展(通時)に よって国民的労働の等価性を維持するのである。 この等価性という範疇は限定された資本主義社会構成体という構造内部で第 一の連節化により資本主義的生産様式の確立(即ち,生産様式の連節化の終 了)に至ってその上に成立しうる概念である。しかし,資本主義生産様式の理 論的指標である労働力商品と資本の交換における擬似的等価性,換言すれば資 本となった二資本に包摂されその指揮下に入った労働力の商品としての等価性
は常態すなおち構造としては最も発展した不等価性の表現なのである。 ラ H・ルフ=一ブルによれば,商品交換とは強力=斗争による非等価性の等価 値化ということで,商品世界は等価性と相互性の形式関係の無限の連鎖として 政治権力の基礎自体として現成する。マルクスは非等価性を樹立することによ って等価性の連鎖を破壊し,非等価性が等価性の実体として現われることを示 した。又蓄積構造の基底は国家によるこの等価性連鎖の維持・保証であり,そ れは世界的規模における国家の形成を解明せしめる。感覚によれば資本の有機 的構成の不断の不均等化に起点をもつ資本主義国家の不均等発展を国家は常に 資本の移動の方法等によって均等化し,資本の蓄積構造における等価性を維持 しようとする政治的過程において現れるし,商品を世界市場で販売することに より(例えば軍需品)国家=政治の次元での蓄積として現われ,G−W−Gの の 交換を越えて,G−A−GというGとGを媒介する生産的労働に転化する。ま う た従来の不等価交換の経済的規定は経済主義にタ委小化され,国家の過小評価に 陥り,ブルジ・ア国家が世界的分業の組織につとめ,その為に蓄積にとどまら の ず支配関係の再生産をおこなう面を見おとしていることを批判している。 ルフェーブルの指摘はブルジョア国家と等価性の関係の重層構造を直接示唆 した意味から極めて本質的な等価・不等価性の質的規定である。資本主義社会 構成体が国内的連節化を資本主義生産様式に謡曲せしめる構造が,即ち擬似的 等価性を商品交換過程で確立する過程が国内の辺境労働を政治の下に(等価値 尺度たる世界労働=世界貨幣を自ら設定すること)包摂したことはとりも直さ ずこの過程が植民地=周辺の生産様式の連節化の第1局面を形成したことを意 味している。しかし,この植民地=周辺の連節化の第1局面は中心との不等価 交換の構造ではなく,前述した通時的な不等価交換は実質上,強力を媒介せる 異生産様式内の国内個別労働の収奪であり,これによって周辺=植民地の政治 6) Henri Lefebvre, De 1’Etat 3. Le mode de production 6tatique, /977 Paris. pp. 21 −24参照。 7) op. cit, p. !25. 8) op. cit,, p, 129. 9) op. cit., pp. !30−13!.
不等価交換のarticulation構造について 31 構造が逆に民族解放斗争という世界的な階級訟訴の有機的部分として自由競争 段階における資本主義構成体の強力的世界分業体制再生産の為の帝国主義的政 治=国家構造を規定したのである。端的に総括すれば,商人資本及び自由主義 段階における商品交換の等価性の擬制の下での収奪(搾取ではない)は世界市 場ではなく広義の資本主義社会構成体内部の第一の連節化を媒介とする生産様 式の連節化→高湿の重層構造として理解できよう。従って,このような視座か らは第一の連節化,換言すれぽ蓄積過程を資本主義社会構成体として総括する ブルジ。ア国家の相対的な独自性=:自律性(それは不等価性を等価値化する強 制に表徴される)及びその形態としての種差性(例えば帝国主義としての国 家)が重要な公準になる。 マルクスによれば,後半体系の理論的起点たる国家はブルジョア社会の総括 である。我々の視点からその意味は明白になる。即ち,この国家とは単なる資 本主義的再生産構造=国民経済の自律性を抽象的に述べたものではなく,資本 主義社会構成体における第一の連節化構造自体を示唆している範躊であって, その内実は,(1)国民的労働の範疇,その等質的比較可能性が第二の連節化即ち 生産様式の連節化による周辺の包摂=等価性原理下の収奪によって成立したこ と,(2)上記の資本主義虚構成体の成立=それ自体の再生産の拡大が不可避的に 新たな政治構造(民族解放斗争に代表される)を媒介として資本主義社会構成 体の種差性を拡大すること,に要約されよう。第一点に関してはマルクスが主 として第一の連節化の方法に基いて国際的商品交換の等価性の次元と政治==国 家の審級を二つの構造として連節していたことに留意せねばならない。即ち, 一は資本主義国家相互の生産関係を夫々の国家=政治構造による等価性原則= 価値法則の具体的貰徹形式の連節化によって一周知のように価値法則のモディ フィヶーション或は国際価値での等価交換という世界市場での形態規定を通じ て資本主義社会面成体の種差性を可及的に消去せしめる中心の構造といういわ ば資本主義社会構成体の中心内部に拘る構造であり,二は中心から疎外された その外側との連節構造である。外側に在る周辺の「構造」は自由競争段階にお いてはかかる生産様式の連節化によっても未だ分化した資本主義構成体として
の種差性を確立していない。従ってこの段階においては国家と等価性の連節化 =国家による国際的(擬i似的)等価値交換一国民的労働の不等労働量=:不等価 トタリチ 値量交換の形態規定をうける一は共時的には世界市場をカバーする全体性を構 造として有していないといえよう。 従って資本主義の自由競争段階における国際的不等価交換、の理論は,前半体 系の論理に比べてより具体化された基本的規定といえるが,不等価交換の構造 を反映するものではない。換言すれば経済的審級の理論的規定性としては,総 体としての資本主義社会構成体の発生論的な連節構造を説明できるものではな く,成立した上記構成体の附随機能としての等価性(従ってその国民的労働交 換における等価性と不等価性の相互変換という中心内部の共時的構造)に専ら 限定される範躊である。 資本主義の本源的蓄積段階を含む広義の自由競争段階における上のような国 際的不等価交換の連節化(articulation)構造を発生論的articulationの構造と よぶならば,経済的構造としての不等価交換を含む世界市場=限定されない共 時的な連節化構造とは世界資本主義社会構成体であることは正しく前者から類 推でぎよう。それはマルクスが世界市場の形成の結果としての外国貿易を規定 したことに照応するのであって,この場合は国際的不等価交換の機能論的連節 化構造と呼ぶことができる。 このような世界資本主義社会構成体の形成自体は勿論前述の発生論的な不等 価交換の構造によって媒介される。それは民族的次元での政治構造(周辺)= 反帝国主義虚心に媒介された中心における生産と資本の集積;資本蓄積の新た な型としての経済的構造に規定された不等価交換の機能的構造である。その公 準は(1)周辺における国民的労働の範瞬の成立,(2)資本主義社会構成体として多 様な種差性の形成であるが,(1)は政治と経済の連節化の新たな局面であり,(2> は生産様式の連節化の新たな局面である。これはいつれも中心における独占の 構造=それはすぐれて国家の政治的構造として現成する寓によって連節化され た結果であり,全体としては国家は生産関係の再生産から支配関係の再生産の 主体に移行する。
不等価交換のarticulation構i造について 33 何故ならば,中心における生産・資本の独占とは競争の自律性の対極に位置 する概念であり,正しく国家=政治構造に媒介されている政治的範疇であるか ら。P. Reyが資本が外から周辺に資本主義生産様式を課する能力をもちうる に至った段階=金融資本段階一植民地脱化を可能とする一に質的に決定的重要 性を与えているのは正しい。しかし,これをA.Brewerのように資本輸出だ けに簸小化してはならないQ 国民的労働範疇が周辺において成立したこと,即ち個別部門労働が政治と連 節して国民的労働に翻訳され,それが正に前近代的社会構成体でも社会主義構 成体でもない商品生産の最高形態としての資本主義社会悪成体として,即ち価 値範疇として成立したことが,かかる同心円的構造としての中心と周辺の不等 価交換を経済=的過程として可能ならしめるのである。これは中心における独占 =政治構造が周辺を連節化することを通じて周辺自体の連節化の新たな局面, 即ち新たな政治構造とそれに保証された新たな経済懸造=極めて種差性のある 資本主義的過渡的社会構成体の土台が成立したことを意味する。 従って中心にも周辺にも独占(反競争)としての経済に連節した政治構造が 存在するが,その機能ぱ,(!)かかる独占を直接保証する強力として,(2)金とい う価値尺度形態から相対的に自立して擬似的世界貨幣=世界労働に対する悠意 的尺度を規定できる機能として,③ (2)の結果として国家:政治構造が直接的 に労働力価値を規定できる一即ち国家が労働生産性を決定できる機能として現 成する。「国家の機能は第一に経済的水準,そして特に労働過程,労働の生産 コの {生にかかわる。」 このような政治構造が連節化による結果としての強い種差性をもつにせよ成 立することが不等価交換を構造的に可能とする。国民的労働の範疇が構造とし て成立することは直接比較できない個別部門労働が世界労働によって価値範疇 に翻訳され量的比較が可能になることであり,ブルジョア国家の構造が中心と 周辺において対象化された労働の集積の不均等を一方において媒介し,他方に 10)プーランツアス 前掲書 56頁。
おいてそれと結合する活労働の簡単・平均労働としての同質性=労働力商品と しての同質性とその労働力価値水準の生産性以下への可及的圧縮という資本要 素としての:量的規定を,労働力商品の等価値化(非等価の等価値化)=資本と の等価交換を通じておこなうのである。国家は労働強度=世界資本主義社会構 成体の段階自体によって所与されている=を規定するのではなく,或は規定で きるのではなく,労働生産性(国民的労働として)を規定できるのである。換 言すれば,労働過程の客観的な連節化の国際的様式がここでは問題の中核とな る。 総括すれば,従来の経済的審級としての国際価値論における不等価交換船の 擬制的複雑労働規定及び市場価値論的競争論の成立の為の外生的契機となって いた労働の国際的不移動性或は世界市場の国内部門に比較せる空間性というよ うな視座は,極めて抽象的すなわち非構造的であって不等価交換を具体化でき ないが,連節化の構造からみれば,中心における政治的連節化としての独占= 生産集積の政治的方向性をもつ構造と他方,周辺における連節化・・Ssウクラー ド構造の対極的=同心円的証成すなわち共時的な世界資本主義社会構成体とし ての,しかし通時的な種差性を反映する諸審級を内包せるこの構造の成立こ そ,資本主義的不等価交換を労働過程の客観的連節化の国際的様式として経済 的に可能ならしめる構造にほかならない。 国民的労働の範疇は正しくかかる構造によって可能となる。かかる国民的労 働が国際価値において等価性を擬制されて世界市場で交換される場合に,かか る「等価交換」を国民的労働の不等労働法==不等価値量の交換と規定できるが それは等価交換とはなりえない。何故ならば世界資本主義社会構成体の対極の 構造(中心一周辺)が正しく双方の連節化によって共時的な構造であると同時 に通時的構造として規定されているからである。従ってこのような構造内部で は対極の種差性をもった構造の逆転=相互変換はおこりえない。換言すれば, 労働過程の客観的連節化の国内構造の水準での国際的相互変換の内生的契機は 存在しない。 このような世界資本主義社会構成体が一つの有機的全体として,それ自体の
不等価交換のarticulation構造について 35 再生産を続行するのは不可欠であって,その型は安定的である。故にローザ・ ルクセンブルグ的な,単一の資本主義生産様式への搾取を通じての収敏も,ス ターリン的な意味での植民地支配の再生産も起こりえない。別稿で述べた貿易 利益の二重性を基底にもっかかる構成体の資本蓄積の構造は,最も発展せる世 界分業の資本主義形式として持続的であると考えて誤ではない。その理由は, 中心よりもむしろ周辺の連節化構造に多く求められるQ (後述) ところで国際的不等価交換を国民的労働の交換自体に求めず,その国際的 (価緯に基く)等価性を保証する正常条件の擬乱,例えば独占等の不正常な条 ユ 件による国際的等価性からの乖離に見る視点も在るが,これは本来擬制である 国際価値=世界労働を実体視する誤りではないか。 さて,このような不等価交換の世界的構造は商品交換形式以外に当然,資本 の輸出(輸入)によってより現実的,具体的な構造として門下づけられる。そ れは第一にブルジョア国家による資本の体欄的輸出=体制的支出を通じての不 等価交襖の軌道(infrastruc臆e)設定という政治的連節化と同時に第二とし ユ う て,所謂中心の民間資本の直接投資就中巨大多国籍独占体による形態を指摘で きる。それは中心の資本による周辺の労働の種差性=重層構造の直接的包摂= 組織形態であり,周辺の労働による下請化の構造である。 所謂企業内世界分業体制として現代帝国主義の基本的経済構造とされるこの ような中心一周辺の結合は,一方で正しく世界資本主義社会構成体の有機的 全体性を高度に表徴すると同時に,中心と周辺の連節化の最も新しい局面を示 していると言えよう。それは従って不等価交換の新しい形態 労働生産性水準 の乖離以上に賃金水準の乖離が存在する下男一として,又利潤再投資により比 較生産費体系を生み出す刺戟要因としてプロダクト・サイクルの媒介としての 技術輸出と重ね合せて考える必要があろう。このような構造に組こまれた資本 11) E・1〈aMeHoB・D・餓aπxacHH・cy㎎HocTb va npxqlaHbl He∂KBHBaneH’THoro ToBapo・ o’orvlella Me>irLAy aΦpva−vsaHcKymz 1翌pa3B翼fHM}三KannTafiTricTPIqecKliMH cTpaHaMH, ∂KoHoMnqecKne ilpo6AeMbl AΦpHKH,赫ocKBa,!974, cTp・118−147. 12)杉本昭七『現代帝国主義の墓本構造」ユ978年,第6章参照。
輸出は国の内外への単なる投資選択ではなく,中心の比較劣位部門の資本も動 員する中心での独占強化を通じてその政治構造に反映する連節化の基軸機能を 果すのである。この場合,現象としては中心と周辺それぞれ逆の符号をもった 国際収支の基礎的均衡が,かかる不等価交換を基底とする世界分業の結果とし て成立しており,不均等発展はこの構造のむしろ刺戟要因となり続けるであろ う。 皿 生産様式の連節化と後進国の社会構成 世界資本主義社会構成体を規定する主要矛盾は中心と周辺の不等価交換の構 造であるが,その主要な側面が中心=帝国主義的独占にあるとしても,機能的 に主要な側面はむしろ周辺のもっている中心に対する連節化構造にあると言っ てもよい。即ち,主として生産様式の連節化構造は,それを国三下段階では欠 いている中心ではなく周辺において,不等価交換の全体制に対する極めて質的 な規定性を持っている。結論を先どりしていえば,このような連節化構造は, 周辺において通時的構造としては(1>資本主義的生産様式の連節以前の本来の社 会的構成(土壌の問題),(2)経済的審級での強制的連節化の構造局面(植民地 的生産様式の問題),(3)国民経済の主体性をもった多ウクラード社会構成の局 面,として把握できる。又,共通的な構造としては,世界資本主義社会構成体 の対極的構成要素として,中心との不等価交換に対応する多ウクラード的社会 構成体=国家資本主義体制の諸法則と政策というように理解できよう。’ 周辺の通時的構造の社会的土壌は,それが厳密な意味で第二次構成体を内生 的に生み出さないという意味で第一次構i成体であり,マルクスの指摘したよう に個人ではなく共同体が最初に生産手段としての土地に拘り合う所有形式を土 台とする。故に多様な形態を伴うにせよ厳密な生産様式としてはアジア的共有 =私的土地所有の欠落と共同体的アウタルキP一一一を土台とせる家父長的専政の氏 族的体制であるアジア的生産様式の原型としてのレゾソ・ゲートルを認める必 要がある。この場合,「生産様式」としてのアジア二段階という形式的概念規 定にこだわる必要はないのであって,例えば生産様式の厳密な概念を諸生産関
不等価交換のarticulation構造について 37 係の支配によって構造化された生産諸関係と生産諸力の一つの連節化結合であ るという視点から,剰余労働の領有方式がどんなに種差性を有してもそれは生 エヨラ 産一項の組合せ(生産関係に適応した)を規定できないとしても,我々の言う アジア的生産様式の概念は,集団的な形態での剰余労働の領有に基く原始共同 体の範疇で,その剰余労働のアジア的領有方式(典型的な特徴としては地租瓢 地代という下位共同体から上位共同体への貢納的関係)という形態的な種差性 を,極めて強い,共同体的所有を抽象化し幻想化せしめる家父長早早イデオロ ギーの媒介の下に非西欧的「第一次構成体」の原型として把えられる範疇にほ アの かならない。F.テー・ケィによれぽ「その所有諸関係のあり方からいえば,原 始共同体的構成体に密着しているのだが,生産様式全体と社会編成について は,原始共同体のカテゴリーにも属さない。」故に原始共同体の変形(本質と しての家:防長的搾取)の広義の非西欧的一般性を指摘できるのである。旧ユー ラシア大陸,南米大陸,アフリカ大陸の各地域における非西欧的第一次構成体 の理論的構成の為にアジア的生産様式の諸契機を適用することに致命的な理論 的障害はないと考える。例えば,アフリカ社会に関して,基本的な意味でアジ ア的生産様式との類推が理論的に可能であることは多くの論者によって指摘さ コの れている。例えばM.ゴドリエ,S。アミン等は,第一一一次構成体としてのアフ リカ的社会構成を遠距離商業から特徴づけてアジア的生産様式亜種と規定す る。それに対して「伝統的アフリカの最発展した地域に共通する生産様式は, アジア的生産様式と比較できるとし共通点は自給的村落の存在,差違は専制権 エの 力の欠除」にあるとする視座を媒介として,更に環境の大変化も高度な共同組 織も欠除するが,共同体間の遠距離と少交渉を伴った自給レベルの小剰余生産 ユ をおこなう農業共同体であるという,総括的規定が主張されたことは「アフリ 13) B.Hlndess&P. Q. Hirst, Pre−capitali$t modes of production,1975 London, PP.9−12. 14)F.テーケイ,羽仁訳『アジア的生産様式』1971年,110−116頁。 !5)Attil・Agh, L・by・i・th in th・m・d・・f p・・d・・ti・n…t・・versy,1980 B。d。pest, p.47−48. 16) Ibid., PP.47−48. 17) Ibid・, PP・53−54.
力的生産様式のモデル化の為にアジア的生産様式のマルクス主義理論の核心自 体を維持する」こと,「普遍的モデルとしてアジア的生産様式をアフリカ的発 エヨラ 展の分析の為に使用できる」という方法が公認されたことを意味する。 19) 10.セーメノブの見解は上の意味で一つの総括である。アジア・アフリカの 伝統的社会構造の類型について中央アフリカの「王国」を分析しつつ,W.サ ウスホールの表現による「環節国家」或はピラミヅド的構成がアフリカの最初 の階級社会にのみ妥当するにとどまらず,アジア,アメリカ,大洋州において も見出されるとし,歴史的にはこの最も発達した型として中国の西周社会と南 米のインカ帝国の社会構成をあげている。かかる構成は直接生産者が第1グル ープとして自己の生存を共同体成員としての自己の労働により保証すると同時 に,その剰余労働によって剰余生産物を創出し,それは第2グループの管理下 に入るような,一方が他の労働を専有する搾取形式を中核とし,下部組織とし て農民的家内経営が結合している,形成されつつある(過渡の)農民共同体で あり,階級的な上位所有部分=国家的所有とその下部細胞としての共同体が同 時に結合しているものである。マルクスはこのような生産様式をくアジア的〉 と名づけたが,後マルクスはこの様式がアジアのみならず,他の世界にも存在 していることを確信し,〈アジア的〉という用語の使用をやめたが,セーメノ ブはこのような様式をr政治−国家的」生産様式として総称する。本質的な意 味はこのような社会がその発展段階と搾取度,その多様な形式との問の照応を 全くもたない一というより一つの生産様式の裡に多様な搾取形式を第二義的 に,過渡的に包含しうる構成であり,現代後進国の,特にその国家のアジア的 =「種族的」種差性の原型である点にある。 即ちこのような非西欧的(広義のアジア的)土壌の特徴は共同体的所有(共 18) lbid., p. 48. 19) !O. M. CeMeHoB, 06 oaHoM H3 TanOB TPanvalznoHHblx couna”bHblx cTpyKTYI atppHKM ” a3Hva: nparocynapcTBo va arpapHbre oTHollleHnfi, rocynapcTBo H arpa− pHafi sBonronxfi B pa3BHBaromzxcA cTpaHax a3HH H a(1)pvaKHH, 1980, MocKBa, cTp. 105−115
不等価交換のarticulation構造について 39 同体成員としての所有)であるが,我々の論点に拘ることは,その直接的な制 度的継承というよりかかる社会構成における労働力と労働の規定性の継承=そ れは強力な諸観念形態の残存=Sitteそのものにほかならない。広義のアジア 的労働とは共同体的=集団労働であり,相対的に高い労働性能=高い労働生産 力として現出するが,労働力のアジア的存在形態とは労働力価値の個別性に対 するアモルフ,無関心から生活的報酬というより,生存的報酬に近い質をもっ た種差性が導出されよう。例えば旧中国社会における農民或は非熟練労働者と しての苦力はウイットフォーゲルの指摘する如く極めて高い労働性能と知的能 力を持っていたにも拘らず生存的報酬をうけとるにすぎなかった。総体的な経 済的貧困=生活条件の絶対的低水準によって終局的には規定されるこのような Sitteは,その制度的残存よりはるかに質的に深く大ぎく所謂アジア的労働と 労働力のgapをその構造的な:通時的種差性として存続させる。従ってアジア 的社会のアウタルキーは大家族・家産共同体の多様な形態を通じて,労働力の 主体化・個別化一労働力商品の形成へ収敏する過渡的形態として一を阻害し, 時を経て,それらが多ウクラード社会の中に包摂され形式上の労働力商品とな アモルフ つた場合にも,その労働力市場を極めて無定型なものとして規定し,W.シン ガーの指摘する如く資本主義型の技術・資本トランスファーによる雇用効果或 ヨの は所得効果をマイナス効果にする種差性をもつのである。更に経済的審級とし ては,これらのアジア的第一次構成体は所謂,自給自足の生存圏=自然的・家 父長的ウクラードに転形されることは自明であろう。 このアジア的生産様式による規定性は故にアジア的労働力(労働)と生産手 段の結合の種差性にこそ在るのであって,消極的な非西欧社会という地理的視 座或は単なる発展段階的な後進性ということを意味するものでは決してない。 それは基本的には質的に構造の異る二種の生産様式一資本制とアジア滞留式一 ナロ ドノスチ に基く異質の社会構成の連節(articulation)の母胎である。 20)W,シンガー,大来訳『発展途上国の開発戦略』第8章参照。 21) Georges Dupr6 and Pierre−P. Rey, Reflections on the pertinence of a theory of the history of exchange, Ed., by Harold Wolpe, The articulation of modes oi
通時的連節化の第2局面は中心によって強制された私的資本主義の扶殖であ るが,それは貿易による広汎な小商品生産(小所出者層)一主として中小の地 クスタロリ 主的土地所有,小営業及び広汎な過小自作農とルンペン的農業労働者一を生み 出し,所謂小商品ウクラードを形成する。私的資本主義ウクラードはその本源 的形態としてアジア的(寄生的)商業資本を基軸とするから,これが直ちに資 本主i義的労働力の創出には結びつかない。他方,崩芽的・部分的に存在してい た前近代的私的領有の諸形式も他律的な形で明確化し,大±地所有を特徴とす デフォルメ る封建的土地経営は,やはりアジア的変形を蒙り,通常レーニンの指摘するよ うに賦役残存,雇役制及び資本主義三農業経営の区分は融合的形式をとる。政 コ 治権力に主体的に媒介されない「植民地的生産様式」 (もしこの表現を借用す れば)下の労働と労働力の構造はその形態的多様性=細分化と強制的(失業に よる)非熟練化という特質を第1局面のそれに加えるであろう。この場合,い わば植民地的労働と労働力の驚くべき重層性は,勿論,植民地化という中心か らの無制限の且つ無条件の連節化過程=植民地的アマルガムに対応しているこ とは明白であろう。 第3の連節化の局面は,周辺=後進国(後発国ではない)が政治的構造=国 家(本質においてブルジョア国家)を持ちえた多ウクラード国民経済形成の段 階である。このような社会は通時的には最も複雑な連節化構造として解明す ヨ る。G. Pupr6とP. Reyによれば,このような連節化は(1)血族的社会の残存, ②植民地化の局面から継承された政治=経済システムー即ち,一方では血族組 織に基づくtribalism,他方では土着的資本主義に有利な官僚資本主義,(3Dそ production−Essays from Economy and Society, 1980, London, p. 155. 22)Ibid,, p.154。植民地的生産様式についてはその核心は国家介入の形式としての労 働の強制された供給・補充と生産物の強制的販売にある限り,生産様式として特に植 民地主義を叙述する必要はないし,むしろインドについてのAlaviの規定一広汎な商 品生産の故に封建制ではなく,小さい蓄積故に資本主義でもない,発展段階としての 概念が妥当するというBrewerの批判は正しい。 A. Brewer, Marxist theories of imperialism, London, 1980, p. 201, pp. 270−271. 2.3) G. Dup. r6 and Pierre−P. Rey, pp. 155−156.
不等価交換のarticulation構造について 41 れ自身の間で連節化している種々の形態をもった資本主義組織及び中心と結合 した国際経済組織から構成される。 この場合,国際的不等価交換にとって本質的なことは周辺が主体的多ウクラ ード構成である点,即ち政治=国家によって媒介された国民経済であることで ある。論者によって,現在の後進国の構造を第2局面の量的拡大=資本主二化 と植民地化をパラレルに把える視点があるが,ローザ的図式化という批判を免 れない。周辺における国民的労働の範隠が第3の連節化の局面でしか形成され ないことは明らかである。即ちこの国民的労働という概念は正しく連節化構造 の中で,はじめて中心と周辺においてブルジョア的国家によって保証される社 会的構造そのものなのである。 P.Reyの独創的な視座はA. Brewerが正しく指摘しているように,社会 構成体の概念が一つ以上の生産様式を含み,その裡で一つの生産様式が他の様 式へ移行する過程が長い限り,その過渡こそ正常な状態であるという一点で, り 我々の方法への質的貢献となる。具体的には彼は基本的な二つの生産様式の連 節化を考え,主要なものを発展する様式としての資本主義と考えるが,原蓄段 階を経て産業資本が優越的となった段階一歴史具体的には米国以外のすべての 国をカバーする一の典型的な連節化として資本主義と封建制の連節化(過渡) を階級同盟として生産における利害の一致(労働者の生産手段からの分離,工 農業生産物の市場拡大),配分での不一致(地代=利潤からの控除)から説明 ヨつ する。この視点が従来のマルクス主義的規定のように不均等発展による状況の 相互変換或は段階の「発展」を意味するものを超える比較的安定的な「構造」 を示唆していることこそ最も重要である。我々は,発展する生産様式として国 家資本主義ウクラードを,「封建制」を,その他多ウクラード的重層性を示し て有機的に連節化している諸生産様式と理解し,その連節化の欝造を現代後進 国の「構造」として考えることができるのである。この方法によって現代後進 国の社会構成体を基本的に資本主義的社会構成体と把え,それを構成している 24) A. Brewer, Marxist theories., p. 184. 25) lbid., pp. 189−190.
連節化された諸生産様式が正しく「資本主義的」構成体を「発展」させる独得 の資本蓄積方式=不等価交換の構造を内側から保証していると理解することが 可能になる。 さて,我々は導出された多ウクラード社会の共時的連節化の構造を現代の後 進国のケースを例証としながら整理しよう。 前節で言及したように周辺の多ウクラード構造はあくまで中心の新たな資本 蓄積構造=独占或は国家(政治)独占の連節化によって成立・形成された資本 主義的社会構成体であるから中心にとっては世界資本主義の有機的対極とし て,その再生産を全体として安定的に保証するためにはその連節化構造が要求 せられる。それは正しく中心の再生産にとっての従って世界資本主義社会構成 体の再生産にとって,素材的には,原料・燃料エネルギーと労働力獲得市場で あり,価値的にはその実現市場でなければならないという二面性を共時的にそ の自律性を通じて反復して,機能として確保せしめるような政治=国家構造を 第一に意味している。それは結論的に云えば中心が後進国の国民的労働=世界 労働によって測定される該後進国の労働生産力水準(厳密にはそれと労働力価 値との種差性)を間接的に後進国の政治=国家構造を媒介として連節化する労 働過程の客観的連節化の国際的構造にほかならない。 その政治=国家は従って資本を代表して多様な種別性をもった労働(即ち労 働生産性と労働力価値)を包学的に指揮下におき,国民的労働に一元化する機 能を持たねぽならない。故にそれは復数の生産様式(その具体的制度としての 諸ウクラード)の連節化を土台とし,必然的にその各ウクラードの階級利害及 び各階級内部と脱階級の社会層の利害も連節化する,形態的にはブルジョアジ ーが直接・間接に指導する方向性をもった連合独裁権力として現われる。この 権力のブルジョア的発展志向は,窮極的には中心=帝国主義的独占との連節化 であるが,間接的には近代的労働者階級の相対的薄弱,農民階層のアジア的ア モルフ,彪大な脱階級的窮民層の共存によって説明されうる。 総資本的機能は,国営産業センターと政府機関から成る国家資本主義ウクラ ードに代表され,階級としては資本主義的志向性(西欧教育による主として
不等価交換のarticulation構造について 43 ブルジョア経済学的経済計画作定能力)をもったテクノクラート層,或はその 上層として官僚化した大ブルジョアジー,或は私的ウクラードの大ブルジョア ジーの同盟者化した官僚ブルジョアジーに依拠している。当然これらの出自母 胎は「封建」的,種族的ウクラードである。このような国家資本主義ウクラー ド(国営セクター)は連節化の第3局面において,政治権力の基礎=管制高地 として中心からの植民地脱化を帝国主義的独占との一定の妥協(政治的連節) によってなしとげた周辺の「民族」ブルジョアジー(買弁ブルと小ブルを含 む)によって中心及び社会主義国の援助を通じて建設されたウクラードであ る。これを基軸として私的資本主義ウクラード,小商品ウクラード,自給的・ 共同体的ウクラード,外国資本ウクラード(帝国主義独占・多国籍企業)の重 層化した生産様式の連節化構造が多ウクラード構造としての周辺の国家資本主 義体制である。でばこの国家資本主義ウクラードの国民経済的主導性・機能は どのような基本的構造をもつのか。部門構成からみてそれは再生産の第1部門 (近代工鉱業)と外部経済から構成され,全工業投資の大きな部分(インドと トルコでは60傷)を国資ウクラードに投下しているが,製造・加工工業では私 的資本主義が優越している。しかし,生産的外部経済部門への国資ウクラード 投資比重は50−65%を占め,内農業への直接的インフラストラクチュア建設と つしての潅概投資は農業投資の25−75%を占めている。このような投資の産出と して,例えばインドの国資ウクラードの近代工場工業の総生産額に占める比重 は約20%に達する。これと同じ条件で1935−36年段階における中国(国民党) ヨ 国資ウクラードの比重は約10%であった。1970年代前半にはインドでは国資ウ クラードの資本の÷が生産的部門に投入されていたが,トルコ,インドネシア 26) JI・M・∋HTKH,1’lonnTnqecKiie cHcreMbl pa3BvaBaR〕㎎HxcH cTpa夏{, MocKBa,1978, CT雫> 23−24. 27) A.H. JleBK:oBcK曲(OTBeTcTBeHHblva pe双aKTop), rocyAapcTBe田H且KarrliTanH3M Hco叫長{aJlbHa兄∂30」班oUH∬cTPaH 3apy6e>F−Horo BocToKa, iMocKBa 1980, cTp.27−28. 28) Taivf>くe., CTP.39. 29)国民党中国の国家資本主義については拙稿,「国民党国家資本主義の官僚資本化に ついて」〈彦根論叢ユ69・ユ70,人文31合併号〉参照a
きの 等の国々も略々同じ状況にあった。 多ウクラード経済においてはウクラード問の労働生産性の格差は大きく,就 中実質的に農業及び農業関連小工業からなる小商品ウクラードのそれは低く, ヨコ 農業生産の成長率は人口増加率に辛じて追つく状況にある。従って国資ウクラ ードの他ウクラード,とくに農業小商品ウクラードへの巨大な援助が不可欠で あると言える。 他方,私的資本主義ウクラードと小商品ウクラードは殆んどの後進国で密接 な関係があり,更に自給的=共同体的ウクラードがその基底となっている。私 的資本主義は比較的少数の後進国では支配的地位を占め,小規模の資本主義生 お ラ 産の比重が大きいことがその特徴であるが,小商品生産との区別は,生産額と 流通量というよりも雇用労働の搾取の有無にもとつく。とくにアフリカ諸国で は私的資本は零細企業で回転率の早い利潤率の高い部門に集中し工業に向わ ず,一定の国々では農村の私的資本主義である特化プランテーションが季節雇 用労働の広汎な利用によって収益性が大きな状況がある。叉若干の東南アジ ア,中東では巨大な或は中等規模の私的資本主義が比較的早く成長している。 更にインドやインドネシアなどでは私的資本主義の独占化の傾向が出現してい る。国資ウクラードとの関係は例えばインドでは融合的傾向をもち二つのウク ラードの人的結合・交流関係は密接化している。 一方多ウクラード社会における労働の経済的構造はやはり各ウクラード労働 の種差性による重層構造として理解できる。その賃金水準は総体的には例え ば,西欧諸国とアフリカ諸国の工業労働者を比べれば,前者は後者の8−11倍 の格差を保っている。その要因は高い死亡率と労働能力の平均継続時間が小さ きの い点一先進国のそれに比して40%低い水準にあるとされるが,これはむしろ周 30) rOCYIIaPCTBeHHslta KarmTanb3M., CTP. 39. 31) TaM >Ke., cTp. 27. 32) JI. M. SHTMH, HonHTHgecKHe cvacTeMbi., cTp・ 51−52. 33) TaM >Ke., cTp. 54. 34) 9KoHoMHIIecKHe rrpo6neMbi A{1}pMKva, cTp. 142.
不等価交換のarticulation構造について 45 辺の消費水準が人口増加率の高いことによって決定的に限定されること,更に 労働力の大:量を構成する小商品ウクラードと共同体農民は大部分自身のウクラ ード内部で基本的生活需要を満足させることに求められよう。後進国の勤労人 民の殆んど暑は小土地所有農民,小作農か農業労働者であり,所得中の食料支 おら 出比率は尋∼÷を占めている。又工業労働者の基本部分は小商品ウクラードで 雇用され,その消費水準は消費品価格の上昇によって相対的に低く抑えられて いる。この場合,大多数の後進国では自給・共同体部門の比重が逓減し,小商 品生産ウクラード就中小営業・手工業・サービス的労働の比重が逓増している 傾向は,明らかに前者の労働力=正しく資本主義構成にウクラードとして連節 された労働の生活条件が限界価値として他ウクラード就中後者の労働力価値を 規定していること(連節化)を示唆する。 労働力価値を他の面から規定するのは労働力市場の国民的市場的統一性の稀 薄さ,すなわち多ウクラード市場が効率的に労働力を吸収できないことであ る。農村からの流出人口=脱ウクラードの窮民を基本部分とする=は大量の失 業を創出し就中青年層が極めて多く,更に無資格失業はアジア諸国で少くとも 36%,アフリカでは40%を占める。国資ウクラードの国家セクターは,例えば インドの場合,経済的就業人口の約7%,他の後進国でも3−5%を雇用して お いる。そしてこの増加率は私的資本主義よりも高い(特に製造工業)。この経 済的意味は,国家セクターの労働力価値水準の先進的中心のそれに比しての絶 対的低さにあるというよりも,むしろW.シンガーの指摘するように私的資本 主義部門と並んでその資本集約的技術によるとび地的デモンストレーション効 果から国内の他のウクラードからの失業創出(人口流出)という逆流効果によ って労働市場の不均等性を拡大し賃金水準を押し下げる点に在る。 35)1”ocy!capcTBeHHblth KaHHTanb3M., cTp.57−58.例えばインドの実質賃金は1939年 を基準として1960年で全く同じである。Bill Warren, Ififlation and wages in und− erdeveloped countries−india, peru and turkey−London,!977, P.59. 36) TaM me., CTP.57. 37) TaM}Ke,, CTP.57. 38) TaM)Ke・, CTP・59.
46 国資ウクラードは,私的資本主義と小商品ウクラードを通じて雇用水準の上 昇を目指す援助政策一貧農援助,外資ウクラードと資本主義ウクラードから小 商品ウクラードを防禦・支持すること(関税障壁による競合輸入の禁止・補助 金等),「社会的労働」計画による雇用拡大等一を実施し,国資ウクラードの指 揮下に入るべき労働力を拡大してその労働力管理=国民経済の「計画」的管理 能力を増大する。 しかし,失業は多ウクラード社会では構造的に拡大する傾向をもつ。例えば インドでは,1971年一78年に労働力は3500万人増大したが,非農業部門は900 めラ万人を吸収したのみで,完全・不完全失業者は2600万人増加した。この傾向は インドの多ウクラード社会が資本主義としての経済的発展方向をとっている徴 候であり,他の後進国でも同様な傾向がみられる。また国資ウクラードの「社 会的労働」計画による一種の労働集団化政策は国家資本主i義の経済計画の重要 な一環となっているが,その労働力価値規定が総体として生存的賃金になるの はさけられない。 更に国家資本主義に中心的な資本蓄積の政策領域が存在する。それは,第1 に比較生産費体系による国家的輸出を媒介とする工業化=国家的輸入代替政策 である。これは必然的に第2の政策たる国内農業の部分的集団化ないし流通部 面の組織化(例えば国営の外国貿易独占)による輸出政策と結合する。輸入代 替の為には資本が需要されるからであり,それはまた不可避的に第3の領域と して国家の外国資本ウクラードに対する政策に結合する。 国資ウクラードが直接に輸出者の生産と貿易に介入する段階は二つの段階に 分けられる。(!>関税・非関税障壁による保護主義的政策によって保証された工 業創出=輸入代替時期,(2>輸出の多様化の時期。1950年代一60年代前半に多く の後進国は輸入代替政策と伝統的輸出強化につとめたが,60年代後半一70年代 には,多くの後進国は輸出の多様化の時期に移った。輸入代替を有効ならしめ る為には,国資ウクラードの主導せる多ウクラード構造,すなわちSubsistence 39) TaM x〈e,cTp. 61.
不等価交換のarticulation構造について 47 ウクラードによる小商品生産ウクラード内労働力価値の規定とルンペン労働及 び彪大な失業群による低賃金水準の総体的規定が不可欠であり,加えて国資ウ クラードの農業政策としての土地改革を経ての自作農扶植或は集団化による絶 対地代,とくに差額地代部分が国資ウクラードの外国貿易による素材変換を通 じて,換言すればその地代部分だけの,或は集団労働による剰余(不払)労働 部分の附加部分だけの輸出品価格の低下によって,それが輸入代替を通じての 資本蓄積部分に転化することが不可欠である。 ウクラード経済の強化の為には,逆説的に外国資本を構造の有機的一環とし て,即ち連節化された外資ウクラードとして導入することが不可欠となる。故 に国資ウクラードは政治的構造の基礎としては中心認独占からの外資ウクラー ドを通じての連節化によって宮僚テクノクラートを変容し,多ウクラード社会 を体制として官僚ブルジョアジーの指導せる官僚資本主義に変質せしめる内在 的必然性をもっていると言えよう。従って周辺の連節化構造の帝国主義への従 属の意味はあきらかとなろう。即ち,内部構造からの支配を,外側からの従属 の (支配)と区別して構造的従属とよぶとすれば,外からの支配=従属は後進国 の土着支配層(ブルジョアジー等)の利害が中心の利害と国際経済的に連節し ている場合であるが,構造的従属とは後進国が第1の結果として連節化して多 ウクラード構造の自律性が形成されている場合であり,これによって中心との 不等価交換の構造化を厳密に措定できることになる。 総括すれぽ,後進国の多ウクラード構造において国家=国家資本主義ウクラ ードは,各ウクラード間に存在せる労働生産性の格差をなくし,労働生産性の 可及的上昇・平準化を通じての国民的労働の同質化の政策を遂行するが,それ は各ウクラードとくに小商品ウクラードに生産手段を供給し且つその外部経済 を建設する任務として行なわれる。他方,国資ウクラードは通時的連節化の結 果,客観的構造として助成している労働力の多ウクラード的重層構造の裡から 不可避的に創出され続ける失業を抑制し可及的に活きた労働把握の任務を遂行 40) Cf., The articulation of modes of production., PP.258−259.
48 するが,換言すれぽ種々の経済政策によって生産手段就中労働手段と活きた労 働(労働力)を結合せしめ,生産領域において価値増殖の主体として編成する が,その終局的結果として労働力価値は限界的な共同体ウクラードの労働力 (形式的な資本の控除部分)価値によって基本的には規定されることになる。 国家資本主義ウクラード=多ウクラード国家はかくて資本主義的社会面成体 の内側で同質化された労働=国民的労働生産性とそれに決して比例しえない限 界的・生存的賃金水準(労働力価値の種差性の強制された等価値化)の構造的 乖離を,中心に対する不等価交換として,即ち中心との連節化した逆説的な後 進国の就中,国家資本主義ウクラードに収冷する資本蓄積構造として承認し, 「保証」するのである。 後進国のこのような国資ウクラードに主導される蓄積構造は,総括的に言え ば,国際的不等価交換によって中心と内在的に連節化している多ウクラード経 済の連節化構造をもった資本主義的蓄積の新しい型であって,その内部に組込 れた資本の「本源的蓄積」機能として現象する構造は,厳密な経済的意味から は一つまりそれが経済構造の私的資本主義ウクラードへの収敏(一元化)の必 然性を内生的に持ちえぬ,多ウクラードの重層的構造自体の再生産であるとい う意味において一所謂本源的蓄積ではないのである。 最後に不等価交換の国際的連節化の構造接近に有効な一つの図式としてJ. ユわ Galtungのモデル皿を援用したい。モデルを構成する五つの仮定のうち,第3 の関係概念はその基礎として垂直的国際分業の枠組を考え,これが人的資源 (労働力)の種差として包含する意味を分析することが課題となる。今,国際 分業の一機能として人的資源を(1)第一次教育,(2)第二次教育,㈲第三次教育の 三レベルに分類すれば,後進国では(1)は低く,保全を理解できる設備と結合し た不熟練労働で十分目ある状況があり,先進国では熟練労働への準備としての 高い内容をもつ。(2)では後進国は主として第三次教育の準備としての低い内 41) J. Galtung, On the relationship between human resources aed development: theory, methods and deta, Measuring Development−The role and adequacy oi development indicators, edited by Nancy Baster, London, 1972, pp, 137−147.
不等価交換のarticulation構造について 49 モデル1(旧 型) モデル∬(改良型) 1.HR−D関係について の仮定 2.研究方法上の仮定 3.成熟国と後進国につい ての仮定 4. HR(人的資源)につ いての仮定 5,転換過程についての仮
定
線型。主としてHR→Dの 一つの途に添う転換。 主として共時的。 主としてそれらの間の相違 の問題。 知識のあらゆる型が発展に 転換されうる。 本質的に手段的知識。行動 のための学習を通じて。 又,曲線型。異った諸型。 二つの途に添う転換。D→HR
主として通時的。 更に,それらの間の関係の 問題。 知識の特殊な型だけが転換 されうる。 又,他の諸方法を通じて。 例えば,社会における新し い階層媒体としての教育。 〈註> 」.Galtung, on the relationship between human resGurces and development: theory, methods and data, Measuring Development, edited by N. Baster, London, 1972, p. 138 容をもち,先進国ではホワイト・カラーへの準備として高い内容をもつ。(3,)で は後進国は「所有」に拘る法律家,広義での官僚養成に照応し,先進国では 「創る」専門家としての科学者・技術者等に照応する。勿論これらの訓練は国 際分業に何等かの意味で貢献的でない限り無意味となる。従ってそこから最も 総括的な第5の仮説==社会階層化メカニズムとしての教育機能が抽出される。 これは教育(我々の用語でいえば社会的労働力の創造)が単なる知識分与の機 能を越えて発展過程への手段となっていること,特に国民の同質性を高い水準 で達成する機能が指摘される。更に全般的にはstratifierとしての教育の二機 能が,即ち一は安定を指向し,他は変化を惹起するような機能が指摘されるが その新しい社会階層化は,以前に存在していたそれと大きく逸脱するものでは ない。何故ならば,これら教育の三種水準の夫々の数的比率は下層,中位,上 位階級の比率とそんなに乖離しないし,更に教育グループの間の関係は,伝統 的階級群の問の関係と乖離しないからである。例えば家族的土壌によって既に 社会階層化された伝統的社会に教育は新たな要素として平行した社会階層化シ ステムを持込むことになる。 故に教育による社会階層化の貢献は経済的成長と一致しない。即ち社会的階層化の高水準の社会においては,教育はその社会的秩序と経済的基礎の維持の ための手段化する。例えば,インドはこのような典型としてあげられる。この ような第5の仮定が,上述の第1,第2,第4の仮定と結びつき,いわばその 総括であることは自明であろう。 このような仮説の枠組の中で,後進国の自律性を前提として,今日の国際分 業と教育構造(労働力構造)の相互連関が分析される。 38の後進国(南米24全国,アフリカ14力国)について通時的(1950−65)に 第一次教育と発展との関係を図形で分析した結果,著の国が曲線型=モデル皿 を示唆すること,第二に11力国がHP→Dという単線型転換を示すが,7力国 はD→HPという複線型転換を示すこと,著しく異った条件下での図型は国家 が著しい多様性を示している反面,地域はその国内的相違点について幾分の類 似性を示唆していることが結論される。 次に第二次,第三次教育レベルの図型は同一国で第一次教育レベルの図形と 著しく異るが,第二次と第三次レベルの間の図型は相似する。また,アフリカ 諸国の第二・第三教育レベルと経済発展のヨリ釣合った関係(しかし,線型 的)がみられるという意味で南米諸国との間に相違が指摘される。これは第三 次レベルから引出さるべき経済発展の潜在力が南米では国際分業の枠内である ていど消耗されているからであるとされる。 結局,第二次・第三次教育は第一次教育レベルとは非常に異なった方法で一 国の全体的発展に入りこんでいるが,国際間の関係としては,就業人口におけ る非第一次部門従事者の比重は,正しく国際分業における全体としての国の位 置を計測する最善のトウールの一つとなる。若干の諸国が第一次レベルで就業 人口の10%未満の比重を有するとすれば,このことは,第一次レベルの労働が 前者のために他の国々でおこなわれていることを主として意味している。そし てこれらの国が所謂先進国と後進国の範躊と一致すること一教育的指標と経済 42) Ibid,, pp.147−152. 43) グラフは横軸に第1次教育レベルの登録比率を,縦軸に一人当りG.N, P。をとり, 相互の関数関係を示したものである。Ibid., pp。147−151.
不等価交換のarticulation構造について 51 的指標が密着的に相関していることは明白であるとされる。 不等価交換との関係で第一次教育を非熟練労働力の価値水準を規定する基本 要因と考えれば,つまり考え方の起点として,労働生産性に比例する能率報酬 の社会的水準を規定すると前提した場合,上記の図型において線型は明らかに 後進国の労働力価値とその労働生産性水準の符合を示唆するし,逆に曲線型= モデル五は,両者の乖離は逆の意味をもつにせよ,その乖離を示唆しているこ とは明らかであるから,我々が想定している不等価交換の連節化構造を内部に もつ多ウクラード社会が,モデル[[[と枠組で一致することが理解できよう。 即ち,教育のstratifier機能は,多ウクラード社会構成を創出する階級・社会 層に基本的に一致する社会的労働力(基本的には第一次レベル対非第一次レ ベル)の構造を創出することによって,国家=国家資本主義=非第一次レベル に媒介された通時的・共時的なHP→D十D→HPという転換過程を共有して いる,旧い自律的stratiflcationに世界(外側)からの他律的stratificationを 共有している構造を表徴する。そしてこのような社会の経済発展=資本蓄積 方式は,正しくGaltungの云うように国際分業体制の裡でおこなわれなけれ ばならず,我々はそれを労働力(この場合ぱ教育レベルに表徴される)の国際 的連結,すなわち不等価交換の連節化構造として理解することができるのであ る。 :[V 結び一矛盾による矛盾の解決 世界資本主義社会構成体はその発展段階において過剰生産に現象する生産関 係と生産力の原理的矛盾を,周期的「世界」恐慌と帝国主義戦争によって基本 的には解決してきたが,それらは中心内部の矛盾をその内側で解決したという 点で共時的には限定された「世界」資本主義に対応していた形態と言える。こ れに比べて普通国家独占資本主義の段階として規定される体制に象徴される矛 盾の解決とは,正しく世界資本主義社会構成体の成立そのもの,換言すれば, 機能的不等価交換の構造=中心・周辺の連節化した形態規定をもつ,即ち重層 的な,企業内世界分業を基本的な一審級として内包せる世界分業の国際的生産