• 検索結果がありません。

第2章 必修教科等の研究 06 美術科 創造的コミュニケーション力を高める造形・デザインの方法 : 作品の活用&コミュニケーションの実践

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第2章 必修教科等の研究 06 美術科 創造的コミュニケーション力を高める造形・デザインの方法 : 作品の活用&コミュニケーションの実践"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.研究主題によせて (1)はじめに コミュニケーションのスキルを一つ挙げるとし たら,言語が真っ先に挙げられるであろう。言語は それを理解する者にとってはたやすく大変便利な スキルであるが,それを理解できない者にとっては, コミュニケーションが成立しなくなるというよう に,世界的に見た場合,言語は有効なスキルとは言 えない。身振り手振りや図を描いて示せば言葉が通 じなくとも感覚的に通じることもある。国際理解と いう観点で見れば,音楽や美術は世界共通語として 立派に役立っている。また,社会的な観点で見ても, 標識,案内板など視覚によるコミュニケーションは 即効性があり,欠かせない。“百聞は一見にしかず” と言うように視覚的コミュニケーションのもつ即 効的な力は昔から今に至るまで認められるところ である。地球から宇宙人に発信する際に用いられる コミュニケーションの手段もやはり図のようなも のである。美術は世界共通語を超え,宇宙共通語に なっていると言えるだろう。美術は国際理解に役立 つものであるが,今や宇宙理解の方にも役立ち始め ている。異文化交流,イメージ共有の難しさを美術 のスキルがやさしくしようとしているわけである。 言葉のコミュニケーションではできないことを美 術が補っていると考えれば,その有効性は言葉以上 のものではないだろうか。 本稿では,コミュニケーションを主眼におき,創 造的コミュニケーション力を高める造形・デザイン の方法について研究するものである。 (2)本校の考える「豊かな学力」との関連 ①知識・技能の量 学んだ力,学習到達度, 学校知 ②思考・判断・表 現力など 学ぶ力,学び方, 機能的学力,方法知 ③学習意欲 学ぼうとする力 ④学んだことを活 用する力 集団で高め合う力,問題解 決場面で生かす力 「豊かさ」とは… ○知識・技能,資質や能力が個人内に定着している だけでなく,他者との関わりによって高め合えるこ と。 ○知識・技能,資質や能力の定着が,一時的,表面 的なものでなく,自分のものになっていること。 ○知識・技能,資質や能力を自分や周囲の人,社会 のために活用できること。 美術科では,この中でもとくに他者や社会との関 わりに注目し,創造的コミュニケーション力を高め る造形・デザインの方法を研究テーマとした。 (3)研究のねらい 本研究では,本校美術科で重視している3点を循 環させ豊かな学力を育んでいくことを目標とする。 3点は以下の通りである。 ①発見&鑑賞(視覚の意識化,フォーカシング& クローズアップ→自然,美術作品や文化遺産など についての理解や見方を深めさせる) ②創造&スキル(主体的な気づきから生まれるス キル→ 独創的な見方や考え方を培い,自

6 美術

創造的コミュニケーション力を高める造形・デザインの方法

―作品の活用&コミュニケーションの実践― 馬淵 哲 本論の要旨 本研究は,生徒が創造的コミュニケーション力を高めるためにはどのような手立てを講じれ ばよいのか,造形・デザインの方法について,実際の授業の分析を通して検証するものである。 特に「作品の活用&コミュニケーション」をキーワードにし,生徒の創造的コミュニケーショ ン力を高めるために,どういう教材を提示すればよいのかどのように工夫して授業を組み立て ればよいのか,どういうコミュニケーションの方法があるのかという点について言及する。 教材の提示の仕方,コミュニケーションの方法を工夫した結果,生徒の表現や鑑賞の活動が 主体化し,創造的コミュニケーション力を高めるために有効であることが確認できた。 キーワード 発見,鑑賞,創造,スキル,活用,コミュニケーション

(2)

分の表現方法を創意工夫し創造的に表現する能 力を伸ばす) ③活用&コミュニケーション(創造&スキルを磨 き周囲や社会に生かす。違いを認め合う肯定的な 評価活動→作品の見方を広げ,多様な表現のよさ や美しさなどを味わい鑑賞する能力を育てる) これらの力を育てるために,どういう教材を提示 すればよいのか,どのように工夫して授業を組み立 てればよいのか,どういうコミュニケーションの方 法があるのか実践;検証することを研究のねらいと する。ここでは「生徒は学習の意義を理解し,到達 目標を達成させることで,積極的に探求しようとす る能動性を持つ有能な学習者である」という立場に 立脚し,特に次の3点を明らかにしたい。 ①生徒の関心・意欲を高める教材提示のあり方 ②生徒の知的好奇心を引き起こす授業展開の方法 と教師の働きかけ ③生徒のよさを生かす評価のあり方,実生活での活 用法 以上3点について,実践・検証を行っていきたい と考える。 (3)研究仮説 学習活動の中に,実生活や社会に生かされている もの,または生かされるものであるという有用性や 明快な到達目標があり,授業展開や教材の中に驚き や発見がある場合,生徒の創造的活動は促進される であろう。豊かな創造性は,他者や社会との豊かな コミュニケーションを展開するための原動力とな っていくであろう。 (4)研究方法 以下の研究資料を分析し,考察する。 ① 生徒の実態 ② 教材化に向けての資料,授業用資料 ③ 指導案 ④ 授業の実践記録,生徒の観察 ⑤ 生徒の作品および自己評価 ⑥ 課外活動の記録 2.授業実践1 (1)題材名,対象学年,授業時数 「マイブランドデザイン」,第 1 学年,6 時間 (2)題材によせて この題材では,マイブランド・マークやロゴタイ プ創造に主眼を置き,古今東西のマーク・ロゴタイ プの鑑賞やマイブランドのバッグ,ラベルシール作 りを行う。おそらくコンピュータを使った方が,簡 単かつ効率的にマークやロゴタイプを作り出すこ とができるであろうが,手作業から生まれる味わい のある個性的な表現を期待し,あえて色画用紙のカ ッティング,ゴム印の篆刻といった昔ながらの手法 で行うことにした。また,マイブランドに自分自身 が愛着を感じ,それを広く普及させるためには,あ らゆる場面で目につく必要があると考え,その目的 にかなっているのはスタンプとシールという手軽 に複製できる手段であると考えた。普及の方法とし ては,教室内のマイボックス,美術の自作品,クロ ッキー帳,ペーパーバッグの模様などに印を行い, マイブランドを広告する。このマイブランド普及作 戦を実行することでこの題材は完成される。 この題材はシンプルでありながら,個性的な図形 表現の追求ということで抽象の感覚を磨くのには 最適な教材であると思われる。また,視認性という 視覚伝達デザインにおいては大変重要な色彩の学 習をも同時に行うことができる。そして,生活の中 のデザインを鑑賞し,豊かな発想と工夫,美と機能 性の調和,作品に託された願いと造形的なよさなど に気付き,生活におけるデザインの働きについて理 解することができるようになるであろう。 自分自身やまわりの人・社会・文化のよさを発見し, それぞれの価値を認め合う,また,自分のよさを表 現,発信し,まわりと交流する,そのような素敵な 生活・人生の創造の一端を美術が担っていければよ いと考えている。 (3)学習目標 ・課題について興味・関心を持ち,意欲的に学習に 取り組むことができる。 【関心・意欲・態度】 ・マーク・ロゴタイプの役割や特徴を把握し,それ を生かして豊かに発想し構想を練ることができる。 【発想や構想の能力】 ・伝えたいイメージを抽象化して,分かりやすく表 現し,発表したり交流したりすることができる。 【創造的な技能】 ・デザイナーや友達,自分の作品のよさや美しさ, 創造力の豊かさなどを味わうことができる。 【鑑賞の能力】 (4)学習計画(全6時間) 第一次 身近なデザインについての考察, マーク・ロゴタイプの鑑賞と発想(2時間) 第二次 マイブランドマーク・ロゴタイプの ゴム印制作 (2時間)

(3)

第三次 マイブランドペーパーバッグ シールの制作 (1時間) 第四次 ラベル活用と作品鑑賞 (1時間) 3.授業実践2 (1)題材名,対象学年,授業時数 「美術ってなんだろう 入門編 〜 スタイリッシュな作家たちから学ぼう 〜」 第 3 学年,14 時間 (2)題材によせて 美術は単に美的な表現だけにとどまらず,歴史・ 社会・風俗・地域・文化などの特質を伝えるもので ある。 歴史・文化的な価値だけでなく,生活に潤いを与 え,実際に役立つ機能的で美的なデザインの数々, 漫画表現に見られるおもしろさ,おかしみといった 情趣,またトリックアートのような人を驚かせる知 的で遊びの精神に充ちた世界など,美術は人間の精 神活動,社会活動に浸透している。しかし,深く人 間の精神や社会活動に関わっているにもかかわら ず,中学校教育の中での美術の扱いは大変ぞんざい でその意義をあまり認められていない。 中学校の3年生になると大半の生徒は次第に高 校受験の方に目が向くようになり,その中で,受験 科目にない美術は生徒にとって無用の長物のよう なものになってくる。中学3年生という美術に意味 を見出しにくい年代の生徒たちが,もっと美術の本 質的なところに気づき,美術というものがどういう もので,社会の中でどのような意味を持ち,またど ういった役割を担っているかを考えることは,決し て無駄なことではない。日本人は人と違うことをす ることに抵抗感が強い国民である。中学生において もそのことは当てはまる。価値基準が大きく変わり, 人と違うことに引け目を感じたり,人との違いを意 識するこの年代の生徒たちが美術の個性豊かで多 種多様な世界に触れることにより,“ありのままの 自分でよいのだ。みんな違ってよいのだ”とその違 いをも楽しみ,肯定できるようになるのではないだ ろうか。 中学3年生ともなると価値基準は大きく変わり, 美の基準についても個人差が出てくる。美の基準は 人によって違い,共通する部分と違う部分が存在す る。その違いは,コミュニケーションをとらないと 気づかないものである。表現や批評などのコミュニ ケーションによってその違いが鮮明になってくる。 作品の外面的な批評だけではなく“何に魅力を感じ るのか”というように魅力という個人的な観点で見 ることで,作品をより身近なものとしてとらえ,自 分の価値基準で批評できるようになってくる。そし て,批評の交流を行う中で,価値観や見方の相違に 気づき,その見方の相違が一つのきっかけとなり, “その本質とは一体何だろうか”と作品の本質にも っと迫ろうという能動性が生まれてくる。考えたこ とを形にし,表現すること,そして最後に交流させ ることが授業構成で重要なポイントになってくる。 魅力という観点は,主観的ではあるが作品の本質に 迫るという点では,大変有効な手だてである。魅力 とは作家の追求したものそのものであり,造形活動 においては,表現したいものを追求した結果,さま ざまな魅力的な技法・様式が生み出されている。作 品批評の交流においてはそのことをぜひおさえた いものである。そして様々な作品を批評していく中 で,技術の発明が美術に与えた影響,革新性とは既 存の価値観を揺るがせて新たな高い価値を築こう とするその姿勢にあるということ,古今東西の文化 が異種混合し,さまざまな影響を受ける中で,美術 の文化や作家が発展していくこと,美術が国際的な 文化交流を果たしていることなどに思いをはせ,新 たな美術観を獲得することができればこの題材の 目標はほぼ達成できたと言える。 本題材では,作家・作品・美術様式を研究し,実 際にその様式で創作することで,その作家の創造活 動を追体験し,作家・作品の理解を深める。さらに, 研究したことを紙面にまとめ,発表する中で,生徒 が創造的コミュニケーション力を高めていくこと ができればよいと考えている。 この題材の性質から考えると,視野が広まり,豊 かな知識・理解力をもった3年生で取り組むのがも っとも適していると考えられる。

(4)

(3)学習目標 ・ 課題について興味・関心を持ち,意欲的に学習に 取り組むことができる。 【関心・意欲・態度】 ・ 作品や作者,美術文化や歴史などに興味をもち, 自ら調べたり,いろいろなものを意欲的に鑑賞す ることができる。 【関心・意欲・態度】 ・ 美術作品から造形的なよさや美しさ,創造力の豊 かさなどを味わい,それを生かして豊かに発想し 構想を練ることができる。 【発想や構想の能力】 ・ 日本及び諸外国の作品の独特な表現形式や構成, 技法などに関心をもち,自分の表現意図に合う新 たな表現方法を研究するなどして創造的に表現 することができる。 【創造的な技能】 ・ 伝えたい内容をイラストレ−ションや図,レタリ ングなどで分かりやすく美しく表現し,発表した り交流したりすることができる。 【創造的な技能】 ・ 作者の心情や意図と創造的な表現の工夫などを 理解し見方を深め,作品に対する自分の価値意識 をもって批評し合い,よさや美しさを幅広く味わ うことができる。 【鑑賞の能力】 ・ 日本及び諸外国の美術の文化遺産を鑑賞し,表現 の相違と共通性に気付き,それぞれのよさや美し さ,創造力の豊かさなどを味わうことができる。 【鑑賞の能力】 (4)学習計画(全14時間) 第一次 〔題材についてのオリエンテーション〕 ビデオや資料をみながら,様々な美術表現が あることを知る。 (2時間) 第二次 〔美術鑑賞会〕 7 人の作家を軸に,それ ぞれの特質や相違と共通性に気付き,美術文 化とそれを通した国際理解を深める。 (1時間) 第三次 〔テーマ研究〕 各自がテーマを設定し, 模写や調査活動を通して,作家・作品または 美術様式・文化について研究し,紙面にまと める。 (5時間) 第四次 〔テーマ展開〕 研究した作家または美 術の様式を借りて,オリジナル作品を制作す る。 (5時間) 第五次 〔研究発表・作品鑑賞会〕 友達や自分 の研究・作品のよさを味わう。 (1時間) (5)生徒研究例 生徒研究例1: 「DE CHIRICO 視覚のマジック 中心の追放術」 作品左部分=模写,右部分=自作 研究内容: ●作者紹介・特徴:De Chirico デ・キリコ 1888 年 7 月 10 日,ギリシャで生まれる。18 歳で 美術アカデミーや美術館に通うようになり,20 歳で (記録上)最初の油絵を描く。以後,90 歳で病死す るまで様々な人,業界に衝撃を与え続ける。 彼の作品に「不安」が漂うのは何故か。それは彼の マジックによって現実に有り得ない世界が生まれ るからである。彼の描く作品は焦点が複雑存在した り,太陽に対しての影の大きさ,向きが異なってい たり,風向きが色々だったりと非現実的なものが多 い。それが身近な建物や風景に溶け込むことによっ て心を一瞬緩めさせるのだ。しかし,人間というの は常に安定を求めるもので,見つめれば見つめる程, 人の心は揺れる。 また意味深な物体(絵の中心の影など)を置くこと で揺れが増し,同時に人の心に深く残る作品に仕上 げている。まさに美術界のマジシャンだ。 ●自分の作品について キリコの絵は左の模写のような風景画っぽいス タイルともう一つ,図形っぽいスタイルのものがあ る。そちらを真似てオリジナルで描いてみた。 「受験」という響きのよくない現状におかれている 自分自身を表してみた。細い(弱い)足で立つ私を グサッと刺す。左かたにのしかかる時計(時間)…。 招くような手,影が異様に伸びて不安を感じさせる −。我ながらキリコを十分に取り入れて描けて満足 している。バックの汽車と旗にも注目してほしい。 注)時計はダリの画集を見て真似ました。…つまり, キリコ+ダリ+エミ=「束縛」

(5)

●感想 母や弟が美術館巡りなどが好きで,たまに私も行 くのですが,こうやって一人の作家についてじっく りと見つめるのは初めてで,とても良い授業でした。 最終的に今,自分が表したいことをこの作家のスタ イルで表すこともでき,今までに味わったことのな い達成感につつまれています。私がキリコに出逢っ たのは弟の持っている画集をのぞいた時で,ちょう どその時,まあ…色々と精神的に不安が多かったの でそういう所からひかれたのだと思います。中 1 の 秋のことです。 本や人と同じように絵の出逢いも偶然で貴重な ものだと思います。この中 1 の出逢いを風化させる ことなく一つのものにできた事を嬉しく思い,感謝 します。 今年はこの授業の教訓で,一つの絵を見るのでは なく視野を広げて味わっていきたいです。 「芸術の秋」です。たくさんの作品との出逢いを 楽しみたいです。 ※この研究作品は,滋賀大学附属中学校文化祭,京 阪石坂線文化祭,近畿中学校美術展に出品。 生徒研究例2:「MARCEL DUCHANP」 作品左部分=模写,右部分=自作オブジェ 研究内容: 「モナ・リザ」はダ・ヴィンチの自画像だと時々 言われますが,女性を描いたものです。マルセル・ デュシャンはその「モナ・リザ」にヒゲをつける ことで「女性の中の男性」を表現しました。 「L.H.O.O.Q」という言葉は説明されていません。 パッと見は「エラ.シ.オ.オ.キュ」(この女は欲求不 満)と読めるそうですが,さらに見方をかえると 「LOOK」とも読みとることができます。 デュシャンは「レディ・メイド」=既製品をほと んどそのまま自分の作品だと言い張るやり方をす すめた人で,このモナ・リザのように単にヒゲをつ けたり,また後年普通のモナ・リザを「ヒゲをそっ たモナ・リザ」だと言って発表したりしています。 何がしたいのかよくわからない人です。 ※自作の方は, 80 年代の携帯電話を額装し,レデ ィ・メイド作品として提示している。滋賀県中学校 美術展に出品。京阪石坂線文化祭では車両の外側に 模写部分がプリントされ,展示された。 (6)活用&コミュニケーション ○授業における作品鑑賞,京阪石坂線文化祭等展覧 会 4.授業実践例3 (1)題材名,対象学年,授業時数,内容 「私がみつけたグッドデザイン」第 2 学年,2 時間 宿題でまとめた研究資料を発表・交流する。

(6)

5.題材,スキルの系統性・発展性 造形要素—COLOR: ○コントラスト,グラデーション—1年「マイブラ ンドデザイン」→1・2 年「色彩理解学習」明度, 彩度,色相,トーン対比 ※1 年では,マイブランドデザインのマークとロゴ タイプを色画用紙で作成するときに視認性を高め るためにとくに明度対比に注意を向けさせた。その FINE ART - visual communication - FORM: 線,面,プロポーション,ムーブマン シンメトリー,アシンメトリー,リズム リピテーション,リズム,アクセント コントラスト,グラデーション COLOR: 色料・色光,色の感情(明度・彩度・色相・トーン) コントラスト,アクセント,ドミナント,類似 グラデーション NATURE ●ART ○FORM ○MATERIAL ART:トリミング,フレームワーク,フォーカシング,アナロジー 再現,抽象,強調,デフォルメ,ハプニング ★CORD ○COLOR MATERIAL: 材質,量感,タッチ,染め,重色,混色,平塗り ドライブラッシュ,厚塗り,レリーフ, 質の変化(光,ムービー,パフォーマンス) マイブランドデザイン etc 美術ってなんだろう入門編 〜スタイリッシュな作家たちから学ぼう〜 題材 造形要素 STUDY スキル

(7)

後,色の三要素やトーンの各グラデーションを自分 で作成させ,三要素やトーンの対照があらわれるよ うに貼り合わせ,図式化させる中で,色を感覚的ま た科学的に理解させ,視認性について考えさせた。 造形要素—MATERIAL: ○平塗り—1 年「直線描画練習(溝引き定規,マス キング,烏口の代用=G ペン)→色彩理解学習(グ ラデーション) ※マイブランドデザイン(マーク・ロゴタイプ)は フォルムと視認性がメインになっており,塗りが目 標に入っていないので,塗りを省略し,色画用紙の カッティングとゴム印のみで仕上げを行った。 ※グラデーションは色の三要素とトーンがはっき とわからないといけないため透明な塗り方ではな く平塗りが必要十分条件となる。 造形要素—FORM: ○リピテーション 1 年「マイブランドデザイン(紙バッグ・包装紙模 様)」→3 年「現代版掛軸(表装)」 ※繰り返しの作業自体がおもしろく,向きや構成の 仕方,色の変化でいろんな模様のバリエーションが できる。個々の創意工夫が働く部分である。 ○シンメトリー 1 年「マイブランドデザイン(マーク・ロゴタイプ)」 →1・2年「色彩理解学習」→3年「現代版掛軸(表 装部分)」 ※明度・彩度・色相・トーン対比を行う際に,グラ デーションを施した用紙を四つ折りにし,カッティ ングによって点対称形をつくり,対称形を回転させ る。対比を見せるためには点対称形が必要十分条件 となる。 スキル&造形要素 ○トリミング,フレームワーク,ムーブマン,プロ ポーション,シンメトリー 1 年「マイブランドデザイン(マーク・ロゴタイプ)」 →1・2年「色彩理解学習」 ※1・2年では√2矩 形,√1矩形(正方形) が作品サイズの中心と なっていたが,3年「現 代版掛軸」では,縦に 長いフレームで絵を考 えることになり,その ことがそれまでのプロ ポーション・シンメト リーとは違う動的な構成・形を考えるきっかけにな る。トリミングやムーブマンが重要となる。展覧会 の作品応募規定は四つ切サイズ以内というものが ほとんどで,出品を考えると授業者はどうしても二 の足を踏んでしまう。展覧会のための作品作りを目 指さないことが,この場合の必要条件となる。 ○抽象,アナロジー 1 年「マイブランドデザイン(マーク・ロゴタイプ)」 →1・2年「色彩理解学習」 ※ブレーンストーミングとして,幾可形を使ってマ ークのアイデアを考えさせ,それらをさらに展開し てシンボルマークを考えさせた。色彩理解学習では 対称形をオートマチックに作らせ,見立て(アナロ ジー)を行わせた。 6.三つのダイヤル &魅力・美—発見・驚き—能動性・主体化 『色料,黄色のダルトーン・ダークトーンは…』 各トーンの色相グラデーションを塗る中で,生徒 はあることに気がついてこんなことを言う。「黄色 のダルトーン,ダークトーンは緑になってしまうの ですが,それでいいですか。」絵の具の黄に黒を混 ぜると緑になることを知らなかったのだ。13 年間生 きてきた中で,絵の具はおそらく何回も使っている はずである。混色という経験自体が意外に少ないの かもしれない。ビビッドトーンは濁色のトーンと対 比させるとさらに輝きを増し,魅力的になると言う ことも案外知らない。美術の中には,多くの不思議 が潜んでいる。見ているだけではわからないことが 実際に行ってみると発見されることもある。 『版表現の魅力・美』 版画の魅力は,複製が行えることと,そのテクス チャー(素材感)のおもしろさにある。凸版として は,小学校では木版画が主流で,紙版画やコラグラ フといったものもある。それぞれ素材感がおもしろ く,版が写されたときのその作品の表情は何ともい えないものである。これは,コピー機やプリンタで はなかなか表せないものである。

(8)

活用&コミュニケーション 違いを認め合う肯定 的な評価活動→作品 の見方を広げ,多様 な表現のよさや美し さなどを味わい鑑賞 する能力を育てる 創造&スキル 主体的な気づきから生 まれるスキル→独創的な 見方や考え方を培い, 自分の表現方法を創意 工夫し創造的に表現す 発見&鑑賞 視覚の意識化,フォーカシン ク ゙ & ク ロー ス ゙ア ッフ ゚→ 自 然,美術作品や文化遺 産などについての理

発見,驚き 能動性,主体 魅力,美 中学校でも木版画は行うが,時間的なことを考え ると簡単に行える一版多色などを行いがちになる。 版の魅力を味わうだけなら,他にも方法はある。授 業実践例で挙げた「マイブランドデザイン」「現代 版掛軸」で行ったような消しゴムスタンプでも十分 に味わえる。消しゴムスタンプは版に耐久性があり, 手軽に行えるという点から,制作頻度も高くなり, その魅力にとりつかれた生徒は,日常的に版表現を 行っていくのではないだろうか。(実際に「高校生 になってもゴム印を使っていきたい」というような ことを授業の中で言う生徒もいた。) この消しゴムスタンプを応用したのが,掛軸の表 装であり,模様のパターンを消しゴムに彫り,透明 色のスタンプパッドでスタンプしたあとに,金粉や 銀粉を刷毛で掃く,そうすると押したところだけ, 金や銀がつく。例えてと言うと蒔絵のような手法で ある。消しゴムを彫った段階では,「もう一つだな あ」と言っていた生徒が,金銀の模様が現れてきた ときに,「おーきれい,結構いけるじゃない」と目 を輝かせる。それは新鮮な発見,驚きの表情である。 お互いの金銀模様を眺めながら,「結構みんなやる なあ」という感想があちこちからもれる。この光景 は真的であり,善的であり,美的であり,なかなか のものである。 みんなで一緒に 作業を行うとい うところの善さ であり,魅力, 美なのである。 こういった豊か な経験が生徒の能動性を高め,個々の活動が主体化 し,さらに創造的コミュニケーション力を高めてい くということになっていくのではないだろうか。 7.研究成果と課題 見ているだけではわからないことが実際にやっ てみて魅力・美やおもしろさに気づくことがあり, 豊かな造形体験や交流をさせるような授業展開や 教材提示を行えば,十分に生徒の興味・関心や能動 性を引き出すことができる。魅力ある美術科教育を 進めるためには以下3点をさらに研究していく必 要があるだろう。 ①生徒の関心・意欲を高める教材提示のあり方 ・ 身近な生活とのつながり,可塑性のある材を提示 する。 ・ 結果の中に驚きや美がある。 ②生徒の知的好奇心を引き起こす授業展開の方法 と教師の働きかけ ・ 日常生活の中から題材を提示する。 ・ 視覚に訴える。 ・ 不思議な感覚を与える。 ① 生徒のよさを生かす評価のあり方,実生活での 活用法 ・ 個人や小集団から社会レベルまで幅広い交流を 仕組む。 【参考・引用文献】 ■宮脇理監修,「ベーシック造形技法—図画工作・美 術の基礎的表現と鑑賞—」,建帛社,2006 年

参照

関連したドキュメント

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

目標を、子どもと教師のオリエンテーションでいくつかの文節に分け」、学習課題としている。例

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

今後の取組みに向けての関係者の意欲、体制等

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学