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JAIST Repository: NPOを活用した新たな医薬品研究開発形態の提案(研究開発型NPOと産官学連携)

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

NPOを活用した新たな医薬品研究開発形態の提案(研究

開発型NPOと産官学連携)

Author(s)

竹内, 義高

Citation

年次学術大会講演要旨集, 18: 546-549

Issue Date

2003-11-07

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/6948

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

2D07

NPC@

活用した新たな

医薬品研究開発形態の 提案

0 竹内義 高 ( 日立製 ィ モ所 ) 「.はじめに 医薬品研究開発は ,基礎研究から 臨床研究に至る 各プロセスにおいて.医薬品メーカ 一の 他 ,種々のフレイヤーが 参画 する形で展開されている。 最近.トランスレーショナル・リサーテ ( 基礎研究と臨床研究の 橋渡し ) という形態が 脚光を浴び ているが・その 発展形として , NPO が核となり,医薬品の 森 終 ユーザ一であ る患者 ( 市民 ) と大学・ E 療 機関,医薬品 メ一 ヵ二 異業種・ 異 分野のプレイヤーを 結び付け,臨床研究に 基づいた基礎研究を 展開する新たな 医薬品研究開発の 形態 二 患者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発を 提案する。 2. 医薬品研究開発の 特質と動向 先ず,医薬品研究開発の 特質と動向を 確認する。 2 1 社会貢献性が 高 い 医薬品は , 人の生命と健康を 守る生活関連商品であ り,医療の重要な 構成要素であ る。 そして,医薬品研究開発は ,「 健 康 で豊かな未来実現」という 人類共通の課題解決に 不可欠な.極めて 社会貢献性の 高い作業であ ると言える。 2. 2 多くの資本と 期間を要し 高 リスクであ る 医薬品研究開発には 15 ∼ 17 年の年月を要し , 1 品目上市の為に 費やすコストは 260 ∼ 360 億円。 成功確立は僅かⅡ 000 分のⅠであ る ( 日本製薬工業会国内企業「 8 社の例 :1995 ∼ 1999L 。 2. 3 研究開発プロセスが 多段階に 亘る 医薬品研究開発は ,標的の探索から ,化合物の発見と 最適化, 前 臨床試験,臨床試験,厚生労働省の 承認審査に至る 迄 ,多段階に分かれる 長いプロセスであ る。 2. 4 複数のプレイヤーが 関与する作業であ る 医薬品研究開発は ,元来,個々の 医薬品メーカ 一において一頁して 手掛けられてきた 作業であ るが・研究開発規模の 拡 大やバイオテクノロジーを 始めとする先端技術の 進展に伴い.

1990

年代後半以降,ベンチャ 一企業等の様々なプレイヤ 一が ,ツールや情報の 提供,研究開発の 一部受託といった 形で関与している。 しかも,これらのプレイヤーが ,製品の高 付加価値化 ( 画期性の高い 新薬の開発 ) や開発期間の 短縮に貢献している。 また,大学との 関係においても ,臨床試験 の 委託は勿論の 事.基礎研究分野の 寄付講座や共同研究が 多く,産学連携の 盛んな業界であ る。 今後,遺伝子 / 蛋白質 情報に基づく 医薬品研究開発,いわゆるゲノムノプロテオーム 創薬の導入と 絶え間無い技術革新を 背景に.関連プレイヤ 一には高度の 技術力と専門性が 要求され,分野は 細分化される。 病気の原因を 解明し治療する 薬剤を発見すべく.特定 0 分野に絞って 実施する基礎研究は ,大学やべンチャ 一企業の得意とするところであ る。 医薬品メーカーは.研究開発リ スク軽減の為に ,産学連携やアウトソーシンバ 指向を益々強めるであ ろう。 3. トランスレーショナル・リサーテの 登場 以上の特質と 動向を鑑みると.今後,医薬品研究開発においては ,多段階に分かれる 長いプロセスに 沿って,細分化・ 専

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門 化された枝数プレイヤーを 結び付ける作業が 重要性を増すと 想定される。 そして, 今 .基礎研究 ( 動物実験以前 ) と臨床試験の 橋渡しを担うトランスレーショナル・リサーチ (trCanslationalresearc け の 登場により。 多段階のプロセスが 一部併行した 形に姿を変え ,異業種・ 異 分野のプレイヤーが 結合して研究開発を 展開 する新たな形態が 生まれつつあ る。 トランスレーショナル・リサーチとは.本来は 研究開発段階の 知識を応用に 移す車を意味する 言葉であ るが,医薬品研究 開発においては ,基礎研究と 臨床研究の橋渡し 研究を指す。 「臨床データに 基づいた基礎研究」「臨床試験と 併行した 基 礎 研究」とも呼ばれる。 2000 年の科学技術会議「ポストゲノムの 戦略的推進に 関する懇談会」以降.各大学に 拠点が整備され 始め, 2003 年 7 用 には,神戸市に 医療産業都市構想の 脩 報 拠点となる「神戸臨床研究情報センター」が 開所した ( 神戸市と文部科学 省 が折半で拠出して 建設した日本初の 施設であ り,国内外の 研究機関から 得た治験データを 管理し.個人情報を 保護した 上で ,大学・医療機関や 企業に提供する ) 。 また,大阪大学と 武田薬品工業 ( 株 ), 大阪府等は.大阪大学の 教官が新設する NP0 「臨床研究,教育支援センター」を 核に ,臨床試験の 大規模ネットワーク 作りに着手した。 周辺の医療機関にも 協力を求め.大規模な 臨床試験を実施する。 「臨床研究,教育支援センター」は ,大阪大学や 周辺の医療機関の 医師が手術等で 採取した患者の 組織を「組織バンクⅠ として管理し 研究機関や企業に 提供する事業や 医薬品メーカ 一向けの教育事業等も 手掛ける計画であ る。 私立大学と民間企業によるトランスレーショナル・リサーチ・センター 運営の例も有る。 ( 株 ) イベリ カ は,久留米大学と 共同で久留米大学医学都付属病院の 敷地内に「久留米トランスレーショナル・リサーチ・セ ンター」を開設,運営する。 ここでは.プロテオーム・システムズ・ジャパン ( 株 ) との提携によるプロテオーム 解析の他,バイ

オ 統計解析も手掛ける。 ( 株 ) イベリ カ は. 1996 年の創立以来.九州を 中心に, SMO (Site Management 0rganization 治験 施設支援機関 ) から業務を拡大。 CRM (C Ⅱ nica@ Research Management) 企業を標 傍し , SM O と CRO (Contract Research

organ@zzation 治験受託機関 ) を融合した臨床開発パートナーとしての 意欲的な経営を 展開している。 4. トランスレーショナル・リサーチの 特質 トランスレーショナル・リサーチは.大学・ 医療機関と医薬品メーカ 一の二者関係に 加え,基礎研究機関 ( 大学の基礎研究 学部学科や公的研究機関,ベンチャ 一企業等 ) との横の繋がりを 必須とする。 また,医療機関や 医薬品メーカ 一だけでな く,自治体も 含めた地域ぐるみの 連携も始まっている。 トランスレーショナル・リサーチの 特質は,大学・ 医療機関と医薬品メーカ 一の二者関係に ,基礎研究と 臨床研究の「プロ セス横断的な 繋がり」や「地域ぐるみの 連携」を加えたネットワーク 作りであ ると特徴付ける 事が出来る。 5. 個人最適化医療・ 診断との融合・ 医王連携に向けて 将来の個人最適化医療 ( 個人の体質に 合わせた個人に 最適な薬剤処方

/./,

さ療 ) 実現に向け.臨床データを 反映した基礎 研究は益々重要になる。 即ち,遺伝子の 違いによる薬効や 副作用の個人差を 予測し,個人に 最適な薬剤の 投与 量 ・投与 法を設定する 為には,個人の 遺伝子チータ と 臨床子 一タの 相関解析が不可欠であ る。 そこでは.治療計画の 為の診断が医薬品研究開発と 密接に結び付く 事になり,画像診断機器や 非 侵襲 バイオセンサ 一等 の機器開発とも 関係が深くなる。 医王連携が求められるのであ る。 今後の医薬品研究開発では ,トランスレーショナル , リ サーチ ( 基礎研究と臨床研究の 橋渡し ) に加えて,診断との 融合,医王連携も 包含した研究開発ネットワーク 構築が求めら れる。

(4)

6. ネットワーク 構築機関の重要性 「久留米トランスレーショナル・リサ ニテ ,センター」の 例では, ( 株 ) イベリ カ がプロテオームシステムズ ,ジャパン ( 株 ) との 提携により,プロテオーム 解析という基礎研究寄りの 技術を臨床研究に 持込んだ。 また.バイオ 統計解析としづ 新手法を 導入し.臨床データの 高 付加価値にも 取り組んでいる。 プロセス横断的に 異業種・ 異 分野の技術を 結合し,単独技術では 為し得ない高付加価値化サービスを 実現する事こそ 研究開発ネットワーク 構築の意義であ り,そこでは ,このようなネット ヮ 一ウ構築機関が 重要な役割を 果たす。 7. 患者 ( 市民 ) の視点から : 患者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発の 提案 厚生労働省「医薬品産業ビジョン」 (2002 年 8 月 ) は,欧米と比較して 我が国で治験の 実施数が少ない 理由を , ①被験者 ( 患者 ) のインセンティブが 低い事 , ②実施研究者のインセンティブが 低い車 , ③治験の実施体制が 弱い事と指摘している。 その対策として ( 「全国治験活性化 3 ヵ年計画」

),

大規模治験ネットワークの 構築や治験コーディネータ 一の増員等が 挙 げられているが ,それらの施策に 加えて,今後,より 配慮されるべきは ,医薬品の最終ユーザ 一であ る患者 ( 市民 ) の視点 ではなかろうか。 治験に協力する メ小ソト の明確化.治験が 終了しても医療の 質が低下しない 配慮,副作用に 対する保護 等 ,患者の視点での 動機付けが無いと.器を 作っても被験者は 集まらない。 医薬品研究開発の 特質を今一度 振 返る。 医薬品は.人の 生命と健康を 守る生活関連商品であ り,医療の重要な 構成 要 素 であ る。 そして.医薬品研究開発は ,「健康で豊かな 未来実現」という 人類共通の課題解決に 不可欠な , 極めて社会貢 献性の高い作業であ ると言える。 臨床現場の位置付けが 高まる今後の 医薬品研究開発において ,患者 ( 市民 ) の積極的な参画は 歓迎されるべきであ り 彼らのネットワーウ 化 こそ次なる課題であ る。 そして,このネットワーウ 化は,営利企業や 大学,医療機関では 難しい作業 であ り・その為に , NPO の機能が求められる。 NPO であ れば中立性・ 透明性が確保出来,拡張性も 有る。 ここに,「 Npo が核となり,ネットワーク 構築機関として ,スーザ一であ る患者 ( 市民 ) と大学・医療機関,医薬品メーカ 二 異業種・ 異 分野のプレイヤーを 結び付け,臨床研究に 基づいた基礎研究を 展開する新たな 医薬品研究開発の 形態 二患 者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発」を 提案する。 8. 患者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発のコンセプト 8. 「患者 ( 市民 ) の積極的参画 「医薬品メーカーからの 臨床試験参加者募集に 患者が応じる」だけでなく ,「患者側から ,ニーズに対応した 医薬品開発を 求め.その為の 研究に積極的に 協力する」という 双方向の形態であ る。 疾患別の患者団体は 従来から国内にも 多く存在 するが,活動内容は 患者間の相互交流や 啓発が中心であ る。 医療機関から 講師を招いた 勉強会等は開催されているが 医薬品メーカーとの 間で.医薬品研究開発のプロセスや 内容まで 踏 込んだ議論は 充分に為されていない。 患者と大学・ 医 僚機関,医薬品メーカーが 対等の立場で 協力する進め 方が従来との 大きな違いであ る。 特に.難治性疾患や 小児疾患等 に関する患者ニーズの 医薬品開発への 反映が期待される。 8. 2 NPO による研究開発のコーディネート 現在でも. NPO が臨床試験を 啓発し参加者と 医療機関, E 薬品メーカーとの 橋渡しを担う 例は有る。 しかしここで 提案す る形態は,臨床試験の 啓発や参加者募集の 枠を超え, NPO が,テーマ単位に ( 薬剤や疾患単位に ), 研究開発全体を コ 一 ディネートするものであ る (NPO 自身が研究機関としての 機能を果たす 場合も有り得る ) 。 NPO が核となり,ネットワーク

(5)

構築機関として ,各プレイヤーをプロセス 横断的,業際的に 結び付ける事が 特徴であ る。 9. 患者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発の 課題と NPO に求められる 役割 9. 1 当事者全員の メ ナット 患者 ( 市民 ) と大学・ E 僚機関.医薬品メーカ 一の夫々にメリットが 存在しなければ.協力は 成立しない。 患者にとってのメ リットは,ニーズに 対応した医薬品の 開発及び処方であ るが.大学・ 医療機関にとっては.研究データの 集積が メ ナットで あ る。 医薬品メーカーとしては ,研究成果に 基づく画期的新薬の 早期開発が動機付けとなる。 当事者問のバランスが 求め られる。 9. 2 専門性の壁 医薬品研究開発の 内容を理解するには 高度な専門性を 要する。 患者 ( 市民 ) と大学・ E 療 機関,医薬品メーカ 一の間には 専門性の壁が 有る。 当事者が対等の 立場で協力するには.共通言語で 話合 う 場が必要であ る。 9. 3 NPO に求められる 役割 当事者間のバランスを 保っには, NPO の本来的特質であ る公開性・中立性が 有効であ る。 Web 等を活用したフォーラム の運営により ,患者や患者団体と 大学・ E 療 機関.医薬品メーカーを 結び付ける場が 提供出来る。 但し・夫々の 利害を客 観 的に把握した 上で,共通言語を 用いてアドバイスを 与え,全体を 調整するには ,専門性を有するスタッフの 存在が不可 欠 であ る。 しかも,ネットワーク 構築機関として ,基礎研究と 臨床研究の橋渡しに 加え,診断との 融合・ 医工 連携を目指す には,異業種・ 案分野の技術を 目利き出来る ,目的指向性とネットワーク 構築 力 を兼ね備えた 人材が必要であ る。 ユーザ一であ る患者 ( 市民 ) と大学・ E 療 機関.医薬品メーカ 二 異業種・ 異 分野のプレイヤーを 結び付け.臨床研究に 基 づいた基礎研究を 展開する新たな 医薬品研究開発の 形態 二 患者 ( 市民 ) 参画型医薬品研究開発を 成功させる為には , N po の本来的特質であ る公開性・中立性に 加え,目的指向性とネットワーク 構築 力 を兼ね備え.自らも 研究機関としての 機能を果たし 得る NPO, 即ち,研究開発型 NPCu( 研究開発を行 う ,または研究開発の 成果を活用・ 展開する NPOK の 機

能 が求められると 言える。 その具体的マネジメントについては ,継続検討課題としたい。 10 .個人最適化予防医療 / ヘルスケアに 向けて 将来の個人最適化医療は ,個人最適化予防医療 / ヘルスケア ( 個人の体質に 合わせた予防医療 / ヘルスケア ) も包含す る 。 これを実現する 為には,医薬品の 枠を越えて,食生活・ 栄養・運動管理等を 含む へ ルスケア全般の 研究が進展しなけ ればならない。 患者を対象とした 臨床試験のみならず ,健常者を対象とした 健康診断データ 収集も必要となる。 健常者で あ っても・自分に 合った予防医療 / ヘルスケアサービスが 提供されるならば.研究への 協力を惜しまない 筈であ る。 より 多 くの市民が参画する 事になり.研究開発型 NPO の役割は重要性を 増す。 その内容は, 次 段階のテーマとしたい。 参考文献

[l]Ishiguro,S 。 Kitano, H. and Niwa, K ‥ NPO-D Ⅱ ven Decentra Ⅱ zed Research System, 巳 二 % 旦 二匹 旦 上空些

@

坦雙 , 亜 (7)

(2003)

[2]httpV/www.nponetwork.0 「 9

[3] 中村雅美,トランスレーショナル・リサーチ 21 世紀型の医薬開発への 道,別冊日経サイエンス , ]39, 132 円 34. (2002)

参照

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