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日英語におけるモダリティ機能の比較

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Academic year: 2021

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(1)Title. 日英語におけるモダリティ機能の比較. Author(s). 佐藤, 吉文. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. A, 人文科学編, 47(1): 43-52. Issue Date. 1996-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2058. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成 8年8月. 北海道教育大学紀要 (第1部A) 第47巻 第1号. Au鱒l t s , 1996. Se i i i fEduca i l lo f Hokka i do Un t t Journa t rs c on1A)Vo ve on( yo ‐47 .I , No. 日英語におけるモ ダリ ティ 機能の比較. 佐. 藤. 吉. 文. 北海道教育大学札幌校英語教育研究室. はじめに 本論は, 英語に対して行われてきたモダリティ の研究と日本語で行われてきたモダリティ の研究を比較し ながら議論を進めて行く‐ モダリティ は, 意味的次元での議論を取り扱うものであるから全く歴史を異にす る日英語を比較することは, 都合が良い. しかし, 反面, 意味的次元だけで議論が進められることは, 主観 的結論に陥りやすいので統語論的側面も同時進行で論じていく‐ 英語と日本語の統語的構造は一致しなく ても, 意味的次元において比較すると両者とも過不足なく対応す ることは容易に結論づけられる‐ このことが, 統語構造でどのように具現化しているかについて統語構造を 総括的に観察していく. 日英語の統語構造が1 、対1の対応はしていないし, 英語にあっ て日本語にない表現 ということも一般に言われるが, 文全体では表層構造に現われてこないだけで, 日英語は過不足なく対応し ていると考える. しかも文全体では, 意味だけでなく統語的にも対応しているのではないかということが考 え ら れる.. 1. 日英語のモダリテイ表現における 「予測機能」 英語と日本語の統語的特徴を比較する時, その特徴の一つは, 英語には冠詞があるが, 日本語にはないと いうことである. しかし, 意味的次元では日英語とも過不足がないはずであるから, 英語の冠詞機能を司る 成分が日本語にも見られるはずである. 楳垣 ( 197 ) によると 「不定冠詞のつくはずの名詞には助詞 gaが 5 つ き, 定 冠詞 のつく べ き名 詞 には助 詞 wa がつ い て いる」 と 次の 文例 を示 して いる. 1. む か しむ か しある と ころ に, お じい さ ん とお ばあ さ ん が住 ん でいま した‐ once upon a t ime there l ived an old man and an old woman ‐. 2. お じい さ ん は 山 へ 柴 か り に行 きま した. お ばあ さ んは川 へ 洗 濯 に行 きま した ‐ The old man went up a hi irewood and the old woman went to a river to wash i l to gather f , clothes ‐. ま た, こ の こ と は, 楳 垣 ( 1975 ) は, 疑 問詞 と助 詞 と の 結 び付 き によ っ ても 示 して いる. 3. 誰 ga 行 っ た の です か‐. 4. 何 ga 欲 しい の です か‐. 5. あ れ wa 誰 で す か. 43.

(3) . 佐 藤 吉 文. 6. こ れ wa 何 です か‐. 3 ・ 4 で は, 疑 問 詞 に ga は つ く が wa は つ か な い. 従 っ て ga は, 常 に 不 定 の も を 示 す. ま た, 5 ・ 6 の wa は, 定ま っ た も の に必 ずつ き, 疑 問詞 は そ の 後 に現 わ れる こ と になる と 説 明 して いる. す な わ ち, 英 語. の統語構造に現われてきて, 日本語の統語構造に現われてこない成分が他の形として現われてきて同じ役目 を 果 た して いる‐. また, waやgaを冠詞の代用としてのみ考えると, 英語は名詞の前に冠詞が接続し, 日本語は名詞の後に 冠詞機能が接続されていると見ることもできる‐ DET N. N. DET. 英. 語. 日 本語. ただし, waは, 英語のように冠詞の役目を果たすこと に加えて, 格表示機能と従来国語学で係結びと呼ば れてきた機能を果たす 「予測機能」 がある. 「予測機能」 とは, その文の陳述内容をある程度まで予測させ, 述 語 構造 を予 告する 機 能 の こ と を指 す. wa の 他 にも, 助 詞 で, 「予 測 機 能」 を 果たす も の に, mo・ko・so・ nar a・demo・sa e・made な どがある. しかも, こ れ らの助 詞 が, 述 語構 造 を予 告 する 部 分 は, 文 末 の助 動詞 ) に な っ てお り, 文 末 の助 動 詞 ・ や助 詞 の部 分であ る‐ 日本 語 で は, 「命題 十 モ ダリ ティ」 構造 (佐藤 1996 助 詞 の 部 分 は 図1の よう な 「モ ダリ ティ の 階層 関係」 (益 岡 1991 ) を成 している.. [[[[[[命題]] テン. セッメィ] シンギ 、ンダ. ヒョゥゲンルィヶィ] デンタッタィ ド. カチハンダン. ー. モ ダリ テ ィ 部 分. テイネイサ. 1. [図1] す な わち, wa を始 め とする 上 述 の助 詞 は, 図1 の モ ダリ ティ 部 分の い ず れ か を予 告 し呼応 関係 にある か ら,. これらの助詞もモダリティ 表現ということができる‐ すなわち, 日本語のモダリティ 表現の中には陳述に対 する 「予 測 機能」 を 持つ も の がある こ と がわ かる‐. また, 第二の特徴は, 日本語の口語表現では, 人称主語の脱落現象が頻繁に起こるということである. こ れは, 述部の表現構造によっ て主語の人称を決定できるよう になっ ているからである‐ たとえば, 英語の 「want と 日 本語 の 「欲 しい を比 べる と 次 の よう になる 」 」 .. 7. 1 want it .. 8. そ れ を欲 しい. 9. He wants i t ‐. 10 そ れ を欲 しい と思 っ てる.. 8 ・10か ら わ かる よう に下 線部 が主 語の 人称 を特 定 して しま っ て いる‐ 次 の11・12が示す よう に, 8 に一人. 称主語がつくと奇異な文になる‐ また, 10の述部が 「欲しい」 では非文法的な文になる. 11 ?私 は, そ れを 欲 しい‐ 12 *彼 は, そ れ を欲 しい.. 44.

(4) . 日英語におけるモダリティ機能の比較. ま た, 「や る」 と 「く れる」 で は一 人 称 主 語 を と る か二 人称 主 語 を と る かの 選 択 にせ ま ら れた と き 答 は , , は っ きり している‐ こ のよう に, 英 語 で は 必 ず必 要な 主 語 が 日 本 語で は 脱落 する こ と がある と いう の は , , , 誰 にと っ ても 脱 落 した成 分 を述 部 によ っ て予測 で きる 構造 にな っ て いる か ら である ‐. 第三の特徴は, 英語は, 述語構造が文頭に来ることから文頭で意味が決定されることであり 反対に日本 , 語は, 文末に述語構造がきて意味が文末決定性である ということである‐ すでに, 助詞の 「予測機能」 につ いて述べたが, 述語成分である否定辞 「ない」 を予測する文頭に来る成分が日本語にはある‐ 少 し しか. ・…. ・な い. /. と んでも. … …な い. かいもく. … … ない. /. と んと. … …な い. さ っ ぱり. … …な い. /. ま っ たく. … …な い. け っ して. ……ない. /. 断 じて. ……ない. 一向に. ”…・な い. /. ちっ とも. … …ない. これらと同じように予測機能を持つものが日本語の文副詞である‐ 文副詞は モダリ ティ表現として機能し , ている‐ す で に述べ た, 益 岡 ( 1991 ) の 日 本語 モ ダリ ティ に対 す る 特 徴 を 「モ ダリ ティ の 階層 関係」 と 捉え. ている考え方を借りるなら, 英語の文構造は 「モダリティ の命題埋め込み構造」 であり 日本語の文構造は ‐ 「モ ダリ ティ の 命 題接 続構造 である 」 ‐. 13a. 君 の予 想 はあ た っ て いる だ ろう‐. 13b. Your prediction might be r ight ‐. 13a は13b と 同 じ意 味の 文 で あ る‐ 13a は 「君 の 予 想 はあ た っ て いる」 と いう 命 題 に 「だ ろう と いうモ , 」 ダリ ティ が後 接す る という 形で 話 者 の判 断を表 明 して いる こ れ に対 し13b は 「 our prediction -・s ‐ri ht g 」 ‐ , y と いう 命 題 に 埋 め 込ま れる 形 で 「mi と いう ダリ モ ティ が 話 者 の判 断 を 表 明 して いる. ま た 13a は14 ght 」 ,. とも同義で使われる‐ 14 たぶ ん君 の予 想 はあ た っ て いる だ ろう‐ 14で は, 「たぶ ん ( )」 が命題 の前 に接 続 さ れ ている が 「たぶ ん一 と 「だ ろう ( perhaps l suppose/perhaps)」 ,. と は 呼応 関係 にあ り13a は14と 同義 にな っ て いる 14にお い て も 「たぶ ん と 「だ ろう と いう モ ダリ ティ . 一 」. は命題をはさみ込むような形で命題接続になっ ている この 「たぶん一 は英語の文副詞と同様 に命題内に埋 ‐ め 込ま れる 位 置 にき ても 構 わ な い. 但 し 次 に示 す15が13b と 同義 である こ と か ら 文副詞 「 h r aps , pe 」 は, , 「だ ろう の 呼応 要素 である 「たぶ ん よ り も モ ダリ ティ の発動 する 範 囲 が大き い と考 え ら れる‐ 」 一 15. Perhaps your prdict ion is r ight ‐. 16 Perhaps your prdi ion might be right ct ‐. ま た, 16で は, 13b や14よ り も 蓋然 性 の度 合 い が低く な り13b や14と は 同義 と はな らな い こ と から も 単 なる モ ダリ ティ の 呼応 要素 「たぶ ん一 よ り も 「perhaps 」 の 方 が 命題 に対 して発 動 する モ ダリ ティ の役 割 が 大 き 45.

(5) . 佐 藤 吉 文. い こ と がわ か る. す な わ ち, 日 本 語 の 「た ぶ ん」 や 英 語 の 「 rhaps pe 一 類 の モ ダリ ティ 表現 は, 蓋 然 性 の 査. 定または真偽判断を行うための機能をする ことには, 変わりはないが, 日本語の 「たぶん」 は述語成分に 「だ ろう」 がく る こ と が予 測 さ れる 「予 測 機 能」 を持 っ ている と いう 点 で 異 なる.. また, 図工に示されるように, 日本語は階層的に命題を包み込む形になっており, しかもその階層を形成す る 一 つ 一 つ が独 立 した意 味形式 と して 分 離で きる の がもう 一つ の 特 徴 である. た とえ ば, 文例17を見 て みよ . 17a. ひ ょっ と した ら彼 はそ れをなく したかも しれな い‐ ha e r p ps. 17b. h e. i t. l ha o r s e-ppp e ps. He mi t ght have losti .. 17a と17b は 同義 である. 17a は, 17c の よう に分解 して表す こ と がで きる.. 17c. ] [ひょっ と した ら [[[[彼 は そ れをなく す] p b t i i一 た] 記。 r 。 ami t s] かも しれない] p y r 。 。 s p. 「 「ひ ょ っ と し た ら ( erha s )」 の 呼 応 要 素 で あ る. 過 去 を 表 す の に 「… … rhaps pe p p )」 は, か も しれ な い ( )」 と いう 蓋 然 )」 と いう 有 標 の 表 現 形 式 を用 い, さ ら にそ れ に 「か も しれな い ( た ( f t t/pe perhaps r e c s pa. 性を表すモダリティが接続しながら命題を包み込んでいる. また, 後接のものがそれより前の要素を支配し て いる 形 にな っ て いる‐ 従 っ て, 日 本 語の場 合, 命題 に対 して 複 合 的 に統 一 さ れて発動 さ れている モ ダリ テ. ィ をさらに独立したモダリティの意味形式に細分化できることである. 英語は, 17bでわかる ように文全体 に表現されている複合的モダリティ を独立した形式として分離することは難しい‐ 以上から, 英語の文構造 は 「モダリティ の命題埋め込み構造」 であり, 日本語の文構造は, 「モダリティ の命題接続構造」 であり 「予測構造」 を持つということが言える.. ロ. 日本語のモダリテイの分類的比較 i ty), 義務的法性 i ) が, 法 性 を 認 識 的 法 性 ( 1979 t lmer ( 英 語 のモ ダリ ティ の 研 究 で は, Pa s c modal ep emi lmer は, 以 下 の よう ) の 三 つ に 分類 して いる‐ ま た, Pe l i (deont ), 動 的法 性 ( i dynami t l i t c moda c moda y y. に下位分類をしている i ty) 1‐ 認 識 的法 性 ( i t ep s emi c modal i ty) i 1) 主 観 的認 識 的法 性 ( t j e c ve epistemic modal sub i ty) 2) 客 観 的認 識 的法 性 ( i t j ve epistemic modal ob c e i ty) 2‐ 義 務 的法 性 ( i deont c modal l i i ty) f i 1) 遂 行 的義 務 的法性 ( t c moda orma ve deont per l i i ty) i f 2) 非 遂行 的義務 的法 性 ( c moda t ve deont orma non‐per i 3‐ 動 的法 性 ( ty) dynami c modal i ty) l dynamic modal 1) 中立 的動 的法性 ( t neu ra 2). 主語指向的動的法性. l i (sub ty) i ject‐or c moda ed dynami ent. これらの分類が日本語についても妥当性があるか比較検討して行く. 46.

(6) . 日英語におけるモダリティ機能の比較. ロ. 1. 認識 的 法 性 (epistemic modal i ty). 認識的法性とは, 可能性 (poss ) ・必 然 性 ( i b i i ) ・ 蓋然 性 ( l t i ) ・確 実性 ( l i )・ t i ne t c es s t t y y cer a n probab y y 伝聞 ( ) hea r say. ・ 様態. ( ) につ い て 話 者 の 判 断 を 表 す 法 表 現 で あ り こ れ ら は そ の ふ る ま い の appearanc e ,. 違いにより 「主観的認識的法性」 と 「客観的認識的法性」 に下位分類される‐ Lyon 197 7 ) は主観的認識 s( 的法性とは, 命題が真である可能性/必然性について話者の主観的判断を表したものと定義して いる‐ 主観 的認 識 的 法 性 を 表 現 す る 副 詞 に は,. ibly inly i ly, ta poss , perhaps , probably , presumably , maybe , cer , necessar. l l surely, c i l ear ous y y な どがある‐ ,obv. 主 観 的 認 識 的 法 性 につ い て 中 野 ( ) の 説 明 を借 り る な ら 以 下 の 1993. よう になる.. 18. A1 f red may be unmarried‐. の may が, A1 f i red - be - mar r ed と いう 命 題 が真 であ る か否 か につ い て の 確 かな 知 識 を 欠く ため に話 者 が. その命題が真である可能性を断定的に述べずに, 命題が偽である可能性を言外に含めた話者の主観的な推測 を 表 す も の と して用 い ら れ た も の と す れ ば こ の may が表す 法 性 は主 観 的 法 性 で ある may が こ の よう な , .. 法性を表す場合, 18は次の19とほぼ同義である. 19 Perhaps A1 f i red i s unmarr ed .. 主観的認識的法性と客観的認識的法性とを峻別する基準は一般に次の四つが定着しつつある. その四つの基 . 準とは, ①疑問文中に用い得るか否か, ②当の法表現自体の意味が否定され得るか否か ③条件・時の副詞 , 節中に用い得るか否か, ④過去にお ける法性を表し得るか否か, である. すなわち この4基準ですべて否 , とさ れる も の は, 「主 観 的認 識 的用 法」 であ る.. これに対して, 「客観的認識的法性」 の表現は, 4基準に対してすべて肯定する こ と になる‐ 客観的認識 的法性表現には, i ike tis possible that p,itis probable that p,itisrl ly that p,i t is certain that p,i ti s ly t he case that p, there i necessari ibi l i ty that p, there i l i s a poss ty that p s a probabi , 等 がある‐. 20~23. (いずれも中野 1 ) でaは主観的認識的法性を示し, bは客観的認識的法性を示す 993 ①疑問文中に用い得るか否か: 20a b. *p ibー /*P b bー /* inーy i ー oss y ro a y Certa ty? s he gui ls i ibl in that he i t poss l ta ty? e/probabl e/cer s gui. ②当の法表現自体の意味が否定され得るか否か: 21a b. *N t ibーy/*Not probabーy/*Not certainly he i o poss ー ty s 即i . l ti in that he i l s not possibl ta e/probabl ty. e/cer s gui. ③条件・時の副詞節中に用い得るか否か: 22a b. *l f poss ibly/cer inly i ta ti la s ra.n.ng that you should take your umbrel ‐ l fi ibl ti in thati l l rain, you should take your umbrel s poss t wi e/certa la ‐. ④過去における法性を表し得るか否か: 23a. Poss ibly/Probably/Certa inly he was gui l ty ‐. 2 3aの主観的認識的表現が表す可能性/必然性/蓋然性についての話者の判断は, 発話時におけるものであ 47.

(7) . 佐 藤 吉 文. っ て, 過去 時 にお ける もの で はな い‐ 23b. ibl in that he was gui l l ty ta t i e/probabl e/cer s/Was poss .. 客観的認識的表現の場合は, 2 3bの例のように, それに含まれる動詞の時制を変えることによっ て発話時だ けでなく過去時における認識的判断をも表すことができる. 法助動詞においても, 認識的法表現として用いられた場合は, 以上の四点の基準に関してはだいたいにお いてc a n を除いては主観的認識表現としての性格を持つ‐ 日本語において, 認識的法性の法助動詞と同じふるまいをすると考えられるのは, 真偽判断のモダリティ 表 現 「だ ろう」 ・ 「に違 い な い」 ・ 「かも しれな い」 ・ 「はず だ」 ・ 「よう だ」 ・ 「ら しい」 である‐ こ れ. らは, 述語表現であるが, 必ずしも法助動詞と1対1で英語と意味的対応をするわけではない‐ 命題に対し てモ ダリ ティ を表 明 して いる の である か ら日 英 語 にお い て特 定 の品詞 が1対 1 で対 応する と は 限らな い‐ 次 の24a・24b ・25を比 較す る と わ かる よう に, 日 本 語 の助 動 詞 「だ ろう」 は, 法助 動 詞 「mi t gh 」 ととも文 副詞 「perhaps」 とも 対 応す る こ とが わかる.. 24a. 君 の予 想 はあ た っ て いる だろう‐ Your pr ight i edi ct on mi ght be r .. 25b. Perhaps your prdi ion i i ct sr ght ‐. 「だ ろう は 益 岡 ( ) による と, 一 次 的モ ダリ テイ に所属 す る も の であ り, も っ ぱ ら話 者 の 主観 的 1991 」 ,. 表現専用として使われる. 2 6はいずれも同義である‐ 26a. 偶 然 で は ない だろう‐ 作 為 がある よう だ‐. b. t seems there was intent l t wasdt surely an accident . ‐l. C. 1 t couldn’t have been an accident . ‐ lt seems there was intent. 益岡. 199l. いずれも発話時点における話者の判断である‐ 従っ て, 「だろう」 は, 主観的認識的法性である. しかし, 前述の主観的認識的法性と客観的認識的法性を峻別する4つの 基準には必ずしも当てはまらない‐ )」 の 作用 域 に入る か否 か: i i ① 疑問文 中 に用 い 得る か否 か→ 「か ( t t n ve marker err oga 27 偶 然 で はな い だろう] か. )」 の 作用 域 に 入る か否 か: i ② 当 の法 表 現 自体の 意 味が否 定さ れ得る か否 か→ 「な い ( t nega ve ma rker 28 *偶 然 だ ろう] な い‐. ③条件・時の副詞節中に用い得るか否か: 29 *偶 然 でな い だ ろう] な ら, 作 為 がある よう だ‐. ④過去における法性を表し得る否か: 「た = a /per f 30 *偶 然 で はな い だ ろう] た‐ ( t t tense marker)」 e c ps 」. これらの基準に肯定的なのは, ①の場合だけであっ て, あとは否定的である‐ 「だろう」 は, c an が認識的 法性の場合と動的法性の両方の性格をもつように, 主観的認識的用法と客観的認識的用法の両方 の性格をも っ と考 える べ き である‐. 31 a 48. she can’ t be coming on Monday ‐. Pa lmer l979.

(8) . 日英語におけるモダリティ機能の比較. b 32a b. 彼 女 は月 曜 に来 れな い だ ろう CaI iday ? hey be on hol It. Pai ・ ner. l979. 彼 らは休 暇を と っ ている は ず だ ろう か. 次 に, 「に違 い な い」 . 「か も しれな い」 ・ 「は ず だ」 .‐「よ う だ」 . 「ら しい」 につ い て見 て みる‐ こ れら は益 岡 ( ) が真偽判 断の モ ダリ ティ 内 の二 次的 モ ダリ テ ィ と して いる も の である‐ 1991. 33a b. 34a. リ ン ダは, 何 か 困 っ た こ と があ る に違 い な い. Linda l ] [ lust have some trouble: ,She keeps crying ‐. 君 は そう 思 っ た に 違い な い ん だよ ね.. b. You must have thought so right? ,. C. Y。u certainly thought so didn’ t you? ,. 35a b. 36a b. 益 岡 1991. 空 が曇 っ て いる か ら, 晩ま で に雨 になる かも しれない‐ The sky i l t may rain before evening‐ sc oudy , and i. 君 の 言う 通り かも しれな い. Perhaps you are right .. 37a lo分く ら い でこち ら に到 着す る は ず だ. b. 38a b. 39a b. 40a b. 41a b. 42a. He should be here in about lo minutes‐. ライ トがつ いて いる ん だ か ら, バ ッ テリ ー が上 が っ た は ず がな い. The bat tery can’ ights are on- t be dead, because the l. そ れく らい は 君 だ っ て知 っ ている は ず だ‐ You ought to know that much.. どう や ら 僕 の 声 が 聞 こ え な か っ た よ う だ‐. 199l. Somehow,i t seems my voice wasn’t heard.. 本部からの報告では前大統領が捕まったようだ‐ According to a report from headquarters i , t seems the former president was arrested‐. う わさ で は前 大 統 領 が捕 ま っ た ら しい.. b. According to rumors i , t appears the former president was arrested‐. c. According to rumors,i ident was arrested. t seems the former pres. 43a. 益岡. あ の男 はま だ生 き て いる ら しい. 49.

(9) . 佐 藤 吉 文. b. i l l i l la l t seems thatthe f e ow i ve s st .. いずれの日本文の用例とも, それぞれに対する意味相当の英語の用例では, 認識的法性に所属する用法であ る. さ て, 上 の 「に違 い な い」 「かも しれな い」 ・ 「は ず だ」 ・ 「よう だ」′ ・ 「ら しい」 の用 例 に英 語 の 4. 基準を当てはめてみると, すべての用例 とも, 文頭に 「その時点で判断すると」 や 「今の時点で判断すると」 を接続させても非文とならないことから, 過去における法性としても用いることができる し, また, 発話時 にお ける 話者 の判 断を表す 法 性 と しても用 いる こ と がで きる. 従 っ て, 「に違 い な い」「かも しれない」 ・ 「は ず だ」 ・ 「よう だ」 . 「ら しい」 の過 去 形 である 「に違 いな か っ た」「かも しれな か っ た」 . 「は ず だ っ た」 . 「よう だ っ た ・ 「ら しか っ た は過去 にお ける 法 性 と しても用 いる こ と ができる し ま た 発 話 時 にお け 」 」 , ,. る話者の判断を表す法性としても用いることができる‐ 以上のことから言えることは, 英語の法助動詞同様に日本語は, 「主観的認識的法性の性格を持ちながら 部分的に客観的性格も見られる」 という結論に達する. i l i ロ. 2 義務的法性 (deont ty) c moda 義務的法性は, 論理学同様, 言語学でも義務/許可の概念を表す. たとえば, 英語 に おける 命令法及び h b l l iged t can, may, must oWed to, be obl oなどの法表現を表す義務/許可の意味を義務的法性 , ave to, e a という. そして, 義務的法性は, 「遂行的義務的法性」 と 「非遂行的義務的法性」 に下位分類される‐ 中野 ( ) は, Pa ) の理論を借りて義務的法性を表す表現の意味を 1 993 1979 lme r( ), 1. 義 務 の 源 (deont i c source. 2. 義務づけられた/許可された行為を実行するもの (行為実行者) , 3. 義務づけられた/許可された行為の内容 (行為内容) , の ニ つ の 基 本 的 要 素 に 分 析 して い る‐ C 1 oom. の よう な 命 令 文 で は, 1‐ 義 務 の 源 = 話 者, 2. ean your r 行為 実 行 者 = 聴 者, 3. 行為 内 容= 文 の 命題 内 容 you‐c l ean‐your‐r oom, である‐ 法助 動 詞 で は, そ の 他 may go n ow ‐ な どの文においては,. 文の主語が行為実行者で, 文の命題内容が行為内 容と決まっ ているが義務の源は命令文の場合のように話者と固定しているわけではない‐ の 表 現 を用 い た You. また, 義務的法性を表す表現 (義務表現) で注目すべきは, 遂行性 ( ) が義務的法性を定義 f i t r o rma ve e p する上で重要な要素となっている. 義務の源が話者である場合には, それを含む文 (の発話) が 〈要請〉 ・ <許可〉 などの発話行為を遂行することである. 義務表現がそのような発話行為を遂行する場合としない場 合では表す法性の種類が異なる‐ たとえば, may は平叙文では, ほとんど常に話者が義務の源となる遂行的義務的法性であり, ha v eto は, 常にその義務の源が話者以外の不定のものであるから非遂行的義務的法性である‐ また, 義務を表す mus t は, しばしば遂行的義務表現として用いられるが, 文脈に応じて非遂行的意味を表すこと ‐もある. 44a. ) You may smoke i n here. (= i permit you to smoke in here .. b. ) You can smoke in here. (= You have permission to smoke in here ‐. c. ) You must be ba en ck in camp by ten. (= i demand of you that you be back in camp by t ‐. d. ) iged to be back in camp by t You have to be back in camp by ten. (= You are obl en ‐. 通 常 の場 合, ( ) 内 の パ ラ フ レー ズ に示 したよう に, こ れ らの用 例 の may tは 権 威 を 持 っ た話 者 が聴 , mus 者 に対 して 許可 . 要請 を行う と いう 遂 行 的 意 味 を 表す の に対 して, can oは聴者に許可が与えられ, ,havet. 義務が科せられている状態 (この場合, 話者はそのことの報告者である) を表すもので, 遂行的意味を含ま ) が 「価 値判 断の モ ダリ ティ」 と してい る 日 本 語の 「こ と だ」 ・ 「も の だ」 ・ な い‐ こ の こ と を益 岡 ( 1991 50.

(10) . 日英語におけるモダリティ機能の比較. 「べ き だ . 「な けれ ばな らない . 「ほう がよ い に適用 してみる 」 」 」 。. 45a b. 46a b. 47a b. 48a b. そ れな ら彼 に聞く こ と だ‐ 1 l have to ask him about That is something you’ .. 女 っ てそう いう も の だ‐ Thati s the way of women.. 患 者 は 医者 の言う こ と を 聞く もの だ‐ A pat i ent should do as his doctor‐. 自 分 のこ と は自分 でする も の だ- You ought to look af f ter yoursel .. 47・48は話者が聴者 に対して許可・要請を行うという遂行的意味を表すのに対して, 45・4 6は非遂行的であ る‐ 「べ き だ」 . 「な けれ ばな らな い」. . 「ほうが良い」 についても遂行的用法と非遂行的用法の両方が見. 出 さ れる‐. 日本語においても英語においても, 主観的認識的表現は話者の認識的判断を表し, 遂行的義務的表現は話 者 の与 える 許可/ 義 務 を 表す か ら, 両 者 の 表す 意 味 が話 者指 向 的 ( ) という 点 で類 似 して i speake r‐or ent ed. いる‐ これに対して, 客観的認識表現は, 日英語とも可能性/必然性が話者 (の主観) を離れて客観的に存 在し, 非遂行的義務表現は, 許可/義務が話者 (の主観) を離れて客観的に存在するから 話者の主観を離 , れて客観的に存在する点で類似している‐ 最 後 に, 動 的 法 性 ( dynami ) とは, 可能性 (可能) や必然性 (必要) の概念を表す法表現に話 l i da t c mo y. 者の判断や義務の源とは直接関係のない可能性や必然性を表すことができる表現である‐ たとえば (準) ,. 法助動詞の can, may, have to, 形容詞 possible ry 等 の 法 表 現 は, 認 識 的 法 性 や 義 務 的 法 性 を 表す こ ce s sa ,ne とができると同時に, 単純にある事柄の発生が可能/必要であることや, 文の主語にとって可能/必要であ る こ と を表す こ と ができる‐. 日本語では, 英語のような動的法助動詞の例は見つからない‐ これまで論じてきた日本語の法助動詞は , 「一義的」 で一つの法表現が認識的であったり義務的であったりすることはない このため 法助動詞同士 . , が接続したり, 過去時制を示す助詞が接続 してできる階層的法表現が日本語 の性格の一つにもなっ ているの である‐ これに対して英語の法助動詞のように一つの表現で認識的法性と義務的法性を表したり 過去時制 , を表したりするよう な 「多義性」 をもっ ている‐ 動的法性もその多義性のために分類された一つである 従 ‐ っ て, 日本語の法助動詞には, 英語の法助動詞 に見られるような形で動的法性を見つ けることはできない‐. おわりに 本論を通じて日本語と英語のモダリティについて, 機能面から議論してきた結果, 次のような結論が得ら れた‐ 51.

(11) . 佐 藤 吉 文. 1‐ 日本語は, モダリティによる予測機能が発達しているため, 主語脱落現像・述部構造との呼応現象・述 部構造予測機能な どが頻繁に起こる‐ 2. 意味的次元では, 日本語も英語も文単位で対応を示すことは理の当然である. しかし, 統語レベルで日 英語を比較すると, それぞれの統語成分が1対1で対応することはない. たとえば, 英語には, 冠詞がある が日本語にはない‐ ところが, 統語的次元においても, 文全体の単位で比較していくなら, 一方にあって他 方にないと思われている成分が, 他の成分で代用されており, 統語論的次元においても日本語と英語は過不 足 なく 対応 している こ と がわか っ た.. 3. 英語で用いられているモ ダリティの分類手法を日本語にも適用してみると, 日本語は必ずしも英語のよ う に分類 す る こ と が でき な い.. Bib l iography ” “ i i t i i i Ak i l ryo Hozonka t e su Sh t t su Sh ryo 14 o Hi e ra . gogaku Ronse yt ,1980 . Tokyo:Rons . ln Ei . M。da , 0gawa t ino Bunpo Kenkyu i AI do en shukan sho 1 gokyosh 、1985‐ .Zoku‐Ei . Tokyo:Ta ,Sadao i i i Asakawa t en l lsho zaburo Kamada shuka .1odosh . Tokyo:Ta ,1986. , Teruo ,and Se “ n i ” 1977 ), 337‐5L i l i i t i i i fSen I Adverbs nqu r Be l l i but IProper cl e t t t t a y r ona eso ent gus e r c s and Di s . Li ,6 ( . on Semant ,1 r L C i dge Un i i I Grammar i t i I Syn r s s t ve Fo ノ i i ve r sa l l l t y Pres t D. Van VALIN jR a× and Un ona ey am A. and Rober . ondon: ambr , . Func ,い 1984. i 1 Usage i l i Gr i dney t t nan a ud e si n Eng sh Adverb eenbaum,s .London:Long ,1969. .s “ ” f Moda l i l i i i i t dera t t ons i I Di i n Eng sh Ha l l i day t on o t rom a Cons n Lan e as seen f s y and Mood i ona ver き型ag . Founda yi , M. A. K Func ), 332‐361. 1970 ofLanguage .3 ( , 6, No i dge i i i f f t s s:The MIT Pr es s t t i E nbr ra ve Grammar Ja n Gene cl nt erpr e a oni ckendo .Ca ,1972. , Ma .semant .Ray s i i dge Un i t i Lyons t s s ver s s 2‐ London:Cambr c y Pre ,1977‐ .seman ,John K B T k h i s h T i M d l i Ma k k h s o uppan suo a s . o a ty no unpo . o yo: uro ,1991‐ , aa ino Ei bunpo Vo l i i i Murak t t ron o o sa sa ake . 2 1mi . Tokyo:Kenkyusha . Genda ,1987‐ ,and ok , Ma 1 4 T i h k 9 8 E i b T k Mura Y K i t a a n z n u 1 l o o o : s u a u o o p. y . . , , i inolmi Nakano chosha jodo ron sh ro zo go Ho . Tokyo:E . Ei ,1993. ,Hi ” ” i h ed i h i l t i-Ei kaku Koza Vo ino Hi kaku sn ro shuka Nakau suya Kun n Ni ch noru go Hi . Tokyo:Ta . Te . 4t , . 2. Ed . l . Bun-Fukush , Mi 1983 , 159‐219‐ “ ”n Eio aku Ta i l i l ta i ke i vo .一--, .”Bun no Kozot shukan noru Yasu o Ki no gg . Tokyo:Ta , 548冊626‐ ・ Mi ,1983 ・ 5‐ Ed ,e . l i it okada shukan o sonyubun . Tokyo:Ta ,1985. .Fukush , Nobuo l i l he Eng Pa l i lmer t sh Moda s . y and t ,1979 .London and New York:Longman .Moda .R ,F 1 983‐ P i h F P i b l i E l i h L d M E i t M I d I R r s Perk i i h u s e r n c e s n e r n n n s o n o n : a a x r s s o s ns c a e o g p . , . , l i fComt l i t Qu ry Eng sh empora rk .London:Longman .a . A Grammaro ,1972‐ .e ,R “ ” i do Brm i i i fJapan i l t i it t f it ・ ch sa i e rary Soc e sh L t ono Tokakanke yo o M‐Ke o umi ‐32 yosh , . The Eng , No , Hokka . M ‐Fukush , Yosh ( 1987 ), 65‐72‐ ), 1988 i fjapan i do Branch ).”The Eng l i i i l i i t t i i(Moda l ty it i t e t sh L erary soc ……… ”Hose sa e yo o Ga zens e .33 y and Probab ,( ,No , Hokka 79‐88‐ “ ), 103‐118. 1991 i i l l l l i fse i l t t or Co eg e shuJun ……… ” Japane e no ence Adverds se and Eng sh sen .22 ,( ,No . The Bu ‘ ‘ i Ki i Kanr )P i i l l K0 t i l l and Deon l l (Ep t t ek nen i wi t as ense l lto Kongenteki wi c wi oba no seka. Ed ……… Ninshiki t s emi c wi ek . Ha ), 47-56. 1994 i Ronbun Kankoka ,( l l i tand Wi t fEng t l nehar ns on s l l t sh t t j ac日c St ruc ur e so or synt ockwe . New York:Ho ,1973‐ ,Ri ‐a . The Ma .P .e ,R i hongo no Syn Teramura deo t ro shuppan ax t olmi 工. Tokyo:Kurosh . ,1983 . Ni , Hi 1 9 8 3 i …. . .…Ni hongo no Syn ro shuppan t ax t olmi ロ. Tokyo:Kurosh ‐ ,. (本学助教授 札幌校). 52.

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