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小学校における理科授業の現状と課題 : 新潟県下越地域における小学校への計画訪問を例に

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Academic year: 2021

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(1)Title. 小学校における理科授業の現状と課題 : 新潟県下越地域における小学校 への計画訪問を例に. Author(s). 三崎, 隆. Citation. 釧路論集 : 北海道教育大学釧路校研究紀要, 第35号: 37-49. Issue Date. 2003-11. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1290. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) 釧路論集一北海道教育大学釧路校研究紀要一第35号(平成15年). KushiroRonshu−JournalofHokkaidoUniversityofEducationatKushiro−No・35‥37−50・. 小学校における理科授業の現状と了課題 一新潟県下越地域における小学校への計画訪問を例に− 三 崎. 隆. 北海道教育大学釧路校理科教育研究室. present condition of and problems concerning science teaching in elementary schooIsin Niigata Prefecture Takashi MIsAKI Department of Science education,Hokkaido University ofEducation,Kushiro Campus. 要 旨. 新潟県下越地域の公立小学校2校を計画訪問し、現職の小学校教員の行う理科の研究授業を参観し、授業 改善の視点を探りながら理科授業について分析した。その結果、次の点が明らかになった。 0児童が見通しをもった観察、実験を行い、主体的に課題解決しようとする授業展開に至っていない。 0児童の自然認識や概念形成の実態及び変容が十分に把握されていない傾向にある。 0児童が観察、実験の必然性を理解しないまま学習している傾向がある。 01単位時間内の時間配分が不十分であり、指導内容の取り扱いが十分検討されていない。 0教師主導で、教科書に示された観察、実験をそのまま促す授業が見られ、児童の主体的な追究に高まっ ていない。. 今後、質的な授業改善に向けた支援として、学校体制での研修システム整備への支援とともに、同一校へ の継続的な計画訪問による継続支援の充実が必要である。また、教員志望学生の授業実践力養成のためのカ リキュラム開発、並びに大学・教育委員会・学校が連携した小学校理科授業改善支援システム構築に向けた 支援が必要と考える。. 行うことである(文部省1999、角屋2002)。. 1 はじめに. 児童に見通しをもった観察、実験を促すためには、幾つ. 教育改革と言われた1年が過ぎ、教育現場にもようやく、. かの重要なポイントがある。. 新しい学習指導要領と、それに伴った総合的な学習の時間、. 第一は、授業の導入段階において知的好奇心を喚起させ. 目標に準拠した評価等の教育活動が定着しようとしている。. る事象提示を工夫し、児童への動機付けを行うことによっ. 小学校理科においては、改訂された学習指導要領の教科. て見通しをもった観察、実験を促すことにある(神津2002)。. 目標に特に「見通しをもって」という部分が付加されたが、. 知的好奇心の高揚により、児童は「なぜだろう」という疑. これは児童が見通しをもって観察、実験などを行うことに. 問を抱き、仮説を立て見通しをもった観察、実験の構想を. よってより一層主体的な問題解決の活動を行うことを示し. 練るのである。. ている。また、内容が厳選され、実感を伴う理解を図るた. 森本(1993,89−98)は、見通しをもって積極的に授業に. め、ものづくりや自然災害に関する内容が充実され、課題. 参加させる上で、動機付けは重要な要因であると指摘する。. 選択が導入された(文部省1998、1999)。. 藤田(2002)は、その動機付けにおいても、内発的動機付. 特に強調された見通しをもった観察、実験は、小学校の. けとして知的好奇心を高めるために、子どもの既有知識や. 理科の授業において、児童が無目的に観察、実験を行うの. 期待と矛盾するような事象提示の必要性を指摘する。そし. ではなく、問題に対して予想や仮説、構想などの見通しを. て、三田(2002)は児童にとって未知なものを取り上げ、. もち、それらの下に、方法を発想し、実際に観察、実験を. 授業を構想することが必要であると指摘する。. 一37一.

(3) 三 崎. 隆. 脇元(2002)は、小学校3年の単元「磁石」において、. 有効な指導法が示されている。文部科学省(2002)は、そ の中でも特に、小学校理科における個に応じた指導の工夫 例としてMD法そしてジグソー法を取り上げている。ジグソー 法とは、もともと、アロンソンらによって開発された方法. 児童の学びが見通しをもって自発的に展開していく導入の. 工夫を具体的に示している。また、本多(1991)は、小学 校4年の理科「水と空気の温かさとかさ」の授業において、 概念的葛藤を引き起こす事象を提示している。児童が驚き の声を挙げ、なぜなのかという疑問に基づき、見通しをもっ た追究が行われている。五十嵐(2002)の指摘する、「見通. で、アメリカにおける異人種間の障壁を取り除くことを目 的とした指導法である(アロンソン他1986、蘭1983)。 理科教育におけるジグソー法による教育効果は、西川(2000) をはじめ、筒井(1999a,b,C)、大薮(2000)、三崎(2000) らが報告している。いずれも、ジグソー法を用いることに. しをもたせることは児童のなぜだろうという科学する心を. 喚起させること」を具現化した好例である。 また、児童に見通しをもたせるために、細江(2002)は 視点を決めた観察、実験と、全体交流における事実の共有 化を因っている。田中(2002)は教材の単純化を進め活動 時間を確保した上で、児童のつぶやきから評価するよう改 善を因っている。今原(2002)はモデルを活用して学習の 見通しをもたせる工夫を施している。吉原(2002)、中田(2002) らの広島大学附属三原理科教育研究グループでは、児童の 肯定的な価値観や自信等の自己効力感を大事にしたり、他. よって、理科の授業において平常では見られない見通しを. もった学び合いが促され、学習効果が大きいことが示され ている。したがって、見通しをもった観察、実験を促すた. 者の見通しを参考にして自己の見通しを確立させたりして. めには、自己責任に基づいた情報収集、情報交換も重要な 要素の一つであると言える。 以上述べてきたように、児童に見通しをもって観察、実 験を行わせるためには、授業実践に当たって、児童の自然 認識や既有概念等の実態を踏まえた上で、授業者が事象提 示を含めた授業構成を適切に構想し、主体的な問題解決を. いる。. 促すきめ細かな指導法によって展開していくことが必要不. 第二に、授業構想に当たっては、児童の自然認識、概念 形成の実態は実に多様であり、児童の学びによる認知構造 の変容を適切に評価しなければならない(森本1993、松森. 可欠である。 では、現職の教員は授業実践に臨むに当たり、どのよう な認識をもっているのであろうか。清水(2002)は、20都 道府県の小学校教師434名にアンケート調査を実施し、新学. 1997)。. 近年の認知心理学研究の成果の一つとして、知識がその. 習指導要領「理科」実施上の現状と課題を明らかにしてい. まま伝達できるという従来の伝統的な考え方から、子ども あるとする考え方に変わってきたことを、多くの研究者が 報告している(オズボーン他1988、Shown g才αJ.1993、堀. る。それによると、教師が指導上困難を感じている原因は、 授業についての知識不足と教材等の準備の不足になる。中 でも子どもの実態把握の不足が最も多いと報告されている。 さらに、子どもの実態把握の不足により指導が困難である. 1994、中山1996、遠西1998)。その意味では、観察をはじめ. とする原因を次の8つに分けている。. を学習以前から独自の自然認識をもった能動的な学習者で. とする理科の授業では、学習前の児童の考えを把握してお. ・子どもの見方・考え方の把握不足. く教師側の手続きや、学習前に児童自身が自らの考えを振. ・子どもの知的技能の把握不足. り返っておく手続き(メタ認知)がことさら重要なポイン. ・子どもの操作技能の把握不足. トとなる(松森2002)。観察を行うよう40名の児童に一斉に 指示した場合でも、西川(1999)が報告しているように、. ・子どもの生活体験の把握不足. 児童一人一人によって実際に見ているところが異なる状況. ・既習事項の定着への把握不足. が授業において生じる。また、Hanson(1986)、松森他(1994). ・子どもの理解の仕方の把握不足. が報告しているように、観察者自身は、観察の理論負荷性. ・教師の指示を子どもがどう理解するかの把握不足. ・生活の中で獲得している日常的な知識の把握不足. その他の原因については、教材内容についての知識不足、 観察・実験の技能の不足、指導力の不足、準備(予備実験 や予備調査)の不足、と続いている。. (the theoryLdependence of observation)に基づき、自ら. の既有知識を重視しながら観察が行われるのである。した がって、科学的概念の理解に重要な影響を及ぼすと考えら れる理解や思考の状況依存性をふまえて、見通しをもった 観察、実験を促す授業の内容を構成し、指導方法を考えた り、素材を教材化したりする必要がある(佐伯1985、Light. 新潟県内の現状としては、新潟県魚沼・小千谷地域理科 センター(2002)がまとめた小学校教員の実態アンケート 結果がある。平成14年12月から平成15年1月に新潟県魚沼・. 小千谷地域管内の校長、教頭を除く全小学校の教員496名か ら取ったアンケートである。いずれも複数の選択肢があり、 そこから複数回答する形式である。それによると、「あなた. g才αJ.1992、堀1994、三田2002)。. 蟹江(2002)は、小学校3年の理科「こん虫を育てよう」 「明かりをつけてしらべよう」の単元において、児童のも つ見通しをいかに読み取って評価し、それを授業に生かし. は、理科学習について、どのような点に留意して取り組ん. て教育実践を行う具体例を示している。. でいますか」という問いに対して、. 第三に指導法の改善である。これについては、数多くの. 「子どもの疑問や問題意識を重視している」(76%). −38−.

(4) 小学校における理科授業の現状と課題. 「子どもの感動や喜びを重視している」(61%). 合いの場が、その中心となる。そこでは、授業者の授業に. 「子どもの問題解決過程を重視している」(60%). 対する願いや学習集団のとらえを基に、授業中に見られた 児童の発言、つぶやき、しぐさはもちろんのこと、授業者 自身のモニタリングも含めて情報を交換する中で、授業の 質的な改善の視点を明らかにするものである。 そこで、計画訪問あるいは要請訪問を行う際には、いず. 「器械・器具の扱いを重視し、危険防止に留意している」 (53%). となっている。 一方、「理科を指導するとき、不安に思う点は何ですか」. れの場合も、1ケ月前までに教育計画、学校要覧、年間指. という問いに対しては、. 「野外観察する場所が分からない」(30%). 導計画、総合的な学習の時間の基本方針等を当該事務所宛 に送付願う。その後、当日要項並びに指導案を訪問日の1 週間前までに送付願うb 起案された指導案を通して、地域. 「飼育・栽培のやり方が分からない」(27%). あるいは学校の基本方針並びに授業者の授業への基本方針. 「実験・観察時の事故が怖い」(20%). をはじめとして、指導計画、指導法、教材・教具、評価の. 「教材研究する時間がなく、予備実験が十分にできない」 (70%). 1. 姿勢、安全面への配慮について事前に把握することができ、 それに対して適切に支援することが可能となるからである。 そして、当日の研究授業では、児童の学びの変容を中心に 参観しながら、授業者の授業技術を始め、児童の評価の在 り方、自然認識や概念形成への関わり方、コミュニケーショ ン等についてアドバイスする。さらに、授業終了後の協議 会においては、短時間で作成願う授業記録や授業分析結果 に加えて、視点を明確にした授業者のモニタリングを踏ま えながら、授業構成の在り方、単元における位置付けや前 後の流れ、児童の変容や概念形成等について情報交換する のである。それら一連の支援を通して、理科の授業の質的 な改善の視点を探っていき、当該校の不安を少しでも取り 除いて自信を持ってもらい、教員全体の理科授業の実践力 の向上を図るのである。. という回答が得られている。 小学校の教員が理科の授業を担当する際の現状が浮き彫 りになっている。授業構成に際しては、児童の認識や概念 形成を重視し、安全への配慮を施しているが、授業に臨む に当たって児童の実態把握の不足、観察、実験等の授業へ の十分な準備が確保されていないのが実情である。理科を 専門とする教員ばかりではないこと、新採用教員ばかりで はないことを差し引いたとしても、児童の見通しをもった 主体的な問題解決を促す観察、実験を指導する立場にある 授業者としては、いささかJL、許ない状況である。. 幸い筆者は、平成14年度に新潟県教育委員会下越教育事 務所指導主事として、新潟県下越地域の公立小学校2校を 実際に計画訪問し、現職の小学校教員が行う理科の研究授 業を参観し、その研究授業について情報交換する機会を得 た。そこで、理科の授業を分析し、公立小学校の理科の授 業の現状と課題について明らかにし、授業改善の方策を検. 2.2 学校訪問の具体的形態 計画訪問当日は1日の日程で行われることが多い。特に、 新潟県の場合、新学習指導要領に明記された総合的な学習 の時間の完全実施に伴い、実効ある総合的な学習の時間を 実現し、新潟県の未来を担う児童生徒の生きる力を育成す るために、2年間の「やる気!元気!総合的学習支援事業」 が立ち上がり、人的・物的支援体制の整備に対する経費の 2分の1の補助を行うこととなった。それにより、県内す べての学校を年度内に訪問し、授業改善をはじめとして、. 討することを目的とする。. 2 学校訪問に見る現状と課題 2.1 学校訪問における授業の質的改善への支援 新潟県内3地域にある各教育事務所が行う学校訪問事業. は、県教育委員会としてあらかじめ年次計画に盛り込みな がら、計画的に推し進めるものである。当該年度内に行わ れる学校訪問は、計画訪問と呼ばれるものと要請訪問と呼 ばれるものに大別できる。前者は、前述したとおり、県教. 現場の教員の教育活動を多方面に渡って支援することから、 教科の授業と総合的な学習の時間の授業を1日の日程の中. 育委員会が指定した学校を年次計画に基づきながら計画的. 等に応じて、地域側あるいは学校側から要請された内容に 応じて、各事務所学校指導課の教科、領域等担当の指導主. で、それぞれ指導することとなったために、平成14年度は 午前からの訪問日程が組まれた。 訪問において指導主事が参観する授業は、一般参観授業、 研究参観授業、共同参観授業に分かれる。 一般参観授業とは、1単位時間の中において、訪問した. 事が、当該地域ないしは当該校を訪問して行うものである。. 当該校のすべての学級を訪れ、担当の授業者の授業を参観. いずれも、訪問では、授業実践を中心とした諸教育活動や. する訪問形態を取る。研究参観授業は、校長、教頭、研究. 地域内・校内研修等にかかわる支援を行うものである。 中田(2002)は、学校訪問における授業実践に対する支 援の意義を、次のように指摘している。授業後に授業者個. 主任、理科部教員、学年部教員その他関係の教職員のみが 参観する。特定の教職員のみが参観する参観形態を取る。 その際には、授業記録(発間、板書、児童とのミュニケー. 人や授業者を含めた学年・教科、学校単位で行われる話し. ション等、授業の流れにしたがって記録される)、抽出児童. に管内の学校に対して行う訪問である。後者は、管内の地 域内あるいは各学校内における教育実践研究及び職員研修. −39−.

(5) 三 崎. 隆. の学習履歴を、担当する当該教員が分担して記録し、午後. 任をはじめ、数多くの教職員から授業を参観される上に、. の協議会に提出する。共同参観授業は、教職員全員が参観. 自ら構想した授業構成についてどのような点から改善の指. する参観形態を取る。授業記録、抽出児童の学習履歴につ. 摘を受けるか分からないのであるから、できれば授業者に. いては、研究参観授業と同様に担当となった教職員が分担. 選定されたくないという意思が働いていると考えられる。. して記録し、午後の協議会に提出する。研究参観授業並び. 不登校児童、LD児、ADHD児への対応等の諸諸の学校. に共同参観授業は、必要に応じて、VTR、ATRによる. 事情を勘案したとしても、研究授業の実施は、教育公務員. 記録もなされる。. 特例法第19条第1項の条文を挙げるまでもなく、自らの理. 原則として、訪問日程は次のとおりとなる。. 科の授業実践力の向上に向けて、またとない良い自己研磨. 1限 学校運営、学校評価等についての説明を校長から. の機会と場であり、授業実践を通して貴重な客観的意見や. 受ける。. 考えを参考にして研修することができることを考えると、. 2限 教育実践研究の概要並びに推進状況についての説. ぜひ積極的に授業公開に臨む意欲と態度が必要である。. 明を当該校の研究主任から受ける。. また、通常、学校が教育事務所の計画訪問あるいは要請. 3限 一般参観授業(全学級). 訪問を受けることになった場合、プロジェクト。チームを. 4限 研究参観授業(本稿では、理科を公開する1学級). 編成し、個人で起案した授業構想及び指導案を、当該のプ. 5限 共同参観授業(総合的な学習の時間を公開する1. ロジェクト・チームで数回検討を加える。その上で、事前. 学級あるいは1学年). に当日授業をする学級において他の単元の指導案にて授業. 放課後 研究協議会. を実際に行って、プロジェクト。チームで参観して検討す. 5限が終了すると、全児童を放課させ、協議会には当該. るか、プロジェクト・チームの他のメンバーが、当日公開. 校の教職員全員が出席する。研究協議会では、一堂に会し. 学級以外の学級で同じ展開の指導案で授業を行って検討を. て、意見交換を行う形態を取る場合もあるし、幾つかのワー. 加える。そして、訪問当日に、当日指導案として、事前に. キング・グループを形成し、それぞれのグループの中でテー. 送付していた指導案をよりよく改善した指導案を準備する. マを絞って意見交換する場合もある。いずれの形態を取る. のである。. かは、当該校の教育実践研究あるいは校内研修の推進の視. したがって、学校訪問における授業公開は、指導案を作. 点によって異なる。. 成した教員の個人的な授業構想の責任追及の場ではなく、. なお、1週間前までに当日日程とともに送付される指導. あくまでも、公開された授業を一つの材料にして、教員全. 案のうち、一般参観授業の指導案は、当日の1単位時間の. 体の資質向上に向けた質的な授業改善の視点を探るもので. 授業の構想と展開の理解できる程度の略案となるが、研究. ある。それだけに、今後、学校体制で研修組織並びに研修. 参観授業及び共同参観授業の指導案は、授業者の授業に関. 体制を再検討し、授業実践を核にした研修をより一層推進. するすべての要素が網羅された指導案を添付する。. できる研修推進システムの構築が必要と考えられる。. 続いて、計画訪問した2校の理科の授業についての具体 2.3 理科の授業の現状と課題. 的事例を述べる。授業の分析に当たっては、小倉他(2002) の理科授業評価の観点を参考とした。. 2.3.1 授業者選定の現状 2.3.2 A小学校の理科の授業事例. 計画訪問した両校とも、最終的に決定はしたが、理科の 研究参観授業の授業者を選定するに当たって苦労している. (1)単元名 水溶液の性質(6年). 実態があった。計画訪問であるから、日程調整を前年度か. (2)指導案に見る授業構想. ら計画的に進めており、年度当初から実施することが決定. 事前に送付された指導案は、文部科学省(2002,124−131). していたにもかかわらず、A校教頭への聞き取り調査によ. が発展的な学習や補充的な学習の展開例の一つとして示し. れば、授業者の決定は、要項並びに指導案送付の直前であっ. た単元「水溶液の性質」の授業構想並びに指導案と酷似し. たとのことである。誰も引き受け手がおらず、最終的に特. ていた。したがって、指導案は割愛する。. 定の教諭に依頼し、承諾を得たという授業者選定の経過で. 以下、幾つかの視点から述べる。. ○学習課題の明確化. あった。理科という教科が、意欲的に授業を公開しようと する教科の一つではないことを示唆している。. 次レベルの学習課題は明確になってはいるが、第3次か. 前述した清水(2002)、新潟県魚沼・小千谷地域理科セン. ら第4次に展開する際に、不明瞭になってしまっている。. ター(2002)の調査結果で明らかになったように、全教科、. 授業者がどのような意図で学習を進めようとしているのか. 領域を担当する小学校現場の教員の抱く、準備不足からく. 読みとることができない。本時の学習課題は指導案に明示. る理科の授業への不安が大きいことも、その要因の一つと. されてはいるが、その学習課題が授業を一貫して児童の意. 考えられる。また、教育事務所の指導主事の計画訪問とな. 識の中にはぐくまれているとは言えない授業構想になって. れば、指導主事はもちろん、当該校の校長、教頭、研究主. しまっている。. −40−.

(6) 小学校における理科授業の現状と課題. がなく、活動を構想する見通しのある追究が読み取れない。. 1単位時間で指導できる内容量を超えている。したがって、 生徒の学習時間を保証する視点からは再考が必要である。. ○内容取扱いの工夫. (3)研究授業に見る授業実践. 1単位時間の中で指導すべき内容としては量的に多い。 指導案に示された内容を指導する場合には、通常、1.5. ○学習課題の明確化. 児童が課題に対して自らの予想や仮説を立てる場面設定. 本時の学習課題は示されたが、授業の文脈がリトマス紙 の習得に焦点付けられていったため、学習過程において学 習課題が不明瞭化してしまっていった。児童が常に自らの 1単位時間の課題としてモニタリングしながら、メタ認知 できるような授業の文脈にできるよう、改善を図る必要が. 単位時間から2単位時間は必要なほどの学習内容が盛り込. まれており、内容取扱い上、工夫が施されているとは言い 難い。 ○学習方法の提示. 観察、実験の方法を含めて1単位時間の中での学習方法 は最低限示されているにとどまっている。. ある。 ○内容取扱の工夫及び学習方法の提示. 初めて使用するリトマス紙の活用の習得を図る内容の取. ○事象提示の工夫. り扱いであり、そのための観察、実験の方法の指示が出さ れていた。リトマス紙の使い方の習待がねらいとなってし まっていた。したがって、授業を通して、リトマス紙の操 作確認のための観察、実験になってしまっている。子ども がリトマス紙の有効性を手段として、自然事象への疑問の 解決に向け、自ら予想、仮説を立てて観察、実験を構想し て行い、主体的に探究していく学習者主体の文脈にできる よう授業改善を図る必要がある。. 児童に見通しをもたせて観察、実験を促すような工夫は 認められない。事象提示に対する児童の予想や仮説、疑問 が欠落している。児童が観察、実験を構想する場面もなく、 得られた結果を考察し、提示された事象をメタ認知する場 面設定もない。したがって、指導案を見た限りでは、児童 が主体的な問題解決の活動を展開していくだろうという期. 待はもてない。自然の事象の中から、児童の興味・関心を 喚起するものを選定し、授業導入にて提示する等の工夫が 求められる。. ○事象提示の工夫. 児童一人一人が見通しをもって水溶液の仲間分けを行い、. ○効果的な授業形態. ペアでの観察、実験が意図されているが、そのペアがど. 課題解決に向けて多面的に探究活動を行っていくことがで. きる展開となる事象提示ではなかった。授業終了後に、あ る児童に聞き取り調査を実施したところ、本時で学習でき たことは「リトマス紙の使い方です」という回答であった。. のような児童の自然認識の実態や概念形成の実態を踏まえ. て、あるいはそれまでの児童のどのような学習履歴を踏ま えて意図されたものか、指導案上、読み取ることはできな い。また、本時の授業のポイントとなる場面がない。. また、事象提示に対する児童の予想、仮説を立てさせるこ ともなく、疑問をもたせる場面も存在しない文脈であった。 児童が全く見通しをもっていない展開と言わざるを得ない。 理科の授業では、「事象提示→事象に関して児童の抱いた 疑問に基づく予想、仮説→仮説検証の観察、実験→結果処 理→モニタリング、考察→提示された事象についてのメタ 認知」と一連の追究過程となる文脈でなければならない。 それだ酬こ、事象提示は指導過程の文脈の中でも格別重要 なのである。それは、考察後に、授業冒頭に提示された事 象ヘフィードバックして、自分で得た結果をモニタリング. ○効果的な教材・教具・メディア. 身の回りにある果物を取り上げて、観察、実験を行うよ う構想されており、授業の文脈の中で日常生活と関連づけ て取り扱うことによって科学的な見方・考え方を育成しよ. うとする授業者の配慮はうかがえる。 ○生徒の学習状況把握. 文部科学省(2002,124−131)の示した子どもの姿と同じ 記載になっており、自校の児童の自然認識の実態並びに概 念形成の履歴をどのようにどの程度どうやって把握してい. るのか、指導案上、読み取ることはできない。また、文部 科学省の示したものに準拠した指導案であるので、単元の 評価規準は示されているが、本時の評価規準は示されてい. ない。本時の授業の文脈においてどのような視点から児童 の実態を把握し、履歴を残すのかが欠落している。 ○思考を促すための支援及び生徒の創意や主体性の支援. 授業者が、観察、実験方法を示し、実験を行わせ、事前 に授業者が用意した水溶液を仲間分けさせる授業が構想さ. れており、児童の思考を促し、創意工夫して観察、実験を 考え、主体的に問題解決に当たるための支援体制は認めら れない。 ○生徒の学習時間の保証. 内容取り扱いの工夫の項でも述べたとおり、内容的には. ー41−. して考察し、それらと提示された事象とを比較検討し、自 らモニタリングしてメタ認知することによって、知識・理 解がより一層深まり定着したり、新たな疑問を抱き、自然 事象への興味・関心がより一層高まったりするからである。 自然を探究するおもしろさ、楽しさ、感動、そして醍醐味 を感得させる良さがここにある。児童を理科好きにするた めに学校教育、特に理科の授業が担うことのできる大きな 要素の一つである。また、児童が理科授業で示す関心・態 度は、彼ら自身の学びの文脈において、内面にある知識体 系、既有概念、価値観あるいは葛藤が直接反映したもので ある(森本1993,133)だ桝こ、それらへの直接的に働きか ける事象提示およびモニタリングが欠落しては、児童自身 の概念転換は望めない。.

(7) 三 崎. 隆. ところが、本時はもちろん、B小学校の実践をはじめ、 数多くの授業を参観したが、事象提示がその場限りになっ てしまっている授業しか参観できず、一連の文脈の中に明 た。事象提示がただ本時の観察、実験の例示にしか過ぎな かったり、児童の興味・関心を喚起させるだけだったりす るだけの授業が多い。児童を驚かせるだけの手品に終始し. の文脈での概念構成の様相をとらえる必要がある。加えて、 学習履歴が残されていないため、形成的評価が十分なされ ない危険性が危倶される。 また、本時の評価規準が示されていないため、本時の授 業者のアドバイスがその場に限られ、計画性が不十分であ る。加えて、児童一人一人の学習履歴をとっている形跡は ないため、継続的に形成的評価を行うことは困難である。. ているだけでしかない授業も存在する。そのような授業で. ○思考を促すための支援及び生徒の創意や主体性の支援. 確に位置付けられた事象提示がなされている授業はなかっ. 見る事象提示は、主体的な探究を促す授業の文脈と関連な. 授業のキーワ岬ドが「リトマス紙」になってしまってい. く実施されている場合が多い。. て、児童の意識の中では、基礎操作の習得がねらいになっ ていた。したがって、児童は授業者の出す指示や投げかけ をノートに記載することで思考が満たされ、自らの思いや. 事象提示は、児童への自然事象への疑問を抱かせ、児童 が自ら予想、仮説を立てて行った観察、実験によって得た 結果から考察した後、提示された事象に児童自らフィード. 実験で、提示した事象とは別の観察、実験を行い、まとめ はまとめで提示した事象や児童にさせた観察、実験と別に 一般化したまとめが行われている授業であり、それぞれに. 願いに基づいた疑問等を解決しようとして観察、実験した り考察したりする教育活動は認められなかった。授業者は リトマス紙の使用法と具体的事例について指示を出し、児 童にそれを確認させる観察、実験の授業の流れに終始して いた。児童が自らの課題を解決すべく、主体的に思考をめ ぐらす場面は存在せず、観察、実験の必然性が理解されな いまま進んでいる。児童には、なぜリトマス紙を使用する. 全く関連が図られていない授業の文脈となってしまってい. のか、その理由は理解できていない。. る。観察、実験及びまとめが、提示した事象と全く関連な く、相互に関連性が図られることのない文脈として実施さ れているのが実情である。昨今話題になっている理科離れ. ○生徒の学習時間の保証. 前述のとおり、予定した指導案上の指導内容は78%し か指導できずに、1単位時間が終了した。児童の中には、. の遠因の一つも、小学校におけるこのような授業展開に起. 授業の最後に授業者が出した指示をノートに書き留めきれ. 因していると考えられる。. ないものも存在し、後片づけは1単位時間終了後となって しまった。予定した授業内容で指導できなかった内容につ. バックしてメタ認知できる文脈の中に位置付けられてこそ、. 意義あるのである。参観できた授業は、本時に限らず、い. ずれの授業も、事象提示は事象提示、観察、実験は観察、. ○効果的な授業形態. 教科書通りに丁寧に指導しているが、児童の実態に応じ. いては次回の授業での指導が施されることになる。. た指導法の工夫や教材開発の工夫が認められない授業であっ. ○生徒との信頼関係構築及び学級作り. たため、効果的とは言えない。児童に教科書を見せ、指示. 自らの学級ではなかったにもかかわらず、児童とのコミュ. を出し、教科書に記載されている観察、実験を行わせ、教. ニケーションが図られていた。日頃の授業の中や全教育活. 科書に記載されている結果を確認させる授業の文脈でしか. 動を通じて信頼関係の構築に配慮しているものと考えられ. なく、児童の見通しをもった観察、実験はもちろん、科学 的な見方・考え方、問題解決の能力、自然を愛する心情の 育成は意図されていない。授業の見せ場がなく、単調な授 業となってしまっている。今後、授業改善に向け、目の前. る。. ○理科学習のための環境整備. 理科室の環境は整えられていた。授業者の理科室経営も 計画的になされており、児童が興味・関心を喚起し、疑問. の児童の自然認識の実態や概念形成の実態を児童の学習履. を抱いて学ぼうとする意欲・態度を育成しようとする学習. 歴から十分に把握した上で、効果的な指導法に改善してい. 環境が整っていた。. く必要がある。. (4)協議会における質的な授業改善への視点. ○効果的な教材・教具・メディア. 本時での一人一人の児童への計画的な支援は不十分である。. 本単元は、文部科学省(2002)が示した事例を取り入れ た授業であったが、その自校化が不十分であった。そのた め、本暗が教師主導で観察、実験させ、結果を出して確認 するだけの授業に陥っていた。 個に応じる指導の理念を共通理解し、自校の児童の自然 を愛する心情、問題解決の能力、知識・理解の実態につい て、自然事象への関心・意欲・態度、科学的な思考、観察、 実験の技能・表現、自然事象についての知識・理解の4つ の観点から、きめ細かく把握することが授業改善の第一歩. 授業者は既成の科学概念についての解説、伝達者ではなく、. である。. 効果的と判断できるメディアは認められなかった。有効 なメディア活用が望まれる。 ○生徒の学習状況把握. 授業の中で、観察、実験机の問を適切に回りながら、授 業における児童の学習状況を把握し、適切にアドバイスを 与えていた。ただ、指導案構想段階で、児童の自然認識や 概念形成の実態及び変容を適切に把握していないために、. その上で、それらの実態を生かした理科年間指導計画並. 児童の概念構成の支援者である(森本1993,99)から、児童. −42−.

(8) 小学校における理科授業の現状と課題. びに単元指導計画に作り直し、児童の疑問を大切にした仮 説設定の場面と観察、実験の活動構想を練り上げる場面、. たりする事象提示を工夫し、そこから生起する児童の疑問 を大切にして、疑問を解決するための予想、仮説を立案す る時間及び見通しをもって観察、実験を構想する時間をしっ かり計画しなければならない。したがって、身近な河川に おいて児童に発見させたい事象をダイナミックに提示し、. 並びに提示された事象にフィードバックしてメタ認知する. 場面を必ず盛り込む必要がある。 また、その中には目標に準拠した評価も含め、本稿で示 した授業改善の視点を盛り込むことが大切と考える。また、 一人一人が見通しをもって観察、実験を行って結果を出し、. その中から児童が抱いた疑問を解決するために必要なモデ ル実験を児童自らが見通しの中で構想する単元構成の文脈. 2.3.3 B小学校の理科の授業事例. になるよう授業を構想する段階で改善を図る必要がある。 指導案上、児童が観察、実験を構想する場面もなく、得ら れた結果を考察し、提示された事象をメタ認知する場面設 定もない文脈である。. (1)単元名 流れる水のはたらき(5年). ○効果的な授業形態. (2)指導案に見る授業構想. 観察カードを基にした話し合いが企画されてはいるが、 どのような児童の実態に基づくものか不明瞭であり、効果. 考察しながら科学的に探究する学習者主体の文脈にできる. よう指導法を改善していくことが望まれる。. 図1は、事前に送付された指導案の一部である。その特 徴を、幾つかの視点から述べる。. 的な授業形態を意図しているか否かは不明である。本時の. ○学習課題の明確化. 授業のポイントとなる場面がどこか読み取れない。. 単元のねらいに沿った学習課題が、次のレベルで児童に. ○効果的な教材・教具・メディア. 提示されている。本時においても解決すべき課題が明示さ. 写真資料を活用している。. れている。児童にとっては一連の活動の中で、授業の目標 が理解されやすい単元並びに授業構成に仕上がっている。 しかし、児童が課題に対して立てたであろう自らの予想 や仮説を本時でどのように生かすのかが不鮮明であり、活 動を構想する見通しのある追究が読み取れない。. ○生徒の学習状況把握 本単元に至るまでの児童の学習の文脈での実態は記載さ れているが、本単元の学習内容に関する児童一人一人の自. 然認識や概念形成の実態は欠落している。授業構想は児童 の自然認識、概念形成の実態を踏まえた上できめ細やかに なされるものであり、学習履歴の蓄積により児童の変容に 対応して随時構想を変えていく必要がある。その意味でも、 適切に把握することが必要不可欠である。. ○内容取扱の工夫. 対象となる河川を学校の身近なところから選定し、児童 の興味・関心を高める工夫が施されている。また、科学的 な見方・考え方を育成するために、ダイナミックに自然事 象を扱おうとする意図があり、学級全員で観察に出かける 計画が組まれている。. 単元の評価規準は明示されているが、本時の評価規準が. 示されておらず、本時の展開の中に記載されているだけで あいまいである。指導案の「本時のねらい」の次に項を起. ただ、本時においては、1単位時間の中で指導すべき内. こし、明示すべきである。加えて、本時の展開中に記載さ. 容としては、量的に多い。指導案に示された内容を指導す る場合には、通常、2単位時間は必要なほどの学習内容が 盛り込まれており、内容取扱い上、工夫が施されていると. れた評価規準が単元の評価規準のどれに整合しているのか. は言い難い。. の評価方法並びにそのデータ蓄積方法も不明であり、指導. ○学習方法の提示. 案中に明記されなければならない。. が不明である。整合性を明記すべきである。また、示され た評価規準をどのような方法で具体的に評価するのか、そ. 児童の関心・意欲を喚起できるよう工夫しながら、提示 するよう構想されている。しかし、児童の疑問から予想し、 仮説を立て、見通しをもって観察、実験の方法等を構想す る場、振り返りの場が見当たらない。. 指導案中の本時の展開に記載されている「児童の見方や 考え方」は授業者の期待する児童の姿であり予想される児. 童の反応でしかない。本時までの間に児童がどのような見 方、考え方を取ってきたのか、その学習履歴並びにそれに. ○事象提示の工夫. 基づいた本時の児童の見方や考え方を掘り下げて明記する. 指導案上からは、明確な事象提示の工夫点は読み取るこ とは困難であるが、地学事象の内容を取り扱う単元であり、. 必要がある。その意味では、指導案の改善が必要であろう。 ○思考を促すための支援. 野外観察を導入している点を考えると、工夫された事象提 示をしない限り、形式的な学習に終わってしまうことは十 分予想できる。指導案から事象提示を工夫した具体的なポ イントを読み取ることができるように記載するよう、指導 案を改善する必要がある。事象提示に対する児童の疑問や 仮説も読み取れない。. 河川がどのように変化したときに地形の変化が引き起こ. されるのか、水量、流れの速さ、地形等に注目させて考え させる場を設けている。 また、河川の水の流れと人工の流れを作って実験した結 果とを結び付けて思考する学習の場を設けている。そのた めに、土と砂でグランドの端に作った山の上から水を流す. モデル実験を構想している。. 児童の興味・関心を喚起したり概念的葛藤を呼び起こし. −43−.

(9) 三 崎. 隆. ○生徒の創意や主体性の支援. 法がなぜ必要であってなぜそれを採用しなければならない. 少人数(19名)での指導であるにもかかわらず、指導案. のかという児童の学習の文脈での意識の中における必然性. ようには読み取ることができない。本時の展開の中に、一 人【一人の自然認識の実態を踏まえて、どのような指導を具. が欠落してしまっている。それは、事象提示によって生じ る児童の疑問に基づいた仮説を児童がもっておらず、その ために、どのような学習方法を採用すればよいのかについ. 体的に行っていく必要があるのか明記することが重要であ. ての自らの意思が存在しない学習の文脈となってしまって. る。形式的な指導案から実用的な指導案への質的に改善を 図る必要がある。. いるからである。児童自らが学習方法を選択、決定できる 授業の文脈構成に改善していく必要がある。. ○生徒の学習時間の保証. ○事象提示の工夫. 単元全体としては、生徒が主体的に課題解決を図ろうと するだけの時間的なゆとりをあまり感じない。地学事象を 扱う場合、観察地点と観察地点を複数関連付けながら空間 概念の育成を図る点で、もう少しゆとりをもたせて指導計 画を立案することが必要である。 本時については、内容取り扱いの工夫の項でも述べたと おり、内容的には1単位時間で指導できる内容量を超えて いる。したがって、生徒の学習時間を保証する視点からは. 観察のポイントとなる河川の上流、中流、下流の3地点 の川の流れや地形の様子を写した写真と、実際に現地から 事前に採集してきておいた岩石を提示していた。 しかし、事象提示に対する児童の疑問を大切にして、予. 上からは一人一人の実態を生かした指導が構想されている. 想や仮説を立てさせたと判断できる学習履歴が残っておら. ず、見通しのある活動構想が構築されていない授業展開の 文脈になってしまっていた。それが、児童の思考の中で、 モデル実験と野外観察とを遊離させている大きな要因であ. 再考が必要である。. ると考えられる。 単元の構想の中には、授業者の意図する諸活動は整然と 組み立てられており、児童は授業者の意図する学習過程の 文脈に沿って学びが進んでいた。しかし、それはあくまで. (3)研究授業に見る授業実践 ○学習課題の明確化. 本時の課題が示されており、授業において児童に聞き取 り調査を行ったところ、すべての児童が本時で学習する課. も授業者の意図する授業の文脈が展開しているだけであっ. 題を把握できていた。ただ、児童のノートや学習プリント には、自ら予想や仮説を立てて活動の構想を考えた学習履 歴が存在せず、協議会暗も示されなかった。児童が予想や 仮説を立てたり観察、実験の構想を練る場や段階を設定す る授業の文脈になっていないことから、授業者が示す学習 課題は理解するが、その場限りのものでしかなく、一連の 文脈の中で連続的に意識されないと考えられる。このこと は、観察、実験の必然性を感じない児童を多くすることに もつながると考えられる。. て、児童自身が自らの疑問からもち得た課題を解決するた めに見通しをもって主体的に探究活動を進めている姿は見. られなかった。A校のところでも述べたように、事象提示 がその場限りになってしまっており、単元を通して児童が 常にフィードバックしてメタ認知できるような授業の文脈. 構成がなされていなかった。. 授業実践に当たっては、児童のもつ疑問、予想、仮説、 構想を大切にし、児童が学んでいく過程でそれらが課題解. 決に向けてスパイラルに機能するよう心がけ、児童自身が. ○内容取扱の工夫. 提示された事象にフィードバックしてメタ認知できるよう. 1単位時間の授業の文脈の中に、河川での野外観察の結. な文脈を工夫する授業へと改善が必要である。 ○効果的な授業形態. 果のまとめと立体地図作製の内容が盛り込まれていたため. に、予定の指導内容が1単位時間で終了しなかった。適切. グランドの端に小高い山を作ってモデル実験を行った際. な時間酉己分をしなければならない。. に、ある女子児童が「水の流れが速くなると、曲がるとこ. ○学習方法の提示. ろの外側がたくさん削られるだろう」という自分の予想に. 野外での観察結果をモニタリング用として提示し、児童 のメタ認知を促し、モデル実験での結果と関連付けて思考 するよう示していた。本時だけではなく、学習を終えてい る内容をモニタリングして関連付けながら思考できるよう、 児童に促す努力がなされており、児童は学習プリントに自 らの観察の視点から発見した事実を記載し、考察をしてい た。その意味では、単元の一連の学習の文脈の中で、探究. 基づいて、流れる速さをいろいろ変えながら検証実験に取 り組んだ。その点では、ダイナミックなモデル実験が教育 効果を生んだと言える。ただ、前述のとおり、このモデル 実験がなぜ位置付いているのかという必然性を児童が持ち. 得ていないために、モデル実験と他の観察、実験等の教育 活動が関連付かないのである。この女子児童の予想も当該 の1単位時間のものにしかなっていない。単元全体の構想 の中で児童が自らの仮説、構想に基づいて追究していく授 業展開となるよう改善が必要である。加えて、本陣の授業 ではポイントとなる場面がなく、単調な授業の文脈に終わっ. の方法が示されていたと判断できる。. ただ、それら一連の指導が授業者の意図する文脈の下で 行われており、児童の主体性をあまり感じることができな い文脈であった。つまり、教師主導で児童を促していた授 業の文脈構成であった。そこには、授業者から示された方. てしまっていた。 ○効果的な教材・教具・メディア. ー44….

(10) 小学校における理科授業の現状と課題. 当日の授業で活用され、児童のモニタリングに有効に機能. 児童に助けられて、表面上は主体的な活動が展開している ように見えるが、本質的に問われた場合に、児童は現在取. していた。. り組んでいる活動が単元全体の中でどのような位置付研こ. ○生徒の学習状況把握. なっていて、なぜその活動を行っているのか、これからど. デジタル・スチール・カメラで撮影された現地の写真が. のような観察、実験を補充しなければならないのか、見通 しをもった構想が欠落している実態である。1単位時間の. 本時では、モデル実験の結果と野外観察での結果を関連 付けて考察する授業であるだけに、本時の授業を行うに当 たって重要な点は、モデル実験と野外観察において一人一. 中で部分的に主体的な追究を行っているように見えたとし. 人の児童がどのような学習履歴を持ち待たのかを十分把握. ても、それはあくまでも授業者の意図の下で展開している だけで児童自身の問いから発せられているものではない。 児童が自らもち得た課題の解決に向けて企画し、計画的に 観察、実験を行うなど、主体的に探究していく姿が表出す. しておくことである。それが不十分であると、本陣の展開 は成り立たない。ところが、両者を関連付けて考察できて いた児童はわずか1名に過ぎなかったことから、授業者は この点を十分把握しておらず、一人一人の児童の実態に対. るような学習者主体の文脈の授業実践に高めていかなけれ. 応した授業展開にすることができなかったと言える。少人. ばならない。. 数であるだけに、一人一人の観察結果を事前に把握して、. ○生徒の学習時間の保証. 個別の児童への適切な指導を施す文脈にできたものと考え. のような方法でどれだけ評価するのかが不明である。学習. 前述のとおり、予定した指導案上の指導内容は56%し か指導できずに、1単位時間が終了した。予定した授業内 容のうち、指導できなかった内容については次回の授業で の指導が施されることになる。指導内容を検討する際に、 児童の実態を十分に勘案した上で、適切な時間配分をする. プリント以外には、学習履歴が残されていない。. 必要がある。. ○思考を促すための支援. ○生徒との信頼関係構築及び学級作り. られる。学習過程の改善と合わせ、重要な点である。 本時の評価規準があいまいであったために、本時の評価 が不十分となってしまっていた。何をどのような観点でど. と野外観察を独立した別の観察、実験として認識している. 自らの学級であっただけに、児童とのコミュニケーショ ンが図られていた。日頃の授業の中や全教育活動を通じて 信頼関係の構築に配慮している様子がうかがえた。. 生徒がほとんどであった(18名/19名)。モデル実験の結果. ○理科学習のための環境整備. と野外観察のどこが1対1にコンバートされるのか、具体. る。なぜモデル実験が行われたかを理解できていないため. 理科室の環境は自然事象について学ぶ上で、よく整えら れていた。授業者の理科室経営も計画的になされており、 児童が興味・関心を喚起し、疑問を抱いて学ぼうとする意 欲・態度を育成する学習環境が整っていた。. に、その結果が野外観察のどの結果と関連付ければよいの. (4)協議会における質的な授業改善への視点. か分からない児童が多く出てくるのである。. 学校で実施したモデル実験の結果と、身近な河川の上流、 中流、下流の3地点で実際に観察した野外観察の結果とを. モデル実験結果と河川での野外観察結果とを関係付けて 思考するための支援が不十分である。児童は、モデル実験. 的にアドバイスする指導が必要である。児童にとっては、 なぜモデル実験をしたのか、その必然性が不明瞭なのであ. 河川での自然事象から抱いた疑問を解決するために、ど のようなモデル実験が必要なのか、そのためにどのように. ほとんどの児童が関係付けて理解することができなかった. すればよいのか、自分たちで十分に話し合った上で自分た. ので、モデル実験の結果が野外観察のどの結果にコンバー トされるのか、児童にとって理解が促される手法を施す必 要がある。. ちで実施するモデル実験でなければならない。ところが、 本単元では、あくまでも授業者が、児童の実態を十分把握 しないまま、単元構想の中に設定したに過ぎず、児童自ら. また、見通しをもった観察、実験を促すためには、児童 自らが河川における地形の変化に疑問を持ち、それを解明 するために仮説を立てて自らモデル実験し、その結果と考. が問題解決の必要性から行ったものでないだけに、児童の 思考活動が十分行われなかったと考えられる。児童の主体 的な探究活動は期待できない。. 察から最初に抱いた疑問をメタ認知する学習過程を構想し. ○生徒の創意や主体性の支援. 展開する学習者の文脈に改善する必要がある。そのために は、単元の指導過程並びに本時の指導過程の中に、児童が. 観察を行った意図について聞き取り調査したところ、目 的意識をもって主体的に観察していた児童はいなかった。 授業者に指示された観察に終始しており、その必然性を理. 自らの疑問に対する予想や仮説を立てて観察、実験の構想 を練る活動の場、結果と考察からフィードバックしてメタ. 解しないまま観察がなされていた。前述したとおり、本単. 認知する場を必ず設定する文脈とすることが必要不可欠で. 元を一貫して意識化されるべき児童の疑問やそれに基づく. ある。そして、活動の途中には、自らの観察、実験の結果. 予想、仮説が立てられていないために、本単元並びに本時. をモニタリングする場も必要であり、本単元は地学事象を 扱っているだけに、ビデオ・カメラや河川の岩石等の効果 的な教材・教具を常に示しながら、児童がリアルタイムで. では、生徒の創意工夫された観察、実験及びその結果、そ こから導き出されるであろう考察が欠落している。素直な. −45−.

(11) 三 崎. モニタリング可能な学習環境を整備することも求められよ. るが、同一校を継続的に計画訪問し、授業実践力のより一. う。. 層の向上を支援していく新システムの構築が必要である。 また、小学校における新採用教員は、中学校での新採用. 以上のことは、次のようにまとめられる。. れていない。今後、児童の学びに着目し、児童の多様な. 教員と異なり、採用直後から学級担任を任されることが通 常であり、多忙を極める。そのため、現場の教員の授業実 践力の向上は、中・長期的な展望の下で計画的に図られな ければならない。藤岡(2002)は、学校・支援システム構 築のための今後の課題の一つとして、教員養成と初任者研 修の連続性について触れているが、今後、教員養成系大学. 考えを生かした学習者主体の授業の文脈にできるよう改. において、将来の小学校教員を志望する学生に対しても、. 善を図る必要がある。. 実践力向上に向けたサポート体制が求められよう。初任者. ○児童が見通しをもって観察、実験を行う授業展開に至っ ていない。事象提示を工夫したり指導法を工夫したりし て授業改善を図っていく必要がある。 ○児童の自然認識や概念形成の実態及び変容が十分把握さ. ○児童が観察、実験の必然性を理解しないまま学習してい. 研修と一貫性をもった連続性の高い教員養成・支援システ. る。児童が目的意識をもって主体的に課題解決を図る活. ムの構築へとつながっていく礎として期待される。. 動を展開できるよう、事象提示を工夫して児童に予想、. さらに、本稿で述べた計画訪問だけでなく、要請訪問や. 仮説を立てさせたり観察、実験を構想させたりする等し. 各種研修会における現職の小学校教員の授業実践の現状を. て授業改善を進める必要がある。 童の実態及び変容の適切な分析を踏まえて、1単位時間. 考えると、大学の専門分野の教官からアドバイスを受ける サポート体制の必要性を感じる。そこで、今後、小学校現 場における理科の授業の質的な改善に向けて、大学・教育. における指導内容を工夫する必要がある。. 委員会・学校が連携した小学校理科授業改善支援システム. ○適切に時間酉己分された内容の取扱いができていない。児. OA校では、教師主導で、教科書に示された観察、実験を. 構築に向けた組織体制作りを推進していく必要があると考. そのまま促す授業になっており、児童の科学的な見方・. える。. 考え方を育てる工夫改善が不十分である。学校全体で研 修を推進する組織体制を構築し、実質的な授業改善を進. 謝 辞. める必要がある。. OB校では、モデル実験と野外観察とを関係付けながら、. 本教育実践をまとめるに当たり、多忙な中、快く計画訪. 科学的に調べていく過程を通して、科学的な見方。考え. 問を受け入れ、授業公開してくださった各学校の校長先生. 方を育てようと学習過程を工夫した授業が展開している. はじめ諸先生方には、多大なるご理解とご協力をいただき. が、児童の主体的な追究に至っていない。児童一人一人. ました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。. の疑問から表出する予想や仮説を基に、見通しのある追 究が展開できる学習者主体の追究の文脈にできるよう授 文 献. 業改善を図ることが必要である。. 蘭 千毒1983.児童の学業成績及び学習態度に及ぼすrigsaw 学習法の効果,教育心理学研究31,102−112. 3 終わりに. アロンソン他1986.松山安雄訳「ジグソー学級」,原書房 Hanson,N.R.1986.村上陽一郎訳「科学的発見のパター. 小学校の理科の授業の現状と課題について授業改善の視. ン」,講談社. 点から分析を加えてきたが、本稿はごく一部の小学校の教. 本多博行1991.研究授業の技術(授業技術文庫21),明治. 育実践の現状であり、これを全国のすべての小学校に直接 当てはめて考えることはできない。しかし、一般の公立小. 図書. 堀 哲夫1994.理科教育学とは何か一子どもの科学的概. 学校のおおよその傾向として、その概要をつかむことがで. 念の形成と理解研究を中心にして−,東洋館出版. きたものと考えられる。 前述した学校訪問も、事前に指導案が送付されてくるが、. 社. 細江幸次 2002.子どもが見通しをもって観察,実験に取. 直接情報交換し、質的な授業改善の視点を探ることができ るのは、当日だけでしかない。学校全体で研修体制を強化. り組む理科学習−5年「植物の発芽と成長」の単. できるよう支援を進めるとともに、事前に指導案が送付さ. 元から−,理科の教育,604,17−19. れてきた段階で、指導案を基に授業者と指導者が密接に連. 藤岡達也 2002.教育センターを中心とした科学教育を推. 携しながらよりよい授業構想を練り上げていく事前検討の. 進するための学校・教員支援システム構築につい. 機会と場が、今後より一層求められていくものと考える。. て,日本科学教育学会年会論文集26,31二卜312. また、現システムでは他の業務の円滑なる推進の関係で、. 藤田剛志 2002.動機付けと子どもの学び,理科ハンドブッ. 同一血校への計画訪問は年度内1回に限定されてしまってい. クⅠこれからの理科授業実践への提案,日本理科. 】46−.

(12) 小学校における理科授業の現状と課題. 資料. 教育学会編,42−45. 五十嵐裕和 2002.見通し(目的意識)のある観察,実験 を生み出す授業のあり方,理科の教育,604,8−11,. 西川 純1999.なぜ,理科は難しいと言われるのか?, 東洋館出版. 西川 純 2000.学び合う教室,東洋館出版. 東洋館出版社. 今原淳子 2002.モデル作りにより見通しをもつ,理科の. 小倉 康,松原静郎2002.理科授業のビデオ分析と教師教 育一理科授業ビデオを活用した授業研究と教師教. 教育,604,23−25. 角屋重樹 2002.新学習指導要領の目標と内容,柴一実編 「初等理科教育学」所収,63−77,共同出版 蟹江康弘 2002.子どもがもつ見通しを生かす理科授業−. 育一,日本科学教育学会年会論文集26,163−164 大薮二三雄 2000.協同的な学びへの3つの視点,理科の 教育,571,16−18 R.オズボーン,P.フライバーグ198乳子どもたちはいか. 3年「こん虫をそだてよう」「明かりをつけてしら. に科学理論を構成するか一理科の学習論−,森本. べよう」の単元から−,理科の教育,597,19−21,. 信也・堀哲夫訳,東洋館出版社 佐伯 膵1985.理解とは何か,東京大学出版会. 東洋館出版社. 神津広之 2002.理科授業の構造,柴一実編「初等理科教 育学」所収,77−91,共同出版. ShownM.Glynn,RussellH.Yeany,andBruCeK.Brritton. Light,P.andButterworth,G.(Eds.)1992.Contextand. 1993.理科学習の心理学一子どもの見方と考え. C(材扇′ん川.・II旬,∫ 〆ん−〝川わJg〟JJ(J〟…川・/JJg. 方をどう変容させるか−,武村垂和監訳・稲垣成. Harvester Wheatsheaf. 哲・中山迅・世波敏嗣・松原道男・吉田淳・中山. 玄三訳,東洋館出版社. 松森靖夫,西山 修1994.教員志望学生の観察能力に関 する一考察−ろうそくの炎の構造に関して−,日 本理科教育学会研究紀要,35(1),31−35 松森靖夫1997.子どもの多様な考えを活かして創る理科. 清水 誠 2002.新学習指導要領「理科」実施上の課題一 小・中学校教師が指導上困難を感じる事項の調査. から−,科学教育研究,26(2),144−152. 授業,東洋館出版社 松森靖夫 2002.子どもは自然をどう捉え,教師はそれを どう受け止めればいいのか?.変わる理科教育の 基礎と展望,52−63. 田中薫子 2002.児童が見通しをもって取り組むための支 援の工夫,理科の教育,604,20−22 遠西昭寿1998.自然認識研究の現状と課題,理科の教育, 556,4−7. 三崎 隆 2000.ジグソー法の導入によって授業が分かる. 筒井昌博1999a.ジグソー学習入門一驚異の効果を授業に. 生徒を育てる.理科の教育,576,480−483 三田孝司 2002.理科授業の実践,柴一実編「初等理科教 育学」所収,105−120,共同出版 文部省1998.小学校学習指導要領,大蔵省印刷局 文部省1999.小学校学習指導要領解説理科編,東洋館出. 入れる24例−,明治図書. 筒井昌博1999b.ジグソー学習法を取り入れた理科授業, 理科の教育,562,322−324 筒井昌博1999c.理科授業における自分を意識しながら学 ぶ生徒の育成,理科の教育,565,533−535. 脇元宏治 2002.自発的な学びへと動機付ける導入,森本. 版社. 文部科学省 2002.個に応じた指導に関する指導資料一発. 信也編著「論理を構築する子どもと理科授業一学. 展的な学習や補充的な学習の推進−(小学校理科. ぶ力と心を育てる授業の発信−」,22−31,東洋館. 編),17−24. 出版社. 森本信也1993.子どもの論理と科学の論理を結ぶ理科授. 吉原健太郎 2002.見通しを持って,自ら進める理科の学. 業の条件,東洋館出版社 中田朝夫 2002.教育委員会主催の研修会等の現状,理科 の教育,603,14−16,東洋館出版社 中田弘幸 2002.見通しを持って,自ら進める理科の学習. 習Ⅲ−①一他者とのかかわりを生かすことで自己 効力感を高める理科授業法略一第5学年理科「植. 物の発芽と成長」,日本理科教育学会第50回全国大 会要項,2A−06,190. Ⅲ−②一他者の見通しの参照から自己の見通しの 確立へ一第6学年理科「植物のはたらき」∼かれ. た植物を食べる動物,日本理科教育学会第50回全 国大会要項,2A−07,191 中山 迅1996.理科教育における認知論的研究の動向に ついての一考察,科学教育研究,19(4),202−211. 新潟県魚沼・小千谷地域理科教育センター 2002.新潟県 地区理科センターアンケート並びに教員の実態調. 査結果,平成14年度地区理科教育センター研修会. −47−.

(13) 三 崎. 隆. 5年理科学習指導案 1 単元名 流れる水のはたらき 2 ねらい. 雨水の流れや川の流れる水の様子と地面や川原・川岸の様子とを関連付けて調べ、流れる水は、流れの速さや水の量の 違いによって、地面や土地を変化させるはたらきが異なることをとらえさせる。また、流れの速さや水の量は、降水量や 降雪量などによって変化することをとらえさせる。これらの活動を通して、流れる水の働きと地面や土地の変化とを関連 付けた見方や考え方を育てるとともに、土地の変化の様子について興味。関心をもって追究する態度を育てる。 3 児童と単元. 児童はこれまで、水の働きを意識しての活動ではないが、生活科や日常経験において、土や砂で山や川を作って水を流 したり、雨上がりの地面で水路を作って浮かべたりするなど、水や土・砂で遊んだ経験をもっている。また、3年生の「ニヒ と砂」の単元では、土は小石・砂・粘土などからできていて、混じり方は場所によって違うことや、土は、場所によって 手触りや水のしみこみ方に違いがあることを学習してきている。4年生の時の総合学習では、水害を取り上げた児童は、 土石流災害についての被害状況や復旧についてまとめ、発表した。集中豪雨がもたらした災害であり、大きな被害をもた らしたことや土地の様子を大きく変えてしまったことなどを学習してきた。5年生になって、「米作りに学ぼう」の総合学 習では,「田の水はなぜしみ込みにくいのか?」を調べるために透過実験を行って土の細かさに気付いたり、代かきの際に 田の土の下にある砂や石を見たりする体験をしている。 4 単元の構成 第1次 地面を流れる水の働きを調べよう(4時間) 第2次 川の水の働きを調べよう(7時間). 第3次 川の流れと私たちのくらし(2時間) 5 単元の評価規準 〈自然事象への関心・意欲・態度〉. (彰地面を流れる水や川の流れの様子に興味・関心をもち、自ら流れる水の速さや量による違いを自然災害に目を向けなが ら調べようとする。 ②増水による土砂の流出や土地の変化などから自然の力の大きさを感じ、川や土地の様子を観察しようとする。 〈科学的な思考〉. ①流れる水と土地の変化の関係について、条件に着目して実験の計画を考えたり結果を考察したりすることができる。 ②モデル実験で見いだした決まりを実際の川に当てはめて考えることができる。 〈観察・実験の技能・表現〉. ①流れる水の早さや量の変化を調べる工夫をし、モデル実験の装置を操作し、計画的に実験をすることができる。 ②安全で計画的に野外観察を行ったり、映像資料や図書資料などを活用したりして調べ、記録することができる。 〈自然事象についての知識・理解〉. ①流れる水には、土地を削ったり、石や砂などを流したり積もらせたりする働きがあることを理解している。 ②雨の降り方によって、流れる水の速さや量が変わり、増水により土地の様子が大きく変化する場合があることを理解し ている。. 6 単元の指導と評価計画. −48−.

(14) 小学校における理科授業の現状と課題. 評価基準及び評価方法. 学 習 活 動. 次・時. 発言、記録. 腐心・意欲・態度①l. 1 流れる水にはどのような働きがあるのだろうか?. 観察記録. 観察・実験の技能・表現①l. 第 1. 次 4 水の量や速さを変えると、その働きはどのように変わるか調べてみよう. l知識・理解②l. 働察実験の技能・表現①観察記録、行動観察 5 流れる水の働きは、実際の川でも見られるだろうか、川の様子を調べてみよう 観察計画を立てる。 記録、発言. 関心・意欲・態度①l 廟察・実験の技能・表現②】. 第. 2 7 地面を流れる雨水の働きと比べながら、流れる水の働きについて調べてみよう 知識・理解①l 科学的な思考②l. 次 8. 慨心・意欲・態度①l観察記録、行動、発言. 9. 腐心・意欲・態度②l、困学的な思考②l. 10 河川の上流、中流、下流の様子と川の働きについてまとめよう(本時10/13) 慨心・意欲・態度②. 3. 頗識・理解②l、l関心・意欲・態度①l. 次. 7 本時の指導計画 (1)本時のねらい. 観察や実験を基に、川は、流れる水の働きによって川岸や川原などの周りの土地の様子を変化させることをとらえるこ とができる。 (2)本時の展開 活動への支援、評価. 学習活動と児童の見方や考え方. ・地図と写真資料を掲示し、地図と写真. 5. ◆見学、観察してきた場所を地図と写真を合わせて、どんなところだったか思い出 を一致させる。 ・観察カードを基に、話し合う。 ・流れる水の働きと川の様子を関連付け て考えているか確認する。. してみよう. 麹流れる水は土地を削ったり石や土など. を流したり、積もらせたりする働きが あることが分かる。. 15 を実際の川に当てはめて考えることが できる。. 5. ・川の上流、中流、下流では、流れる水の速さや水の量に違いがあり、川岸や川 原の様子、石や砂の大きさや形などに変化が見られる。また、川は、流れる水 の働きによって、川底や川岸、川原の様子などの土地の形を変えていく。. 国共同で作った立体地図から、川を流れ. 20. る水の働きと土地のつくりを関連付け て考えることができる。. ・等高線を重ねて作ればいいんだ!. ・立体地図だと高いところと低いところがよく分かるね。 ・山から多くの川が流れているぞ!. ・この川が山の土や石を運んで平らな土地ができたのでは? ・川は土地の形を変えたり、作ったりするんだね! 図1 B校の学習指導案(一部省略). ー49−.

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参照

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