村上華岳の作品制作と『畫論』についての一考察:―日本画と近代化と「京都画壇」の影響―
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(2) 画壇の先進性などを考察する。. や、線に対する思索の深まりについての記述がある。. 京都画壇は円山四条派の流れをくみ、西洋画の「写. 華岳は、日本画の本質ともいうべき深い精神性を持. 実」の上に成立している。特に、かつての「画塾」. つ画家である一方で、日本画の卓越した技術、素材. に対して、村上華岳も含む「学校派」の中心である. に対する鋭い認識を持っていた。華岳も述べた、日. 京都市立絵画専門学校の設立から、日本画の近代化. 本画表現の可能性」を考えるべく、日本画の成立. にも影響を与えたr京都画壇」を理解する。. から伝承、展望もあわせて考察しなければならない。. 第3章の『書論』での華岳の思考を検討する前に、. 華岳が『書論』を執筆したのは、大正8年から最. 華岳の作品や制作過程を知ることは重要であると考. 晩年の昭和14年まで、国画創作協会創立の時期か. え、「京都画壇」から誕生した村上華岳の画家として. ら花隈での隠遁生活、画壇から隔絶していく時期で. の生き方と、作品制作の変遷を認識しなければなら. ある。その中で、華岳自身が到達する芸術の本質と. ない。華岳の作品制作の基本となる姿勢は、画家と. いうべきものを、この『董論』を通しての考察で本. しての修業を行った地、京都ならびにr京都画壇」. 研究のまとめとする。. で構築されたといっても過言ではない。活躍の中心. 4 主要参考文献. となる国画創作協会の設立の経緯も考察する。. 1.. 田中日佐夫『日本画・緩乱の季節』、美術公論杜、1983。. 第3章では、華岳の芸術に対する清浄な思考のた. 2.. めに、自らも創設会員であった国画創作協会を脱退、. 3.. 画壇から隔絶し、神戸に隠棲するまでの経緯を探る。. 4.. 源豊宗『日本美術の流れ』、思索杜、1976。. 5.. 竹田道太郎『大正の日本画』、朝目新聞社、1977。. 画家の思考は、制作を通して作られるべきもので、. 河北倫明『河北倫明美術言縄、講談杜、1978。 『村上華岳展』図録、日本経済新聞社、2005。. 画家でありながらも自ら宗教者的な立場を貫く華岳. 6.. の考えていたこと、日指したものを『養論』から見. 7.. 村上華岳『妻諭』、中央公論美術出版、1977。. ていく。また、京都を離れてr隠棲」していくこと. 8.. 持田希未子『絵画の思考』、岩波書店、1992。. に繋がっていく思考の変化も見逃せない。. 9.. 加藤一雄『近代日本の絵画』、河原書店、1966。. 10.. 赤井達郎『京都の美術史』、思文閣出版、1989。. の、写生画としての日本画鉄線描の線から、隠棲し. 11.. 辻1雀雄『日本美術の歴史』、東京大学出版会、2005。. てから晩年までの柳の図や山の図のような抽象的な. 12.. 中井宗太郎『日本絵画論』、文彩堂、1976。. 線まで、多種多様な線を用いたそのためr蓋論』. 13.. 吉田光邦『日本美の探求』、日本放送出版協会、1995。. には、線に対する思索の深まりについての記述が多. 14.. 佐藤道信『〈日本美術〉誕生』、講談杜、1996。. い。線が対象の輪郭から離れ、自律していくにつれ、. 15.. 抽象絵画の要素としても捉えることができる。晩年. 16.. 島田康寛『村上華岳』、京都新聞社、1999。. になって、高い精神力に支えられた宗教的な心象表. 17.. 高階秀爾『日本美術を見る測、岩波書店、1991。. 現に到達したことなど、華岳の作品制作の過程を知. 18.. 佐藤晃子『日本の絵画50』、河出書房新杜、2006。. る上では、瞳論』からの分析は重要である。. 19.. 伸町啓子脇派に夢見る』、新潮杜、1999。. 国画創作協会創立の時期から晩年までの時期、多. 20.. 加藤一雄『京都画壇周辺』、用美杜、1984. くの瞳論』や私信が残されている。華岳が、制作. 21.. 橋本喜三『近代京都美術硝11造者たち』、織、1986. と並行して残した儘論』は、単なる絵画技法上の. 22.. 北澤憲昭『眼の神殿』、美術出版社、1989。. 記述だけではなく、人生論や宗教論、自省、自戒な. 23.. ど心境の吐露が多い。生い立ちが影響したとされる. 24.. 華岳は線を尊び、線に執着した画家である。初期. 『京都の日本画展』図録、京都国立近代美術館、1986。. 『百年史 京都市立芸術大学』、1981。. 『国画創作協会回顧展』図録、1993。 山川武『応挙・呉春・盧雪』、東京褻術大学、2010。. 孤独で沈欝な、しだいに内省的になる性格は画論の. 仏. 文章に反映され、作品にも影を落としている。. ◎主任指導教員 初岡 隆. その他、『書論』には日本画の基底材、素材、技術. 指導教員 喜多村明里. 一371■.
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