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村上華岳の作品制作と『畫論』についての一考察:―日本画と近代化と「京都画壇」の影響―

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Academic year: 2021

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(1)村上華岳の作品制作と『重論』についての一考察.  一目本画の近代化とr京都画壇」の影響一                         専攻  教科・領域教育学                          コース   芸術系・美術                         学籍番号   M09195E                         氏名     大城 国夫. 1研究動機と日的. 第2章京都画壇と村上華岳.  平成22(2010)年は日本画家・村上華岳の出身.   第1節 「京都画壇」での華岳と作品制作. 校である京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸.   第2節 華岳の修学時代と文展. 術大学)の創立130周年にあたる。記念展「京都日.   第3節 国画創作協会時代. 本画の誕生r巨匠たちの挑戦」では、本研究の中心. 第3章華岳と『画論』. である村上華岳の作品を観ることができた。華岳に.   第1節 「京都画壇」を離れて. ついては、以前より作品だけにとどまらず彼が著し.   第2節 『書論』. た瞳論』にも深い興味・関心を持っていた.   第3節 『書論』が邪魔するもの.  本研究では、まず明治期に誕生する日本画の概念. まとめ. を把握することから始まり、日本画の近代化と「京. 3研究の経過と概要 華岳が生きた時代は、日本画r近代化」の時期と. 都画壇」の考察をする。考察の中心にr京都画壇」 と縁がある村上華岳を据えて、単なる作品理解だけ. 重なる。また近代目本画の流れは、華岳らが設立、. にとどまらず、瞳論』で著された華岳の制作に対す. 参加した「国画創作協会」を中心とした京都画壇の. る心情や、作品が示唆するものなどを多角的に推察. 隆盛とも一致している。時代の流れを大局的に見て. しようとした。. みると、それぞれの噺犬の中で、新しい文化と伝統.  日本の絵画(日本画)は千数百年の歴史の中で、. が生み出され、融合と解体を繰り返しながら継承さ. その絵画様式は時代の変遷により変化してきたが、. れている。. 第1章では、近代目本画の源となった京都画壇を. 天然の岩絵具に膠を混ぜて描くという基本的な素 材は、現在まで受け継がれてきている。しかし、時. 中心に、日本画の歴史を振り返り、日本画の近代化. 代に即した感性で新しい表現が生まれ、日本画の持. について考える。特に明治以降、日本画の定義が西. つ素材や表現技法を用いながらも、現代における美. 洋画、西洋文化の移入により変化した状況や、独自. 術の動向を反映し旧来の日本画の枠を超えた作品. の日本絵画の表現上の変遷も考察する。. 伝統絵画的な日本絵画が西洋画に対する概念とし. も多く見られる。.  現代の状況では「日本画」の造形的変化や伝統だ. て、r日本画」という名称で統一された現在使われ. けにとらわれない新しい表現を認識し、これまでの. ている「日本画」という語も、近㈹会面としてのr日. 日本画としての意識の変革をしなければならない。. 本画」であると指摘されている。さらに、近代絵画. また、日本画の成立からその伝統性の継承を概略的. としての日本画の考察を進めると、日本画の近代化. に捉えることにより、今後の日本画を展望できると. の源は、円山四条派であると理解できる。. 考えている。.  明治以降の日本画、日本画の近代化はこの伝統の. 2論文の構成. 上に展開したものであり、円山四条派の発祥地であ. 第1章 日本画の近代化と京都の日本画「京都画壇」. る京都の風土は、絵画史上での京都派、京都画壇を.   第1節 日本画の歴史と誕生. 育てたことも重要である。.   第2節 日本画の近代化.  第2章では、京都の日本画、「京都画壇」の流れ.   第3節京都の日本画r京都画壇」. と、華岳が絵画修業の中心となる京都の様子、京都. 一370一.

(2) 画壇の先進性などを考察する。. や、線に対する思索の深まりについての記述がある。.  京都画壇は円山四条派の流れをくみ、西洋画の「写. 華岳は、日本画の本質ともいうべき深い精神性を持. 実」の上に成立している。特に、かつての「画塾」. つ画家である一方で、日本画の卓越した技術、素材. に対して、村上華岳も含む「学校派」の中心である. に対する鋭い認識を持っていた。華岳も述べた、日. 京都市立絵画専門学校の設立から、日本画の近代化. 本画表現の可能性」を考えるべく、日本画の成立. にも影響を与えたr京都画壇」を理解する。. から伝承、展望もあわせて考察しなければならない。.  第3章の『書論』での華岳の思考を検討する前に、.  華岳が『書論』を執筆したのは、大正8年から最. 華岳の作品や制作過程を知ることは重要であると考. 晩年の昭和14年まで、国画創作協会創立の時期か. え、「京都画壇」から誕生した村上華岳の画家として. ら花隈での隠遁生活、画壇から隔絶していく時期で. の生き方と、作品制作の変遷を認識しなければなら. ある。その中で、華岳自身が到達する芸術の本質と. ない。華岳の作品制作の基本となる姿勢は、画家と. いうべきものを、この『董論』を通しての考察で本. しての修業を行った地、京都ならびにr京都画壇」. 研究のまとめとする。. で構築されたといっても過言ではない。活躍の中心. 4 主要参考文献. となる国画創作協会の設立の経緯も考察する。. 1.. 田中日佐夫『日本画・緩乱の季節』、美術公論杜、1983。.  第3章では、華岳の芸術に対する清浄な思考のた. 2.. めに、自らも創設会員であった国画創作協会を脱退、. 3.. 画壇から隔絶し、神戸に隠棲するまでの経緯を探る。. 4.. 源豊宗『日本美術の流れ』、思索杜、1976。. 5.. 竹田道太郎『大正の日本画』、朝目新聞社、1977。.  画家の思考は、制作を通して作られるべきもので、. 河北倫明『河北倫明美術言縄、講談杜、1978。  『村上華岳展』図録、日本経済新聞社、2005。. 画家でありながらも自ら宗教者的な立場を貫く華岳. 6.. の考えていたこと、日指したものを『養論』から見. 7.. 村上華岳『妻諭』、中央公論美術出版、1977。. ていく。また、京都を離れてr隠棲」していくこと. 8.. 持田希未子『絵画の思考』、岩波書店、1992。. に繋がっていく思考の変化も見逃せない。. 9.. 加藤一雄『近代日本の絵画』、河原書店、1966。. 10.. 赤井達郎『京都の美術史』、思文閣出版、1989。. の、写生画としての日本画鉄線描の線から、隠棲し. 11.. 辻1雀雄『日本美術の歴史』、東京大学出版会、2005。. てから晩年までの柳の図や山の図のような抽象的な. 12.. 中井宗太郎『日本絵画論』、文彩堂、1976。. 線まで、多種多様な線を用いたそのためr蓋論』. 13.. 吉田光邦『日本美の探求』、日本放送出版協会、1995。. には、線に対する思索の深まりについての記述が多. 14.. 佐藤道信『〈日本美術〉誕生』、講談杜、1996。. い。線が対象の輪郭から離れ、自律していくにつれ、. 15.. 抽象絵画の要素としても捉えることができる。晩年. 16.. 島田康寛『村上華岳』、京都新聞社、1999。. になって、高い精神力に支えられた宗教的な心象表. 17.. 高階秀爾『日本美術を見る測、岩波書店、1991。. 現に到達したことなど、華岳の作品制作の過程を知. 18.. 佐藤晃子『日本の絵画50』、河出書房新杜、2006。. る上では、瞳論』からの分析は重要である。. 19.. 伸町啓子脇派に夢見る』、新潮杜、1999。.  国画創作協会創立の時期から晩年までの時期、多. 20.. 加藤一雄『京都画壇周辺』、用美杜、1984. くの瞳論』や私信が残されている。華岳が、制作. 21.. 橋本喜三『近代京都美術硝11造者たち』、織、1986. と並行して残した儘論』は、単なる絵画技法上の. 22.. 北澤憲昭『眼の神殿』、美術出版社、1989。. 記述だけではなく、人生論や宗教論、自省、自戒な. 23.. ど心境の吐露が多い。生い立ちが影響したとされる. 24..  華岳は線を尊び、線に執着した画家である。初期.  『京都の日本画展』図録、京都国立近代美術館、1986。. 『百年史 京都市立芸術大学』、1981。. 『国画創作協会回顧展』図録、1993。 山川武『応挙・呉春・盧雪』、東京褻術大学、2010。. 孤独で沈欝な、しだいに内省的になる性格は画論の. 仏. 文章に反映され、作品にも影を落としている。.    ◎主任指導教員     初岡 隆.  その他、『書論』には日本画の基底材、素材、技術.      指導教員    喜多村明里. 一371■.

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