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<巻頭言>研究論文を通して自分の考えを伝えよう 利用統計を見る

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Yamanashi Nursing Journal Vol.10 No.1 (2011)

本学に看護学科が新設されたのは平成 7 年 4 月,当時全国に看護系大学が約 40 校,山梨県内 では初めての 4 年制看護系大学の設置でした。そ れから約 16 年,平成 23 年度には全国で 194 課程 (複数課程を有する大学あり)が設置されていま す。その間,看護系学会も多く誕生し,専門的視 点の論文投稿の機会は増えています。 私が本学に着任したのは平成 8 年 4 月。当時, 本学には山梨医科大学雑誌,山梨医科大学紀要が あり,医学の専門家の投稿が多いため躊躇しまし たが,看護職者の一人として研究成果を伝えたい と,思い切って投稿しました。 山梨医科大学雑誌への最初の投稿は,「看護学 生の臨床実習における葛藤場面の認知と対処─医 学 生 と の 比 較 ─ 」( 山 梨 医 科 大 学 雑 誌, 13,3,99-105,1998)でした。その調査に用いた尺度 が,Lützen K. 等の MST(Moral Sensitivity Test,1994)です。当時,わが国の医療界は生命倫 理,医の倫理が叫ばれていた時代ですから,外国 での調査状況に非常に興味・関心があり,“Ethics” “Moral”をキーワードとして,医療に関する欧米 論文を隈なく当たりました。その結果,Lützen K. を筆頭著者とする MST の関連論文に出合うこと ができました。早速,著者に手紙を書き日本語訳 の承諾をとりました。その後,MST 日本語版と して正確に読者の方々に伝達できるまでには,数 年かかりました。その間,山梨医科大学紀要に MST の信頼性・妥当性について投稿し,その成 山梨大学医学部附属病院 看護学科長 中村美知子

研究論文を通して自分の考えを伝えよう

巻頭言

果を発表したのが,「臨床看護師の道徳的感性尺 度の信頼性・妥当性の検討」(日本赤十字看護学 会誌,1,49-58,2003)です。その後,現在に至るま で全国の看護職の方々から,MST 日本語版の使 用許可の連絡をいただいています。 山梨医科大学紀要への投稿論文では,「PFC 比 の異なる食事摂取が空腹感に及ぼす影響─血漿ア ミノ酸・脂肪酸濃度との関係─」(山梨医科大学 紀要,15,35-41,1998)の成果が数年後某企業アミ ノ酸研究所の方の目にとまり,直接連絡をいただ き,実験方法等についてインタビューを受けたこ ともあります。これらは,私の過去の研究への取 り組みに対する世の中の評価であり,研究を通し て伝えたいことについて,専門職の方々から何ら かの反応を得たと感激いたしました。 山梨大学看護学会会員は,多くが看護職の方々 です。看護関連分野は,研究テーマが山積し,発 掘する価値のある素材が詰まった宝庫です。看護 職者の価値が世の中で認められるためには,各自 が研究的思考を養い,研究成果を発表していくこ とが必要です。また,研究に取り組むことは,多 くの論文や協力者と出合い,自分の考えや学習姿 勢を見つめ直すよい機会です。皆さんが一生懸命 取り組んだ成果は,多くの方々に影響を与えると 思います。こんなものと思わずに,堂々と研究成 果を発表してください。山梨大学看護学会誌への 投稿論文が,さらに増えることを期待しています。

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