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<実践報告>静脈血採血の自己学習時間による技術習得状況の比較 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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静脈血採血の自己学習時間による技術習得状況の比較

Comparing Skill Acquisition by Self-Learning Time and Venous Blood Sampling

山田 章子,内田 一美,西山佐知子,浅川 和美

YAMADA Shoko, UCHIDA Hitomi, NISHIYAMA Sachiko, ASAKAWA Kazumi

要 旨

本調査は,看護系大学 2 年次生の静脈血採血の自己学習の実態を明らかにし,演習前の自己学習時間と技 術習得状況の比較を行うことを目的とした。自己学習に関する調査内容は,演習前に自己学習で活用した学 習教材と,自己学習の回数や時間とし,技術習得状況は,演習前後に 17 項目の行動目標を用いて 4 点法で自 己評価した。 56 名の回答を分析した結果,自己学習で活用した学習教材はシミュレーターが最も多く,自己学習時間は 1 時間以上 2 時間未満が最も多かった(37 名;66%)。演習前の技術習得状況は,自己学習 2 時間以上群(17 名) が 2 時間未満群(39 名)に比べて,「穿刺部位の選定を行うことができる」「採取した血液を適切な方法で採血 管に移すことができる」「自己演習を積極的に行うことができる」で自己評価が高かった。また演習前後で技 術習得状況を比較した結果,自己学習 2 時間未満群は 9 項目で,2 時間以上群は 3 項目で,演習後に有意に自 己評価が高まっていた。 キーワード 静脈血採血,自己学習時間,技術習得状況

Key Words Venous Blood Sampling, Self-Learning Time, Skill,s Acquisition

受理日:2013 年 2 月 14 日

山 梨 大 学 大 学 院 医 学 工 学 総 合 研 究 部:Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering, University of Yamanashi

Ⅰ.はじめに

基礎看護教育では,看護の基本的な知識と技術を習得 するとともに,卒業後,自ら看護実践力を高めていける 基礎的能力を養うための効果的な教育方法の開発が課題 である。従来の看護基礎教育では,講義と学内演習によ り,基本知識と技術を理解した後に,臨地実習で,学内 で学んだ知識と技術を活用しながら患者へのケア実践を 行い,患者の個別性に対応した看護のあり方を学ぶこと で,看護実践能力の育成を図ってきた。しかし,入院期 間の短縮化がすすみ,急性期や重症の患者が増えたため, 患者の安全と権利確保の観点から,無資格の学生が,臨 地実習において体験できる内容が制限されるようになっ た1) 。特に生体侵襲を伴う看護技術は,見学のみに終わ ることが多く,卒業時の自信度は低い2)と言われている。 基礎看護技術の中で,侵襲を伴う技術の 1 つに静脈血 採血がある。静脈血採血は,卒後臨床の場ですぐに要求 される技術であるが,卒業時の到達度は低い3) 。静脈血 採血の技術習得を行う手法に,シミュレーターを用いて 行う方法と学生間で実施する方法がある。シミュレー ターを用いての方法は,手順の根拠を考えながら実施で きたり,繰り返し練習することができるが,痛みに対す る配慮や,シミュレーターでの血管内への刺入感覚と生 体での刺入感覚が異なる4)ことが明らかとなっている。 一方で,学生間で実施する場合は,皮膚や血管に針を刺 した感覚や血液の逆流する様子を理解するなど,シミュ レーターでは感じることのできない感覚を経験すること ができるが,恐怖心や緊張感が高くなる5) ことが明らか となっており,安全面や倫理面への十分な配慮を行った 上で行わなければならない。本校では,学生間での静脈 血採血を演習しているが,授業内での演習だけでは,技 術を習得するには時間が短く,学生が自分の自由な時間 に技術練習ができるような場の提供が必要ではないかと 考えた。 今回,静脈血採血の自己練習ができるよう,静脈血採 血が可能なシミュレーターを設置したトレーニングルー ムを演習前後それぞれ 1 ヵ月間開設し,自己学習の実態 と,技術習得状況の比較を行い,今後の静脈血採血の学 習環境の検討が必要ではないかと考えた。

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Ⅱ.研究目的

本研究の目的は,静脈血採血の技術習得時の自己学習 の実態を明らかにし,自己学習時間による技術習得状況 の比較を行うこととした。

Ⅲ.用語の操作的定義

自己学習:学生自身で知識や技術を深める行為で,技術 体験学習を含めるものとする。 技術習得状況:認知,精神運動行動,情意の 3 側面から 考えた演習の行動目標の 17 項目に対する学生の自己評 価とする。

Ⅳ.研究方法

1. 調査対象および調査期間 調査対象は,A 大学医学部看護学科 2 年次生で,看護 方法論Ⅲを受講している同意の得られた 64 名(100%)の 学生で,調査期間は,2011 年 10 月から 11 月であった。 2. 調査内容 学生の自己学習に関しては,活用した学習教材,シミュ レーター利用の目的,自己学習の回数や時間とした。 静脈血採血の技術習得状況は,演習の行動目標をもと に,「静脈血採血の一般的な目的が説明できる」「刺入周 囲の神経や血管の走行を説明できる」などの認知の側面 の 3 項目,「必要物品をそろえることができる」「清潔操 作を行うことができる」「穿刺部位の選定を行うことが できる」などの精神運動の側面の 9 項目,「対象者に検査 の説明を行うことができる」「対象者に対し安全・安楽 の配慮ができる」などの情意の側面の 5 項目,合計 17 項 目を,1(できない)から 4(できる)の 4 点法で自己評価 した。 3. 調査手順 10 月初旬に看護方法論Ⅲの「検査にかかわる看護」の 単元の中で静脈血採血の手順や留意点について説明し, 11 月初旬実施する演習内容の説明を行った。さらにト レーニングルームを演習前後 1 ヵ月間,平日の 8:30 〜 18:30 開設し,5 体 3 種類のシミュレーター(装着タイ プ;京都科学 装着式採血静注練習キット“かんたんく ん”2 体,日本ライトサービス株式会社 静脈穿刺パッ ド‐ACF 1 体,上腕モデルタイプ;KOKEN 静脈採血 注射モデルⅠ型 LM-028 2 体)を設置し,演習当日と同 じ物品を使用して練習ができること,但し針を使用して 練習する場合は,インストラクター(教員またはティー チングアシスタント)のもとで実施することを説明した。 自己学習で活用した学習教材や,自己学習の回数や時 間は,演習前に調査用紙を配布し,静脈血採血の技術習 得状況は,演習前と演習後に調査用紙を配布して調査を 行った。 自己学習の時間や回数に関しては,トレーニングルー ムの予約表と利用届で確認した。 4. データ分析方法 自己学習で活用した学習教材や,自己学習の回数や時 間は,単純集計を行った。自己学習の時間は,1 時間以 上 2 時間未満が最も多かったため,2 時間未満群と 2 時 間以上群にわけて,技術習得状況を分析した。 静脈血採血の技術習得状況は,2 群の演習前後での技 術習得状況の比較を行うために,ウィルコクスンの順位符 号付き検定を用いた。また演習前後の技術習得状況の群 間比較を行うために,マンホイットニーの U 検定を用いた。

統計処理は,統計解析ソフト PASW Statistics for Windows for ver.18 を使用し,すべての分析で有意水準 を 5%とした。 5. 倫理的配慮 本研究は,山梨大学医学部倫理委員会の承認を得て実 施した。対象者には,研究の主旨と方法,研究への参加 は自由意思によるものであり,不参加および途中棄権し ても不利益を生じないこと,成績評価には関係がないこ と,調査用紙は無記名とし,個人が特定されないようデー タ処理を行いプライバシーの保護に努めることなどを, 文書を用いて口頭で説明した。無記名自記式の調査用紙 は,全員に配布し,同意した対象者のみ調査用紙に記入 し,すべての対象者から調査用紙を回収し,同意の有無 がわからないように配慮した。

Ⅴ.結果

調査用紙は,64 名から提出され(回収率 100%),未記 入個所のある用紙を除いた 56 名(有効回答率 87.5%)の 回答を分析した。 1. 学生の自己学習 自己学習で活用した学習教材は,シミュレーターの利 用が 50 名(89.3%)と最も多く,次いで講義資料が 47 名 (83.9%),教科書や参考書が 40 名(71.4%)であった(表 1)。 演習前は,すべての学生が,シミュレーターを用いて インストラクターのもとでの静脈血採血の自己学習を 行っていた。演習後は,シミュレーターを用いて自己学 習する学生はいなかった。演習前の自己学習の目的は, 「採血の演習前に練習をするため」が 28 名(50.0%)と最も 多く,次に「実際に行う前に流れや方法を確認するため」

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表 1 自己学習で活用した学習教材 (n=56) 学習教材 活用した人数(%) 教科書・参考書 40(71.4%) 講義資料 47(83.9%) DVD メディアなど 1( 1.8%) シミュレーター 50(89.3%) 教員や先輩 31(55.4%) 友人 25(44.6%) 複数回答あり の 7 名(12.5%)であった。自己学習の回数は平均 1.6 ± 0.5 回で,1 回のみが 41 名(73.2%),2 回が 13 名(23.2%),3 回が 2 名(3.6%)であった。自己学習時間は平均 1.6 ± 1 時間で,最も長い利用時間は 6 時間で,最も短い利用時 間は 0.5 時間であった(図 1)。自己学習の時間帯は,4 限終了後の放課後の 16:30 から 18:00 の利用がほとん どであった。 2. 自己学習時間と技術習得状況の比較 (表2) 2 時間未満群の演習前後の技術習得状況を比較した結 果は,「静脈血採血の一般的な目的が説明できる」(演習 前中央値 3.0,演習後 3.0:p=0.000)「使用物品の構造を 説明できる」(演習前中央値 3.0,演習後 3.0:p=0.000)「刺 入周囲の神経や血管の走行を説明できる」(演習前中央 値 3.0,演習後 3.0:p=0.005)「感染に留意した行動をと る こ と が で き る 」( 演 習 前 中 央 値 3.0, 演 習 後 4.0: p=0.019)「穿刺部位の選定を行うことができる」(演習前 中央値 3.0,演習後 3.0:p=0.001)「手早く血液を必要量 採取することができる」(演習前中央値 2.0,演習後 3.0: p=0.000)「採取した血液を適切な方法で採血管に移すこ とができる」(演習前中央値 3.0,演習後 3.0:p=0.001)「静 脈血採血後,止血を確認することができる」(演習前中央 値 3.0,演習後 4.0:p=0.022)「対象者に対し安全・安楽 の 配 慮 が で き る 」( 演 習 前 中 央 値 3.0, 演 習 後 3.0: p=0.033)の 9 項目で演習後の方が有意に得点が高かった。 2 時間以上群の演習前後の技術習得状況の比較では, 「静脈血採血の一般的な目的が説明できる」(演習前中央 値 3.0,演習後 3.0:p=0.004)「刺入周囲の神経や血管の 走行を説明できる」(演習前中央値 3.0,演習後 3.0: p=0.002)「手早く血液を必要量採取することができる」 (演習前中央値 3.0,演習後 3.0:p=0.034)の 3 項目で演 習後の方が有意に得点が高かった。 演習前と演習後のそれぞれの 2 群間の比較では,演習 前のみに 2 群間で有意差のみられる項目があった。その 項目は,「穿刺部位の選定を行うことができる」(2 時間 未満群中央値 3.0,2 時間以上群 3.0:p=0.049)「採取し た血液を適切な方法で採血管に移すことができる」(2 時間未満群中央値 3.0,2 時間以上群 4.0:p=0.014)「自 己演習を積極的に行うことができる」(2 時間未満群中 央値 3.0,2 時間以上群 4.0:p=0.028)の 3 項目で,2 時 間以上群の方が有意に得点が高かった。

Ⅵ.考察

1. 学生の自己学習 今回の調査で,教科書・参考書,講義資料を 7 割以上 の学生が活用していた。教科書や講義資料には,手順や 方法に対する留意点や根拠などが記載されているため, 実施前に確認する目的で使用したものと考える。シミュ レーターは,約 90% の学生が活用したと回答した。自 己学習では,実際に演習で使用する物品を用いて,繰り 返し練習することができるため,活用したのではないか と考える。 今回全員の学生が,シミュレーターを用いてインスト ラクター指導のもと自己学習を行ったにもかかわらず, シミュレーターや教員を活用したと回答しなかった学生 がいた。インストラクター指導のもとでは,自己学習を 行ったと考えない学生がいた可能性があると考える。 自己学習の時間は,1 時間以上 2 時間未満が 37 名(66%) と最も多く,次いで 2 時間以上 3 時間未満の 12 名(21%) であり,自己学習の時間帯は,放課後がほとんどであっ た。自己学習の行えるトレーニングルームの開放時間が, 平日の 8:30 〜 18:30 であり,学生が自分の自由な時 間を利用して練習できる時間が限られていたことや,部 屋の広さとインストラクター 1 名が指導できる学生の人 数でシミュレーターを準備したことが要因として考えら れる。学生相互の静脈血採血の演習時において,シミュ レーターでの練習が不安の解消に役立った6)といわれて いることから,今後学生の利用しやすい時間や時期を考 えて,自己学習を行える部屋を開設する必要があると考 える。 2. 自己学習時間と技術習得状況の比較 今回自己学習の時間を,2 時間未満群と 2 時間以上群 図1 自己学習時間 1∼2 時間未満 37 名(66%) 1 時間未満 2 名(4%) 4 時間以上 3 名(5%) 3∼4 時間未満 2 名(4%) 2∼3 時間未満 12 名(21%) n=56

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にわけて技術習得状況を比較した。 2 群間それぞれで演習前後の技術習得状況の比較を 行ったところ,2 時間未満群で演習後,「使用物品の構 造を説明できる」「感染に留意した行動をとることがで きる」「穿刺部位の選定を行うことができる」「採取した 血液を適切な方法で採血管に移すことができる」「静脈 採血後,止血を確認することができる」「対象者に対し 安全・安楽の配慮ができる」の 6 項目で得点が高くなっ ていたが,2 時間以上群では有意な差がみられなかった。 さらに,2 群間の演習前後の比較で,演習前に 2 時間以 上群の方が 2 時間未満群より「穿刺部位の選定を行うこ とができる」「採取した血液を適切な方法で採血管に移 すことができる」「自己演習を積極的に行うことができ る」の 3 項目で得点が高かった。これは自己練習時間が 長い方が,血管に針を刺入して血液を採取する場面だけ の手技にとらわれるだけではなく,感染に留意した行動 を考えながら実施したり,対象者の状態を観察するなど 周囲を意識しながら実施できるような心のゆとりを持っ 表 2 自己学習時間による技術習得状況の比較 n=56 2 時間未満群(n=39) 2 時間以上群(n=17) 有意差 2)3) 演習前 演習後 演習前 演習後 Median Mean ± SD1) 静脈血採血の一般的な目的が説明できる 3.0 2.9 ± 0.4 3.0 3.3 ± 0.5 3.0 2.8 ± 0.5 3.0 3.4 ± 0.5 *ab 使用物品の構造を説明できる 2.9 ± 0.63.0 3.3 ± 0.73.0 2.8 ± 0.63.0 3.1 ± 0.73.0 *a 刺入周囲の神経や血管の走行を説明できる 3.0 2.8 ± 0.6 3.0 3.1 ± 0.7 3.0 2.5 ± 0.7 3.0 3.2 ± 0.6 *ab 感染に留意した行動をとることができる 3.4 ± 0.63.0 3.6 ± 0.54.0 3.5 ± 0.64.0 3.6 ± 0.44.0 *a 必要物品をそろえることができる 4.0 3.5 ± 0.6 4.0 3.6 ± 0.5 4.0 3.5 ± 0.5 4.0 3.8 ± 0.4 清潔操作を行うことができる 3.5 ± 0.53.0 3.6 ± 0.54.0 3.6 ± 0.54.0 3.7 ± 0.54.0 指示書,検体容器,対象者の確認を行うことができる 4.0 3.5 ± 0.5 4.0 3.6 ± 0.5 4.0 3.7 ± 0.5 4.0 3.8 ± 0.4 穿刺部位の選定を行うことができる 2.7 ± 0.63.0 3.1 ± 0.73.0 3.1 ± 0.63.0 3.2 ± 0.53.0 *a*c 手早く血液を必要量採取することができる 2.0 2.5 ± 0.6 3.0 3.0 ± 0.7 3.0 2.7 ± 0.7 3.0 3.2 ± 0.8 *ab 採取した血液を適切な方法で採血管に移すことができる 3.0 ± 0.63.0 3.5 ± 0.63.0 3.5 ± 0.84.0 3.6 ± 0.54.0 *a*c 静脈血採血後,止血を確認することができる 3.0 3.3 ± 0.5 4.0 3.6 ± 0.5 3.0 3.5 ± 0.5 4.0 3.7 ± 0.5 *a 実施前後に対象者の観察を行うことができる 3.3 ± 0.53.0 3.5 ± 0.53.0 3.5 ± 0.54.0 3.6 ± 0.54.0 対象者に検査の説明を行うことができる 3.0 3.2 ± 0.6 3.0 3.3 ± 0.6 4.0 3.4 ± 0.7 4.0 3.6 ± 0.5 対象者の反応をとらえて対応することができる 3.0 ± 0.63.0 3.2 ± 0.63.0 3.3 ± 0.63.0 3.4 ± 0.63.0 対象者に対し安全・安楽の配慮ができる 3.0 3.2 ± 0.6 3.0 3.4 ± 0.6 3.0 3.4 ± 0.5 4.0 3.6 ± 0.5 *a 対象者に対しねぎらいの言葉をかけることができる 3.3 ± 0.53.0 3.5 ± 0.64.0 3.5 ± 0.54.0 3.8 ± 0.44.0 自己演習を積極的に行うことができる 3.0 3.4 ± 0.5 4.0 3.6 ± 0.5 4.0 3.7 ± 0.5 4.0 3.8 ± 0.4 *c 1) Mean ± SD は参考値 2) 2 時間未満群と 2 時間以上群の演習前後の技術習得状況の比較 Wilcoxon の順位符号付き検定 3) 2 時間未満群と 2 時間以上群の技術習得状況の比較 Mann-Whitney の U 検定 *p<0.05 a:2 時間未満群の演習前後の差 b:2 時間以上群の演習前後の差 c:演習前の 2 時間以上群と 2 時間未満群の差

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て,演習に臨むことができたと考える。 技術習得状況は,演習前から両群とも高い傾向にあっ たが,両群で演習後に有意に得点が高かった項目は,「静 脈血採血の一般的な目的が説明できる」「刺入周囲の神 経や血管の走行を説明できる」「手早く血液を必要量採 取することができる」の 3 項目であった。先行研究4) に おいて,学生間での静脈血採血において学生は,責任を 自覚したり,自信につながった達成感を持つことが明ら かとなっている。演習前のシミュレーターを用いて自己 練習時に,学生間で実施する時と同じ物品を使用したこ とで,実際の対象者をイメージして練習することができ, 穿刺する血管がよく見えるシミュレーターではなく,実 際の人で穿刺部位を確認し,問題なく血液を採取したこ とで,達成感が強まったことで技術習得状況が高まった と考える。 演習後の自己学習は,すべての学生が行わなかった。 これは,演習後の技術習得状況の得点が高かったことか ら,学生が静脈血採血の技術を習得できたと考えている 可能性がある。一度実施をしたからといって,技術を習 得することはできず,実施した技術の振り返りを行いそ れをもとに再び実施する,この過程を繰り返すことでよ り技術習得状況が高まる。教員は,実施した技術の振り 返りを行うだけではなく,振り返ったことを再度実施す る,この過程を繰り返すことでより技術の習得状況が高 まっていくことを学生が理解し,実施できるような学習 環境を整えて行く必要があると考える。

Ⅶ.まとめ

今回,静脈血採血の技術習得時の自己学習の実態を明 らかにし,自己学習時間による技術習得状況の比較を行 うことを目的として調査を行った結果,以下のことが明 らかとなった。 学生が自己学習で活用した学習教材は,シミュレー ターの利用が,50 名(89.3%)と最も多かった。自己学習 時間は,1 時間以上 2 時間未満の 37 名(66%)が最も多かっ た。 自己学習の時間を,2 時間未満群と 2 時間以上群にわ けて比較した結果,2 時間未満群で演習後,「使用物品 の構造を説明できる」「感染に留意した行動をとること ができる」「穿刺部位の選定を行うことができる」「採取 した血液を適切な方法で採血管に移すことができる」「静 脈採血後,止血を確認することができる」「対象者に対 し安全・安楽の配慮ができる」の 6 項目で得点が高くな り,両群で演習後に有意に得点が高かった項目は,「静 脈血採血の一般的な目的が説明できる」「刺入周囲の神 経や血管の走行を説明できる」「手早く血液を必要量採 取することができる」の 3 項目であった。 2 群間の演習前後の比較で,演習前に 2 時間以上群の 方が 2 時間未満群より「穿刺部位の選定を行うことがで きる」「採取した血液を適切な方法で採血管に移すこと ができる」「自己演習を積極的に行うことができる」の 3 項目で得点が高かった。

謝辞

本研究は,平成 22 年度山梨大学戦略的プロジェクト の助成を受けて実施したものである。本研究を行うにあ たり,ご協力いただきました学生の皆様には深く感謝い たします。 引用文献 1) 増野園恵(2010)看護基礎教育におけるシミュレーション教育の 展望.近大姫路大学看護学部紀要,3:1-7. 2) 浅川和美(2008)看護基礎教育における看護技術教育の検討.茨 城県立医療大学紀要,13: 57-67. 3) 田中愛子,岩本テルヨ,他(2009)全国看護大学の「注射・採血」 の看護技術実施の現状と本学基礎看護学の技術教育の課題.山 口大学学術情報,2:1-7. 4) 寺田美和子,林有学,他(2011)学生間静脈血採血演習の学習効 果.畿央大学紀要,8(2):47-55. 5) 南妙子,岩本真紀,他(2008)静脈血採血実習における看護学生 の学びの分析.香川大学看護学雑誌,12(1):38-46. 6) 土屋香代子,三國和美,他(2006)”静脈血採血”演習時の学生の 不安に関する研究(第 2 報).宮城大学看護学部紀要,9(1): 21-33.

表 1 自己学習で活用した学習教材 (n=56) 学習教材 活用した人数(%) 教科書・参考書 40(71.4%) 講義資料 47(83.9%) DVD メディアなど 1(  1.8%) シミュレーター 50(89.3%) 教員や先輩 31(55.4%) 友人 25(44.6%) 複数回答あり の 7 名(12.5%)であった。自己学習の回数は平均 1.6 ± 0.5 回で,1 回のみが 41 名(73.2%),2 回が 13 名(23.2%),3 回が 2 名(3.6%)であった。自己学習時間は平均 1.

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