Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
家庭科教育の立場よりみた女性史(Ⅱ)
History of Japanese Women from the Point of View of Home Economics Education ( 2)
Author(s) 高尾 こいし(Koishi Takao)
Citation 研究紀要(SHOIN REVIEW),第 9 号:305-330
Issue Date 1968
Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文
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Right
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庭
科
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中 世 中 世 は 武 士 の 世 界 で あ っ て 、 家 庭 生 活 に お い て 男 性 中 心 の 家 族 制 度 が 確 立 し た 時 代 で あ る 。 社 会 の 混 乱 に 伴 な っ て 庶 民 の 勢 力 が 強 く な り 、 下 剋 上 の 風 が 生 じ て 来 た 。 農 、 工 、 商 の 身 分 的 対 立 も な く 、 武 士 と 庶 民 と の 区 別 も 徳 川 時 代 の よ う に 判 然 と し て い な か っ た 。 武 士 道 的 道 徳 は ま だ 確 立 し て な く 、 主 従 の 関 係 は 恩 賞 を う け た 代 償 と し て 忠 節 を つ く す と い う よ う な 状 態 で あ っ た 。 こ の 時 代 の 女 性 は 単 に 美 し く 優 し い 女 性 で あ る こ と を 理 想 と し た 平 安 朝 時 代 と 異 り 、 死 に 面 し て 動 じ な い 凛 々 し い 武 家 の 女 性 の 姿 が 軍 記 物 語 な ど に 描 か れ て い る 。 夫 に 殉 ず る と い う 貞 操 観 念 も こ の 頃 か ら お こ っ て き た 。 ( 一 ) 鎌 倉 時 代 貴 族 の 女 性 は 平 安 時 代 の 末 に で き た と い わ れ る 源 氏 物 語 絵 巻 の 生 活 に あ ら わ れ て い る よ う な も の を 理 想 と し た 前 代 を そ の ま ま 受 け つ い で 、 后 の 位 は 望 外 と し て も 、 光 源 氏 や 薫 大 将 の 愛 を 一 度 で も 得 た い と 願 っ た 更 級 日 記 の 女 の 夢 と さ し て 変 わ り は な か っ た と 思 わ れ る 。 ﹁ 歌 を よ み 手 を か く ﹂ こ と が 第 一 で 、 琴 、 琵 琶 な ど の 音 楽 な ど の 趣 味 的 教 養 を 重 ん じ た 。 特 に も て は や さ れ た の は 和 歌 で 、 中 流 階 級 の 女 子 は 和 歌 に 精 進 し て 女 院 な ど へ 宮 仕 し た 。 新 古 今 集 に ﹁ な に と な く聞 け ば 涙 そ こ ぼ れ ぬ る 苔 の 快 に か よ ふ 松 風 ﹂ 千 載 集 に ﹁ 空 し き も 色 な る も の と 悟 れ ば や 春 の み 空 の み ど り な る ら む ﹂ が 入 っ て い る 宜 秋 院 丹 後 や 、 ﹁ う す く こ き 野 辺 の み ど り の 若 草 に あ と ま で 見 ゆ る 雪 の む ら ぎ え ﹂ の 名 歌 で 知 ら れ る 後 鳥 羽 院 宮 内 郷 な ど は そ の 代 表 的 女 性 で あ る 。 こ の 和 歌 、 書 道 を 中 心 と し た 女 子 教 育 は 室 町 時 代 へ も ひ き つ が れ た が 、 こ れ に 往 束 物 が 読 物 と し て 加 わ り 、 さ ら に 読 経 、 写 経 も こ の 時 代 の 重 要 な 生 活 の 一 部 を な し て い る 。 宰 相 殿 御 覧 じ て う れ し き こ と 限 り な し 。 御 前 た ち 御 覧 じ て 歌 を よ み 、 手 書 く こ と も 後 に は 宰 相 殿 御 教 あ る べ し 、 た だ 今 の う ち に は 教 わ る こ と も 成 ま じ 、 さ ら ば 歌 を よ ま せ 笑 は む と 談 合 な さ れ 、 ﹁ こ れ 御 覧 ぜ よ 姫 君 、 桜 が 枝 に 藤 の 花 、 春 と 夏 と は 隣 也 。 秋 は こ と さ ら 菊 の 花 、 こ れ に つ き 姫 君 一 首 あ そ ば し 候 へ ﹂ と 何 せ け れ ば 、 姫 君 き こ し め し 、 ﹁ あ ら む つ か し の こ と を 仰 せ 候 も の か な 。 わ れ く が 能 に は 、 此 程 湯 殿 に さ ふ ら ひ て 、 朝 夕 手 な れ し 水 車 、 汲 み 上 げ し よ り ほ か の こ と は な し 。 歌 と い ふ こ と は い か や う 成 る も の や ら ん 、 少 し も 存 ぜ ず 候 。 ま つ く 御 前 た ち あ そ ば さ れ 候 へ 。 そ の 後 は と も か く も 申 し て み ん ﹂ と あ り け れ ば 、 御 前 た ち 仰 せ け ろ は ﹁ 姫 君 は 、 今 日 の 御 客 も じ に て ま し ま せ ぱ 、 ま つ く 一 首 あ そ ば し あ そ ば し 候 へ ﹂ と 責 め ら れ け る 。 そ の 時 姫 君 一 首 と り あ へ ず 、 春 は 花 夏 は た ち ば な 秋 は 菊 い つ れ の 露 に 置 く も の ぞ 憂 き と か や う に あ そ ば し け る 。 御 筆 の す さ び 、 道 風 が ふ る ひ 筆 も か く や ら ん と 、 目 を 驚 か す ば か り な り 。 ( 鉢 か つ ぎ ) さ て ﹁ 身 の 能 は 何 ぞ ﹂ と の 給 ひ け れ ば ﹁ 何 と 申 す べ き や う も な し 。 ﹂ 母 に か し つ か れ し 時 は 、 琴 、 琵 琶 、 和 琴 、 笙 、 ひ ら り き 箏 築 、 古 今 、 万 葉 、 伊 勢 物 語 、 法 華 経 八 巻 、 数 の 経 ど も よ み し よ り ほ か の 能 も な し ゜ ( 鉢 か つ ぎ ) 鎌 倉 時 代 か ら 結 婚 様 式 が 変 っ て 女 性 が 嫁 入 り す る よ う に な っ た 。 母 系 制 よ り 父 系 制 へ の 移 行 に と も な っ て 女 子 の 地 位 の
低 下 と 従 属 化 を 招 来 す る よ う に な っ た と す る 説 も あ る 。 抑 今 夕 内 大 臣 殿 令 ・ 迎 薪 院 息 女 壮 ハ 日 来 果 一漿 二 品 嶺 同 宿 、 俄 有 二此 儀 頭 希 代 之 例 也 . 上 皇 穿 御 二幸 二 品 第 御 出 立 之 事 有 二 叡 覧 一 (勘 中 記 弘 安 七 年 八 月 十 四 日 条 ) 今 日 息 女 計 六 向 二 左 大 将 九 条 亭 、 輿 自 二 彼 方 為 ・ 迎 到 来 、 青 侍 四 人 、 同 為 ・ 迎 衆 及 ・ 昏 出 立 、 其 儀 毎 事 隠 密 如 ・ 形 之 儀 也 。 (実 隆 公 記 明 応 四 年 七 月 廿 五 日 の 条 ) こ の 時 代 の 食 物 の 一 端 を し の ば れ る 物 語 が あ る 。 小 野 小 町 を モ デ ル に し た と い わ れ る 物 語 の 一 っ に 、 彼 女 の 食 生 活 に っ い て か な り く わ し く ふ れ た も の が あ る 彼 女 は 宮 廷 に あ る と き 美 食 家 と し て 知 ら れ 、 紅 ス ズ キ の す し 、 マ グ ロ の 刺 身 、 ウ ズ ラ の 汁 、 熊 の 掌 、 雁 の 塩 づ け 、 か に の 爪 な ど が 彼 か れ い 女 の 食 卓 に の ぼ っ た 。 し か し 年 老 い て 路 頭 に さ ま う よ う こ ろ に は 、 く び か ら さ げ た 包 み に は 粟 、 豆 の 餉 、 か ご に は ワ ラ ビ を も っ て い た と い い 、 貴 族 と 庶 民 と の 食 事 が 対 照 的 に 物 語 ら れ て い る と こ ろ が 興 味 深 い 。 (紅 と 紺 と よ り ) ( 二 ) 十 二 世 紀 の 半 頃 に 作 ら れ た 信 貴 山 縁 起 絵 巻 に は 糸 を つ む ぎ 、 食 事 や 洗 濯 の 家 事 に い そ し む 地 方 の 女 性 た ち の 姿 が 描 か れ て い る 。 農 村 女 性 は 夫 と 共 に 田 植 や 稲 こ さ な ど の 農 耕 に 従 事 し 、 機 織 り を は じ め 炊 事 染 色 織 物 等 の 家 事 労 働 に 従 事 し た 。 食 事 の 足 り な い 時 は 野 に 出 で 落 穂 を 拾 っ た り 、 菜 を 摘 ん だ り し て 台 所 を み た し 、 時 に は 他 家 に 雇 わ れ て 機 織 り な ど を し た 。 芥 川 龍 之 介 の 羅 生 門 に 蛇 を 切 っ て 干 魚 と い っ わ り 太 刀 陣 へ 行 商 に い っ た 話 が あ る よ う に 、 物 売 り に 出 た 女 も 多 か っ た こ と で あ ろ う 。 白 拍 子 や 遊 女 な ど の 女 性 特 有 の 職 業 婦 人 の 出 現 も こ の 期 の は じ め と 思 わ れ る 。
か と り こ の 時 代 の 織 物 に は 阿 波 絹 、 美 濃 八 丈 、 常 陸 紬 、 紀 伊 練 な ど の 絹 織 物 も あ っ た が 、 こ れ は 地 方 の 領 主 な ど へ の 貢 納 物 で お あ り 、 一 般 の 庶 民 は 主 に 麻 を 用 い 藤 つ る の 繊 維 な ど を 利 用 し た 藤 ご ろ も で あ っ た 。 桑 や 苧 は 農 民 の 屋 敷 の ま わ り に 栽 培 さ れ て い た が 、 そ の 栽 培 管 理 や 糸 っ む ぎ 、 機 織 り な ど は す べ て の 女 性 の 仕 事 で あ っ た 。 麻 布 や 藤 布 は 繊 維 が 堅 く 、 布 地 が 厚 い の で も み 洗 い す る こ と も あ っ た が 、 多 く の 場 合 は 足 で 布 を ふ ん で 洗 濯 し た よ う で あ る 。 信 貴 山 縁 起 絵 巻 に は 、 戸 口 に 腰 か け て 糸 を つ む ぐ 女 性 や 、 桃 の 花 の 紅 く 咲 い た 道 ば た の 井 戸 で 、 一 人 は 綱 で 水 を く み あ げ 、 一 入 は 胸 を は だ け 、 裾 を か ら げ て 流 し 場 で 踏 洗 い し て い る 。 道 に 面 し た 畑 で は 菜 を つ ん で い る 姿 も み え 、 他 の 部 分 で も 屋 敷 内 で 瓜 を と っ て い る 女 も み ら れ る 。 鎌 倉 時 代 以 後 実 質 的 に 活 躍 す る 武 士 は 農 村 出 身 で あ り 、 そ の 女 性 も こ の よ う な 生 活 を し て い た 農 村 女 性 で あ っ て 、 男 女 の 家 庭 生 活 で も こ の 時 代 の 生 活 は 明 朗 で あ っ た こ と が 今 昔 物 語 そ の 他 に よ っ て う か が え る 。 今 は 昔 二 月 の 初 午 の 日 の 伏 見 の 稲 荷 社 は 祭 に つ ど う 人 々 で に ぎ わ っ て い た が 、 そ の 中 に 茨 田 重 方 ら 近 衛 の 舎 人 た ち が い た 。 途 中 ま で 来 る と 向 う か ら 盛 装 し た な ま め か し い 美 人 が 一 人 や っ て 来 た 。 名 う て の 女 好 き で あ っ た 重 方 が な ん で 見 逃 そ う 。 ﹁ 私 は あ な た の よ う な 美 し い 女 性 を さ が し て い た の で す ﹂ と い ろ く と 言 い 寄 り 、 は て は ﹁ 古 女 房 な ど は す て ・ あ な た の と こ ろ へ 参 り ま す ﹂ と 女 を 抱 き と め 、 拝 む よ う に 頭 を 下 げ た 重 方 、 い き な り 髪 を む ん ず と つ か ま え ら れ ﹁ 何 で す こ の ざ ま は 。 や っ ぱ り 役 所 の 人 が 私 に い っ て く れ た 通 り だ わ 。 こ の 浮 気 者 め 。 そ れ に 自 分 の 女 房 の 姿 や 声 が
わ か ら な い と は 何 事 で す か 。 ﹂ 今 昔 物 語 廿 八 の 第 一 話 で あ る が 、 重 方 は 平 身 低 頭 し て 妻 を な だ め す か し な ん と か 仲 直 り し た も の の 、 そ の 後 は 妻 に さ げ す ま れ 、 人 々 の 物 笑 い に さ れ て し ま っ た と い う こ と で あ る 。 具 レ 妻 行 二 丹 波 国 一 男 於 二 大 江 山 一被 レ 縛 語 第 二 十 三 今 昔 、 京 二 有 ケ ル 男 ノ 妻 ハ 丹 波 国 ノ 者 ニ テ 有 ケ レ ベ 、 男 其 ノ 妻 ヲ 具 ニ ピ ラ シ ラ 丹 波 ノ 国 へ 行 ケ ル ニ 、 妻 ヲ バ 馬 二 乗 セ テ 、 夫 ハ 竹 蚕 薄 箭 十 計 差 タ ル ヲ 掻 負 テ 、 弓 持 テ 後 二 立 テ 行 ケ ル 程 二 、 大 江 山 ノ 辺 二 若 キ 男 ノ 大 刀 計 ヲ 帯 タ ル ガ 糸 強 気 ナ ル ニ 行 烈 ヌ 。 然 レ バ 相 具 シ テ 行 ク ニ 、 互 二 物 語 ナ ド シ テ 主 ハ 何 ヘ ナ ド 語 ヒ 行 ク 程 二 、 此 ノ 今 行 烈 タ ル 大 刀 帯 タ ル 男 ノ 云 ク 、 己 ガ 帯 タ ル 大 刀 ハ 陸 奥 ノ 国 ヨ リ 伝 へ 得 タ ル 高 名 ノ 太 刀 也 。 此 レ 見 給 へ ト テ 抜 テ 見 ス レ バ 、 実 二 微 妙 キ 太 刀 一= ブ 有 リ 。 本 ノ 男 此 ヲ 見 テ 欲 キ 事 無 レ 限 シ 。 今 ノ 男 其 ノ 気 色 ヲ 見 テ 、 此 ノ 太 刀 要 二 御 セ バ 、 其 ノ 持 給 ヘ ル 弓 二 被 レ 替 ヨ ト 云 ヶ レ バ 、 此 ノ 弓 持 タ ル 男 持 夕 タ ル 弓 ハ 然 マ デ ノ 物 ニ モ 非 ズ 。 彼 ノ 太 刀 ハ 実 二 吉 キ 太 刀 ニ テ 有 ケ レ バ 、 太 刀 ノ 欲 カ リ ケ ル ニ 合 ヒ テ 極 タ ル 所 得 シ テ ム ス ト 思 テ 、 左 右 ナ ク 差 替 テ ケ リ 。 然 テ 行 ク 程 二 此 ノ 男 ノ 云 ク 、 己 ガ 弓 ノ 限 リ 持 タ ル ニ 人 目 モ 可 咲 シ 。 山 ノ 間 箭 二 筋 被 レ 借 ヨ 。 其 ノ 御 為 モ 此 ク 御 共 二 行 ケ パ 同 事 二 非 ズ ヤ ト 。 本 ノ 男 此 レ ヲ 聞 ク ニ 現 ニ ト 思 フ ニ 合 セ テ 、 吉 キ 太 刀 ヲ 弊 キ 弓 二 替 ヘ ツ ル ガ 喜 サ ニ 、 云 マ マ ニ 箭 二 筋 ヲ 抜 テ 取 セ ツ 。 然 レ エ ピ ラ バ 弓 持 テ 箭 二 筋 ヲ 手 箭 二 持 テ 後 リ ニ 立 テ 行 ク 。 本 ノ 男 ハ 竹 蚕 薄 ノ 限 リ ヲ 掻 負 テ 、 太 刀 引 帯 テ ゾ 行 ケ ル 。 然 ル 間 昼 ノ 養 セ ム ト テ 藪 ノ 中 二 入 ル ヲ 、 今 ノ 男 人 近 ニ ハ 見 苦 シ 、 今 少 シ 入 テ コ ソ ト 云 ケ レ バ 深 ク 入 ニ ケ リ 。 然 テ 女 ヲ 馬 ヨ リ 抱 キ 下 シ ナ ド 為 ル 程 二 、 此 ノ 弓 持 ノ 男 俄 二 弓 二 箭 番 テ 本 ノ 男 二 差 宛 ヲ 強 ク 引 テ 、 己 動 力 バ 射 殺 シ テ ム ト 云 ヘ バ 、 本 ノ 男 更 二 此 ハ 不 二 心 懸 一 ザ リ ケ ル 程 二 、 此 ク ス レ バ 物 モ 不 思 エ デ 只 向 ヒ 居 タ リ 。 其 ノ 時 二 山 ノ 奥 へ 罷 入 レ ト 恐 セ バ 、 命 ノ 惜 キ マ マ ニ 妻 ヲ モ 具 シ テ 七 八 町 計 山 ノ 奥 へ 入 ヌ 。 然 テ 太 刀 投 ヨ ト 制 命 ス レ バ 、 皆 投 テ 居 レ ル ヲ 寄 テ 取 テ 、 打 伏 セ テ 馬 ノ 指 縄 ヲ 以 テ 木 二
強 ク 縛 リ 付 ケ ツ 。 然 テ 女 ノ 許 二 寄 来 テ 見 ル ニ 、 年 廿 余 計 ノ 女 ノ 下 衆 ナ レ ド モ 愛 敬 付 テ 糸 清 気 也 。 男 此 レ ヲ 見 ル ニ 移 ニ ケ レ バ 、 更 二 他 ノ コ ト 不 思 エ デ 女 ノ 衣 ヲ 解 ケ バ 、 女 可 二 辞 得 一 キ 様 無 ヶ レ バ 云 フ ニ 随 テ 衣 ヲ 解 ツ 。 然 レ バ 男 モ 着 物 ヲ 脱 デ 女 ヲ 掻 臥 セ テ ニ 人 臥 ス 。 女 云 フ 甲 斐 ナ ク 男 ノ 云 フ ニ 随 テ 、 本 ノ 男 被 二 縛 付 一 テ 見 ケ ム ニ 何 計 思 ケ ム 。 其 ノ 後 男 起 上 テ 本 ノ 如 エ ピ ラ ク 物 打 着 テ 、 竹 蚕 薄 掻 負 テ 太 刀 ヲ 取 テ 引 帯 テ 、 弓 持 テ 其 馬 二 這 乗 テ 女 二 云 ク 糸 惜 ト ハ 思 ヘ ド モ 可 レ 為 キ 様 無 キ 事 ナ レ バ 去 ヌ ル 也 。 亦 其 男 ヲ バ 免 シ テ 不 レ 殺 ナ リ ヌ ル ゾ 。 馬 ヲ バ 疾 ク 逃 ナ ム ガ 為 二 乗 テ 行 ヌ ル ゾ ト 云 テ 馳 散 ジ テ 行 ニ ケ レ バ 、 行 ニ ケ ム 方 ヲ 不 レ 知 ザ リ ケ リ 。 其 ノ 後 女 寄 テ 男 ヲ バ 解 免 シ テ ケ レ バ 、 男 我 レ ニ モ 非 ヌ 顔 ツ キ シ テ 有 ケ レ バ 、 女 汝 ガ 心 云 フ 甲 斐 ナ シ 。 今 日 ヨ リ 後 モ 此 ノ 心 ニ テ ハ 更 二 墓 々 シ キ 事 不 レ 有 ジ ト 云 ケ レ バ 、 夫 更 二 云 フ コ ト ナ ク シ テ 、 其 ヨ リ ナ ム 具 シ テ 丹 波 二 行 キ ケ ル 。 今 ノ 男 ノ 心 糸 恥 力 シ 。 男 女 ノ 着 物 ヲ 不 二 奪 取 一 ザ リ ケ ル 。 本 ノ 男 ノ 心 糸 墓 ナ シ 。 山 中 ニ テ 一 目 モ 不 レ 知 男 二 弓 箭 ヲ 取 セ シ 事 実 二 愚 ナ リ 。 其 ノ 男 遂 二 不 聞 デ 止 ニ ケ リ ト ナ ム 語 リ 伝 ヘ タ ル ト ヤ 。 本 の 男 の 行 為 を 言 語 同 断 で あ る と 非 難 し な が ら 今 の 男 の こ と を 着 物 を と ら な か っ た の を 甚 だ 感 心 だ と 許 し て い る 。 当 時 着 物 の い か に 大 切 で あ っ た か と い う こ と も し の ば れ る 。 ﹁ 詣 烏 部 寺 女 、 値 盗 人 語 第 二 十 二 ﹂ で は 三 十 才 ば か り の 人 妻 が 女 の 童 を つ れ て 鳥 部 寺 に 十 月 二 十 日 の 午 頃 に 参 っ て い た 時 、 雑 色 が 出 て 来 て 刀 を 抜 い て 女 の 童 を お ど し 衣 を 脱 が せ 更 に 主 を 仏 の 後 に ひ き い て 二 人 臥 し て 、 主 の 衣 を も 引 き は ぎ て 、 ﹁ 糸 惜 ケ レ ハ 袴 ハ 許 ス ﹂ と 言 っ て 東 の 山 へ 逃 げ た と あ る 。 こ の よ う な 事 件 も 多 か っ た の で あ ろ う 。 信 乃 国 二 、 ア ル 人 ノ 妻 ノ 許 二 、 マ メ 男 ノ カ ヨ フ ヨ シ 夫 聞 テ 、 天 井 ノ 上 ニ ケ 伺 ケ ル ヲ 、 天 井 二 例 ノ マ メ 男 来 テ 、 物 語 シ 戯 レ ケ ル ヲ 、 天 井 ニ テ 見 ル ホ ド ニ 、 ア ヤ マ チ テ 落 ヌ 。 腰 打 損 ジ 絶 入 テ ケ レ バ 、 間 男 コ レ ヲ 抱 テ 看 病 シ 、 ト カ ク ァ ツ カ ヒ タ ス ケ テ ケ リ 。 心 ザ マ 互 ニ オ ダ シ カ リ ヶ レ バ 、 許 テ カ ヨ ヒ ケ ル ト カ ヤ 。 洛 陽 ニ モ 、 天 文 博 士 卜 云 ケ ル 妻 ノ モ ト ニ 、 朝 日 ノ
ア ジ ヤ リ 阿 闇 梨 ト 云 僧 力 ヨ ヒ テ ケ リ 。 ア ル 時 夫 他 行 シ タ リ ケ ル ヒ マ ト 思 テ 、 ウ チ ト ケ テ 井 タ ル 所 二 、 夫 俄 二 来 ル 。 逃 ベ キ 方 ナ ウ ヤ ノ ト シ テ 、 西 ノ 方 遣 戸 ヲ 開 テ 逃 ケ ル ヲ 、 ミ ツ ケ テ カ ク ゾ 云 ケ ル 。 ア ヤ シ ク モ 西 二 朝 日 ノ イ ヅ ル カ ナ 阿 闇 梨 コ レ ヲ ッ ク 、 天 交 博 士 イ カ ニ 見 ル ラ ム サ テ 呼 ビ 留 テ 、 サ カ モ リ 、 連 歌 ナ ン ド シ ラ 、 許 テ 通 ピ ケ リ 。 (沙 石 集 ) こ れ ら の 話 に よ っ て 当 時 貞 操 と い う こ と は さ ま で 世 人 が 厳 し く 要 求 し な か っ た こ と が わ か る 。 今 昔 物 語 は じ め こ れ ら の 説 話 集 の 中 に は 当 時 の 生 活 が あ り の ま ま に あ ら わ さ れ て い る 。 男 女 の 生 活 は 愛 情 を 中 心 と し た の は 古 今 と て 変 り は な く 、 今 昔 物 語 巻 第 二 十 七 人 妻 死 後 会 旧 夫 語 第 二 十 四 に は あ る 貧 乏 侍 が 受 領 に つ い て 任 国 に 下 つ た 際 愛 妻 を す て て 富 裕 な 女 を 同 道 し た 。 任 期 が 終 っ て 京 に 帰 っ た 男 は 、 さ す が に 前 妻 が 恋 し く 、 家 に か け つ け て み る と 、 あ ば ら 家 の 中 に 妻 が 独 り ぽ つ ね ん と 坐 っ て い た 。 夫 を 見 て に っ こ り 笑 う 。 二 人 は 相 擁 し た 。 翌 朝 さ し こ む 朝 日 の 光 に か た わ ら の 妻 を 見 る と 、 な ん と そ れ は 白 骨 で は な い か 。 男 は び っ く り し て 逃 げ だ し た 。 ・⋮ ・・ 自 分 を 捨 て た 夫 を 恋 い つ つ 独 り さ び し く 死 に 、 も と の 姿 に な っ て 夫 を 迎 え た 白 骨 の 妻 が で て い る 。 ﹁ 黄 金 庫 ﹂ 取 ら う か 器 用 の 好 い 殿 取 ら う か 。 い や お り や よ か ら う 器 用 の 好 か ら う 貧 な 殿 を 。 ( 室 町 時 代 小 歌 集 ) と 手 鍋 下 げ て も の 結 婚 生 活 に は 苦 労 の 絶 間 が な い 。 古 今 著 聞 集 の ﹁ 花 山 院 右 大 臣 忠 経 の 侍 其 妻 の 懇 志 に 依 り 七 半 に 勝 ち て 後 出 家 の 事 ﹂ に 、 あ る 貧 し い 恪 勤 者 の 妻 が 、 一 夜 貧 故 に 友 と の 交 際 (博 変 ) の 仲 間 に 入 れ ぬ こ と を 悲 し む 夫 に
﹁ の た ま は す る こ と 、 尤 其 い は れ あ り 。 ま こ と に さ る 事 な り 。 人 に ま じ は る な ら ひ は よ き 事 に も あ し 事 に も 、 そ の 事 に も る る は 口 惜 し き な り 。 あ け ん 夜 を ま ち 給 へ 。 わ ら は 、 か ま へ て 奔 走 せ ん ﹂ と い へ ば 、 ﹁ 同 じ 心 に 思 ひ け る こ そ 。 女 の な ら ひ は 、 な に ご と を ば い は ず 、 博 打 す る こ と を ば 、 は ら 立 こ と な が ら も 心 に く き こ と な し 。 な に と し て は げ ま さ ん と 、 か く は の た ま う そ ﹂ と い へ ば 、 妻 、 ﹁ 何 し に 其 事 を ば い ふ ぞ 。 い ま あ け ん を 待 て ﹂ と い ふ 。 さ る 程 に 、 夜 あ け に け れ ば 、 お の れ が 一 き た り け る 衣 を ぬ ぎ て 、 人 の 銭 五 百 か り て け り 。 男 の も と に も て き て い ふ 様 、 ﹁ こ の 銭 に て 心 ゆ か し 給 へ 。 人 の 十 廿 貫 に て う た ん も 、 又 此 少 分 の 物 に て う た ん も 、 心 を や ろ こ と は お な じ こ と な り 。 わ が 心 に 又 お も し ろ し と も お も は ぬ 事 な れ ば 、 あ な が ち に お ほ く 入 れ て も せ ん な し ﹂ と い へ ば 、 男 あ り が た く う れ し く 覚 え て 、 そ の あ し た 、 や が て こ の 銭 ふ と こ ろ に ひ き 入 て 、 殿 へ も ち て ま い り ぬ 。 さ て こ の 金 で 夫 は 見 事 に 勝 ち 続 け て 三 十 余 貫 を 得 た が 、 発 心 し て 今 後 博 変 は し ま せ ん と い う 起 請 文 を 書 き 、 出 家 し よ う と 妻 に 打 明 け る と 妻 も 賛 成 し た の で 仏 門 に 入 っ た 。 と あ る 。 ま た 同 じ よ う な 話 が 沙 石 集 巻 第 九 ﹁ 君 二 忠 ア リ テ 栄 タ ル 事 ﹂ に あ る の は 、 く じ に 当 っ た も の は 贈 物 を す る と 災 害 を 免 れ ろ と い う う わ さ が あ り 、 く じ を し た 所 が 、 貧 乏 な 宮 仕 の 侍 に 当 っ た の で 、 高 価 な 贈 物 が 出 来 な い の で 、 恥 を さ け て 出 家 し て 跡 を く ら ま そ う か と 夫 か ら 打 明 け ら れ た 妻 は 、 ﹁ ソ ノ 事 ナ ラ バ ナ ジ カ 歎 キ 給 ハ ン 。 人 ハ 果 報 モ 幸 モ 心 ニ コ ソ ア レ 。 タ ト ヒ 次 二 世 ヲ 遁 ン ト 思 ハ ン ニ 付 テ モ 、 ス デ ニ 御 相 手 ニ ナ リ ヌ 。 尋 常 ナ ル 御 引 出 物 進 テ コ ソ 、 御 中 ヲ モ 罷 出 給 ハ メ 。 先 世 ノ 契 ア レ バ コ ソ 、 妻 夫 ト モ ナ リ テ 、 今 日 マ デ 志 カ ワ ラ ズ シ テ 、 ス ゴ シ ツ ラ メ 。 栄 ヘ バ 同 ク 栄 へ 、 惑 バ 共 二 惑 メ 。 此 家 地 ナ ド ァ レ バ 、 シ チ カ ヘ テ 営 ミ 給 へ ﹂ ト 云 フ ニ 、 夫 申 シ ケ ル ハ 、 ﹁ 果 報 拙 ク 、 今 マ デ 御 思 モ 蒙 ネ バ 思 出 モ ナ ク テ 、 年 頃 日 来 ス ゴ シ ツ ル ダ ニ モ 、 心 苦 シ ク 、 カ タ 腹 イ タ キ 一312一
二 、 我 故 ソ コ サ へ 惑 給 ハ ン 事 コ ソ 、 口 惜 ケ レ ﹂ ト 云 バ 、 ﹁ ナ ジ カ バ 思 給 ハ ン 事 ノ 次 二 、 共 二 尼 法 師 ニ モ ナ リ テ 、 後 世 ノ 菩 提 ノ 勤 メ ヲ モ セ バ 、 善 知 識 ト コ ソ 思 奉 ラ メ 。 コ レ ホ ド ア リ ガ ヒ モ ナ キ 世 間 ハ 、 惑 ト モ 歎 ニ モ タ ラ ズ ﹂ ト テ 、 屋 地 ヲ 売 テ 用 途 五 六 十 貫 ガ ホ ド ァ リ ケ ル ニ テ 、 銀 ノ 折 敷 、 金 ノ 橘 ヲ 作 ラ セ テ 、 コ ト ゴ ト シ カ ラ ヌ 様 二 紙 ニ ツ ツ ミ 、 懐 中 シ テ 、 ス デ ニ 其 日 ニ ナ リ テ 御 所 ニ マ イ リ ヌ 。 さ て 夫 は 大 い に 面 白 を ほ ど こ し 、 そ の 事 情 を 尋 ね ら れ た の で 、 詳 し く 申 し 上 げ る と 大 層 お ほ め に な り 、 千 石 の 領 地 を 賜 り 栄 華 の 身 と な っ た 。 と あ る 。 ど ち ら も 山 内 一 豊 の 妻 を 思 わ せ る 心 よ い 話 で あ る 。 ( 三 ) 御 成 敗 式 目 は 貞 永 元 年 執 権 北 條 泰 時 に よ っ て 公 布 さ れ た も の で 、 頼 朝 以 来 の 先 例 に よ り 作 ら れ た も の で あ り 、 ﹁ 武 家 の 御 は が ら ひ の た め ば か り に 候 、 こ れ に よ り て 京 都 の 御 沙 汰 律 令 の を き て 珈 も あ ら た ま る べ き に あ ら ず 候 ﹂ と あ る よ う に 武 家 に 対 す る 法 で あ る 。 御 家 人 の 女 が 公 卿 に 嫁 す る こ と は 自 由 で あ っ た が 、 御 家 人 の 所 領 を 其 夫 に 譲 与 す る こ と に は 制 限 が 設 け ら れ た 。 関 東 御 家 人 以 二 月 卿 雲 客 一為 二 聲 君 一 。 依 レ 譲 二 所 領 一 公 事 足 減 少 事 。 右 於 二 所 領 一 者 。 譲 ゴ 彼 女 子 一難 レ 令 二 各 別 一 。 至 二 公 事 一者 。 随 二 其 分 限 一可 レ被 二 省 充 一也 。 親 父 存 日 。 縦 成 二 優 恕 之 儀 一盤 レ 不 二 充 課 一 。 逝 去 後 者 。 尤 可 レ 令 二 催 勤 一 。 若 募 二 権 威 一不 二 勤 仕 一。 永 可 レ 被 三 辞 豆 退 件 所 領 一敷 。 凡 錐 レ 為 二 関 東 砥 候 之 女 房 一 。 敢 勿 レ 泥 二 殿 中 平 均 之 公 事 一 此 上 猶 令 二 難 渋 一者 。 不 レ 可 三 知 二 行 所 領 一 。 新 編 追 加 (延 応 二 年 五 月 廿 五 日 )
自 今 以 後 於 下 相 二 具 雲 客 己 上 一之 女 子 上 不 レ 可 三 譲 二 与 所 領 一也 。 貞 操 と い う こ と が 要 求 さ れ る よ う に な り 。 つ ぎ の 規 定 が あ る 。 密 二 懐 他 人 妻 一 罪 科 事 。 右 不 レ 論 二 強 姦 和 姦 一。 懐 二 抱 人 妻 一 之 輩 一。 被 レ 召 二 所 領 半 分 一 可 レ 被 レ 罷 ゴ 出 仕 一。 無 二 所 領 一者 。 可 レ 処 二 遠 流 一也 。 女 所 領 同 可 レ 被 レ 召 レ 之 。 無 二 所 領 一者 。 又 可 レ 被 二 配 流 一也 。 密 二 懐 他 人 妻 一罪 科 事 。 右 同 所 レ 被 レ 載 二 式 目 一也 。 但 名 主 百 姓 等 中 。 密 二 懐 人 妻 一 事 。 風 聞 之 時 者 。 不 レ 糺 二 明 実 否 一 。 無 二 左 右 一 罪 科 之 条 。 甚 不 レ 可 レ 然 。 若 訴 人 出 来 者 。 召 二 決 両 方 一 。 尋 二 明 証 拠 一。 無 レ 所 レ 遁 者 。 名 主 輩 者 過 料 弐 十 貫 文 。 百 姓 者 五 貫 文 可 ゴ 宛 行 一也 。 女 罪 科 同 前 。 ず っ と 後 の 寛 正 三 年 八 月 晦 日 の 大 内 家 壁 書 に は つ ぎ の よ う な 記 事 が み え る 。 飯 田 大 炊 助 貞 家 郎 従 助 五 郎 為 二 長 門 国 三 隅 庄 平 氏 左 衛 門 三 郎 男 一去 十 七 日 の 夜 被 二 殺 害 一 事 。 右 意 趣 者 。 依 三 助 五 郎 密 二 懐 左 衛 門 三 郎 妻 ス 才 松 母 ) 也 。 狼 殺 二 害 人 一 之 条 。 其 科 難 レ 遁 者 乎 。 所 詮 当 家 分 国 中 土 民 等 事 。 或 案 内 を 領 主 に へ 、 或 於 二 庭 中 一 子 細 を 申 は 。 可 レ 加 二 下 知 一也 。 殊 更 家 中 等 事 申 旨 あ ら ば 、 其 実 否 に ま か せ 可 二 成 敗 一 之 処 、 や や も す れ ば 、 宿 意 を さ ん ず る 間 、 還 而 失 二 其 身 一条 、 且 は 忠 孝 を も は ざ る に あ ら ざ る や 。 自 己 以 後 は 、 此 下 知 を ま も り 、 敢 て 定 法 を 遺 失 す る こ と な か れ 。 若 違 犯 の 輩 あ ら ば 、 た と ひ 錐 レ 為 二 異 類 身 一、 錐 レ 為 二 重 代 相 伝 之 忠 臣 一 永 子 孫 を た や し 、 罪 科 に 処 す べ き や 。 伍 此 趣 諸 人 に 告 知 せ し め ん た め に 、 左 衛 門 男 井 才 松 母 事 に を ゐ て は 、 貞 永 式 目 を 旨 に ま か せ 、 流 刑 に 一 定 せ し め 詑 者 、 早 件 之 両 人 を 長 門 国 見 島 に 可 二 送 遣 一 之 状 如 レ 件 一314一
夫 の 死 後 は 律 令 と 異 り 再 婚 は 禁 じ て な い が 改 嫁 し な い の を 貞 女 と し て 、 も し 再 婚 す る と き は 、 所 領 を 亡 夫 の 子 に 譲 り 、 子 無 き と き は 他 の 処 分 に 付 せ ら れ た 。 式 目 か 与 七 年 後 の 延 応 元 年 の ﹁ 追 加 ﹂ で は 再 婚 し て 後 、 表 面 は 亡 夫 の 子 に 与 え た よ う に し 、 事 実 上 は 己 が 知 行 し て い る よ う な 者 の あ る こ と を 検 し て 禁 止 し た が 、 世 上 の 風 説 だ け の も の は 問 は ず と し た 。 弘 安 九 年 に は 、 そ の よ う な 世 上 の 非 難 が 聞 え た 場 合 は そ の 形 式 を 問 は ず 所 領 を 没 収 と し た 。 非 御 家 人 の 女 、 塊 綿 子 、 白 拍 子 な ど は 夫 で あ る 御 家 人 か ら 所 領 を 譲 ら れ る こ と は 原 則 と し て 禁 じ ら れ て い た が 、 こ れ ら の 女 子 も 後 家 に な っ て か ら 貞 節 で あ れ ば 許 さ れ た 。 こ の よ う に 貞 節 尊 重 が 重 ん じ ら れ る よ う に な っ た 。 譲 二 得 夫 所 領 一 後 家 令 二 改 嫁 一 事 右 為 二 後 家 一之 輩 。 譲 二 得 夫 所 領 一 者 。 須 下 拗 二 他 事 一 訪 申 亡 夫 之 後 世 上 之 処 。 背 二 式 目 一事 。 非 レ 無 二 其 替 一欺 。 而 忽 忘 二 貞 心 一 令 二 改 嫁 一 者 。 以 下 所 二 譲 得 一之 領 地 上 。 可 レ 宛 三 給 亡 夫 之 子 息 一。 若 又 無 二 子 息 一 者 。 可 レ 有 二 別 御 計 一 。 御 家 人 後 家 任 二 亡 夫 譲 一 給 二 安 堵 御 下 文 一事 応 仁 、元 、 十 、廿 六 、 此 条 平 均 之 法 也 。 夏 於 下令 二改 嫁 一 之 輩 上 者 。 可 レ 宛 二 給 他 人 一 之 旨 被 一一 定 置 己 来 。 為 レ 免 二 其 難 一。 或 少 年 或 無 病 之 族 。 寄 二 事 於 所 労 一 譲 二 与 子 息 親 類 一 。 申 二 給 安 堵 御 下 文 一之 後 及 二 改 嫁 一 。 甚 以 濫 吸 也 。 於 ゴ 自 今 以 後 一者 。 不 レ 臨 二 重 病 危 急 一者 。 不 レ 可 レ 被 レ 許 二 其 譲 一 。 改 嫁 事 延 応 元 、 九 、 光 右 或 致 二 所 領 之 成 敗 一。 或 行 二 家 中 雑 事 一。 於 レ 令 二 現 形 一者 。 尤 可 レ 有 二 其 誠 一 。 此 外 至 二 内 々 之 密 儀 一者 。 縦 錐 レ 有 二 瓜 聞 之 説 一。 非 二 沙 汰 之 限 ︼ 。 次 尼 還 俗 改 嫁 事 。 錐 レ 有 二 其 沙 汰 一。 又 、 不 レ 及 レ 記 之 由 評 定 畢 御 家 改 嫁 事 弘 安 九 、 七 、 廿 五 至 一一 内 々 之 密 儀 一者 。 縦 錐 レ 有 二 風 聞 之 説 一 。 非 二 沙 汰 之 限 一 之 由 。 被 レ 載 二 式 目 追 加 一 畢 。 依 レ 之 普 難 レ 令 二 現 形 一。 称 二 密 儀 一不 レ
及 二 其 沙 汰 一 。 於 二 自 今 己 後 一。 不 レ 致 二 所 領 成 敗 一。 難 レ 不 レ 行 二 家 中 雑 事 一。 有 二 不 調 之 聞 一者 。 任 二 本 式 目 一。 可 レ 有 二 其 科 一。 離 別 妻 妾 知 二 行 前 夫 所 領 一事 文 治 四 、 十 二 、 廿 六 右 有 レ 功 無 レ 過 之 妻 妾 錐 レ 被 二 離 別 一。 前 夫 不 レ 能 室 悔 二 返 所 レ 譲 所 領 一 之 由 被 レ 載 二 式 目 一 畢 。 而 離 別 之 後 嫁 二 干 他 夫 一。 猶 知 三 行 彼 所 領 一之 条 為 二 不 義 一軟 。 自 今 以 後 於 レ 嫁 二 他 夫 一 者 。 早 可 レ 被 下 召 中 上 所 二譲 得 一 所 領 上 也 。 次 非 ご 御 家 人 一 之 輩 女 子 井 偲 侃 子 白 拍 子 。 及 凡 卑 女 等 誘 二 取 夫 所 領 一 令 二 知 行 一者 。 同 可 レ 被 レ 召 レ 之 。 但 為 二 後 家 一有 二 貞 節 一 者 。 非 二 制 之 限 一夷 。 遺 産 相 続 に つ い て は 女 子 も 男 子 と 同 じ く 所 領 を 所 有 す る こ と を 許 さ れ た 。 下 野 寒 河 郡 並 に 網 戸 郷 を 給 わ っ た 小 山 朝 光 の 母 、 美 濃 地 頭 職 堀 河 禅 尼 、 但 馬 の 地 頭 職 熊 野 鳥 居 禅 尼 、 尾 張 丹 波 の 地 頭 職 鎌 田 正 清 の 女 な ど は そ の 例 で あ る 。 そ の 所 領 は た と へ 夫 が 罪 を 犯 し て も 、 謀 叛 、 殺 害 、 強 盗 な ど の 重 罪 で な い 限 り 没 収 さ れ な か っ た 。 式 目 以 前 に は 梶 原 景 高 の 妻 、 畠 山 重 忠 の 妻 の よ う に 夫 が 謀 叛 人 と し て 諒 せ ら れ た 後 も そ の 所 領 を 安 堵 さ れ た 例 も あ る 。 女 子 の 所 領 は 親 か ら 譲 ら れ る こ と も あ り 、 夫 か ら 譲 ら れ る こ と も あ る 。 依 二 夫 罪 科 ]妻 女 所 領 被 二 没 収 一 否 事 右 於 二 謀 叛 。 殺 害 。 井 山 賊 。 海 賊 。 夜 討 。 強 盗 等 重 科 H 者 。 可 レ 懸 二 夫 答 一也 。 但 依 二 当 座 之 口 論 一 。 若 及 二 刃 傷 殺 害 一者 。 不 レ 可 レ 懸 レ 之 。 夫 か ら 譲 り う け た 所 領 は 、 離 縁 さ れ た 後 も 、 そ の 離 縁 の 理 由 が 妻 の 過 失 で な い 限 り 夫 に 取 返 さ れ る こ と は な い 。 市 河 掃 部 助 高 光 が 、 す で に 離 婚 し て い た 旧 妻 の 藤 原 氏 女 と 、 落 合 蔵 人 泰 宗 と が 密 通 し て い た と 訴 え た 。 旧 妻 は 無 実 の 罪 で あ り 、 身 の 潔 白 を 証 明 す る た め 、 鎌 倉 の 荏 柄 天 神 に 参 籠 し 起 請 文 を さ さ げ た い と 申 出 た 。 鎌 倉 幕 府 は 訴 を う け い れ た 、 奉 行 や 立 会 人 を 任 命 し 、 一 二 四 四 年 ( 寛 文 二 年 ) 泰 宗 と 高 光 の 旧 妻 は 荏 柄 天 神 に 参 籠 し 、 神 前 に 起 請 文 を さ さ げ た 。 七 日 七 夜 の 参 籠
が 終 っ た が 、 役 人 た ち は 二 人 の 問 に 過 失 の 事 実 を 発 見 す る こ と が で き な か っ た 。 高 光 は 敗 訴 し 、 旧 妻 に 信 濃 、 伊 勢 両 国 に あ る 土 地 と 、 甲 斐 国 市 河 に あ る 屋 敷 な ど の 財 産 の 譲 渡 を 命 じ た と あ る 。 こ れ は 次 の 二 十 一 条 に よ っ た 例 で あ る 。 妾 妻 得 二 夫 譲 一被 二 離 別 一後 。 領 二 知 彼 所 領 一 否 事 。 右 其 妻 依 レ 有 二 重 科 ]於 レ 被 二 棄 指 一 者 。 縦 錐 レ 有 二 往 日 之 契 状 一。 難 レ 知 二 行 前 夫 之 所 領 ︼。 若 又 彼 妻 有 レ 功 無 レ 過 。 賞 レ 新 奔 レ 旧 者 。 所 レ 譲 之 所 領 不 レ 能 二 悔 還 一 。 女 性 も そ の 所 領 を 子 に 譲 る こ と は 自 由 で あ り 、 子 の な い 時 は 養 子 を と っ て 譲 っ て も よ い 。 ま た 親 が 子 に 与 え た 所 領 を 取 り 返 す こ と は 任 意 で あ る 。 父 母 と し て あ っ て 、 男 女 を 区 別 し て な い 。 女 人 養 子 事 右 如 一]法 意 一者 。 雌 レ 不 レ 許 レ 之 。 右 大 将 家 御 時 以 来 至 二 干 当 世 一 。 無 二 其 子 一 之 女 人 等 。 譲 二 与 所 領 於 養 子 一事 。 不 易 之 法 不 レ 可 二 勝 計 一。 加 レ 之 都 鄙 之 例 先 躍 惟 多 。 評 議 之 処 尤 足 二 信 用 一敷 。 譲 二 所 領 於 子 息 一給 二 安 堵 御 下 文 一 之 後 。 悔 二 還 所 領 一譲 二 与 他 子 息 一 事 。 右 可 レ 任 二 父 母 之 意 一 之 由 。 具 以 載 二 先 条 ]畢 。 傍 就 二 先 判 之 譲 一 。 錐 レ 給 二 御 安 堵 御 下 文 一。 其 親 悔 二 還 之 一 。 於 レ 譲 二 与 他 子 息 一 者 。 任 ご 後 判 之 譲 一。 可 レ 有 二 御 成 敗 一 。 得 二 譲 状 一後 其 子 先 二 干 父 母 一 令 二 死 去 一 跡 事 。 右 其 子 錐 レ 令 二 見 存 一。 至 レ 令 二 悔 還 一者 。 有 一一 何 妨 一哉 。 況 子 孫 死 去 之 後 者 。 只 可 レ 任 ゴ 父 祖 之 意 一也 。 女 子 に 所 領 を 譲 っ た 場 合 、 婚 家 の 夫 が 親 と 敵 に な ろ こ と も あ り 得 る か ら 、 コ 令 L に ﹁ 夫 家 に 居 る 女 子 の 財 物 は 悔 返 の 法 な し ﹂ と あ る よ う に 、 取 返 す こ と が で き な い と す る と 、 娘 が そ れ を た て に 不 孝 の 行 為 を す る お そ れ も あ り 、 親 は そ れ を
お そ れ て 娘 に 所 領 を 与 え な い こ と も 考 え ら れ る か ら 、 武 家 法 で は 父 母 の 自 由 に ま か せ た 。 譲 二 与 所 領 於 女 子 一 後 。 依 レ 有 二 不 和 儀 一 。 其 親 悔 還 。 否 事 。 右 男 女 之 号 錐 レ 異 。 父 母 之 恩 惟 同 。 愛 法 家 之 倫 錐 レ 有 二 申 旨 一 。 女 子 則 愚 下 不 二 悔 還 一 之 文 上 。 不 レ 可 レ 揮 二 不 孝 之 罪 業 一 。 父 母 亦 察 レ 及 二 敵 対 之 論 一 。 不 レ 可 レ 譲 ・ 所 領 於 女 子 一 歎 。 親 子 義 絶 之 起 也 。 既 教 令 違 犯 之 基 也 。 女 子 若 有 二 向 背 之 儀 一者 。 父 母 宜 レ 任 二 進 退 之 意 一 。 依 レ 之 女 子 者 為 レ 全 二 譲 状 一端 二 志 孝 之 節 一。 父 母 者 為 レ 施 二 撫 育 一均 二 慈 愛 之 恩 一者 敷 。 財 産 分 与 に つ い て は 、 成 人 し た 子 息 に は 嫡 子 分 の 少 く と も 五 分 の ﹁ を 与 え よ と し て あ る 。 父 母 所 領 配 分 時 難 レ 非 二 義 絶 一不 レ 譲 二 与 成 人 子 息 事 。 右 其 親 以 二 成 人 之 子 一令 二 吹 挙 一 之 間 。 励 二 勤 厚 之 恩 一積 二 労 功 一 之 処 。 或 就 二 継 母 之 識 言 一。 或 依 二 庶 子 之 鐘 愛 一 。 其 子 錐 レ 不 レ 被 二 義 絶 一 。 忽 漏 二 彼 処 分 一 。 佗 僚 之 条 非 拠 之 至 也 。 価 割 二 今 所 レ 立 之 嫡 子 分 }。 以 二 五 分 丁 可 レ 充 二 給 無 足 之 兄 一也 。 但 難 レ 為 二 少 分 一 於 一計 宛 一 者 。 不 レ 論 二 嫡 庶 一 宜 レ 依 二証 跡 一。 抑 錐 レ 為 二 嫡 子 一無 二 指 奉 公 一 。 又 於 二 不 孝 之 輩 ]者 。 非 二 沙 汰 之 限 一 。 こ れ に よ っ て も わ か る よ う に 、 親 に 孝 行 な る べ き を 要 求 し て い る 。 親 権 が 著 し く 強 化 さ れ 、 子 が 父 母 祖 父 母 と 告 言 す る と き は 敵 対 の 罪 と し て 罰 せ ら れ た 。 敵 二 対 干 祖 父 母 井 父 母 一 致 ゴ 相 論 一非 事 延 応 二 、 五 、 十 四 右 告 言 之 罪 不 レ 軽 之 処 。 近 日 間 有 二 此 事 。 教 令 違 犯 之 罪 科 是 重 。 自 今 以 後 可 二 停 止 一也 。 若 猶 及 二 敵 対 一 怯 任 二 本 条 一可 レ 被 レ 行 二 重 科 一 也 。 離 婚 は 普 通 離 別 と 言 は れ 、 後 に は 離 婚 す る こ と を ﹁ 暇 を 与 へ る ﹂ と い い 、 夫 よ り 一 方 的 に 妻 に 対 し て な し 得 る も の で 、 妻 の 過 失 の 有 無 は 問 題 で な か っ た 。 離 別 後 出 生 の 男 子 は ﹁ 懐 妊 後 離 別 之 男 子 事 。 可 レ 付 レ 父 ﹂ と な っ て い る 。 一318一
所 領 の 伝 達 と 家 名 の 継 承 の た め 他 に 器 量 人 を 求 め て 養 子 と す る こ と は 自 由 で あ っ た が 、 特 別 の 場 合 を 除 い て は 、 御 家 人 は 御 家 人 の 子 を 養 子 と し た 。 死 後 の 養 子 は 後 に 制 限 さ れ た 。 老 毫 し た り 、 病 患 の た め 遁 世 し て 所 得 を 子 息 に 譲 る こ と も 普 通 で あ っ た が 、 老 年 に な ら な い の に 御 免 を 蒙 ら ず し て 出 家 し て 、 尚 所 領 を 知 行 す る な ど は 不 忠 で あ る の で 所 領 を 没 収 す と あ ろ 。 ( 四 ) 武 家 の 教 育 理 想 と し て は 頼 朝 が 佐 々 木 定 綱 に ﹁ 子 供 に 与 へ よ ﹂ と 言 い 送 っ た 書 に ﹁ 命 を 君 に ま ゐ ら す る ﹂ こ と を 申 し 含 め て い る し 、 北 条 重 時 家 訓 に も 奉 公 宮 仕 の 覚 悟 を 説 い て 忠 の 本 義 を の べ て い る 。 忠 孝 の 思 想 は 室 町 、 戦 国 と な っ て い よ い よ 強 め ら れ て い っ た 。 武 家 の 女 子 も こ れ に 従 っ た 。 女 性 に 対 し て の 貞 操 観 念 の 要 求 も こ の 時 代 か ら 要 求 さ れ る よ う に な っ た 。 し か し 貞 女 二 夫 に ま み え ず と い う よ う な 厳 格 な も の で は な か っ た 。 女 性 は 柔 順 で 嫉 妬 し な い こ と が 教 え ら れ て い る 。 女 の 心 を も つ べ き 事 、 む か し よ り 今 に い た る ま で 、 女 は や さ し く 事 の の び や か な る を ほ ん と せ よ 。 よ く よ く 心 得 給 ふ べ し 。 物 を ね た む 事 、 返 々 心 せ ば き と す 。 一 河 の な が れ を く み 、 袖 ふ り あ は せ だ に も 多 生 の ち ぎ り 也 。 一 夜 の か た ら ひ な り と も 先 世 の ち ぎ り ふ か か る べ し 。 い ま を は じ め と お も ふ べ か ら ず 。 又 え ん つ き な ば 、 い か ば か り ふ か か れ と 申 候 と も 、 か な ふ べ か ら ず 。 来 る も 去 る も 因 果 な り と 心 得 て あ る べ し 。 さ れ ば 心 に は ん ゑ ん と て 、 せ う せ う お も は ず な る 事 あ り と も 、 心 ざ ま の よ き に は ち 、 あ し き に は な ろ る 也 。 物 に 心 得 や さ し け れ ば 、 男 も は つ か し く お も ひ 、 い と を し み み る か し 。 昔 今 ひ き か け お ほ し 。 え ん つ き て 其 男 に は な る る 事 も 、 又 え ん は や し 。 よ そ に て 見 つ る も き く も 、 や さ し き 事 に 申 候 也 。 佛 神 も あ は れ み 今 生 後 生 め で た き な り 。 (北 条 重 時 家 訓 ) 室 町 時 代 に な る と 三 従 と い う こ と が 女 子 教 育 の 目
的 と し て か か げ ら れ る よ う に な り 、 こ れ が こ の 後 永 く 女 子 教 育 の 理 想 と し て 支 配 的 地 位 を 占 め る に 至 っ た 。 鎌 倉 時 代 の 最 も 中 心 と し て 活 躍 し て 生 き た の は 武 士 で あ る 。 こ の 人 々 は 平 安 時 代 の 貴 族 的 な 面 は な く 、 ま た 儒 教 的 思 想 の 影 響 も う け な か っ た 。 鎌 倉 武 士 と し て 後 代 に 伝 え ら れ る 武 将 は 多 く 幼 時 を ﹁ め の と 子 ﹂ と し て 農 村 で 過 し て き た も の で あ り 、 成 長 し た 後 も 、 後 世 の 武 将 と 異 な り 女 性 の 地 位 は 相 当 に 高 か っ た 。 北 条 重 時 は 泰 時 の 弟 で 、 六 代 執 権 長 時 の 父 で あ る 。 六 波 維 探 題 と し て 永 年 令 名 あ り 、 北 条 氏 の 重 鎮 で あ る 。 こ の 人 の 家 訓 に 次 の よ う な こ と が か か げ ら れ て い る 。 一 、 わ が 妻 子 の 物 申 さ ん 時 は 、 能 き ・ 給 ふ べ し 一 、 人 の 妻 を ば 心 を よ く く 見 て 一 人 を 定 む べ し 。 か り そ め に も 其 外 妻 を さ だ め て 、 か た ら ふ 事 な か れ 。 こ れ が 鎌 倉 武 士 の 女 性 観 と み て よ か ろ う 。 鎌 倉 武 家 女 性 の 代 表 と し て よ く ひ か れ る 、 弘 安 の 役 に 際 し て 、 一 族 郎 党 、 馬 、 物 の 具 を 引 き 具 し て 息 子 と 聾 と を 応 召 せ し め た 尼 真 阿 の ﹁ 田 中 文 書 ﹂ を か か げ よ う 。 建 治 二 年 は 文 永 の 役 の 二 年 後 、 弘 安 の 役 の 五 年 前 で あ る 。 建 治 二 年 三 月 廿 五 日 御 書 下 、 昨 日 閏 三 月 二 日 到 来 、 畏 拝 見 仕 候 事 。 抑 被 二 仰 下 一候 為 二 異 国 征 伐 一 、 人 数 交 名 並 乗 馬 物 具 員 数 等 事 子 息 三 郎 光 重 、 聾 久 保 三 郎 公 保 、 以 レ 夜 継 レ 日 企 二 参 上 一 候 へ ば 、 令 二 申 上 一 候 、 以 二 此 旨 一 且 可 レ 有 二 御 披 露 候 恐 捏 謹 日 閏 三 月 三 日 北 山 室 地 頭 尼 真 阿 室 町 時 代 と な っ て も 公 卿 や 農 民 の 生 活 は あ ま り 変 化 は な か っ た が 、 武 士 は 実 際 に 世 を 動 か す 力 が あ っ た だ け に 激 し く 変 化 し て き た 。
鎌 倉 幕 府 の 衰 え た 頃 か ら 室 町 時 代 の 初 期 に か け て 動 乱 が 五 十 余 年 も 続 い た た め 、 豪 族 の 大 名 化 を 来 し 、 大 多 数 の 武 士 を 擁 す る よ う に な り 、 農 村 の 若 者 が 土 地 を 離 れ て 武 士 と な っ た 。 国 内 は 進 取 の 活 気 に あ ふ れ た が 、 家 庭 内 で も 次 第 に 変 化 が お き た 。 家 と 家 と の 力 に よ る 争 は 男 性 の 智 力 と 体 力 を 必 要 と し た 。 こ こ に 家 長 権 の 増 大 が 自 然 に 起 っ て き た 。 分 割 相 続 は 家 の 力 を 弱 め る の で 単 独 相 続 に と な る の で あ る が 、 特 に 女 子 は 普 通 は 他 家 に 嫁 ぐ の で 与 え 難 い 。 経 済 的 に 家 長 の 支 配 下 に 入 っ て し ま っ た 。 伊 達 家 の ﹁ 塵 芥 集 ﹂ を み る と 女 子 に 与 え た 土 地 に つ い て は 時 効 を 認 め ず 惣 領 に か え さ せ て い る 。 こ れ は 女 子 に コ 期 分 ﹂ を 限 っ て 所 領 を 与 え た こ れ ま で の 慣 例 が 廃 さ れ た こ と の 現 れ で あ る 。 先 祖 の 判 問 答 の 事 、 今 知 行 の 人 、 廿 一 年 過 候 者 、 改 め 沙 汰 に あ た ば ざ る な り 、 但 女 子 譲 り の 地 た ら ば 、 た と ひ 多 く の 歳 を ふ る と い ふ と も 、 か き わ け の 文 書 に 仔 細 な く ば 、 全 く 惣 領 へ 返 し 付 べ き な り 。 ( 塵 芥 集 ) ﹁ 長 曽 我 部 元 親 百 箇 条 ﹂ に は 父 母 隠 居 の 法 定 分 配 制 を 設 け て 、 母 を 父 の 二 分 の 一 と 定 め て あ る 。 親 類 中 へ 之 別 分 之 事 、 其 父 に は 分 限 十 分 一 、 母 に は 廿 分 一 、 但 父 母 一 所 に 在 レ 之 者 父 へ の 以 二 別 分 、 あ い と も に 可 レ 令 二 勘 忍 一 。 結 婚 に は 親 の 同 意 が 必 要 で あ り 、 父 母 の 意 見 が 異 な る 場 合 に は 父 の 意 見 に 従 う べ き も の と さ れ た 。 縁 約 争 論 の 事 、 一 人 は 父 に つ ゐ て こ れ を 定 む 、 一 人 は 母 に 付 て 申 定 む る の 上 、 問 答 あ り 、 父 に 付 て 申 定 む る 方 の 、 理 運 た る べ き な り 。 (塵 芥 集 ) 長 曽 我 部 家 で は 侍 分 の 結 婚 に つ い て 届 出 を 規 定 し て い る 。 今 川 氏 親 の 作 っ た ﹁ 今 川 仮 名 目 録 ﹂ に は 他 国 者 と の 結 婚 を 禁 止 し て い る 。 ま た 同 じ 国 の 武 士 は い う に 及 ば ず 、 村 役 人 か ら 百 姓 町 人 に い た る ま で 、 結 婚 に あ た っ て は そ れ ぞ れ 上 役 の 許
可 が 必 要 で あ っ た 。 他 面 女 性 を 政 略 の 道 具 と す る 政 略 結 婚 が 強 制 さ れ る に 至 っ た 。 織 田 信 長 の 妹 、 お 市 の 方 は 、 そ う し た 戦 国 大 名 の 娘 や 妻 た ち の 不 幸 な 代 表 者 で あ ろ う 。 政 略 結 婚 の 多 い 戦 国 大 名 た ち の 生 活 は 妻 を 信 ず る こ と も で き ぬ き び し く 、 あ わ れ な も の も 多 か っ た 。 密 通 は 殺 せ と し て あ り 、 ﹁ た と え 夫 婦 の 仲 で も ひ と と き も 刀 を 忘 れ ぬ よ う に ﹂ と あ る 武 田 家 法 を は じ め 女 性 の 能 力 や 人 間 性 を 認 め な い 家 法 が 多 い 。 ひ つ く わ い の や か ら 、 本 の 夫 の 方 か ら 生 害 い た さ す る 之 時 、 女 を た す く る 事 法 に あ ら ず 、 た 曾 し ね や に 於 て 打 つ 時 女 房 う ち は つ し 候 は 乎 、 打 手 の 越 度 有 る べ か ら ざ る な り 。 (塵 芥 集 ) 他 人 女 ぬ す む 事 。 縦 盤 レ 為 二 歴 然 一 、 男 女 共 同 前 不 二 相 果 一者 、 可 レ 行 二 死 罪 一。 付 、 親 類 令 二 同 心 討 一事 、 非 道 之 上 可 レ 為 二 曲 事 一 事 、 右 男 ふ が い な く 、 又 者 留 守 之 時 、 外 聞 相 洩 、 於 一一狼 族 一 者 、 在 所 中 と し て 可 二 相 果 一候 事 。 ( 長 曽 我 部 元 親 百 箇 条 ) 嫉 妬 之 替 堅 可 二 申 付 一事 、 云 緩 レ 堅 引 レ 賊 媒 、 面 塗 レ 粉 引 レ 婬 媒 、 ( 信 玄 家 法 ) 毎 事 不 レ 可 二 油 断 一 事 、 論 語 口 、 吾 日 三 二 省 吾 身 一、 付 、 縦 難 レ 在 二 夫 婦 一 所 一 、 珈 不 レ 可 レ 忘 レ 刀 事 、 殺 人 刀 活 人 剣 、 又 於 二 風 呂 一 顔 並 両 手 之 垢 不 レ 可 レ 執 レ 人 事 、 又 不 断 不 レ 可 レ 燃 二 挑 灯 一 事 、 (信 玄 家 法 ) 万 事 妻 妾 の 口 入 可 レ 禁 レ 之 。 女 人 の 執 行 に 依 て 、 敗 を 取 事 、 聞 多 し 。 往 古 の 流 例 に し て 、 今 案 に 非 ず 。 尤 深 く 可 二 相 惇 之 事 。 (織 田 家 法 ) 男 留 守 之 時 、 其 家 へ 座 頭 、 商 人 、 舞 々 、 猿 楽 、 猿 遣 、 諸 勧 進 、 此 類 或 錐 レ 為 二 親 類 一 、 男 一 切 立 入 停 止 也 。 若 相 煩 時 者 、 其 親 類 令 一一 同 心 一 、 白 昼 一 つ 見 廻 、 錐 ・ 為 二 奉 公 人 ﹁ 、 門 外 に て 可 ・ 遂 レ 理 事 、 但 親 子 兄 弟 可 レ 為 二 各 別 一 事 。 同 留 守 之 時 、 佛 、 神 物 詣 、 見 物 一 切 停 止 之 事 、 付 、 年 忌 、 月 忌 寺 に 而 可 レ 勤 之 事 、
同 留 守 之 時 、 第 一 出 家 出 入 曽 以 禁 制 也 。 付 、 祈 疇 之 時 可 レ 為 一一各 別 一 事 。 (長 曽 我 部 元 親 百 箇 条 ) 北 条 早 雲 も 家 法 の 中 に 、 夫 た る も の は 夕 に は 台 所 な ど を 自 ら ま わ り 、 火 の 用 心 に 気 を つ け る べ き で あ り 、 ﹁ 女 房 は 高 き も 賎 し き も 左 様 の 心 な く 、 家 財 衣 装 を 取 り ち ら し 、 油 断 多 き こ と 也 ﹂ と の べ て い る 。 一 、 ゆ う べ に は 台 所 中 居 の 火 の 廻 り 我 と み ま は り か た く 申 付 、 其 外 火 の 用 心 を く せ に な し て 、 毎 夜 甲 付 べ し 。 女 房 は 高 き も 賎 し き も 左 様 の 心 得 な く 、 家 財 衣 裳 を 取 ち ら し 由 断 多 き こ と 也 。 人 を 召 仕 候 共 、 万 事 を 人 に 計 付 べ き と お も は ず 、 我 と 手 つ か ら し て 様 躰 を し り 、 後 に は 人 に さ す る も よ き と 心 得 べ き 也 。 (早 雲 殿 廿 一 箇 条 ) ( 五 ) 女 人 に 三 従 あ り と か や 、 親 に は じ め は 身 を ま か せ 、 盛 り は を と こ に 従 ひ て 、 老 の 末 に は 子 を 頼 む 。 ( 唯 心 房 集 ) こ の 哀 調 を も つ 今 様 は 単 な る 仏 教 思 想 よ り な る 訓 戒 に す ぎ な い の か も 知 れ な い が 、 鎌 倉 室 町 時 代 特 に 室 町 時 代 か ら の 女 性 の い つ わ ら ざ る 心 情 と も 思 わ れ る 。 三 従 思 想 ば 儒 教 道 徳 に 由 来 す る も の で あ る と と も に 、 仏 典 に も し ば し ば 出 て く る 語 で あ る 。 儒 仏 両 面 よ り 育 っ て 来 た 三 従 思 想 は 、 鎌 倉 至 町 時 代 と な っ て 五 障 三 従 の 語 と し て 種 々 の 文 献 に 散 見 す る 。 三 従 の 語 感 は 隷 属 、 屈 従 と い う 暗 い か げ と あ き ら め の 感 じ を 与 え る 。 し か し 別 の 面 か ら み る と き 、 和 辻 哲 郎 博 士 も い っ て い ら れ る よ う に 、 武 士 社 会 に お け る 献 身 の 道 徳 の 伝 統 と 密 接 な 関 係 を も つ も の で あ る 。 こ の 時 代 の 女 性 は 親 ・ 夫 ・ 子 に 対 し て 無 我 の 献 身 に 生 き 抜 い た 。 生 き 抜 く の を 理 想 と し た と 思 わ れ る 。
或 抄 物 に か け る 女 の 身 体 の 事 、 大 か た 若 き 時 は 父 に し た が ひ 、 人 と 成 っ て は お つ と に し た が ひ 、 老 て は 子 に し た が ふ 也 。 こ れ を 三 従 と 申 也 。 源 氏 の 物 語 な ど に も 、 三 に し た が ふ と 書 け り 。 先 女 は い か に も 心 や は ら か 成 べ し 。 ( 宗 五 大 草 紙 ﹁古 人 の 申 し お け る 事 ﹂ の 条 ) 幽 斎 是 を 聞 召 、 大 き に い か り 給 ひ つ つ 、 御 息 女 を よ び 出 し 、 汝 は 三 従 の 道 を し ら ざ る 也 。 そ れ 女 と い ふ も の は 、 人 に 随 ふ 物 な れ ば さ し て 教 の 道 は な く 、 唯 三 従 の 道 ば か り 也 。 親 の 家 に 有 時 は 父 母 に 相 随 ひ 、 人 の 家 に 参 り て は 夫 の 心 に た が は ぬ な り 、 老 て は 夫 に わ か る れ ば 我 子 に し た が ふ 習 に て 一 生 み ず か ら 心 を 遂 る 所 は な き 者 ぞ 。 (丹 州 三 家 物 語 ) 娘 時 代 の 女 性 献 身 の 歴 史 は 慈 愛 深 い 父 母 に 生 別 死 別 し て か ら 初 ま ろ こ と が 多 い 。 十 二 才 の と き 信 濃 か ら 母 を 慕 っ て 鎌 倉 に 入 り 、 石 牢 に こ め ら れ て い る 母 に 、 九 ヶ 月 の 間 密 か に 孝 養 を つ く し 、 後 今 様 を 歌 っ て 頼 朝 の 御 感 に 入 り 、 引 出 物 の 代 り に 母 の 赦 免 を 願 っ て 許 さ れ 、 故 郷 に 帰 り 親 子 睦 じ く 暮 し た と い う ﹁ 唐 締 草 紙 ﹂ の 万 寿 姫 を は じ め と し て 、 出 家 し た 父 を 慕 い 高 野 山 に 父 を 尋 ね て い き 、 尼 に な り 父 の 居 る 山 の 麓 に 住 み 、 父 の 死 ぬ ま で 洗 濯 ・ 裁 縫 な ど の 面 倒 を み た 話 ( 発 心 集 第 一 高 野 山 筑 紫 上 人 出 家 登 山 事 ) や 、 関 東 の あ る 山 寺 の 老 僧 が 中 風 で 倒 れ て 久 し く 患 っ て い る 時 、 女 人 が ど こ か ら と も な く 現 れ 、 親 切 に 看 護 し て く れ た 。 病 人 が 不 審 に 思 っ て 尋 ね る と 、 昔 若 気 の 過 ち を し た 者 の 娘 で あ っ た 話 ( 沙 石 集 第 四 上 人 女 父 之 看 病 事 ) な ど 多 い 。 こ の 話 の 終 り に ﹁ 人 ノ 子 二 、 男 子 ヨ リ モ 、 女 子 ハ 孝 養 ノ 心 モ 侍 リ 、 養 育 ノ 勤 モ 、 ネ ム ゴ ロ ナ ル 事 申 モ 、 コ ト ワ リ ニ コ ソ ﹂ と 記 し て い る 。 女 性 に と っ て 最 大 の 問 題 は 結 婚 生 活 で あ る 。 ﹁ 黄 金 庫 取 ら う か 器 用 の 好 い 殿 取 ら う か 。 い や お り や よ か ら う 器 用 の 好 か ら う 貧 な 殿 を 四 (室 町 時 代 小 歌 集 ) の よ う に 貧 乏 な 結 婚 生 活 に は 苦 労 が 絶 え な い 。 夫 の 貧 窮 の た め に 友 人 と の 交 際 に 苦 慮 し て い る の を み て 、 自 分 の 所 持 品 を 売 払 っ て 、 夫 に 尽 し た 話 は 既 出 の 通 り で あ る 。 夫 の 重 病 の 回 復 を 祈 っ て 遂 に 命 を 落 し た
新 田 四 郎 忠 常 の 妻 、 さ ら に 夫 の 跡 を 慕 っ て 出 家 し た 妻 や 自 殺 を 遂 げ た 妻 等 は 軍 記 物 語 は じ め 謡 曲 そ の 他 に あ げ る に 暇 の な い ほ ど で あ る 。 夫 に 先 立 た れ た 後 の 女 性 に と っ て は 子 に 頼 る よ り 仕 方 が な い 。 母 の 子 を 思 う 愛 を 描 い た 話 は 多 い が 、 こ の 時 代 に は 子 に 従 う よ う に な っ た 運 命 を 描 い た も の が 多 い 。 黒 髪 は 当 時 女 の 生 命 と す る も の で あ っ た 。 そ の 黒 髪 を 切 っ て 金 に 代 え 、 子 に 贈 物 と し た 話 が 発 心 集 (第 五 正 等 僧 都 母 為 子 志 深 事 ) や 、 金 沢 文 庫 に あ る 院 源 僧 正 事 に で て い る 。 子 を 愛 し 、 子 に 従 う 哀 話 、 悲 話 は 謡 曲 や 御 伽 草 子 に 多 い が 、 子 の 不 孝 を 歎 き 悲 し ん だ 次 の 文 は ま た 哀 れ で あ る 。 を の れ ら 数 多 育 て て は 、 老 の 行 末 か か ら む と 、 楽 し び し こ と 飛 鳥 の 、 明 日 と も 知 ら ぬ 此 姫 を 、 哀 れ と 思 は ぬ は か な さ よ 。 朝 夕 付 添 ひ あ つ か へ と 、 い は ば こ そ 憎 か ら め 。 十 日 に 一 度 い か な れ ば 、 か か る 齢 の 老 の 身 を 、 な ど か み る め の な か る ら む 。 (常 盤 娼 物 語 ) ( 六 ) 聾 女 狂 言 は 現 存 す る の は 二 十 八 曲 で あ る 。 夫 婦 生 活 を 描 い た 女 狂 言 に 現 わ れ て く る 女 性 は 室 町 時 代 庶 民 の 赤 裸 々 な 姿 と 思 わ れ る 。 そ の 夫 婦 関 係 は 妻 が 気 が 強 く 男 勝 り な の に 反 し 、 夫 は 気 の 弱 い 臆 病 な 男 で あ る 場 合 が 多 い 。 妻 の 強 さ は ﹁ 世 帯 の こ と ・ 申 せ ぱ 夜 を 日 に 継 い で 油 断 な く か せ ぎ ま す る ﹂ ﹁ 屋 根 の 漏 り ま で わ ら は に さ せ ま す る ﹂ ( 石 神 ) と い う よ う に よ く 働 く 実 力 者 で あ る 。 そ れ に 反 し て 男 は 、 ﹁ そ れ を さ い は い に 、 何 か を 彼 に ま か せ 遊 び 歩 き ﹂ ( 石 神 ) や 、 ﹁ あ な た の 連 歌 、 こ な た の 初 心 講 の と い う て 、 そ れ か ら こ れ へ 、 こ れ か ら あ れ へ と な っ て 、 あ ま り の 面 白 さ に 久 し う 宿 へ 戻 ら な ん だ 。 そ の よ う に 面 白 い 面 白 い と 言 う て 、 連 歌 に 心 を 奪 わ れ て 、 夜 泊 り 日 泊 り を 召 さ れ 、 内 に は 水 の 絶 え を も か ま わ せ ら れ ぬ
か 。 も は や わ ら わ も は っ た 堪 え が と う ご ざ る 凶 ( 箕 被 ) な ど と 離 縁 を 申 し 出 ら れ て 夫 は あ わ て て 引 き と め る 策 を 練 り に か か る 次 第 で あ ろ 。 ( 鎌 腹 ) の 女 ば 、 ﹁ あ の 男 め は 、 三 界 を 家 と し て 、 夜 泊 り 、 日 泊 り を 致 し 、 屋 根 の 漏 り ま で さ せ ま す る 。 今 日 た ま た ま 戻 り ま し た に よ っ て 、 山 へ 行 っ て 木 を こ っ て 参 れ と 申 せ ば 、 な ん の か ん の と 申 し 参 り ま せ ぬ 。 あ の よ う な 者 は 生 け て お い て 役 に 立 ち ま せ ぬ 。 そ こ を 退 か せ ら れ い 。 う ち 殺 い て わ ら は も 死 ん で の け ま し よ う 凶 と 棒 を も っ て 追 い 廻 す 。 夫 は 仕 方 な く 鎌 で 腹 を 切 ろ う と ま で 思 う が 、 切 る こ と が で き ぬ 臆 病 者 で あ る 。 こ れ ら 離 縁 を 求 め る 女 も 結 果 に は 和 合 に 至 る の は 古 今 の 人 情 の 機 微 で あ ろ う 。 ( 因 幡 堂 ) の 夫 は 、 大 酒 飲 み の 妻 が 親 里 へ 逗 留 に 行 っ た の を さ い わ い 離 縁 状 を や り 、 後 妻 を 求 め に 因 幡 堂 へ 妻 乞 に 行 っ た の を 知 っ た 女 は 、 工 夫 を こ ら し 東 門 の 一 の 階 に 立 っ た 申 し 妻 に な り す ま し 、 つ い に 復 縁 し て し ま う 。 ( 引 く く り ) の 女 は 、 離 縁 状 を 親 里 に 届 け ら れ 、 怒 っ て 夫 の 家 に 戻 っ て 暇 の し る し を く れ と 言 い 、 何 な り と 好 き な 者 を 持 っ て 行 け と 言 わ れ て 、 夫 の 首 に 袋 を 打 ち か け 、 引 っ く く っ て 行 こ う と す る 。 夫 婦 も の の 狂 言 は 武 士 の 世 界 の 三 従 の 精 神 の か げ は な く 、 男 女 対 等 の 夫 婦 愛 の 姿 で あ る 。 ( 鈍 太 郎 ) は 訴 訟 の こ と で 三 年 西 国 に 下 っ て い た が 、 訴 訟 が 思 い ど お り に 解 決 し た の で 都 に 帰 り 、 下 京 の 本 妻 の 家 に く る と 、 表 の 戸 が さ し て あ る 。 戸 を た た い て 西 国 か ら 鈍 太 郎 が 帰 っ た か ら 開 け て く れ と い う と 、 女 ﹁ こ れ の 鈍 太 郎 殿 は 三 年 以 前 に 西 国 へ 下 ら れ て 留 守 で ご ざ る 。 ま た あ た り の 若 い 衆 の な ぶ ら せ ら る る も の で ご ざ ろ う 。 開 く る こ と な り ま せ ぬ 凶 男 ﹁ な が く の 留 守 じ ゃ に よ っ て 、 若 い 衆 の な ぶ ら せ ら れ た こ と も あ ろ う が 、 今 は ま こ と の 鈍 太 郎 が 仕 合 わ せ よ う 戻 っ た ほ ど に 、 こ こ を 開 け さ し め 開 け さ し め 凶 女 ﹁ そ の 上 三 年 が 問 、 文 の 音 信 も ご ざ ら ぬ に よ っ て よ も や ま こ と の 鈍 太 郎 殿 で は ご ざ り ま す ま い 。 開 く る こ と は な り ま せ ぬ 凶 男 ﹁ そ の 恨 み は も っ と も じ ゃ 。 某 も 音 信 を し と う は あ っ た れ ど も 、 訴 訟 に 暇 が 無 う て 音 信 も せ な ん だ 。 そ の 言 訳 は 内 へ 入 っ て し ょ う ほ ど に 、 ま つ こ こ を 開 け さ し
め 凶 女 ﹁ た と い ま こ と の 鈍 太 郎 殿 に も せ よ 、 開 く る こ と は な り ま せ ぬ 凶 男 ﹁ そ れ は な ぜ に ﹂ 女 ﹁ ハ テ 待 っ ほ ど こ そ 待 と う ず れ 、 三 年 が 間 文 の 音 信 も ご ざ ら ぬ に よ っ て 、 今 で は 棒 使 い を 夫 に 持 っ て ご ざ る 凶 男 ﹁ ヤ イ ヤ イ ヤ イ 、 ヤ イ そ こ な や つ 。 お の れ は 憎 い や つ の 。 わ つ か 三 年 ば か り の 留 守 を 待 ち か ね て 、 誰 に 暇 を 貰 う て 夫 を 持 っ た 。 そ の つ れ を 言 う て こ こ を 開 け ず ば 、 踏 み 破 っ て は い ろ う が 、 開 け ま い か 開 け ま い か 開 け ま い か 四 女 ﹁ の う 腹 立 ち や 腹 立 ち や 、 こ れ は ど れ に ご ざ る ぞ 。 あ の 狼 籍 者 を 棒 で 打 ち な や い て 下 さ れ い の 。 の う 腹 立 ち や 腹 立 ち や 凶 男 ﹁ こ れ は い か な ご と 。 さ す れ ば き ゃ つ は ま こ と 夫 を 持 っ た と み え た 。 さ て さ て 憎 い や つ で ご ざ る 。 さ り な が ら 、 き ゃ つ は 心 ば え が 悪 し ゅ う ご ざ る に よ っ て 、 い つ ぞ は 暇 を つ か わ そ う つ か わ そ う と 存 じ て ご ざ る 。 こ れ を さ い わ れ に 暇 を つ か わ そ う と 存 ず る 凶 さ て 上 京 の 女 の 方 へ よ る と 、 同 じ よ う に 長 刀 使 い を 夫 に 持 っ た と 開 け て く れ な い 。 鈍 太 郎 は 二 人 の 女 に 見 捨 ら れ 出 家 す る 。 こ の 時 代 は 訴 訟 や 戦 争 の た め に 、 別 居 を 余 儀 な く さ せ ら れ る こ と も 多 か っ た 。 謡 曲 の ( 砧 ) は こ れ と 同 じ よ う な 条 件 だ が 妻 は 三 年 間 の 孤 閨 に た え か ね 、 秋 の 夜 長 に 砧 を う っ て 心 を ま ぎ ら せ て い た が 、 遂 に 病 死 す る 。 ( 芦 刈 ) ( 清 経 ) な ど も 哀 れ を 感 じ さ せ ろ が 、 狂 言 の 女 は 強 い 。 鈍 太 郎 の 女 は 上 京 の 女 も 下 京 の 女 も 、 夫 を 持 っ た と い う の は 嘘 で 、 僧 に な っ た 鈍 太 郎 を 二 人 揃 っ て と め に 行 く 。 し か し こ の よ う に 夫 の 留 守 中 、 他 の 男 と 結 婚 す る よ う な 例 も あ っ た か ら 、 鈍 太 郎 が さ て は と 思 っ た の で あ ろ う 。 ( 千 切 木 ) 鐘 歌 の 初 心 講 で 、 夫 、 太 郎 が 仲 間 は ず れ に さ れ た の を な じ り 、 反 対 に 多 勢 に 打 響 れ 、 さ ん ぐ に 踏 み つ け ら れ る 。 こ れ を 聞 い た 妻 が 、 棒 を も ち 小 刀 を 右 腰 に さ し て 、 ﹁ 男 が む ざ と 打 榔 に 会 う て よ い も の か 腹 立 た し や ﹂ と し り ご み す る 夫 を ﹁ 打 ち 果 い て 来 ず ぱ 宿 に 寄 せ ぬ 凶 と お ど す 。 太 郎 は 仕 方 な く ﹁ わ ご り よ も 行 っ て く る る か 凶 ﹁ 参 ら い で 何 と す る も の で ご ざ る ぞ 凶 と 妻 の 同 道 に 力 を 得 て 仲 間 の 家 に お し か け る 。 ( 右 近 左 近 ) で は 、 右 近 が 隣 の 牛 が 大 事 な 年 貢 を 出 す
田 を 食 っ た か ら 、 身 共 の 牛 に す る と と っ て し ま っ た 。 右 近 の 妻 は い ろ く と そ の 強 引 さ を た し な め る が 、 右 近 は ﹁ 公 事 に し て な り と も と っ て み せ る 口 と 力 む 。 あ げ く の 果 、 地 頭 に よ る 裁 判 の 予 行 を 女 房 に よ っ て 行 う こ と に な る 。 右 近 は 妻 の 烏 帽 子 を 召 し 、 太 刀 を 侃 き 、 御 門 を 構 え 、 番 衆 を 上 下 に 控 え て 威 儀 堂 々 た る 地 頭 の 姿 に 威 圧 さ れ る 。 来 ね ば よ か っ た も の を 、 こ わ い と 思 え ば 胴 は ふ る う 、 首 筋 が ぞ く く す る う ち 、 ﹁ 何 者 じ ゃ ﹂ と き め つ け ら れ 、 ﹁ も う よ う ご ざ る 、 帰 り ま し ょ う 凶 と 逃 げ 腰 に な っ て も も う お そ く 、 ﹁ ぬ か し お ら ぬ と 縛 る ぞ ﹂ と い わ れ 、 陳 述 も し ど ろ も ど ろ 、 つ い に ﹁ し さ り お れ ﹂ の 言 葉 に 右 近 は 目 を 廻 し て し ま う 。 ( 水 掛 堂 ) で は 日 照 り の た め に 、 睾 と 舅 と が 互 に 隣 の 田 の 水 を ﹁ か よ う の 日 照 り に は 水 の 取 り 勝 ち で ご ざ る ﹂ と 自 分 の 田 に と り あ う 。 は て は 聾 と 舅 の 組 み 合 と な る 。 そ こ え 女 が で る 。 ﹁ こ れ は い か な ご と 。 申 し 申 し 、 こ れ は 何 と ぞ 堪 忍 し て 下 さ れ い 凶 ﹁ 女 ど も 、 よ い 所 へ 来 た 。 早 う 舅 の 足 を 取 れ 足 を 取 れ 凶 ﹁ 父 様 の 足 を 凶 ﹁ 早 う 取 れ 凶 ﹁ 心 得 ま し た 凶 ﹁ ヤ イ 、 お の れ 親 の 足 を 取 る と い う こ と が あ る も の か 。 早 う 睾 が 足 を 取 れ 足 を 取 れ 凶 ﹁ 心 得 ま し た 凶 ﹁ ヤ イ 、 み ど も が 足 を 取 っ て み お れ 、 宿 に 置 く こ と で は な い 。 舅 の 足 を 取 れ 取 れ 凶 ﹁ 畏 っ て ご ざ る ロ 舅 の 足 を 取 り 二 人 で 舅 を 引 き 廻 す 。 ( 伊 文 字 ) ( 二 九 十 八 ) ( 釣 針 ) な ど は 所 謂 申 し 妻 も の で 、 妻 乞 の 祈 誓 を し て 妻 を う る 話 で あ る 。 被 衣 を と っ て あ ま り の 醜 女 に 逃 げ だ す 男 を 捕 え て く れ と 追 う 話 が 面 白 い 。 聾 狂 言 に は 聾 え ら び も の 、 聾 入 り も の な ど あ る 。 一 生 一 度 の 聾 入 り に 聲 入 り の 作 法 を 習 っ た こ と 、 舅 が 聾 を よ ろ こ び 迎 え る 様 子 な ど が う か が え る 。 舞 の 失 敗 を と り な し て ﹁ 苦 し う な い こ と ﹂ と 破 綻 に 終 っ て も よ い と こ ろ を と り な し て い る な ど 好 ま し い 姿 で あ る 。
お あ む 物 語 は 慶 長 五 年 の 関 ケ 原 の 役 に 、 石 田 三 成 の 大 垣 の 城 に い た 山 田 去 暦 の 娘 が 、 親 し く 体 験 し た 事 を 記 し た も の で あ る 。 こ の 女 は 後 に 父 に 従 っ て 土 佐 に 赴 き 結 婚 し 、 寛 文 頃 八 十 余 才 で 死 亡 し た と い う 。 と っ た 首 を 。 天 守 へ あ つ め ら れ て 。 そ れ そ れ に 。 札 を つ け て 。 覚 え お き 。 さ い さ い 。 く び に お は ぐ ろ を 付 て 。 お じ ゃ る 。 そ れ は な ぜ な り や 。 む か し は 。 お は ぐ ろ 首 は 。 よ き 人 と て 。 賞 翫 し た 。 そ れ 故 。 し ら 歯 の 首 は 。 お は ぐ ろ 付 て 給 は れ と 。 た の ま れ て 。 お じ ゃ っ た が 。 く び も こ は も の で は 。 あ ら な い 。 お れ が 親 父 は 。 知 行 三 百 君 と り て 居 ら れ た が 。 そ の 時 分 は 。 軍 が 多 く て 何 事 も 不 自 由 な 事 で 。 お じ ゃ っ た 。 勿 論 。 用 意 は 。 め ん く た く は へ も あ れ ど も 。 多 分 朝 夕 雑 水 た べ て 。 お じ ゃ っ た 。 お れ が 兄 様 は 。 折 々 山 へ 。 鉄 砲 う ち に 。 ま ゐ ら れ た 。 其 と き に 。 朝 菜 飯 を か し き て 。 ひ る め し に も 。 持 れ た 。 そ の 時 。 わ れ 等 も 菜 め し を も ろ う て 。 た べ て お じ ゃ っ た ゆ ゑ 。 兄 様 を 。 さ い く す す め て 。 鉄 砲 う ち に い か た び ら く と あ れ ば 。 う れ し う て 。 な ら な ん だ 。 さ て 。 衣 類 も な く 。 お れ が 十 三 の 時 。 手 作 の は な ぞ め の 帷 子 一 つ あ る よ り ほ か に は な か り し 。 そ の 一 つ の か た び ら を 。 十 七 の 年 ま で 着 た る に よ り て 。 す ね が で て 。 難 儀 に あ っ た 。 せ め て 。 す ね の か く れ る ほ ど の 帷 子 一 つ 。 ほ し や と 。 お も う た 。 此 様 に む か し は 。 物 事 ふ 自 由 な 事 で お じ ゃ っ た 。 ま た ひ る 飯 く ふ と い ふ 事 は 。 夢 に も な い こ と 。 夜 に い り 。 夜 食 と い ふ 事 も 。 な か っ た 。 今 時 の 若 衆 は 。 衣 類 の も の ず き 。 こ こ ろ を つ く し 。 金 を つ ひ や し 。 食 物 に い ろ く の こ の み 事 め さ れ る 。 沙 汰 の 限 な こ と と て 。 又 し て も 。 彦 根 の 事 を い う て 。 し か り 給 う ゆ ゑ 。 後 に は 。 子 ど も 。 し こ 名 を ひ こ 根 ば ば と い ひ し 。 戦 国 時 代 で 戦 に あ け く れ し て い た の で 仕 方 な い が 、 中 級 武 士 で こ の よ う な 状 態 で は 一 般 の 庶 民 の 上 が 思 い や ら れ る 。 お き く 物 語 は 元 和 元 年 大 阪 落 城 の 際 に 城 中 に い た 、 菊 と い う 二 十 才 の 女 の 体 験 し た こ と を 記 し た も の で あ る 。 菊 は 池 田 家 の 田 中 意 得 と い う 医 師 の 祖 母 で 、 八 十 三 才 で 備 前 で 死 亡 し た と い う 。
秀 頼 公 御 め し つ か ひ の 女 中 。 是 は 。 た だ か た び ら 一 つ に 。 下 お び も ひ と つ し て 。 居 ら れ 候 ゆ ゑ 。 べ し と て 。 わ が 帷 子 を ひ と つ ぬ ぎ 。 下 お び も ひ と つ と き て 。 そ の 女 中 に ま ゐ ら せ け る 。 そ れ に て は 。 難 儀 な る こ の 時 代 の 教 育 は 一 般 に 家 庭 に お い て 行 わ れ 。 両 親 の 躾 を う け 、 母 親 よ り 女 の 業 で あ る 衣 食 に つ い て の 実 技 を う け つ い だ も の で あ る 。 こ の 当 時 の 学 校 教 育 形 態 で あ る 寺 院 へ 登 山 し た り 、 通 字 し た り し た 女 性 は な く 、 た 掌 次 の 記 録 を み る だ け で あ る 。 キ リ シ タ ン の 学 校 ( 耶 蘇 会 の 学 校 制 度 岡 本 艮 知 訳 ) の 初 等 学 校 に 通 っ た 生 徒 は 、 島 原 ( 肥 前 ) 永 禄 六 年 ( 一 五 六 一二 年 ) 通 学 児 童 数 は キ リ シ タ ン 児 童 の 中 男 七 〇 人 女 若 干 名 が 通 学 し た 。 主 な 参 考 書 朝 日 新 聞 社 岩 石 井 覧 堀 上 波 書 泰 書 店 謙 清 彦 店 紅 と 紺 と 日 本 の 女 性 中 世 武 家 家 訓 の 研 究 日 本 女 性 史 日 本 学 校 史 の 研 究 中 世 法 制 史 資 料 日 本 教 育 資 料 ・ 日 本 古 典 文 学 大 系 ・ 岩 波 文 庫 一330一