神戸市看護 大 学 紀 要
Vol.1,
pp.
33−38,1997
高齢 者世
帯
の
栄 養摂 取状況
の
特徴
に
つ いて
笠松隆
洋
’
,橋本 勉
2“
,吉 岡
隆之
’
“
神 戸 市 看 護 大学健康科 学・
行 動 科 学 系,
21和 歌 山 県 立 医 科 大 学 公 衆 衛 生学 教 室Characteristics
ofNutritional
Status
in
Aged
Households
Takahiro
KASAMATs
ピ,
Tsutomu
HASHIMOTO2
零
andTakayuki
YOSHIQKA
寧
’
Departmentof Health and Behavioral Science
,
Kobe City College of Nursing; z’
Department of Public Health,
Wakayama Medical CollegeAbStract
The
arrival of a genuine aged societyin
Japan
has
caused growing concern about the role of nutritionin
goodhealth
and perfQrmance of elderly persons,
To
clarify the nutritional statusin
the agedhouseholds
,
we evaluated the results of a nutritionalsurvey of residents
in
Wakayama
prefecture.
Households
consisting of onlypersons
aged65
and overwere classified into those consisting of a single person (aged single households)and
those
consisting of acouple(aged couple
households
).
The
intakes
according tQ nutrients andfood
grQups perday
per capitain
thesehouseholds
were compared with thosein
allhouseholds
in
this prefecture.
1
)Concerning
nutrientintakes
,
the
intakes
of energy,
protein,
fat,
carbohydrate and vitaminB
L were significant !ylower
in
the aged singlehouseholds
thanin
allhouseholds
.
In
the aged couplehouseholds
,
only the
fat
intake was significantly lower than that in all households,
but the vitaminC
illtake was significantly higher.
2
)As
tointakes
offood
groups,
the aged singlehouseholds
showed a significantlyhigher
intake
offruits
but
significantly 上owerintakes
of rice,
wheat,
oils andfats,
vegetables and meats than all house−
holds.
On
the otherhand,
the aged couplehouseholds
showed significantlylower
intakes
of wheat,
oilsand
fa
七s,
and rneatsbut
significantlyhigher
intakes
of sugar,
fruits,
pickles and fishes and shellfishesthan all households
.
These results suggest dietary problem such as
low
intakes
of energy,
protein
andfat
according tonutrients and
low
intakes
of oils andfats,
vegetables,
and meats accordingto
food
groupsin
aged single households amonghouseholds
consisting of on 玉y aged persons.
Key words :Nutritional status (栄 養摂取状況)
,
Aged households (高齢者世帯),
Nutritional
Structure
ofhousehold
(世 帯 構 造 ) survey (栄養調査 ),
は じ めに わが国は世 界に類を み ない速さで高 齢化が進 行して おり,
この高齢化は高齢者世帯の増 加 を もた らすこと にな る。1975
年に家族の中に65
歳以上の者のい る世帯 数は約712
万世帯で あっ た も の が,1995
年に は約1270
万世帯と,
78.
4%の増 加と なっ て い る。 また,
老 人の 「夫 婦の みの世 帯 」は93
万 世 帯か ら308
万 世 帯に,
老 人 の 「単 独世帯」は61
万世帯か ら220
万 世 帯に,
そ れ ぞ れ230
%,260
% と大幅に増加 して いる1) 。 この よ う な 状 況にあっ て,
いかに して高 齢 者の健 康の保 持 増 進 を 図る かとい うこ とは,
今 後の重 要な課 題である。
厚生省は国民が高齢に なっ て も活 発な社 会生活が送 れ る よ う,
国 民 健 康づく り事 業 を推 進 してお り,
その 柱の一
つ に栄 養を取り上 げ,
バ ラン ス の とれた食事を と ること を推奨して い る2 ) 。 高 齢 者の食 生 活の改 善や栄養指 導を行う た めに は,
食 生 活の実 態を把 握 するこ と が不 可 欠で あ る。 高齢者 の食 生 活の実 態につ いて,
個 人 を対 象 と した 調 査は多 い S−
9 )が,
高 齢 世帯の食 生活を一
般 世 帯と比 較 検 討 し34
神戸市看護 大学紀要Vol.1,1997
た報告は少ない1°−
12) 。 在 宅高齢 者の食事は同一
世 帯内 で の ことであり,
世 帯にお ける摂取 とい う観点か ら検 討 しなけ れ ば 栄 養 改 善にっ な が る形で,
その実 態や問 題 点 を 把 握 することがで きない と考え る。
著者ら は和 歌 山 県 民 栄養調 査 成績を用いて,
高 齢者 の栄 養 摂 取 状 況 を世帯 単位に分 類 し た上で,
地 域一
般 世 帯 と比 較 し,
どの ような 特 徴 がみられる か検 討 した の で報告する。 研 究 方法
1 .
調 査 対象と方 法1991
年に国 民 栄養調 査13)に 準 じて和 歌 山 県 民 栄養調 査 が行わ れ た。 調査対象と なっ た774 世帯の う ち, 世 帯 員がすべ て65
歳以上の世帯を高齢者 世帯として抽 出 した。 その結 果,
高 齢 者世帯 は表1
に示 すよ うに207
世帯であ り,
全世帯に占め る割 合は26.
7%で あっ た。 こ の高 齢者世帯を, さ らに単独世帯 (70 世帯), 夫 婦 の みの世帯 (126
世帯 ),
その他の世帯 (11
世 帯 )に分 類し た。 栄 養 摂 取状況は,
各 世 帯が食 物 摂 取 状 況 記 入 帳に記 入 した3
日間の摂取食品を,3
日分と り ま と めて各 食 品 別に純摂取量を累計し た。 栄 養 価は 「第 四次改 訂 日 本 人の栄 養 所 要 量 」か ら算 定 した。
栄 養 素 等 摂 取 量 お よび食 品群別 摂取量にっ いて は世帯1
人1
日当たりの 摂 取 量と して算 出し た。2
.
解析 方法 高齢 者世帯 (総数,
単独世 帯, 夫 婦のみの世帯)の1
人1
日当たりの平均栄 養素等摂取量 お よ び平 均食品 群 別摂取 量を全世帯にっ い て求め た値と比較し た。 さ らに, 高齢者 世帯の うち, 単独世 帯と夫婦のみの世 帯 間につ い て も栄 養摂取状 況の比較 検討を行っ た。 各世 帯 間の有意差 検定にはt一
検定を 用いた。 表1 世 帯構造 別に み た世帯数および世帯 員数 世 帯 員 数 世 帯構造 世帯数 総数0 〜 10〜 20〜 30〜 40〜 50〜 60
〜70〜 80
歳9
歳 19歳 29 歳39
歳49
歳59
歳69
歳79
歳 以上亠
口
同 齢 者 世 丗 冊 単独 世帯 夫婦のみ その他 計7012611
207
7025231
353
0
0
0
0
0
0
28
33
0
0
0
0
0
0
169
76
0
0
0
0
0
0
18
3
0
0
0
0
0
0
215
112
9710
26
その他の世丗5672224214
364
225
267
369
383
203
12871
全 世 丗7742577214
364
225
267
369
383
418
24097
1.
栄養素 等摂取 量 結 果 高齢者 世帯 (総 数,
単 独世帯,
夫婦のみの世帯)お よび 全世帯につ いての1
人1
日当た りの栄養 素等摂 取 量 を表2
に示 し た。 全 世 帯と比 較して,
高齢者 世帯で は ビ タ ミン C摂 取 量は有 意に多かっ た が,
脂 質および ビタ ミンB
、摂 取 量は有 意に少 な かっ た。 栄 養 比 率で み る と,
高齢 者世帯は全世帯に比べ て, 動物性た ん白 質比は有意に高か っ た が,
脂 肪エ ネル ギー
比は有意に 低 かっ た。高 齢 者 世 帯の栄 養 摂 取 状 況 35 表2 世 帯 構 造 別にみ た栄 養 素 等 摂 取 量 栄 養 素 等 高 齢 者 世 帯 総 数 (舮 207) 単独 世帯 (n=70) 夫婦の み の 世 帯 (n
=
126) 全世帯 (n=
774) エ ネル キ.
一
(koaD た ん 白 質 (g) 脂 質 (9) 炭 水 化 物 (g)齟
カ ルシ ウム ( ロg) 鉄 (mg)’
食 塩 (9) ビ タミ ンA (IU
) ビ タ ミ ン Bi (mg ) ビ タミ ン Bt (mg) ビ タ ミ ン C (mg) 2,
009士457 80.
6土20.
8 48.
1土 17.
8鱒 ρ 295土 丁2 550± 246 10,
4ヨヒ3.
0 11.
5:ヒ4.
2 z171士1167 1.
07土0.
29・
8 ⊃ 1.
Z7圭0.
39 139±67’
吻 i ⊃ 1,
860土47ぺ寧菖
, 74.
9± 21鹽
2.啣
●
レ 46.
0±19.
0.oω 271±70拿
o・
】 530±233 10.
1土3.
0 11,
3±4・
5 2194:ヒ12?3 D.
91:ヒ0.
27” 帖 } 1.
25±0.
41 135土67 2.
091士441.
.
b, 84.
0±20.
6.
Oh コ 49.
4
士17.3.畠
, 308士72喞
事
切 572土220 10.
6:ヒ3.
O l!.
5dヒ4.
1 2140±1095 1.
ll士0.
29・
・
b ) 1.
28ゴ:0.
39 141±68.
.昌
, 2.
073±454 81_
7土 20.
2 53。
5:ヒ16.
7 298±69 558±204 10.
5土 2.
811.5
±4_
42
苴23
± 1017 1.
12elヒO●
32 1.
2了:ヒ0.
36 122 士60 穀 類工耕 ギー
比 (x) 動 物 性 たん 自質比 (X) 脂肪工初 キ 比 (X) 4?.
0± 11.
1 5τ.
3± 13.
2.巳
, 21.
3±5.
6.軸
, 45.
5土 12_
0.
‘, 55.
4±11.
4 21.
1土5,
3・
o‘
, 4T.
9士10.
8 58.
8±13.
9 21.
9±6.
1.巳
⊃ 48.
2:ヒ9.
2 55.
3土 10.
5 23.
1ヨヒ4.
7高齢 者世帯を単 独世帯 と夫 婦の みの世帯に分 け
,
全 世 帯と比較す る と, 単独 世帯で はエ ネル ギー,
た ん 白 質,
脂 質,
炭 水 化 物,
ビタ ミンB
,の摂 取量 はい ず れ も有意に少な かっ た。 ま た, 穀類エ ネルギー
比 およ び 脂肪エ ネルギー
比も有意に低かっ た。一
方,
夫 婦の み の世 帯は全 世 帯と比べ て,
有 意に少な か っ た も の は脂 質と脂 肪エ ネルギー
比にす ぎ ず,
ビ タ ミ ンC
は有 意に 多かっ た。 表3 平均 値±標準 偏差 a):全 世 帯 との比較’
〈0.
05,
’
‘
<0.
01 b): 単 独世帯と夫婦の み の世帯間の比 較’
t<0.
01 次に, 単独世 帯と夫婦のみの世 帯間につ い て,
栄 養 素 等 摂 取量 を比 較し た ところ, 単独世帯は夫 婦のみの 世 帯に比べ て,
エ ネル ギー,
た ん白質,
炭 水 化 物,
ビ タ ミンB
,摂取 量は有意に少な かっ た。2 .
食品群 別摂取量高齢 者 世 帯 (総 数
,
単 独 世 帯,
夫 婦のみの世帯)お よ び 全世 帯にっ いての1
人1
日当た りの食 品 群 別摂取 量を表3
に示 し た。 全世帯と比較して,
高齢 者世帯で 世 帯 構 造 別にみ た食 品 群 別摂 取量 (1人 1日 当たり;g) 食 品 群 高 齢 者 世 帯 総 数 (n=
207) 単独 世帯 (ntTO ) 夫 婦のみの世帯 (a=
且26) 全 世 帯 (n=
774) 類 類 類 類 類類
類 菜 鰈蠶
類 類 類 品 品 麦 野 の 製 食播
小 。蠶
実麗
物 草 介豊
穀 い 砂 油 豆 果 緑 そ 漬 海 魚 肉 卵 乳 加 287.
0±89.
8.
.
s , 220.
4:ヒ88.
9 54●
9
:ヒ51,
6●
.
・, 66.
9±61r 1 且7.
5±12.
9拿
.
‘
} 10.
2±9,
6.o亀} 62.
2士45.
5 196.
5:ヒ140、
5◎
.
t , 72.
2±52.
9161.
τ±83.
7 2L 8±24.
9. 嚇邑
, 6.
且土8,
0121。7
土62.60・
邑, 49.
0士40.
3鯛‘
⊃35.7
:ヒ23.9
喞‘
} 101.
0±101.
49.7
±24.
0 25T.
7±89.
τ●
.
・
, 且87.
3
±80◆
6寧 .s レ 68.
0:ヒ50.
4吻
嘔, 60.
1土69.
4 16.
7±14.
4 9陰
7±9.
7・ .・
} 63.
2:ヒ54.
3 203.
8
±136.
0.
疇
・
} 75.
4士55.
6 141。8
±94,
7”
) 乳9.
8±25.
6 5.
3土5.
9105.7
」:62.6
38.
3土3藍.
5.o・
⊃36.8
:ヒ24.
τ 118.
6土蓋15.
3 且3.
3
±121
.
4 304.
3
±8了.
go寧
切 237.
6ヨヒ90.
6甲lb ) 65.
5±51.
7亭
串
鳳, 69.
8:ヒ55.
7.邑
⊃ 17.
4:圭二!2,
lo °の 10.
7
土9.
4耐 61.
9±40.
9 重96.
7出143.
50曝・
,69,4
±50.8
170曾
3±V7.
4.h⊃23.0
土25.2
ゆ.
の 6.
3±8.
5131.
董±62.7
. .臨
】夢
甲
眇, 54.
3士43.
6.
.
邑
} o嘔h,35.
5±23凸
7 106.
9土 92.
0 7.
6± 17.
2°b 》.
308.
2±82.
1 224.
0:」ヒ80.
3
82.
2士53.
0 6e.
3土45.
9 14幽
6ヨヒ10.
5 13.
0:ヒ9.
4 60.
8士42.
3 143.
4」:119.
4 68.
5±45.
9
162.
9:ヒτ8.
9 1T.
3±Zl.
1 5.
7±7.
8110.0
」:54.0
67.
4:ヒ39.
6 39.
2
:ヒ2L3
1且2.
9士96.
4 ll.
1:L19.
5・
平 均 値±標 準 偏 差 a):全世帯との比較゜
<0.
05,
”
〈0,
01 b):単独 世帯 と夫 婦のみの世 帯 間の比 較゜
〈0,
05,
’
〈0,
0136
神戸 市看護大学紀要Vol,1
,1997
は砂糖類,
果実 類, 漬物類, 魚 介類の摂 取量は有意に 多かっ た が,
小 麦類,
油脂 類,
肉類,
卵 類の摂取量は 有 意に少な か っ た。 単独世 帯につ いて み ると,
全 世 帯に比べ て,
果 実 類 の み が有意に多かっ た も の の,
米 類,
小i
纐 油脂類 その他の野 菜,
肉類の摂 取 量 は有意に少な かっ た。一
方,
夫 婦のみの世 帯は全 世 帯と比 較 して, 有意に摂 取 量が少な か っ たもの は小 麦類,
油脂類お よび 肉 類で あ り,
砂 糖 類,
果 実 類,
漬物 類 およ び魚介 類の摂取量は 有意に多かっ た。 次に,
単独世 帯と夫婦のみの世 帯との間での食品 群 別 摂 取 量 を 比 較 すると,
単 独世帯は夫婦のみの世帯に 比べ,
加工食 品の摂 取量は有意に多かっ た もの の, 米 類,
その他の野 菜,
魚 介 類 および 肉 類の摂取量 は有意 に少なかっ た。考 察
本格的な高 齢 化 社 会 を迎 えつ つ あ る わ が国において, 高 齢 者の健康の維持増 進 を図ることは社 会 的に重要な 課題で ある。 健 康の基盤は食 生活を介して の適正な栄 養 摂 取にあ ること を考え る と,
高 齢 者の栄 養 問 題はま す ます 重要性を増す もの と考えられ る。 わ が国にお け る世 帯形態の変化を み る と,
人口 の著 しい高 齢 化 を 背 景 と して,
老 人の1
人暮ら し世帯や老 人 夫 婦のみの世帯の増 加が著しい。 厚生省の国 民 生 活 基礎調査に よ る と,1995
年には65
歳 以上 高 齢 者の うち,
12
.
6
% が1
人暮ら しで,29
.
4
% が夫 婦2
人だ けで暮ら してお り, 合わ せて42
%に達 する。 こ の傾 向は今 後 ま すます 強 くな るもの と予 想さ れ る。 その ような状況の中で, 著 者らは高齢者の単 独ある いは 夫 婦のみの世 帯は一
般世 帯 と比べ, 食生活にどの ような違いが み ら れ る か検 討 を 行っ た。 その結果, 栄養 素等 摂取量にっ いて は,
高齢 者世帯 は脂 質お よび,
ビ タ ミンB1
の摂 取量が少なく,
単独 世 帯で はさ らにエ ネルギー
, たん白質, 炭 水化 物の摂 取量が少なか っ た。 食 品群別摂取量につ い てみ ると,
高 齢 者 世 帯で は,
砂 糖 類,
果 実 類,
漬 物 類,
魚 介 類の 摂 取 量は多いが, 小 麦類, 油 脂類, 肉類お よ び卵類の 摂取量が少な か っ た。 単独世 帯で はこの こ とに加えて 加工食品の摂 取 量の多い特 徴がみ られた。 食生活 指針2) が指 摘してい るよ うに, 高齢 者で は 日 常の身体活 動量が減 少すること など が原 因で,
エ ネル ギー
必要量が低下し,
あ まり空 腹を感じ な くな る た め に食事の摂取 量 自体が減少する。 その結果 エ ネルギー
量の み な らず,
た ん 白質,
脂 質 あ るいはビタ ミン等の 摂 取 量が少なくなり がちで あ る。 ま た, 高齢者世 帯で は当然の こと な がら,
高 齢 者 本 人が買い物 や 調 理に当 た らな け れ ば な らず大変な負担と な り, 家 事能力が低 下す る結果, 十分な栄養摂取が行わ れ ない こと が考え られる。一
方, 高齢 者の食 品嗜 好の特徴と し て,一
般に淡泊 な料理 を好む傾向にある。
また,
新 しい食 品に は なか なか な じめず,
今 までの食生活で摂取してき た食 品以 外は好まない傾向が み ら れ るL4) 。 この ような高 齢 者に み られ る食生活の特 徴が,
本 研 究におい ても油 脂 類や 肉類の摂取が少ない こと, 煮物を好むことに よ る砂糖 類の多摂 取,
米食が主であ ることに よ る漬 物 類 や魚 介 類の多 食 とい っ た偏っ た栄 養 摂 取 となっ て表 れて いる もの と思われる。 熊谷 ら m ) は高 齢者において,
動 物 性 食 品と油 脂 類の摂 取が多い こと が社会的 生活 機能の 自 立性の低下 予 防に貢献 するとして い る。 ま た, 今回の結果で明 らかにな っ た点は,
高 齢 者の 中で も1人暮ら しの高 齢 者は夫 婦のみの高 齢 者に比N
栄 養摂取レ ベ ルが低い こ と である。 熊 江ら ’°) や柳n ) も 高齢 者世帯は非高 齢 者 世 帯に比べ 栄 養摂 取 状 態 が 悪 く,
特に独 居 世 帯で は摂 取 食 品 数が少 なく,
栄養のバ ラ ン スが良くな い と報告して い る。 また,
配 偶者の存 在が 食 品 摂 取パ ター
ン に影 響を与える重要な要 因になりう る との指摘16・
1η もある。 奥村ら 4 〕 は1
人 暮ら しに よ る 食 品消費量の減 少や今までの食習慣や 嗜 好 が 食 品 や 料 理の内容を制約してい ること, 和風 中心で あ まり手を か け ない で作ら れ る料理の 利用が目立っ たこと,
料理 を一
度に作っ て数回にわ たっ て食べてい ることなどの 問題 点が あること を指 摘して いる。 本研究におい て,
単 独 高 齢 者に加工食 品の 多摂 取が み ら れ た が,
こ の こ とは 調 理が面倒であ り,
あ ま り手を か け ないで食べ ら れ るもの とい うことで加工食 品が多く利 用されてい る こ と が考え ら れ る。 著 者ら va) は加 工食品の利用が多い 世帯は, それ をほとんど利 用しない世帯に比べ, 栄 養 素 等 摂 取 量の充 足 状況 が劣ること を報告し た。 ところで,
夫婦 あるいは単 独の高 齢 者 世 帯 割 合が今 後ます ま す 増 加 すること が予想 さ れ る中で,
高齢 者の 食 生 活 が 低 栄 養 状 態に陥 らないよ うにするに はど うす ればよいか全 国民 的視 点から取り組む必 要があ ろ う。 高齢 化がわが国よ り も先 行 するヨー
ロ ッ パ社 会において は, 老年期の健 康と 日常 動 作を栄 養に よっ て 良 好な 状 態に維 持す る必要性に迫られ
,1986
年には老 人 が直 面 して い る栄養に関 する研 究 を行 うプロ ジェ ク トが開 始さ れ てい るL9} 。高 齢 者は
一
般に,
食 事 と栄 養に対 する認識が浅い の で, 調理 を す る際には毎日の献 立がバ ランス の と れ た もので あ ることが大 切で あ り,
自身の好みで献 立 を 作っ て はな らない ことの認識を持た せ る ことが 重 要である。 食 習慣は長年にわ た る諸条 件によっ て培われ るもので あり, 高齢 者にお け る根強い 食習 慣の是 正は困難であ るの で,
で き れ ば 調 理 実 習を含む食生 活の見 直 し講 習 会 を 開 催 す るな ど,
継 続 的な栄 養改 善 指 導を行っ て い く必 要があろう。 岡崎 an)は一
人 暮ら し老 人で は,
他 種 類の食 品を整え る こ と が困 難に な るの で,
他 種類の食 品を用い,
多彩な料理を調理 すること は高齢 者の食生 活 上の課 題であるし,
こ の ことを解決するための方策 と して,
出前や宅配サー
ビスを 利 用 すること, 市町村 に よっ て はデ イ ケ ア サー
ビスと し ての食 事給 食を実施 して い るの で,
これ を 利 用 すること も一
っ の手 段であ ると述べ てい る。 また,
ア メ リカの1
人 暮 ら し高齢者 の中には, 1週 間の うち,
少な く と も4回の夕 食にお い てあた たかい給食サー
ビス を受 けで い る例が あ ると 述べ てい る。 わが国に おいても今 後, 材 料の配達サー
ビス,
食 事その もの の サー
ビ ス につ いて も真 剣に検 討 してい く必要が あ る と同時に高齢 者に対 する栄養, 食 生活に関する知 識の啓 蒙 活動を積極 的に行っ て い くこ とも必 要で あ ろ う。 し か し,
高齢者に とっ て も安直に 食材や食 事の宅 配サー
ビスを利用 するので は な く,
で き ればバ ラ ン ス の と れた献 立がで き る よ う に高齢 者 自 ら食べ 物を購 入・調理 し,
食 事 をと ること が,
高齢 者 の健康維 持に必 要なことであ り, 社会 的にア ク ティブ に活動し てい く原動 力に も な る と考え る。
ま と め本格的 な 高 齢 化 社会を迎えつ つ あるわ が国におい て
,
高 齢 者の健康お よび日常動作を良 好な状 態に維 持する ため に,
適正 な栄養量 を摂 取 する ことは重要
なこ とで ある。
今 回
,
世 帯 構 成 別に み た高齢 者の栄 養 摂 取状況の特 徴を検 討するために,
和 歌 山県民栄 養調 査 成 績を用い て,65
歳以上の高 齢者世 帯 を 単独世 帯と夫 婦のみの世 帯に分 け,
そ れ ぞ れの世 帯 1人 1日当たりの栄 養素 等 高 齢 者 世 帯の栄養摂取 状況 37 摂 取量及び食 品 群 別 摂 取 量 を 全 世 帯の そ れ と比較 検討 し, 以下の結果を得た。 1) 栄 養 素 等 摂 取量につ いて は,
単 独 高 齢 者 世 帯は全 世 帯と比べ,
エ ネルギー,
た ん白質, 脂 質, 炭 水化 物 およびビタ ミンB
、摂取量は有意に少な か っ た。一
方,
夫婦のみの高齢 者世帯は全世帯と比べ,
有意に少な かっ た もの は脂質摂 取 量のみで あり,
ビ タ ミンC
摂取 量は 有意に多かっ た。2
)食品群 別摂取量にっ い て は,
単 独高齢 者世帯は全 世 帯に比べ て,
果実類の み が有意に多 かっ たもの の,
米類, 小 麦類,
油 脂 類,
野 菜 類お よ び肉類の摂 取 量は 有意に少な か っ た。一
方, 夫 婦のみの高 齢者世帯は全 世 帯 と比 較して,
有意に少な かっ たもの は小 麦 類,
油 脂 類 および肉類にすぎず, 砂糖類,
果 実 類,
漬物類お よび魚介 類の摂 取は有意に多かっ た。 以 上の ことか ら,
高齢者 世帯のなか で も単 独高齢 者 世 帯において,
エ ネル ギー,
た ん白質お よ び脂質の栄 養素摂取 量が少な いこと,
さ ら に油脂類,
野菜類およ び肉類の摂 取が少ない こと な ど,
食 生 活に問 題点の あ ることが示唆さ れ た。 文献
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