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国際商品の持続可能な生産と流通のためのソリダリダードの取り組み (基調講演2) (国際シンポジウム報告 -- 持続可能なサプライチェーンと倫理的貿易)

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(1)

国際商品の持続可能な生産と流通のためのソリダリ

ダードの取り組み (基調講演2) (国際シンポジウム

報告 -- 持続可能なサプライチェーンと倫理的貿易

)

著者

ニコ ローツェン

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

250

ページ

52-55

発行年

2016-07

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00002919

(2)

  ソ リ ダ リ ダ ー ド は い わ ゆ る N G O で す 。 し か し な が ら 我 々 は 市 民 社 会 の 組 織 、 C S O ︵ Civ il S oc iet y O rg an iza tio n ︶ と 呼 ば れ る こ と を 望んでおります。我々は社会にお ける地位と役割を持っていると思 っています。そしてまた同時に政 府や市場ともやりとりをしていま す。次の世代のCSOは、解決策、 ソリューション志向で、そして市 場ベースの圧力を理解したもので なければなりません。過去におい ては、従来型のNGOに関する理 解ですが、いわゆる番犬の役割を 果たすと考えられていました。傍 観して上手くいっていないことを 批判し、そして持続可能な運営を していない会社を追及することを やっておりました。これは良い慣 行 と 悪 い 慣 行 を 明 確 に 区 別 す る、 そういったキャンペーン、運動を するなら有用でしょう。しかしほ とんどの場合、これらのキャンペ ーン、運動は、建設的でもなけれ ば効果的でもありません。彼らは 運動する組織として、自己利益の ために知名度を上げるということ をしているに過ぎません。   何が必要か、緊急に必要かとい うと、CSOのもうひとつの役割、 それは盲導犬、ガイドドッグの役 割を果たすことです。そして持続 可 能 性 と い う の は 可 能 で あ る と、 そして企業にとってそれが最善の 利益であるということを認識させ るわけです。二一世紀のCSOは、 番犬からガイドドッグになろうと しているわけです。我々は重要な 役割を果たさなければいけません。 これは非常に緊急な問題でありま す。つまり直接な行動をとらなけ ればいけないわけです。特に、正 しい文脈、知識を提供していかな ければなりません。そしてマーケ ットを、市場ベースにしたソリュ ーションを探索しなければいけま せん。マーケットソリューション を実行していくためには、これは よりインクルーシブな持続可能な 社会に変えていくということです。 市 場 と い う の は も っ と 社 会 的 に、 そして環境的にもより望ましい結 果を生むことになります。   グローバリゼーションに反対す る人達は強硬です。しかしながら グローバリゼーション賛成派の勢 いというのはこれからも続き、そ して革新的な支援層の数も増えて いくことでしょう。今世界が必要 としているのはネットワークの組 織、これは下からのネットワーク の組織ということです。そして影 響力のあるグローバル機関とパー トナーを組み、そして多国籍企業、 グローバルなガバナンスを持って アジェンダを設定していく、目標 を設定していくということですね。 そしてグローバルな目標に貢献す る地域のプログラムを実行してい く。グローバルに考え、そしてロ ーカルに行動するということです。 これがまさにソリダリダードが目 指しているところなのです。

  ﹁ 参 加 ﹂ と い う の が、 開 発、 発 展のためのキーワードとなるでし ょう。つまり社会的に誰でも受け 入れる、誰も取り残さないという ことです。広範囲の貧困者を支え る成長戦略が必要になります。機 会均等、そして多様化した社会と いうのが雇用を創出し、それによ って多くの人、特に青年や女性が 生計を立てることができます。こ の﹁参加﹂というのは三つのレベ ルがあります。   まず生産者のレベルです。生産 者というのは、きちんと利益を得 られる経済的チャンスを求めます。 そして次のレベル、消費者ですけ れども、消費者というのは、基本 的な水準を求めます。健全で栄養 価 の 高 い 食 品、 そ し て 安 全 な 水、 衣服、エネルギー、輸送手段を必 要とします。最近は清浄な大気へ のアクセスというのも求めていま す。三つ目のレベルは市民という ことになります。市民権は人権の 象徴ということと深く関係づけら れています。たとえば教育、そし て医療へのアクセスです。そして 言論の自由、民主主義に基づく権 利というのが重要になります。社 会の不平等ということは解決しな

基調講演2

めのソリダリダードの取り組み

ニコ・ローツェン

ジェトロ・アジア経済研究所、世界銀行、朝日新聞社共催 

国際シンポジウム 持続可能なサプライチェーンと倫理的貿易

(3)

ければいけない問題です。

  これまでのところ、持続可能性 のアジェンダにおける変化の牽引 役となってきたのは、持続可能な 製 品 を 認 証 す る と い う こ と で す。 持続可能ではない商品と区別する ために、いわゆる自発的持続可能 性の基準というものを立ち上げて います。こういったスタンダード というのは、市場において認証を 示すロゴを使っています。このテ ストを通過した企業は認証の保有 者になります。また認定を受けた 生産者も行動規範に従っていれば、 生産物も認定されるという仕組み になります。認証マーク、ラベル ですが、四つのカテゴリー、ある いは四つの世代のラベルに分類す ることができます。   最 初 の カ テ ゴ リ ー・ 世 代 は 一 九 八 〇 年 代 に 作 ら れ た も の で、 消費者ラベル、たとえばオーガニ ックやフェアトレードというよう なものです。ソリダリダードでは 一 九 八 六 年 に コ ー ヒ ー に 関 す る、 三種のフェアトレードの認証マー クのシステムを導入しました。こ ういった市場の動きの背後にある のは、良心的な消費者です。そし てこういった良心的な消費者とい うのは、長期的にはニッチな市場 になることがわかっています。   二つ目の世代は、いわゆるCS R、企業の社会的責任に関するコ ンセプトです。これの牽引役とな っているのは、主にエンドコンシ ューマー向けの企業です。大きな ブランドというのは人々の批判に さらされやすい性質を持っていま す。   そして三つ目の世代というのが、 いわゆるセクターごとの取り組み になります。たとえば一次産品の ラウンドテーブルなどです。こう いったラウンドテーブルにおいて は、消費者の目に触れないような 原 材 料、 た と え ば パ ー ム や 大 豆、 サトウキビ、綿というようなとこ ろに注力をしています。こういっ たラウンドテーブルが作ったスタ ンダードというのは、そのセクタ ーで事業展開するうえでの免許制 として受け入れられることを意図 しています。   四つ目、最近のラベルは、いわ ゆるブラジルや中国、インドやイ ンドネシアといったような、生産 国 で 作 ら れ て い る 国 内 基 準 で す。 これにより現地が主体的に、持続 可能性に取り組むことにつながっ ています。   私の理解では、この消費者のピ ラミッド型の変化の底流にある動 きというのは、根本的なパラダイ ムシフトです。当初この新しい世 紀の最初の一〇年、企業の持続可 能性への取り組みというのは、主 に 評 判 を 気 に し て の こ と で し た。 つまサプライチェーンのリスクに 反応するというものでした。たと えば児童労働であったり、環境破 壊や労働条件、そして低所得とい うようなものに反応するというも のでした。なのでこれは、広報部 門の責任だったわけです。広報部 門が、そのブランドの評判を守っ ていく責任担当部署だったわけで す。しかし今日では、たいへん新 しい動きが生まれています。持続 可能性というのは、今や企業の連 続性、そして収益性の前提条件と なっています。これが将来の供給 の確保ともつながっているわけで す。

  二〇五〇年までには人口が増加 し、その人達の食料を供給するた めに生産を倍増するには、環境に 対する負荷を削減しなければいけ ません。そして気候にスマートな 農業に変革をしていかなければい けない、本質的なバイオベースな 経済を作っていかなければいけな いわけです。それこそが持続可能 性が必要な理由になります。   そして次のような動きが起こっ ています。たとえば、ソリダリダ ードはユニリーバと協力していま すけれども、今ユニリーバのマネ ジメントは二つのメッセージを出 しています。まずひとつは、株主 に対するメッセージです。ユニリ ーバは二〇五〇年までに売上を倍 増したい、そして利益率も改善し ニコ・ローツェン氏(2016 年 2 月 10 日、主催者撮影)

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たいと考えています。これが株主 価値につながるわけです。二つ目 のメッセージというのは私たちに 対するメッセージです。ユニリー バの売上を拡大するためには、販 売される製品の環境負荷を半分に 減らすことによって可能になりま す。実際の水やエネルギーの使用 だけではなく、排出や廃棄物に関 しても二五%削減をすることを目 標とします。   こういった新しいパラダイムに よってソリダリダード、ユニリー バとの間の緊密な協力の可能性が 生まれています。インドにおける 私たちのプログラムでは、砂糖の 生産量を増やすことを目標にして います。しかしその一方で、環境 負荷を七五%削減することも目標 にしています。これは達成可能な 目標です。そして実際、砂糖業界 においてコミットしています。こ ういった興味深い動きが生まれて いるのです。   他のよい事例としましては、日 本 の 主 要 企 業、 三 菱 の 事 例 で す。 三菱とソリダリダードは二つのプ ログラムで緊密に協力をし合って います。ひとつは持続可能な、ブ ラジルにおけるサトウキビのプロ グラムです。このなかで三菱は持 続可能な生産を約束しているサト ウキビ農家からエタノールを購入 す る こ と を コ ミ ッ ト し て い ま す。 またコロンビアにおいては、ソリ ダリダードの持続可能な認定を受 けたコーヒーを購入してくれる重 要なバイヤーになっています。そ し て 良 い 価 格 で 持 続 可 能 な 形 で、 長期的に契約をしてくれています。   そしてこの持続可能性というの は、外部的な社会からの要請とい うのではなく、今や内部的な動機 になっています。つまり企業の連 続性、収益性という観点から内部 的な動機になっているのです。今 世界では企業が先駆けて、自発的 に持続可能性の実験を行っている、 そ う い っ た 世 界 に な っ て い ま す。 試行錯誤して、それが可能である ということが立証されてきている わけです。フォロワーが規模を拡 大させています。そして変化が積 み上がっていって、これが大きな 力となり、最終的に必須のものに なります。出後れた企業にも追随 するように要求します。

  また、政府もそれをさらに押し 進めるために、効果的なソリュー ションをグローバル経済のメイン ストリームとして取り込んでいま す。そして、こういったダイナミ ックな動きを生み出すためにソリ ダリダードは、三つの関与のレベ ルで企業とパートナーシップを構 築しています。   まず最初のレベル、エントリー ポイントは、サプライチェーンの パートナーシップです。幅広い企 業と提携をしています。ある特定 の セ ク タ ー、 あ る 特 定 の 地 域 で、 多くの多様な企業と協力をし合う というものです。これは標準化を して横への展開をすることができ ます。たとえば西アフリカのココ アのプログラムですけれども、あ る地域で調達を行っている七つの 企業と協力し合って、より持続可 能な形で生産ができるように農家 を支援しています。   二 つ 目 の パ ー ト ナ ー シ ッ プ は、 革 新 的 な パ ー ト ナ ー シ ッ プ で す。 小売店のパートナーシップにおい ては、新しい一次産品のプログラ ム、あるいは新しい市場ベースの ソ リ ュ ー シ ョ ン を 共 創︵ co-creation ︶ す る と い う こ と に 注 力 をしています。こういった変化を パイロットでテストをして、新し いモデルをテストしますが、これ らはスピードや規模を拡大する可 能性があります。この事例として は、金などのプログラムがありま す。二〇二〇年にここ東京でオリ ンピックが行われますが、その金 メダルが、このサステイナブルな 所から調達した金メダルであって ほしいと思います。   三つ目、このパートナーシップ は最も高いレベルなのですが、ま だ複数、わずかな数の企業しか分 類されていません。しかし、大変 革を引き起こすと考えられるよう なパートナーシップです。企業の 考え方を変え、そしてビジネスの やり方を変えるような内部的なプ ロセスでもあります。たとえばイ ンセンティブを提供して、スタッ フが持続可能な、そして認定を受 けた企業から調達をするように促 します。そしてそういった生産者 と永続的な関係を構築するように 求めます。さらに外部的な効果を 引き出すために、民間部門におけ るこういった新しい行動の変化と いうものの体制作り、ルール作り をしていきます。それによって他 の民間パートナーや業界の取り組 み、そして政府への政策へと落と し込むことができるわけです。

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国際シンポジウム 持続可能なサプライチェーンと倫理的貿易

  こういった歴史的な実績という のは、将来を約束するものでしょ うか。そうは思いません。むしろ もっと多くのイノベーションが必 要だと思います。もっと新しいチ ャンスをつかみ取っていかなけれ ばいけません。これは新しい技術 に牽引されるものであります。   ITの変革によって、実際のパ フォーマンスや、必要な改善に対 してのカスタマイズされた情報を 提供することができます。素早く、 具体的な、安価な答え、そしてソ リューションを提供して、生産者 がより持続可能な形で運営できる ようにするわけです。   これらはコントロールベースの システムからインセンティブベー スのシステムへと移行しています。 たとえば、農家は最もやる気が出 るときはいつなのか、それは近く の農家から最善の農法について話 を聞いた時に、インスピレーショ ンを受けるといっています。この イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン と い う の は、 監査や行動規範から生まれるわけ ではありません。コントロールベ ースではチェックリストに対して、 遵守しているかどうかを確認する ものになってしまいます。それは 継続的な改善を生み出すわけでは ありません。   そこでソリダリダードでは、新 しいアプローチをしています。そ のひとつとして、農民の自己評価 を行うプログラムがあります。自 分のデータを近隣の農家で、ある 特定の指標で良い業績を上げてい る農家と自分のデータをベンチマ ークする、ということをやってい ます。こういった比較するデータ にアクセスすることができること によって、人々には上を目指そう という競争が生まれます。現地の リ ー ダ ー に な っ て お 手 本 に な る、 ということは農家の誇りです。こ れを﹁ルーラルホライズン﹂と呼 んでいます。   それは、四つのレベルに区分さ れます。まず最初のレベルですが、 農家のリスクの高い慣行を特定し ます。たとえば児童労働など、こ う い っ た も の は リ ス ク と 認 識 し、 そういった部分で改善の余地があ るということを示すわけです。二 つ目は改善の余地がある部分を特 定します。これは、より良いパフ ォーマンス、実績を出している農 家と比較することによって抽出し ま す。 三 つ 目 は 法 的 な 遵 守 で す。 私達が消費するモノの八〇%が不 法な形で生産されているという事 実があります。これは不法性とい うことを示すものであり、私達は や は り 法 律 を 遵 守 し た い の で す。 そして四つ目のレベルというのは、 最も素晴らしいベストプラクティ ス、最良なレベルです。   ここで示したレベル1からレベ ル4に、農家が段階を踏んで上昇 していって欲しいと考えています。   また情報技術によって、生のデ ー タ を 生 成 す る こ と が で き ま す。 自分がどこにいるのかということ を知るだけでは充分ではありませ ん。この生のデータを意義のある ものにしなければいけません。そ して意義のあるデータから、これ を変革的な知識に転換するわけで す。変革的な知識というのは、問 題 を ど の よ う に 解 決 で き る の か、 それを示唆してくれるような知識 なわけです。そうすることによっ て生産者として、最もパフォーマ ンスの高い農家との対話を通して、 自らを改善していくわけです。そ れによって重要な意義のある変化 を生み出し、上を目指そうという 競争が生まれるわけです。意義の ある情報、そしてカスタマイズさ れた情報を出すというのが、意義 のある変化につながるのです。

  現在、企業がこういった目標を 達成するうえで色々と手助けでき る部分があるのです。こうした革 新というのは、たいへんワクワク するものであります。そして早急 に実行しなければいけません。時 間はなくなってきています。私達 は子どもたちのために、この地球 をより良い場所に変えていかなけ ればなりません。この世界を将来 の世代から私達は借りているだけ なのです。ですから私達はより責 任のある行動をとらなければいけ ません。ひとりで先に進められる こともあるでしょう。しかし、も っと先に進みたいのであれば、一 緒に行きましょう。私達は一緒に 手を携えていかなければいけませ ん。 市 民 社 会 そ し て 企 業、 政 府、 私達は手を携えて一緒に前進をし ていかなければいけません。解決 策を求め、ともにこの状況を改善 していかなければいけないのです。 ︵ Nico Roozen / ソ リ ダ リ ダ ー ド 代表︶

参照

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