医用データに基づく患者別数値モデルの作成法に関する研究
351004165
柴田 俊輔
論文要旨 患者別の数値モデルを作成することは患者固有の成因と治療法を数値解析によって検討 する上で基礎となる.本研究では,特発性側弯症患者の X 線 CT 画像から有限要素モデル を作成する方法を開発することを目的として,次の方法について検討した. (1) V を椎体番号全体の集合,V0 ⊂ V を X 線 CT 画像が得られている椎体番号の集合, D⊂ R3 を X 線 CT 画像の領域とする.D 上の画像から第 i∈ V 0 椎体の境界 Σi の ボクセルを抽出し,Σi 上で零値をとる符号付き距離 d : D→ R を求める. (2) Ωi ∈ R3 を正常有限要素モデルの第 i ∈ V 0 椎体の領域,qi ∈ R11 を並進,回転,ス ケーリング,テーパー変換の変数,ωi P: Ωi× R11→ R3 を患者モデルへのパラメト リック写像として, min qi∈R11 {∫ ωi P(Ωi,qi) d (x) dx } を満たす ωi P(Ωi, qi) を求める.q = ( qT 1,· · · , qT|V0| )T とおく. (3) Ω ⊃ ∪i∈VΩi を正常脊柱モデル全体の領域,C : Ω → Rd×d×d×d を剛性,θ ∈ Θ = W1,∞(Ω;R) として,ϕ (θ) = tan−1θ/π + 1/2 を患者モデルの密度,ϕ3C を患者モ デルの剛性,(2) で得られた q を用いて,i∈ V0 に対して ζi : ∂Ωi ∋ x 7→ ωPi (x, qi) が既知でそのときの変位を ui 0(x) = ζi(x)− x とする.このとき min (ϕ,u)∈Θ×U ∑ i∈V0 ∫ ∂Ωi 0 α ui0− u 2dγ such that ∫ Ω S (ϕ, u)· δE (u, v) dx =∑ i∈V0 ∫ ∂Ωi α(ui0− u)· v dγ ∀v ∈ U を満たす密度と変位 (ϕ, u) を求める.ただし,U ={H1(Ω;R3) | u = 0 on Γ0}, Γ0 は正常モデルと患者モデルの位置を合わせる部分境界とする.S (ϕ, u) = ϕ3CE (u)は第 2 Piola-Kirhhoff 応力,E (u) は Green-Lagrange ひずみ,δE (u, v) は u の変
分 v に対する E (u) の変分,α : Γ1 → R, α > 0, は固定関数とする.
本研究では,(1), (2), (3) を計算するプログラムを開発し,実際の X 線 CT 画像 (T12, L1,
L2) から患者モデルの密度,変位,ひずみが得られることを確認した.