• 検索結果がありません。

IV. 調査結果の分析: 近畿大学学生のジェンダーおよびDVについての意識・実態・経験

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IV. 調査結果の分析: 近畿大学学生のジェンダーおよびDVについての意識・実態・経験"

Copied!
29
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)w. 調査結果の分析.

(2) 近畿大学学生のジェンダーおよび D Vについての意識・実態・経験 近畿大学人権問題研究所. 本稿の目的は、ジェンダーおよび. 准教授熊本理抄. D Vについての本学学生の意識、実態、経験に関する調査結果を分. 析し、状況を把握するとともに、他大学 ・他機関等が実施した先行調査結果の紹介あるいはそれらとの 比較により、本学において実施した調査結果を検討し考察することである。先行調査については、大学 生を対象にしたジェンダーおよび. D Vについての意識あるいは実態についての調査 ・研究にしぼってレ. ビュ ー した。 なお、本文中、女性学生は 「 女性」、男性学生は 「 男性」としている 。. 1 教育の経験 問 3では、これまでの学校教育における、性教育 ・男女平等にかかわる教育・ジ ェンダーにかかわる 教育を受けた経験について尋ねている 。全体では、 「 中学校で受けた」 と回答した人が 75.2%と最も高 く、次いで 「 高校で受けた J (68.2%)、「小学校で、 受けた J ( 5 7 .1%)と続いている。 「 受けたことはな い ・覚えていなしリが 11 .1%と 1割以上もいることに注目したい。 性別でみると、いずれの段階においても女性 の方が 「 受けた」ことがあると回答している割合は高く なっており、「小学校で受けた j は 1 3 .6ポイン ト、「中学校で受けた Jは 9. 0ポイン ト、「 高校で受けた J は1 2 .1ポイント、それぞれ女性が男性より上回っている 。 昨年度実施した、 1 2 0 0 9年度近畿大学学生の人権意識調査 J では、これまでの学校教育における同和 教育 ・ 部落問題についての学習の経験を尋ねている 。全体では、「中学校で受けた Jと回答した人が 48.2% と最も高く、次いで 「 小学校で受けた J ( 3 9 .6%)、「高校で受けた J ( 2 5. 6%) と続いていた。 「 受けた ことはない・覚えていなし リ は 、 23.2%と2割を超えていた。昨年度の調査においても女性の方が、 6 ポイントから 8ポイントほど、同和教育 ・部落問題についての学習を「受けた」ことがあると回答した 人が男性を上回っていた。 性教育 ・男女平等にかかわる教育 ・ジェンダーにかかわる教育を受けた経験は、同和教育 ・部落問題 についての学習の経験よりも、小学校では 1 7 . 5ポイント、中学校では 2 7. 0ポイン ト、高校では 4 2. 6 ポイントと、いずれも高くなっており、小→中→高と進学するにつれて、その差が広がっていることが 分かる 。. さらに、問 4では、学習内容について尋ねている 。回答率が高かった順で見てみると、①思春期の変 化 ・月経 ・射精 (85.8%)、②H I V / A I D S・性感染症 (83.9%) が 8割を超えており、③生殖(受精)の しくみ (77.5%)、④避妊・中絶 (69.6%)が 7割ほどで、⑤性差別 ( 5 7 . 40 / 0 )、⑥男女共同参画 (54.7%)、 ⑦条約 ・法律(女性差別撤廃条約や男女雇用機会均等法など) ( 5 3 .1%)、③セクシュアル ・ハラスメン ト (52.6%) が 5割を超えている 。 リプロダクティブ ・ヘルス / ライツ関連のテ ーマが上位を占めてい るが、その内容が知りたいところである 。 一方、回答率が低かった順で見ると、①買売春 ・援助交際 (23.0%)、②恋愛 ・デー ト D V (23.7%)、 ③ 性 的 虐 待 (性被害) (25.4%)、④多様な性 (性同 一性障害、 同性愛など) ( 2 8 . 30 / 0 ) が 3害 J i に満たな い結果となっている 。学生たちにとって身近な、暴力や性の多様性といったテ ーマを学校教育において 取り組んでいくことが課題である 。 -54-.

(3) 性別でみると、女性と男性の回答に 5ポイント以上の差があった回答として、①条約・法律 (+9.8)、 ②思春期の変化・月経・射精 ( + 9 .5 )、③男女共同参画 ( + 9 . 2 )、④避妊・中絶 ( + 8 . 2 )、⑤女性解放運 動 ( + 5 .7 )、⑥生殖(受精)のしくみ ( + 5 .6 ) となっており、いずれの回答も女性が高い。 リプロダク ティブ・ヘノレス / ライツに関するものと女性解放運動およびその取り組みの成果に関するものが多くな っていることが分かる 。 女性に対するさ らなる教育が必要であることはもちろんだが、リプロダクティブ ・ヘ ル ス /ライツに しても、女性解放運動の歴史やその成果にしても、男性への教育が必要である. D. 男性に比べて女性に教. 育の経験がより強く残っているということは、成果であると言える一方、男性に対しては、問題がその まま置き去りになっているということでもある 。男性が、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題を 自分自身の問題として考えることができるような教育が必要であろう 口また、性差別撤廃に向けた取り 組みに対するパッシングが起きていることに鑑みれば、女性解放運動およびその取り組みの成果を歴史 とともに丁寧に伝えていくことも重要であろうと思う 。. 2 D Vについての意識・実態・経験 (ア)加害経験と被害経験の特徴 ①. 加害経験の特徴. 問 6では、問 5で「現在あるいは過去に、パートナー・恋人」が し 「 1る・いた」と回答した学生 (574 名:女性 220名、男性 345名)に、 1 6の事柄について「したことがある」か「されたことがある」か「ど ちらもある」かを尋ねている。 DVの加害・被害経験の有無について尋ねているが、具体的に 1 6の行為 を示して「パートナー・恋人に、次のような事柄をしたこと、あるいはされたことがありますか」の設 問とし、 r D V J や「暴力 j とい う言葉は用いなかった。 1 6の事柄に対する学生の回答結果のうち、「したことがある 」 と「どちらもある」と回答したものを. 「したことがある 」行為として合計して結果を見ていく。 まず、全体についてである 。 「したことがある」として回答した行為のうち、結果が高かったものを 順に見てみると、「自分の意見や都合と 合わないときに、イライ ラを ぶつけたり不機嫌になったりする J (29.2%) は 3割近くが経験している 。続いて、「ばかにしたり、見下したようなことや傷つくような. ことを言う J (17.4%)、「異性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりす るJ (14.20 / 0 )、「何を言っても長時間無視する J ( 1 2 .7%)、「大声でどなる J ( 1 2 .2%) は 、 1割以上が 経験している 。 「精神的暴力 J r 社会的暴力」の加害経験率が高いと言える 。 次に性別で見てみる。図 1は、「したことがある」行為の回答結果を性別で図示したものである。「し たことがある」行為として回答したもののうち、女性と男性の回答結果で、 5ポイント以上の差があっ たものは、「イ可を言っても長時間無視する J ( + 5 . 0 )、「交友関係や電話を細かく監視したり、外出を制限 する J ( + 5 .2 )、「相手の意に反して性的な行為を強要する J ( + 5 .2 )、「ばかにしたり、見下したようなこ + 6 .8 ) となっており、いずれにおいても男性の回答結果が高くなって とや傷つくようなことを言う J (. し 、 る。 無視、交友関係や行動の制限・監視、言葉によって自尊感情を傷つけるような暴力、性的暴力におい て、男性の加害経験率が高い傾向にあることが分かる 。. -5 5-.

(4) 図1 r したことがある」行為 ① 何 を 言 っ て も 長 時 間 無 視 す る 一 一 一 一 一 一 一 円、… ・14. 5 」 一一一一一一一一一一一一一一一一一-~~ ②大声でどなる ?… … ………~113 .4. II. ③ 大 切 に 山 る も の を 、 わ ざ と 壊 山 捨 て た り す る 毘 出 43 ④交友関係や電話を細カ佐視したり、外出を制限する円 J し…… 66. :. ⑤異性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする 1 で で で で で で で で で で で で で で で で で で " 0 : ' で で で で ? で ? 、 ! l 31 九2 ⑥殴ったり、蹴ったり、髪をひっぱったりする霞璽辻1 3. 4 ⑦見たくないのに、ポルノビデオやポルノ雑誌を見せる E並去~ 3. 4. l. 錨伽妊に明協防力し蜘な机恥しい、 ⑨相手の意に反して性的な行為を強要する. 一J:汀江~尽 Ff L 一 、 … … 、 一 一 、 一 、 、 … … 、 … 一 、6β . 6 U 目. Z t s t 際撤去計三三三三三三三三二二三. ⑫自分の意見や都鰐滋泣き再来脅 する F : &6.6 ⑬携帯電話のデータ ( アドレスやメール等)を消したり、消すよう要求するーー? 、. 0 . 0 一 一 一 一 川. II. ⑭携帯電話に電話やメールがきて、すぐに返信しないと怒られる同ーー刀 966. ⑮携帯電話の着発信履歴やメールを、勝手に見たりチェックする ????~8 .2. ⑩アルバイトを辞めさせる璽思 ~ .6 ⑪アルバイトをさせてお金をまきあげる色生量 2. 1. 。. 5. 10. 15. 20. │ ・女性回男性 │. ②. 25. 3 5. 30. 竺U. 被害経験の特徴. 次に、 1 6の事柄に対する学生の回答結果のうち、「されたことがある」と「どちらもある」と回答し たものを「されたことがある」行為として合計して結果を見てし、く 。 まず、全体についてである 口 「されたことがある」として回答した行為のうち、結果が高かったもの を順に見てみると、「自分の意見や都合と合わないときに、イライラをぶつけたり不機嫌になったりす るJ(26.4%)と「異性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする J( 2 2 .7%) は 、 2割を超えた学生が経験している 。続いて、「携帯電話に電話やメールがきて、すぐに返信しない と怒られる J(19.0%)、「ばかにしたり、見下したようなことや傷つくようなことを言う J(15.6%)、「大 声でどなる J ( 11 .8%)、「交友関係や電話を細かく監視したり、外出を制限する J ( 11 .7%)、「イ可を言っ ても長時間無視する J ( 11 .3%)、「携帯電話の着発信履歴やメールを、勝手に見たりチェックする J ( 11 .3%)、「携帯電話のデータ(アドレスやメール等)を消したり、消すよう要求する J ( 1 0 .1%)は、 1割以上が経験している 。. やはり、「精神的暴力 J I 社会的暴力」が多くなっているが、被害経験では、携帯電話にかかわる被害 経験率が高くなっているという特徴がある 。 「したことがある J 行為の回答結果のうち、 1割を超えて いたのは 5項目であったのに対し、「されたことがある」行為では、 1 6項目のうち 9項目で 1割を超え ていた。 9項目のうち、携帯電話に関連する行為が 3項目入っている. D. 次に性別で見てみる。図 2は、「されたことがある」行為の回答結果を性別で図示したものである 。 女性と男性が「されたことがある J として回答した行為のうち、女性と男性の回答結果で、 5ポイント 以上の差があったもののうち、「イ可を言っても長時間無視する J ( + 6 .3 ) は、男性の回答結果が高くなっ ている 。女性の回答結果が男性の回答結果より 5ポイント以上高かった項目は、「異性の友人と、話し たり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする J (+6.4)、「ばかにしたり、見下したような ことや傷つくようなことを言う J ( + 11 .2 )、「自分の意見や都合と合わないときに、イライラをぶつけた り不機嫌になったりする J ( + 6 . 2 ) となっている 。 無視については、男性に被害経験率が高い傾向が見られた。交友関係や行動の制限・監視、言葉によ って自尊感情を傷つけるような暴力において、女性の被害経験率が高い傾向にあることが分かる 。. -56-.

(5) 図2 rされたことがある」行為. ①何を言っても長時間無視する rT?竺? k、 Z仔、~ん守 ι、 ②大声でどなる t ..::::..... .. . .. . .. ...... . .... 寸六寸~13.6 ③大切にしてい吋るも切のを、わざと持壊しほたり晴捨てたりする. 里占& 2 4 6. ④交友関係や電話を細かく監視したり、外出を制限するごプププ一一ーでm11J3. ・ -・ ・・ ・・ -. ⑤異性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする日司τ π τ , 司 司. 一 日. E. ⑥殴ったり、蹴ったり、髪をひっばったりする臣室塁全自 4 . 3. 司 、 一 司 、 礼司 、 一 . . . . . . . . . . .. …-. E. 26. 4. S J2 0 . 0. E. ⑦ 見たくないのに、ポルノビデオやポルノ雑誌を見せる堕曹れ 2. E1764. ⑧避妊に協力しない声. ⑨相手の意味して性的な行為を強要する E~5.9 2 2 . 7 ⑩ぱかにしたりー見下したようなことや傷つくようなことを言う ⑫自分の意見や都合と合わない住に、イライラをぶつけたり不融嫌 l 去 っ た 」 一 二 二 二 二 ニ ー ユ1 . 5 りする 丸山 ;口 、 . . . . _ " . . . . . . . _ . . . _ . . . . . . . . _ . . . . . . _ . . _ . . . . . . . _ . . . . . . _.一一 口 一 … •. _ . . _ . _" " -. . _ . . _ . . _ . . _ _ .•. _ . _ . _ •. _ . 九 、 ・24. 3. 3 0 . 5. g. ⑬携帯電話のデータ(アドレスやメール等)を消したり、消すよう要求する戸... . . . . . . . . . . . . . . . ...... ..... ..コ ,~•. ⑭携帯電話に電話やメールがきて、すぐに返信しないと怒られる F...... . . . .. . ..<:. .. ... . ...........で寸てて士ててててすで~J}'J120 .0 ⑮携帯電話の着発信履歴やメールを、勝手に見たりチェックする. r. . -'. . . <<'( _ . _ .. _ ' . ._ . _ . _ . _ . . CfW6. ⑩アルバイトを辞めさせる出&2.3 ⑪アルバイトをさせてお金をまきあげる出品川. 。. l. 5. 10. 1 5. 20. 25. 竺J ③. 加害経験と被害経験のずれ. 「したことがある J行為の回答結果と、「されたことがある J行為の回答結果において、 5ポイント 以上差があったものを見てみると、「交友関係や電話を細かく監視したり、外出を制限する J( + 7 . 2 )、「異 性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする J ( + 8 . 5 )、「携帯電話に電 話やメールがきて、すぐに返信しないと怒られる J ( + 1 3 . 2 ) で、いずれも「されたことがある J行為の 回答結果が、「したことがある J 行為の回答結果よりもポイントが高くなっている。交友関係・異性の 友人関係・携帯電話などにおける監視・制限などにおいて、加害者側と被害者側における暴力に対する 認識のズレがあることが分かる。 先行調査においても、「被害体験に比べて加害体験は過小評価されたり隠されるとしヴ理解で説明さ れ J るとし、「男性回答者において自分の行為について暴力としての認識が低いということも考えられ る」ことが指摘されている l。特に、「性的暴力」には、した方とされた方の認識の差が大きい(加害経 験率よりも被害経験率の方が高し、)とされているが 2、本学調査においては、「性的暴力」に関して、「し たことがある J と回答した者と、「されたことがある」と回答した者の割合に差は見られなかった。. (イ)先行調査から得られた知見. ①. 実態調査との比較. 内閣府男女共同参画局が 2 008年に実施した「男女聞における暴力に関する調査」では、 1 0歳代から. 2 0歳代の頃に、「交際相手がいた(し、る)J という人に、「身体的暴力 J 1 精神的暴力 J 1 性的暴力 」の 3 つの行為のうち、当時の交際相手から被害を受けたことがあるかを聞いている 。それによると、「身体 的暴力」については、女性 7.7%、男性 2.9%が 、 「精神的暴力」については、女性 7.8%、男性 3.1% が、「性的暴力 J については、女性 4.8%、男性 0.8%が、被害を受けたことが 1 1 0歳代、 2 0歳代であ った 」 と答えている 。 当時の交際相手から、これら 3つの暴力のいずれかをされたことが「あった」と. 1. 2. 熊本県 2008 アウェア、渡辺 2008. -57-.

(6) いう人は、女性 13.6%、男性 4.3%である. 30. 自治体においても、若年者を対象とした DVに関する調査が行われている 。熊本県では、 2007年に、県 内の 20歳代男女に交際相手からの暴力についての調査を行った結果、「身体的暴力 J は、女性 16.9%、 .801 0、「精神的暴力」は、女性 15.10 / 0、男性 6 .8%、「性的暴力」は、女性 12.8%、男性 2.6%が 、 男性 6. 被害経験を回答している 。女性の 25.6%、男性の 9.4%が「何らかのデート DVJ の被害を受けているこ とが報告されている 。熊本県の調査では、加害行為の経験についても尋ねている 。 「身体的暴力」は、 女性 8.7%、男性 10.3%、「精神的暴力」は、女性 3.2%、男性 6.8%、「性的暴力」は、女性はおらず、 男性 4.3%が、加害経験を回答しており、何らかの暴力の加害体験率は、女性 10.0%、男性 1 5.4%であ る 4。被害経験率と加害経験率に見られる差は、暴力を暴力と認識しているのかどうかということとも 関連していると思われる 。 横浜市も、同じく 2007年に、市内の高校生・大学生に対して調査を行っている 5。それによると、交 際経験のある人の うち、大学生女性は 44.8%、大学生男性は 28.2%にデート DVの被害経験があり、大 学生女性は 34.3%、大学生男性は 43.7%に加害経験があることが報告されている 。「バカにしたり、傷 つく言葉を言う、大声でどなる」については、被害経験も加害経験も 2割を超えており、「性的な行為 を無理やりする」は、女性の 1割以上で被害経験がある 。 「メールのチェックや友だちづきあいを制限 する」も被害経験が 2割を超えている 。. 調査項目が異なるため、単純に比較をすることはできないが、内閣府の調査結果と本学の調査結果を 類似の調査項目で比較してみると、「身体的暴力 J については、男性の被害経験率はあまり変わらない が、女性の被害経験率は、本学の場合が 5ポイント以上低くなっている 。 「精神的暴力」については、 本学の回答結果の方が内閣府の結果よりも男女ともに高くなっている 。 「性的暴力」については、男女 ともに内閣府の調査結果よりもわずかであるが高くなっている 。 熊本県の調査結果においても、類似の調査項目で比較してみる. D. まず、被害経験である 口 「身体的暴. 力」については、男性の被害経験はあまり変わらないが、女性の被害経験率は、本学の場合が 14 ポイ ント以上低くなっている 。 「精神的暴力」については、女性の被害経験率はあまり変わらないが、男性 の場合は、本学の場合が高くなっている 。「性的暴力」については、男性の被害経験率は変わらないが、 女性の場合は、 7ポイントほど低くなっている 。次に、加害経験について見てみる 。 「身体的暴力」に ついては、本学の回答結果の方が男女ともに 7ポイントほど低くなっている 。 「精神的暴力」について は、本学の場合が、男女ともに高くなっている 。「性的暴力」については、男女ともにわずかであるが、 本学の方が高くなっている 。. ②. 加害・被害の特徴. 若年者における DVについては、社会的暴力や精神的暴力、とくに、言葉による暴力と、交友関係・異 性の友人関係・携帯電話などにおける監視・制限などの 「 社会的暴力」・「束縛」に関する暴力が多い傾 向にあることは先行調査においても指摘されている. 6. 「性的暴力」や、 「大声で怒鳴る J i 物を壊す」 など相手を威圧・威嚇・脅迫するような行為、「ばか. Oム. Qd ハ リ. ハU. 橋 寺. 岡 中. 1E4. n U. 94. ハ U. 藤. 988力 ハU A U A U ハリハunu-、 2227. 府県市エ 閣本浜ウ 内熊横ア. -58-.

(7) にしたり、見下したようなことや傷つくようなことを言 う」ような言葉による暴力は、男性の加害率、 女性の被害率が高い傾向にあること、「携帯電話の着発信履歴やメールを、勝手に見たりチェ ックする J 行為や、交友関係や行動の制限・監視に関しては、女性の加害経験率に高い傾向があることが確認され ている. 70. 先行調査結果と比較してみると、本学調査結果においては、「携帯電話の着発信履歴やメールを、勝 手に見たりチェ ックする J 行為については、若干ではあるが、女性に高い加害経験の傾向があり、「性 的暴力 J ならびに言葉によって自尊感情を傷つけるような暴力では、女性の方に被害経験率が高くあら われる傾向があった点については、先行調査と同様の結果となった。交友関係や行動の制限・監視に関 しては、本調査では、男性の加害経験率に高い傾向がある点が先行調査結果とは異なっていた。 本学調査では、「無視」 について、男性に被害経験率が高い傾向が見られた。名古屋学院大学の調査 では、「無視をされる 」経験が、男性において、デート DVを「自分と関係のある問題である」と認識さ せることにつながっている結果として出ていたという. 80. 2 0 0 9年度に兵庫県立大学で、 調査を行った加藤奈津子は、「精神的暴力」の加害行為にはジェンダー差 が見られるとし、女性の場合は、「束縛 J に関する暴力を、男性の場合は、「自尊感情 J を傷つける暴力 をふるう傾向が強いとしている. 90. (ウ)暴力認識について 問1 0は 、 1 2の項目をあげ、学生の暴力認識度をはかる質問となっている 。表 1は、この 1 2項目に対 する学生の回答結果のうち、「そう思う J と「ややそう思う J を「思う J とし、「あまりそう思わない」 と「そう思わない」を「思わなしリとして合計したものである 。 まず、全体の傾向を見てみる 。「 たとえ暴力をふるったとしても、ちゃんと謝ったら許してあげるべ きだ」、. 「性的関係では男性がリードすべきだ」との項目には、 4割近くが賛成している 。 I 恋人から. は束縛されてもいしリ、「恋人が自分以外の異性との交友関係や自分の行動をチェックしたり制限するの は、好きな証拠だから仕方がない」としづ考えには、 3割前後が賛成している 。 I 恋人がキスやセック スを要求したら、相手は応じるのが当たり前である」、. 「連絡が来て、すぐに返信がないと怒るのは、. 愛されている証拠だ」としづ考えには、 2割以上が賛成している 。 I 恋人がいる人は、異性の友人と親 しくしてはいけなしリ、. 「恋人であれば、二人の気持ちゃ考えは同じでなければならなしリ、. 「暴力を. 受けても別れないのは、愛し合っているからだ」という考えに賛同している回答者も 1割を超えており、 「恋人同士でも、相手の携帯電話を勝手に見るのは、悪いことだ」と「思わなしリ学生も 1割を超えて いる 。 I 恋人同士なら、思わず手をあげることがあっても、嫉妬や愛情表現なら仕方がなしリという考 えにも 1割近くが賛成している 。. 表 1では、女性と男性の間で、暴力を容認している回答結果のうち、 5ポイント以上の差があるとき、 割合の高い方の数値にアミをかけている 。男性の暴力認識度が低い、つまり、男性の方が暴力を容認す る傾向にあることが分かる 。 DVの加害・被害経験(図 1 ・図 2) と暴力認識度(表 1)との関連や、女性と男性の加害経験と被害. アウェア、 DV防止ながさき、柿里・篠原 2008、小泉・吉武 2008、李・塚本 2005、名古屋学院大学 2010、渡辺 2008 8 名古屋学院大学 2 010 9 加藤 2 010 7. -59-.

(8) 経験のずれと暴力認識度との関連で考えてみたとき、女性の暴力認識度が高い(暴力を暴力として認識 し、容認していなし、)ことが、加害経験率が高い(自らの行為を自覚できている)としづ回答結果とし ,. てあらわれており、逆に言えば、男性の暴力認識度が低い(暴力を暴力として認識しておらず、容認し ている)ことが、加害経験率が低い(自らの行為を自覚できていなし,)という回答結果としてあらわれ ていると言えるかもしれない。 とするならば、加害経験率や被害経験率の回答結果だけで、加害や被害の特徴に結論を出すことには 慎重でなければならないだろう。自らが「している」あるいは「されている」行為を自覚できていれば、 加害経験率や被害経験率の回答結果は高くなるだろうが、行為を自覚できていなければ、実態調査の結 果にはあらわれない。. Ji 低し ' J としづ判断のみに依拠せず、 本学の学生の加害・被害経験率が、先行調査と比較して、「高し ' 暴力認識度との関連性からの判断が求められるであろう。. 表 1で、他の形態の暴力に関しては、女性と男性の回答結果の聞に 5ポイント以上の差があるにもか. かわらず、. 「恋人が自分以外の異性との交友関係や自分の行動をチェックしたり制限するのは、好きな. J という回答については、女性と男性との聞に差があまりない。携帯電話チェッ 証拠だから仕方がなし ' クの加害経験率(図 1参照)が女性に高いことと関連していると言えるだろう 。. 「恋人がキスやセックスを要求したら、相手は応じるのが当たり前である Jという考えを女性の 10.5%、 男性の 25.7%が肯定しており、. 「性的関係では男性がリードすべきだ」という考えを女性の 43.7%、. 2 .80 / 0が肯定している。 男性の 3. i 性的暴力」に関する暴力認識度が低く、容認する傾向が高いことが分. かる。上述した「性的暴力」の加害・被害経験との関連性を分析することが必要であろう 。 他大学の調査においても、「男性/女性に求められたら、女性/男性はセックスに応じるべきである」、 「セックスでは男性が主導権をもつべきである」という項目について、男性は女性に比し、「そう思う J と答えている者が多いこと、. 「性的関係における男女間の関係のあり方についても、『男性優位であれ』. とする思想をもっ者Jが女性に比べると男性に多い傾向があること、女性は性行為の際に自己決定でき ていないことが指摘されている 本学調査では、. 1 00. 「恋人がキスやセックスを要求したら、相手は応じるのが当たり前である」という考. えでは、男性が 1 5 . 2 ポイント高くなっており、. 「性的関係では男性がリードすべきだ」という考えで. は、女性が 1 0 . 9ポイント高くなっていた。. なお、交際経験のある学生とない学生における暴力認識度の比較は必要であろう 。DVの加害・被害体 験については、交際経験のある学生のみに尋ねているが、暴力認識度については、交際経験の有無にか かわらず尋ねている。交際経験のない学生に暴力を容認する意識が高い傾向が見られれば、交際を始め るまでの教育が必要であると言えるであろう 。. そして、「性暴力の被害者にも落ち度がある J と「思う」学生が 2割を男女ともに超えていることを 深刻な結果として受け止めたい. 10 叙. 2003 -60-.

(9) 表 1 暴力認識度. (%) 思う. 思わない. 全体. 女性. 男性. 全体. 女性. 男性. ①. 恋人からは束縛されてもいい. 3 2 . 0. 27. 6. ~沿. 67. 4. 72. 4. 6 5 . 0. ②. 恋人がいる人は、異性の友人と親しくしてはいけない. 1 4 . 9. 9 . 7. 1 守立. 8 4 . 9. 9 0 . 0. 81 .3. ③. 恋人が自分以外の異性との交友関係や自分の行動をチェ ック し たり制限するのは、好きな証拠だから仕方がない. 2 8 . 8. 25. 8 3 0 . 3. 4 70.. 7 3 . 9. 68. 5. ④. 恋人同士なら、思わず手をあげることがあっても、嫉妬や愛情表 現なら仕方がない. 9 . 8. 1 8 . 1. 89. 6. 9 6 . 2. 8 6 . 1. ⑤. 恋人がキスやセックスを要求したら、相手は応じるのが当たり前 である. 20. 3. 10. 5 257. 7 9 . 1. 8 9 . 5. 7 3 . 3. ⑥. 連絡が来て、すぐに返信がないと怒るのは、愛されている証拠だ. 2 4 . 3. 16. 4 1 8 . 9. 7 4 . 7. 8 3 . 1. 6 9 . 9. ⑦. 恋人同士でも、相手の携帯電話を勝手に見るのは、悪いことだ. 8 4 . 1. 8 9 . 5 81 .2. 1 4 . 8. 1 0 . 5. 1 ' 7 . 量. ③. 恋人であれば、二人の気持ちゃ考えは同じでなければならない. 1 1 . 2. 6 . 9. 1 8 . 巷. 8 7 . 8. 93. 1. 8 4 . 9. @. たとえ暴力をふるったとしても、ちゃんと謝ったら許してあげる べきだ. 3 8 . 7. 2 4 . 3 4 6 . 3. 60. 4. 7 5 . 7. 52. 4. ⑬. 暴力を受けても別れないのは、愛し合っているからだ. 1 4 . 5. 1 1 . 8. 16. 2. 8 4 . 8. 8 8 . 2. 8 2 . 8. ⑪. 性的関係では男性がリードすべきだ. 3 7 . 0. 2 . 8 4S . 7 3. 6 2 . 5. 5 6 . 3. 6 6 . 3. ⑫. 性暴力の被害者にも落ち度がある. 2 4 . 1. 2 2 . 8 24. 5. 7 4 . 8. 7 6 . 2. 7 4 . 3. 3 . 8. 揚. (エ) r 愛」を理由に暴力を容認する傾向について. 本調査において、「愛」 を理由に、恋人に対する/恋人による「束縛」を容認している回答は、男性 に多いことが分かる 。「恋人からは束縛されてもいしリ、「恋人が自分以外の異性との交友関係や自分の 行動をチェックしたり制限するのは、好きな証拠だから仕方がなしリ、. 「連絡が来て、すぐに返信がな. いと怒るのは、愛されている証拠だ」という考えを肯定している男性は 3割にのぼっており、いずれも 女性より回答率が高くなっている。 同様に、. 「恋人同士なら、思わず手をあげることがあっても、嫉妬や愛情表現なら仕方がなしリとい. う考えを男性の 13.1%が肯定している 。 I たとえ暴力をふるったとしても、ちゃんと謝ったら許してあ げるべきだ J との項目については、男性の半分近く、女性の 4人に 1人が肯定している。. I 嫉妬 J が暴. 力をふるう理由とされており、暴力は愛情表現の手段だとして加害者も被害者も正当化してしまう傾向 があると言える。. I 暴力を受けても別れないのは、愛し合っているからだ J という考えを肯定している. 学生も男女とも 1割を超えている 。 まさに、. 「ハネムーン期間」を含む D Vサイクルの構図である。. しかし、視点を変えれば、愛という名のもとでの暴力に、 NOという意思を表明している学生の割合が 高いとも言える 。 I 恋人同士なら、思わず手をあげることがあっても、嫉妬や愛情表現なら仕方がない J には全体で 89.6% (女性 96.2%、男性 86.1%、男女の差 10.1%) 、 「 恋人がキスやセックスを要求し たら、相手は応じるのが当たり前である」には全体で 79.1%(女性 89.50 / 0、男性 73.3% 、男女の差 16.2%)、 「連絡が来て、す ぐに返信がないと怒るのは、愛されている証拠だ」には全体で 74.7% (女性 83.1%、. -6 1-.

(10) 男 性 69.9%、男女の差 13.2%) 、 「恋人であれば、二人の気持ちゃ考えは同じでなければならなしリ には全体で 87.8% (女性 93.1%、男性 84.9%、男女の差 8.2%) 、 「暴力を受けても別れないのは、 愛し合っているからだ」には全体で 8 4 .80 / 0 (女性 8 8.2%、男性 82.8%、男女の差 5.4%) が 、 NOとい う意思表示をしているし、. 「恋人同士でも、相手の携帯電話を勝手に見るのは、悪いことだ」には全体. で 84.1% (女性 89.5%、男性 81 .2%、男女の差 8.3%) が YESと表明している。とくに、女性の割合 " ' " ' 9割と高い。 は 8割 '. ただ問題なのは、自分自身がその関係性や現実に実際向き合ったときに、暴力を暴力だと認識できる のかどうか、 NOという意思表示ができるのかどうか、現状において NOと言えているのかどうか、であ る 。. 愛があれば束縛や暴力は許される、という考えを肯定する者が多いこと、女性よりも男性の方が、交 際相手を束縛してもいいという意識を持っている傾向があること、女性の束縛の意識は相手の行動の制 限という形であらわれやすい一方、男性の束縛の意識はさまざまな形態の暴力となってあらわれやすい ことが先行調査で指摘されている. 1 1 0. r たとえ最初は『無理やり』だとしても、最終的には『愛情』の. もとにおける『合意』を得たものという自分に都合のいい一方的な認識を男性は持っていると考えられ る」と指摘をしている先行調査もあるヘ また、. 「恋人がし、る人は、異性の友人と親しくしてはいけなしリ、. 「恋人であれば、二人の気持ちゃ. 考えは同じでなければならない Jという考えを肯定している回答も男性に多くなっている。「パワー(権 力)とコントロール(支配)の車輪J と し 、 う DVの特徴が見てとれる 。. r 自分のもの J r 所有物」とし 1. う考えや 「支配欲」は、相手を自分の思い通りにしてもいい、自分の要求を通したい、そのために暴力 を手段として用いる、という DV の加害・被害経験につながりやすい。また、相手が自分の思い通りに 動かなかったり、. 「二人の考えや気持ちが同じ」で、なかった場合、つまり、自分の考えや気持ちと相手. のそれとが異なっていたり、自分の要求が通らなかった場合、暴力をふるうことを正当化する考えにつ ながりやすい。加害者が暴力を正当化し、暴力に至った原因を被害者に責任転嫁することによっで、被 害者が自責感と罪悪感で苦しめられてしまう。. 「愛を理由に暴力を容認する 」としづ暴力認識度は、暴力を暴力だと認識できず、 DVサイクルの畏に はまり、支配・束縛・所有と愛情を切り離せなくなってしまい、共依存関係に陥ってしまう。あるいは、 他者の DV においても、. 「親密な関係」における暴力を「愛J としづ名のもとに、. して、見過ごしたり無視したり放置してしまう 。. r 愛J r 恋j. 「当事者の問題」と. という名のもとに、支配・束縛・所有・. 暴力が正当化されてしまう。暴力は愛情表現ではなく、人権侵害であるという教育が徹底して行われる 必要がある。. r 親密な関係」における他者との境界線や適切な距離の構築がし 1かに重要か、ということ. を学生たちに伝えていきたい。 「愛を理由に暴力を容認する J としづ暴力認識度は、. 「親密な関係J において暴力を選択することを. r 親密な関係」における暴力は見ようと思わな 親密な関係」において暴力が起きている いと認識できない。そういう要因が複合的に作用している。 r. 容認している社会があることと関連しているであろう。. ことを見ていく視点や自覚してし¥く認識を高めていく教育を行っていきたい。. 1 1. アウェア、加藤 2010、中岡・寺橋 2009 2008. 12 渡辺. -62-.

(11) (オ) D V対処法 問 7では、問 6のような事柄を体験したときの相手に対する態度を尋ねている 口 全体では、「相手に 抗議し、話し合った」という回答は 2 2.20 / 0 と 2割にとどまり、「相手にあわせてがまんした J( 1 6 .1% ) 、 「相手の行為は愛情表現だと思ったか ら 、 何もしな かった J(12.2%) という回答が 1割を超えている 。 「相手の行為は愛情表現だと思ったから、何もしなかった」と回答した女性は 16.7%で、男性の 10.2% を6 .5ポイント上回っている 。 「愛を理由に暴力を容認する心理」や「所有されることを求める心理」が女性のジェンダ一意識と関 連していることや、 DV 被害の後の対処法にジェンダー差が見られ、ジェンダ一意識の否定層では、その 後「相手と別れた」の割合が高く見られることが先行調査によって分析されているヘ. わたしはよく、学生から、「被害者はなぜ暴力を受けているのに逃げない・別れない・離れないのか J という質問を受けることがある 。そこには、そもそも、なぜ被害者の側が逃げ回らなければならないの か、生活拠点から離れなければならないのか、生活資源を失わなければならないのか、環境を変えて生 活を始めなければならないのか、という理不尽な問いが立つ。 被害者にはさまざまな要因が重層的にのしかかる 。被害者が DV によってもたらされる恐怖心・無力 感・自責感・罪悪感・孤立感・絶望感・あきらめ・自尊感情の低下などの心理的な側面や、親密な相手 を加害者・犯罪者にしたくないという心理、加害者による暴力の否認・過小評価・責任転嫁、権力と支 配の構造、愛情と暴力のサイクル、ジェンダ一体制や性別役割分担の強制によるジェンダ一意識の内面 化、経済的・社会的自立の困難や不安、世帯・家族を単位とした諸制度、子ども・家族・結婚をめぐる 社会通念、被害者への社会的サポート体制や援助システムの不備、暴力を容認する社会のありょう、愛 という名のもとに正当化される束縛・所有・支配、カ ップル幻想やロマンティック・ラブ・イデオロギ 一等々、である 。 女性と男性が置かれている構造的な立場や関係性をふまえながら、ジェンダーの視点を踏まえた DV 対処法についても、学生たちに具体的に伝えていく必要があろう 。. 問 8では、問 6のような事柄を経験したとき、誰かに相談したかどうかを尋ねている 。 「相談しよう と思わなかった」という回答が、全体で 33.0%と 3割を超えていることは重たい結果である 。 「友人」 と回答した女性 (37.5%) が男性の回答 ( 1 3 .60 / 0 ) を 23.9ポイントも上回っている 一方、 「相談しよう と思わなかった」と回答した男性 (35.8%) が女性の回答 (28.1%) を 7 .7ポイント上回っている 。先 行調査においても同じような結果が出ている 。 「相談しようと思わない」男性へのジェンダー教育が必 要である 。 「友人 J に回答は集中しており、学校内外の専門 家や専門機関への相談はすべて 1%未満である. D. こ. れは深刻な結果である。学校内外の専問機関が組織としての機能を果たせず、現在の学生に役に立つ形 で存在しているとは言えないとしづ現実である 。そもそも学生に認知されていないのか、認知されてい ても対応の仕方が問題なのか、敷居が高いのか。その背景を探り、専門機関が受け入れ態勢についての 告知をどのように行っていくのか、どのような相談をしていくのか、どのよ うな体制を作っていくのか、 二次被害を 生まないように研修制度をどのように行ってい くのか、など、組織のあり方の再検討が根本 的に求められている 。下記に述べるような、学生聞の解決という問題だけにすりかえではならない問題 である 。 13. アウェア、加藤 2010、熊本県 2008. -63-.

(12) 「友人 J に回答が集中している結果から、「相談される側として、同世代の若者すべてが DVに対する 知識や情報をきちんと持っておくことが必要で、そのための教育が必要 J 14であると言えるし、「若者た ち自身が友だちに相談されたとき、適切な対応ができるよう DVの正しい知識を持つ必要がある J 15 そ 0. れが「二次被害」を防ぐためにも重要である 。 中田慶子は、デート DV防止教育の目的を次のようにあげ ている口「①被害、加害の自覚をする、②友人同士で適切な助言ができるよう皆が DVの知識を持つ、③ 将来の DV 夫婦を減らす、④現在、暴力の渦中にある生徒へ暴力から脱却できるというメッセージを伝え る、⑤相談先の情報の提供 J 16であるとしており、これらは、大学生に対する教育としても重要であろ. つ。 横浜市の調査においては、デート DV行為について、自分のまわりで「見たり聞いたりしたことがあ る」としづ選択肢も設けられている 。 身の回りで、身近なところで、自分や友だちに、 DVが起きていること /起きるものであることに気づ けるアンテナが大切だ。誰もが加害者・被害者になる可能性があることへの認識が必要なのである 。. (力)先行調査から得られた知見 吉岡香は、デート DVの被害女性に焦点を当てた調査を行っている 。 その結果、「デート DV被害女性は ジェンダ一規範の影響はさほど受けていないが、女性として求められる身体像に関しては影響を受けて いることが示唆された。また、被害女性は恋愛関係においては受動的・自己犠牲的な態度が前面に出て」 いる、としている 。 また、「愛情や依存の問題」が、「青年期の女性にとっては、アイデンティティの確 立や親密性などと関わる重要な問題」であり、「女性にとって自己概念や自己像の形成には、交際して いる男性がし 1る場合には、その関係が影響を与えると考えられる」と述べている 。調査の結果において も、デート DVの被害女性が、「暴力関係に留まる理由について、そこには親密さと結合への欲求、及び 承認を得ることの期待がある」ということが見いだされたという九 吉岡によると、調査によって、「デート DVをまったく受けていない人たち」は、「対象選択においても 付き合い方においても、自らが主体的に関り、恋愛関係に埋没していないこと」が明らかになった一方、 「デート DVの被害者」には、「対象選択と恋愛関係における彼女らの受動的な態度が前面に出る結果と なった」という. 1 80. 被害・加害経験者に、暴力を「しかたがなしリと回答した率が高かった結果から、. IWあきらめ』と. してデート DVを受け入れてしまっている女性が少なからずいる J など、被害・加害経験のない女性との 違いに注目している先行調査もある. 1 90. デート DVの授業の際、被害者を責めるような感想が出てくることがある 。 あるいは被害者の性格や 言動などに問題があるのではないか、と批判する学生もいる 。加害者に荷担する社会が被害者にもたら す「二次被害 J の深刻さが見えてくる 。 しかし、調査の結果、 DV被害者に共通するような性格の特徴な どはない、とも言われている 。なにより、被害者の性格や言動とは関係なく、 DVは正当化できない、そ うした暴力に対する認識が必要であるし、誰もが被害者になりうる、との認識が求められる 。ただ、被 害者の他者との関係性のっくりかたや恋愛観に、被害経験が影響を及ぼしているのかどうか、吉岡の分 中岡・寺橋 2008 アウェア 16 中田 2 007 17 吉岡 2 007 18 吉岡 2 007 19 渡辺 2 008 14. 15. -64-.

(13) 析にも学びたいと思う 。 李環媛と塚本宣子は、. D V 加害にいたったきっかけやその行為をしたことについてどのように考えてい. るかを尋ねる質問項目を入れた調査を行っている 。加 害 のきっかけを覚えていないのは、男性に多く、 その後のこととして、男性に多かった回答は、「自分が悪かったと思い、その後は同じことをしていな い」、「自分が悪かったとは思っていなしリであり、女性に多かった回答は、「自分が悪かったと思い、 二度とやらないという気持ちはあるが、その後も同じことをしてしまう 」であったという. 200. 加藤は、被害経験と暴力認識度の関係、暴力認識度とジェンダー意識の関係について分析している 。 それによると、女性の場合、暴力認識度の低い人ほど、「自尊感'情を傷つけられる暴力 」 と「性的暴力」 の被害にあっており、男性の場合、暴力認識度の低い人ほど、パートナーから「束縛」をされており、 いずれにしても暴力認識度が高い人は、暴力の被害経験が少ない、とし 1 う。 また、暴力認識度が高い人 は、ジェンダ一意識の中でも、特に「パートナーに対する支配欲」と「愛を理由に暴力を容認する心理 J を否定する人が多い、と指摘している. 2 1. 0. D Vに関する知識を持っているほど、 D VをD Vとして認識する傾. 向が高まることも先行調査によって確認されている 同様に、. 2 2 0. D Vの被害・加害経験と、暴力認識度や f D V 神話に関する思い込み」、そしてジェンダー意識. の相互に関連性があることが、先行調査において明らかにされている 。ジェンダー意識を肯定している 者の方が、暴力認識度が低く、. D V 神話に対する思い込みが強く、暴力を容認する傾向があること、男性. の方がその傾向が強いこと、が指摘されている ヘ 男性の方が女性に比べて、お酒に酔っていたときの 暴力を容認する傾向もみられたという結果から、加害者の飲酒の習慣や犯行時の飲酒の実態などとの関 連から、「酔っていたときの行為だから、暴力にあたらない場合もある」という認識の危険性を指摘し ている先行調査もある. 240. 若年者においては、「精神的暴力」や「社会的暴力 」の被害経験が多い一方、「精神的暴力 」や「社会 的暴力」に対して暴力としての認識が低いことも指摘されている. 。私自身が、学生に D Vの授業を行っ. 25. た際にも、「身体的暴力 」のみを「暴力 J として認識していたという学生の声をよく耳にする 。 また、アウェア. ( D V防止加害者プログラム・デート D V防止プログラム)は、男性の方が ジェン ダーを. 肯定する意識を強く持っており、そのことが、特に性行為に関して傾向が強いこと、「性的暴力」にお ける被害認識と加害認識における差が見られること、ジェンダーを肯定する意識が高い人ほど男性は性 暴力の加害行為を引き起こしやすく、女性は被害を受けやすいことを指摘しながら、男性に対する性暴 力に関する教育と、女性に対する性的自己決定の力をつける教育が必要だと提起している. 2 6 。女性に対. する「性行為における平等な権利、性の自己決定権」や女性としての基本的人権に関する教育・啓発の 必要性を提起する先行調査もある. 2 7。海外の研究においても、「男女間で親密な関係にあればパートナ. ーに暴力的な態度や行動を取ることを支持する男子学生は、性的な攻撃の加害者となりうる危険性があ. 李・塚本 2005 2010 22 李・塚本 2 005、 23 アウェア、 DV防止ながさき、藤田・米津 2 009、石川 12006、小泉・吉武 2008、熊本県 2008、李塚本 2005、中岡・寺橋 2009、山本 2005、渡辺 2008 24 李・塚本 2 005 25 熊本県 2 008、李・塚本 2005、中岡・寺橋 2008 26 アウェア 27 藤田・米津 2 009 20. 21 加藤. -6 5-.

(14) る」ことも紹介されている. 280. 何が暴力にあたるのか、 DVとは何か、ジェンダ一意識やジェンダー構造とどのように関連しているの か、さらなる教育実践を行っていきたい。. DVは、結婚前から始まる傾向があると言われている. 2 90. i 学校で、の啓発授業については、デート DVは. 夫婦問の D Vに発展する可能性もあるため、若者達が親密な関係を持ち始める頃やその直前の中学・高 校・大学等での予防教育を行うことが重要であると言われている J 30。 また、デート DVの放置がその後 の家族形成・家族生活に及ぼす影響についても危倶されている. 310. 大学における DVおよびジェンダーに. 関する教育の推進について、内容等を含め、さらなる検討を試みたい。. 3 ジェンダーについての意識・実態・経験 (ア)ジェンダ一意識 、 1 7の項目をあげ、学生のジェンダ一意識をはかる質問となっている 。表 2は、この 1 7項目 問 9は に対する学生の回答結果のうち、「そう思う」と「ややそう思う 」 を「思う J とし、「あまりそう思わな しリと「そう思わない J を「思わなしリとして合計したものである 。 まず、全体の傾向を見てみる 。 「夫の親を妻が介護・看護するのは当然だと思う」、「男性の方が女性 より、管理職としての資質がある J、「女性の幸福は結婚にあるので、女性は結婚する方がし 1しリという 考えには 6割の学生が男女ともに反対し、「共働きなら家事の負担は半分ずつにするのがのぞましい j という考えには 6割の学生が男女ともに賛成している 。 一方、男女ともにジェンダーを肯定している回答の割合が高い順に見てみると、. 「妻や子どもを養う. のは、男性の責任である J (55.6%) 、 「妻の転勤が決まったら、別々に暮らすのもよしリと「思わな し¥ J (50.9%) 、 「子どもが 3歳くらいまでは母親のもとで育てる方がよしリ 男らしく、女の子は女らしく育てる方がよしリ る方がよしリ. (46.3%) 、 「男の子は. ( 4 2 . 80 / 0 ) 、 「男性は少しぐらい強引に女性をリードす. (42.4%) となっており、いずれも 4割以上が肯定している 。. 次に、ジェンダ一意識の男女差について見てみる 。男性においては、ほとんどの項目において、ジェ ンダーを肯定している回答者が 3割 や 4割を超えている 。 女性においては、 i~男性は仕事、女性は家事・育児』と役割分担をする方がよしリという考えを否 定し、「共働きなら家事の負担は半分ずつするのがのぞまししリという考えを肯定する回答が多い一方 、 「子どもが 3歳くらいまでは母親のもとで育てる方がよしリという考えを肯定する回答が多いなど、家 事労働の分担意識は高い傾向にあるが、子育てに関する神話が根強いことが分かる 。 興味深い指摘がある 。大和礼子は、. 「性別役割分業意識」をはかる調査などにおいて、. 「もはや『男. は仕事、女は家庭』としづ意識だけでは、現代の性別役割分業意識の全体を把握することはできなしリ という問題意識を呈している 。 たとえば、「男は仕事、女は家庭 J に対しては否定的であっても、「理想、 の職業パターン」など具体的な性別役割分業を問われると肯定的になるなど、同じ回答者でも意識のず れが見られることを紹介している 。 そのため、. í~ 男は仕事、女は家庭』としづ論理は否定しつつも、そ. 畑下他 2005 畑下他 2005 30 小泉・吉武 2 008 31 熊本県 2 008 28. 29. -66-.

(15) れとは別の論理によって、結果的に女性の家事育児役割を肯定するような意識 J をとらえることができ るように、「性別役割分業意識」を「多次元的なものとして把握することが必要 J だとい う. 3 2。この指. 摘が出されてから、 1 5年が経過している 。大学生のジェンダ一意識を調査するにあたっては、重要な指 摘であると思う 。 「若い世代ほど平等志向を支持するといった関連が示されている J 一方、「性別役割観は『その平等 志向』に向か う観念的な流れと現実の行動との聞に見過ごすことの出来ない不一致が存在することがし ばしば指摘」されているとする先行研究の紹介は興味深い. 330. 表 2では、ジェンダーを肯定する意識が高い回答結果のうち、女性と男性の間で、 5ポイント以上の 差があるとき、割合の高い方の数値にアミをかけている 。 ジェンダーを肯定する意識は男性に強かったが、唯一女性に高かった回答が、. 「男性は少しぐらい強. 引に女性をリードする方がよし リ で、女性の半数が肯定している 。表 1における暴力認識度でも、男性 郎、中で、 の方が暴力を容認する傾向が 5. 「性的関係では男性がリードすべきだ」の項目においてのみ、. その考えに肯定する回答は女性に高く、 4割を超えていた。 ここでいう「リード」 とは、何をあらわしているのだろうか。性別役割分担を否定する一方、どうい った意識が彼女たちを支配しているのだろうか。 どういった関係性を望んでいるのだろうか。女性がジ ェンダ一社会への抵抗感や違和感を抱きつつも、結婚後の夫婦関係として、. 「夫が家庭内での主導権や. 権限を担う、いわゆる『亭主関白型』を希望する割合」が女性に多いことを指摘している先行調査もあ る 340 性的関係や恋人としての関係性、親密な関係における意思決定や行動の選択などにおいて、そして私 的な領域において、 =従」、. 「男性二能動的、女性二受動的 J '男性=主体、女性=客体」、. 「男性=主、女性. 「 男性=性的な主体、女性=性的な客体」、 「男性=守るべき存在、女性=守られる べ き存在」. という非対称性を持っているとは言えないだろうか。 こうした男性優位の意識が DV に通底しているこ とを考えると、学生たちにそれほどまでに内面化させているものは、すり込ませているものは何なのだ ろうか、と気になる結果である 。. 女性と男性の間での差が大きく開いた回答は、「デートなどでは、男性が金銭面の負担をするべきだ」. (+23.6%) と「妻や子どもを養うのは、男性の責任である J (+19.7%) で、いずれも男性の方が 2 0 ポイント前後高い回答だ、った。男性-,経済力 J というジェンダーを背負っていることが分かる 。上述 した女性のジェンダー意識の特徴とあわせると、. 「 性」 と「経済力 Jが「権力(パワー)と支配(コン. トロール) J と強い関係を持っているとも言えるだろう 。. また、女性よりも男性の方がジェンダーを肯定する意識や伝統主義的・保守的な意識が高いことは、 大学生の DV やジェンダーの意識・実態を調査した先行調査でも明らかにされている. 350. 本学調査でも、. この件は明らかにされたと言える 。. 1995 中井 2000 34 中島 2 009 35 アウェア、 DV防止ながさき、藤田・米津 2 009、一橋大学 2005、石川 2006、関西大学 2009、加藤 2010、小泉・吉武 2008、熊本県 2008、李・塚本 2005、松野・秋山 2009、岡山大学 2006、山田 2002、 山本 2005. 3 2 大和 33. -67・.

(16) 先行調査では 、 母親の勤務形態が学生のジ ェンダー意識に影響していることについてすでに検証が行 われており 、母親が非正規雇用 ・非専門職 ・自営業 ・専業主婦である学生の方がジェンダー意識を肯定 する 傾向 にある、あるいはそういう 可能性がある、と 指摘 されている. 360. 本学調査では、 間 12 で、母. 親の勤務形態を問うている 。親の勤務形態が、本学学生のジェンダ一意識にどの よ うな影響を及ぼして いるのだろうか. 表2. D. ジェンダ一意識. (%) 思う 全体. 女性. 思わない 男性. 全体. 女性. 男性. ①. 「 男性は仕事、女性は家事 ・育児」と役割分担をする方が よい. 2 5 . 6. 1 7. 6. 3 0 . 0. 5 5 . 7. 6 3 . 9. 5 1 . 0. ②. 男の子は男らしく、女の子は女らしく育てる方がよい. 42. 8. 3 6 . 1. 4 6 . 1. 3 8 . 3. 50. 0. 3 4 . 3. ③. 妻や子どもを養うのは、男性の責任である. 5 5. 6. 43. 2. & 2 . 9. 2 5. 2. 3 8. 4. 1 7 . 5. ④. 結婚したら、妻が夫の姓を名乗るのは当然だと思う. 34. 4. 34. 8. 34. 4. 46. 7. 4 6. 5. 46. 4. ⑤. 職場で、来客にお茶を 出すのは女性がした方がよい. 3 7. 3. 3 5 . 5. 3 8 . 3. 4 3 . 3. 4 6 . 0. 4 2 . 6. ⑥. 男性は少しぐらい強引に女性をリ ー ドする方がよい. 42. 4. 49~9. 3 8. 1. 3 8 . 7. 3 1 . 7. 42. 7. ⑦. 夫の親を妻が介護 ・看護するのは当然だと思う. 1 6. 9. 1 8 . 7. 1 6 . 0. 6 3 . 9. 62. 7. 6 4 . 9. ③. 男性の方が女性より、管理職としての資質がある. 1 9 . 5. 1 7. 9. 20. 8. 6 1. 4. 6 3. 7. 5 9 . 8. ⑨. 育児 ・介護休業は、男性 より女性がとった方がよい. 3 9. 5. 34. 8. 42. 1. 4 1. 5. 46. 5. 38. 6. ⑬. 子 どもが 3歳くらいまでは母親のもとで育てる方がよい. 4 6 . 3. 4 8 . 6. 45. 1. 34. 9. 3 3 . 0. 3 5 . 9. ⑪. デー トなどでは、男性が金銭面の負担をするべきだ. 33. 6. 1 8. 4. 42. 0. 4 7 . 7. 6 3 . 2. 39. 0. ⑫. 体育会系のサー クルのマネ ー ジャ ー は女性がやる方がよい. 3 6 . 8. 27. 9. 41 . 4. 44. 4. 5 3 . 7. 3 9. 5. ⑬. 男性は、家庭をもって一人前だといえる. 2 5. 5. 1 6. 9. 3 0 . 1. 55. 5. 64. 7. 50. 0. ⑭. 女性の幸福は結婚にあるので、女性は結婚する方がいい. 1 9. 1. 1 7. 1. 20. 2. 61 .8. 64. 5. 60. 4. ⑬. 家事や育児の能力が低い女性はのぞましくない. 3 3. 4. 26. 6. ' 37 . 2. 4 7. 7. 5 5 . 0. 4 3 . 5. ⑮. 共働きなら家事の負担は半分ずつするのがのぞましい. 6 3. 1. 6 8. 3. 5 9. 8. 1 7. 8. 1 3. 0. 20. 9. ⑪. 妻の転勤が決まったら、別々に暮らすのもよい. 3 0 . 3. 40. 7. 2 4 . 2. 5 0. 9. 40. 9. 56 、 ?. (イ)ジェンダ一経験 問 13は、家庭お よび学校におけるジェンダー経験を尋ねている。「親から、体罰や暴力を受けたこと がある J (18.0%)、 「 親の暴力を見たり 聞いたことがある J (12 .0%)、 「 学校において、教職員から、体 罰や暴力をうけたことがある J (15.1%) と 、 1割以上が、家庭や学校における暴力の経験があっ た と 36. 関西大学 2009、岡 山大学 2008、山田 2002、山本 2006 -68-.

(17) 回答している 。 しかも、いずれの項目においても、男性が女性の回答を 3ポイントから 1 3 ポイント上 回っており、家庭や学校において、暴力を受けたことがあると回答した男性は 2割にのぼっている 。 厚生労働省の研究班の「男女の生活と意識に関する調査」によると、 1 8歳ごろまでに両親や同居者か ら虐待を受けた経験のある人が、回答者の 5%おり、身体的な虐待が男性 8 00 / 0、女性 48% 、心理的な虐 待は男性 53%、女性 69%、性的虐待は女性の 1 50 / 0が経験したと答えたという ( 2 0 1 1年 1月 1 3 日付朝 日新聞朝刊)。 こうした経験がその後、彼ら・彼女らにどのような影響を及ぼしているのだろうか、彼 ら・彼女らは回復をはかることができているのだろうか。 家庭や学校における暴力を経験したことがあると回答した学生の、学生自身による DVの加害・被害経 験や暴力認識度との関連性を分析する必要がある 。先行調査においても、 DVの加害・被害経験には、そ の人の生育した家族との関係性や、生育した家族における両親の関係性が影響していることが明らかに されている. 370. 畑下博世たちは、デート DVに関する国内外の文献を分析した結果、デート DVの研究目的が、「両親か らの影響 J I 世代関連鎖 J I 男女双方が被害者と加害者 J Iリスク、健康への影響と予防対策 J の 4つに 分かれるとしている 。 「両親からの影響 j については、子どものころ D Vを目撃した男子学生は、「身体的 攻撃の加害者となりうる危険性が予測」されること、子どものころ性的虐待を受けた女子学生は、「デ. J ことなどが紹介されている 。 「子ども ート相手から肉体的・精神的攻撃の被害者となる危険性が高し ' のころ DVを目撃した子ども、両親から虐待を受けた子ども、また両親の離婚を経験した子ども、暴力的 なきょうだいの関係で、 育った子ども、というように育ってし 1 く家庭環境のなかでの出来事が、子どもが 大学生に成長してからも何らかの影響を与えて暴力的な態度や行動を示しやすい、または被害者となり うる危険性があるといえるのではないか」と問題提起している. 380. 家庭内におけるジェンダー経験は、女性の回答に高い傾向が見られる 。女性の回答者のうち、「家庭 内で、『女の子だから家事をしなさし寸と言われた J (46.0%)、「家庭内で、『男らしくなしリ『女らしく ない~ ~男のくせに~ ~女のくせに』と言われた J. ( 3 8 . 40 / 0 ) と 、 4割前後の女性が、家庭内におけるジ. ェンダーを経験している 。 学校におけるジェンダー経験については、「学校において、教職員は、男子生徒よりも女子生徒に対 して甘かった J (女性 42.7%、男性 60.2%)、「学校において、男子生徒よりも女子生徒の発言が軽んじ られることがあった J (女性 8.4%、男性 1 3 .50/0)とあるように、男性の方が、「教職員は女子生徒に対 して甘い J I 女子生徒の発言が軽んじられる J としづ回答をしているものが多い。 藤田絵里子と米津好史は、「男性の方が性的な役割固定的な考えを持ち、特に育った家族での夫婦、 男女関係、力関係をモデ、ルとして(世代間伝達)自分の恋人との関係を築く傾向がある j ことや、「男 性の方が、女性よりジェンダー・アイデンティティを、親モデ、 ルから世襲しやすしリことを指摘してい る 390 また、谷田川ルミは、ジェンダ一意識を規定している要因には、. I~ アルバイト~ ~異性交際~ ~ファッ. ションに気をつかった』といった学校外で、の活動に積極的で、あったものほど、伝統的なジェンダ一意識 が高くなる傾向が見られる」ことを女性大学生のジェンダ一意識調査結果から指摘している. 石川 12006、藤田・米津 2009、熊本県 2008 2005 39 藤田・米津 2 009 40 谷田川 2 007 37. 38 畑下他. -69-. 400.

(18) 大学生のジェンダー意識に何が起因しているのか、さらなる検討が必要である。. 4 自尊感情 問 1 4は 、 1 0の項目をあげ、学生の自尊感情をはかる質問となっている。ローゼンバーグの自尊感情 尺度を使用した。 表 3は、この 1 0項目に対する学生の回答結果のうち、「そう思う J と「ややそう思う」を「思う」と し、「あまりそう思わない」と「そう思わなしリを「思わなし'1J として合計したものである 。 全体を見てみる。「自分はダメな人間だと思うことがある」、「もっと自分自身を尊敬できるようにな りたしリと回答している学生は 8割を超えており、「自分に満足している」と「思わない」が 7割、「自 分には自慢できるところがあまりなしリが 6割、「自分に対して肯定的である」と「思わなしリ、「し 1ろ いろな良い要素を持っている」と「思わない」が 5割、「物事を人並みには、うまくやれる J と「思わ なしリ、「イ可かにつけて、自分は役に立たない人間だと思う」、「人並みには、価値のある人間である」と 「思わなしリ、「敗北者だと思うことがよくある」が 4割を超えている。 表 3で、女性と男性の間で、自尊感情が低い回答結果のうち、 5ポイント以上の差があるとき、割合 の高い方の数値にアミをかけている。男性に比したとき、女性の自尊感情が概して低いことが分かる口. しかし一方で、「人並みには、価値のある人間である 」 と「思う」学生や、「敗北者だと思うことがよ くある」と「思わなしリ学生は、わずかであるが、女性の方が多くなっている。また、「もっと自分自 身を尊敬できるようになりたしリは、 1 0ポイント以上、女性が男性より高くなっていることについて、 自尊感情が低いと見るのか、向上心が強いと見るのか、これらの結果をどのように解釈したらいいのだ ろうか。女性の方が、今の時点で自分自身を受け入れたり認めることができていたり、ダメだと思う部 分もあるが、そこにとどまらずにもっと向上したい、もっと認められるようになりたい、もっと自分を 認めることができるようになりたい、自分で自分をのばしていきたい、こういう自分になりたい、自分 で歩んでいきたい、というような、対自欲求や承認欲求の概念が強い、そういう傾向もある、と言えは しないだろうか。. 東清和は、大学生の自尊感情をジェンダ一心理学的視点から分析している。大学生の調査の結果、「被 験者変数として男女という生物学的性別を基準にして自尊感 情の性差研究を行った場合、男性と女性の d. 聞には性差は認められなしリとしている。一方、「ジェンダー・アイデンティティを分類基準に用いた 場合、性別にかかわらず平均値的には両性具有型と男性型は、女性型や未分化型と較べると自尊感情は 高い」ことがあらわれるという。その要因には、男女を問わず、「依頼心がなく、能動的で、競争心が あり、自信や優越感をもち、圧力にたえながら諦めずにことに取り組めるような人であること J、や「達 成志向の強い人」など、男性性の強さが自尊感情の高さと関連しているという 。 東は、「男女の性別という 2分法的カテゴリーのみを用いた性差研究には限界がある」という興味深 い指摘をしている 。 また、「男子学生の自尊感情が概して低いことで、自分自身をあまり価値のない人 間であると見なしている。このタイプの男子学生に伝統的なジェンダー・ステレオタイプを強調するこ とは危険で、そうすれば自尊感情の低下を加速させるおそれがある j とも述べている. 410. 上述したような、「依頼心がなく、能動的で、競争心があり、自信や優越感をもち、圧力にたえなが ら諦めずにことに取り組める」、「達成志向の強しリといった特徴をジェンダー・アイデンティティの「男 41 東. 1999. -70-.

(19) 性性 J r 男性型 J と分類し、男性にそれを要求する、あるいは男性がそれを要求されていると思うかぎ り、男性の自尊感情は低いであろうし、いっそう低下させていくのではないだろうか。 昨年近畿大学で実施した学生の意識調査において、わたしは、「若者の現在の雇用状況を見てみたと き、女性やマイノリティが担わされてきた非正規雇用の領域に若い男性たちが多く入ってくるようにな り、家族賃金制度など、男性が持ってきた既得権から周縁化される男性たちが登場するようになってき た。男性の不利益が拡大していることと、若い世代におけるミソジニー(女性嫌悪)が関係しているの ではないか、と指摘する人もいる」と問題提起をした. D. 東が指摘するように、「男性 J r 女性」 と生物学的性別での分析ではなく、自尊感情とジェンダー・ア イデンティティの関連性を分析するとともに、ジェンダーと関連づけながら自尊感情を高める教育を行 っていくことが必要であろう 。. DVと自尊感情との関連については、 DV被害者の共通点や特徴として、「自己評価の低さ、自尊心のな さ、自尊感情の低さ」が指摘をされており、被害・加害経験の両方をしている者は、さらに自尊感情が 低いという べ 畑下たちも、「加害者でもあり被害者でもある女子学生は、父親が母親にふるう暴力の 目撃者である割合が高く、自尊感情が低下し、分別や無償の愛を測るスコアが低い j という調査結果を 紹介している. 4 3 0. 藤田・米津は、父親の暴力による恐怖が、「男性像 J r 異性との関係形成における男性優位の不平等な 自己像形成」に影響を与えていることを指摘している 力関係 J r. 440. 山本桂子と西岡正子は、「自己肯定と両親肯定は、女性の場合は関係しているが、男性の場合は関係 がなく j、「両親が家庭での役割を分担し平等であることは、男女共に両親の肯定と関係し、女性の方が より関係は強く、女性は、より両親の関係性を自己肯定に取り込む傾向があると考えられる」と、女性 の自己肯定と親との関係性・親の関係性について説明している. 450. 表 3にあらわれた結果は、「今の」若者の特徴なのか、「若者世代」特有の傾向なのか、「近畿大学」. の学生の特徴なのか。 1 0代後半や 2 0代前半という時期は、自己肯定できないときなのかもしれない。 人間関係や世界観が狭い若者の傾向なのかもしれない. D. 一人の人間の中での変化もあるだろう 。 日々の. 変化によっても回答は異なってくるだろう 。学力、将来への展望、これまでの経験、友人関係、家族関 係、趣味や特技など、さまざまな要因が複雑に影響しあっているともいえる 。 また、ジェンダー規範や ジェンダー構造と現実とのギャ ッフ。 がもたらすものなのかもしれない。. 西岡・小牧 2008 2005 44 藤田・米津 2 009 45 山本・西岡 2 006 42. 43 畑下他. -7 1-.

図 1 r したことがある」行為 ① 何 を 言 っ て も 長 時 間 無 視 す る 一 一 一 一 一 一 一 円、 … ・ 14 . 5 」 一一一一一一一一一一一一一一一一一‑ ~~  ②大声でどなる ?… … ………~113 .4 I  I  ③ 大 切 に 山 る も の を 、 わ ざ と 壊 山 捨 て た り す る 毘 出 43 ④交友関係や電話を細カ佐視したり、外出を制限する円 J し…… 66 :  ⑤異性の友人と、話したり会ったりすることを制限したり、遊ぶと怒ったりする 1 で
図 2 r されたことがある」行為 ①何を言っても長時間無視する rT?竺?、 kZ仔、~ん守ι、 ②大声でどなる t ..::::..... .. . .. .. .. .....
表 1 暴力認識度 (%)  思う 思わない 全体 女性 男性 全体 女 性 男 性 ①  恋人からは束縛されてもいい 3 2 . 0  27 . 6  ~沿 67 . 4  72
表 3 自尊感情 (%)  思う 思わない 全 体 女 性 男性 全 体 女 性 男性 ①  自分に満足している 2 6 . 9  25 . 1  2 7 . 4  7 2

参照

関連したドキュメント

喫煙者のなかには,喫煙の有害性を熟知してい

大学は職能人の育成と知の創成を責務とし ている。即ち,教育と研究が大学の両輪であ

 彼の語る所によると,この商会に入社する時,経歴

共通点が多い 2 。そのようなことを考えあわせ ると、リードの因果論は結局、・ヒュームの因果

であり、最終的にどのような被害に繋がるか(どのようなウイルスに追加で感染させられる

層の積年の思いがここに表出しているようにも思われる︒日本の東アジア大国コンサート構想は︑

発生という事実を媒介としてはじめて結びつきうるものであ

遮音壁の色については工夫する余地 があると思うが、一般的な工業製品