-表計算ソフトで計算レベルに応じたプリント自動作成-
Children’s Calculation Ability Progress Teaching Support AI System
Automated Prints Making System Regarding Children’s Progress Levels
- 算数計算指導の目的は教えるほとんどの児童に単元をマスターさせることにある. それには児童の計算力進捗に個人差があることが問題になる.具体的には計算問題プリントの出来具合の差で あり,それは児童の個々のウイークポイントによる.大部分のウイークポイントはある桁分け・型分けの問題式の 習熟度の不足による. 未習熟の問題型式を見つけ,それをピンポイントで繰り返し実行させ習熟することにより できるという自信が生まれ出来るようになる.ウイークポイントを見つけるプリントおよびウイークポイントを改善 するプリントを教師がシステムの支援で自動作成し実施することで単元をマスターすることを目指す. <キーワード> AI算数計算問題プリント自動作成,算数指導支援情報システム,算数計算能力向上・弱点克服,Excel関数プ ログラミング
1.はじめに
ボタン一つで次々と自動的に計算問題プリントを無 限に作成できるシステム(version1:無限プリントくん)を 2018年に作成し報告した[1].これは教師のプリント作成 作業の省力化によりゆとり時間を生むことを目指した. 今回は小学校低学年算数筆算プリント作成システムの version2として児童各自の計算能力を向上させる指導 を実現するシステム(単元クリアくん)を作成した[2].2.算数計算法指導の現状
加法減法では,まず数字,順番,十進位取り記数法を 学習して数の性質を学びながら,加減のアルゴリズムを 理解する.この時期の児童の習得率は個人差による影 響が著しい.繰り上がり無しの加法では,計算学習の経 験の少ない児童は4+3の場合,4から5・6・7と指を使っ たり,頭の中で3つ数えて答えを求める.計算習得の遅 い児童の場合,この段階で次の単元に進まれてしまった り,練習の機会を失ったりして計算のアルゴリズムは理 解するものの習熟せずに過ごすことがある.減法も同 様で,それまでの習熟不十分で更に繰り上がり,繰り下 がりの計算に出会う.2年生までは20題の横式等の問 題で90%程度の正解率のある児童でも,3・4年での2 桁以上の乗法除法の場合,例えば3桁どうしの乗法の 筆算では,かけ算九九9回,繰り上がりと部分積の3口 のたし算が約20回出現し,その全ての小計算が合って いないと正解にたどり着けない.従って教師は問題を与 え,多くの児童が習熟に至らず問題を解く作業を試みる 段階で終わっている.それでは単元をマスター出来たと はいえない児童も出てくる.* 1 * 2
岡部 建次/佐藤 稔
論文受理日:2020年9月10日*1 Okabe,Kenji :次世代発展総合研究所 e-mail= [email protected] *2 Sato,Minoru :次世代発展総合研究所 e-mail= [email protected]
3.問題点
児童の個人差が顕著になり,更に算数の特性と言う べき正誤の結果が明確のため,計算の解答を誤ること で劣等感や苦手意識を生じるのが実際の状況である. 計算は道具に過ぎないと児童は理解しているが,現 場では中学・高校になっても計算間違いによる失点は大 きい. それは本来の数学的な考えの理解からは,かなり離 れている.80~90%の児童が習熟するまで教師も努力 するが,残りの10~20%の児童が取り残される.計算は 練習で習熟でき,限りなく100%に近づける.計算学習 がその後の算数指導に与える影響は正確さと時間であ る. 児童は不正確(不正解)であると,正しかった思考が間 違えだと思い込んでしまう.また,時間がかかり過ぎれ ば,焦りから正しい思考の妨げとなり,読み違えや転記 ミスのケアレスミスを誘発する.以上2.と3.から次の学 習方法を考え,システム化した.4.問題解決の方法
後述する①②のプロセスで普通は学習している.そこ で②をシステムで支援する. ① 演算アルゴリズムの学習⇒学校での指導 それぞれの演算に関して,大切な概念形成やアルゴリ ズムを学校で教師が指導する. ② 正確に速くできるようにする⇒個別学習 理解度,到達度,習熟度は児童で異なる.計算は習 熟段階に効果的に練習すれば,必ず一定の水準に達す る.現状は,多くの教師と児童が途中で諦めている. 目指すところは各児童に適正なプリントの形で習熟 度アップ練習を徹底し問題解決する.計算の成長曲線 の上昇カーブを持続する適切な出題と量で,児童の意欲 と自信が生じ習熟度は向上する. 適切なプリントによる指導の仕方を5.1に示す.5.問題解決実践の具体的アイディア
5.1 指導の仕方 出題問題の型式(かたしき)とエラーパターンの相関に着 目して,ある単元での最初のプリントでは単元内での各 自の不得手なところを見つけることを主目的とした幅の広 い種類の桁分けと型分けの問題式プリントを作成する. これを実施し各自進捗具合(弱点)を把握する. 次に児童ごとに弱点改善に適した問題型式組み合わ せのプリントを作成し練習する. 児童は型分けや単元とは直接関連のない間違え(例 えば筆記文字の形状が似通った数字0と6とか,1と7の 書き間違え)をする場合がある.このような児童には個 別に口頭さらにはそのような数字が解答に頻出する問 題式のプリントを作成して指導する. 以上を実践し単元のマスターを実現するプリント作成 システムは以下の機能を用意した. 5.2 指導を実現するシステムが提供する機能 バラエティのある指導が出来る以下の機能を実現した. ① 教師が自分でメニュー画面に指示するだけで問題プ リントを作成できる. ② 10題,20題と2種類の用紙を選べる. ③ 横並びや縦並び出題レイアウトの選択 ④ 桁分けと型分けの概念を導入して問題式を体系化し ている.[3][4] ⑤ 桁分け(問題式の足される数と足す数の桁数の組み 合わせ)を指定して,その桁分けの問題式を全問(10 題,20題)自動的に作成する方法と,各問題式の型 分けを教師が指定する方法がある. ⑥ 問題の吟味ができ,解答(採点用プリント)に出題問 題毎の型分けを表示する. ⑦ 整数の加法であれば,一位数+一位数から三位数+三 位数までの,繰り上がり有無・回数,空位の位置など の組み合わせの中から,児童の理解具合を知り,弱点 を改善する式の型分けを選べる出題方式になってい る.⑧ 加法では,水道方式に準拠の型分け169種類パター ンから自動で問題プリントを作成できる. ⑨ 一桁+一桁から三桁+三桁までの大きな,くくりで11 種類の桁の組み合わせから桁分けを指定するだけ で自動的にプリント作成することもできる. ⑩ 書き写しや位取りミスのケアレスミスを調べる問題作 成やプリントの「倉庫」へ保存でき再利用ができる. ⑪ 教師が気に入った数値をストックした「倉庫」に保存し てあるプリントを利用するとき,保存の問題式のプリン ト上の順番をそのままで出題する方法と,問題式の順 番をランダムに並び替えて再利用する方法が選べる.
6. システム操作方法
分かり易い操作のために,メニュー画面で入力したメ ニュー選択番号に対応する機能提供の画面のみ表示さ れ,選択した作業で不要な部分はその都度非表示にし た.システムの概要がわかれば容易に操作でき,マニュ アルを詳しく読まなくても操作できる(図4).メニュー画 面全部を1つの大きな画面(図1)として,これをディスプ レー上にマウスで適宜必要とする部分のみを動かし表 示して利用する.メニュー画面全体レイアウト(構成)を 理解していれば容易に操作できる.このやり方は操作 メニュー体系・システムの提供する機能全体を把握でき る.7. メニュー画面説明
7.1 メニュー画面全体 メニュー画面全体図を図1に示す.メニュー画面全体 は大きく,21インチ・ディスプレー画面約6個分に相当す る.操作に必要な部位をディスプレイ画面にマウスで動 かし表示し操作・参照する.メニュー画面全体を構成す る各部分はシステムの提供する機能(サービス)およびシ ステムの構成を示している.全体図1のA,Bは作成したプ リント,Cは作成タイプ指示画面,D~Gはタイプごとの作 成問題式のリスト表示、I~Pは作成に使用する桁式・型 式の一覧,Hは保存するプリントの倉庫である.以下にメ ニュー画面全体図の各部分を7.2 ①~⑯で解説する. 7.2 メニュー全体図の各部分 ① メニュー全体図(図1)のAの部分 作成した問題プリントの表示箇所でA部は教師用プリ ント(図2A)で各問題式の型分けも赤で表示(図2Bの筆 算式の上)されている.教師用プリントは解答もある.採 点と各問題の出来具合で児童のどのような型分けの問 題が出来ない(ウイークポイント)かが分かる.これらプリ ントを表計算ソフト印刷機能で印刷できる. 図2A A部分:指導用プリント(一部分を図示) 各問題の型式(問題番号の上)も表示 図2B 計算式上の型式表示部分拡大表示 ② Bの部分:作成した児童用プリントの表示 図3 児童用問題プリント(一部分) これらは表計算ソフトの印刷機能で印刷して,児童 用に配布するプリントはコピーして授業で使用する. ③ メニュー画面全体図Cの部分(図4) プリントを作成する上で必要な指示を入力する部分 である.図4上段左端の「内容選択」の入力欄ではプリントの作成方法番号を入力する(0:自動作成,1:内容 (型分け)選択,2:問題式数値を自分で入力.3:以前に 作成したプリントを利用).例えば1の自動作成なら⇒の 表示の後にシステムが自動作成する問題式の型式を全 体図I~Pの部分(詳細は⑨~⑯に後述)に示されている 1~165までの式の桁分け・型分けの中から選ぶ.選んだ 型分けに該当する問題式をシステムが自動的に作成す る. 図4 作成指示部分 以下に示す④~⑦の各部分(D~G)は③のC部(図4) 上段左の「内容選択」で選んで作成した各種のプリント の内容が問題式のリストの形で表示される場所である. ④ メニュー全体図Dの部分 自動作成を選び更に型分けを番号指定して自動的に 作成された10題プリントの各問題式と型式がDの部分 にリスト表示される(図5). 図5 D部:自動作成問題式のリスト表示 ⑤ メニュー全体図Eの部分 内容選択欄で1の内容選択(手入力で1題ずつ型分 けを指定する)を選んだ場合,型の種類を図6のE部左側 の種類の欄に1題ずつ型分け種類番号入力する.そして 指示通り自動作成された式とその型分けが右側に表示 される.(図6) 図6 E部:1題ずつ型分け番号を入力の場合 ⑥ メニュー全体図Fの部分 Fの部分には<内容>選択欄で2の(手入力で1題ず つ問題式で使用する数値を入力する)を選び、F部の数 値入力の欄(図7左側2列)に1題ずつ2つの数値(足され る数と足す数)を入力すると式とその型分けが右側にリ スト表示される(図7). 図7 F部:問題式を自分で手入力 さらに式の手入力による方法は自分でプリントを作る だけでなく,教科書・問題集や昔に作ったプリントなどの 既存の問題プリントの解析とそれを自分のプリントとして 使うことが出来る.既存の問題集はどのような型分けの 問題式から構成されているのか,この式はどのような性 質を持つ問題式なのかを解析することに利用できる. ⑦ メニュー全体図Gの部分 G部では倉庫(図9)と呼ばれる今まで作成したプリント
を保存しておく場所からかつてシステムで作成・利用し 保存したプリントをプリント番号で呼び出して再利用す るときに用いる(図8上部右呼び出し番号入力欄) 特別な意図を持って作成したプリントをそれを使うべ き時に呼び出して使うことが出来る(図8). 図8 倉庫に保存されているプリントの活用 (No.1プリントを呼び出した例) ⑧ プリントを保存する場所:倉庫の部分 全体図最下部の部分Hは倉庫である.図9の例示で は10題プリント一つがNo.1という場所に保存されてい る.No.1に保存されているプリントは10題で,最初の問題 ①は124+34である. 図9 10題プリント1つ保存されている倉庫 以下に示す⑨~⑯(全体図I部分(図10)~P部分(図 17))には桁分け・型分けの全165種類の一覧を桁分けご とに分けて表示したものである.利用者はこれを見なが ら必要とする桁・型分けを選び図4プリント作成指示部 位上段右(⇒)の「種類」の欄等に種類番号を入力する. ⑨ メニュー全体図Iの部分 自動作成で「桁分けのみを指定して,その桁分けの 各問題式を自動的(ランダム)に作成する.このとき図10 全体図I部分の桁分けリストを用い,その桁分け(1~11) 種類番号を用いる. 図10 桁分け一覧リスト 桁指定のみで問題式自動作成に用いる ⑩ メニュー全体図Jの部分 Jの部分は自動作成において一位数+一位数の桁分 け式のうち図11の13~18の各種の型分けを種類番号で 指定し,その型分けの問題式を自動的に作成する場合 に用いる.
図11 全体図J 一位数+一位数型分けリスト ⑪ メニュー全体図Kの部分 二位数+一位数の型分け19~23のリスト. 図12 二位数+一位数足し算型分け種リスト ⑫ メニュー全体図Lの部分 一位数+二位数の足し算の型分け種24~28のリスト. 図13 一位数+二位数の型分け種24~28 ⑬ メニュー全体図Mの部分 二位数+二位数の型分け種29~47のリスト. 図14 二位数+二位数の型分け種29~47 ⑭ メニュー全体図Nの部分 N部は二位数+三位数の足し算の型分け種35種,種 類番号84~119を示す.図15は種類番号84~97までを 図示してある. ⑮ メ 図15 全体図N部分二位数+三位数の 足し算型分け種35種の一部
ニュー全体図Oの部分 三位数+二位数の足し算型分け36種:種類番号48~ 83が全体図Oの部分に表示されている.図16にはこのう ち種類番号48~61を図示してある. 図16 全体図O部分一部:三位数+二位数の 足し算型分け36種の一部 ⑯ メニュー全体図Pの部分 三位数+三位数の型分け46種:種類番号120~165を 表示.図17は120~133を図示.
8. 指導の方法 (具体的な使い方)
本システムを使い,単元をマスターするまで指導を行 う具体的な方法を三位数+二位数の学習の指導を例に 示す. ① 指導の仕方(考え方) 最初に全員に実施する共通プリントを作成し実施す る. 採点結果の点数は通常児童ごとに異なる. 児童ごと のそれぞれ異なる弱点を克服するために,2回目以降は 児童が前回のプリントで誤答した問題(弱点)の型式に 習熟して克服するプリントを作成し実施する. これを繰 り返し,児童に単元をマスターさせる. ② 最初の共通プリントの作成 システムを起動すると図18に示す操作画面が表示さ れる. 図18 操作画面全体図左上端 次に画面中央上部の入力欄に画面を遷移し,一列目 左端の内容選択に<内容>のうちから自動作成0を入力 する(図19上段左端)と右に型式種類の入力用欄を表示 (図19最上段中央)される. 次に種類の欄に5を入力. 図19 項目の入力 ③ 自動生成された5(三位数+二位数Ⅰ)の内容が,プリ ント内容(図19では下段左,図20にプリント内容枠全 体を図示)に表示される.印刷プリントレイアウトはプ 図17 全体図Pの部分三位数+三位数の型分け46種のう ち種類番号120~133リント内容の左側面に表示され,上段は指導用プリン ト(図21)で 問題式・型分け・解答を表示.下に児童用 の問題プリント(図22)が表示される. 図20 プリント内容 図21 指導用プリント(全体図A部分一部図示) 図22 児童用問題プリント(一部分) これらを表計算ソフトの印刷機能で,印刷して児童用 プリントは人数分コピーして授業で使用する. 2回目以降のプリント作成 次に実施された児童用問題プリントの採点結果をも とに2回目以降のプリント作成する. ④ 1回目(前回)で全問正解の児童には,種類の欄に 6を入力し次のレベル(三位数+二位数Ⅱを選択)こ れも正解ならば,二位数+三位数のプリントとか,三 位数+三位数のプリントへと進む.また2回目以降の プリントとして数値を変えた同じレベルの繰り返し, 上レベルあるいは下レベルの問題等を選ぶ方法もあ る. 教師の裁量で選ぶ. ⑤ 誤答のある場合(1題のみ)は,まず内容選択欄で1の 内容選択を選び,次に教師用プリントに記載されてい る誤答した問題の型分けを見て(図23上部),その問題 の桁分けが,例えば三位数+二位数ならば,操作画面 右側の三位数+二位数の種類No.48~83の中から 次にやるべき問題式の型分けの種類を選び,種類入 力欄(図24左端)にその番号を入力する. 図23 教師用プリント:式とその型分け表示 図24 型分けの種類入力(問題数10題) 全体図E部 ⑥ 誤答が複数(異なる桁分け・型分けの誤答)ある場合 は,同様に〔内容〕選択欄に型式を選択する1を入力 する(内容選択を選択). 図24(図24には入力済みの状態がしめされている)の
ように,内容選択の入力用欄が表示される.2つ目の誤 答の桁分けの中の型分け,例えば桁分けが一位数+二 位数ならばNo.24~28(図13)の中から問題式の型分け の種類を選び入力する.間違えたものとまったく同じ桁 分け・型分けで数値のみを変えた問題とするか,同じ桁 分けの型分けの異なる問題とするかは教師の判断で選 べる. ⑦ ④⑤⑥を,必要に応じて繰り返し不得手の桁分け・ 型式を習熟し弱点を克服する.こうして,単元をマス ターできるようになる.
9.システムの作成
エクセルに関数を駆使して作成した.10.システムの工夫
① 既存の問題集・プリントの解析が出来る.教師が教 科書やドリル,自作問題の式の数値を入力するだけ で,それらの型分けが表示され,指導の資料とするこ とができる(図7の問題式数値を自分で入力の操作). ② 作成されるプリントは乱数を使用して式を自動的に 作成しているが,1枚のプリントに同じ問題式が出現し ないようにしてある. ③ システムの「倉庫」に作成したプリントを保存して適 切な時点で再利用できる. ④ 当初は,マクロを使用していたが,エクセルのバー ジョンアップ,他社製の表計算ソフトでの使用を考慮 して,マクロは一切使用せずにエクセル2007までの関 数・機能のみで製作した.そのため,システムのバック ヤード(作業領域部分)は複雑になり,シート保護を かけシステムの破壊を防いだ.11. まとめと考察
① 一般にアプリケーションシステムは多くの人が使い普 及することでその性能は向上する.まずは多くの学校 ・教師に使ってもらうことがシステムの進歩・発展に不 可欠といえる. ② 新しい単元のプリントのある問題式が出来ないとい うことは,ほとんどの児童にとっては,ある桁分け・型 分けの式の計算の仕方に習熟していないために起こ る.そこでこのウイークポイントについて,その桁分け・ 型分けの式の問題式の数値を替えた計算を繰り返 し,出来るまで集中して行い習熟することでその弱点 をクリアする.この考えで本システムは設計されてい る.不得手な計算式を繰り返しやっても習熟できない 児童(算数障害)の場合もある. ③ 算数障害の児童に対しては,その障害,例えばどうし ても繰り上がりが出来ないなどの児童は,障害の種 類に応じた特別なプリントをシステムがプリントアウト して,それをやらせることで対処する[5].この機能は次 期バージョンで用意する今後の課題とする. ④ 遠山[3] [4],銀林[3]による水道方式は計算式の型分け による分類とそれらの教え方の原則を作り,効率的な ドリルを提案.本システムでは、水道方式と同様に問 題式の型分けに着目しているが,水道方式のように 細分化された型分けをより大きくまとめて型分けしグ ループ化した.水道方式では問題式の型式と教える 順番に配慮するとしている. 本システムでもシステムを 利用する教師の裁量によって,すなわち授業で遭遇 する個々の児童のケース(弱点)に対して,問題式の 型式の種類と順番をその都度教師が適正と考える形 でプリント作成・指導ができる. さらに本システムでは ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童でも、問題点 を一つに絞ることで集中を促しウィークポイントを克 服していけるようにした. ⑤ 計算ミスの原因は,できない・また間違えるかもしれ ないという精神的な原因とアルゴリズムの不理解・未 習熟の技術的な原因である.本システムを用い効果的 に技術的な原因を取り除くと共に,自信を付けさせ精 神的な原因も取り除くことができる. また,余分なプ リント(問題)を多くやらせて算数嫌いを作らない効果 的なプリントの活用ができる. ⑥ 支援教育の専門家への寄与については下記のように 取り組む.1) 算数システムの寄与方法の検討 支援学校で例えば小学校高学年・中高校生年齢の生 徒に算数の加減算を教える場合,本システムは教材作 成・計算能力向上として利用できる. さらに支援学校に 於ける授業の特有の課題等を支援するために有効な算 数計算教育支援システムの作成については今後の課題 とする. 知人の埼玉県の支援学校教師にも検討に参加 してもらい支援教育専門家に寄与する学習支援システ ムを検討する.検討の成果は本学会のICT活用研究会 で報告し研究会に参加している支援学校の教員他の意 見を反映する. 2) 支援学校紀要・報告情報検索システム 支援教育研究論文の利用システムは整備されている が,支援教育の現場では各支援学校で刊行される紀 要・教育実践報告が有用ではないかと考える. そこで紀 要・実践報告の書誌事項(表題、キーワード,著者名,発 行機関、年号ページ等)をデータベース化し、検索できる ようにし,検索結果の原著コピーは国立支援教育総合 研究所図書室の現行のコピーサービスから入手するシ ステムの提案に取り組む. 筆者(岡部)は1973・74年頃, 国立特殊教育総合研究所に勤務し,当時の中型コン ピュータシステムで支援学校の紀要・報告の書誌データ ベースの特殊教育情報検索システムの開発を行った.そ の後,この様なシステムは現在は動いてないようです. 12.参考文献 [1] 岡部建次,佐藤稔(2019),エクセルによる算数四則 演算横式計算問題プリント教材作成システムの研 究,日本教育情報学会35回大会 [2] 岡部建次,佐藤稔(2020) ,児童計算能力向上指導 支援AIシステム,日本教育情報学会36回大会 [3] 遠山啓,銀林浩,水道方式による計算体系 (現代教 育全書),明治図書,1960 [4] 遠山啓,数学の学び方・教え方,岩波新書(青版) 822,1972 [5] 熊谷恵子、山本ゆう,通常学級で役立つ算数障害 の理解と指導法,学研教育未来,2018 [6] 熊谷恵子. 算数障害とはいったい? https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/ 70-17-20.pdf [7] 佐藤稔 (1978) ,計算に関する一考察,日本私学小 学校連合会夏季全国大会 [8] 算数資料図解大事典〈数量編〉全国教育図書,第1 章~第3章,1964
<Abstracts> The purpose of arithmetic teaching is to master the lesson unit by most students. But it is a problem that there are personal differences in individual calculating ability. Exactly it is a difference in the result of calculation study print exercise and it is due to the weak point of each student. The major weak points are lack of sufficient proficiency of particular digits and style of arithmetic. Therefore to concentrate on these particular weak points repeatedly and master calculation of them. This will make student's confidence for these arithmetic studies. The system automatically produces a print which finds student's weak points first. And the system produces the next print which improves their weak points. Then teacher can make the students master the lesson unit with the support of the system.
<Keywords> automatic arithmetical print production AI system, primary school teacher’s arithmetic teaching support system,power-up calculation skill and conquest over the calculation weak points, Excel functions programming