Title
沖縄県内の保育園・幼稚園における運動遊びの状況
Author(s)
島袋, 桂; 山城, 眞紀子; 真栄城, 勉; 喜屋武, 享; 上間, 達也
Citation
沖縄キリスト教短期大学紀要(48): 87-93
Issue Date
2019-01-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/24649
Rights
沖縄キリスト教短期大学
沖縄キリスト教短期大学紀要第 48 号 (2018)
沖縄県内の保育園・幼稚園における運動遊びの状況
Status of physical play at nursery school and kindergarten in Okinawa
*1
島袋桂、
*2山城眞紀子、
*3真栄城勉、
*4喜屋武享、
*5上間達也
Kei Shimabukuro, Makiko Yamashiro, Tsutomu Maeshiro,
Akira Kyan, Tatsuya Uema
*1 沖縄キリスト教短期大学保育科、 *2 沖縄キリスト教短期大学名誉教授、 *3 琉球大学名誉教授 *4琉球大学大学院保健学研究科博士後期課程、*5糸満市立高嶺中学校 要 約 本稿では、沖縄県内における保育園と幼稚園の運動遊びの状況や、その環境について調査を行った。 沖縄県の公私保育所 424 園と公私幼稚園 245 園の計 669 園を対象に質問紙を郵送し、回収率は 61.1%だっ た。調査内容は、園の運動環境、運動遊びの展開方法、外部指導者の活用、園児の運動量についてであった。 主な結果として、運動環境に課題があると感じている園は保育園で 37%、幼稚園で 42%だった。運動遊び の保育形態は、保育園は自由保育中心が 24%、一斉保育が 32%、ほぼ半々が 44%だったのに対し、幼稚園 ではそれぞれ 50%、11%、39%だった。外部指導者の導入は、保育園で 49%、幼稚園で 24%となっていた。 幼児の運動量が不足していると評価されたのは、保育園で 28%、幼稚園で 36%だった。 沖縄県内において、本研究のような報告は見当たらず、幼児教育における運動遊びの環境と質の向上をさせ るために有益な資料が得られた。今後は、今回の結果を参考に、特徴のある園の運動遊びの実践について詳細 な調査を行う。 Ⅰ.目的 子どもの体力・運動能力は、近年横ばいとなっているものの、1980 年代と比べると依然と して低い状態にある1)。子どもの体力・運動能力低下の直接要因としては、運動経験の不足が 指摘されており、現在の子どもの遊び時間の減少、特に外遊び時間の減少は顕著である。この ような運動経験不足を引き起こしている間接要因としては、保護者や保育者による運動に対す る価値観が関係している2)。現在のわが国において、学力重視の価値観が浸透していることに 加え、経済格差の拡大や急激な技術の進歩により引き起こされたライフスタイルの変化は、子 どもたちを運動から遠ざけていることが予測される。幼児期の運動が心身に及ぼす効果を考え ると、子どもたちの運動環境を整えることは喫緊の課題といえる。文部科学省の幼児期運動指 針には、「幼児には毎日様々な遊びを中心に、毎日 60 分以上、楽しくからだを動かすこと」 を推奨し、運動が子どもに及ぼす効能についての普及が図られている3)。 このような現状の中、子どもの運動経験を確保するうえで、保育所や幼稚園の果たしていく 役割は大きくなっている。子どもの活動量について、園で過ごす平日と比べて家庭で過ごす週 末は明らかに少なくなっており、園の生活の中で子どもが運動経験を確保することが、子ども の健やかな成長に寄与しているといえる4,5)。ただし、保育所と幼稚園の違いや、園の方針、 施設環境によっても運動遊びの展開に違いがあることは明らかである。その他、近年は、外部 指導者の導入も盛んに行われていることから、園における運動遊びの取り組み状況も変化して ― 87 ―
沖縄キリスト教短期大学紀要第 48 号 (2019) いることも予想される。 そこで本稿では、沖縄県内の運動遊びの状況やその環境について調査を行い、その結果よ り、今後の子どもの運動遊びの環境とその質を向上させていくための資料を得ることを目的と する。 Ⅱ.方法 1.調査対象 2017 年 6 月に、沖縄県の認定こども園・へき地保育所・夜間保育園は除いた公私保育所 424 園と公私幼稚園 245 園の計 669 園を対象に質問紙を郵送した。保育園は公立が 22.6%、 私立が 77.4%で、幼稚園は公立が 83.9%、私立が 16.1%だった。各園における質問の回答者 の役職は、保育園は園長・所長が 53.7%、主任が 39.3%、その他職員が7%だった。幼稚園は、 園長・副園長が 35.7%、主任が 26.4%、その他職員が 37.9%となっていた。 2.調査方法 2017 年 6 月に質問紙を郵送し、2017 年 8 月までに保育所 490 園、幼稚園 149 園から回 答が得られ、回収率は 61.1%(保育所:61.3%、幼稚園:60.8%)だった。 3.調査内容 調査内容は、園の運動環境、運動遊びの展開方法、外部指導者の活用、園児の運動量につい てであった。 Ⅲ.結果 1.園の運動環境 園の運動環境は、園庭の広さや、屋内の運動環境、近隣の公園、運動環境の課題、園が所有 する遊具について調査した。結果を図 1 ~ 10 に示した。 園庭の広さは、充分な広さが確保できているかについて、「かなりそう思う」「少しそう思う」 が保育園と幼稚園ともに 6 割程度だった。一方で「あまり思わない」「全く思わない」は保育 園と幼稚園ともに 3 割程度みられた。 屋内で充分に運動が出来るかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少しそ う思う」が 6 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 3 割程度だった。 近隣に利用できる公園があるかについて、「かなりそう思う」「少しそう思う」が保育園で 67%、幼稚園で 36%だった。「あまり思わない」「全く思わない」が保育園で 23%、幼稚園 で 45%、保育園の方が公園を利用しやすいことが示された。 運動遊び環境に課題を感じているかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少 しそう思う」が4割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 3 割程度だった。 所有している遊具については保育園が幼稚園より高かったのがプール、平均台、トランポリ ンだった。幼稚園で保育園より高い所有率だったのが、ジャングルジム、雲梯、大型積み木、 竹馬だった。 ― 88 ―
島袋・山城・真栄城・喜屋武・上間 : 沖縄県内の保育園・幼稚園における運動遊びの状況 2.運動遊びの展開方法 運動遊びの展開方法は、運動遊びの保育形態、運動遊びに力を入れているか、運動遊びの年 間指導計画の作成、達成目標について調査した。結果を図 11 ~ 18 に示した。 保育形態については、幼稚園は保育園より自由保育中心が 50%と多く、保育園は自由保育 と一斉保育を併用している園が 32%となっていた。 運動遊びに力を入れているかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少しそ う思う」が 6 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 4 割程度だった。 運動遊びの年間指導計画は、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少しそう思う」が 5 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が保育園で 20%、幼稚園で 29%だった。 達成目標が設定されている種目については、保育園で幼稚園より高かった項目は、マット運 動、跳び箱、鉄棒の器械運動の種目だった。幼稚園で保育園より高かった種目は、竹馬、縄跳 び、雲梯だった。 Ⅲ.結果 .園の運動環境 園の運動環境は、園庭の広さや、屋内の運動環境、近隣の公園、運動環境の課題、園が 所有する遊具について調査した。結果を図 ~ に示した。 園庭の広さは、充分な広さが確保できているかについて、「かなりそう思う」「少しそう 思う」が保育園と幼稚園ともに 割程度だった。一方で「あまり思わない」「全く思わない」 は保育園と幼稚園ともに 割程度みられた。 屋内で充分に運動が出来るかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少し そう思う」が 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 割程度だった。 近隣に利用できる公園があるかについて、「かなりそう思う」「少しそう思う」が保育園で %、幼稚園で %だった。「あまり思わない」「全く思わない」が保育園で %、幼稚園 で %、保育園の方が公園を利用しやすいことが示された。 運動遊び環境に課題を感じているかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」 「少しそう思う」が4割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 割程度だった。 所有している遊具については保育園が幼稚園より高かったのがプール、平均台、トラン ポリンだった。幼稚園で保育園より高い所有率だったのが、ジャングルジム、雲梯、大型 積み木、竹馬だった。 図 充分な園庭 の広さがある(保) 図 充分な園庭 の広さがある(幼) 図 屋内で運動 ができる(保) 図 屋内で運動 ができる(幼) 図 利用できる 公園がある(保) 図 利用できる 公園がある(幼) 図 環境に課題 がある(保) 図 環境に課題 がある(幼) .運動遊びの展開方法 運動遊びの展開方法は、運動遊びの保育形態、運動遊びに力を入れているか、運動遊び の年間指導計画の作成、達成目標について調査した。結果を図 ~ に示した。 保育形態については、幼稚園は保育園より自由保育中心が %と多く、保育園は自由保 育と一斉保育を併用している園が %となっていた。 運動遊びに力を入れているかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少し そう思う」が 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 割程度だった。 運動遊びの年間指導計画は、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少しそう思う」 が 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が保育園で %、幼稚園で %だった。 達成目標が設定されている種目については、保育園で幼稚園より高かった項目は、マッ ト運動、跳び箱、鉄棒の器械運動の種目だった。幼稚園で保育園より高かった種目は、竹 馬、縄跳び、雲梯だった。 図 所有している遊具(幼) 図 所有している遊具(保) 図 保 育 形 態 (保) 図 保 育 形 態 (幼) 図 運動遊びに 力を入れる(幼) 図 運動遊びに 力を入れる(保) 図 年間指導計 画の作成(保) 図 年間指導計 画の作成(幼) ― 89 ―
沖縄キリスト教短期大学紀要第 48 号 (2019) 3.外部指導者の活用 外部指導者の活用は、外部指導者の導入状況、外部指導者の導入目的、外部指導者を導入し ない理由、外部指導者の指導内容について調査した。結果を図 19 ~ 26 に示す。 外部指導者の導入状況は、保育園で 49%、幼稚園で 24%となっており、保育園ではより多 く外部指導者が導入されていた。 外部指導者を導入している目的について、現在導入している園についてのみ質問を行ったと ころ、保育園と幼稚園ともに体力向上が最も高く、次いで指導不安となっていた。保育園では、 差別化を図るための導入が幼稚園より高くなっていた。 一方、外部指導者を導入しない理由について、現在導入していない園について質問したとこ ろ、保育士が望ましいが保育園で 59%、幼稚園で 41%だった。経済的理由により導入ができ ない割合は、保育園で 20%、幼稚園で 34%となっていた。 外部講師が行っている内容として多かったのは、保育園で器械体操、体操遊び、組体操だっ た。幼稚園では、器械体操、体操遊び、ボール遊びの順であった。器械体操等の体操系の種目 で外部指導者の活用が多く行われていることが示された。 .運動遊びの展開方法 運動遊びの展開方法は、運動遊びの保育形態、運動遊びに力を入れているか、運動遊び の年間指導計画の作成、達成目標について調査した。結果を図 ~ に示した。 保育形態については、幼稚園は保育園より自由保育中心が %と多く、保育園は自由保 育と一斉保育を併用している園が %となっていた。 運動遊びに力を入れているかについて、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少し そう思う」が 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が 割程度だった。 運動遊びの年間指導計画は、保育園と幼稚園ともに「かなりそう思う」「少しそう思う」 が 割程度で、「あまり思わない」「全く思わない」が保育園で %、幼稚園で %だった。 達成目標が設定されている種目については、保育園で幼稚園より高かった項目は、マッ ト運動、跳び箱、鉄棒の器械運動の種目だった。幼稚園で保育園より高かった種目は、竹 馬、縄跳び、雲梯だった。 図 所有している遊具(幼) 図 所有している遊具(保) 図 保 育 形 態 (保) 図 保 育 形 態 (幼) 図 運動遊びに 力を入れる(幼) 図 運動遊びに 力を入れる(保) 図 年間指導計 画の作成(保) 図 年間指導計 画の作成(幼) .外部指導者の活用 外部指導者の活用は、外部指導者の導入状況、外部指導者の導入目的、外部指導者を導 入しない理由、外部指導者の指導内容について調査した。結果を図 ~ に示す。 外部指導者の導入状況は、保育園で %、幼稚園で %となっており、保育園ではより 多く外部指導者が導入されていた。 外部指導者を導入している目的について、現在導入している園についてのみ質問を行っ たところ、保育園と幼稚園ともに体力向上が最も高く、次いで指導不安となっていた。保 育園では、差別化を図るための導入が幼稚園より高くなっていた。 一方、外部指導者を導入しない理由について、現在導入していない園について質問した ところ、保育士が望ましいが保育園で %、幼稚園で %だった。経済的理由により導入 ができない割合は、保育園で %、幼稚園で %となっていた。 外部講師が行っている内容として多かったのは、保育園で器械体操、体操遊び、組体操 だった。幼稚園では、器械体操、体操遊び、ボール遊びの順であった。器械体操等の体操 系の種目で外部指導者の活用が多く行われていることが示された。 図 年間指導計画の作成(幼) 図 年間指導計画の作成(保) 図 外部指導者 の導入状況(保) 図 外部指導者 の導入状況(幼) 図 外部指導者 の導入理由(保) 図 外部指導者 の導入理由(幼) 図 外部指導者を 導入しない理由(保) 図 外部指導者を 導入しない理由(保) ― 90 ―
島袋・山城・真栄城・喜屋武・上間 : 沖縄県内の保育園・幼稚園における運動遊びの状況 4.園児の運動量 回答者に自分の園の園児について、運動量が充分確保できているかについて質問したところ、 保育園では、「充分である」「おおむね満たしている」が 72%、幼稚園では 64%となっていた (図 27、28)。 .外部指導者の活用 外部指導者の活用は、外部指導者の導入状況、外部指導者の導入目的、外部指導者を導 入しない理由、外部指導者の指導内容について調査した。結果を図 ~ に示す。 外部指導者の導入状況は、保育園で %、幼稚園で %となっており、保育園ではより 多く外部指導者が導入されていた。 外部指導者を導入している目的について、現在導入している園についてのみ質問を行っ たところ、保育園と幼稚園ともに体力向上が最も高く、次いで指導不安となっていた。保 育園では、差別化を図るための導入が幼稚園より高くなっていた。 一方、外部指導者を導入しない理由について、現在導入していない園について質問した ところ、保育士が望ましいが保育園で %、幼稚園で %だった。経済的理由により導入 ができない割合は、保育園で %、幼稚園で %となっていた。 外部講師が行っている内容として多かったのは、保育園で器械体操、体操遊び、組体操 だった。幼稚園では、器械体操、体操遊び、ボール遊びの順であった。器械体操等の体操 系の種目で外部指導者の活用が多く行われていることが示された。 図 年間指導計画の作成(幼) 図 年間指導計画の作成(保) 図 外部指導者 の導入状況(保) 図 外部指導者 の導入状況(幼) 図 外部指導者 の導入理由(保) 図 外部指導者 の導入理由(幼) 図 外部指導者を 導入しない理由(保) 図 外部指導者を 導入しない理由(保) .園児の運動量 回答者に自分の園の園児について、運動量が充分確保できているかについて質問したと ころ、保育園では、「充分である」「おおむね満たしている」が %、幼稚園では %とな っていた(図 、)。 Ⅳ.考察 1.園児の運動環境について 園児の運動環境について、保育園と幼稚園では同じ様な傾向を示していた。近隣に利用 可能な公園についての質問においてのみ、保育園が高くなっていた。幼稚園が保育園と比 べて公園の利用が少ない理由として、沖縄県内の幼稚園は公立が多く、そのほとんどが小 学校に併設されているため、運動場や遊具を備えられていることから公園まで行かなくて も充分に運動できることが挙げられる。 園庭や屋内に充分に運動できるスペースが無い園が保育園、幼稚園ともに 割程度みら れた。園庭の広さについては、適切な広さが確保されることで子どもの活動量が大きいこ とが示されている6)。適切な運動スペースが確保できない園においては、園の取り組みに工 夫が必要となる。先行研究では、年間指導計画の作成や園の方針として運動遊びに力を入 れることで、幼児が高い運動量を示した結果もあり、保育者の努力や工夫が期待される7)。 また、狭いスペースでもできる一斉保育の運動遊びを上手く活用することも有効ではない だろうか。 .運動遊びの展開方法について 運動遊びの展開方法について、保育形態は自由保育による運動遊びの展開は 割程度だ 図 園児の運動量(保) 図 園児の運動量(保) 図 外部指導者が行う内容(保) 図 外部指導者が行う内容(幼) .園児の運動量 回答者に自分の園の園児について、運動量が充分確保できているかについて質問したと ころ、保育園では、「充分である」「おおむね満たしている」が %、幼稚園では %とな っていた(図 、)。 Ⅳ.考察 1.園児の運動環境について 園児の運動環境について、保育園と幼稚園では同じ様な傾向を示していた。近隣に利用 可能な公園についての質問においてのみ、保育園が高くなっていた。幼稚園が保育園と比 べて公園の利用が少ない理由として、沖縄県内の幼稚園は公立が多く、そのほとんどが小 学校に併設されているため、運動場や遊具を備えられていることから公園まで行かなくて も充分に運動できることが挙げられる。 園庭や屋内に充分に運動できるスペースが無い園が保育園、幼稚園ともに 割程度みら れた。園庭の広さについては、適切な広さが確保されることで子どもの活動量が大きいこ とが示されている6)。適切な運動スペースが確保できない園においては、園の取り組みに工 夫が必要となる。先行研究では、年間指導計画の作成や園の方針として運動遊びに力を入 れることで、幼児が高い運動量を示した結果もあり、保育者の努力や工夫が期待される7)。 また、狭いスペースでもできる一斉保育の運動遊びを上手く活用することも有効ではない だろうか。 .運動遊びの展開方法について 運動遊びの展開方法について、保育形態は自由保育による運動遊びの展開は 割程度だ 図 園児の運動量(保) 図 園児の運動量(保) 図 外部指導者が行う内容(保) 図 外部指導者が行う内容(幼) ― 91 ―
沖縄キリスト教短期大学紀要第 48 号 (2019) Ⅳ.考察 1.園児の運動環境について 園児の運動環境について、保育園と幼稚園では同じ様な傾向を示していた。近隣に利用可能 な公園についての質問においてのみ、保育園が高くなっていた。幼稚園が保育園と比べて公園 の利用が少ない理由として、沖縄県内の幼稚園は公立が多く、そのほとんどが小学校に併設さ れているため、運動場や遊具を備えられていることから公園まで行かなくても充分に運動でき ることが挙げられる。 園庭や屋内に充分に運動できるスペースが無い園が保育園、幼稚園ともに 3 割程度みられた。 園庭の広さについては、適切な広さが確保されることで子どもの活動量が大きいことが示され ている6)。適切な運動スペースが確保できない園においては、園の取り組みに工夫が必要とな る。先行研究では、年間指導計画の作成や園の方針として運動遊びに力を入れることで、幼児 が高い運動量を示した結果もあり、保育者の努力や工夫が期待される7)。また、狭いスペース でもできる一斉保育の運動遊びを上手く活用することも有効となる。 2.運動遊びの展開方法について 運動遊びの展開方法について、保育形態は自由保育による運動遊びの展開は 5 割程度だった。 過去の研究では、一斉保育よりも自由保育の方が、体育専門指導を導入する園よりもしない園 の方が、運動能力が高いことが示されている8)。しかし、活発でない子どもに対しては一斉保 育が運動量を確保するために有効である結果も示されている9)。よって、園や子どもの状況に よって使い分けていくことが望ましい。ただし、指導者の話す時間が長い、子ども待つ時間が 長い、特定の動きに偏った内容は幼児の発達に沿った内容とは言えない。幼児は遊びの中の運 動経験を通して、心身の成長を促すことが望ましいとされており、どのような保育形態をとろ うとも、遊びの定義となる「自己決定」と「有能さの追求」が含まれた指導が重要となる。今 回の調査では、詳しい指導の内容までは調査出来ておらず、今後の課題となる。 運動遊びに力を入れている園が 6 割程度で、年間指導計画の作成が 5 割程度であった。先 行研究の結果からも、これらを実施することは重要であり、啓発の必要性が示唆された。 達成目標については、保育園で器械運動の種目に設定されている園が多く、保育所保育指針 の改訂により、小学校の体育への接続が意識されていることも影響していると推察される10)。 3.外部指導者の活用について 外部指導者の活用については、保育園では幼稚園よりも多く導入されていた。また、外部指 導者を導入する理由としては、体力向上に次いで、保育者の指導不安が挙げられていた。指導 不安を挙げていた園では、保育者自身が高度な技術指導を求められていると認識している可能 性はある。一方で、外部指導者を導入しない園ではその理由について、保育者が望ましいとい う解答が一番多かったことから、各園で運動遊びの指導に対する認識について差がみられるこ とが推察された。保育者が運動遊び指導をどのように認識しているかについては、今後詳しい 調査を行う必要がある。 4.園児の運動量 園児の運動量については、園児全体の活動傾向に対する回答者の主観的な評価のため、実測 ― 92 ―
島袋・山城・真栄城・喜屋武・上間 : 沖縄県内の保育園・幼稚園における運動遊びの状況 値との差があることが予想される他、個人差についても考慮されていないものであり、園児の おおよの傾向を示したものになっている。結果としては、保育園で 7 割、幼稚園で 6 割が運 動量を確保できていた。一方で、充分な運動量が確保できていない園もみられ、その要因とし ては園の運動遊びに対する方針、保護者の考え方等が挙げられるが、最も大きな要因としては 園庭などの環境に対する課題が関係していると推察される。幼児期運動指針では、様々な運動 遊びの方法が示されているものの、運動環境が整わない園で運動遊びを展開する方法について は充分とはいえない。山城らの研究では、運動環境が整っていないものの幼児の運動量を確保 できている園があることが確認されており、今後はそのような園について詳しく調査していく ことが必要になる7)。 Ⅴ.結び 本稿では、沖縄県内の保育園と幼稚園の運動遊びの状況について調査を行い、その報告を行っ た。このような調査は、これまで報告されていなかったことから、沖縄県内の幼児教育におけ る運動遊びの環境と質の向上をさせるために有益な資料が得られた。今後は、今回の結果も参 考にしながら、園の運動遊びの実践について詳細な調査を行っていきたい。 謝辞 本研究に協力してくださいました、沖縄県内の保育所ならびに幼稚園の関係者の皆様に感謝 いたします。 文献 1) 文部科学省.平成 28 年度体力・運動能力調査報告書 . http://www.mext.go.jp/sports/ b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/k_detail/1396900.htm. 2) 杉原隆、河邉貴子.幼児期の運動発達の変化『運動発達と運動遊びの指導』.ミネルヴァ 書房.2014. 3) 幼児期運動指針策定委員会.幼児期運動指針.文部科学省.2013. 4) 塩見優子、角南良幸、沖嶋今日太、他.加 速 時 計 を用いた幼児の日常生活における 身体活動量についての研究.発育発達研究.2008;39:1 - 6. 5) 田中沙織、七木田敦.幼児期の身体活動と生活リズムにおける関連性―2 軸速度計を用 いた測定結果から―.発育発達研究.2008;40:1 - 10. 6) 野中壽子、小泉大亮、穐丸武臣、他.保育所における園庭と園外での外遊びの運動状況. 発育発達研究.2017;74:19 - 25. 7) 山城眞紀子、島袋桂、真栄城勉、他.幼児の運動遊びについての一考察 -沖 縄 県 内 保育所(園)・幼稚園の実態調査を通して-.沖縄キリスト教短期大学紀要.2017; 46:59 - 74. 8) 杉原隆、吉田伊津美、森司朗、他.幼児の運動能力と運動指導ならびに性格との関係. 体育の科学.2010;60(5):341 - 347. 9) 石沢順子、佐々木玲子、松嵜洋子、他.保育中の活動場面による身体活動水準の違い― 活発な子どもと不活発な子どもの比較―.発育発達研究.2011;51:37 - 45. 10) 厚生労働省.保育所保育指針解説.フレーベル館.2018. ― 93 ―