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舞踊動作における感性情報と上肢運動の解析: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title 舞踊動作における感性情報と上肢運動の解析

Author(s) 神里, 志穂子; 山田, 孝治

Citation 沖縄大学マルチメディア教育研究センター紀要 = TheBulletin of Multimedia Education and Research Center, University of Okinawa(5): 23-30

Issue Date 2005-03-31

URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/6427

(2)

舞踊動作 における感性情報 と上肢運動の解析

神里 ・志穂子I 山田 孝治I I琉球大学工学部 あらまし 本研究では,主観的な印象 よって分類 された舞踊動作の上肢関節の相互関嘩性を明 らかにすることを目 的 として,観察者の印象における踊 りの分類 をもとに 「上手」 と判断された舞踊動作の運動計測を行い,舞踊動作時 における●2関節間以上の相互関連性を多変量の自己回帰モデルを用いて解析 し,上肢関節間の関連性 を明 らかにす る ことを試みた. 上手 と評価 された舞蹄動作 と下手 と評価 された舞踊動作それぞれにおいて,多変量 自己回帰モデルにより解析 を行い, 周波数領域 と時間領域か ら上肢関節間の関連性の検討を行った. この方法を用いて,肩屈伸,肘屈伸,手首回旋の 3つの関節では,隣 り合 う関節間以外にも3関節間の関連性 を確認 で きた. その結果,上手な舞踊動作での関節間では,時間的に位相差があ り,上腕か ら前腕への動 きの伝達 よりも前腕か ら上 腕への動 きの伝達が上手印象を与 える際に影智を与えている傾向が示唆された.

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ShihokoKAMISATOIandKojiYAMADAI

IFacultyofEngineering,UniversityoftheRyukyus

Abstract Thepurposeofthisstudyisquantitativedescriptionofphysicalmotionscharacteristicsofdance

classedbysubjectiveimpression.Wemeasuredthedancerwhowasjudged"skillful"bypreviousresearchat

3-dimensionalmotioncapturesystem ofamagneticformulaandexaminedtherelationshipamongmotions

andimpulseresponseofthemultivariateautoregressivemodel.Theresultsofcumulativepowercontribution

andimpulseresponseshowedthat"skillful"high scoresinsubjectiveevaluationisdefinedasofwrist-rotation

responsefrom shoulderimpulse.

(3)

-Lはじめに これまで,舞踊における感性I情報の研究は,踊り手に対する観察者の印象から踊り の印象構造を探ることを目的とした研究や踊りの印象と身体運動との関連性を調べる

ための研究がなされてきた['}

舞踊は,観察者の知識や経験による主観的な印象が大きく影響してくるため,主観的 な印象評価による研究は,重要なものであるといえる‘また,物理的な運動計測の面

でも振りの特徴部分抽出とその定量化[21や動作特徴を周波数解析により抽出し,特定

の印象を与える動作合成などについての研究[3]もなされている.

先行研究では,舞踊動作において周期的な身体運動に着目し,観察者が運動パターン から受ける印象とヒトの動作の背後にある運動特性との関連'性を明らかにすることを 目的として,指先軌道の重心や軌道面積,各関節の時系列角度の平均や分散などを用

いて動作の運動特性を定量的に抽出することを試みてきた[l].

しかし,このような運動特性を作り出す上肢関節の組み合わせや関節動作の関連`性に 関しては,ほとんど検討がなされていない. そこで,本研究では,主観的な印象よって分類された舞踊動作の上肢関節の相互関連 ‘性を明らかにすることを目的として,観察者の印象における踊りの分類をもとに「上

手」と判断された舞踊動作の運動計測を行い,多変量自己回帰モデルを用いて,その

関連性を明らかにすることを試みる.

中里らが行なった,舞踊運動モデルにおける自由度と感J性評価の関係に関する研究[4]

では,上肢や下肢関節汀体関節の回転運動や前後運動が印象を与える関節として重要 であるとの報告がなされており,また,「躍動感」や「美しさ」を表現するためにはよ り多くの自由度が必要であると報告がなされている.

本研究では,ヒトの上肢運動のみでも,細かい自由度の組み合わせが存在し,舞踊時

の腕の動きにも様々な印象を生み出す自由度の組み合わせが存在していると考え,磁

気式モーションキャプチャシステムを用いて,肩関節屈曲一伸展,肩関節内転一外転, 肘関節屈曲一伸展,手首関節屈曲一伸展,手首関節内転一外転,手首関節回内一回外

の6自由度に対し,3次元計測を行い,舞踊時の各自由度間の関連性について検討を

行なう.

本研究で,上肢運動のみに着目している理由として,上肢は,自由度が多く関節動作

の組み合わせによって,無数に動きを生み出すことができ,また,複雑な動きを生成 することが可能である点があげられる.沖縄では,「上手に舞う人」のことを「ユー

(舞)モーヤー」といい,これは,「手振り」の美しさを指して使われ,また,「巧に踊

る」ことは,「ユー(踊)ウドゥイン」といい,「面使い,体使い,足の運び」など踊る

姿の美しさと「手振り・身振り・足どり」の調和がとれていることを意味する表現が

存在するに]・

このことからも,舞踊のような複雑な動作において,上肢運動は,その身体部位の動 きのみで,観察者に上手や下手などの様々な印象を与えることができると考えたため である. -24-

(4)

2.実験方法 2.1感1性情報による動作パターンの抽出 本研究では,数多く存在する舞踊の中で,沖縄舞踊の一つであるカチャーシーを用 いて感性評価を行い関連する運動特性の検討を行なっている。カチャーシーは,米寿 や結婚式など祝いの席や大勢のヒトが集まる場所などで,手脚や身体を自由に動かし, その時の感情を表現するために踊られる[5]。また,自由に身体を動かすため,踊りに 決まった型がなく踊るヒトの個性によって踊りが変わるという特徴を持つ。 さらに,上肢の動きが中心で,ダイナミックレンジが大きく,運動が適度に周期的で あるという特徴もある。運動の分類からみると,評価の対称としている舞踊動作のカ チャーシーは,自由な形の踊りであるため,時間的な動作の流れでは,様々な運動の パターンを組み合わせて踊る場合と-つの運動パターンを繰り返し周期的に踊る場合 が存在する。ここでは,カチャーシーの踊りを-つの運動パターンを繰り返す周期的 な運動として取り扱う。 予め,様々な踊りを集め,上肢運動が行なわれる領域の広さ,上肢運動が行なわれる 位置,運動の方向性,速度,複雑さ1周期における停留回数,1周期の長さなどの条 件をもとに上肢の動作パターンが異なる26パターンの踊りを選出した 今回,感性評価には,26パターンの舞踊動作を30対の形容詞対を用いて,舞踊の知 識を持つ被験者20人と舞踊の知識を持たない被験者30人に評価を行なうよう指示し た。感性評価を行なった30対壜の形容詞対の中から「上手一下手」の印象を評価した結 果の平均得点を求め,50人の被I験者が「上手」と評価した舞踊動作と「下手」と評価 した舞踊動作の選出を行なった。 「上手」と評価された舞踊動作の指先,手首,肘の軌道と各3点を線結んで描画した ものを図1に示す。次に,選出した舞踊パターンに対して,それぞれどのような関節 運動を行なっているか検討を行なう。 町咄卯斑 0麹騨胤識鐸ソIHO:。,;r日AFi鑛譲擁T0.N零識;i浄.鰐弓ブPi二KJ目』 灘 1m 図1上手と評価された踊りの軌道図 2.2多変量自己回帰モデル

多変量自己回帰モデルは,生体内におけるフィードバック解析[6]や歩行の運動解

析[7]などに用いられていろ。そこで,各関節の時系列角度変化に対して,運動の相互 関連性と時間随伴性は,多変量の自己回帰モデルを用いて周波数領域及び時間領域に おいて調べた。 -25-

(5)

e] X 1 X亘 B2 (x1で入る白色ノイズ源)(x2で入る白色ノイズ源) 図2xLx2の2変数から成る単純な フィードバック系

多変量自己回帰モデルは,図2に示すような〃,,z2の2変数からなる単純なフィード

バック系のシステムを考え,z,の変動は,z2に,z2の変動は,z,に伝わるとする.

しかし,z,とz2の変動状態だけを見ていると,どちらがどちらを動かしているかわ からない‘そこで,z,とz2の過去の線形和だけでなく,それぞれの変数に固有の変動

を起こす入力e,とe2が有るとすると仮定する.このときの両変数のそれぞれに固有の

変動を起こしている入力eme2をZ1とz2から取り出す手段として2変量の自己回帰

モデルは,式(1)と式(2)のように表せられろ.

これらの式は,本質的には,1変量の自己回帰モデルと同じものである. 2M

ZZQ1j(、)zj(s-nD)+e,(s)

j=1m=1 2M

ZZq2j(、,)zj(s-m)+e2(8)

j=1m=1 z,(8) (1) z2(S) (2)

そこで,式(1)と式(2)をK変量の場合に拡張すると式(3)のようになり,これ

を多変量の自己回帰モデルとなすことができる. AOM

EZ

j=1m=1 zi(s) αが(、ルノ(8-m)+e`(8) (3)

ここで,z,(s)は,i番目の変数のs時点の出力,mは次数,qjjは自己回帰係数,ei(s)

は,残差である.式(3)は,次式のように変形できる. 10M

ei(8)=z`(8)-EZq`j(、)zj(s-m)

j=1m=1 (4) それゆえ,、残差部分の分散,共分散は,次式のように表される. MMACハ

ルiej(、)=ZZZZq`『(I)qjs(川)R7,(”一J+、)

に0m=or=18=1 (5)

残差についての最小二乗原理に従い,次式のYUle-Walker方程式が求められる.

-26-

(6)

AM

Zエ

ノ=1m=1α`j(、)Rブル(8-m)=Rjk(8) (6) (Z’ん=1,2,3,…,A)

この連立方程式を解くことにより,自己回帰係数αW、)が求まる.最適な次数は,赤

池の情報量基準(AIC)の最小値により決定する.

3.上肢の運動解析 3.1関節運動の計測 主観的な印象よって分類された舞踊動作の上肢関節の相互関連性を明らかにするこ とを目的として,観察者の印象における踊りの分類をもとに「上手」と判断された舞 踊動作と「下手」と判断された舞踊動作の3次元運動計測をモーションキャプチャシ ステムを用いて行った. 舞踊動作の計測には,両方の舞踊動作とも1人の踊り手により再現するよう指示を与 え,十分に練習を行なってから計測を実施し,演者の違いによる舞踊動作の特徴の違 いを無くすようにした上肢関節の計測は,肩関節屈曲一伸展,肩関節内転一外転, 肘関節屈曲一伸展,手首関節屈曲一伸展,手首関節内転一外転,手首関節回内一回外 の6つの自由度に対して行なった

サンプリング周波数は,20[Hz]とし,15秒間計測している.

関節角度の時系列変化の結果として,6つの自由度のうち先行研究[1]において,2関

節間の位相差における運動特J性が印象に与える影響が大きかった肩関節屈曲一伸展, 肘関節屈曲一伸展,手首関節回内一回外の3つの自由度を示す. 図3は,上手と評価された舞踊動作の関節角度時系列データの例を示し,図4は,下 手と評価された舞踊動作の関節角度時系列データの例を示す. 関節角度の時系列変化を比較すると,上手いと評価された舞踊動作の関節時系列角度 は,やや二峰生でかつ時間的に見ると位相差があるように見て取れる.下手と評価さ れた舞踊動作の関節時系列角度は,角度変化は小さく角度のピークが揃っており,肩 関節の屈曲一伸展と肘関節の屈曲一伸展は,正負の方向性も一致している.しかし, 手首関節の回内一回外だけピークの正負方向が逆であるところが特徴として現れてい た. 3.2解析結果と考察 上手と評価された舞踊動作を多変量自己回帰モデルを用いて解析した結果を示す. それぞれの関節間の関連性を周波数領域で示したパワー寄与率の結果を図5に示す. 同様に,下手と評価された舞踊動作に対しても同様の解析を行った結果を図6に示す. 図5と図6の結果を比較すると,上手と評価された舞踊動作の結果では,下手と評価 された舞踊動作の結果に比べて,肘関節の屈曲一伸展の影響が少なく,手首関節の回 -27-

(7)

上拳敷繊騨釛作趣郷蝋禽籔醗蕊醸jデー便4軒鱒…鱗轤麓回億一値1軒’一肘層fki-坤藤 利苗fL1dh。T閂qppごP宙恂拘吉・即再U内切閂鈩ddwd9郵品ご色iJロ●K==.ムー咄』ェ品-.--蘭一手鈩出. …鋤#潟随曲爺櫛鰯 下手較騨轤勤箙鯨鰹擁興麟鰯簸刺謀~勢忽i・韓…辱`鷲E動内一回外邑一。 ̄~マーョや匂■恂虹缶午--活-=.--一二 讃……'肘隠微-↑噸 --灘敏髄1-縛蕊 曾加 2鯛 蟹" ■ ̄ 鰯麓 3 -,8 刑” , 5 0 5 畑 鯛 、 l薯 簿購卿 薄賎鳳 図3上手な舞踊動作の関節角度時系列データ 図4下手な舞踊動作の関節角度時系列データ 内一回外の動きに関しては,上手と評価された舞踊動作の方がどの関節に対しても影 響を与えていると示唆される。下手と評価された舞踊動作は,どの結果においても肘 関節の屈曲一伸展の動作が最初に大きく影響している結果が現れており,その後,肩 関節の屈曲一伸展の動きが影響を与えている.周波数領域で舞踊動作の上手さを検討 すると肩関節の屈曲一伸展動作に同調するように手首関節の回内一回外動作を動かし, 肘関節の屈曲一伸展動作の影響が少ない方が良いことが示唆される. 次に多変量自己回帰モデルを時間領域から示した各関節へのインパルス入力に対・す るその他の関節の応答を見る。上手と評価されたインパルス応答の結果を図7に下手 と評価されたインパルス応答の結果を図8に示す。 上手な舞踊動作の結果と下手な舞踊動作の結果をそれぞれ比較すると,上手と評価さ れた舞踊動作の方がピークの値は小さいが,手首関節の回内一回外運動と肘関節の屈 曲一伸展動作に対するインパルス応答で,その他の2つの関節が時間のずれを生じな がら振動している結果が得られた。 また,上手と評価された動作の結果では,各結果で,動き始めに肩関節の屈曲一伸展 動作と手首関節の回内一回外運動で同時に動作を行い始め,肘関節の屈曲一伸展動作 は,その2つの関節とは,時間的な位相差がある動きの方が上手評価を得る動作であ ることが示唆される。 また,下手と評価された舞踊動作では,この結果においても肘の動きだけが目立った 結果が得られた。 4。まとめ 本研究では,主観的な印象よって分類された舞踊動作の上肢関節の相互関連性を明 らかにすることを目的として,観察者の印象における踊りの分類をもとに「上手」と 判断された舞踊動作の運動計測を行い,多変量自己回帰モデルを用いて,その関連性 を明らかにすることを試みた その結果,上手と評価された舞踊動作において,多変量自己回帰モデルを周波数領域 -28-

(8)

準鱗澗瀞鯛P、啼嚇鉾鱒巍瀞祥汎蝉卜酌 轆駕闘鯛i:|蹄辱M1;M;lMMjW1-挑蛾鉾)ル 油劇遭7慮騨48藺稲 鰯醗醸鰹轤鰯鱗鰯鰯鰯鰯 鶴蠅鱗醐鰯鰯鰯畷醗醗醜 嗽§87侭聯4轍21 1 麗涜露盤一仰醒 繭騨蕊曲早伸脇 璽鵜鴬鳳騨巽鳳舵 鰹厨鷹曲~蝿歴 INI肘燭蝋蒄縄擢‘ u議鴬働騰賎鳳jliit 騨鱒繊鱒鋼苧11$MWMm1i漏覇一坪《鈴懸 肘照獅31鰯l-i1蠣鰯j'鱒…瀞鞠尉ル }醜瀞 辨灘 場|蝋 韓灘 釦調 5‘駕 篭醗 舗jM 灘撒 1鰯 恩認 醜鰯鰯蠅邸醗噸鰔醐麟醸 05鳥?芯54鰍魁1 [崖胤叶肺ID)へ

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冨蔚麗蝿一伸隈 醸轤織一俘騒 塵蕊i種P1ir6国難 騨禰屈曲一伸驫 靭肘厘曲一伸展 q諾鴬回職rL頃liiL |聯鎌 illlllll1iliiliilliiilliililIliil 翅と鍵典 愈塾§ 周波識(l-i堂] 図6下手な舞踊動作のパワー寄与率 p込息 周溌数{H蓬】 図5上手な舞踊動作のパワー寄与率 から見た結果では,肩関節の屈曲一伸展動作に対して,手首関節の回内一回外動作が 同調して動作を行なうと良いと示唆された。 さらに,多変量自己回帰モデルを時間領域から見た結果に関しては,肩関節の屈曲一 伸展動作と手首関節の回内一回外動作は,動き始めに連動し,肘関節の屈曲一伸展動 作は,時間的に位相差があると良いと示唆された。 また,下手と評価された舞踊動作では,肘関節のみめだった動きをしていた。これら の結果から,舞踊動作の上手さには,上腕の動きと前腕の動きを連動させることが大 切であることが示唆された. -29-

(9)

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参照

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