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特集の趣旨

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Academic year: 2021

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(1)【特集】. 音楽科教員の 養成・採用・研修 ─ その現状と課題 ─. 特集の趣旨  我が国における教員養成・研修は,いま大き な転換期を迎えています。この背景として次の 3 点を挙げることができます。  1.ほぼすべての都道府県に教職大学院が設 置され,学部教育と連携した高度専門職業人と しての教員養成の中心となることが期待される とともに,学校現場での実習や実際の教育実践 を題材とした教科領域の教育の導入が求められ ていること。  2.教員の大量退職,大量採用の影響等により, 教員の経験年数の均衡が崩れ,かつてのような 先輩教員から若手教員への知識・技能の伝承に 代わる研修の充実が求められていること。  3.平成 29 年改訂の学習指導要領で求められ ている「主体的・対話的で深い学び」の実現の ために, 「教え」の専門家から「学び」の専門家 へと目指す教師像の転換が図られていること。  これらに加え,ICT 教育やインクルーシブ教 育への対応などの新たな教育課題や教員の多忙 化を解消するための働き方改革など解決せねば ならない問題が,現在次々と指摘されていると ころです。  しかしながら大学における教員養成にせよ教 育委員会との連携における教員研修にせよ,ピ アノや声楽などの音楽実技能力の習得と事前に 作成した授業プランの効率的遂行を目指す従来 のモデルに代わる新しい教員養成・研修のあり 方をいまだ提示できてはおりません。平成 28 年 12 月に出された国立教員養成大学・学部,大学 院,附属学校の改革に関する有識者会議報告書 「教員需要の減少期における教員養成・研修機 能の強化に向けて」の中でも, 「教科専門科目・ 教科教育科目・教職科目担当教員の緊密な連携. 4  音楽教育実践ジャーナル vol. 17 2019.

(2) が不可欠である一方で,三者の協働が必ずしも. ています。この中で清水氏は,今後の教員研修. 組織的に機能していない現状」や「国立教員養. を支えるシステムとして「解決できるネットワー. 成大学・学部と教育委員会の間の教員研修の体. ク」 「学びを深めるネットワーク」 「追究するネッ. 系化における連携の度合いは必ずしも強くない」. トワーク」 「生涯学び合いのできるネットワーク」. ことなどが指摘されています。. の構築を提案しています。.  こうした現状認識を踏まえ,今回の特集の.  酒匂美貴子氏は,教職大学院を修了後に宮崎. テーマを「音楽科教員の養成・採用・研修―そ. 県教育研修センター指導主事として現在音楽科. の現状と課題―」と設定し,音楽科教員に求め. 教員の指導に携わっている立場から,教職大学. られている資質・能力を改めて問い直すととも. 院での学びによって生じた自身の教員としての. に,その養成や研修のための課題についての議. 意識改革の内実を率直に語るとともに,現在直. 論を展開することを企図しました。. 面している音楽科教員研修の課題について具体.  本誌には,この特集テーマに沿って寄せられ. 的な提言を行っています。. た 4 本の提案・報告が収められています。.  また,文部科学省教科調査官臼井学氏,東京.  高見仁志氏は,教職歴 2 年の新人音楽科教員. 都で長く教員養成・研修に携わってきた石上則. の授業分析と授業後のインタビューを通して,. 子氏,教職大学院修了後に現在音楽の授業を担. 「即時の知」と「信念・価値観としての知」の視. 当している小学校教諭赤坂朋子氏と中学校教諭. 点から,授業中に展開される音楽科教員の実践. 阿部みどり氏によって 1 時間半にわたって展開. 知の稼働状況の解明を試み,それに基づく新人. された座談会では,新しい学習指導要領のもと. 教師教育への提言を行っています。. での教員養成・研修の課題や教員養成における.  田中里佳氏は,内外の教師教育研究の知見に. 教科専門と教科教育の学び,あるいは教職大学. 基づき,音楽科を担う教師の「高度な実践力」. 院における学びの意義などについての話題が取. を構成する知識要素として, 「音楽科を教えるた. り上げられ,活発な意見交換が行われました。. めに必要な音楽技能(音楽的な力量) 」 「授業を. 座談会の終盤では,一見異なる物事の中に何か. 行うための知識指揮と指示・範唱・ノンバーバ. 関連性を見いだしたり自分で文脈を作り出した. ルな働きかけといった指導技術」 「 『音楽科の教. りする研究者としての教師力量の必要性が提言. 育内容に関する視点で児童を捉える』ことので. されています。. きる状況把握」 「音楽に関わることによる『楽し.  今回の特集企画が,これからの音楽科教員に. さ』 『おもしろさ』と,それだけでは成り立たな. 求められる実践的な資質・能力の解明やその養. い授業についての信念」の 4 つを抽出しています。. 成・研修方法の開発,あるいはそうした力量を.  清水宏美氏は,東京都教職員研修センターと. 評価し,優れた新人教員を採用するためのシス. 執筆者が連携して実施した,音楽科教員研修の. テムの構築に向けた活発な議論のきっかけとな. ための「基礎講座」と「専門教育向上研修」に. ることを願っております。. おける具体的な実践内容についての報告を行っ. (菅  裕・磯田三津子・小畑千尋 記). Japanese Journal of Music Education Practice vol. 17 2019  5.

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