Japanese Society of Radiological Technology(JSRT)
NII-Electronic Library Service Japar ユese Soclety of Radlologlcal Techr ユology 〔JSRT )
合同 パ ネル
デ
ィ ス カ ッ ショ ンluessuemexewwewmeWWWWWW
一
テー
マ病
院にお け る 非 常 時の対 応〜 医療機
器 対策
と緊急
時 対 応〜
放
射
線
治
療
放 射 線 治療
装
置
の
管
理 と
患
者
の
治療
の
継
続
岩
手県
立中部病院 放射線 科
菅 原 潤
1
.
は じ め に 大 規 模 災 害 時において 同程度の被 害を受けた施設でも、
施設とし ての立 場や周辺地域の被災 状 況 に よっ て対 応 は 異 なると思 わ れる。
今回、
私が所 属して いる岩手 県立病院の 放 射線 治療 部門にお け る東日本 大 震 災 時の状 況 や復旧 に向 けて対応し た経験 を踏ま え、
大 規 模 災 害での技 師の役 割に つ い て自分 な りに 考 え を ま とめて みた。
私は専属で直線加 速器に よる放 射 線 治 療業務を行っ てい る た め放射 線 治療 業 務での対 応の話 が 中 心 と なる ことを ご了承い た だ き たい。
の避 難 誘 導 な どの対 応 をスタッフ間で共 有し てお くことが 重 要である。
被災状況の規 模により機 器の故 障や不具合は異なる。
あ らゆる故障 事 例に対 し て 万全の準備をする の は困難である が、
普段から故障 時の復「日手順・
連 絡体制の確認、
臨床再 開に向 け たQA
項 目・
デー
タ 整 理 を しっ か りと行っ てお く こ とが優位に働く。
そ れに よ り類 似 し た事 例 に 対 応しや す く な り、
故 障 事 例 を ス タッ フ間で共有するこ と に よ り不 測の事態に対応で き る。
2.
災 害 時の
放
射線治療
2.
1 問題点
大規模 災害が発生すると放射 線 治療の継 続 は難 しい。
放 射線 治療 を行っ てい る大多数の施設は救急指 定病院であ り、
災害時は救急 診療に追われ る こ と となる。
病院と し ての放 射 線治 療の復旧 は二 の次になり優 先度は高く は ない。
停電 や 断 水 な どのインフ ラ の障害が 起こ る可能性が高く電 話 や 電子 メー
ル な どの通信手 段 も使用 で きな くな るこ とも 予 想 され る。
患者 本人 との連 絡の 困難や、
場合に よっ ては 安 否 確 認 も とれ ない。
さ らに は電 車やバ ス などの公共 交 通 手 段が停止 し、 ガソ リン確保等の問題 か ら患者の通 院お よ び職 員の通 勤 が 難 し くな ることも考え られる。
病院や 病院周辺 の イン フラが優 先 的に 回 復した として も、
治 療 機 器の復「日に 向 け た動 作確認や修理等を行 うメー
カー
エ ンジニ アが来院できない 。 来 院し て故障箇所 を 同定でき た とし ても部品供 給が停止 し てい る た め修理でき ない可 能 性 も 出てくる。
こ の様に大規模災 害からの放射 線 治療 業務の復「日・
再 開 には、
多くの問題 点 が ある。
2.
2 二次 災害
を発 生 させない ための対策
起こ りうる二次 災 害と し て、
機 器の破 損に よ る患 者・
職 員の怪 我 な どや、
漏 電 等 に よ る火 災、
患 者の照 射 室 内へ の 閉じ込めな どが考 え られる。
災害規模に応 じ、
治療の継 続ま たは中 断 等の判断 や 患 者2.
3 稼働
で き そう
な場合
に どの よ うな手 順(
動作
確認 )に添っ て
復
旧させ るか は じ め に、
建屋の確 認 をす る。
大 き な 地 震があっ た場 合 は、
数日間にわたっ て大 き な余 震 を誘発する た め、
確認は一
度だけでな く数 回にわたっ て細 部ま で確認する 必要があ る。
次に装 置 自体に問題 が ない か確認する。
本 来で あれ ば メー
カー
のエ ンジニ アが行 う確認作業後にユー
ザー
に よる 作業に入 りたいが、
メー
カー
のエ ンジニ アも大規模 災 害時 は動きが取 れない こ と が予想され る、
そのた め普段から機 器の 正常な 状 態 やメー
ター
の数 値 等を把 握 し て お くと有用 である。
し か し、
計器など含め た状態のすべ てを 把 握 す る こ と は難しい。
当施 設で は 写真等で細部を撮影 して おい た ことが役立った。
建屋 と機 器等に問題がなけ れ ば、
ビー
ムが出 るか どうか 確 認する。
(今回の想定は大規模な震 災時の対応であっ て非 常事 態である。 診 療や臨床 業務に支 障が少なけれ ば、
やは りメー
カー
のエ ン ジニ アの 確 認作業 が優先 される。
) そのうえで施設に て行っ て い る治 療行 為に十分な精度が 担 保 されてい る か確 認 する。
高 精 度 な 治 療 方 法 が 困 難 だ と 判断 され た な ら通常照 射へ 切り替えて治療を継 続 する選択 もス タッフ全員で検討 する。
2.
4
被 害 を最 小 限に留めるた めの普 段か らの備え 照 射に 必要なイ ン フ ラを把握・
整理 し自施設 の加 速 器 が どれ く らい の電 気・
水 を 必 要 とするの か非 常 用 電 源の確 保 が 可 能 か あ らか じめ 把 握 してお くこ とが 必 要 とな る。
44
N工 工一
Electronlc LlbraryJapanese Society of Radiological Technology(JSRT)
NII-Electronic Library Service Japar ユese Soclety of Radlologlcal Techr ユology 〔JSRT )
最低 限の コ ス トで治 療
・
QA
を行 う工夫と し て、
普段から 精度を担 保できる必 要 最 小 限のQA
を把握して おく必要が あ る。
水ファン トム以 外にも、
固体ファ ン トムや 2 次 元検 出器 を 用い るなどの 工夫 も有 効である。 その場 合、
そ れ ぞ れの ツー
ル に おける正常値の把 握 も普 段 か ら行っ ておかな け ればな らない。
岩手 県 内の数施設で故障 事 例 を デー
タベー
ス化 してその 情 報 を 共有す る試み を行っ てい る。 故障 時の対 応 や 故障か らの復 旧 時に おこなうQA
作 業に有効であり、
震 災 な どの 非 常 時 に も有効に働くもの と期待し てい る。 地 域・
医 療 圏 域で のネッ トワー
ク作 りも治 療 を継 続 す る た め に は 重 要であ る。
周辺施設 と日ごろ か ら情 報交 換 を し てお き、 自施 設での治療の続行が困難 な場 合に は その施設 など に患 者 を 紹 介 すること も検 討する。
そのため、
震 災 時 は周辺施設の被 災状況 もでき るだ け 把 握 し てお くこ とも必 要である。
それ と同 時に近隣施設 に 対し て自施設の状況を 伝え患者の受け入れの可 能 性の検 討 も必 要である。
東北に は 〔東 北がんネッ トワー
ク〕があ り、
東 日本 大震災の と き に は放 射線 治療施設の被害状況 把 握 や患者の受け 入 れ、
被 災 地 支 援 な ど非常に有効に機 能した。 照 射に関 わ る記 録 を電子媒体だ けでな く紙 媒 体でも残 す こ とが 重 要であ る。
震 災時に は停電等に よ りRIS ・
田S
やRTPS
等のデー
タベー
スへ のア ク セス が で きない可能 性 が ある。 津 波 や 火 災 に よ りデー
タその ものが 再 生でき な くな る可 能 性 もあ る。
当院 で は震災時の優 先順位とし て患者の安全、
ス タッ フ の安 全の次に可 能であ れば紙べ一
ス の患者 情報を確保するよ う に し てい る。
治療を希望し て来 院す る患 者に応 え られ る よ うに 日ご ろから準 備するこ とが 重要であ る。
3.
さい ご に東日本 大震 災を経験し、 い ろい ろ な 人に支え られ て業 務 を行 うこと ができてい るの だ と改 めて感じた
。
病 院ス タッ フはもと よ り、 メー
カー
のエ ンジニ アの方や 業者の方々、
イン フ ラ を整備し てい る 人た ち な ど さ まざまな人たちの助 けがあっ て自分の仕 事が成り立っ てい る、
自分が担 当し てい る機 器の状 況 だ けで なく病 院全体の状 況や地域
・
圏域な ど周 囲の状況 をでき るだ け把 握 し患者 さ ん に とっ て最 善の判 断 を施設と し て できるようになるこ と が 重 要 と思 われ る。
わ れ われス タッフ も災害の被 災者になっ てい るこ と も 可 能 性 とし てある。
その ため、
ス タッ フ 間で お 互い の こと を 思いや りな が ら復 「日に 向 けた対応が必要である。 Table.
1装 置使 用 状 態別の電 力 量、
使 用水 量 (VARiAN iX) 照射 時 待機 時 非使 用 時45kVA (最大)