論 文
磁気音波による励起低周波とプラズマの異常拡散
(平成元年8月31日受理) 松本道男 坂井一雄 竹内智Low Frequency Waves Excited by Magnetosonic Wave
and Anomalous Diffusion of Plasma
MichioMatsumoto KazuoSakai SatoshiTakeuchi
Abstract For the purpose of plasma wave heating, low frequency waves excited by magnetosonic pump wave are studied theoretically. And the anomalous diffusion which is harmful to the plasma confinement is discussed. Those excited waves are ion Bernstein waves, electrostatic ion cyclotron waves, drift waves, and Alfven waves. The non・uniformity of plasma is assumed to be one dimensiona1(x・axis). A static magnetic field is in the z−axis direction. The finite scale pump wave propagates in the x−axis direction, which has the wave−number島(≠0)and fre・ quencyωo(2 2Ω,),Ωゴbeing the ion gyrofrequency. The ion Bernstein waves are pointed out to work on the heating of plasma ions effectively in some conditions.
1.まえがき
プラズマの加熱と磁場による閉じ込めはトカマク核 融合実験装置における基本的な課題である。閉じ込め については融合反応の可能性の高いD−T反応に対 してローソン条件(nτ>1014)がある。ここで,nはプ ラズマの数密度で,現在(1013∼1014)個/cc程度の値 に達している。τはプラズマを閉じ込めている時間(単 位は秒)である。これによると条件達成までには未だ 2桁以上の隔たりがある。一方,プラズマの温度につ いては1億度以上が要求される。これはイオンが相互 にクーロン障壁を越えて核融合反応を起こすために必 要なエネルギーに相当する。プラズマの温度は,最初 プラズマの電気抵抗によるオーム加熱で上昇するが, *電子情報工学科,Department of Electrical Engineering and Computer Science 高々(2∼3)千万度程度までである。この限界は, 電気抵抗の原因である荷電粒子間クローン相互作用が 温度の2乗に比例して減少することに由来する。次の 手段としては,高エネルギーの中性粒子(重水素)ビ ームを外から閉じ込め磁場を通して内部に入射させ, プラズマ粒子との衝突によりそのエネルギーを放出し 加熱する方法である。ほぼ50Ke V(leVは約1万度K に相当)程度の粒子ビームで,プラズマの温度は(5 ∼6)千万度に達する。しかし,更に高エネルギーの 粒子ビームは,その中性化の効率が急激に減少するた め,目的の温度達成には乗り越えるべききびしい困難 があるω。 未だプラズマの温度は不十分である。追加の加熱と して,プラズマ波を利用する所謂波動加熱の方法が最 近注目されている(2)∼(6)。この加熱は,プラズマ波の波 動電気ベクトルを磁場中のイオン又は電子の旋回運 動,あるいは両者の低域混成運動の何れかに同調させ,波のエネルギーを粒子に与えることによる。我々はプ ラズマ波として磁気音波(Magnetosonic wave: MSW)に着目し,イオン加熱に関する考察を行う。 MSWの角振動数ω。はイオンの旋回角振動数Ωゼ(= 0.96×107(q。疏/A)rad/sec. q。:イオン価,属:キロ・ ガウス単位の磁場,A:質量数)の約2倍とする。これ は,効率がよいと思われるω。・・ fliではイオンの旋回運 動に同調する左廻り電気ベクトル成分が殆ど存在しな いことによる(第3章)。MSWの波数島≠0とすると, ダイポール近似(島=O)では得られなかった種々の静 電気的低周波の励起が解析される(第4章)。この励起 波のうち,イオン・バーンシュタイン波(Ion Bernstein wave:IBW)はイオン加熱に有効に働く(第4章(1))。 またMSWの振幅が場所的に変化していると,磁場方 向に伝搬するアルベーン波(Alfven wave)が励起さ れる(第5章)。このアルベーン波ならびに上記の静電 気的低周波はプラズマ中に電場磁場の乱れを誘発し, プラズマの異常拡散の基となり閉じ込めを壊す可能性 がある(第6章)。 一様な気体中に局所的に密度nの異種粒子がある と,その粒子は普通にはフィック(Fick)の法則Q= −D grad nに従って拡散する。この拡散係数はD=< V2>/Tcと与えられる(ψ:衝突と次の衝突との間の自 由行程,〈〉:平均作用素,Tc:平均衝突時間)。強い磁 場Bの中にある荷電粒子の場合,自由行程9は粒子の 旋回半径に対応する。従って,その拡散係数はlBl2に 反比例して小さくなる。いま,プラズマ中に乱れた電 場通があると荷電粒子に対して自由行程9に相当する 距離(cF/B)τEの移動が考えられる。ただし,1rEは色 の相関時間である。このとき,拡散係数はD=<(c冠/ B)2>TEと与えられる。この拡散は異常拡散と呼ばれ 核融合プラズマには常に存在し,前に述べた粒子間衝 突による拡散(古典拡散)に比べて少なくとも2桁以 上は大きい。 トカマク実験装置のプラズマは幾何学的にその形状 が複雑なため,その拡散の解析には定性的な議論が入 ってくるのは仕方がないm。しかし,ここではプラズマ の不均一を層状的と単純化して理論解析を正確に実行 し,物理的内容の理解に重点をおいて研究を進める。 2.不均一プラズマと磁気音波 閉じ込められたプラズマには,その密度nおよび温
度Tの場所的変化が存在する。その変化のMSWへ
の影響をここでは,プラズマは層状的に変化するもの と単純化して解析する。静磁場B。は層面に平行にお き,その方向をz軸方向とする。変化の方向はx軸方向 とする(y軸方向は一様)。また,変化の割合は十分弱 く,波の解析にはWKB近似が使えるものとする(8}。い ま,MSWはその波動電気ベクトルがx−y面内にある 楕円偏波で,その伝搬はx軸方向とする。このとき, MSWはつぎのように表すことができる。 E,)(X, t)=駅{eLER十eRER)expiepo(t)}, ψo(t)=kox一ωo t (2−1) ここで,eL,R=tl i ioは左または右旋回ベクトルである ぼ,0はそれぞれx,y軸に平行な単位ベクトル,況は実 部を表す)。磁場は B(x,t)一恥)+23{晋(亙一島)e・eo(t)}(2−2) のように与えられる。右辺第1項は静磁場で,x軸方向に弱い変化を想定した。第2項はMSWの波動磁場
で,第1項に比べれば無視できる程十分小さい(3は虚 部を表す)。用いられる近似はまとめてつぎのようであ る。 (鴛ア嚇》(ilE・i)2, w・ ・・2Sti (2−3) ただし,MSWの位相速度(ω。%)は有限とする。 VTi (=」77Mi;)はイオンの熱速度である。電場E。 (x, t)お よび磁場B(x,t)が存在するとき,プラズマ粒子の分 布f。(r,v, t)はつぎのプラゾフ方程式をみたす。 誓+v・緩+昔{E・・(x,t)+丁×B(x,t)}・誓一・ (2−4)
ただし,電荷qおよびmは荷電粒子の種類αに対応 するものとする。上式の特性方程式は粒子の運動方程 式と等価で,x−y平面内のものとz軸方向のものとに 分離される。前者は(2−1),(2−2)を用いて簡単に つぎのように複素量表示することができる。 砦+‘Ω(x,・t)v−£ξ(x,・t) (2−5) ここで,V=Vx十iVy,Ω(X, t)=(q/mc) I B (X, t)1 ξ(x,t) = ELeiiPo十E’Re−iψo* (2−−6) 上付き*は複素共役を表す。一方,後者のz軸方向の運 動方程式はその方向に外力がなく自明のため省略す る。 方程式(2−5)の第1積分からつぎのような粒子の 運動に関する恒量が得られる。 レレノ(t)eiψ(t)=C, (2−7) ただし, w(t)+σ(t)・φ(の一庖Ω(x’,t’) σ(の=昔・一・…ゾ4〆ξ(x’,〆)・測 (2−8)平成元年12月 第40号 上式で,時間積分は粒子の軌道1「に沿って実行される (後記の(2−10)参照)。複素表示の速度σ(t)はMSW による粒子速度の摂動を表す。また、W(t)はつぎの方 程式をみたすことが容易に分かる。
dW
十‘Ω(x,t)W=0 (2−9)dt
これは(2−5)の斉次方程式で,W(t)はMSWの影響 が陽に表れない座標系(oscillating frame)での速度 を表している(9)。 方程式(2−5)の第2積分から粒子の位置の複素表 示κ=x+iyに関する恒量が得られる。 ‘t(t)−R(t)=C2 (2−10) ただし, R(t)−w(t)・ヅ』測+∬4〆σ(tr) (2−11) 右辺第1項は静磁場B。(x)による粒子の旋回軌道,第 2項はMS Wによるその軌道の摂動と大略みること ができる。 方程式(2−4)の解f。(r,v, t)は上記の恒量C1, C, の任意関数として与えられる。しかし,ここではその 任意性に対してプラズマの状態を考慮してつぎのよう に定める。 f・ (x・・v・t)−n(の2π芸α) ×・xp{−27tl7ZC’,)1 C・ 1・ ]9(vll) (2−12)=・・n(x){・+㌔泊耐†音迭)
xw・・Wy}・xp(−2Zt71kx)w・)9(・ll) (2−13) ただし, α一ER{x−R}yx+昔・w−wx+iwy,Xn−。吉)嘉炉誌)麗 (2−・4)
関数9(VH)は粒子速度のz軸方向成分に関する分布 で任意にとることができるが,ここでは温度Tllのマ クスウエル分布を想定する。工はz軸に垂直な速度成 分による温度である。静磁場B。(x)の変化は十分小さ いとして,f。(x, v, t)への影響は無視した。 第ゼロ次の分布関数(2−13)から分かるように,以 後の理論解析には速度変数(ωx,Wy, V II)を用いる方が 便利である。近似(2−3)の基に,複素表示の摂動(2一 8)および軌道(2−11)はつぎのように計算される。 u(t)−i(E)[{⑭竺Ω昆・胸一妨聾Ω毎一} +丁蕊Ω,W・・吻](2−15)R(t)−6vv−8(e)[{☆〆
+ω聲Ω司一÷ω鴛Ω、芸・吻](2−16)
上式のΩは各α(粒子種類)に対する旋回角振動数で ある。鍵括弧内第2項は共にイオンのみに対してω。= 2Ω‘により残る項で,イオンの軌道Fと島≠0のMSW の位相との関係から生ずる摂動の主要項である。また, 速度の積分素片に対するヤコビアンは近似(2−3)の 基にIJa l=1∂(Vx, Vy)/∂Wx, wッ)ト1とおくことが できる。 3.磁気音波の分散関係プラズマの不均一の方向に伝搬するMSWに対し
て,進行と共にその振幅の変化,また左および右廻り の偏波間の位相差の変化等が予想される。これらの変 化は(2−1),(2−6)およびマクスウエル方式から得 られる次式をもとに解析される。 ・一一雀{9(E・−E・)e・…}+{吉昔一影}×ξ(鋪+雲 (3−1)
右辺第2項括弧内の(∂2ξ/∂22)は第5章のアルベーン 波の励起の解析でその大きさが問題となるが,ここで はz軸方向に一様として扱い省略する。複素表示の電 流ノ=五+仇の時間変化は(2−13),(2−15)および (2−8)を用いてつぎのように求められる。 計一翠σ音♪・Vf・(v,・v, t) 鼎晋{芸Ω、(1−iδ)E・e…一ぱΩ己 }(3−2)
ここで,イオンの電荷4 =1e1として計算した。Σは粒子 の種類についての和,II=ViliiiiqiMはプラズマ角振 動数である(II,はイオンに対するものである)。また, δ一t(x・+XT)ん砺(ぱ2Ω、) (3−3) これはプラズマの不均一性に由来する項で,小さな値 とみることができる。 MSWの分散関係は,(3−2)を用いて(3−1)のeiψ゜ およびe−‘ψ゜*の係数項をそれぞれ零とおいてE、と臨 に関する連立方程式を導き、その方程式の解の存在条件からつぎのように得られる。 (c壽)2−(…i)・{・碕δ} (3−4) ここで,(II,/Ω∠)2》1と仮定した。この条件は核融合を 目的とするプラズマにおいては十分みたされている (IL/Ω∠)2=1.89×103 n。A/B 3;記号は第1章参 照)。上式(3−4)から振幅変化の割合は
誓一t6・ (h−k6+ik6’) (3−5)
となる。また,左廻りと右廻りの両偏波の拡幅比はさ きの連立方程式の1つから容易につぎのように得られ る。葺一鵠1(1+iδ) (3−6)
以上(3−5),(3−6)から,プラズマの不均一性のMSW への影響はδが十分小さい限り無視される。 MSWの振幅の変化率(3−5)は次の波のエネルギ ー・バランスの関係式から確かめることができる。 音〈u>+▽・〈P>一一〈E・・J> (3−7) ただし,〈 〉は時間平均作用素である。上式の各項 は波の位相ψ。(t)=(ん6+ik 6t)x一ω。 tとおいて計算 される。即ち,電磁波のエネルギーの時間平均〈u>= 〈IE。12+IBI2>/8πの時間微分は,角振動数ω。を実数と しているため零である。ポインティング・ベクトルP の項は(2−1),(2−2)を用いてつぎのように得られ る。 ▽・〈P>=凵、・〈E・×B> 一一ー一篭61瓦一Ei・1・e−・h・ttx(3−8) また,オーム損失の項は(3−2)の導出の方法でつぎ のように求められる。 〈E・・」〉一砦(晋ぱΩ、1瓦帷一(3−9) 上述の結果を(3−7)に代入し,ω。f2S),および(3− 6)を考慮すれば(3−5)が容易に得られる。 MSWの伝搬に伴う振幅の増減は物理的につぎのよ うに解釈できる。ある点xにおいて,左廻り偏波の電気 ベクトルの回転がその点を中心として旋回しているイ オンを追い越すとき,その前後でのエネルギー授受の 各エネルギー量は相互作用する時間△tの増加と共に 大きくなる。この△tは1△}(△=ω。−2Ω‘)に逆比例 している。また,電気ベクトルはイオン旋回の1周期 (2π/Ω∂後に2回転して更に初期の粒子との相位関係 より(2π△/fli)だけ進む。即ち,△の正負により電気 ベクトルは旋回軌道上の粒子を余分に追い越すか追い 越されるかする。このとき,エネルギーの授受は1点 で時間的に平均してみればバランスしている。しかし, 例えば密度が増加する方向(κn>0)に伝搬する波につ いては,△>0の場合進行と共に追い越す旋回軌道上の 粒子の数は増加してゆくため波はエネルギーを粒子に 与える結果となり,波の振幅は減少する。一方,△<0 の場合はエネルギーの流れが逆で波の振幅は増大す る。プラズマ温度の変化(κτ)の場合は粒子の熱速度 の増減が前述の密度の増減に対応しており,同様な議 論が波の振幅の変化に対して成り立つ。 4.静電的低周波のパラメトリック励起 励起波E,(r,t)に伴う分布の変動A(r, v, t)は線形 化されたブラゾフ方程式からつぎのように表される。 A(r,V, t)=一一旦Σ君(h,ω)ei(k・・一ωt) MK,ω×∫』一一一・
×{1+’ぴゐ_・’°ゐ ω ω}・∂旨元(〆) (4−1) ここで,E,(r, t)=ΣE(h,ω)expi(k・r一ωのとおい た。粒子の軌道丁に沿っての時間積分は,近似(2−3) のもとに(2−10)から得られるところの次式を用いて 実行される(rはfiに対する方程式の形から(2−10) と同じ軌道である)。 か(r−〆)一一〃・(9){・i・(・P・一θ)一・i・(ψ一θ+ Ωτ)}+々Hv llτ一k⊥ρ.{COS(ψ。+θ)−COS (ψ6十θ)}−k⊥P_{cos(ψo一θ)−cos(ψ6一 θ)}−k・(旦ω0)隠Ω、嗣…(sb・一 φ一θ)−cos(ψ6一ψ一θ一Ωτ)} (4−2) 最後の項はω。=2Ω∠によってイオンに対してのみ残す 項である。ここで,τ=t− tt(閉じ込め時間と区別), 位相ψ。,ψ6は時刻t,〆におけるψ。(t)で,ψ。(〆)=ψ。 (t)+ω。τ一 kb (x−x’)の関係にある。また,ψおよびθ はそれぞれw(=thWx十吻ッ),w ・liv1, k⊥が時刻tにお いてx軸となす角である。更にρ・一音ω竃Ω・礼一言阜 (4−3)
符合は同順である。 変動fi(r,v,t)には(4−1),(4−2)から解るよう にψ。(t)に関する調和振動が重畳されている。従って, 励起波としてはつぎのように表すのが適切である。 E,(r,t)=ΣΣEe(k,ω)exp{i(h・r一ωt) K,ω ’平成元年12月 第40号 一←ゴψψb(t)} (4−4)
上式はMSWによる側帯波が重畳された形とみるこ
とができる。 ここでは,静磁場B。に対して垂直に近い方向に伝搬 する静電的低周波の励起に着目する。理由はその励起 がプラズマの加熱と異常拡散に関係が深いためであ る。波としては,イオン・バーンシュタイン波(IBW), 静電的イオン・サイクロトトロン波(ICW)およびド リフト波である(次の3小節参照)。励起波の分散関係 は(4−1),(4−2)をもとに,(4−4)およびボアッソ ンの方程式を用いて導かれる次式によって解析され る。 昆(h,ω)=ΣHe、E。(k,ω), y=…,−1,0,1,… s (4−5) H?s一渇普☆〈・xp{−i(9−・)il・}×例ピ・xp繊イ)
一砿・(・一〆)}尾・寄(t’)〉 (4−6) ただし,逐、=h+齎〃o,広=1万、1,ω、=ω+sω。で,MSW による側帯波を含む波数および角振動数である。 マトリックス要素Hesは,拓,κ。, XTすべて十分小さ いと仮定してつぎのように表して,各項ごとに計算を 進める。 Hes=Hぷ}+H握)(leo)+H£)(κn)+Hψ9}(κT) (4−7) 右辺の第1項は一様なプラズマにおけるダイポール近 似(leo=0)によるもので,第2項はそのleo≠0による補 正である。第3,4項はそれぞれ密度変化(κn),温度 変化(XT)によるものである。第1項は粒子の分布(2− 13)を用いてつぎのように計算される。 珊・一(カ⊥k)2¥(芸)》・牢) ×?、+m、+、2、+m,.、一、ex・{ゴ号(9,−m・+2・一・・) +i(Yi十m、−9,一物)θ}み、(C)ノ’m 1(阜) ×1・(e−)/m2(4−){一(ん、1η豊、1) ×z(a。,・s+・m1.M2)+莞z’(c・。,。+m・+m2)} ’(4−8) ここで,Σは付記した条件のもとで,9,,Ml, e,, va についての和,上付’は微分を表す。また, λ=(le⊥v⊥/Ω)2,ξξ=ん⊥ρ± _ω一nΩ十mωo α九仁 ん⊥v,II ’ Z(α)一」∫犀α出3(α)〉・(4−9)
マトリックス(H,∼9))は(4−7)の主要項で,Z(a。,m) が実数関数と近似できる(α。,m》1)ときエルミート形 式になってある。従って,その場合波の励起は(4−7) 右辺第2∼4項によって解析される。ベッセル関数の 変数壺は(4−3)から分かるようにMSWの振幅に比 例するもので,(2−3)によれば小さな値である。対角 要素(V−s=0)は壺に関して2次のオーダーの補正を 受ける。一方,非対角要素(19−sl=1,2,…)の大き さはIV−sl次のオーダーとなっている。 マトリックス(H?s)において琢=0の励起波瓦eエp{i (k・ r− wt)}に対してすぐ両側の側帯波(∠=±1)の影 響までを考慮すれば,分散関係は(4−5)から近似的 につぎの3次の行列式によって解析される。 1− H−,,−1 −H−,,o 一圧1,1 −Ho,一、1−H o,o −Ho,1 −Hlfl −H1,0 1−Hl,1 =0 (4−10) この数値解析は上に述べたように小さな値在に関し て2次のオーダーまでで十分である。従って,昂…お よびH. i,iは共に既に2次のオーダーで分散関係への 寄与は高次のため零とおくことができる。各要素はつ ぎのように計算される。 H・S・・一(争)2¥(X)2[{1−4・4−…2θ} ×:i] FS・1(e, V)+丁{ξ』+29・・4−…2θ+ξ9} ×ΣF㌃)(V+1,Y−1)] (4−11) n HSII ・HSII・−iZ.(IIΩ)2{e・・e−・・e+4eie} ×ΣF∼「)(1,0) n 椰!1一蠕一ゴ写(ki)2{乙〆+4e−iθ} ×ΣFS−)(−1,0) n ただし, F/±・(P,q)=t[一(k、、竺。、1){z(a・,P) (4− 12) (4−13) ±z(a。,,)}+/{z’(a・,・) ±Z’(αn,q)}]e一λln(λ)/λ(4−14) 更に, H・Si・(島)一(与);(Xア÷{4?+2e・4…2θ +劉琴( Ωlell VTII){z(c・・,・+・1)一z(a・,・一・)}丁レ{ん£t) −2A・A(λ)}…θ一汎(λ)・i・θ] (4−15) 珊・(Xn)一(丁)翠(xy翠“、iSil,」}i,、1 z(鋤) { n2 i1一 @ λ)▲(λ)・i・θ+励A(λ)…θ}(4−16) 珊・(XT)一(丁)蘂(xy翠“、、㌫、, ×Z(e・・,e){子ん(λ)・i・θ一励h…θ} (4−17) ここでA.(λ)=e一悟(λ)である(ln(λ):n次の変形 ベッセル関数)。H eSi)(島)の虚部はMSWの振幅の2 乗に比例した静電波の励起率を導く。これはパラメト リック励起を与えるものである。励起率は,(3−6)を 用いればθ=±e。,±(e,+π)のとき最大となることが 分かる。ただし,e,=tan−i(1/m)=O.615である。即 ち、静電波はMSWの伝搬方向(正のx軸方向)に対し て上記の4方向に最もよく励起される。また,Hel}) (κn)およびH紐(κT)の虚部はそれぞれκn,κTに比例 して,x軸の正負の2方向に最も大きな励起率を与え る。 (1)IBWの励起とイオン加熱 静磁場B。に垂直又はそれに極めて近い方向(le 11= 0,α。,m》1)に伝搬する励起波は(4−10)および(4− 11)∼(4−15)から解かるようにMSWの影響を受け たIBWである。このIBWの励起率は(4−15)の虚部 から計算される。しかし,その波自身には減衰がなく, 従ってイオンを加熱する可能性はない。 いま,ある程度垂直からはずれた方向(0<le ll《k⊥) に伝搬する励起波に関して,例えばつぎの条件が成り 立つ場合を考察する。
(念、)2》・・(△箒警y《1 (4−18)
ただし,△ω=ω一Ω‘,△ωo=ωo−2Ωゴ(1△ω1,1△ωol《fl‘) である。この条件をみたす波は,(4−15)が示すよう にMSWによって励起される。また上式によれば, (α.、,一、)2《1によって(4−11)右辺鍵括弧内第2項に虚 部が表れる。即ち,(4−18)をみたすIBWはMSWに よって励起され,一方MSWの振幅の2乗に比例した 減衰率で減衰する。この減衰はイオン加熱の存在を示 す。 (2)静電的ICWの励起 上述したイオン加熱可能なIBWのうち,更に ω 《1,λゼ=(k⊥VTi/Ωゴ)2《1 (4−19) kIl VTe なる条件をみたす波の分散関係は簡単につぎのように 表される。w2一Ω画霧){1−i(ξ《+2エ…2θ
+ξ三)} (4−2・)
これは静電的ICWで,電子温度Teがイオン温度T, に比べて十分高い場合に存在する。また,この波もイ オンを加熱する可能性がある。 (3)ドリフト波の励起 静磁場B。と密度勾配(Xn)に対して垂直(y軸方向) に近い方向に,ドリフト波が励起され伝搬する。その 波の励起はMS Wによるもので,励起率は(4− 15)の 虚部から計算される。励起波はつぎの条件をみたし, 角振動数ωはイオンの旋回角振動数Ωiに比べて十分 小さい。 《VTe,λ‘=(k⊥VTi/fl i)2《1 (4−21) VTi《 kll このとき,分散関係は(4−10)の主要項である0=1− Ho,oをもとに(4−11),(4−16)を用いて ω一一石貴(死){1S(ξ?+ξ三)}・i・θγ一一躍“、,ω≒ (4−22)
が得られる。ここで,θは波の波数成分k⊥がx軸となす 角である。このドリフト波は第6章で議論するように, 磁場によるプラズマの閉じ込めに対して有害に働く。 5.アルベーン波の励起 静磁場B。に沿った方向(z軸方向)に適当な長さのアンテナまたはホーンを用いてMSWをプラズマに入
射させるとき,その振幅IEolはZの関数でもある。ここ ではIE。1・c exp(一β22/2)と仮定して,アルベーン波の 励起について考察する(1°)。これは,z=0のx−y平面近 くで厚さほぼム=β一i/2の領域をx軸方向に伝搬して いるMSWがそこでの磁力線を変動させ,磁力線の方 向に伝搬するアルベーン波を励起させることに対応す る。振幅IE。1の変化は,その変化の特長的長さLが MSWの波長(2π/島)の数倍以上あれば(3−1)でz 一微分の項は無視でき((II,/Ωゴ)2/(L。島)2《1の場 合),MSWの分散関係に影響を及ぼさない。平成元年12月 第40号 簡単のため,ここでは密度,温度一様なプラズマを 想定する(x。 =O,κT=O)また,アルベーン波の波動 磁場B,はx軸方向にあるとする。これは,電場の乱れの y軸方向成分がいま対象としているx軸方向の異常拡 散を誘起することによる。アルベーン波の角振動数ω はイオンの旋回角振動数Ω、に比べて十分小さい。この とき,波の分散関係はマクスウェル方程式から得られ る次式を基礎式として導出される。 ・一一△E、。+丁嘉脇
+暑嘉・∫ら鋤(r・・v・t) (5−1)
上式は(4−1)およびEiyに関して(4−4)の方式でβ= 0,±1(高次の側帯波は無視)までの展開を用いてつぎ のように与えられる。 ・一∂ん・・一o1+(…i)2}㎡一音ii…{鵠鉗×(L6言+2izア・xp−(言‡ (5−2)
ただし, 匝(0)は(4−3)から分かるようにz=0にお けるMSWの左廻り偏波の振幅E,による速度変量で ある。右辺第3項はω。=2Ω‘のとき残る項で,初めの2 項に比べて十分小さい((2−3)参照)。従って,上式 (5−2)から(II ,/Ωゴ)2》1に対してアルベール波の分散 関係ω=v.k ll,VA=,Bb(4πnmi)−1/2が得られる。励起率 はω→ω+iγとおいて(5−2)の虚部から計算されγは 常に正となる,即ち波は常に励起される。励起率γの変 数(z/ZL,,)に関する最大値は(Lo k lt)の増加と共に単 調に減少してゆく。ここで,(L。le ll)≦3においては大 略つぎのように与えられる。X−・(1・一・)×(晋y{票蹴 (5−3)
ただし,0(10−2)は10−2のオーダーの数値を表す。一方, γの最大値を与える(z/L。)の値は(L。kH)の増加と 共に単調に増大してゆく。即ち,波長が比較的長いア ルベール波はMSWの伝搬領域の内側(2=0)で,逆 に短い波長の波ら外側(z2・L。)で励起される。従って, 種々の波長(角振動数)のアルベーン波がいたる所で 同時に励起され,プラズマに電場磁場の乱れが発生し 得る。6.異常拡散
第1章で述べたように,,磁場中のプラズマは密度の 不均一な方向(x軸方向)に拡散する。その拡散流Fxは, 電場(E。+E,)および磁場(B+B,)が存在するブラ ゾフ方程式による速度の1次モーメントの統計(時間) 平均からつぎのように与えられる。ここでは定常的な 拡散流を仮定している。 r・一言∫砲・{E・(r・・t)+÷v×B,(r, t) 1 ×A(r,v, t)〉 (6−1) 静磁場B。のためx軸方向の拡散流は乱れた電場磁場に よるローレンツカのy軸方向成分によって誘起され る。 最初に,静電波に由来する電場の乱れが引き起こす 粒子の拡散流を求める。それは(6−1)のB、=0の場合 で,変動分布には次式 fi(r,・v, t)一一一£if.tdt’Ei(〆,〆)・∂c元(〆) (6−2) を用いる。上式は(4−1)に対応するものである。第 ゼロ次分布に関する項は時刻〆における(2−8), (2−13)そして電場の項はつぎの近似を利用する。 E,(〆,〆)±El(r,〆)十(〆−r)・▽E,(r,〆) (6−3) 以上により,拡散流はつぎのように計算される。 rSE・一一・E(i)2{〈E・㌢>EI.ITn(x)+ポω☆〈E紛}
(6−4) ここで,TEは静電場の乱れに対する相関時間で,通常つ ぎのように表される。 〈E、。(・,・t)・E、。(・,・t’)〉一く恥xp{−lz三〆1} (6−5) 上式(6−4)の波括弧第2項は乱れた電場による動重 力の項で,我々の計算結果の特色である。これは,拡 散流を減らす方向に働かせることができる。また,x軸 方向の温度勾配(A7i・)に関係した項は熱流を導くもの で,粒子流には現れない。 っぎに,アルベーン波の励起に由来する磁場の乱れ による拡散流を,静電場の乱れの場合と同様にして求 める。r“B・一一TB(瓢くB嬬+t(・一手汁
×n(x)£〈B五〉}(6−6) ここで,rBは磁場の乱れに対する相関時間である。右辺 括弧内で(T⊥/Tll)に比例する項は,変動磁場B,の場 所的増大に伴い粒子の旋回半径の2乗平均が減少する ため,粒子はB,の増大する方向に拡散することを示し ている。また,拡散流(6−6)は粒子の熱速度の2乗に比例しているので粒子の種類によってその大きさが 異なる。従って,その違いはそこに両極性電場を発生 させ,新たな不安定性をつくる要因となる。 7.検 討 重素水(D)に少量の水素(H)が混入したプラズマ 中を角振動数ω。: 2().のMSWが伝搬するとき,その 左廻り波動電気ベクトルは(3−6)が示すようにある 大きさで存在する。従って,水素イオンに対してはω。 =Ω“となり効率的加熱が可能となる(11)∼(12)。励起され たIBWはその角振動数ω=ηΩD(n=1,2,…)のため, 条件(4−18)をみたすときにはプラズマを加熱するこ とができる。 一方,励起低周波はプラズマの異常拡散を引き起こ す原因となっている。特に,静電波に由来する拡散が 大きく,プラズマの閉じ込めに有害である。しかし, その拡散は動重力の作用を有効に使えばある程度抑制 することができる。閉じ込め時間は大略τ=L2/Dと表 される(L:プラズマのスケールを表す長さ,D:拡散 係数)。いま,(6−4)でrE=ηω♂(ωD:ドリフト波の 角振動数),<(cE,/β))2>1/2=駒ηとおくと,閉じ込め 時間はつぎのように表される。