• 検索結果がありません。

「ピアノ演習」授業の改善

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "「ピアノ演習」授業の改善"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

「ピアノ演習」授業の改善

三 國 正 樹

群馬大学教育実践研究 別刷

第38号 97~103頁 2021

(2)
(3)

群馬大学教育実践研究 第38号 97~103頁 2021

「ピアノ演習」授業の改善

三 國 正 樹

群馬大学共同教育学部音楽教育講座 「ピアノ演習」授業の改善 三國正樹

Improvement of Piano Exercise Class

Masaki MIKUNI

Cooperative Faculty of education, department of Music, Gunma University キーワード:ピアノ、授業

Keywords : piano, class (2020年10月30日受理) 1.はじめに  「群馬大学教育実践研究」第25号(2008年発行)に おいて、筆者はピアノ実技における「グループ指導の 方法論」と「履修者の公平性を維持するための方法」 について考察した。  その後、さらに良い方法がないかを模索しながら、 授業方法の改善に取り組んできた。この間の授業改善 について考察し、今後の大学において求められる「ピ アノ演習」授業について考えてみたい。 2.「ピアノ演習」について  この授業は、群馬大学共同教育学部における音楽専 攻の授業科目「器楽」に含まれている。「器楽」の他 の授業としては「合奏」「室内楽」などもあり、そこ でピアノ演奏を学ぶこともできるが、「ピアノ演習」 は基本的にピアノ独奏を学ぶ授業である。伴奏を学ぶ 授業としては「ピアノ伴奏法」が開設されていたが、 2020年度から共同教育学部の「器楽A」の中に組み込 まれることとなった。  2020年度前期では実技の授業に大きな変化があっ た。それは、新型コロナウィルス感染症対策により、 4月20日より授業がすべてオンライン授業となったこ とである。実技授業においてこのような方法が行われ たことは初めてであり、今までにない授業の工夫が必 要になったことは事実である。その後、感染症対策を 講じることを条件とした上で6月下旬より対面授業が 許可され、現在に至っている。 3.「ピアノ演習」と「主体的・対話的で深い学び」  「主体的・対話的で深い学び」という考え方は2020 年度より実施される「小学校学習指導要領」に明記さ れたもので、平成26年11月の文部科学省による「初等 中等教育における教育課程の基準等の在り方について (諮問)」以来の「アクティブ・ラーニング」について の議論を経て、明確にされることとなったものであ る。最近よく用いられるこの考え方を「ピアノ演習」 に応用する方法について考えてみたい。  まず、「アクティブ・ラーニング」は、当初は大学 教育のあり方を考える際に使用されたもので、大教室 での授業などの在り方を考える時に現在でも議論され るべきテーマの一つであると言える。この授業方法に ついては現在でも様々な議論はあるが、松下佳代はア クティブ・ラーニングについて「大学授業改善の万能

(4)

98 三國正樹 薬ではない」とし、必ずしも期待されているような効 果を上げていないことの例をいくつか挙げている(松 下ほか、2015)。そしてその問題を「知識(内容)と 活動の乖離」「能動的学習をめざす授業のもたらす受 動性」「学習スタイルの多用性への対応」とまとめて いる。  大学の授業を改善する方法として、たしかにアク ティブ・ラーニングを積極的にとり入れることのみが 良い結果を生み出すとは言えない。そして、音楽の実 技指導を考えた場合、教師による「個別指導」が基本 という考え方が普通であり、「相互に刺激を与えなが ら知的に成長する場」を作ることが果たして有効なの かという疑問を抱く人も多いと思われる。  しかし、多様な学習方法を実技授業に取り入れるこ とも必要であると考える。それは、現代は情報が非常 に多く、しかも簡単に入手できる時代になっているか らである。演奏を学ぶ際には指導者の考え方を実践す ることが求められるが、インターネット等で学習者が 事前に情報を収集することが可能であり、学習者は事 前に実技習得に関する知識を得ることができるように なっていることを考慮する必要がある。つまり、学習 者の多様な表現意欲に沿った情報を適切に与えること が必要ということである。  ここで、ピアノ実技を学ぶのに必要な要素を次に示 す。以下のような項目が挙げられる。  1.譜読み  2.練習  3.公開演奏  4.評価  演奏は、通常、楽譜に基づいて行う。「譜読み」は 最初に楽譜を見てすぐに演奏する状態、「練習」はそ れを繰り返し行って演奏の形にする過程をここでは指 すものとする。楽譜を読んですぐ演奏することは「初 見試奏」能力が高い人には可能であるが、通常は、あ る程度の時間をかけて練習したのちに不自然な中断の ない演奏ができるようになるものである。つまり、こ の「練習」の過程は、個人差はあるが最も大事な時間 と言っても良い。 「公開演奏」は、演奏の最終的な目的である。Rosen (2009)は「公共の演奏と私的な演奏とでは、演奏者 の主観がいかに多くの情動をそこに込めようとも、ま た演奏がいかに自然に見えようと(じっさい自然であ ろうと)、より客観的なのは公共の演奏の方だ(注1) と言い、私的な演奏と公共の演奏を明確に区別してい るが、たしかに演奏の「場」による演奏者の心情の違 いはあることだろう。しかし、私的な場でも公共の場 でも、自分の演奏を最終的な形として示すという意味 には違いはない。  「評価」は、指導者の前で演奏するときは、指導者 からその場で与えられるが、ホール等の公開演奏の場 合は、聴き手の評価はなかなか演奏者には伝わらない ことが多く、有能な演奏家ともなれば自分でその演奏 について客観的な振り返りはできるであろうが、学習 者の場合は演奏について誰かの批評を得ることが非常 に重要である。なぜなら、最終的な形での演奏ができ たと思っていても、自身の演奏の問題に気が付かない ことはありうるからである。学習者に対してその問題 点を指摘する聴き手の存在は必要である。  そこで、「主体的・対話的で深い学び」について考 察してみることとする。平成29年度告示「小学校学習 指導要領解説総則編」によると、以下のように書かれ ている。   主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改 善の具体的な内容については,中央教育審議会答申 において,以下の三つの視点に立った授業改善を行 うことが示されている。教科等の特質を踏まえ,具 体的な学習内容や児童の状況等に応じて,これらの 視点の具体的な内容を手掛かりに,質の高い学びを 実現し,学習内容を深く理解し,資質・能力を身に 付け,生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び 続けるようにすることが求められている。  ① 学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア 形成の方向性と関連付けながら,見通しをもっ て粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り 返って次につなげる「主体的な学び」が実現で きているかという視点。  ② 子供同士の協働,教職員や地域の人との対話, 先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通 じ,自己の考えを広げ深める「対話的な学び」 が実現できているかという視点。  ③ 習得・活用・探究という学びの過程の中で,各

(5)

99 「ピアノ演習」授業の改善 教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働か せながら,知識を相互に関連付けてより深く理 解したり,情報を精査して考えを形成したり, 問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考 えを基に創造したりすることに向かう「深い学 び」が実現できているかという視点。  この中で重要な点を整理しておく。  まず「主体的な学び」では「自己のキャリア形成の 方向性と関連付け」ることと「自己の学習活動を振り 返って次につなげる」ことが重要と考えられる。ピア ノ学習に当てはめて考えると、常に指導者からの意見 を聞き、その演奏ができるように実践するだけではな く、自分の演奏の目的が何かをはっきり自覚し、練習 の過程と演奏発表(公開演奏)の反省点を自分でも自 覚して次の演奏機会につなげる学習を行うこと、と考 えられる。  次に「対話的な学び」である。「教職員や地域の人 との対話,先哲の考え方を手掛かりに考えること等」 はもちろん重要なことであり、通常の個人レッスンで も行われることである。先にも述べたように、学習者 同士の意見交換には注意が必要であるが、指導者の監 督のもとに、他者の演奏について感じたことを述べる というのは大学の授業においては有効であることを筆 者は体験してきた。  「深い学び」は「知識を相互に関連付けてより深く 理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題 を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創 造したりすることに向かう」学びであるが、演奏学習 の場合、ある演奏の方法が実践できればそれで合格、 といった結論で終わることが多いため、この点を改善 することが必要であろう。たとえば古典派の作品を演 奏する際に「テンポは一定に保つ」のがよいと学習す る場合、なぜ一定のテンポが良いのか、テンポを揺ら しては絶対にいけないのか、などについて「演奏慣 習」などの勉強も含めながら行うことが必要だと考え る。 4.授業の改善策  ピアノの実技授業に関しては、これまでに以下のよ うな改善策が報告されている。  まず、小学校教師を目指すためのピアノ習得につい て、その過程は複雑なものだが、深井尚子は「合理的 な練習方法によって上達が可能であることを説きなが ら授業を進めることが必要である」という指摘を行っ ている(深井、2007)。  技術指導については、小笠原真也による「学生個々 の進捗度に応じた指導の他に,一般論としてのピアノ 演奏のための『メカニズム』についての講義が必要と なってくる」という考え方も重要であろう(小笠原、 2007)。これは成人を対象とした指導において効率の 良い学習を行うのに有効と考える。  ピアノ学習者の「自己効力感」を醸成する指導につ いて、平野智美は「個々の能力に合わせた目標を設定 し、その後熟達過程や取り組みを観察し、目標を再設 定するのが学生のモチベーション維持に役立つ」と いう考え方が重要で、やさしい課題からスタートして 成功体験を積ませる、その後適切なタイミングで難易 度を上げていくという方法が効果的だとした(平野、 2018)。  筆者は群馬大学での「ピアノ演習」授業を平成8年 から担当してきたが、当初は伝統的な「個人レッス ン」方式を基本として、時々発表会を行うという方法 を採用していた。これは個人レッスンとクラス授業の 併用制が90分の授業時間を有効に使うのに最適と考え たからである。  しかし、授業の履修者が多数となった場合、個人指 導の時間は必然的に短くなるので、連弾、2台ピアノ (8手含む)も活用した授業も年度によっては採用し た。時間の活用、および公平性という意義はあったと 考える。  ただ、合奏も行うということにした場合、ピアノ演 奏の基本である独奏を学べないという大きな欠点がそ こには存在していた。合奏は確かに楽しいものであ り、リズムやテンポを自然に習得できるという利点は ある。しかし、一人で音楽を作り出すという基本的な 考え方、そして技巧面では、どのようなタッチを用い るのか、どのようなペダリングで演奏するのか、とい うことからはやや離れてしまうことも事実である。  そこで、2016年度よりクラス授業方式を全面的に採 用することとし、基本的に独奏を学ぶ授業とした。そ してシラバスに以下を記載した。

(6)

100 三國正樹  1.4分以内の作品、または4ページ以内の作品を 演奏すること。  2.演奏を行わない時間は、他者の演奏についての 感想を書いて提出すること。  3.演奏曲は自身で決めること。  4.演奏曲は必ず事前に申告すること。  5.期末試験までに必ず5曲以上演奏すること。  「1」は授業時間との関係である。長い曲を演奏さ れると指導を行う時間に制約が出ることから、短い曲 を演奏してもらうこととした。  「2」は「多様な学習方法を実技授業に取り入れる こと」のために採用した。音楽は時間芸術のため、1 曲の演奏を聴いてから指導・意見交換を行うとかなり の時間を必要としてしまう。そのため、意見は授業終 了時に提出してもらい、「ピアノ演習ニュースレター」 として次回授業時に渡すこととした。  「3」は演奏者自身で自分の演奏グレード、楽曲の 難易度等を知るように努力することを目標としてい る。  「4」は指導者、受講者ともに演奏曲について予習 が必要だからである。指導者はすべての曲について演 奏経験があるわけではないし、知らない作品を演奏す る人があるかもしれないことを考慮した。  「5」は譜読みの能力を高めてもらうためである。 短い作品をたくさん勉強する方が、難しい作品1曲を 長い期間で勉強するよりも読譜能力の向上につながる と考えた。 5.オンライン授業での授業形態  2020年4月20日より群馬大学はすべての授業を当面 の間オンラインで行うこととなり、音楽の実技科目も 例外ではなくなった。これにより、対面で指導するの が普通であったピアノ演習も、コンピュータによる音 声での指導をせざるを得なくなった。  この方法は、自宅等で楽器を所有していることを前 提として、演奏をオンラインで視聴し、それに対して 指導を行うというものである。自宅等でピアノを所有 していない、あるいは下宿などの環境のため音を出し ての練習ができない、という人には音声ファイルによ る録音提出も可とした。  当初は、やはり本来の音とはかけ離れた貧弱な音に 指導者も受講者も戸惑いを隠せなかったし、映像の撮 り方によってはどのように演奏を行っているか分から ない面があるのが大きな欠点であった。Wifiの状態、 パソコンの性能等によっても音は変わってくるので、 指導はなかなか思うようにいかない部分が多かった。  しかし、アプリの音声設定によりピアノの音はかな り改善されることが分かった(注2)ほか、多くの楽譜 を準備しておいて必要に応じてそれを提示する、ある いはパソコンに楽譜をあらかじめ用意しておき、それ を随時見てもらうということが非常に簡単にできるこ とが分かり、授業として有効な面も回を重ねるごとに 分かってきた。  何よりも効果的だったのは、受講者の感想を「チャッ ト」という方法で提出してもらうことで、前述の「ピ アノ演習ニュースレター」の作成の手間が驚くほど軽 減されたことだ。以前はそれぞれの書いたものを授業 担当者が読んだ上で再度ワードプロセッサーに打ち込 むという作業であったのだが、オンラインでの提出で はすでにテキストファイルの原稿となっているので、 それをコピーするだけで良い。作業が楽になるだけで なく、ミスタイプも無くなるので、これは大変ありが たいことであった。それと、それまでの「ニュースレ ター」では感想を取捨選択して掲載していたのだが、 チャットを利用した場合、「全員に」送信してもらう ことが前提なので、どの人がどんな感想を提出してい るのかがリアルタイムで分かって面白かった、という 声を後から聞いてなるほどと思ったことがある。  このように、問題も多かったオンラインによる「ピ アノ演習」だったが、今後に生かしてみたい要素もあ り、授業改善を考える上で意義もあったことを指摘し ておきたい。 6.授業改善の結果  「ピアノ演習ニュースレター」は2007年から配布を 行っていた。当初は演奏に必要な知識を掲載したり、 授業の進行についてのお知らせをしたり、授業につい ての質問への回答を掲載したりといった内容であった のだが、ある時、演奏についての感想を書いた受講者 があり、それを掲載してみたところ「参考になる」と いう意見が多数あった。そのため、2011年度より、感

(7)

101 「ピアノ演習」授業の改善 想を全員に書いてもらうこととした。この方法につい ては、当初、「演奏を言葉で表現するのが難しい」な どという声もあったことは事実である。しかし、仲間 からのいろいろな意見を見ているうちに「このくら いの意見でもいいのか」という気楽さも出てきたよ うで、徐々に有意義なコメントが現れるようになっ た。  ここで、全面的にクラス授業とした2016年度におい て、「演奏の問題点を指摘する意見」が前年度からど のように変化してきたかを調査することにした。感想 には単にその演奏を褒めるもの、問題点を指摘するも の、その他の自由な感想、などさまざまであるが、 「演奏の問題点を指摘できる」ことはテクニック、音 楽表現などの方法論を十分に理解しているからできる ことと考えられるからである。つまり、指導者からの 意見を聞くだけでなく、「問題を見いだして解決策を 考え」る「深い学び」ができていると考えてよいから である。  指摘の傾向としては以下に要約することができる。  1.テンポ設定に関するもの  2.演奏上のテクニックに関するもの(指使い、指 の形、ペダル用法など)  3.音楽表現に関するもの(デュナーミク、アゴー ギク等)  4.その他  これらの項目に分けた意味は、テンポ設定について は曲の構造についての理解ができていること、テク ニックについては自身でテクニックについての方法論 を持っていること、音楽表現についてはその曲につい ての表現意欲を持っていること、以上のような音楽的 能力を見るためである。  以下にその結果を示す。比較しやすいように、それ ぞれの年度の前期について調査した。 ●2015年度前期 ニュースレター発行数:26 演奏数:ニュースレター1回につき4人 指摘数の合計:104 問題点を指摘した意見の数とその内訳: 月日(授業時限) 指摘数 テンポ ニックテク 音楽表現 その他 4/28(火曜5- 6) 8 1 4 3 0 4/28(火曜7- 8) 1 1 0 0 0 5/12(火曜5- 6) 7 1 2 4 0 5/12(火曜7- 8) 3 0 0 1 2 5/19(火曜5- 6) 7 0 1 4 2(練習法) 5/26(火曜5- 6) 4 0 2 2 0 5/26(火曜7- 8) 0 0 0 0 0 6/ 2(火曜5- 6) 5 0 2 2 1(練習法) 6/ 2(火曜7- 8) 3 1 1 0 1(読譜) 6/ 9(火曜5- 6) 4 2 0 2 0 6/ 9(火曜7- 8) 3 1 0 2 0 6/16(火曜5- 6) 8 1 2 5 0 6/16(火曜7- 8) 1 0 0 0 1(練習法) 6/23(火曜5- 6) 8 0 5 3 0 6/23(火曜7- 8) 0 0 0 0 0 6/30(火曜5- 6) 11 2 4 4 1(練習法) 6/30(火曜7- 8) 1 1 0 0 0 7/ 7(火曜5- 6) 6 0 0 5 1(練習法) 7/ 7(火曜7- 8) 1 0 0 1 0 7/14(火曜5- 6) 8 1 4 3 0 7/14(火曜7- 8) 2 0 1 0 1(心構え) 7/21(火曜5- 6) 6 0 1 5 0 7/21(火曜7- 8) 1 0 0 1 0 7/28(火曜5- 6) 6 0 3 3 0 7/28(火曜7- 8) 0 0 0 0 0 計 104 12 32 50 10  指摘内容について、各項目の全体に対しての割合を グラフで示すと以下のようになる。 ●2016年度前期 ニュースレター発行数:22 演奏数:ニュースレター1回につき6~10人 指摘数の合計:158 問題点を指摘した意見の数とその内訳: 【グラフ1】

(8)

102 三國正樹 月日(授業時限) 指摘数 テンポ ニックテク 音楽表現 その他 5/10(火曜7- 8/ 9 -10、以下同様) 18 6 2 10 0 5/12(木曜9-10、以 下同様) 1 1 0 0 0 5/17(火曜) 7 1 2 4 0 5/19(木曜) 3 0 0 1 2(練習法) 5/24(火曜) 7 0 1 4 2(練習法) 5/26(木曜) 4 0 2 2 0 5/31(火曜) 0 0 0 0 0 6/ 2(木曜) 5 0 2 2 1(練習法) 6/ 7(火曜) 3 1 1 0 1(譜読み) 6/ 9(木曜) 4 2 0 2 0 6/14(火曜) 3 1 0 2 0 6/16(木曜) 8 1 2 5 0 6/21(火曜) 1 0 0 0 1(練習法) 6/23(木曜) 8 0 5 3 0 6/28(火曜) 0 0 0 0 0 6/30(木曜) 11 2 4 4 1(練習法) 7/ 5(火曜) 1 1 0 0 0 7/ 7(木曜) 6 0 0 5 1(練習法) 7/19(火曜) 1 0 0 1 0 7/21(木曜) 8 1 4 3 0 7/26(火曜) 2 0 1 0 1(練習法) 7/28(木曜) 7 0 2 4 1(音の感じ方) 計 230 36 68 118 7  指摘内容について、各項目の全体に対しての割合を グラフで示すと以下のようになる。 7.考察・まとめ  二つの年度のデータでは掲載の方法が異なっており (2つの授業をまとめたものもある)、授業での演奏者 の数も違う。そのため演奏の指摘数を単純に比較はで きない。そこで、その内容の割合を見ることとした。  まず、自由に思ったことを記述した「その他」が 10%から3%に減り、具体的なテンポ、テクニック、 音楽表現についての指摘をはっきり書く傾向になった ことが分かる。これは、他者の演奏を聴き、具体的な 改善点を示す能力が育ってきたことを示すものと言え るだろう。  さらに、テンポの指摘が12%から16%へ増加、音楽 表現の指摘が48%から51%へと増加している。この事 実から、作品についての予習が行われるようになった ことが想像できる(作品をあらかじめ知っていないと 具体的な指摘は書きにくい)。  演奏を聴き、その演奏上の問題点を指摘できる能力 は「主体的」に音楽を聴く能力に基づくものである。 「ピアノ演習」においては自由に感想を書かせる中 で、良い表現と思われるものを「ニュースレター」に 掲載することで「どんな意見が有意義なのか」につい て考えさせることとした。言葉の誤用や不適切な表現 と思われるものは、書いた紙で添削を行う。この方法 によって、どんな表現がより適切なのかということを 指導者と「対話的」に学ぶことを目指している。もち ろん良い意見を受講者同士で共有することでも「対話 的」な学習となることを期待している。  次に、この授業についての問題点について考察して みた。以下のとおりである。  1.大人数の履修者の場合、例えば2グループに分 けて、隔週での演奏ということになるが(2020 年度はある授業で12人の履修者があり、6人ず つ演奏してもらうこととした)、演奏の授業で あるなら必ず全員が演奏するような形をとるこ とはできないかという問題。  2.受講者には楽譜を見ながら演奏を聴いてもらい たいが、演奏曲を申告しない人がいた場合、指 導者も含めてその曲についての予習ができない ことがある。これを徹底させることができない かという問題。  3.どうしても演奏を「聴きながら」感想を書くと いう作業になるが、集中して音を聴くというこ とにならないのではないかという問題。  「1」を考えると、前述したように合奏等も取り入 れた方法がすぐに思い浮かぶが、ピアノ演奏の基本を 独奏と考えることは崩せないと思う。ただ、初見試奏 【グラフ2】

(9)

103 「ピアノ演習」授業の改善 の能力を育てるために、連弾や2台ピアノ作品等を取 り入れることは有効である。弾き直しができないとい う環境での演奏の場が与えられるからである。独奏の 場合、音楽芸術の根幹にかかわる「弾き直し」がなか なか治らない人をしばしば見るが、それを直すために も取り入れることは有効と思われる。  「2」はなかなか難しい問題だが、前述したように 演奏の実技においては「練習」が重要なので、演奏曲 を事前に申告することを徹底させたい。例えば演奏の 1週間前までに申告しない場合は初見試奏を課する、 などとしてしまう方法も一度は考えたこともあるが、 これはやや気の毒な感もあるのでまだ実現していな い。  「3」は現実にはやむを得ないと考える。本来は集 中して聴いたのちに感想を書く時間があった方がよい のはもちろんだが、授業時間を有効に使うためにはこ の方法は必要と考えている。  今年度のオンライン授業により、実技指導において さらに新しい方法論も見えてきた。楽譜をスクリーン に投影しながら授業を進めるなどの方法も有効である と考えられる。  今後も、受講者全員が有意義に演奏を学ぶことがで きるような、より良い授業改善の方法を模索していき たい。 注1:C.ローゼン『ピアノ・ノート』p.116 注2:群馬大学で用いたのは「ZOOM」というアプリである。 「オーディオ処理」の設定で「連続的な背景雑音の抑制」 「断続的な背景雑音の抑制」を「無効化」にするとピア ノの音は改善される。 引用・参考文献 小笠原真也「授業におけるピアノ演奏技術の指導法」広島文化 短期大学紀要 第40巻、47-59頁、2007 平野智美「ピアノ学習者の学習過程における自己効力感の醸成 に関する研究」千葉経済大学短期大学部研究紀要 第14号、 63-72頁、2018 深井尚子「教育系大学音楽科におけるピアノ指導法の研究」北 海道教育大学紀要 人文科学・社会科学編、第57巻 第2号、 205-218頁、2007 松 下 佳 代・ 京 都 大 学 高 等 教 育 研 究 開 発 推 進 セ ン タ ー 編 著 『ディープ・アクティブラーニング 大学授業を深化させるた めに』勁草書房、2015

Rosen, Charles, Piano Notes: The World of the Pianists, New York, Free Press, 2002(邦訳『ピアノ・ノート 演奏家と聴 き手のために』朝倉和子訳、みすず書房、2009)

(10)

参照

関連したドキュメント

 米田陽可里 日本の英語教育改善─よりよい早期英 語教育のために─.  平岡亮人

施設設備の改善や大会議室の利用方法の改善を実施した。また、障がい者への配慮など研修を通じ て実践適用に努めてきた。 「