地理歴史科(世界史A)学習指導案
1 単元名 一体化に向かう世界 欧米の工業化とアジア諸国の動揺 2 単元設定の理由 ○単元観 高等学校学習指導要領(平成22 年 12 月・文科省)の地理歴史編には、世界史Aの目標を「近現代史を中 心とする世界の歴史を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ、現代の諸課題を 歴史的観点から考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民として の自覚と資質を養う。」と記している。本単元は、「産業革命と資本主義の確立、フランス革命とアメリカ諸 国の独立、自由主義と国民主義の進展を扱い、ヨーロッパ・アメリカにおける工業化と国民形成を理解させ る。」ことをねらいとし、特に、18 世紀後期から 19 世紀までのヨーロッパ及びアメリカの工業化と国民形成 の進行による世界商業の進展や資本主義の確立などの経済・社会の動向の変化を理解させるために構成した。 具体的には、①諸資料に基づき世界の歴史を多面的・多角的に捉えようとする歴史的思考力、②習得した 知識を活用し、課題を解決しようとする態度、を身に付けさせる。このように、本単元は、高校3 年生であ る生徒たちにとって、資本主義の確立による労働や社会生活の在り方の変化を学習し、世界の構造的な一体 化の進展を現代の私たちの生活と関連付けて展望させるうえで、大変意義深い学習である。 ○生徒観 本クラスは、科目選択により世界史Aを選択した生徒で構成されるクラスである。本単元の学習に関わる 事前調査では、科目選択で「日本史A・B」を選択している生徒が○人、「地理A・B」を選択している生徒 が○人であり、地理歴史に興味・関心をもち、既習の学習と関連付けて学ぼうとする姿勢が見受けられる。 しかしながら、小テストや前期第一回考査の解答を分析すると、一問一答問題はよく書けており、正答率も 高いが、グラフ・資料の読み取り問題や論述問題については、正答率が低く、また、空欄であることが多い。 この結果から、(1)一つひとつの歴史事象の因果関係や歴史の大きな流れをさまざまな視点から捉えるこ とができていない、(2)歴史用語は把握できているが、説明したり、文章で表現したりすることに対して苦 手意識をもっている、という上記二つの課題が明らかとなった。 ○指導観 本単元の指導にあたっては、前述した生徒の課題を克服できるよう、一つひとつの歴史事象の知識を活用 して、「なぜ」という疑問による課題意識を持たせることにより、事象を関連させていく作業を通して、歴史 に関する興味・関心を深めていくよう留意したい。具体的には、導入段階では、アメリカ合衆国の成立につ いて学習する。その際、市民の政治的発言権が拡大し、国民国家形成の動きが生まれ、その理念がフランス 革命に多大な影響を与えたことをアメリカ独立宣言とフランス人権宣言を考察することによって理解させた い。展開の段階では、フランス革命とラテンアメリカ諸国の独立について学習する。その際、ナポレオン戦 争を通じて広まった国民主義が自由主義とともに高まり、大西洋世界における一連の政治的変動がおこった ことを世界地図を活用して理解させたい。まとめの段階では、国際社会・経済の動向及び変容について、産 業革命を起点として学習する。その際には、産業革命の背景や要因を世界史的視野で捉えさせるとともに、 資本主義の確立と自由主義・ナショナリズムの進展に伴う世界の一体化について、本国と植民地との関係性 を主題として、ジグソー法を取り入れて考察させたい。3 単元指導目標 ○ 班での話し合いや探究活動に積極的に参加し、主体的に学ぼうとする。【関心・意欲・態度】 ○ イギリス産業革命について、その背景を世界史的視野で捉え、革命の結果、経済や社会の動向がどのよ うに変化したかを文章で表現することができる。【思考・判断・表現】 ○ アメリカ独立革命・フランス革命・ラテンアメリカ諸国の独立を大西洋を中心とした地図を活用して、 その政治的変動を一連の動きとして捉え、図式化してまとめることができる。【資料活用の技能】 ○ アメリカ合衆国について、西部への領土拡張と移民の流入、先住民やアフリカ系の人々に対する抑圧な どの様々な視点から総合的にその特色をまとめることができる。【知識・理解】 4 指導計画 第1次…大西洋革命について独立宣言とフランス人権宣言を比較・考察させ、理解させる【4時間】 1…アメリカ独立革命について独立宣言を考察して理解させる (1時間) 2…フランス革命についてフランス人権宣言を通して理解させる (1時間) 3…ナポレオン戦争について地図を活用して自由主義の広がりを捉えさせる (1時間) 4…ラテンアメリカ諸国の独立について現代の中南米の情勢を踏まえて理解させる (1時間) 第2次…産業革命の開始と資本主義の発展について考察させる 【4時間】 1…産業革命について綿織物を軸に考察させ、理解させる (1時間) 2…資本主義と社会主義について新たな社会構造を考察させ、捉えさせる (1時間) 3…ヨーロッパの諸革命を自由主義とナショナリズムの視点から考察し、まとめさせる(1時間) 4…南北問題について産業革命・資本主義・自由主義などを関連付けて考察させる (1時間)本時 5 本時 (1)本時の指導目標 ・ヨーロッパを中心とした世界の一体化と国際的分業体制について、その背景や要因をグラフや地図など の諸資料を多角的に考察し、気づいたことや自分の考えを他者に説明することができる。 ・現代の諸問題の一つである南北問題の始まりについて、歴史的な視点から事象を関連させてまとめ、文 章で表現することができる。 (2)本時の手立て ・イギリスを中心とした国際的分業体制について、「なぜ現代において南北の経済格差が生まれたのだろう か。」をMQとして設定し、MQにつながる二つの資料をそれぞれ1つずつ各グループで読み取らせるエ キスパート活動を行い、主体的な理解を促す。その後、別グループにおいて読み取ったことや考えたこ とを説明し合い、一つの答えにまとめる活動を行うことで多角的な思考を深めさせる。 (3)本時の授業仮説 ・イギリスを中心とした世界の一体化と国際分業体制の学習において、その背景や要因をジグソー法を用 いて、MQにつながるテーマごとにグループ1で資料を二つの立場から比較・考察する活動を行う。そ の後、グループ2でそれぞれの立場から読み取ったことや考えたことを説明し合い、MQに対する答え を文章でまとめる活動をすれば、歴史事象の関連性に対する興味・関心が高まるとともに、多角的な視 点から事象を考察し、現代の諸問題に対する歴史的なものの見方・考え方ができる生徒が育つであろう。 (4)教 材 教師…①視聴覚教材(プロジェクター・パソコン・パワーポイント資料) ②授業プリント ③ミニホワイトボードとホワイトボード用黒マジック ④リフレクションカード 生徒…⑤教科書『明解世界史A』p112~p113 ⑥授業用ノート
(5)学習の展開 学習内容・活動 指導上の留意点 教材 時間 形態 評価 導 入 ○本時の学習内容を把握する。 ・現代の国際的問題の一つである南北問 題が 19 世紀に進行したことを捉える。 ・前時までの既習事項である産業革命の 進展・資本主義の確立・自由主義及びナ ショナリズムの進展について確認する。 ○パワーポイントを使用し、南北問題の概要を大まか に視覚的に捉えさせ、時間の短縮を心がける。 ○本時のMQ及び本時の活動の流れを生徒に説 明し、どのような視点や態度で学習するかの見 通しをもたせる。 ① ② 5 分 一 斉 展 開 1 ○本時のMQにつながる資料A・Bを読 み取る。 ・A・B班に分かれ、それぞれの資料を 読み取るエキスパート活動を行う。 発問A 自国の製品をさらに多く売るにはどうし たら良いでしょうか。 植民地に対してイギリスはどのような役 割を求めたと思いますか? 発問B 技術先進国になるにはどうすれば良いと 思いますか?(何が必要でしょうか。) 植民地と本国との経済的な関係性はどの ようなものだと思いますか? ○事前に配布した課題資料A・Bの設問を解いて いるか確認する。 ○机間指導の際に、思考を促す発問や声かけ、評 価を行い、積極的に話し合いに参加する意識や 態度を促す。 ○次の活動における生徒の役割(それぞれの資料 のエキスパートとして次の班で内容を説明す る)を説明し、生徒一人ひとりの責任感を喚起 させる。 ② ⑤ 15 分 班 諸資料を読み取り、そ れぞれの立場における 国際的分業体制の役割 や生産形態などをまと めることができる。 【資料活用の技能】 評価の視点 A イギリスが資本主義 と自由主義の進展を背景 として、植民地に求めた役 割を読み取ることができ るとともに、世界市場を形 成し、国際的分業体制を確 立したことを捉えること ができる。 B モノカルチャー経済 やプランテーション栽培 などの事例から、技術後進 国である諸国(植民地)が 原料供給地・製品市場とし て、本国との隷属的な関係 性が固定化したことを捉 えることができる。 展 開 2 ○資料A・Bの内容を説明し合い、本時 のMQに対する答えを班で話し合い、 まとめる。 ・①~⑤班に分かれ、それぞれの資料の 説明を聞き、プリントに記入する。 ・本時のMQに対する答えを話し合い、文 章でまとめる。 ・ミニホワイトボードを使用し、班ごとに 発表する。 ○文章で表現することが難しい場合は、箇条書き でも良いことを生徒に指示する。 ○国際的分業体制による世界の一体化の進展に より、本国と植民地との経済的不平等を生み出 しながらも、互いに結びつきが深くなっていっ たことを指摘する。 ② ③ ⑤ 15 分 班 グループ1で考えたこ とを他者に説明するこ とができるとともに、 多角的な視点から考察 し、文章にまとめるこ とができる。【思考力・ 判断力・表現力】 評価の視点 ・イギリスを中心とした世 界 経 済 シ ス テ ム に 他 の 国々がどのように組み込 まれていったかを捉える ことができる。 ま と め ○イギリスの二大政党制(保守党・自由 党)の対外政策を学習する。 ・自由貿易体制などイギリス国内で資本主 義的通商が拡大されたことを把握する。 ○リフレクションカードを記入し、本時 の学習内容及び自身の学習意欲や態 度を振り返る。 ・本時の授業の自己評価を行い、わかっ たことや疑問点を記入する。 ○パワーポイントを使用し、イギリス国内における自 由主義的諸改革を大まかに視覚的に捉えさせ、 資本主義に基づいた政治や外交を実施し、その 後、帝国主義の時代に突入していったことを捉 えさせる。 ○このカードはあくまでも生徒による自己評価 であることを強調し、本時の取り組みの姿勢や 理解度などを客観的に振り返らせる。 ① ② ④ 10 分 5 分 一 斉 ↓ 個 人 ④ ⑤ 教卓 B A B A ○ ○ ○ ○ ① ○ ○ ○ ○ ② ○ ○ ③ 【本時のMQ】なぜ現代において南北の経済格差が生まれたのだろうか。 ◎国際的分業体制についての資料を中核・周辺の異な る立場から読み取る。 資料A 中核=英(技術先進国) ⇒自国資本主義経済の発展と技術力の増大に伴う原 料・食料・資源・製品市場確保要求の高まり ※ 植民地に求める役割を本国の視点から捉える 資料B 周辺=アジア ⇒①伝統的な産業の崩壊と単一農産物生産への移行 ②工業化に必要な資源・労働力・富の蓄積が困難 ※ モノカルチャー経済・プランテーション栽培など の事例から本国と植民地との関係性を捉える 【基準となる答え】 19世紀にイギリスを中心とした国際的分 業体制が一層進行し、南半球の多くの国が原 料供給地や製品市場として植民地化され、本 国との経済的な関係性が固定化したため。
(6)板書計画 本日の授業の流れ (1)グループA・Bに分か れ、意見を交換する。 A:イギリス B:アジア (2)グループ①~⑤に分か れ、それぞれの立場で考えた ことやわかったことを説明し 合い、班でホワイトボードに まとめる。 (3)発表する。 ○月○日(○) 一体化に向かう世界 “世界の工場”イギリス 教科書p112~p113 白い紙を貼り、パワーポイント資料を投影 めあて なぜ現代において南北の経済格差が生まれたの だろう。 ホワイトボード ホワイトボード ホワイトボード まとめ ホワイトボード ホワイトボード