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モバイルは今:自動車とインターネット

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Academic year: 2021

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(1)������ NO.12. 自動車と インターネット. 砂原 秀樹 奈良先端科学技術大学院大学 [email protected].  これまで,モバイルコミュニケーションを支える基盤技. と考えている.. 術について紹介してきたが,このあたりでそれらを組み合. 「空間を創造する」. わせた応用について紹介してみることにしたいと思う.モ.  インターネットも自動車も道具でありそれを利用するの. バイルコミュニケーションの応用分野には,さまざまなも. は人間である.そしてそれぞれ,利用者の空間を広げコミ. のがあるが,今回はその中から自動車でのディジタルコミ. ュニケーション環境を構築していくことをその役割として. ュニケーションについて取り上げることにしよう.. いる.つまり,遠隔地への移動を速やかに行うことで,あ. ●. るいは,遠隔地の人間とのコミュニケーションをスムース.  自動車とインターネットと聞くと,すぐに車内で Web に. に行うことで,人間の行動範囲を広げているのである.こ. アクセスしたり電子メールを受け取ったりすることを思い. のような道具を組み合わせることで,移動する人間のコミ. 浮かべるであろう.実際,現在市販されているカーナビゲ. ュニケーション環境を広げることができると考えている.. ーションシステムの多くがこうした機能を提供している.. つまり,車で移動している人間同士,あるいは,車で移動. また,自動車メーカ各社も自動車向けのインターネットサ. している人間と別の場所にいる人間とのコミュニケーショ. ービスと組み合わせて事業展開を進めている.しかし,誰. ン空間を創造しているのである.. もが情報の受信者であると同時に送信者にもなることが可. 「空間をセンスする」. 能であるというインターネットの特質を考えると,こうし.  前述の通り自動車は,速度センサや温度センサなどさま. た状況は不完全なものであると考えられる.. ざまなセンサを有している.また,ワイパーやライトのス.  一方,自動車を詳細に調査してみると車内には 100 以上. イッチポジションなどの情報を加えると 100 以上になる.. のセンサやスイッチ等の情報源があることが分かった.た. そういう意味において自動車は動き回るセンサの塊であり,. とえば,GPS 等から得られる位置情報と車速情報を収集し. これらの位置と情報を収集し再構成することで有益な情報. 処理することで,道路の渋滞情報を生成することが可能と. を生成することが可能となる.これがインターネットカー. なる.また,位置情報とワイパーのスイッチ位置を収集し. のもう 1 つの役割であり,車をプローブとしてリアルワー. 処理することで,各場所の詳細な降雨情報を生成すること. ルドに放ち,情報を収集するという意味において,空間を. ができる.このように,従来自動車の走行以外には利用さ. センスしているのである.. れず捨てられていた自動車が持つ情報を収集し処理をする. ●. ことで,新たに有益な情報を構成することができる.こう.  こうした概念に基づき,さまざまな実証実験が行われて. した仕組みをプローブカーシステムと呼び,交通計画や天. きた.最も大きな実験は 2001 年度に行われたインターネ. 気予報等のさまざまな分野で注目を集めている.. ット ITS プロジェクトの実験であり,1,600 台以上の自動車.  このような背景をもとに,WIDE プロジェクトのインター. をインターネットに接続しさまざまなサービスの構築を試. ネットカーワーキンググループを中心にインターネットカ. みた.. ーの研究を進めてきている.インターネットカーは「空間. (1)名古屋地区実証実験. を創造する」 「空間をセンスする」という 2 つの役割を担う. 294.  名古屋地区を走行するタクシー 1,570 台をインターネット. 44巻 3号 情報処理 2003年 3月. −1−.

(2) (a)渋滞情報. 図 -2 高機能実験車. (3)高機能実験車  インターネット ITS のコンセプトを示す 1 つのモデルと して,高機能実験車の試作を行っている(図 -2 参照) .こ の車は,11 台のコンピュータを装備し,移動するネットワ ークの機能を実現している.また,携帯電話(PDC-P およ び CdmaOne) ,PHS, 無線 LAN(IEEE802.11b) ,ディジタル衛星 通信といった複数の通信デバイスを組み合わせて利用する 機能を有している.また,車両から取得可能な情報を可能 (b)降雨情報. な限り収集できるようにするとともに,脈拍といった人間. 図 -1 名古屋地区実証実験で提供されたプローブ情報. からの情報,360°撮影可能なカメラ画像を収集し,蓄積し たりインターネットに配信したりする機能を用意している.  車両後部に各種機器を搭載したラックがあるため 4 人乗. に接続し,位置,車速,ワイパー,実車/空車といった情. りとなっているが,各座席にはタッチパネル付きディスプ. 報を収集し,渋滞情報や降雨情報といった情報をインター. レイ,カメラ,マイク,スピーカ,IC カードリーダが用意. ネット上で提供した(図 -1 参照) .また,参加タクシー事. されており,さまざまなアプリケーションが実現可能とな. 業者には,自社のタクシーがどの場所を走行し実車である. っている.. のか否かといった情報を提供するシステムを用意している..  サンプルとして作成されたアプリケーションには,オフ. これによりタクシー事業者は配車や車両管理を行うことが. ィスや他の車両にいるメンバとのコミュニケーションを可. できるようになっている.このことにより,同一の基盤上. 能とするグループコミュニケーションシステム,加速度セ. に,プローブ情報システムと業務支援システムの複数の情. ンサやハンドルの切り角,アクセル,ブレーキ等の情報を. 報システムを構築できることを示している.. 基にした安全運転支援システム,利用者の脈拍等を用いた.  また,顧客サービスとして 70 台のタクシーには,後部座. 運転者健康支援システム等がある. ●. 席にタッチパネル付きのディスプレイを用意し,情報提供 サービスの実験を行った.特に,位置情報に基づくプッシ.  2001 年度のインターネット ITS プロジェクトの成果を受. ュサービスを用意しており,走行中に観光名所等のそばを. けて,より多くのメンバによる実証実験と技術の標準化,. 通過すると,そのことを知らせてくれるとともに,観光名. アプリケーションの開発,事業のインキュベーション等を. 所等の情報を提示するようになっている.. 目的として,インターネット ITS 協議会が設立された .す. 1). でに 100 以上の組織が参加しており,活発な活動を開始し. (2)首都圏地区実証実験  川崎を中心とした地域で一般の乗用車をインターネット. ている.今後も自動車を核としたインターネットがどのよ. に接続し,情報提供サービスの実験を行った.位置情報に. うになっていくか注目されるところである.. 基づくプッシュサービスとともに,情報アクセス履歴に基.  さて,次回からは,執筆者を代えてより新しく深くモバ. づく利用者の嗜好を解析する試みも行っている.. イル技術について取り上げていただくことになった.これ.  また,ガソリンスタンドおよび駐車場における顧客サー. まで本連載を読んでいただいた読者の方々に感謝を述べる. ビスの実験も行っており,ガソリンスタンドでは,自動車. とともに,続く連載に期待していただければと思う.. の誘導,給油ガイダンス,走行距離等の情報に基づくメイ. 参考文献 1)インターネット ITS 協議会 , インターネット ITS 協議会ホームページ , http://www.InternetITS.org (平成 15 年 2 月 10 日受付). ンテナンス情報の提供等の実験を行った.また,駐車場で は駐車料金の自動決済を実現している.. IPSJ Magazine Vol.44 No.3 Mar. 2003. −2−. 295.

(3)

参照

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